のだ。 仕事上、夜型でしようね、と聞かれるたび 九時に朝食をとり、散歩をかねて郵便を出 に、そうですよ、と答える。 別に嘘を言っているわけではなく、まちが しに行く。わが家から二十メートルと離れて いないところに郵便局がある。が、ここでは いなく夜型である。といっても、夜中に仕事 3 出さない。わざわざ七、八分歩いて信濃町の 、ーをするのでなく、早朝に仕事をする。 慶応病院前の郵便局まで行く。運動になると 四時前には起き、机に坐る。六時すぎまで の二時間、女房も起きてこないし、朝刊も米 いうより、早起きのわたしは、午前中一回、 ラジオをつけても、ニュースはきのう 一一十分近く歩かぬと調子が狂う。 のままだ。 ところで、その郵便局の手前に書店があ の ( 咼 わたしのような気の散る人間は、世の中動もる。その書店の前を十時すぎに通るのが怖 いていると、気になって仕方がない。会社は 。開店早々で客が誰もいないからだ。書店 ~ ~ 巻経済を追 0 ているし、テレビ局は放送中だ・疥に誰もいないなんて、ゾー〉とする。イラス ~ 、し、スポーツは勝敗を竸 0 ているし、行事も トレーターだから、著書はほとんどないが、 の 装幀をした本は何冊かある。その本が、誰も 何かと行なわれていて : : : と思うと、落着か いない店内にひっそりとレンガのように積ま タ〕 が、四時すぎは、テレビもやっていない れていると思うと、背すじが凍る。本が売れ し、ラジオも長距離トラックの運転手や農村 ないと、内容よりも、装幀のせいにされるか の皆さん向けの番組ばかりで、わたしには関トらである。 係なく、落着いていられる。マチガイ電話もスそこで、十時前、まだシャッターの閉って かかってこないし、もちろん来客もない。 一フいる時刻に、郵便物を出しに行くことにして 早朝は暗いので、絵の仕事はできない。 イいる。が、電話があったり、送るべき校正や 夜、描いて昼間見ると、まるでちがう色にな派原稿が手間ど 0 たりして、十時すぎになるこ ってしまうからで、調べものをしたり、手紙 とも週に一、二回。おそるおそる通り、今日 を書いたり。それに、文章を書いた時には必 は人がいると思ってホッとして、よくよく見 ると、二、三人の人影は店員だった。 / らを . ず校正をするので、ゲラ返しがあり、赤鉛筆 をにぎることが多い。 本屋がひっそりとしているのは、精神的に 『朝は夜よりも賢い』というタイトルの本の も、都市文化のうえからもよろしくない。。ハ 広告を見たが、これは経営書で、危機にみま チンコ屋のように派手にを店外まで流 われたら、夜、あまり考えすぎるな、という すとか、早朝に本を買った客には、インスタ ントコーヒーをふるまうとか、書店も努力し 物内容のようだが、わたしの場合は、朝、頭が さえるというより、まわりが動いていないの てくれなければ ! 幼稚園が倒産しはしめ、 で気が散らぬという、ただそれだけのことな やがて大学も。若ものが減っていくのだから。 3
とって各惑星に向かって次々と電波が発射され、遠いものはもう反た。「あたし、胃が痛くなりそうだわ・ : : ・」 射波がこちらへ向かっている筈である。 「ほう ! 神経だって : 早く食いな」と簾畑。「体に悪いよ それぞれの電波には、ドップラー ・シフトをチェックするため、 ちょうど片道分の長さのリーダーがつけられている。つまり、″あ「とにかく、ポイエジャーからの波がちゃんと入ってきたからにす けましておめでとう ! 〃の声が惑星を反射した瞬間にその電波の先るわ。今、私、とッても食べられそうにない : 端が地球に到着する仕掛けになっている。 時間は刻々と迫ってきた。 