しつかりしたファンを作るとか : すけど、最近は自由な時間にも の場合、一般受けする感じの絵になってき を描くことはなくなってまして、 てるんじゃないでしようかね。良いことな 仕事になってしまったところもあっ のか悪いことなのかわからないですけど て : : : 。本当はもっと仕事を整理し て、個展用の絵のようなものと 。、、、、一一、ね。そういうのもだし = ・・・・。需要の問 題ですからね。まず日本で食っていくとい の両方立てにしたいんですよね。で うのが新人の人には先決問題でしようね。 も日本じゃそれを認めてくれるかど、■っ ある程度力がつけば、自分の方向に持って うかが問題ですけど。ファイン・ア ゆくのもできるたろうけど、依頼された仕 トへの志向も再び出てきて、やっ 事をやってみるのが必要じゃないですか ばりアートでないと一生やっていけ ね、新人の人には : : : 」 ないし、でそれを持ちつづけ たいと、ね。でも、自分をアー 背は高いけれど痩身、ロ髭をたくわえ、 ティストとはあまり思っていないけ 眠鏡の奥の眼がやさしく笑っている鶴田さ れど、しかし仕事である以上は人に を・ .. ん。昨年の個展用に描いた絵はアメリカで は敗けたくないし、自分の絵を残し 物・ポスタ】にもなっている。そのアール・デ ていきたい。そのへんで良い仕事を 第コ・タッチの、どこか懐かしいイラスト を本当に好きな していきたい。 と、ハイ・テック風の TJ イラストが、ア のかは気になっていますね。過渡期 1 ティストのなかで溶けあって出てくるア なんでしようかね」 、そんな作品の出現を原画を拝見して テ久ニックがあるかどうか、ですね。 g-k アーティストを目指す人に いて期待してしまいました。この号が出る は十人中十人が好きだという絵を描くのは 先輩としてアドヴァイスを : ころも個展は開催中ですので、画廊に足を 「自分の絵を客観的に判断できるかどう難しいですからね。十人中一人くらいじゃ か、自分が受け入れられなくてもやってい商売にならないだろうし ( 笑 ) 、七、八人のばしてのそいてみて下さい。休日には、た だと出来すぎで面白みがなくなってくるんぶん鶴田さんの顔を見ることができるでし けるエネルギ 1 があるかどうかということ と、それを押し曲げてもうまくや「てゆくじゃないですかね。十人のうち二、三人のようから気軽に話しかけてみてはいかが。 SF4äÄhNEW %GENERATfON 、。 2 に
ードのが ( 笑 ) 。けっこう大きなものばかり描いてばかり : ・ : 六年前くらいですね。出版社まの場合、早川でやったのはハ いましたね、全判とか : : : 。好きなものわって依頼されたのは早川と多かったし、それがけっこう自分に向いて ばかり描いていたし、自分でもいいなと感のカットだけでした。友達の関係でデザイたんじゃないかな。小さなころ、戦車の絵 じていたから、就職もしないでイラストでン会社から広告の仕事がポッポッと途絶えを描いたりとか、ここにロケットをつけて やれるかもしれないと思ってやったんだけないでありましたけれど、そんなにギャラとかやっていて、そのあたりの意識で今も が高かったわけでもなかったし : : : 。姉と描いてますからね、メカのデザインとか れど、やつばり現実の仕事となると : ・ そんなにデカく描く必要はないし、一・五二人で生活してた頃で、楽な面もありましも。総合的にやろうと思えば、資料を完璧 倍くらいで描いてくれといわれて、逆に困た。たまに仕送りはしてもらってましたけにそろえたりしなければいけないんですよ ってしまったりしました ( 笑 ) 。サイズがどね、もちろん ( 笑 ) 。でも、わりとラッ ね。どうしてもごまかすわけではないけれ 大きいと、エア・フラシ使ってるとごまかせキーで、一年経たずにイラストで食えるよど、自分の世界観に頼ってしまうところが あるから、それだけで描いてるとあまりい うになりました」 るんですよね。細かいものはうまく描けな いものは出来ない。 