ルイスあなたは一光年の長さや進化の過 程の長さを伝えてはくれません。あなたの田 一場合は、十年とか十五年とかの未来です ね。十年以上前に書かれた『羊は見あげ スターが大 る』ではかってのハリウッド・ 統領になりました。 プラナーレーガンが大統領に選ばれる四 を〉年も前だ。 ルイスあなたはホンデュラスの戦闘やエ ル・サルヴァドルの内戦も書いていらっし ' ゃいますね。 ープラナーエル・サルヴァドルよりもホン デュラスのほうを予期していたんだがね。 ルイスあなたはが効果的な武器以上 のものであるとお考えですか。というか、 作家は武器として使う義務があるとお の問題から逃避させてくれ、白日夢を見さきは他の文学にできないことをするの考えですか。 ・フラナーすべての作家に義務があるとは せてくれる。また別の楽しさもある。基本だ。 ルイス日本では " センス・オヴ・ワンダ言わないがね。ただ、世界に対する影響力を 的には、小説から得られる楽しさで、読者 こそ唯一の偉大なるゴールであり、責任として感じている作家は偉いと思う。 の想像力の鍛練になるものだ。これは啓蒙 は大きな影響力をもっているんだよ。 的な意味ももっている。著者の空想のおかの到達する最高点だとされています。 たとえば、数年前、アポロの月計画が終 げで、読者は実際の生活ではできない経験プラナーそのとおりだ。 をするのだ。突然に一光年のながさを感取ルイスあなたの作品ではーーー気に入ってわるころ、作家のゴードン・ディクスンと スがケーゾ・ケネデ ″センス・オヴ画家のケリイ・フリー いるとされた作品では し、星々のあいだの虚空を感じ、進化の時 ・ホラー イに行き、着陸船の建設にたずさわった人 といったほうが の流れを知るのだ。 人にインタヴューした。ふたりは四十七人 これはまさしく心を広くする経験だ。よプラナー反ュートビアだね。
川ⅢⅢⅢⅱⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅧⅢⅢⅢⅢ川ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ . ジェラール・クランの Le ga 襯んツ des 6 知″ぉ ( 1958 ) 、フレデリック・ポールと ジャック・ウィリアムスンの & 4 なん″ d ( 1965 ) と og ″に & の・ ( 1969 ) 、フラ ンク・ ートの『鞭打たれる星』 ー枦んゆツ g S だ ( 1970 ) 、グレッグ・ペン フォードとゴードン・エクランドのネビュ ラ賞受賞作「もし星が神ならば」 "lf the Stars are G0ds ” ( 1974 ) などがある。実 際に惑星が生きているという話はまれであ るが、レイ・フ・ラッドベリの「ここに虎あ れ」 "Here There Be Tygers" ( 1951 ) で は訪れた宇宙飛行士がそれを怒らせ、フ・ラ ディエス・イ イアン・スティフ・ルフォードの《怒りの 日》三部作 ( 1971 ) ではそれがアクション に参加する。シオドア・スタージョンの "Case and the Dreamer ” ( 1972 ) には 奇妙な意識をもっ惑星が登場し、さらにも ーノレ・ノくレットの S ℃ っと奇妙なのがニ ( 1974 ) に登場するが、これらの 意識は惑星の実際の構成物質より外側に存 在する。 C ・ S ・ルイスの《ランサム》 部作 ( 1938 ー 45 ) に出てくる惑星精神も同 様である。いくっかの作品では惑星が単一 の巨大な組織から成る生命体によって包ま れている。