その先陣、太陽系外にいる〈ポイエジャ ー・ 2 〉からかえってく通信室はもう身動きもならぬ程だが、・ ひーンと緊張がはりつめ る波の先端が地球に到着するのは午後六時二四分五一秒 : : : 。 あとて、いくつかのスビーカーから出てくるノイズだけがやけに大きく 間もなくである : 感じられる。 「一分前 ! 」早苗が言った。 予定通りこの時間に信号がびたり入り始めれば、午前〇時には間 違いなく″あけましておめでとう″の声が〈ポイエジャ ー・ 2 〉か 壁面の時計の秒針がひどくゆっくりと動いていく : ・ ら人ってくることが保証される訳だ : 「三〇秒前 ! 」 もし : : : 入ってこなかったら : : : ? 「うまく行ってくれよオ ! 」と古矢。 おしまいだ : 「 Z<(-O< を信じよう ! 」簾畑が答える。 万々が一のことを考え、富士山頂には須藤のひきいる別働隊が待「一五秒前 ! 」 機しており、なにか起きたときはそっちに切り換え、″富士山のて ロの中が渇いているのに気がつく。 ッペンからおめでとう : ″という、泣きたくなるようなセコい手「一〇秒前 ! 」 を用意してはある : しかし、そんなことになったら、もうおし「五、四、三、 まいである : テレワーク通信室も糞もあったもんじゃない・ ″ブツン ! みという音がスビーカーからとび出し、つづいて″。ヒー 。とルの信号音。来た ! 〈ポイエジャ 1 〉から電波がかえつ」 ( サデナの菊池は、 Z<<T<< もも自信満々だと言ってきててきた。 いるが・ ″日本テレワーク・特別企画〈あけましておめでとう計画〉の、ポ あと十分 : ・ イエジャー 2 号からの反射波のリーダーです : : : ″かすかな、木当 「今のうちに飯を食っておいた方がいいですよ」簾畑が弁当とお茶にかすかな声だが、まぎれもなく録音した菊池の声である。太陽系 を抱えて戻ってきた。われわれは早速その弁当にとりかかった。 の外まで行ってきた菊池の声 : ・ 「よく食べられるわねエ・ ・ : 」早苗がげンなりとしたように言っ ″次のタイムシグナルがで午後六時二七分〇二秒なら正規で 4 5
0 力、よ、つこ。 亠甲 - ・カ子 / , 刀 / 「あなたは自分をおそれている . と淳は言った。 「自分を信じれば裏切られることはないでしょ ペンタグラム上の靄は淳の言葉とともに薄れて いった。客たちはそれで我に帰って談笑しはじめ た。淳の言葉はつづいていたが、淳の語る内容は 被験者の私的な面をあばくものではなく、誰にで も言える抽象的な一般論だったので客の注意や興 味を引き付ける効果はなかった。淳は目を開き、 被験者の催眠をといた。淳に肩をたたかれた男は きよとんとした表情で周囲を見回し、照れたよう な笑いをうかべた。 「あなたは浮気している」 淳はやんやの喝采をうけて席にもどろうとした 男にささやいた。男はぎくりと足をとめて淳を振 り返った。 「催眠術でそんなことがわかるのか ? わしはべ らべらと喋ったのか ? 」 「いや。御心配なく。喋ったのはあなたの憑依霊 で、その言葉はわたしにしか聞こえない。あなた は浮気している。かなり深い関係だ。だれにも知 られていないが、三年ほど前からだ。相手はまだ 若い。注意したほうがいい。彼女はただの女では ない。三十年前にあなたが棄てた女の娘だ。あな 9 たの実娘だ。彼女はそれを知っているー
でもママ っ第来ちゃって よかったかしら ? こんなところで 前みたいに ここ人が ◎ 0 あの人のことだから に長い角や 耳が生えたら : そ - フねたしかに ありえるわ : たったらね きっと 迷わず SHOW TIM ℃ : ~ : 0 : ~ : 00 ~ 30 2 5 7
