飛行艇 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1982年1月号
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1. SFマガジン 1982年1月号

それからが問題だった。。ヒナカルたちは、ローダたちが結論を出来、ともすれば微妙な点でロールとメリンたちとは、食い違うこと すまでは、飛行艇の外にとどまると言ってよこしたのだ。もちろが増えたように思えた。考えてみれば、とりあえずはローダが指揮 5 ん、飛行不能になった飛行艇をゆずるという返事を待って、た。 者のような立場にいるのたが、アシュロンやキリイのようにそれな 意識を失ったままのステンの意見は聞きようがない。そしてメリ りの教育を受けたわけではなく、ローダは技術者としての教育しか ンとロールは、飛行艇を渡すことに反対した。当然のことだ。ロー 受けていないのだ。ロールとメリンが、反抗的な態度を示すのも、 ダも、それが正しいと思っていた。だが、ゆすることを拒否したと当然のことだ。 したら、おそらく、。ヒナカルたちは、彼らを攻撃してくるたろうと ローダは、自分が、二人にいらだった反応を示すたびに、自分に いう予感がした。 そう言いきかせた。そして、今も、そう思ったのだ。 もちろん、あの十人足らずの男たちなら、皆殺しにできる。だ「信用してないわけしゃないわ。たた、心配だっただけよ」 が、それで済むわけはあるまい。ビナカルの話によれば、彼らの部メリンが、固い口調で言った。 族だけで百人近いという。そして、他の金属狩人たちの部族の者ま「わか「たわ、私も言いすぎたかもしれない。 とにかく、明 ~ 後日に で入れれば、もっと多い者たちを敵に回すことになる。いつまでは、飛び立てるようになる筈よ」 も、ここにとどまるつもりなら、それでも、何とかやっていけるた ローダは、そう言って、二人の横を離れ、飛行艇の外に出た。 ろう。 ローダが出てくるのを見た。ヒナカルが、汁で光った顔に笑みを浮 だが、ロ 1 ダは、この飛行艇を修理し、飛び立つつもりだったの かべて、手を上げた。 だ。敵におびえながら、外に出て、飛行艇の修理をするのは、無理「どう、はかどっているの ? 」 に決まっている。どうあっても、あのビナカルたちの剣や弓の下で 「いや、なかなかしぶとい奴でね、時間がかかりそうだ。こんな大 は、まともな作業などできるわけがない。 仕事は、久しぶりさ」 しかも、あちらの飛行艇から部品を外すには、技術だけではな「いつもは、どうしているの ? 」 く、労力が必要だった。自分たちの存在を知らせてはならないとい ビナカルが、 はにかんだような表情を浮かべた。 うタブーに関しても、この男たちは除外してもかまわないと思え 「都市の廃墟から、金属を掘り起こしたり、地面の中から石を掘り た。すでに、何度か、彼らの部族は自分たちの惑星以外の技術の産 出して溶かしたりしているのさ。もうこのあたりには、掘り出すも 物を目にしているというのが、その理由だった。 のもなくなって、これからどこに移動しようか、考えているところ そしてローダは、飛行艇の一機を、。ヒナカルたちにゆずることを たったんた」 主張したのだ。 ロ 1 ダは、その場で思いついたことを口にした。 結局、ロールとメリンは、ローダの主張を容れた。だが、それ以「移動しているときに、ガイの戦士たちと出会うことなど、ない

