か ? 地震がおこらぬようにしてくれるとでも ? 米ソの首脳に核民のドキ = メンタリーをとるとい「て出かけたきり、どうやら流れ 弾にあたったかして、死体になって帰ってきたのだった。 をいますぐ廃棄するよう説きつけてくれるとでも ? 「通り魔はいるし車のクラクションひとっ鳴らしてもケンカになっ 「精神分析なんて、何かの役に立つのかね」 のろのろと修平はいった。上村はいくぶん気恥かしそうに、しかて殺されちまうことがあるし、うちのなんか、毎朝、もしかして今 って覚悟をきめて、亭主とガキを送り出すんだそ し自分の気に入りの商品をひとにすすめるものの熱つぼさをもって日かもしれない、 ってね。だから、必ず、出が うだ。これが見おさめかもしれない、 「立つよ ! そりや、役に立っさ。とにかく、精神の安定には確実けにだけはケンカや怒「たのをもちこさねえことにしてるんだと さ。もしかして、さいごに見た顔が怒ったふくれつつらだったら、 に役に立つよ。実をいうとねーーーおれもずっと通ってるんだがね。 悲しいからってーー出る方だけじゃないからね。家にいる方も、マ そのおかげで、身心ともに快調 ! ってとこさ」 ンションの下の階でガス爆発だ、火事だ、白昼強盗だって、何があ 上村がそんなところにいっているとは、彼は長い付合いなのにち いちごいちえ るかわからね = ものな。こうなると、家族だったって、一期一会だ っとも知らなかったのだった。 ね。無常観くらい、あったって当り前だよ。でもって、かりに運よ しかし、彼の精神が安定したところで、ちっとも、どうにかなり く、事故にもあわず、通り魔にもぶつからず、ガンにもやられず、 はしないのだ。 ポックリ病からもお目こぼし願って、生きてたとして、こんどはガ あのゲルニカの人びとは キが少し育っと受験地獄だ何だってさーー - ・校内暴力だ、非行だ、い 「そうだな」 じめられっ子だーーーそれもクリアすると、こんどは家庭内暴力で、 疲れた声で、修平は云った。 当のてめ工のガキが鬼になってさ。そこもなんとかクリアしても、 「考えてみるよ」 こんどはガキが車、運転しはじめりや、自分が事故るのはまだいい 「絶対、役に立つよ。とにかく、こんな世の中だからなあ・ーーまと もに考えて心配したり、子どもの将来の何の、考えてばかりいたけど、もしや人をひきやせんかと思ゃーーそれもすべてパスで、運 ら、それこそほんとに狂うか蒸発するほかないよ。こんな世の中だよく七十、八十にまで生きのびて、ガキも人並の家庭をもち、まず ものな」 はやれやれとなってみろよ。こんどは、さいごのーーおれもいっ・ほ け老人になるか、おムツあてられて、床ずれつくってじやけんな嫁 妙に、しみじみとした声になって、上村は述壊した。 「一歩外に出りや、交通事故にあうか、現場の下を通りや、鉄材がに世話されるのか、女房のおムツをとりかえるか、孤老になって菓 ふってくるか , ーー海外出張にいくと飛行機事故、さもなきやクロち子。 ( ンばかしくいながらゴミの山の中にうずくまってるか あ、修ちゃんよ、少しでもまじに考えたら、よくまあ気が狂いもせ ゃんみたいなこともあるし」 黒田は上村のよく使っていたフリーのカメラマンで、中近東の難ずにみんな、自分だけは大丈夫だろうと信しこんで生きてゆかれる
金ぐりについてのポイントにまだ甘さがあるような気がする」 のですが」 信号が青に変り、人々は、それそれの場所から交差点内へと歩き「ふうん。最近、長篇を書いているって」 はじめた。その数、約四百人。 「ええ、人類破減テーマに属するのでしようね。としては、わり そのスクラン・フル信号へ、日比谷方面から突進してくる男女の姿とポ。ヒ = ラーなタイ。フだと思います。少しツイストしてるんですが」 があった。 酒がきれ、中年男は店の親父に「香露」二級酒の追加を頼んだ。 裕一と絵理子のカツ。フルであった。 