かったですね、最初のころ」 仕事として、広告関係の作品もあり、 それから、自分の未来観と関わってくる 初めての仕事はなんでしたか。 今度の個展用のアール・デコ風のものもあ りますけど、アートってどう考えてまのじゃないでしようかね、というと。 「早川書房と集英社の″です。 一念発起して、親との契約で、半年間くらすか。 やはり口ポットが出てくると、人間とロポ い仕送りしてくれれば、その間になんとか「極端なことをいえば、誰にでもは描 ットの葛藤になってくるし、この前なんか するからということで、卒業間際から描きけますからね。宇宙があって宇宙船が飛んの本で読んだのだけれど、限りなく人間に ためた絵を持って、何軒か出版社に売り込でいたり、人間を描いて眠だけ赤く光って近いロポットが出てきても、顔を人間に近 みにいったんです。売り込みというのはそいればになってしまうし : : 。だからづけるかどうかという問題も出てくると思 の時だけで、二度とやりたくないですねなにゆえになのかというのは難しいでうんです。都市生活にしても、未来都市が ( 笑 ) 。早川は大学時代の友人の紹介でいすよね。そこまで本当にに対するポリ超高層というか変な形のビルが林立してい って、『第五帝国』のカヴァ 1 が最初の仕シーを持ってるわけではないので、・ほくなるようなものにはならないと思うんですよ 事。『ワインは死の香り』とかを描いて、 んかその点では駄目なほうですね。頼まれね。副都心のビルは整然と建っていくけれ そのうちの仕事がきて、アシモフのたその時点で自分なりに考えますけどね。 ど、まわりの住居は、芝生を植えようとか 『永遠の終り』が最初で、それからはその時点から始まるものみたい : ・ : 。・ほく陽当りなんかを考えて、もっと今よりひと
おかげです。 小学校一年生のときまで母親のオッ・ハイを 大学四年になると、また我家が恋しくなり 飲んでいた私も、三年生ごろになると、どう ましてね、ふたたび家に住みつき、二十一一歳 やら自分で本が読めるようになりましてね。 で卒業すると、親父と同じ公務員になりまし ( ま成層圏を飛行中の航空機が突然「高度計がゼ た。それにしても給料が安かった。学生時代 ゾーンへ入りこん 口を指す」ミステリー・ 一刄、ン一鈺・子一 の十分の一ですよ。 で、緑色の巨大な宇宙人と遭遇する : : : なん え、 高名な翻訳家矢野徹の押しかけ弟子になっ ていう海野十三の熱血科学小説に熱中しだし すたのは、その二、三年後のことです。夏にな ちまった。いうなれば、私にとっては母 、く〔ると〈夏休み〉と称してまとめて年休がとれ 親のオッ・ハイがわりだったんです。 るでしよ。そんなときにはそそくさと先生の 中学時代、大久保康雄訳の『風と共に去り一付 一・ , 一・・ ) 第ぬ』がベストセラーになるのを見て漠然と翻 - 一 ) 仕事場〈泊りこみ、先生の原稿用紙、 = ン・ヒ ツ、〈ケシゴムとぎ〉などを使って、翻訳家 継。 " 斎 : 」′ ( 、訳家にあこがれ、カロッサやシ = トルムやク ヒーぐ カ . 、のまねをし始めたわけです。 ローニンを愛読するうちに、なんとなく固い し当時は先生もまだ一一一十代でしてね、かなり 、職業と翻訳家の両立を夢に描くようになりま した。中学三年のころ読みふけったドストエ 越気合が入「ていたし、とてもこわか 0 た。な にしろ、そのころの先生は『最終戦争の目撃 フスキーの訳者〈中村白葉 ) に魅惑され、い 者』なんて本を一週間で訳しちまう怪物でし つの日にか自分も訳書を刊行するときは、白 た。英語そのものはあまり教えていただけな 葉 ( ハクョウ ) にあやかって、本名の伯好 かったけど、極限状態において、いかにして ( ノリヨシ ) を「ハクコウ」とよみ変えて筆 己の怠け心ときびしく対決し、体力と気力の 一名にしよう = = = と心に決めました。 ありったけを振り絞るか : : : といった翻訳家 高校時代は、もつばら英語研究雑誌で毎月 の姿勢をたたきこまれました。 やっているコンテストの賞金かせぎ。 