ミュータント - みる会図書館


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1. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

イワンは徴笑し、司令室にはいってきた 挑戦して来たのです。だがその最強のミ そっと握りしめ、気どったおじぎをした。 ュータントをもローダンらはその呪縛か「ありがとう、べティ、けっして忘れなアンドレ・ノワールを見た。 ら解放します。ではその最も感動的なシ 「もう決めてますよ。わたしが悪をとって ℃・ほくらが友だちのことを、たとえば・ほ いたら、みなさん、まだ生きてましたか くが : ・ : ・」そこでちょっと顔をしかめた が、勇気を出した。「ふつうの人間とはちね ? ローダン、心配しないでください。 イワンは少女の手を大きな手でつかみ、 がっていても」 わたしはずっとべティの側につきますよ。 べティが驚きをかくしきれな解放されたのはペティのおかげだ。彼女の いのではないか、とかれはおそやさしい思念が、わたしの頭のたがをはす れていた。しかしミュータントしてくれた。そのことを忘れるものです 部隊員は、生物をその外見からか」 べティはしつかりとうなずいた。 ではなくその能力と性格によっ 「イワン、わかってるわ、それが心の声だ て判断するように慣れている。 グッキーはもうじっとしてい ってこと。二人とも好きよ。わたしがイワ みられなかった。べティを押しのンといったら、イワノヴィッチのことでも け、後足ですっくと立ちあがるあるの」 と、あきれたイワンに両の前足 ( 中略 ) 「ありがとう」イワンは感動していた。そ をさしのべた。 「・ほくらだって友達になってい れまでロをとざしていたイワノヴィッチも いんだ・せ。きみを壁にはりつけ「ありがとう」といった。 たのは・ほくだけどさ。ああやっ 双頭ミュ 1 タントは自身の内部でも一致 たのも、・ほくらを爆発させてもをみたのである。 らいたくなかったからだけど」 ( 第一四巻九七頁 ) イワンはその前足をもそっと 握りしめ、 またローダンらは幾多の戦いの中、グ 「やろうと思えばそうできた ッキーのような異生物の友人を得てゆき よ。いまだって、この場所を動ます。そしてここにも一人、ワンダラー かずにできる」 のそれに劣らない奇妙な存在がローダン ( 中略 ) の出現を待っていました。

2. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

ロタン・シリ、ス郎刊リスト 翻訳 / 松谷健ニ カバー・ロ絵・插絵 / 依光隆 大宇宙を継ぐ者〈〉 金星の危機 スターダスト計画 Ⅱ核戦争回避せよ ! 〈 13 0 〉 ダールトン 《第三勢力》 核戦争回避せよー ル・ノつ」 銀河の神々のたそがれ〈〉 トーラの逃走 ドームの危機 肥秘密スイッチ〈 SF137 〉 ショルス ダールトン 神々のたそがれ 秘密スイッチ X 3 ミュータント部隊〈〉 金星のジャングル 非常警報 超ミュータント出現 ! 〈 SF140 〉 ショルス ミュータント部隊 オーヴァヘッド ダールトン 4 謎の金星基地〈〉 超ミュータント出現ー 宇宙からの侵略 ダールトンヒュプノの呪縛〈 14 2 〉 ダールトン ヒュプ / の呪縛 謎の金星基地 5 決戦 ! ヴェガ星域〈 71 〉 宇宙のおとり 地球救援 ショルス新宇宙商人スプリンガー〈 14 5 〉 決戦 ! ヴェガ星域 宇宙商人ス。フリンガー パルチザン、ティフラー 6 時間地下庫の秘密〈〉 ミュータント作戦 ロポット皇帝の反乱 ! 〈 14 9 〉 ショルス ルトノ 時間地下庫の秘密 ロポット皇帝の反乱ー ダールトン 7 六つの月の要塞〈 81 〉 無限への散歩 六つの月の要塞 燃える氷惑星〈 SF153 〉 ダールトン ダールトン 燃える氷惑星 プラント 銀河の時空を抜けて〈〉 裏切り者レヴタン 銀河の時空を抜けて ダールトン忘却兵器極秘作戦 ! 〈 ;.415 4 〉 神々の国 ゴルの妖怪 ダールトン 9 死にゆく太陽の惑星〈〉 忘却兵器極秘作戦 ! 死にゆく太陽の惑星 望郷の宇宙帝国〈 SF158 〉 ダールトン ・タールトン 発狂惑星 ッグランの反徒 川宇宙の不死者〈 ;-k 12 8 〉 朝亠郷の宇宙帝国 宇宙の不死者 精神寄生人の陰謀〈 2 〉 三惑星系 ダールトン 2 精神寄生人の陰謀 2 宇宙船タイタン 0 ! 〈 16 6 〉 ダールトン 巨人のパートナー プラント 宇宙船タイタン 0 ー 銀河の麻薬商人〈 SF171 〉 銀河の麻薬商人 人間とモンスター 銀河の病巣アラロン〈 SF176 〉 ダールトン 銀河の病巣アラロン ・フラント アルコン鋼商売 地球替え玉作戦〈 179 〉 ゴム応答せず 地球替え玉作戦 地球死す〈 SF184 〉 ダールト / 地球死す シェール アトラン 仮面のインスペクター〈 ;-418 9 〉 ・フラント 生命を求めて ダールトン 仮面のインスペクター 金星の決闘〈 19 2 〉 ポスト核世界イザン 金星の決闘 ヒュプノの恐怖ふたたび〈 19 8 〉 プラント ヒュプノの恐怖ふたたび ダールトン 生ける死者 姿なき攻撃〈 2 0 4 〉 暗殺者たち ダールトン 姿なき攻撃 アトランティス要塞〈 210 〉 無からの帰還 アトランティス要塞 ロポット・スパイ〈 219 〉 ダールトン ロポット・ 青い小人たち 時の牢獄〈 TJ 2 2 7 〉 マイクロ・エンジニア

3. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

ら、それ以上の誤解を防ぐためにすでにわたしたちが結婚している スペシャリストは、ニャニヤ笑っていた。アソティの質問を聞き 事実をかれに報告しておいた方がよいと考えました。そのうえでわ流した。 たしは、合法的な離婚を就道に乗せることを頼んだのです。ャムン 「おお、それは非常に残念です。そうでしよう。サー。わたしのよ は、わたしよりはやくテラの大使と会っていました」 うな波乱に富んだ人生を歩む男にとっては、・、 ノラ心理学的に免疫が アンティは、思案しながらうなずいた。彼は疑念をまったくいだあるということは好都合です。あなたは、すでにどのくらいのミュ いていないように思われた。 タノトが、太陽系帝国秘密情報局の委託を受けてわたしの意識内 「似たようなことをわたしも考えました。なかなかやりますね、テ容を調べたかと思いますか ? 他の者は技術的機材をつかって調べ ケナーさん」 ようとしました。わたしは以前にあなた方アンティの代表によって スペシャリストは平然と飲み物を口にはこんだ。彼は、待っこときわめて厳しく審問されたこともあります。結果はかんばしくあり ができた。アンティは、初対面のあとでどの程度行動したらよいもませんでした。わたしは、薬剤にも、テラのミュータントにも、そ のか、心のなかで悩んでいるらしかった。その結果は、テケナーにれに催眠暗示による。ハラ・メカニックな尋問にも反応しませんでし とっては好都合であった。 た。のちにあなたにとってもわたしにとっても面白くないことにな 「手短かに話しましよう。あなたは、主計監ヌラート・ サシナーとるかもしれない事柄をあなたが発言される前に、 この程度のことで 決闘したことでわれわれに重大な損害をあたえました」 満足してください」 「なんですって : : : ? 」テケナーか驚いた。 アンティは思案した。テケナーは自分がきわめて危険な崖の前に アンティは、、 しんぎんに頭をさげた。 到達したことを知った。精神安定療法は 0 のメド日センターっ 「もちろんあなたはご存じありません。そうでなければとっくにあまり惑星タフンで行なわれた。 なたは亡くなられたでしよう」 「いちかばちかやってみましよう」アンティは決心した。「あなた 「きつい表現ですね」テケナーは笑った。「何のことなのでしようが完全にわれわれの手中にあることを、肝に銘じてください。テケ ナーさん、ヌラート・ サシナーはもはや任務を遂行できなくなりま 「このことをあなたに申し上げるために、わたしはここにまいりました。その役目はあなたが引き受けてください、あなたの方がまし した。その前にもうひとっ質問があります。あなたはパラ・サイコでしよう。われわれはある装置を完成するために、シガで製造され に関しては無感覚です。いったいどのような医師たちが、あなたのている部品を二個必要としています。それらは、太陽系の機密事項 これときまった神経のル 1 トに超エネルギーのショック療法をかけの第一級のものです。もしあなたが部品を調達することができなけ て麻痺させることによって、精神の安定をはかるのがよいと考えるれば、われわれはこの建造データで満足します。したがってあなた でしようか ? ルート遮断というプロセスは危険です」 は、ふたつの可能性のうちからひとつを選んでください。サシナー 250

4. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

していた。 これまでけっしてキノト日センターは発見されたことも無線方向 3 0 のスペシャリストたち 測定されたこともなかった。太陽系艦隊の中でも司令部の所 在地を知っている者はわずかしかいなかった。 「あんたはヘルニヤになりますよ ! おそらく、鼠径部のヘルニヤ わたしは艦長の傍の第二司令席に坐った。コルヴェットは高速で かへそヘルニヤになりますよ。きっとあんたはどこかを破損してし 飛びはしめた。早くも数秒後、スクリーン上のキントセンターは まいますよ。わたしはあんたがどこかを破損してしまうと賭けても 肉眼ではもはや見えなくなってしまった。この月は宇宙空間の暗黒 いいですよ ! 」 の中についに吸収され、正体を失った影となった。 「おまえが声帯と呼んでいる機器を切ってしまえ、若僧」 あんたはほんとうにどこかをこわし この銀河系内でただ一人の親友であり、信頼のおける人物である「ええ、なんですって : ・ わたしに対して、シンクレア・・ケノンが打ち出したもろもろのてしまいますよ。おそらくあんたは腕を一本骨折します。そればか 要求をわたしは考えた。攻撃計画はセンター内の巨大なハイバー りか、のこったもう一本の腕を骨折するかもしれません : : : 」 インポトロニクスによって精密に計算され、″優″の評価を受けて「エッカ ! おれはいつもくりかえし同じことばかり聞くのはきら いた。ケノンは物事の関連について唯一独特の勘を働かしていたの いだ」 で精神的な超能力の持主であると信じられるようになった。しかし「しかしあんたがどこかをこわしたら、たいへんでしよう : : : 」 これはあたっていなかった。さもなければケノンはとうのむかしに 「エッカ : 死んでいたことであろう。フィリング星系内の自由貿易惑星レ。フソ 貪欲に餌をたべるマンフィナーは広いくちばしを閉じ、出目をひ ではミュータントを登場させるような失敗は許されなかった。 っこめ、くびのまわりの羽毛の冠をさかだてた。これはマンフィナ コルヴェットはエンジンの音をとどろかせながらはるかなる目標 ーが怒っているしるしであった。 になかっていった。目標はキント Ⅱセンターから一万九千三百十八 「それなら黙りますよ」 光年はなれていた。 「おまえはりこう者だ。おまえが錯乱状態にあるときにどうしてだ ケノンの計画を考えれば考えるほど、わたしはますます快適な気れかがきれいにおまえの羽をむしりとり、そのあとおまえをすぐ近 分になった。さいは投げられた。 DnO の巨大な機構は動きはじめくにあるフライバンに投げこもうと考えなかったかおれはほんとに た。もはや撤収はありえなかった。さもなければ太陽系秘密情報局不思議だと思っている」 の数千人のスペシャリストと防衛要員は深刻な生命の危険におちい 「なんだって ? むしりとる ? わたしの羽を ? 」マンフィナーの るであろう。 声はキンキンとひびいた。つづいて、エッカは緑色の羽根の衣をさ かだてた。 円 8

5. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

霽五 OD. Ⅳ ÄTLÄN シリ乍家たち紹介 藤田卓造 ームにはいる。チーム内では″生産的メン 初めに次のページの表をご覧いたたきた ノ〃と呼ばれる。彼は独身なので、ロー ローダン・アトラン作家チームのメン ・ ( ーである。左の数字が初登場の巻で、右ダンで得たお金は自由に使える。サルジニ アの海岸に別荘を買い、馬や羊を群れさ が今までに書いた総冊数を表わしている。 せ、地中海でポートに乗っている。 両チームにおいて、最も活躍していて、 ・フランシスはイツ ハンス・ギュンター 未紹介の三人がいる。エーヴェルス、フラ ツェホーエで一九三六年に生まれた。一九 ンシス、クナイフェルである。 六一一年にミュータント・テーマの『五人の ・ (..5 ・エ 1 ヴェルスは東ドイツのヴァ イセンフェルトに一九三〇年生まれる。子オリゴ』を初出版。それからの彼の多作ぶ 供の時、宇宙ロケットの前駆的科学者コンりは有名で、ロ 1 ダン以外のすべての スタンチン・ツイオルコフスキーの論文をシリーズに執筆した。ローダンの原稿審査 読み感激し、物理学を学びギムナジウムの係・・シェルポカートはその能力に注 先生となった。宇宙における人類の使命に目し、一九七一年チームに招いた。チーム にはいるとすぐ金持ちになるが、彼は金を ついて書けるのはだと悟り、授業の合 間にを書いていたが、その目的にペリ使い慣れていないので、高価なタイプライ ローダンが一番適していることを知ターを買うことなく、これまでどおりの多 、学校を辞めローダン・チームに加入。作を維持してローダンを支えている。チー 今では大宇宙のエネルギーを受け、ロ 1 ダムでは″北極の光″と言われている。そし ンを書いていると信じている。チームではて彼はチェスの熱狂的プレーヤーである。 これから紹介する三人は、ローダンに限 ″内なる探究者″と呼ばれる。小説を書く ことが趣味だが、それ以外では、古い鉱山らず連邦共和国の界全体から最も期待 されている新人たちである。 をまわって鉱石探しをすること。 ホルスト・ホフマンは一九五〇年生ま ハンス・クナイフェルは一九三六年、 グライビッツで生まれた。早くも一九五六れ。彼は八歳のとき両親に連れられチエム 年、『星が呼んでいる』を処女出版。ドイ湖に休暇に行ったが、運悪く雨であった。 ツの人気テレビ・シリーズ「オリオン」の両親は退屈しているコミック・ファンの息 脚本を書いたり、雑誌に科学評論を寄稿す子のために本を買ってきた。その本がロー るうちに、大学三年のときローダン作家チダンであった。彼はすぐに熱狂的ローダン

6. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

兵器。脳細胞間の電気ポテンシャルの平本名をクリフォード・モンタニーという む。彼らはアクティ・フで本家ほど退化し ていない。アルコン大帝国には忠実であ衡化を著しく遅らすことにより思考をに 地球人ミュータント。彼の両親は実験原 9 ぶらせる。長期にわたりこの放射線を受子炉の暴走によって核の洗礼を受けてし る。二〇四二年、テラナーは固有震動ダ ンパーをテストするため、おとりとしけていると痴呆化から回復不能になる悪 まった。ネガティ・フな性格と体驅を持ち 超絶的ヒュプノ能力を持つ。彼は私設の て、秘密情報局の工作員をェク ( スに投魔的な兵器。 エルトルスクライト星系第三惑星の名。 、、ユータント部隊を創設し、・ヘリー・ 入した。 、三・四 c.5 の 1 ダンに挑戦した。目的は世界征服であ エネルギー・コマンドアコン人の工作部住人はエルトルス人といし る。その名の由来は、彼のはげた大頭よ 隊の名。本来は、アコンの転送ネットワ重力下でも生きていけるよう改造された り来た。 テラ植民者である ( 環境適応プログラミ 1 ク機構の拡大と保守の任に当っていた ングの適用 ) 。植民開始は二〇二六年。 : 、鎖国政策が深まるにつれ、敵対異星 勢力の排除を旨とするようになった。二 一〇三年、部隊は五十二隻のリニア艦と 種々の超兵器を持ち、能力はスペ ( 〔物囈 シャリストに匹敵する。 エプ日ホグテラより千二百八十三光年の 距離にある恒星の名称。第二惑星はオ。フ ガンという名をもつ。 工ベトランその行動と知恵により、″帝 国の騎士″と呼ばれる。二一〇六年より オクル名無しの恒星を巡る三つの惑星の 六千二十三年前、アルコン虹のロポット 脳に安全システム〈日 1 〉をプログラ数世代で身長、肩幅二メートル、体重七第二惑星の名称。テラよりの距離は四万 百キログラムの超重族を越えた人種を生 一千三百八十六光年である。エドモンド ムした大評議会議員にして首席科学者。 み出した。そのメンタリティと体格か ・ヒューアー開発するところの麻薬〈リ アルコン人。 工ポトロンアコン人の時間転換機の名ら、多くの船乗りが輩出している。挨拶クヴィティフ〉の原料が棲息する密林惑 星。アラスとアンティの基地が存在す 称。超古代の技術の産物なので、その製の言葉は″食って太れ″である。 る。 5 造法は失われて久しい。二台あったが、 オスカ・。ハルセーター。フラズマモソスタ 【オ】 テラナーに破壊された。 1 用防御装置の名。〈マル日セ〉の有機 工モシオ放射機。フロフォス人の開発したオーヴァヘッド 人類の最大の敵の一人。 工ルトルス人 オーヴァヘッド