「サクラ納豆を頼なか」 「裕一さん」 「ええ」 「絵理子さん」 サクラ納豆とは馬刺に納豆をあえた熊本独特のツマミである。 暴走カツ。フルが交差点に突入したとき、ドミノ倒し現象がおこっ 「なんで、そんなににこだわるの」 た。スクラン・フル信号内の男女四百人が横転した。 「が好きだからですよ」 ふうーんと中年男は言って、空の徳利を再び若い方へ注ごうとし 「足が、足が勝手に動いてる」 た。無駄と知るとテー・フルに徳利を倒す。 「うわっ。とっ停まらない。・ とうしよう」 「ってのは、なんともけたたましいんだな。俺が古いのかも知 スクラン・フル信号内の全老若男女に奔馬性熱暴走が感染したのだれないが。じっくり腰落ちつけて文学を書いてみたらどうなんだろ っこ 0 う。書けないはずはないだろう。なっ」 霞ヶ関交差点から、熱暴走患者が蜘蛛の子を散らすように全国に 「ええ、でも、・ほくはガクってつくと嫌いなんです。文学もそうで むけて駆け出しつつあった。 すが、数学も、音楽も嫌いです。ぼくの好きなものにはガクがっか 「裕一さん」 ないです。 (-•0 r-k もガクつかないし、女学生服っていわないでしよ。 「絵理子さん」 セーラー服って言うでしよ。女子大学生って言わないでしよ。女子 誰もいなくなった交差点に、視線のスパ ーク現象だけが残った。大生って言うでしよ。とにかくガクが嫌いなんです。だから文ガク 書かないことにしてます」 小さな居酒屋の座敷だった。五十を越したインテリ風の黒縁眼鏡「・ : の男が、とっくりを持って盃をすすめた。 「すみません」 「最近仕事はどうなの」 「もっと現実をしつかり捕まえて、写実していくことが必要だと思 うんだが。のけたたましさだけでは、だめだと思う」 それに答えて、やや神経質そうな三十代半ばの男が言った。 「昼のほうですか。夜のほうですか。まあ、どちらも、ぼち・ほちな中年男は、眉をひそめて、再び言った。 292
遠い記憶が明減していた。 人影はなかった。 「ここでいったい何があったの ? 」 ット、イッカハココへカエッテクルダロウトオモッテイタ・ 《キ リトルバラはさけんだ。 「あたしが知っていることばかりたわ。でも、どうしてあたしが知声は胸像から発していた。 っているの ? ビールスを撒き散らして、それで人口を減らそうな「誰 ? あなたは誰なの ? 」 リトルバラ、コノコエトコノキョウゾウノトゥニンヲオポエティ どと ! それで生き残った連中は、こんどは人狩りで夢中になって《 ムリナノゾミダトユウコトハワカッティル いる。どこまでが思い出で、どこからが現実なのか、あたしにもよテクレトイウノハ くわからないわ」 惑乱する思考の中でリトル・ハラは傷ついたけもののように、追っ この声とこの胸像の当人を覚えていてくれというのは、無理な望 てくるものの気配をうかがった。 みたということはわかっている 「どういうことなの ? 」 いつもの自分と全く違っているのが、不安だった。 この惑星には魔力があるのだろうか。 〈リト化ハラ。きみがここを去り、彼らの手に捕えられて、記憶を リトル・ハラはドームの破片の下に立って、遠い記億をかき立て消され、彼らの手先に使われて苛酷な日々を送っているということ は、風ので知っていた。あの頃の同志はもう一人も残っていな 。戦って死んだか、敵に降伏して、敵の組織に良いポストを与え 煙とほのおに追われ、方角も見失って、気がついた所は、天井のられているかどちらかだ。私も死んだ。戦って死ねたたけ、まだし 低い、車庫のような広間の中だった。 も幸せだったと言うべきたろう。リトルバラ。この惑星『地球』の 一方の壁に大きな破孔が開き、そこから黒煙が吹きこんできた。 住人たちの生活は、あの頃よりももっとひどくなっている : : : 》 煙の奥に、ほのおがゆらめき、暗い火光が天井を掃いた。 「まって ! ここは『アストウリアス』でしよう。