睡眠薬をビールで飲みくだした後で、「さ 大学に入ったころは、いつの間にか和文英 あ、このまま仕事をつづけて、どっちが長く 訳屋になっていました。十九歳の私の収入 頑張れるか勝負しよう」とおっしやった先生 は、勤続三十年の公務員である親父の収入の の〈鬼の目〉は今でも忘れることができませ 三倍ぐらいありましたからね、さぞかし親父 ん。 もおもしろくなかったんでしよう、顔を合わ あれから二十余年 , ー・、しかしこの私は、い せると叱言ばかり言う。私もおもしろくない たいいつになったら、ホンモノの翻訳家に から家出をして、在日アメリカ人の家に居候 なれるんだろう ? し始めました。今でも私がほんのちょっぴり 英語らしきものをしゃべれるのは、この人の
SPECIALINTERVIEW ジョン・プラナー SF を、 そして世界を語る ーテイウ彳ッド・ルイス訳風見潤 インタビュノ ロンドンから車で数時間の小さな町。時めた」 ) 、十七歳で最初の本を出版し ( 「その は朝、あなたは三頭の大をつれて雑貨屋へ本はタイ。フライターが買える程度の金にし 7 とぶらぶら歩いているジョン・・フラナー氏かならなかった」 ) 、手術後の入院生活で最 を見かけることがあるだろう。そんな日後の仕事をやめてから、二十五年にわたり は、・フラナー氏が奥方や近隣、もしくは都フル・タイムの作家として一家をなしてき 会の友人のために、晩餐をつくることにな た。一九五〇年代以降、イギリスの反核運 っているのだ。いまのお気に入りはフォー 動の指導的立場にもある・フラナー氏は、広 ク 、 : 1 ・ジックから料理に変わった、島での作家会議に出席のため、初めて日本 と・フラナー氏は言う。もちろん、仕事の他を訪れた。 に、である。 十一時には・フラナー氏は″ブラナー・フルイス・フラナーさんはたくさんの本を書 っ アクト & フィクション″のオフィス いていらっしゃいますね。何冊になります まり、自宅の書斎ーーにあるワードプロセかフ ッサーの前に座る。それから夜の七時ぐらプラナー短篇集や詩の本、以外の本 いまで、氏はそこに座って、大量の長篇、も含めて、私ひとりで書いたものは七、 短篇、詩を生みだしつづける。氏がイギリ十冊ぐらいになるだろうね。 ス界でもっとも多作な作家である所以ルイス初期のころはたいへんな多作家で はそこにある。近年、氏の活動はいささかしたが、当時の市場を考えると、多作 ペース・ダウンしたが、ヒュ , ーゴー賞やネせざるをえなかったのではないか、と思い ビ、ラ賞の候補リストに氏の著作をしばしますが。 『ザンジ・ハ ば見るようになった ーにプラナー三万語から三万五千語の短めの 立っ』 S 、ミミを Z 。鳶ミ・『羊は見あげ長篇で、前払いはふつう七百五十ドルだっ る』ド之ミト 0 。 Up 『衝撃波をの た。もっと長いと千ドルだ。私と家内とが りきれ』である。氏は九歳のときからもの生活していくにはーーー家内は結婚後、しば を書きはじめ ( 「では稼げないことがらく仕事に戻ったのだがー・ー年間五、六冊 わかったので、私は自分の物語を書きはじの本を売らねばならなかった。一年に八冊
よりも重要であると考えるハデスにはできないことだった。必要な出した。 のは想像ではなく、事実だ。 「マックレガー様です」 そして、そのすべてと切り離されて単独に存在するジェイスンの 「予約は ? 」 顔は、ほとんど悪夢のように ( デスの心に染みついていた。その若「入っておりません」 者の頭の理想的な曲線に類するものを、ハデスは思い出すことがで 「お断りしろ」 きなかったし、目尻の切れ目の形についても、鼻の線についても、 ハデスが言ったとき、マックレガーの声が割り込んできた。 同じだった。いや、それらが生まれ出る可能性は否定できない。だ「断わられるとは意外だな。ハデス、重大な話だ」 が、そうなるためには、おびただしい数の人間たちを互いに交配さ「シェンの話か ? 彼が何か話したのか ? 」 せねばなるまい。そして、それをやるためには、人類の歴史は短か軽い笑い声が戻ってくる。 すぎる。 