7. SFマガジン 1984年7月臨時増刊号

・チームの研究実験室から奪い取られたかがわからなかった。しかめて精密にしらべられるはこびになったのでしよう。ア・フレックス もきみは盗品が、完全なコ。ヒーなのか、それともわざと欠陥を人れ ・コ。ヒーは毎日ありとあらゆる需要のために作成されています。こ 9 た文書なのかけっしてわからないであろう」 のコ。ヒーは・フリキ形成。フレスのための音響遮蔽装置の設計図から始 くりかえさせていただきますが トランスフォーム砲の モ・ヒレーズはいっそう息苦しそうに呼吸した。わたしは目立たなまり いように呼び出しボタンをおした。地球人の背後にスクリーンがあ設計図のコビーでもっておわっているらしいのです。器具の貯蔵装 置は状態変換器と再物質化装置がコピーされたことを示しています らわれた。監視将校の顔が浮びあがった。 わたしは、気づかれないように大佐をさし示した。将校はうなずが、それが完全なコ・ヒーなのか、いわゆる中ぬきのコ・ヒーあるいは 意識的に破壊装置の接続を組みこんだコビーなのかはっきりとして いた。彼は理解したのだ。そのあとわたしは連絡を切った。 いません。われわれはすべてを在庫としてもちあわせています。カ 「サー、われわれのもっともすぐれた役人が三人のミュータントを ル。フ教授は完全なコ・ヒーはその高エネルギー金庫をいっときも離れ 含めて出動しました。地球の月はまるで魔女の鍋のようにごったが たことはないと断言しています。したがって盗人はただ不完全なデ えしてしまう。われわれは数時間のうちにどのようにしてコビーが ータのコビーしか入手できなかったという可能性もあります」 奪われたかをしらべておきます」 「それでも危険なことに変りはない」 ばくぜんとした希望がわたしの心の中をよぎった。わたしの付帯 「もちろんです。もしアコン首脳部の超科学者たちが動員されれ 脳がインパルスとともに呼び出してきた。 ば、抜けた部分は見破られてしまうでしよう。破壊接続もただちに 〈そもそも盗難がおこなわれたのかな ? おどかしかも : : : 〉 発見されてしまいます」 わたしはこの指摘を実際にロに出してくりかえした。するとモビ 「それがわたしの希望だ ! 」 レーズはけだるそうにほほえんだ。 「何をおっしやるのです。すみませんがもう一度 ? 」 「サー、そこでそのことにわれわれはすぐに気をくばりました。オ 「細部で脱落があったなら、わたしの部下は手がかりをつかむこと リジナルの文書は完全にそのまま無事でした。あなたからの指摘が ができるだろう。テケナーは猜疑心の強いコンドス・ヴァサクの幹 なければ、われわれはこのことにまったく気づかなかったでしょ う。だれかがオリジナルの資料からコ。ヒーすることができる立場に部たちから脱落をあとから充填する能力ありと思われている人物 だ。さあこの準備をしてくれ、スゾナン、どうかあやまった付加デ ありました。そのためその人物は完全なポジトロン走査器をつかい ました。これによって事態は複雑化しました。われわれはコ。ヒー機ータを考えられるあらゆる用途のために考案させてほしい」 「一万歳の男は持前の楽天主義をかなり以前になくしてしまったの 械を発見しました。そしてその貯蔵データから何がコビーされたか がはっきりしました。泥棒としてもこれだけはどうしようもなかつでしようね たのです。でもあなたの照会がなければ、この器具は数カ月後はじ われわれはたがいに笑いあった。わたしのいるセンターの装甲隔

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によって、この自由貿易惑星の権力者が地球のミュータント部隊の ことができない各種各様の勢力からも好意的な支持を受けていた。 6 ーについて、かなり以前から充分承知しているらしいとい 8 このようにしてこれまで知られていた商業犯罪、暴力犯罪それに各メン・ハ 麻薬犯罪をはるかに上まわるような活動を狙いとする、政治的、軍う疑いがもたれていたのだ。 ″延長された戦線″における戦いは、帝国の信頼できるメン・ハーな 事的な色彩の強い運動が広がった。 二四〇六年以後は新しい敵を発見した。その敵は、知られしで遂行せねばならなかった。そのころ内では、恐ろしい意 ざる権力者の影響下に活動し、巨大な経済力、独自の宇宙艦隊を持味をもっ格言が生まれた。それは、「すべての道はレ。フソに通ず : ・ ・ : 」であった。 ち、さらに単にその場で非合法的な活動が行なわれているばかりで なく、科学的にももろもろの研究が行なわれているいくつかの秘密 の惑星を保持していた。 2 政務大提督アトランの個人的状況報告 ″延長された戦線″の中で、コンドス・ヴァサクがナン・ハ の敵となった。二四〇六年七月二十一日、政務大提督アトランは最テレビ・スクリーンは明るくなった。白衣をまとった男の上半身 初のいくつかの手がかりを得た。それはあまりにも重大なことであが認められた。この人はの司令部キントセンターの救急ス り、帝国艦隊の軍事的優勢など一夜のうちにくつがえされるおそれテーションーに勤務する医師である。 があった。 モビレーズ大佐にはさしあたり応急措置をほどこすことが ありとあらゆる事件の焦点は、銀河系内の自由貿易惑星でフィリできるだけという事実を率直にみとめなければならなくなりまし た。もしあなたとの会話がこれ以上できそうならば、たとえあなた ソグ星系の第二惑星レプソにあるように思われた。 ( 注 " 特別コン。ヒューター、太陽系秘密情報局、ネーサン、極秘デを心から尊敬申しあげているわたしとしても服務規定を守らねばな 1 タの請求には情報局長官の承認を必要とする。二一〇三年三月のらないこと、それにわたしの医師としての義務をあなたに充分に顧 慮していただかざるをえなくなります。すみません、サー、しかし レ。フソに対する帝国艦隊の攻撃に関する件 ) 政務大提督アトランは、 0 のもっともすぐれたメン・ハーをコ ソドス・ヴァサクに対抗して投入せざるをえないことをさとった。 医師は残念そうに両手をひろげた。医師は非常に若い男であっ かってコンドス・ヴァサクと接触したのは、秘密工作専門の二人のた。彼にとって 0 の最高司令官にこのような形で警告を発する のは明らかに容易ではなかった。彼の額の上の玉の汗はカラーの立 スペシャリスト、すなわちロナルド・テケナー中佐とシンクレア・ マーロウト・ケノン少佐であった。 体テレ・ヒで見すごされることはなかった。おそらく同僚の医師たち 特別部隊のミ、ータントを投入してはという太陽系秘密情報局のはけっして連絡などしてはいけないと彼に懇願したことであろう。 申し出をアトランは拒絶した。多くのスペシャリストの活躍それに重要な秘密会議の中断は、特別の例外的ケースにだけ認めら