この例としては、マレイ・ライ ンスターの「さびしがりやの惑星」 "The Lonely Planet" ( 1949 ) や、三つの森林世 界もの、 A ・ E ・ヴァン・ヴォートの「プ ロセス」 "Process ” ( 195 の、クリス・ネヴ イルの「ジルの森」 "The Forest 0f Zil" ( 1 % 7 ) 、そしてアーシュラ・ K ・ル・グ インのきわたった作品「帝国よりも大きく ゆるやかに」 "Vaster than Empires and More Slow ” ( 1971 ) などがある。真に異 質な知性をもった天体の最も印象的な描写 は、すでに古典となったスタニスワフ・レ ムの『ソラリスの陽のもとに』 & la だな ( 1961 ) にある。 〔 B S 〕 XIV ロンドン、ジャック LONDON, JACK ( 1876 ー 1916 ) アメリカの作家。おもに S F の分野以外 の作品で知られる。 14 歳で学校を出て以 来、冒険と苦難の 7 年間をおくり、カキの 密漁人、船乗り、浮浪者、囚人、クロンダ イクの金鉱掘りなどを体験した。この時期 に、自学して 19 世紀後半の最も影響力の大 きい科学的・哲学的理論ーーダーウイン進 化論、社会ダーウイン説、ニーチェ哲学、 マルクス主義ーーーに没頭し、それらをおび ただしい著作に融合させた。これらの著作 には、冒険物語、社会主義的ェッセイと小 説、自伝的物語、そして 4 作の長篇を含む 約 20 篇の S F がある。 最初の S F 作品 "A Thousand Deaths" ( 1899 ) は、 19 世紀 S F のいくつかのキー ・テーマを結びつけたもので、冷酷で孤独 な科学者が息子を生き返りの実験に使い、 その後息子が発明した超兵器によって消減 させられる 0"The Rejuvenation 0f Major Rathbone" ( 189 のには、、合成リンパ液 / / から抽出された、、若返り薬″が出てくる。 「影と閃光」 "The Shadow and the Flash" ( 1 囲 3 ) では二人の竸い合う天才科学者が 透明化を達成する。一人はすべての光を吸 収する顔料を完成し、もう一人は純粋な透 明化を成し遂げる。「全世界の敵」 "The Enemy of A11 the 、 vorld ” ( 1908 ) で は、孤独な科学者が超兵器を発明し、世界 を脅かす。彼の SF の多くを貫いているの は、白人が優越人種になるという不吉な擬 似科学理論である。これが最も衝撃的に現 われているのは「比類なき侵略」 "The Unparalleled lnvasion ” ( 1910 ) で、白人 諸国が中国人を空中からの細菌兵器による 虐殺で一掃し、かくて、、優れた機械と知性 と芸術を生み出す″明るい時代を確立す る。彼の SF のひとつの中心的な領域は先 史時代 ( 人類学 ) の世界であり、最初の 258
「強制的な力を感じるというわけか」とおれは言「た。「なるほど「あんたがいなくた 0 て崩壊するかもしれん。誰にそれがわかる。 ょにもわざわざその過 な。しかし、そいつはただの妄想だとは思わないか ? あんたは途なんらかの形で崩壊は起こるだろう。だが、オ 方もないストレス下にあ「た。恐ろしい状況から逃げてきてもい程に手をかすことはない」 「情報誌は出さなければならん。投資をしなければならん。崩壊か た。自分が信じられない知識と力を持っていることにも気づいた。 ら逃れるために、金を稼がねばならん。ここで手をこまねいて崩壊 そして周囲とは隔絶され、びとり。ほっちで孤独な暮しをしていた。 となれば、少し気がおかしくな「たり、自分の行動に対する責任をの始まりを待「ているわけにはいかんのだ。準備をしなければ。準 すっかり放棄しようとしたとしても、誰にもあんたを責められやし備を」 ない。しかしだ、そんな真似をした「て妄想が軽くなるわけじゃな「必要ないさ。