『地球』ではな その火光を受けて、一方の壁にうがたれた龕灯が浮き上った。 いわ」 その内部に、人の上半身を形どった像がおさめられていた。 「今では『アストウリアス』とよばれている。『地球』という名称 リトル・ハラはその前に立った。 から受ける不潔で乱雑な、犯罪に満ちあふれ、資源が枯渇して自然 それは男の胸像だった。 も荒廃しきった廃虚の惑星という悪印象を、今、太陽系全域にひろ ごちきゅうじん 近い所で爆発音がとどろいた。 がっている後地球人、彼らは自分たちをそう呼んでいるのだ。その ハリ、カエッテキタナ、 連中の心の中からぬぐい去るため、『地球』という名称すら、強制 リトルバラは周囲を見回した。 的に変えてしまった。リトをハラ。『地球』は、ありとあらゆる物 リ - トレく一フ . がんどう ハンダ 8
上村は修平の目つきをみて、いくぶん声をひくめた。 かり、何もかもはっきりとわかるように 「たからさ。結局のところ、そいつは、ひとことで云っちまや、厭 「ーーーおれもね」 世感ってやつじゃないかと思うんだよね。個人的にも、いろんなこ 上村はゆっくりと、肉じゃがに箸を運びながら云い出す。 「ここんとこ、っていうより、四十になる一、二年まえから何だかとが重なりあって、そうでなくても疲れの出てくる時期だろ。そこ 調子がわるくってね。 , ーーずっと、こりやもうトシかな、それともへもってきて、いまの世相ってやつは、決して ( ッビ 1 だとも、希 望をもてるともいえないわけしゃないの。つまり、外からの応援が 初老性のノイローゼって奴なんかなって思ってたもんさ」 そう、そうーーそうなんだ。 くつついちまうわけよ、内側のプレッシャ 1 にさ : : : 」 それでーーーっづけてくれ。 あーー修平はかすかに口をあく。 「とにかく冴えなくてね。生きていくのが、かったるい、ような気「考えてごらん。昔から、それで、四十二を男の大厄というわけ 分になってさ。特に、うちはほら、下のがあれだろ」 よ。四十二は数えだから、いまだと四十だろ。あと四年ーー、でも今 上村の下の子は、ネフローゼという難病をかかえており、何回もの世の中、何でもス。ヒード・アップしてつからね。もう三十代後半 入院をくりかえし、医者通いのたえたことがない。 に入りや、はじまってるよ、それは。それに修ちゃんは、結婚がお 「このまんま、こうやって年をとってゆくのかと思うとさーーーカッそかったから、子どももまだ小せえし、よけいプレッシャーがでけ たるくてね。自殺しようか、とか、思ったこともあるんです。せ、こ えんじゃないのかな。このさきどうなってゆくのか、ってことに、 れでも」 公私ともに疲れちまってるんじゃないかね」 呼吸が少し苦しかった。 何となく、話が少しづつ、ズレて来はじめたような不安をこらえ修平は自分が、死んだ魚のような目をしているのではないか、と て、修平はじっと耳をかたむける。 考える。しかし胸の内とはうらはらに、彼は、まるで媚びるよう に、たよりなげなことばを口にしている自分に気づく 「それにさ。とにかく、こういう世の中だろ。このごろ、何という 「ー・ーーそうかな。結局、疲れてるのかな・・ : : やつばり」 か , ーー・何もかも狂っちまってるじゃないの : : : 地震だ、噴火だ、エ イズだ、何だってーー・中近東もヤ・ハけりやソ連もおかしい。中南米「疲れてるのさ」 じやドンパチ、核軍備がどう : : たしかに、まじにそういうことを上村は、何となく安心したようにいって、からの銚子をカウンタ 考えはじめたら、少しでもものを感じとる力のある人間なら、何と ーの中へむかってふってみせた。 いうか、いやんなるーーと思うんたよね」 「その気持よくわかるんだな。おれ四十一だろ。二、三年まえま そう、それなんだ。 で、ちょうど同じようだったんだよねーー・修ちゃんには、云わなか 修平は少し安心をとりもどす。 ったけどさ。何をするのもカッたるくてさーーーしかし、大丈夫よ。 7 9