2. SFマガジン 1982年1月号

だけは助かっていたかもしれない。どが、。 ュ / ケイルやアシュロンの行 方もわからないのだ。ステンよりも先に、この惑星の土の中に入っ 5 ているのかもしれなかった。 そしてキリイ。彼たけは生き伸びるだろう。ローダは、思った。 たとえ、一一度と飛び立っことができないとわか「ていても、自分それは意外なほど、ローダの気分を柔らげた。こちらの飛行艇の部 品を取り替え、傷ついた部分を修復したら、キリイを探しに、ヴィ ) 愛機が破壊されていくのを見るのは、気分の良いものではない。 トグまで飛んでいくのだ。 立属狩人と自分たちのことを語ったピナカルたちは、ローダの感傷 もう一機の飛行艇は、。ヒナカルたちが始末するたろう。 はぎとるように、飛行艇の外壁をはぎとりにかかっていた。もち ローダは、ほんの七日ほど前のビナカルたちとの出会いを思い出 つんレーザー・カッターも、トーチも使わずに、た。文字どおり、 从をはぐように、外壁をはいでいく。 数種類の金属の工具と、綱していた。四つ足の獣、彼らはメルと呼んでいたが、そのメルの背 にまたがってやって来たピナカルたちは、おそろしく友好的にロー 、自分たちの乗ってきた獣の力だけで、マイダスの技術の結品を ダたちに近付いてきた。腰にした武器を、地面に投げ捨てさえした 以壊していこうとしているのだ。 そして、。ヒナカルたちの作業が、飛行艇の頑強な抵抗に会って中のだ。 そして言ったものた。 叫するたびに、ローダは、かすかな喜びを感じるのだった。 「こちらの金属の塊をゆすってくれ」 「あの分解作業は、奴らの手にあまるぜ」 それを口にした。ヒナカルが、男たちの ルが、言ってよこした。ロ】ダは、うなすいた。だが、。ヒナ リーダ 1 だった。小柄た が、全身に筋肉が盛り上がっているのが、着込んだ服の上からでも ルたちの、あきらめを知らぬ努力が、飛行艇の、すなわちマイダ ハの技術の抵抗のすべてを打ち負かすのは、時間の問題だと、わかわかった。そろそろ中年にさしかかったところだろう。 ていた。 そして、自分たちを出迎えたローダが、まだ若い娘であることを 「大丈夫なの ? 本当に、必要なものはすべて取り外したの ? 」 知っても、その笑みを消すことがなかった。 「おれたちは、金属を集めては、細工をしなおして生活の糧を得て ロールの腕にすがって立っているメリンが尋ねた。 いる者だ。見たところ、あの金属の塊は、あなたたちの役にはもう 「私を信用しないの ? 」 ローダは答え、それが自分でもわかるほどにとげとげしいものに立つまい。だが、あれだけの量があれば、おれたちの一族は、何年 なっていることに気付いた。自分には、すがりつく相手がいないのも腹一杯、飯が食える。どうだ、ゆずってはもらえまいか。もちろ 2 。ステンは、二日 ~ 間に、 この飛行艇の脇の草地の中に埋められてん、おれたちの持っているもので、必要なものがあれば、何でも、 いた。あるいはゲイルでもいてくれたら、元に戻らぬまでも、生命あなたたちの好きなようにして、かまわない」 メタル

3. SFマガジン 1982年1月号

( 一三頁より続く ) スペースシャトルでは 開発費の総計と一回の飛行にかかる経費と は、反比例の関係にある。すなわち有翼ブ ースターとオービターでハ ードウェアを百 % 回収し、繰り返し使用するなら一回の飛 行にかかる経費は少ないが、複雜なシステ ムを開発するのに多くの費用を要する。シ ステムの一部を使い捨てるなら単純化が図 れて開発費は低くなるが、一回の飛行にか かる経費は高くならざるを得ない。 もちろん長い目で見れば、完全回収方式 の優越は明らかだ。しかしアポロ以後の議 会は、最早長期的見通しに基づいた宇宙計 画の支出を認める雰囲気ではなくなってい 准意をクンク使いて 聞発 ( は位 e ドル ) 増進剤タンク 使い物て 固体ロケット・ フースター ー飛行当リの経興 ( 単位に : 万ドル ) 図 16 、開発費と 1 回の飛行にかかる経費の関係を D プライム第物 「フ 0 メ工 ロックウェル社案オービター を討第要を図 17 ' - 第 ~ ー 0500 ー 08