そんなことは少しもする必要がない」 「あるとも」と彼は言った。むきになってかぶりを振りながら、 いんだそ」 「あるんだ。戦略的金属の高騰。コーヒー豆の凶作。世界の徴気候 やつの手の銃がふらついたように見えた。 「こんなことはやめられるんだ、リーヴ」とおれは続けた。「これの変化。漁場の汚染。オレンジ・ジースの思惑買いの横行。中東 があんたの本名かどうかは知らんがな。いまからだ「て、あんたを戦争。暗殺 = : : 準備がいるんだ」 ・ベルトから降りることは やつはおれの目の前で心臓の代償不全を起こしていたが、果たし 出発点にまで連れ戻す狂気のコンべアー てそれにつけこめるかどうかはお・ほっかなかった。行動に出るのに できる」 ーしカオ℃がといってもっといいチャンスはきそう 「。 ( ラドックスだよ」とやつは言った。「それではパラドックスが絶好の機会とよ、 起きてしまう。自分の祖父を殺すようなものだ。わたしはシナリオにもない。 おれはやつの顔を狙ってマイクロフィルムのケースを投げつけ、 に従わねばならん。経済的崩壊する運命なんだ」 庫 文 ワ カ ャ ヴァラ エティあふれ る短篇を描きつづけ る梶尾真治の傑作短篇集。 梶尾真治 地球は プレイン・ヨーグルト 定価 320 円 時空祝祭日 定価 360 円 9
トルーマンカホーティ カメレオンのため楽 MUSIC FOR CHAMELEONS ジョン・ル・カレ 巨匠の超話題作 2 冊、絶賛発売中 / ( ハヤカワ・ノヴェルズ ) 定価 1500 円邑 た『冷血』以来の超話題作 「美しい子供」等をおさめ モンローをあざやかに描く 中篇「手彫の棺」、生前の 異様な連続殺人事件を描く 野坂昭如 / 初翻訳 THE LITTLE DRUMMER GIRL リトル・ドラマー・ガレ ( ハヤカワ・ノヴェルズ ) 定価 2000 円 話題のエスピオナージュ ! 三年の沈黙を破って贈る、 ラエル・チームーーー巨匠が テロを執拗に追及するイス 欧州で相つぐアラブの爆弾 村上博基訳
ド一 = 一三 = = 一三 = 三 = 一つ三 = 三 - = = 三一三 = 三 = 三 = 一 = = = 三 = 三一 = 「 = 一 = 一 = 一三一一三三一一 = 、或足示を一持っ足 ~ よ極めてルこはし 1 こいら丘取一近の 2 探査報告を聞いて、少しばかりガッカリしてしま 枚篇篇モカリ嘉か田ー 編集後記 載Ⅷ 2 いました。さすがに、過去の同様な事例のよう 浦後後シ〉イ野一森 , に、異星生物の出てくるが書けなくなったな Ⅲー新年号です。そして、一九八四年ーージョージどと、アホなことを言う人が見当たらないのは救 本 , たクイる正② ・オーウエルの「一九八四年」の舞台となった年いですけどね。とにかく、は周知の事実を踏 号栗タ女ッデ・め 錦情ー ・少ザルン になりました。「一九八四年」を迎えるにあたつまえつつ、これからもたくましく生きていくわけ 大 スのイト 特 Ⅷて、やはりに携わるものの一人として、さまです。今年も読者の皆様の御声援をお願いします。 念 ダ談アン ⅶざまなことを考えてしまいます。 新連載が一つ。かっての若手作家のインタビュ 記 外倉Ⅷ マ子 年「 は、しばしば現実逃避の文学だといわれまウの続篇ということで今月から開始した「イ 周 - 育り ジェネレーション」。 TJ イラ ⅱす。それはある面では当っているし、またある面ラスト・ニュー 瀬明ま 予鍋光原 ーでは当っていないとも言えます。まず、娯楽としストの隆盛は今や目を見張るものがあります。ビ 題 0 ワ 仮ア 恥てのを考えた場合、それが現実逃避の形をとジュアル文化の一端といってしまえばそれまでで号 の盤 号 , 稜宏珍 岫るのは当然でしよう。現実逃避というと、すべかすが、それだけに一層質の高さが要求されていま「次 月集 ⅶらく悪いものと決めつける人もいますが、そういす。