げじゃない、要するに。有機農法やっても、自然食やっても、現代 に生きてる日本人なんだしさ。おまえたちは東京で汚染されたもの くって、大地震とダイオキシンと富士山大爆発と核戦争でくたばり なーー・おれはえらいから、自然の中で人間的に生きるんだってな考 ( おれはひとり・ほっちなのだ ) 午後いつばいかけて、安田修平は、その考えを咀嚼しつづけてい えーーおれは好きになれないね。それじやむしろ、世の中の流れ、 た。まるでそれが、ひどく目新しい観念だとでもいうかのように。 かえるように少しは努力すべきなんじゃないのかと思うよーーーま、 しかしじっさいそれは目新しかったのである。というより、高野 個人の力なんざ、どうしたところでたかがしれてるといっちまや、 であったら、そう思ったにちがいなかった。 それまでだけどなあ」 いったいだれがおれを孤独だと見るだろうーー修平は考えた。 会議の時間をしおに、修平は席を立ったが、高野はまだ、何とな ドラマのディレクターという、時代の最先端というべき憧れの的 く喋りたいようなようすだった。 まるで、内心ーーその心の奥底に、ひそんでいる不安と、本能的の職業。 その仕事でもたかく評価され、将来は約東されている。多・せいの な怯えとを、自分の考えを人に力説することでまぎらわそうとで いつも声をかけてくれ 友人たち、親友づきあい、信頼する仲間 も、いうかのように。 レシートにサインしながらふりかえると、しかし、もう、他の局る人びと。 、少し神経質で 員に声をかけながら、高野は自信にみち、忙しげな、自らのわざと愛し愛されている美しい妻、かわいい、頭のい 感性とを信じきった、あの有能なディレクター特有の人あたりのい線が細い上品でしつけのよい一人息子。センスのいい居心地よくと い笑顔をみせているところだった。 とのえられたマイホーム、趣味もゆたかで、時間をもてあますどこ ふいに、ひどい疲労感と、そして、もうひとつの思いが修平をとろかいくらあっても足りない。 らえた。 健康で、裕福で、自分をちょっとしたものだと考える要素はいく ( おれは、ひとりぼっちだ ) つでも見つけ出すことができて それは、かって感じたこともないほど、深く重い、冷たい孤独感世のなかに、幸せな人間というものがいるのならば、それは、ま 守こっこ 0 さしく、おれでなければならないはずだ。おれは申し分なく幸せ 修平はさなけを覚え、急に十歳も二十歳も年をとったような気がで、妻子を幸せにする力をも持っているほどに幸せで、若くはない 、こよまど遠く、毎日をはつらっと忙しく送ってい にせよまだ老冫 ( ー した。そのさむけよ、、 ( つまでも彼を去ろうとはしなかった。 る。 だのに どうしてこのおれが孤独で、疲れはてていて、奇妙で 436
し て う 、地 と う 惑 は じ 潤が 乳条れだ 類件た に ま ー -1 の か方なか で き み た ち 死 の 愛 好 家 連 が ま だ 生 き 残 る れ か風 じ分 し古 方て っ変 きや て いも いや わ冫 な実 い過あ分 は種探な 気験雷立体推 る去 た た 険 の分 に殺 だ幻 隊やま収 め に標 に正 り過 はせ ほ い般 てたれな に去 し本わ隷 つ帰 しみ か が方 いだ にた に 類 0 う の を現 いれ でそ実な 残功 な星 いう い 生信 いた奇狂 い陽 物 系カ は満す見 がらそ異 巴人 しな 発れ の測 達な い健 い院 スれ はが 康ー なわ で き きそなれ最あ 中ま のや神な つ能 ど観的み いげ た のわ どかた性 常ら 沢生 仕だ 哺な い事 ア近 し熱 。を 神仕 ニき 族去 じ、自 。る だ の組 は″ 恵を 哺 べれ と みな面保 に乳 い人 いそ 護が いだ の発 間類始類 はて つな う で全 つで つけ 、の の ん安 サ関 るを いも 。