4. SFマガジン 1982年1月号

フ 工 イ ロックウェル社案オービター 図 12 図 13 図 14 図 15 161 X ・一 161C : デルタ翼オービター ォービターの最後の案 ー 160 : 直線翼 161Y : 背面飛行で着陸するオービター 図 9 図 10 ー 122 : 予備研究 129 127

5. SFマガジン 1982年1月号

そして、ローダたちの最も必要としているのは、情報だった。何ようなものを発見した者はいないという。そして、奇妙なことに、 よりも、ローダが気にかけたのは、なぜ、自分たちがここに不時着ビナカルは、ローダたちがどこから来たのか、何者であるのか、ま ったく気にかけようとしていなかった。彼らの興味は、ひたすらに したことを、金属狩人の。ヒナカルたちが知っているのか。そして、 飛行艇の金属に注がれていた。 おそらくは、。ヒナカルたちが見たことがない筈の飛行艇を見ても、 それからメリンが質間を受け継いだ。自分たちが、どこにいるの 誰一人として驚きも、あわてもしないのはなぜなのか。 か、。ヒナカルから尋き出そうとしたのだ。その結果は、芳しいもの 前の質問に対する答は、簡単なものたった。お告げがあったとい うのだ。どうやら、。ヒナカルたちの集落には、呪術師のような者がではなかった。なぜなら、ビナカルたちに地形を尋ねることは、地 面を這っている虫に尋ねることとあまり変りはなかったからだ。彼 いるらしく、その者が、ここに金属の固りがあることを告げたとい う。後の質問については、彼らの祖父の代にも、似たようなものをらにわかるのは、徒歩で一カ月ほどの範囲だけであり、それも彼ら なりの言葉であらわすことしかできないのだ。 見たことがあったし、仲間の金属狩人たちも、何回か、似たような それでも、メリンは、ここが大陸の北にあたり、おそらくはあの ものを見ているのだと答えてよこした。 「四つの塔の都市」とは反対の海辺に近いらしいということまで ローダは、すぐさま、アレクサンドロス人たちのことを尋ねた。 だが、最近では、ビナカルたちも、他の金属狩人の部族でも、そのを、類推するに足る情報を。ヒナカルから引き出した。 バイン登場弸 死の猟大 ノーカ ーそして誰もいなくなった剿 書斎の死体弸 蒼ざめた馬町 ボアロ登場輒 、 ) 2 ひらいたトランプ ロポケットにライ麦を鰤 す房 フランクフルトへの乗客輒て 死との約束鰤 給愛国殺人鰤 点 3 葬儀を終えて欟 死人の鏡 死が最後にやってくる弸 4 ヘラクレスの冒険圓 円鏡は横にひび割れて 刊 ェッジウェア卿の死 牧師館の殺人物 加もの言えぬ証人輒 5 メソボタミャの殺人町 て ) 庫既 ハクダッドの秘密 おしどり探偵物 幻五匹の子豚 / 6 複数の時計 弡復讐の女神 引ヒッコリー・ロードの殺人弸 カリブ海の秘密弸 文一 7 予告殺人 ワイ 招かれざる客 オリエント急行の殺人輒 幻終りなき夜に生れつく テ 8 ゼロ時問へ町 価 00q し 謎のクイン氏 験察側の証人 カス 9 満潮に乗って轗 る 死への旅弸 ャ 驕愛の探偵たち弸 雲をつかむ死町 第三の女 あ町貯 ク 0 親指のうずき間 黄色いアイリス 引火曜クラブ輒 て多 ハロウィーン・ Ⅱ杉の柩町 田京 引ねずみとり 4 Z カ力。 ガにチムニーズ館の秘密轗 示神東 蜘蛛の巣 殺人は容易だ驪 ホロー荘の殺人輒 アロバディントン発 4 時団分町 京替 運命の裏木戸 象は忘れない バートラム・ホテルにて 四鳩のなかの猫招 東振 七つの時計 アクロイド殺し物 無実はさいなむ輒 ボアロのクリスマス轗 重版情報 400