若き担い手にかかる期待も大ということで、 啾見一 z O 田 特⑩台 0 ( 池 ) 画う人にしたところで、スポーツや野球放送やパチ彼らの活躍を注目したいと思います。 年大」囎・いプ 8 野既 ンコで現実逃避をすることはあるはずです。まー早くも年一月号です。年も変り、目次のデザ と尾ブッ N 田 = た、これも娯楽の一種ですが、ハ ードや実験インも少し変って、今までの「今月のイヴェ 的なを指して現実逃避という人もありますント」も「特派員報告」となりました。残 9 点潮載テシ Z O 研く 満き 連 ⅶが、人間が知的なゲームや観念の世界に遊ぶこと念ながら特派員募集への反響があまり大きくあり ズ・ス招 ( ラクのの は、まさしく人間として大切なことでしよう。 ません。どういうものを書いたらよいのかよくわ 宏平ムル = 卓悟ィッ画土へ しかし、それでも現実逃避型の作品ばかり目立からない、ということもあるのでしようか。募集 昌長兄イクミ企博ム オ村田林ェイコ新原一 つではないか、といわれるとたしかにいまのは継続して行なっていますので、今月号をみてか ヴ眉野神岬ジマ・・・石ゲ い界がそうした傾向にあることは否めない気もしまらでもけっこうです。御応募下さい。 Ⅷす。そして、現実は学内暴力、世界を覆う戦争の さて、今年は冬がはやいようですね。紅葉の季 ( 田 ) ⅶ不安、極度に発達したマスコミによる基本的人権節もそろそろ終りだし・ : ーマガジン一九八四年一月号 ( 第一一十 ロの危機と、メスを入れられるべき対象はいくらで■今は秋。秋は就職の季節。就職といえば、わが 五巻第一号 ) 昭和五十九年一月一日印刷発 回もあります。 社でも御多聞にもれず、ただ今入社試験のまっ最行発行所東京都千代田区神田多町一一の 一九八四年を迎えるにあたって、について中です。濃紺のスーツにエンジのネクタイの漫二郵皿早川書房東京 ( 二五 世考えたことはこんなことですが、これについて読溂とした未来の後輩達が、大勢会社を訪れるのを 一一一 ( 代 ) 発行人早川清編集 国者の皆様の御意見を是非お寄せくださるようお願見るにつけ、来年はどのコが入ってくるんだろう 印刷所誠友印刷株式会社 人今岡清 いいたします。 ( 今 ) と期待に胸ふくらませる小生でした。
外 海 い、でてこい」が七九ことだけなら、なんということもないのだ おり ( 判型の記載はない ) 、全長短篇のアで星新一の「おー ga o 順リストアツ。フのほか、 ( 石原博士の年に、モンダドーリ社のウラー = ア双書のが、異様なほど目立つのが、イタリア人作 目録同様 ) 短篇集のタイトルで引けば、そアンソロジイに収録されており、オランダ家がやたらとアングロサクソン風のペンネ ームを持っている ( いた ) ことだ。たとえ の収録作品が全てわかるようになっているでは、安部公房『第四間氷期』が七三年に ば双書「ガラッシア」の編集者、作家、翻 ・フルーナ社から出版されている ) から非常に便利だ。もっともこのためダブ しかし、この二冊のインデックス、それと訳家として有名なロベルタ・ラムペルリ女 リ言載が多くなり、その分インデックスは ハノーヴァ ・哭にはハンク・ 意図せずに、自国の事情を語っており、 厚くなる。 レインベル、 一線中の一線作家ゥーゴ・マ どうも、本の構成 メイロン、イタリ の話ばかり多くて、 号ラグーティにはヒ , ア育ての親の一人でもあるチ = ーザレ 中身のことはさつば " ファレッシにはクリフト・・フレイデ . イ り教えてくれないー そ といったぐあいに、百人近いイタリア ーという不満が聞こー の人の大半が英米風のペンネームで作 えてきそうだが、両 イ 品を発表している。