れな知 っ全 フ 、な し処 い危 し含 いて 遺墓 。険 ヒな でか き切 そ形 わほ 地別 、を ろ特 かわ なか動だ かなれは が質 人難 み剰 類問 遺を にち つ保、 はな がかだま い護、 にざれぬ をたたか に本、 のた人と 。き まげき能、 みな顕ま の詮著な ざた みで づ族 に性生た 特か 族癖な質存保 し除刻ち の族 ろ大 織ゆ種そ 史こ のれ いす のす 中は ラ不 おカ : 、護 で家 ル応のを は族 いそ実際 いた と が 。かが し の よ ど う し て ん な い世例 ほ界外 ま 力、 話 に 思 ん ち の ろむ界生れ す観物 的 オよ も の な く 常 で な も の と 訒 め る し く る れ な い 球 が そ う 長 っ き す る と わ た し ど の も 自 分 4 ) と う し う も の だ に し て も 分 た た ち に も 対 な の が そ 種 有 の 性 は質ず ら 派 生 ん 、ナど フ い わ も ん る ら ー 11 で 地 球 人 の 精 ほ う し た や んなけ 力、 い抜れ質掘 子 。工き 的 、去な る 、を ま イ な奴族 隷 り い と い し妙人 望 ア プ フ ツ ク いよ い る 、か未 だ と て い う 。ね フ と かれ方フ・適そ格な分き弁 の大て が そ - よ り よ っ ば ど に 、密 着 し て 。る ん で オよ と り け と で き し は き た と し っ て る っ た は う し う み な に ま の る欠劣結た 陥化果 が伝招なが し、 に深た ト 直 り さ イ童 て いき欲 、みー ら 、生 ま な さ 、じかから来以 て 。伝穴思恐 を ' る っ き 、み も に者巨 も の 準 に 照 ら し て も 、なだ神 と う 可 は あ る ノ、 ル に 0 よ な っ竜問 は 自 、分 た ち カ : と び ぬ け 巨 がな保 、体護 し の そ の も の が は 移 動 病 な か も し な だ て る に な . 題 力、 え て い る 哺 て類種 過 生 き . ろ う て オ ッ ト は っ た い ひ ょ っ と いすと と カ : は上そたそ う 長 く は つ し だ ろ う の は 自 っ み カ : い た と は 太 で 0 オよ ら 、異 . と 受 け ら れ る し く し、 っ しず ~ ん 、わ思 。れカ ま う ま く っ て でた解 め を が話集味奴れが つ た シ ド の り と た カ フ 因 子 と 、ナこ ス タ コ と 同 、度 に し っ て い し べ つ に カ : 亜 し、 と え ね リ オ ッ ト は が ま が 室 の よ に し、 はた外 と を 甲 し、 出 し ま 、れ み に : 達 し て へ の 愛 と り そ き 種 の 歴 に け る に て ェ リ オ ッ ト を観た ク リ ン に た え ずーは っ識奇やも分要 ト 、科か の 、物が の あ い っ 。た発 も が な . く の で荒上 う フ ア イ プ ク ) 凧 い た 、彼 は フ 自 ら い 女子 心、 と し う 、お せ っ い 索 ナど れ し だ 急宙そ : 全 ちが論 無 ら し、 か ぎ り さ か も づれ望 ん / レ ル係余 し、 ら さ カ ; 達 る の の は い ひ っ る と いれな 才し の の は ま っ た く な . と し う ク ) 0 よ そ ら が き び し い 。事実 と ま た し て も き の の 機 よ敏 さ を せ ら 、れ た シ ド は い る さ て は う 、だ の 、ぬ く く し の護組 の 中 に て ん あ 、な包 をす 問 ず 。き過 た ち の さ ま で で保哺 さ れ て の 過 っ お り そ の き の 在 乳 イ本 . る の 発 を と なあ身 ら る 類 る 力、 去そを は成去 し てたも と 、て も み別が の 種過こ ま て 族 と どひ的 り み の 、哺中 自 た の る り の 、ろ う う 見 の シ′ と 、 0 よ で あ り の に 3