6. SFマガジン 1982年1月号

「それじゃ、レンケという街のことは ? 」 「ガイ ? ああ、奴らは、おれたちには手だしをしないよ。奴ら「レンケ。聞いたことがあるな」 は、おれたちから武器を仕入れていくんだし、考えてみれば、おれ「どこで聞いたの ? 」 咳き込なように、ローダは尋ねた。 たちと奴らは、同じようなことをやっているんだからな」 そこまで言ったとき、。ヒナカルの顔に、明らかに失敗ったという「たしか、そうだ、ドッズの一族から聞いたんじゃなかったかな。 ずいぶん前に、その街の人間と取り引きしたことがあったと言って 表情が浮かんだ。それでも、ローダは言った。 いた」 「どういう意味なの ? 」 「そのドッズの一族は、どこにいるの ? 」 ビナカルは、頭を振った。 : ー : いかないんだ「さあな、奴らも、居場所をしよっ中、変えているからな、今はど 「悪いんたけど、ローダ、それ以上は言うわすこよ こにいるか」 よ。他国の人には、言ってはいけないことがあるんだ」 ビナカルとの話は、それで終りだった。背を向けて仲間の方に向 「他国 ? じゃあ、私たちがどこから来たのか、知っているという かっていく。ヒナカルの姿を見送っていたとき、ローダは、。ヒナカル 「知りやしないよ。だが、こんなものに乗「てくるからには、おれが恐るべきことをほのめかしていたことに気付いた。 彼は何と言ったか。他国の人には話してはいけないことがあると たちとはちがうところから来たくらいは、わかるってものさ。だが 言っていたのではなかったか。 それ以上は知りたくないし、他の者たちにも何も言わない。あんた その意味することは簡単だった。い】ダたちマイダスの人間が持 たちは、おれたちにこれをゆずってくれたんたからな」 っているのと、同じタブーが、この惑星の人間たちにもあるのだー 。ヒナカルは、飛行艇のそばで作業している伸間たちを振り返っ この惑星の何が、そし そして、ローダは考え込んだ。いったい、 てどこに、そのタ。フーに価するものがあるというのか ? この未開 「もう、 し、刀い / - し しいかね ? あんたと話してばかりいるわけには、 そのままの世界に、マイダスの人間たちに隠すべき秘密など、ある んた」 のか ? 「ちょっと待って、もう一つ」 ローダは、思わず一つ身震いした。 ローダは、あのレンケの街で、キリイが見かけたというアルミニ ウムの皿のことを思い出した。たしか、サロウとかいう男が持っ てきたと言っていた筈だ。 「。ヒナカル、あなたは、サロウという男のこと、知っている ? 」 「サロウ ? 知らねえな」 ( 以下次号 ) 3