を盛りこんだ短篇は、の本領のような気 がしていた。壮大なテーマを持っ長篇もい カート・ヴォネガット・ジュニア著 へよこを 3 けれど、シ , ート・シ = ートと同じように切ス り口で読ませる短篇小説。よい意味でのアイウ ディア・ストーリイこそ、 TJ だ、と思って 『モンキーハウスへようこそ』 いた。そこには、かなり周到なテクニックが 必要だ。名人芸、職人芸のような、ネタもよ′キのを " ヒ ければシャリもうまい、しかもサビもきいて 高橋良平 レ いる旨い寿司、それが短篇小説であり、ドンモ ・フリ飯なんて願いさげだ、と思っていた。だ 帯に《待望の短篇集、完訳なる ! 》とあるから、″マンハント″はちょっと違うけれ頃があるように、本にも読み頃があるのでは けれど、この『モンキー ハウスへようこど、″マガジン″の他に″ゃないか、ということだった。なにも大げさな そ』が翻訳刊行される、と聞くかあるいは読 ″ヒッチコック・マガジン″を読んだ。それことをいってるわけではない。青春と読書、 むかしたのは、いつのことだったろう。同じは毒を含んだ刺激だった。 でもない。すべての小説作品が時代を越えて それが今、短篇小説は不遇の時代なのだろ文学全集のようなものに収められるわけでも 早川書房で、″異色作家短篇集″ニューヨ うか。そんなことはない、と思うけれど、コ ないし、そんな意味でも、ほとんどの小説は ーカー短篇集と出てきて、ジャック・フィ レッ、といった作品に出会うことが少なくな ( も含めて ) 同時代的なものであるだろ ニイの「ゲイルズ・ハーグの春を愛す』、プル ース・・フリードマンの『黒い天使たち』 った。昔食べた味が忘れられなくて、まるでう。評価といったものは、十年後、一一十年後 と二冊同時発売されてスタートをきった″世幻の味のようなものを求めているわけでもなに与えられるかもしれない。読み頃、という 界の短篇″シリ ーズのなかに収録される予定いし、こいつは前に食べたことのあるやっとのはそれに似ているものかもしれない。 だったのか、ちょっと記憶があいまいになっ同じだ、と感じるわけでもない。もっともっ もっとあからさまにいってしまえば、読み ている。ともかく、十年以上前のような気がと、と貪欲になっているわけでもない。ウェ手側のヴォネガット作品に対する接し方、対 する。その頃、短篇小説が好きだった。ル・メイドのものなら、なんでも美味しく食応の仕方、の問題である。「・ハ ーンハウス効 にしろ何にしろ、長篇小説を読んでいなかっ べられる舌を持っているつもりだ。なのにな果」 ( ・ハーンハウス効果に関する報告書 ) 、 「エジソンのむく大」 ( ほら話、トム・エジ たわけではないけれど、短篇のスッキリとし・せ、短篇小説は・ : た味わいを好んでいた。それに考えてみれ : と、思っていたところに、この『モン ソン ) 、「未製品」 ( 未製服 ) 、「限りなき明 ば、長篇といっても、四、五百枚のものが主キー・ハウス 』を読んだ。収められたオ日」 ( 明日も明日もその明日も ) などの作品 で、一千枚を越すような作品は、珍しかった。 1 ドプルの二十五品、どれも美味しかった。を雑誌で読んだのは二十年くらい前のことだ ハウスへようこ 短篇から、もっといえばマガジン″鮮度が落ちているような気のするものもあっし、表題作の「モンキー から小説を読む娯しみを覚えたせいかもしれたけれど、一夜漬けのパリッとした歯応えとそ」や「ハリスン・ ージロン」を初めて読 ないが、必要充分な長さを持ち、ユーモア、 は違った、ゆっくりと味を楽しめるものばかんだのも、もう十年前になる。「猫のゆりか ウィットあるいは鋭いアイディア、ワンダー り。で、不意に気がついたのは、ものに食べご』が出ていて「タイタンの妖女』がようや