く町をすてて逃げろ、と云ってもっと先の何とかいう町をさして逃「あら、私それ知ってるわ」 美穂が口をはさむ。 げていった。しかし、ゲルニカの人々は信じなかったんだ」 「リヒトホーフェンって、それ、『レッド・ 大きな病院もあるてきたわ。撃墜王でしよ、ドイツの」 「この町だけは、ひどい目にあうわけはない し、国家の文化的財産である古い教会もある。そう思って、人びと「そのリヒトホーフ = ンは、この将軍の甥かなんかだよ」 いつもと少しもかわらぬくらしをつづけ、肉や牛乳をか修平は辛抱づよく、 は平和に、 、恋人たちはデートをし、子どもたちは学校へゆき女たちは今夜「ぼくが云いたいのは、そんなことじゃない。そうして、不安を抱 : ごくわずかに、その警告を重くみて、子どもたちき、いっかは何かがおこることをなかば確信しつつ、少なくとも今 の献立を考え : ・ と、そう思って毎日をすごしてきたゲルニカ 日は大丈夫だろう を疎開させるため、・ハスにのせた親もいた。しかし、大半は、まだ の人びと、そのゲルニカに、その運命の日、突然、ドイツの爆撃機 いいだろうー、・・ーまだそこまでは、せつばつまってないだろう : ずれ、戦場が、この町の近くにもやってくるのはしかたないにしたとがあらわれるんだ。ーー何がおかしいんだ ? 」 「あなたったら、活動弁士みたいな棒読みをするんですもの。『そ ころで、それは今日や明日ではないだろう、そう考えていたんだ。 この町を、古くからの家をひき払って逃げたり、疎開しなきゃならのゲルニカに、運命の日、突然 : : : 』なんて」 ないが、それには荷物をまとめたり大変だし、せつかく、この週末「活動弁士とは、きみこそいいかげん古いじゃないか。いいからき いてくれよ。その日は快晴だった。誰も、何ひとつ、予感してはい のごちそうに、このごろじや手に入りにくい肉を手に入れたから、 あれをたべてからーー・となりの人たちだって、別にあわてて逃げよ なかった。牧童は羊をつれてゆき、子どもたちは学校からかえって うともしてないし。町長も、心配いらないだろうといっていたし : きて遊びにゆき、教会ではミサが行なわれ、人々は勤勉に立ち働き : 中には、ひそかに対独協力をしているから、ドイツ軍がきても自 分だけは無事だ、と考えて安心していたものもいる。ともかく、ま「ミサって日曜にしかやらないんじゃなかった ? 」 当今日は大丈夫だ、というありとあらゆる理由をつけて、人びと「うるさいな。そのとき、。ほっんと空にあらわれた黒い点が、した は、明日になったら疎開を考えよう、あさってにはーーでも今日は いに大きくなり、そして爆弾がふってくるんだ。ーーー何千人の老若 男女、子供たちが、一瞬にして死んだ。平和な美しい町ゲルニカ まだ昨日と同じようにすぎてゆくだろうと、そう信じきっていた。 何のしるしも、予言も、神のおっげもなく、いつも今日一日が何とは、次の瞬間、がれきと死体にみちみちた焦土にかわってしまっ か無事におわり、人びとは、、 しつも昨日と同じ一日をはじめーーーそた」 の間に、かれらのまるきり知らぬところで、フォン・リヒトホーフ エンというドイツの将軍が、ゲルニカの運命を決めていたーー」 「その本には、何人死んだか、正確なところが書いてあったが、あ ハロン』って映画に出 9