7. SFマガジン 1982年1月号

かるし、『惑星ソラリス』 S 。 / の・な ( 1972 ) では死者がわれわれの良心を逆撫でする。 1950 年代に話を戻すと、 ハリウッドの狙 いは我々を怯えあがらせることにあったよ うだが、『月世界征服』 D にⅵた・。れ Moon ( 1950 ) では、人類の不屈の魂をたたえる ことで、いくらかその罪ほろぼしをした。 宇宙というのは金のかかる設定であり、そ のため宇宙を背景にした映画は多くない。 低予算では、『宇宙への挑戦』 / & の・ s ( 1954 ) のように惨憺たる結果 になる。しかし、比較的大予算の映画が二 本、どちらも巧みに、賢明につくられて、 スペース・オペラの世界をひらいた。『禁 断の惑星』 r んイ d 刊 ( 1956 ) と 『宇宙水爆戦』 T んなム / の刃れん ( 1954 ) である。これらのスペクタクルを凌駕した 最近の映画といえば、 S F 映画史上の三大 巨篇『 2001 年宇宙の旅』 200 プ : A S. 第“に 0 み , お ( 1 % 8 ) 、『スター ウォーズ』 & “ル 4 ” ( 1977 ) 、『未知との遭遇』 C ん記 E co ″厩に”可 T ん T んイ Kind ( 1977 ) のみである。 19 年代にはジュール・ヴェルヌ作品の 著作権が消減して、六本あまりが映画化さ れた。もっとも注目すべき例が『海底二万 哩』 20 , 000 ん eag ″どゞ U ”だ S ど 4 ( 1954 ) である。 ハリウッドは、早くも 1952 年に、 TV との競合を心配し始めてい る。この年、 The T , が公開された が、これは TV が異星人の侵略の先陣だと する映画だった。 ディストヒ。アが人気を得始めるのは、 れより少しあとの 1960 年代。だが、陰鬱な 1970 年代にいたるまで本格的にはならなか った。最上の二作はフランスの『アルファ ヴィル』みゆん 40 ″ん ( 1965 ) と『華氏 451 』 お 4 ん尾れ″ 45 ノ ( 1 % 6 ) だった。 T ん Ⅳだ G の ( 1 % 5 ) は、英国の大破壊を 正面から見すえ、『傷だらけのアイドル』 ge ( 1967 ) は未来の若者操作につい て語った。 G のづづ ! ( 1970 ) と『狂った青 春』Ⅳ″イ切 the & な ( 1 8 ) も、より 強力な立場にいる若者を、あからさまな共 感をこめて描いているが、フラワー ー現象を食いものにしようという皮肉な試 ユース・カルチャー みかもしれない。、、若者文化″という言葉 がはやり始めた時代だった。 1960 年代までに S F 映画は充分足場を固 めていたから、諷刺や自己パロディすら許 されるようになっていた。この 10 年間で最 上の作品のうち、二本がこの分野のもの ーレラ』お ar わので〃 0 ( 1967 ) と 『猿の惑星』刊の the みゞ ( 1968 ) である。『猿の惑星』はこのあとシリー ズ化されたが、最初の二本のみが出来が よく、残りは凡作たった。 『セコンド』 S “。れ赤 ( 1966 ) と『まごころを君に』 C' んの・な ( 1 8 ) と T 日 X ノブ 38 ( 1 9 ) では、人間の心や体をあやつることが重要 な役目を果たしている。大成功のモンスタ ー映画『鳥』 The 窺 r ( 1 % 3 ) は本来な つぎやすく身近なものをモンスターに置き かえ、逆手を狙ったものである。『光る 眼』〃 age 研 the D 襯れ記 ( 1960 ) で は、異星の子供が脅すように眼を光らせ る。『 007 は二度死ぬ』 You 0 れなわをに Tw な ( 1967 ) では、ジェイムズ・ポンド が世界を救う。『地球爆破作戦』 C 。 I 。ぉ・ T んに五 0 切だ可 ec ( 1969 ) ではコンピ ューターが支配する。『火星着陸第 1 号』 0 房れ so れ C so 0 ”ユー 4 ” ( 1 4 ) では、 宇宙飛行士が主導権を握り、『宇宙からの 脱出』 M “。。れ記 ( 1 9 ) では、より現実 的に三人の宇宙飛行士がおなじ役割を果た す。レネ監督によるだ ai ・襯ら大だ〃 ( 1968 ) は、無視されているが、記憶によ る精神的かっ現実の時間旅行を描く繊細で 微妙な映画である。 大破壊とその後は時々 S F 映画のテーマ 262