みどりはエスパー・⑩ エスパーは二度夢を見る 眼の前に答案用紙がおかれている。どこかて時計の音がす る。答案用紙はまっ白だった。「あと 5 分′ . 」誰かがそう叫 んだ。「わあ」汗びっしよりてみどりははね起きる。午前一時。 いつもの部屋、いつものべッドの中。不思議な夢の原因は すぐにわかった。隣のヨシオの部屋をのぞくと、案の定、机 を尢にいねむりをしている。 知らぬ間に、ヨシオの夢を 精神感応してしまったのだ 「不安なんだ」眠そうな眼を こすってヨシオが訴える。「も し、今年また受験に失敗し たら : ・・ : おねえちゃん、俺 の未来を予知してみてよ」 そのわりにはよく寝ていたみたいそう考えながらみどりは 一言う。「ダメ。先のことがわからないからがんばれるのよ」「 : いつまても親に甘えてられないし」「大丈夫。あなたの学費 は新年金型預金てちゃんとためてあるそうよ。お金の心 配なんかしないて、気楽に行きましよ」 弟の顔に笑顔が戻ったのを見届けると、みどりは再び床 につく。うとうとしているとまた夢を見た。眼の前に山の よ - フな漫画雑誌、レコード、作りかけのフラモデル、テニス ラケット : : やれやれ。 法、を物 ジ・ : 瞬学津 三和銀行
た、というのも、冬のあいだ、ほとんどどこかへ運びさられてしま ったからだ。ガソリンと交換部品の不足もひとつの理由なのかもし だが、実を言えば、人々はもう内燃機関とかかわりをも れない ちたくはないのだった。公害や騒音がなくなるからというわけでは タ ン ないが。靴だの玄関前のポーチだのを牛糞で汚される人々が、環境 ア の大きな改善だと考えるとは思えないし、それに木製の牛車のがた ・、たいう音。ーー金属でふちどりした車輪が、舗道の玉石の上を転が ツ . っていく音ーーはモーターっきの車の往来の騒音と同じように耳ざ ロ わりなものだ。それでもロウソンは牛車が家の前の路地に入ってく る る音を聞くのが好きだ。一度ならず、その音に誘われて外に出る ろ と、石細工やドアや窓枠、見事な彫刻をほどこした暖炉の外壁など ひ を御者が積みこむ手伝いをした。 パン屋でいっしょに働いてかれこれ一年になるあのモンゴル族の 舞 女が、ある日のこと彼のほうきの柄をつかんで、自分の名前を言っ た。いまではセビリアのほとんどだれもがお・ほえてしまった、きび星 きびした単音節の奇妙な方言を使って、わたしをティジと呼んでと 言った。大異変前からそういう名だったのか、最近になって自分で境 異 考えたのかロウソンにはわからなかった。どちらにしても嬉しかっ たのでさっそく自分のクリスチャン・ネームを教えた。それだけ言す 回 うのにもっかえっかえだったし、ティジもその名前を言うのに苦労 徘 したので、二人は珍しいほどぶきっちよな自分たちの舌に大笑いし 一週間後にティジの住む棟割長屋へ引越した。フジの花が這いま わる中庭を見おろす三階の同じ「部屋」で寝た。この階のフロアの 支え壁が・せんぶとりこわされていたので、なんだか間仕切りのない ・ハラックにいるようだった。人々は彼の寝台をまたいで階段へ出て こ 0 台 大魔界 田中文雄 竜神戦士ハンニバル氷神女王アーシュラ幻神惑星ナーガ 定価 500 円 定価 420 円 定価 380 円 ま惑星ナーガ 電物戦士パンこいル ( ン : : 爻イ ハヤカワ文庫 JA ( 0 9