「あ、・ ( ックレちゃって。ーー安田さんも見たんでしよ。あの週刊誌 よ」 『』だったかな」 よく、きいてみて、修平は愕然とした。何週間かまえの号の週刊ん」 誌で、トツ。フで、「第三次大戦はもうはじま「ている ! 」という特「ばか」 修平は六十年安保の前後に多感な中学から高校時代をむかえ、七 集をやったらしい 十年はまともに大学生としてデモのひとつもしたロだ。時世だ、と 「へ : : : 安田さん読んでないの ? 」 は思っても、若い連中には、もうひとっ割り切れないものがある。 「読んでないよ、あいにくと」 あれ、面白かったな、久々のヒットだと「そんなものーーー」 「じゃ、どうして 「アンポあってもダメかなあ。核だとダメだろうな」 思った」 と木戸。 「何だあ、よそさんがもうやってんのか」 「しゃーないよお、核が出てきたらーー , ・・みんな揃っておしまいだも が 0 かりしたように木戸がいってメモを手の中でくしやくしやに 、んじゃないの ? 」 ん、ま、しし 丸める。 と多田。 「じゃ、ダメだな」 こんな世の中「どうしてそう、日本は大丈夫だと云いきれるのかね、お宅らはー 「そりや、けっこう、誰だって思いつくでしよ。 ーこんなにソ連に近くてさ、おまけにアメリカの片棒かついでてー だもんね。まるで、世の中狂っちまったみたいじゃないの」 とうすんのよ ? いや、それより前に、オイルは、食いもんは、・ 多田は、上村と同じことをいった。 「じゃ、安田さんは、独自の観察によ「てはからずも、同じ結論を戦争とな 0 たらさ、またしても耐乏生活ーー・」 「あ、・ほく大根メシとかスイトンって平気なんですよね」 みちびき出したってわけかあ。感動だなあ」 「木戸チャンはふとりすぎだからダイ = ットにちょうどいいんです 「なーにが」 よ」 「その記事読みたかったら、もってきてあげますよ。俺、カッコい 「またあーーーそうじゃなくて = 、スイトンってうまいんですよ。よ いから、切りぬいといた」 く、おふくろがつくってさ」 「カッコ しいかね」 「いいですよ。みんなが草の根反核だ、なんだ 0 てさわいでる間「でも肉とか入 0 てんだろそれ。本ものはも「とひで = んだ「てさ でしよ、安田さん」 に、核兵器をつかった以外のすべての通常兵器をつかって、実はす 「知るか、おれが。何度もいうようにおれはれつきとした戦後なん でに″第三次″がおこってるなんてさ」 いいなんて云ってられない 「ほんとに第三次んなったら、カッコ 「どうして ? どうせ、日本は大丈夫ですよオ、アンポがあるも 4 円
「アサミです。アサミ」 「水割りでいいかしら ? べイビー」 「アサミさん。どんな字書くの ? 」 電気ショック頭が、なんとなくいやみつ・ほく言った。 「ジュース。オレンジ・ジュース」 「麻美です」 おれはカウンターに指で字を書いてみせた。すべてでたらめだ。 おれが答える。答えてから彼女の耳もとでささやくように、それ まあ、このさい麻美と呼ぶのもよいなと思った。過去の思い出がよでいいね、と訊く。 みがえって切なくなるけれど。 彼女はうつむいたまま、恐い、と呟いた。 杉山は手帳をだして、せっせとメモをしていた。眉根を寄せ、鉛「え ? 」 筆をなめながら書いている。 「あのふたり、お化け。恐い : : : 」 「なにを、してるんですか ? 」 小動物のように震えながら言う。 「うん。人事課に訊いてみようと思ってね」 おれはうなずいた。おれだって恐い。確かにあれはお化けであ 杉山の銀縁眼鏡が、ギラリと光った。眼鏡の中の眠を細めて、疑る。化け物でなくてなんだ。 うようにおれを見つめる。 彼女の前にオレンジ・ジュースが置かれた。 おれはたじろいだが、まあ、いいやと思った。 おれは彼女にグラスを持たせ、飲ませた。彼女はストローに口を 「そういうわけで、杉山さん。今日はもう帰ります」 つけ、五歳の子供のように飲んだ。喉が乾いていたらしく、半分ま 「いや、それはないでしよ。まだ全部会社のことを説明し終えてなでいっきに飲み干す。そしてうつむいた。 いじゃない。関君聞いてなかったの ? 」 杉山とパンクおかまは、おれと彼女を見て白けきっていた。