もっとも今では、そんな 書とも、例えば記載【 ジ現象はすっかりなくなってしまった . が、ジ 作品数、あるいは図盟 ン ャンルイコールアメリカだった五 書数さえあげられて飛、 フ〇年代から六〇年代はじめにかけて、彼ら おらず、ましてや、 】物 ~ ー ~ 〕ーンイタリア人作家は、売るためにはアメリカ 石原博士の総目録一 ) 人のふりをしなければならなかったのだ。 ( 旧版 ) の巻末付録 , 図、 売るため、といっても、読者が買ってくれ のような楽しい図表 るかどうかなどという以前の問題、つまり など皆無。全項目を 集計するほどの気力のないぼくとしては、外国人としてはここらへんが大いに興味深出版者の側が、作家にアングロサクソン風 ここでは、それそれ一つずつ、特徴的のペンネームを半ば強制し、実名の作品は 英米と自国の出版点数の対比と か、出版の時期的盛衰とかをわかりゃな、そして悲しい事情を紹介してみよう。買わなかった、というくらい悲惨な事情が まず、ビーロの目録の第四部に収められあった。事態は六〇年代に入って″民族 すく数字で解説するなんてこともできな ( もっともこれだけはいえる。両国とているべンネームリスト。グレゴリイ・カ独立運動が浸透するにつれて改善さ ( ジれ、七〇年代には、そういった民族蔑 も、出版されたの三分の二以上は英米ーンが@ ・ O ・タ・フだとか、ルイ ェットがカットナー & ムーアだとかいった視の風潮はなくなるが、ともかく、日本 の翻訳ものだ。日本としては、イタリ 幻 7
ゃないかね。これはある時期にある目的のた作品は他のに比べて古びる危険があいね。『ザイイ ( ーに立っ』は一九六〇年 ために書かれたものなのだ。これを書いたるのではないでしようか ? ビートルズやミニスカート 8 代の小説だ 大きな理由に、私がアメリカを愛しているプラナー いかにもそのとおり。比較的同や革命の時代だよ。五年、長くて七 という事実がある。これは本来あるべきア時代に言及のあるものは、出来事に追い越年はもつだろうと思っていた。ところが、 メリカに対する悲しみの表現なのた。 される危険がある。もう何十年も昔ーー一一十五年たったいまでも、読者は感銘を受け ルイスあなたの多くの本でアメリカが舞十六、七年になるかな ロンドンのているようだ。心の琴線に触れたのだろ 台になっているのは、それが理由ですかフ ・クラーク、 サークルの会合で、アーサー う。例えば、イスラエルの未来について間 プラナー違う。私の著書の多くのテーマ ジョン・クリストファー、チャ】ルズ・エ違ったという事実は、私が多少なりとも正 がテクノロジイの誤った使い方にあるからリック・メイン、・ O ・タ・フ、ケネス・ しかったたくさんの予見に比べれば、小さ だ。私の知っている国のなかでも、アメリ ・ハルマーと話をしたことがあった。われわな傷ということになるだろう。いずれかと カこそ、とりわけテクノロジイを誤って使れはしやべりはじめた。完璧にフ = アな言えば、読者はこの小説が発表されたとき っている。いまは日本にいるわけだが、とが書けるかどうかという問題をね。それより、ずっと見近に、ずっと強烈に感じて きには日本の背景を使うこともあるよ。 は論外だという結論に達した。調査に少な いるようだ。私としては、この作品の興奮 『羊は見あげる』ではそうしたものを使い くとも二年はかかる。書くのに半年だ。そがもっと長く続くことを願っている。読者 たかったが、まだ日本に来たことがなかっ の半年のあいだに、我々が聞いたこともな は、私がこの本に封じこめたカと熱気に対 たからね。 い研究家とか政治家とかが、いま書いてい してまだ肯定的に反応してくれているよう ルイス『わたしの財布を盗んだのは誰る予言を破壊しかねないことをやるかもし だ』を弱くしているかもしれないものは、 れないんだ。