んでいる。 だが、われわれの願いもむなしく、こっちの本番スタートの十分 前になって、またもやあの耳ざわりな宇宙人の声がス。ヒーカーから 6 とび出してきたのである。 早苗の声に、部屋の隅に置いてあるエアモニターへ限をやると、 テレワークの・△▽乙 x 8 ロー 番組のオープニングを告げる東京ディズニーランドのシンデレラの われわれは打ちのめされたような思いでとにかくその強烈な放送 お城がうつり、派手に花火が上っている。 禁止用語が 6 スタに行かぬよう絞るので精一杯である。 「あれもうちのチームが行ってるんたな : : : 」 ″よくも放電させやがったな : 。急速充電でやっと間に合った : ・ 「雲助たちか : : : 」 ひどく遠いことのようにしか思えない。 、、ツキ】マウスと白雪姫のダンスが終り、画は札幌の銀世界に変充電にあと三〇分かかってくれさえすれば : る。 ″ゃい、デブ ! 返事をしろー ハサデナの構内から「わかったよ」やっとのことで私は答えた。「どうしてもやるつも こっちの受け持ちは真夜中の五分前。 りかね ? 」 の衛星中継で入る予定である。 金星からの反射波がびたりと定時に入ってきた。内惑星からの反″あア ! やってやるとも ! やってやるそ , 。それじゃしかたないな」 射波は太陽雑音が心配されたが、ス。 ( イ衛星に使われているという「そうか : ノイスリミ っとめて私は哀れつぼく言った。これでひつばるのだ : ッターが威力を発揮して極めてクリアーである。 金・火・水は近いのでリーダーを修正して一分おきに入ってくる「もう手はない。万事休すだ。なんでもやってくれ」 ようにしてある。 ″こらア ! 〃相手は意地悪く言った。″万事休すだとオ : まったく油断のならね工奴た、日 の、嘘つきの地球人奴が : しよいよだ。 本テレワーク奴ー 「火星の反射波正規 ! 」 つづいて、 ・ハッグアップ ″哀れッぽい口調でこっちを油断させて、本番五秒前に予備波に切 「水星の反射波正規 ! 」 り換えようたってそうはさせるもんか ! ″ 極度の緊張に早苗の口調がこわばっている。 なんとか、このままいってくれ : ″ふふン ! ″相手は嘲笑した。〃はツたりだと思っているな。よ し、よく聞けー ししカックアツ。フは〈ポイエジャー〉からが 。みんなカゾ 7 2 3 、冥王星は 6 3 4 、海王星は : 「〈行く年・くる年〉本番入りました ! 」 6
を修理してやった。何億円もかけてだそ」 : すいぶん : : : 」 ぶん、遠いじゃないか : ′うるさい とした。 その何億円だって、俺からまき上けた金だ そのとたんに私ははツー 「いや、あれは正当な対価であってーーー」 向うは嘘をついているー ″間答無用だ ! 俺は、きさまたちの〈あけましておめでとうⅱ 〈ポイエジャー〉の上にいるのなら、応答には往復十一時間十二分 画〉をぶッつぶす″ かかる筈だ。 えらいこッちゃ : 「簾畑、方向ーーー」と私が振り向いたとき、簾畑はもう方向探知機 これはえらいことになった : のスイッチを入れていた。この方向探知機を買っといてよかった : こんな伏兵が現われるとは : 宇宙人の声はつづく ″こっちはな ! そんなノイズを 「それはなあ : : : 」古矢がしンみりと言った。「考えてみりや、お 混入するなんていう手ばかりじゃないそ。よく聞け ! テレワーク前には悪いことをした」 の〇 >< △△ー・ ″なに抜かしやがる : 物凄い放送禁止用語 : 「いや、悪いことをしたと思う・せ、あれもみんな、うちの重役のテ ″どうだー ほれ、もう一丁いくぞ ! テレワークの△ >< 〇◆ 9 ・フの指示でな」誰も笑うものはいない。「どうた、そこでひとつ、 ! 本番に入ったら日本中にわめいてやる″ お詫びのしるしになーー」 「や、止めろ ! 