モヒ もちろん、なにひとっ杉山の話など聞いてやしない。 カン刈りは片手を腰にやり、上を向いて煙草を吹かしている。。、 「せつかく、妹さんも突然現われたんだし、もう少しいいじゃなンク頭は首にかけたゴールドのチェーンを、ふてくされた表情で この店はもっと遅い時間にならないと客なんてこないのよ。 じゃらじゃらやっている。杉山はなにかぶつぶつロの中で呟いてい こ 0 ま、もともと客は少ないけど」 「あつらあ。それはひどいわ杉山ちゃん」 「妹ねえ : : : 」 今まで押し黙っておれたちを見ていたモヒカン刈りが言った。 「ぶりつ子しちゃって」 「さ、麻美さん座って座って」 おれは彼女の肩を抱きながら三人を見かえした。 しかたなくおれは背後で震えている彼女の肩を抱くようにして、 と、そのとき急に彼女が、わっと大声をだして、おれに抱きつい おれの左側のスツールに座らせた。 てきた。 彼女はうつないている。 ここにいるのもういやっ ! 」 「恐いっー 275
もんだと思わないか。右も左も、ゆくもかえるも地獄のまっただ中「カウンセラーのこともあったしね。世の中の連中がみんながみん だってのにさーーー人間てのもこれでけっこうタフというか、鈍に出な鈍くて何も感じねえなんてこと、ありつこないんだし、そこはや 来てんだなーとっくづく感心することがあるよ。とにかく、どいつはりどこかで折合いをつけて、自分だけは大丈夫だろうってのと、 にきいても、たとえ地震があっても自分だけは生きのこる、と固く何かあったら運がわるかったんだってのと、皆で一緒にくたばるん 信じてやがるんだものね」 なら、それもまあいいやってのをごちやごちゃにしてさ。それでと にかく楽しくやってるんだと思うんだね。イヤなこと、恐しいこと はとにかく考えないようにしてるやつもいるだろうし、核シェルタ 修平は何も答えず、ただ重いため息をついた。 「こりや、。こ、・、 どのて ナしふ重症だなーーーーしつかり、しろよ。目が死んでる ーっくったり、防災袋買ってとりあえず安心してみたり ほら、あついの一杯いけよ」 いど、どうするかはまあ、人によってちがうんだろうけどね。とに 「あ : : : ああ」 かくそうでなきや生きてゆけないし、といって、生きてゆかなきや いけないんだし 「てなこと、考えはしめちまうと、そりや生きるのもいやんなる、 こんな世の中だからね。まあ、・ほっぽつやる 目のまえの世のなかや人が、平和に、忙しがって、アリみたいに右さ」 いいたげな微笑。大人の徴笑、 往左往してるのも、現実のこととは思えなくさえなるよねーーそう再びあの、何でもわかっていると なんだろ。わかるんだよ。わかりすぎるくらい、わかるんだよ、おというべきか。わけのわからぬだだをこねる子どもを見ている大人 れには」 のゆとりとおちつき。 こう云うと何だけどさ。上ちゃんが、そんなふうに考えてる「修ちゃん、少し、旅行でもいって、ゆったりしてきたらどう ? 何もかも忘れて、ひとりでさーーとにかくしがらみや、気苦労を、 ことは、知らなかったな、おれは」 「おたがい、あんまりこの手の話はしなかったからね。それに、何全部忘れてぼーっとバカになって帰ってくるんだ。元気がでるよ」 「ああ」 だか、弱音吐いてるみたいだし」 おれは何も、弱音を吐いているってわけじゃないーー修平は思っ もう、修平は、上村のことばを、ほとんどきいていなかった。 「ああーー・そうだな」 それを察したのかどうか。 「お先まっくらとはいうけどさ。夜明け前がいちばん、闇がふかい 「ともかく、そういうことをさ、いちいちまともにとりあげてかかともいうだろ」 わってたら、どうにもならない というのが、わかったってこと「ーーー・そうだな」 かな。四十すぎて」 「なるようになるさ。なーに、とにかく、人間誰しもそういう時期 上村はとりつくろうように云った。 ってのはあるんだから」 よ こ 0 4 ー 0