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デイトンはローダソの感情脳波と情緒振動を捕えようとしてい たのだ。 「ローダンを批判したくらいで、・フリーが逮捕されるとは。そんな ・ハ力なー とにかく情報を集めてみよう。銀河のどこかで火の手が 「できない。彼は完全にシールドしている」 「彼に何が起きたか、それさえわかれば」と・フルはこ・ほした。「オあがれば、すぐにわかることですよ」 ラナとともに旅行に出かけてから変った。行こう、ガル。 それからほどなく彼は知った。大艦隊がアンドロメダ方面に移動 のことを相談しよう」 中であることを。かつまた、銀河の各星域において、テラナーとこ 二人の男はもうこの部屋に戻ってこなかった。武装した太陽系情れまで親しかった種族同士が戦闘を始めていることも。 報局員が会議室に押し入ってきて、帝国元帥とチーフを逮捕したの 「そっとするな」アルコン人は打ちのめされる思いだった。彼は会 である。 議には代理をたて、すぐさま地球へ戻る準備にとりかかった。べリ ・ローダンに事情を問いただす前に、まずミュータントと相談し オラナ・セストレは自分が目のあたりにしたロ 1 ダンの発作の件たかったのだ。その時、未知の構造を持った宇宙船が太陽系付近に で、夫の一番古い友人と話そうとした。だが間もなく・フルが逮捕さ出現し、破壊される前には冥王星があった戦道に移動して、待機ポ ジションについたという報告を受けた。 れたことを知った。そしてペリーが約東を守らず、検査を中止した ことも。オラナは耳を疑った。彼女は大提督アトランを訪ねること異星人は船内での大提督アトランとの単独会見を求めていた。 にした。アトランは月の大頭脳ネーサンの共同使用に関する諸種族「待たせておけ」アトランは将校に指示した。 ローダンのことだと言って の会議に参加している。彼女は親しい商人の船で月に赴いた。ペリ 「強引なのです、サー。用件はペリー・ ローダンには黙って。 おります」 たぶん、ローダンの監視はもうないだろう、と彼女は考えた。そ アトランとオラナは視線を交した。 れから自分をばかな女だと謗った。最近のローダンの不審な行動に「彼の名前は ? 」 は何かが隠されている。ローダンが彼女の知っているローダンであ「 トリュトラエと名乗っております、サー」 るかどうか自信が持てなかった。 三時間後、アルコン人は異星船にいた。 二人のテラニア帰遠がすべての発端なのだ。 ・ヘリーが帰遠後に話したことを考えると、アトランは背に冷たい 今度彼女がペリーに会うとき、夫は腕を大きく広げてくれるであものを感じた。ナウ・ハウムと銀河の間の超遠距離をトリトラエは ろうか : どうして翔破できたのか。アトランはとても信じられなかったが、一 着陸後二時間にして彼女はアトランと面会していた。 もしその話が本当だったら、ペリーにストップをかけるのにそう危 2 アルコン人は彼女の話にうろたえた。何ひとっ知らなかったの険はないはずだ。彼が銀河とアンドロメダを混乱の渦にまきこむそ