8. SFマガジン 1982年1月号

$ 様 C われる。高い金を出して造ったのにもった > ) であった。一九六九年一月にはされて、ブースターは飛行機のように飛ん いない話で、宇宙ステーションが建設さ > のフェイズ ( 第一期 ) 研究として、ロで滑走路に着陸し、オービターはなおも上 1 ド、ジェネラル・ダイナミクス、マ昇を続けて衛星軌道に乗る。この形式はマ れ、軌道と地上の間を定期便が行き交うよ うになると、こんな無駄な方式はとても使クダネル・ダグラス、ロックウエル ( 当時クダネル・ダグラスに限らす、当時のスペ ースシャトルの典型的な発想だった。と の社名はノースアメリカン・ロックウェ えない。したがって新しい輸送手段は、ハ ードウェアを回収し、何度も利用してコス ル ) の四社が選ばれてと契約しの違いはオービターの平面形 ( 直線翼と こ 0 デルタ翼 ) にある。 トの引下げを図ることが考えられた。 O と Q は逆にだっこ形とでもいうべきも この頃には Z << ()n << もスペースシャトル 一九六八年八月に招かれて、ミュ ーラーはロンドンで講演を行なった。このにどんな能力を要求するか考えを固めてなので、・フースターの底面にオービターが取 時初めて「地球と軌道上の宇宙ステーショ く、またメーカーの自由な発想を引出すたり付けられている。飛行の。 ( ターンは、 ンの間を shu ( ( ling す・る経済的な打上け機」めにも、あまり細かく規定することは避けと同しだ。のオービターの形態は、 Z について、一般に語られた。 Shuttle とはていたろう。その結果実に様々のアイディ co << のリフティング・ボディ研究機 *-a 1 そのままだ。 本来は機織りの梭のことで、転じて頻繁にアが登場することになった。 は他の四つとがらりと違い、・フースタ 往復するものを指すようになった言葉だ。 マクダネル・ダグラス社は図①ま 1 はない。代わりに使い捨てのタンクに推 で、五種類の案を公表している。図①と しかしこの時点での Z の公式の計は有翼プ 1 スターがオービターをおんぶ進剤が入れられ、これを使ってオービター 画名は、「統合式発射再突入機」した形で発射され、上昇中に両者は切り離は上昇する。タンクの推進剤を使い切ると

9. SFマガジン 1982年1月号

パイレーツ ( 承前 ) タイマツの光の中で、テイロスに抱きすくめられているイレンの が、無表情なままであることに、ロランは気付いた。それは、快 〕な娘であったイレンには、似つかわしい表情ではなかった。ロラ 一は、突然、わけのわからぬ悪感に襲われ、身震いした。 男たちの喜びの顔が、揺れる光の中で、動いていく。ロランは目 閉じた。 「よかったな ! 」 ロランは、肩に手をかけられ、目を開ける。クセスだった。その 須々しい顔にも、笑いがあった。 「そうね」 ロランは答える。 「どうしたんた ? ロラン。ちっともうれしそうじゃない」 クセスは、ロランの顔をのそき込む。ロランは、タイマツの光か 、顔をそむける。 「どうかしたのか ? 」 ロランの身体の震えに気付いて、クセスは重ねて尋ねてくる。 「何でもない。たたーー」 「ただ ? 」 「イレンのことが気になってーーー」 ロランは、そこまで言うと、イレンの顔に横目を向ける。その途 イレンの口から、笑い声があがり、テイロスの名を呼んだ。そ は、緊張を解き放たれた娘にふさわしい、ほっとしたような声だ 一た。顔にも、以前のイレンらしさが戻ったようたった。 ・前回までのあらすじ 惑星マイダスとアレクサンドロスの勢力圏にはさまれたその惑星 は、文明が未発達状態にあり、文明圏からの一切の干渉はタブーと されていた。しかし、両勢力はたがいに相手側がその惑星に侵入し たと思いこみ調査隊を送った。ところが謎の攻撃によって双方とも 宇宙船を撃墜され、アレクサンドロス側はたった一名の生存者が、 それも記憶喪失となって残るばかり。マイダス側も少数の調査隊が 生きのびたが、隊長のワイドルは原地人との戦闘で死ぬ。アレクサ ンドロスの男は原地人のエルワースという男と知り会うが、彼は、 そこでいざこざにまきこまれて殺される。ところが彼は死からよみ がえった。そして、ムザクの名で呼ばれるようになった男は、エル ワースと旅に出る。旅の途中、キャラの街で一一人はとらえられる が、支配者ティクスの娘イレンを連れて逃亡に成功する。やがて、 不思議な廃都に辿り着いた三人は、そこで複製人間の製造装置を発 見、三人のコビーが次々とっくられる。一方、マイダス側はヘダス という人物を求めて旅をするが、アシュロン、ゲイルは戦闘で燃え さかる街に置きざりにされ、ローダ、ステン、メリン、ロールの乗 る飛行艇は奇怪な事故に会い大破する。そしてキリイは、ヴィトグ の街で単身手掛りを失ったまま、原地人から星の世界からの侵入者 ではないかと疑われる。また、イレンの兄テイロスは妹の行方を追 いハイアの街で彼女を発見したが、その際に殺したエルワース、ム ザクは実は複製人間だった。しかし、テイロスたちはそんなことと は気づかない : 「イレンが、どうかしたのか ? 」 クセスが言った。ロランは、首を振った。 「どうやら、私のまちがいだったようね」 ロランは、イレンを見つめながら答える。身体の震えはとまって だが、テイロスに連れられて、船室に入ろうとしたイレンが、最 ロ 8