「いつもながら、ハデス、君の洞察力にはおそれ入る。そのとおり 唯一の解答は、それが画像コンビ、ータによる合成された像であだ。時間をもらえるかね ? 」 ることだったが、少なくともシェンが、それを手に入れたいきさっ ハデスは、一瞬、考えたが、すぐに答える。 からして、それが合成像であるとは思えなかったし、何よりも、シ「仕方があるまい。あなたのことだ、予約の時間がくるまで、そこ = ンがその顔をした若者と現実に会っていることは否定できなかつで待つつもりだろう。三日も四日も、そこにいられては、かえって 迷惑だ。マック / ガー様をお通ししろ ! 」 この若者は、どこからやってきたのだ。やはり宇宙のどこかから 入ってきたのは、マックレガー一人ではなかった。傷とあざだら やってきたのか ? だがたった一人で、何のために現われたのだ。けの顔をしたシ = ンが、そのうしろからついてきた。軽く左足を引 シェンと私の頭を混乱させるためにやってきたのか 2 きずっている。 ハデスは、再び椅子に腰をおろした。もう一度、記憶の中をまさ ハデスの顔には、驚きのかけらもなかった。マックレガーは、少 ぐる。何か重大な見落としがあるかもしれない。だが、それは結少がっかりしたような口調で言った。 局、それまでの試みと同じように失敗に終った。 「まさか、シェンがいっしょに来ることまでわかっていたというん そしてまた最初の思いに戻っていく。ジ = イスンの顔は、何者かじゃなかろうな」 によって造られたのではないのか。 「予想もしていないようでは、あなたの役には立てないんじゃない それから何日もの間、 ハデスは仕事の合間にジ = イスンの写真をですか ? 」 取り出し、見つめた。だが結果はいつも同じたった。わからない。 マックレガーは軽い笑い声をあけた。シェンは、黙って「 . ハデス 7 こめかみを両手で押さえていると、インターフォンが言葉を吐きを見つめていた。、 こ 0
第 9 回「ハヤカワ・ S F コンテスト」受賞式 クの喜びです。選考委員の皆様、編集 本誌十一月号に発表された「第九回順次氏の三氏です。生成氏はあいにト ハヤカワ・コンテスト」の受賞式 く、お仕事の都合で出席できませんで部の皆様へあっくお礼申し上げます。 がさる十月一一十二日、早川書房内におしたが、かわりに手紙で受賞の喜びをそれにしましても、今、とても愉快 いておこなわれました。 お書きいただきました。 に心に浮かぶのは、十一月号の 今回の受賞はカ作ハード「惑星努力賞の内藤氏は、本格ハードあの最終選考の選評。特に石原藤夫先 〈ジェネシス〉」で努力賞となった内の書き手ということで、学究派のタイ生の濃密な一文でした。正直、最初び つくりしましたが、その末尾のアド・ハ 藤淳一郎氏、「硝子細工の。フライヴェブが連想されますが、実におおらかな イト・アイ」で参考作の覚野雅之氏、印象の青年実業家といったタイプ。一イスの項で、″ワイドスクリーン・ 「複眼の怒り」で同じく参考作の生成方、覚野氏はハ 1 ドボイルド・タッチロック的な大衆″を創作の目標と の応募作でしたが、いかにも繊細な雰して呈示されているのを見まして、私 囲気で、非常に対照的ではありましは、もう、何と申しますか、つまりー 「やったネ ! 」と、思ったのです。 受賞された二氏は、小社社長から賞選考委員の方々の評を肝に銘じ、日 氏 状と副賞を手渡され、いささか緊張の日切磋琢磨していく覚悟です。いつの 淳様子でしたが、その後で食事をしなが日か、誌上でお目にかかれることを念 こ願してやみません。 藤らの編集部との懇談では、談議冫 花がさきました。 氏 ともあれ、本格デビューへ向けてこ 之 雅れからが大変な三氏と思います。読者 覚の皆様の心からの声援をお願いいたし かます。 左 受賞のよろこび 生成順次一 風 賞 まず、仕事の都合とはいえ、大事な 受 表彰式を欠席した非礼をお許し下さ一 私の未熟な作品が、このような立派《、 な形で評価されましたことは、実に望 こ 0 氏 次 順 3