」私は絶叫しながら、 6 スタへつながっている回線 言ってみやがれ ″お詫びのしるしになんだって ? え、ヘンー の。フラグを抜くのがやっとである。 向うはニべもない : 「そう : : : その、なア : 古矢がわきからマイクをとって冷静にしゃべりかけた。 とっさに思いついて、私は古矢の眼の前に小指をつき出した。 「ガチャ。ヒンよ ! お前はいまどこにいるんだ ? 」彼は私にめくば 日本テレワークに 「そうだ、恋人を紹介するなんざ、どうだ : ・ せをした。 はかわいい子がたくさんいるそ」古矢が言った。「一人どうだ ? 」 いつもの連動作戦である。彼が時間稼ぎに前へ出て、一歩退った とっさに私の脳裏を当社の美女達の顔が走り抜けた。 こっちが次の手を考える : 折も折。 ″どこだと思う ? ″勝ち誇った声。 「どう、うまく行ってる ? 」大きなコーヒーポットを抱えて岡山富 「わからないなあ」 子が入ってきた。 ・ 2 号〉の上よー 「しツ」早苗が目くばせをした。 「ほう、遠いなあ : ・ : 」古矢はちらりとこっちを見上げた。「ずい そうだ、ガチャビンへの人身御供はこの娘た。 ″〈ポイエジャー 7 5
池見照一一 サイエンス・トピ〉ク、 7 当① 初飛行近い機 カット佐治一隆 である。エンジンが翼の上側に取り付けられ、 五年前の一九七八年七月号で、本欄に 排気が翼の上面に沿って流れて揚力を高める。 に機 ( 短距離離着陸機 ) の開発計画が浮上した ・サーフェイス・ 方式という。アツ・ハ ことを紹介したが、その機がいよいよ O ・フローイングの略である。 でき上がり、初飛行が間近となった。 機このほか、い くつかの新しい技術が採用され 一九七九年から実験機の製作に着手し、よう ている。 やく組み立てがほ・ほ終了。一九八三年十月一一十 0 翼の上面を高温の排気が吹き出して流れるた Z 九日から十一月六日まで岐阜県各務原市の航空 自衛隊岐阜基地で開かれた国際航空ショーにデ ため、耐熱構造にしなければならない。 = ンジン CO れが取り付けられた部分の翼上面は、特殊なブラ ビューし、内外関係者の注目を集めたのであ る。 出スチックをガラス繊維で強化した ( = カム構造 きになっている。 機は、ショート・ティク・オフ・ア ンド・ランディングの頭文字をとった略。科学 翼の前縁から高圧空気を吹き出す。低速で大 めきな迎角によって離着陸するときに気流が翼上 技術庁航空宇宙技術研究所が開発に取り組んで いるものだ。これまでに約二百億円を投入。一 面からはがれ、失速するのを防止するためのも よのだ。 Z 九八四年五月ごろ初飛行し、 = 一年間実験飛行を これまでの航空機では、操縦桿の動きはワイ に行う計画で、実験飛行の費用も合わせると最終 納 格ャーなどによって方向舵などに伝えられている CO 的には約三百六十億円の開発費となる見通し が、この機械式操縦システムを電気式操縦シス テムに替えている。操縦桿の動きが電気信号に 披露された機は、全長二九メート ル、翼幅三一メートル、重量三九トンで、ポー 変換されて舵面を動かすアクチュエーターに伝 イング 737 かほどの大きさだ。 えられるため、正確かっ迅速に駆動でき、機体 ただし、機体が異様な形をしているのが特徴エンジンが翼の上部に前面に突き出る形で付いの重量も軽減される。 だ。機体は、防衛庁の国産ジェット輸送機 ている。前につんのめるような形である。 コンビューターと結合し、高度な飛行コント Z を基本に、少し改良を加えたものだが、四つの この特殊な形が、機ならではのもの ロ 1 ールが可能となる。 CO 亭林煢 : ン : ※ . をを : 暈 344