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「名前だけなら知っています。彼は徴笑するんと呼ばれています。ている金属性の巨大な装置はとても書き机などと呼べるものではな っこ 0 わたくしはあなたがほんとうにベスト・メン・ハーを投入されたよう 五回コール・シグナルを送ったがなんの効果もなかった。シンポ に思われます」 ミュータントにはレ ルはいつも赤いマークをあらわした。 「この場合にはまさにベスト・メン・ハーだー ・フソで活動の余地がない」 「無駄だ。どんな評価も与えてくれない。わたしはただきみが推量 コンドス・ヴァサクに 「そのことについてはわたくしはまだ確信できません。わたくしはしていることを確認することしかできない。 ここでわれわれの提案を繰り返します。あなたにテレバスを一人、よってこれまで知られなかった程巨大な権力手段を備えた銀河シン テレキネスを一人、それに透視能力者のマルテンを起用できます。ジケートが出現した。その活動をたしかに違法呼ばわりすることは 丿ー・ローダできるけれども、だからといってなんら実際的効果をあげたことに ただ残念ながらテレポーターはアンドロメダ星雲のペ 1 ここで問題になっているのは、もはや小規模な闇商 はならない。 ソのもとに留まっています」 売、脱税、麻薬売買、ホワルゴニウムの横流し、賭博場の経営、ゆ わたしは手で拒絶のしぐさをした。 力しる。。 ( ラ追跡すり、それにあれやこれやの違反などでなく、もっと高度の目標で 「無駄だよ、親愛なる友よ、レ・フソにはアンティ・、、 器がごまんとおいてある。・ ( アロル教団の祭司たちは多くのことをあることはたしかだ。アコンとアンティは、この組織に手を染めて いるかもしれない。当然のことながらこれまで知られているありと 学んできた。動員された地球のミ = ータントの各メン・ ( ーはすっか り知られている。・ ( リアをつくってよせつけないのだ。太陽系秘密あらゆる犯罪もついでに行なわれている。コンドス・ヴァサクの権 情報局の首脳陣はいつになったらミ = ータントが万能選手でないこ力者は、小さなもうけでもけっして軽蔑していない。だがもっとも とがわかるのだろう ? われわれ銀河系の地獄、自由貿易星のレ。フ重要な目標は太陽系の統一をきりくずすことだ。たとえばわれわれ ソには普通の人間あるいは人間以外の信頼できる存在が出動せねばのトランスフォーム砲の設計データをあのこそ泥は何に使おうとい うのだろう ? このデータを活用するには、準備万端ととのえた第 なるまい」 連絡将校は熟考した。わたしは彼が目に見えて弱「てきたのがわ一級の科学者チーム、工業施設、巨大な実験室、それに第一級の品 質の製品をつくり出す企業が必要だ」 かった。鎮痛注射の効果が薄らいできた様子であった。 「だれでもデータを売ることができます」 「きみは病院に行かねばならない、スゾナン」 リアが、地球の最大の秘密を盗み出すことがで 「きみは情けないパ 彼はやにわに鈍くなった目付でわたしを凝視した。彼はほほを。ヒ きると信じているのか ? わたしはけっしてそうは信じないー クビクふるわせた。 コンドス・ヴァサクとはなんですか ? 」わたしは立ちあがみはほとんど全能といってもいい太陽系秘密情報局の代表者であり円 「サー 、執務机の方に歩み寄った。それこそ何千ものスイッチがおかれながら、いまのこの瞬間に至るまで設計コビーがいかにしてカル・フ