そうとも、完全に正直で正確ルイスいままではについてお話しい いまでは変わってしまったある状況にそっ な予言をもったなど誰にも書けはしな ただいたのですが、あなたには他の著作も て書かれた物語である、とおっしゃいまし 。近未来より遠未来のほうが書きやすいありますね。主流文学も詩もあり、他のジ たね。一九三〇年代の。フロレタリア文学のよ。 ャンルにも筆をそめています。叙情詩さえ あるものを傷つけているのも、それではな あります。メッセージの伝わり方という点 ルイスでも、それで困りはしませんか ? いかと思うのです。『羊は見あげる』で、 あなたの重要な作品は二十年もたったら、 では、と比べてどうですか ? あなたはさまざまな部分で後世に残る描写読者に関係ない話だと思われかねませんプラナー比べるような問題ではないね。 をなさいましたが、いくつかの点では、ちか ? 外見は違うかもしれんが、私にとってはっ よっと古びてきたと思えるのです。こうしプラナー いまのところ、そんなことはなづいているものなのだ。メッセージはそれ
された。そして少しずつ動詞や時制が交換された。異星人はこちら ットを脱ぐ」 ティョンドが抗議しかけたが、夫が手を上げて警告すると、やめの言語を学ぼうとはしなかった。もつばら、単語の対応の精度をき わめることに精出した。向こうも記録をとっていた。言語レッスン た。これはハウタマキが下す決断なのだ。 「申し分なく呼吸可能な匂いだ」とハウタマキはいって、「金属臭が進むにつれて、グルャスのひたいの皺が深まった。メモをとりは があるがね」 じめ、リストを作って照合した。しまいにはレッスンに割りこんだ。一 ヘルメットをわきに置くと、スーツを脱いだ。異星人は隔壁のと「ハウタマキーーーこれは重要なことです。彼らが、語彙を集積して ころに立っている。ハウタマキが歩み寄り、顔と顔が向きあった。 いるだけなのか、それとも、この素材で機械翻訳の入力をしているの ほぼ同身長だ。異星人は掌をべたりと透明な壁に当てる。人間も同 か、突きとめてください」 じ箇所に手を置いた。二つは、可能なかぎり近く、合わさった。間 答は、異星人自身から出た。異星人は、遙かな声に耳を澄ませる にあるのは厚さ一センチの物質だけ。両者の眼が会い、長い間みつ かのように首を斜めに回すと、あるワイヤの先についているカップ めあった。意図を読みとろう、コミ = ニケートしようと努めた。異状の装置に向けて喋った。一瞬後、 ( ウタマキの声が語りだした。 星人のほうが先に眼をそらした。さまざまを品が散らかっているテ各単語が別々に録音されたものなので、平板な口調だった。 ー・フルへと歩いていく。いちばん手近のひとつを手にとると、 ( ウ「わたし、機械を通じて話す : : : わたしはわたしのことば話す : ・ タマキに見えるよう掲げた。「キルト」と異星人はいった。石ころ機械があなたたちにあなたたちのことば話す : : : わたしはリエム : のようだった。 ・ : わたしたち、うまく話すためには、機械にもっと単語が必要」 「これは待てないんです」とグルャスはいった。「彼らに話してく ハウタマキは、自分の側にあるテー・フルにはじめて目を留めた。 向こうのテー・フルにあるのと同じ品が載っているようだ。最初のひださい。体細胞をいくらか、どんな細胞でもいいから、サンプルと して欲しいと。複雑ですが、通じさせるようやってみてください」 とつは、ありふれた石のかたまりだった。彼はそれを持ちあげた。 「いし」と言うと、テレビのビックアツ。フと、船内にいる見えざる異星人たちは快諾した。お返しの標本は強いて求めなかったが、 視聴者のほうへふりかえる。「言語のレッスンが最初ということら拒みもしなかった。密封された容器が、筋肉組織のように見える凍 った細片を、船へもたらした。グルャスは実験室へ向った。 しい。これはよくわかる。これは別個に記録するようにしてくれ。 そうすれば、異星人たちがやらない場合、こちらがコンビ = ータを「記録をみていてくれ」と細君にいった。「そう長くかかるとは思 わない」 機械翻訳用に。フログラムできる」 具体的な指示対象のある単純な名詞のストックが尽きてしまう と、言語レッスンの進み具合は遅くなった。フィルムが映され 明らかに、ずっと前から準備されていたものだーー単純な動作が示 5 7 4