10. SFマガジン 1982年1月号

まで現われた。海野や大阪は防諜小説を、木々は科学小説 とがある。なぜかと言うと、国民が一丸となって国難に立ち向 を、小栗は秘境冒険小説を、横溝・城は捕物小説をといっ かっている時に、一人として浮浪の民がいてはならないからー たふうに、それそれ作風を転換させている。 ー。こそうだ。 このように、全てが軍事色一辺倒に塗りつぶされ、戦争に直 接関係のないものはどんどん淘汰されるようになると、まず文探偵小説が軍部によって抑圧されるいつぼうで、は逆に 学の中では真ッ先に探偵小説が槍ダマにあげられた。その辺のもてはやされ、の出版物は年次に増加するという奇妙な現 事情は、中島河太郎氏の「推理小説通史」 ( 講談社刊『ミステ象が起こった。 ハンドブック』所載 ) によると、次のようになっている。 その理由としてまず第一にあげられるのは、科学が国民にと って身近なものになったということだ。太平洋戦争は日本が初 殊に昭和十六年に太平洋戦争が勃発すると、探偵小説にめて経験する近代的科学戦。ということは国全体の科学力の向 対する情報局の圧力は一段ときびしくなった。国民同士の上が求められる時勢であるわけで、必然的に国民の科学ーーーと 殺傷を扱うのは、国内不安を助長するもので、時局柄不穏くに軍事科学ーーーに対する興味も深められねばならない。なか 当だというのである。 ( 中略 ) でも次代を背負って立つ小国民には、なおさら科学に親しませ 探偵小説の執筆が事実上禁止されてみると、作家のなかる必要性が生じてこようというものだ。というわけで、昭十五 には国内の不秩序を示す探偵小説の筆を捨てようという論 ~ 十七年をピークとするこの・フームは、軍事科学の知識啓 蒙を目的とした国策的なものと言える。 また、敵性文学であるはすのウエルズ・ヴェルヌらの作品 が、戦争中にもかかわらずいぜんとして次々に翻訳出版されて いた事も、この国策的な軍事・フームを示す例として挙げら れるだろう。 児 だいぶ前口上が長くなったけれど、今月は来月、来々月とあ & 太わせて第二次世界大戦という特殊な状況下で書かれた科学冒険 の小説について調べていってみよう。 ~ ー蝉をー海 南 ます開戦直前の昭和十五年。この年、めすらしやミステリ界 の長老・横溝正史氏が、『南海の太陽児』という幻想的な秘境 探検を発表していゑ雑誌〈譚海〉の昭和十五年十一月号 より翌十六年八月号まで連載されたもので、単行本は昭和十七 年に熊谷書房より刊行。 ( これは余談だが、奇しくもこの作品