ジャンヌが十五になると、ラシェルとジョゼフは弓と矢をつくら せた。その弓は、およそ想像できるかぎり、いちばんうつくしいも や 芻スペースカレンダー のだった。太陽の光りの箭を誰かがヘし曲げて、それに朝霧の弓づ るを張ったような弓。矢も劣らずうつくしく、しかももっと驚異的 日本のトツ。フィラストレーター五名が、思い思いのスペース・フ アンタジイを最高のスーパーテクと感性をもって表現したカレンダ だった。銀色をしていて、あまりに稀薄なので、目を凝らさねば見 ーが完成。 えぬほどなのだ。どこへ行くにも、この弓と矢とは肌身はなさず持 イラストレーション鈴木吉男 / 佐藤由紀夫 / 坂本光三 / 宍戸明 / 須藤敏明 っておいで、とジョゼフは言った。だから、日のひかりと闇と砂 かね 体裁オールカラー七枚・ 2 判・ 728 昌 x 515 昌 と、塵と時間と希望と夢と、木と金属とその他もろもろのものとか えびら 価格千七百円 ら、彼女はかわいらしい箙もっくって、夜ねむるときの他はいつで ☆このカレンダーを十名の方にプレゼントします。官製葉書に住所 ・氏名・年齢・職業・電話番号をお書きの上、 も背負っている。ねむるときには枕もとのべッドの支柱に、黄金の 〒川東京都千代田区神田淡路町一ー一九ー三 弓とならべて、ちょこなんとかけておくのだった。 O Z O ・ヒル三階 ( 株 ) — Z C 企画「スペースカレ 十六になると、ラシェルとジョゼフはさらにもっとすばらしい仕 ンダー・。フレゼント係」まで 事をやらせてくれた。お人形を思い造るのである。ジャンヌは夢中 お送り下さい。締切りは十一 / 月十日 ( 当日消印有効 ) 。 になった。それまでお人形など持ったこともなかったし、世界中の カレンダーについてのお問 何にもまして欲しくてたまらなかったものだったから。人形は日ま い合せは、»-a ( 2 5 5 ) 9 5 9 6 — Z O 企画 しに大きくなっていった。けっしてずんずんとではなく、少しずつ、 まで。 ほんの少しずつーーーそれはひどく複雑精緻をきわめた仕事だったの である。お人形を造るということが これほど大きなものでなく とも いかに難しいものであるのか、どれほど多くの材料があっ てはじめて一つの人形ができるものなのか、それまでの彼女は何も 知らなかった。あの、多彩をきわめた材料のリストーー彼女にわか るいくつかを思いうかべただけでも、思わず眠気におそわれてしま う。でもそれは、まあ、なんと見事なお人形だったことだろう。こ れまでどんな子が持ってした、・ 、 - とんなお人形だろうと、この人形の 足もとにも及ばなかったことだろう。ラシェルがジャンヌに、洞穴 Z 実行委員会よりプレゼント ・ *<ZCOCZ 4 パンフレット、及び >-* Z O O O Z 特製ネーム入りポールペンをセッ で四名の方へプレゼント。 官製葉書に、住所・氏名・年齢・第ド 職業をお書きの上、十二月末日まで に「・フレゼント係」へお送り 下さい。 ( 住所は奥付参照 ) カレンダー これを四名の方へ ! 233
ランダ協会 CZ O ) という、オラ しよくたにして載せるしかなかったのだと まあ、世界″とか圏〃と 6 ンダ最大のファン組織 ( 「宇宙塵」と、フ 思う。 かいった意味だろう ) 。副題は「オランダ 2 におけるとファンタジイのビ・フリオグアングルーゾ連合会議を合わせたような性 もう一つ不便な点としては、正確なペー ジ数が載っておらず、作品を長さによってラフィ」。体裁は、。ヒーロのものより一回り格らしい ) で、七九年にこの本が発行され 小さくて 5 判、ページ数も二七九ページたあとも、毎年サプルメントとして、この 六つに分類、略号で示すにとどめているこ とがあげられる。一見しておよその長さとコンパクトだ。リストアツ。フされる出版 Z O が追加目録を発行している ( 『フ アンタスフェール』自体は、オランダの大 、としても、厳密さを要求物の数がイタリアよりずっと少ないのだか がわかるのはいし 手出版社メオレンホフ社の発行になっ されるこの種の仕事 としては、ちょっと ている ) 。 