でさらに多くの作品を書いたが、例として は T ん ~ 0 が e the Mist ( 1894 ) 、 Qu れ S ん訪が 5 天 g ( 191 の、 The ん 0 C ん ( 1916 ) などがある。彼の模倣者で 成功した者には、 The Ⅳん Ma れ ' 5 お。 ( 1888 ) と The Great Ta ろ。。 ( 1891 ) の グラント・アレン、 The ス T の″ 丑 04 ( 1890 ) のトマス・ジャンヴィヤ The お記 L 例 Race ( 1892 ) のオーステ イン・グランヴィル、 The G 幵ん・ Queen ( 1896 ) のウィリアム・ル・キュ Le 〃 ag r ルれ ( 1901 ; 英訳 7 ' ん e ″ g 切 the 7 ' 0 第 s 19 ) のジュー ル・ヴェルヌ、『ロスト・ワールド』 T ん 工 0 立 % イ ( 1912 ) の A ・コナン・ドイ ル、『時に忘れられた世界』 The れ d T ん石初 e 0 ( 1918 フ・ルー・フ・ツク ; 1924 ) と大部分の《ターザン》もののエド ー・ライス・バローズ T ん ~ 4 ゅ ガ Sa. 第 2 ん・尾 ( 1924 ) と T ん G 4 立 み dv 砒尾 ( 1929 ) のジョン・ティン、 0 襯 : the S みんろ 0 VaIIey ( 1924 ) とお 4 〃 % 。れ ( 1935 ; 圜 T, ん 仏 45 4 の 00r 英 ) のタルポット・マンデ T ん 0 kzc 切 the み ( 1931 ) と 『蜃気楼の戦士』 Dw 確切 the Mirage ( 1932 ) の A ・メリット、『失われた地平 線』 0 立丑 0 ぇ 0 れ ( 1933 ) のジェイムズ・ ヒルトン、 T んろ 4Z0 Valley ( 1934 ) と The 一 4 れ 0 石 5 イ the 確 4 ( 1945 ) のデニス・ホイートリーらがい る。これらの中で最も良く知られている単 独の作品はドイルの『ロスト・ワールド』 で、南アメリカの台地に生き残っていた先 史時代の生物の発見に関する、息の長い人 気をもつ冒険物語である。ヒルトンの『失 われた地平線』はチベットを舞台にした神 秘的なロマンスで、これもまた長く記憶さ れつづけている ( 二作とも一度ならず映画 255 化されている ) 。 第二次世界大戦後、失われた世界や失わ れた種族の物語は、その存在理由の一部で あった文化人類学的課題とともに、宇宙を 舞台にした物語によってその地位の大部分 を奪われた ( 宇宙植民 ) 。シムズの地質 学は今や大衆にとっても信じられないもの になり、南極や中央アフリカ、チベットな どももはやさほど神秘的な土地ではなくな った。にもかかわらず、時おり失われた種 族ものの小説が現われている。イアン・キ ャメロンの『呪われた極北の島』 T 加立 0 ぉ ( 1961 ; ” d the To ゑ the World) は北極を舞台とし、ウォルト ・ディズニ ・スタジオによって映画化さ れた。ギルノく一ト・フェルプスの T ん Ⅳ / 厩確 ~ 6 。第ん ( 1963 ) は風変わりな南米 探険家と驚くべき部族の発見についての、 知的な小説である。しかしながら、失われ た世界ものにパスティーシュの練習問題と して以上の未来があるとは考えにくい。 関連した工ッセイには、トマス・ D ・ク レアスンの "LOSt Lands, LOSt Races: A Pagan Princess 0 [ Their Very Own ” クレアスン編ー 4 型 4 5 , ユ型 WorIds ( 1977 ) 収録ーー - がある。 〔 D P 〕 〔次号につづく〕 XVII