問題があるのではな " 亠 英語版序文には、″オランダ語で出版さ いか。これもやつば 一れるの大部分はアメリカやイギリスの 工 りラテン気質なんだ 作品だが、同時に我々独自のもますま フ ろうか ( つけ加えれ スす発展しつつあるとオランダ語の興 ば、この六分類も、 ン隆が強調され、それが資料学発達の背 「六・ヘージ以下のシ フ景にあることを示している。この場合、オ ョ 1 ー、い・ンヨ 1 ー長・」 ランダ語というのは、オランダ本国の の ダものだけでなく、ベルギーのオランダ語 と「十ページ以上の駄 :t. ″短い短篇″」はある ( の一方言であるフラマン語 ) 地域の も含めており、三人の編者の中ではゴレマ が、七 ~ 九ページの、、、、 乍ロのカテゴリー : ・カ ンがオランダ系ベルギーを担当してい る。 存在しないのだ。イ ビーロ・か。フロ。 タリアでは一九三〇年以来、その長さのら、それも当然だが。 ーだけを対象にした 作品は発表されていないのだろうか ? ) 編者は、ジョルジュ・ゴレマン、アルノ のとは逆に、この「ファンタスフェール」 は、「ユート・ヒア、アンチュ ートヒア月》 その点、ゲルマン系の仕事は安心であるルド・スパインク、リヌス・ガースペーク というわけで、次はオランダの『ファ の三人。この人たちについてばくは全く知説、恐怖、オカルト、未来小説その他の周 ンタスフェール』ミ。、 r ( これは合成識がなく、・ とういう経歴の人物かは不明。辺分野もカ・ハー」する。構成はやはり四部 造語で もっとも、この書誌を企画したのは、レオで、基本的な内容はビーロのものと同じだ イタリア語でを示す fan ・ tascienza ファンタシェンツアも合成造語とアンネマリ ーのキント夫妻が主宰するオが、こちらは全作品にページ数が示されて
かに強烈だった。もっと大きくて、活力に満ち、あらゆる点で実際 ( ~ ~ : 以上に大きく見える。ビジネスマンというよりは、映画スターか政 治家のような押し出しだった。まあ、もちろん、アメリカ最大の企 業のひとつのリーダーとして生き残るためには、そのすべてになる 必要があったんだろうが。 彼は手で長椅子に坐るよう促すと、おれの向かいに腰をおろし こ 0 アンドレー・ ワイナーはイギリス生まれの新人作家。サセックス 「おそらくふしぎに思ったことだろうな」とステーフラ ー。「なぜ 大学在学中に ( 社会心理学専攻 ) 書いた処女作がハーラン・エリス きみにここまでご足労願ったのかをね」 ンの目にとまり、巨大アンソロジー『危険なヴィジョンふたたび』 それは控え目な表現だった。ステーフラーが私立探偵の力を必要 に収録されるという幸連なデビューを果たした。それが一九七一一年 とすることまではまあ考えられるとしても、ビンカートン探偵社の のことだから、たぶんいまは三十代に入ったばかりだろう。八年前 からカナダに移住、アシモフ誌、トワイライト・ゾーン誌、 社長より格下の人間に仕事を頼もうとするなどとは信じられない。 『クリサリス川』 ( 矢野さんの「折紙宇宙船の伝説」の英訳が載っ 草野球の選手が大リーグへ飛びこんだようなものだし、それはどっ たアンソロジー ) などに作品を寄せている。 ちもよく知っている。 この短篇は & 誌八一一年十一月号に発表されたもの。の 「きみの強力な推薦者がいてね」とステーフラーは言った。「友人 古典的なテーマのヴァリ ーエーションだが、それを私立探偵物と組 ハスケルだ」 み合わせたところがミンである。ちなみに、作者が一一十歳のときに 挙げていた好きな作家のリストは、メイラー、チャンドラー、グリ ハスケルはこの町でも一流中の一流の離婚専門の弁護士だ。おれ ・ハラード、ディック、ロス・マクドナルド : もいくつかの訴訟でやつのために働いている。わくわくする仕事じ ( 浅倉久志 ) ゃないし、格別気のりのするものでもないが、家賃分の稼ぎになっ てくれる。ステーフラーは離婚するつもりなのか ? 今まではハス 「わたしはなんの取得もありませんがね」とおれ。「慎重という占 ケルとじかに会うのが常で、依頼主と会うことはなかったのだが。 では慎重ですよ」 「こう言ってもまだ怪訝に思っているだろうな」と彼は続けた。 「ハッドもそう言っていたよ」彼は間を置き、それから訊ねた。 マーケット・レダー 「なぜわたしが私立探偵を必要とするのか、と」 「きみは知っているかねーー投資情報誌というものを ? 」 おれはうなずいた。 「少しですがね。竸馬なんかの予想紙みたいなもんでしよう ? 投 「これはちょっとばかり特殊な依頼なのだ。状況がふつうではな資家向けの ? 」 。格別の慎重さが要求される」 「言いえて妙だな。それが先行きは必ずこうなると主張する性質の ア
「小さな町ですねー まで製造されたいかなるコンビューターよりも大きく、演算速度の 「彼がそこに住んでいることすら定かではない。彼についてはなに速いやつがあればな。しかし、誰にそんなものが造れるだろう ? ソ 6 ひとつわかっていないのだ。われわれに言える限りでは、彼には組連か ? シンジケートか ? それほどの資力がだれにある ? それ 織もなければ、外部のアドバイザーも、研究スタッフもいない。手に、そうする気なら全経済界を乗「取れるというのに、なぜ情報誌 がかりゼロさ。どうやって予想しているかについては、それをきみなどで情報をばらまいてまわったりする ? 」 に調べ出してほしいのだ」 「きっと準備段階なんでしよう」とおれは意見を述べた。「ソ連 「きっと天才なんでしよう」とおれは言った。「相場のアル・ハ が、アメリカ経済を崩壊させるような情報を送りこもうとしている ・アインシ、タイン。でなきや、賢者の石でも見つけたのか。あるのかもしれません。その場合、これは政府の仕事ということになり いは超能力でもあるのか、確かな内部情報でもっかんでいるのか」ますね」 「なるほど、しかしこれほどたくさんの株についての内部情報をか「まだだ」とステーフラーは答えた。「そこまで踏み切る証拠はな ね ? これほどたくさんの的確なヒットを ? そのためには、ロの にもない。あるのは疑惑だけだ。だからこそ、きみにリーヴを見つ 軽いやつの二、三人くらいではだめだ。大規模なスパイ作戦が必要け出してほしいのだ。彼の秘密を調べ出してくれ。どうや 0 て予想 だろう」 しているのか。その黒幕は誰か。あとはわたしがひきうける」 「とすると、かなりの大組織になりますよ」おれは異論を唱えた。 「事実上、 O—< なみのね」 私書箱からリーヴの跡をたどっていくのは、格別難しくもなく、 「ともかぎらんさ」ステーフラーは言った。「ひとりの人間にもでただただ退屈な仕事だった。おれは・ ( ーリントンに飛ぶと、レンタ きるかもしれん。ひとりの人間と、一台の「ンビ = ーター。同軸ケカ 1 を借りた。続いて、地元の探偵社にたのんで、張り込みの打ち ー・フルでやりとりされる商業データを盗みとるのだ。新油田の発合わせをした。それから例の私書箱のある郵便局のそばのホテルに 見、株式の分割、企業合併、さらには政府の財政政策についてすらチ = ックインし、できるだけ電話のそばにかじりついて待った。 も前もって情報を入手するのだ」 そうやって待っこと四日。おれは待ち時間を楽しく過ごし、昼メ 「そんなことが簡単にできるんですか ? 」 口をしこたま見たり、読み残していた『ジャーナル・オ・フ・ソーシ ャル・アンド・・ 「本来なら絶対不可能だと言うところだがね。このような徴妙なデ ーソナル・サイコロジ 1 』誌の・ハックナン・ハーを ータは、近ごろではすべて、ーーデータ暗号化規格によって消化したりして時間をつぶした。認識行動学の分野で興味深い研究 暗号化されているのだ。暗号化の鍵は五十六ビット 組み合わせが始まろうとしていたが、もうおれには関係のないことだった。五 は七京二千兆にもなる。これを解読するのは不可能なはずだが 年四カ月、終身在職権もないままに、苦労して心理学入門の講座を ただし、世界最大、最速のコンピ = ーターがあれば話は別だ。これ持っただけで、もう学究的な暮しはたくさんだ。当節おれが調べて