まだかって軍事会議というものに出席したことなどなかった。〈大 使夫人〉に乗りこんだのもはじめてである。気おくれがして、少々 びくついてもいた。 〈大使夫人〉はさながら空にうかぶ都市である。そこには乗員の他 にオライアダンその人が、彼の顧問や審判官やボディ】ガード、彼 の参謀や幕僚たち、彼の秘密警察、彼の非戦闘部隊、再編成部隊、 情報部隊、彼の料理人や情婦やっきびとや床屋や、これまた彼の美 生に画された花壇には水裁培の花々が育ち、どこからともなくテー 爪術師、主治医などとともに暮らしている。 形状も色彩も、旗艦は巨大なオレンジに似ていた。そのオレンジゾが、郷愁にみちた、うつくしい小鳥のうたごえをながしている。 色はしかし艦本来の色ではなかった。船体をつくっている特殊合金彼は鳴き声や囀りのいちいちを聞きわけようと耳をすましてみた が星あかりに映えてそう見えるだけなのだ。デッキは全部で七つあが、背後の室内の人声のせいでそこまでは聞きとれなかった。その り、いちばん真中のいちばん大きなデッキには、行政、管理、司法うち、彼はそんな人声のひとつが自分にむけられているのに気づい こ 0 の各本部とその職員を収容するユニット・、 カ並んでいる。各ュニット はほんものの樹々や芝生のはえている、グリーンとよばれる開けた「こちらへ、ダーシイ。オライアダン閣下もじき、おでましになり 区画をとりまくようにして並び、その樹々や芝生がさらにアスファ ます」 ルトの小広場を包している。 ダーシイは長い会議テープルの方へ行って、進行役から指示され 各デッキはエレベーターと昇降用階段でつながれ、どの階にも高たとおりの席にすわった。目の前に置かれたグラスの水に少し口を 速のコンべア回廊がそなえられていた。のみならず全階に、危急のつける。それでもまだ、喉が乾いているような気がした。テー・フル 折にはただちにかけつけることのできる救命艇発着べイがあって、 をへだてて重要な顔ばかりがならんでいるのを、彼は居心地わるい 各デッキの規模に応じた数とサイズの避難艇が用意されている。人思いで意識した。テー・フルのこちら側では、同じような顔の堵列の 工重力は各甲板内の重力コイルがこれを常に一定に保ち、艦の動力なかで、きっと彼の顔だけがとんちんかんな不協和音を奏でている 部は第一デッキにあって、そこにはこの〈大使夫人〉の整備員以のだ。ドアが開き、そしてしまる音がした。水をうったような静 外、何びとたりとかって足を踏み入れたことはなかった。 寂。「全員起立 ! 」進行役が号令をかけた。全員が起立した。 軍事会議室はグリーンを見わたす行政本部の一画にある。開き窓テレビのオライアダンならダーシイも見たことがあったが、実物 7 のひとつにたたずみ、ダーシイはうつけた気持で樹々や芝生や、人を見るのは初めてだった。オライアダンはみるからに精力あふれる 工の太陽光線がつくり出す黄金色の日だまりを見おろしていた。芝小柄な男で、のつべりした顔にキラキラ光る茶色の目をしている。 〇年代に入って S 、ミ、 ~ r ( 1980 ) をはじめ、短いながらも一冊 の本にまとまる長さの小説を少しずつ発表しはじめた。これがヤン グの再認識につながるか、期待されるところである。 わが国では独自の編集で、『ジョナサンと宇宙くじら』 ( ハヤカ ワ文庫 ) と、つい最近『ビーナッパター作戦』 ( 青心社 ) が出 ( 伊藤典夫 ) 版されている。