レセクは太陽系秘密情報局の仕事上ではいわゆる″眠る人″であまったく耐えられない事柄を経験した。これらの事柄は彼の精神的 った。彼の生涯の中でひとたび偉大な瞬間が来るまで、彼は長い年能力を大幅に上まわっていた。彼はーーーまったく単純にいって 月仕事らしい仕事は何もせず、業績を認められないまま、将来の出練習不足であった。そこで彼は、もしたえず実務についていたら、 撃計画をつくるという分野でのんびりと暮していた工作員であっけっしておかさないような失敗をやらかした。 た。″眠る人″は一人だけではない。彼らは、当然そうあってしか彼は秘密情報局員としてもっとも重要な原則を破り、のあ るべきほどの尊敬を受けていなかった。彼らはいくらかなおざりに る重要人物と連絡をとろうと試みた。しかし、これはスペシャリス されていた。 トの第一原則の破減的な違反であった。 その結果、・ とうしても彼らの技術訓練の状態は時代おくれとなっ た。彼らの行動のなかに失敗欠陥があらわれた。それが特に目立っ たのは″眠る人″とされた男女が、二十年、あるいはもっと多くの ハル・レセクはオル・ハナ市北部の住宅区域の静かな路地に立って 年月、ぶらぶら暮していたあと、思いがけず、彼ら自身としても重 いた。この路地は広い公園地域の中にのびている庭と庭とをつなぐ 要なことはわかっているのだが、もはや正しい評価ができなくなっ 連絡路であった。 た事件にまきこまれたときである。 夜になった。温度は摂氏二十二度に下った。太陽系秘密情報局の ( ル・レセク大尉はその好例であった。彼はたしかに信頼できる古手の大尉は、このくらいの温度にもかかわらず、こごえていた。 人物であった ! 彼はただ最良のことだけを欲した。彼は二十年レ彼の右肩にある大きな弾きずが燃えるように痛んだ。数時間前まで ・フソに住んでいた。赴任当時、彼は苦労したものだ。彼に対する邪は彼は灼熱の地獄の中を歩んでゆかねばならないと信した。しかし 推がすっかりなくなるまで何年もかかった。彼はめったには他の秘今や彼はこごえているのだ。悪寒が彼の肉体をゆさぶった。彼はも 密情報局員と連絡をとらなかった。そういうわけでも彼をほはや命が長くないと予感した。おそらくあと数分しかもたないであ っておいた。 ろう。 ( ル・レセクはまさに典型的な″眠る人〃になった。彼は惑星レ彼は数時間前ェア・グライダーにのってここを飛び立ったある男 ・フソでは最大のポジトロニクス計算センターのチーフ・。フログラマを待っていた。いずれ彼はもどってくるだろう。そのあかっきには ーとして機密に参与できる地位にあった。このセンターは南部大陸 そのようにレセクは信じたーーーおそらく、彼の生涯のなかでも のイシガット市の近くにあった。 っとも意味深い瞬間が来るであろう。彼はものすごく価値のある証 イシガット市はラヤン・ホメンドが死んだらしいといわれている言をすることができた。 3 都市である。 この見解は正しいけれども、やはりまちがっていた。ハル・レセ 5 数週間前、 ハル・レセクはそもそも快適に暮してゆくためには、 クは、 0 の高級将校とはけっしてこうした形で接近してはなら おかん
状態にあった。 DTO の支配者、政務大提督のアトランは崩壊しつ つあったアルコン帝国の皇帝を退位する以前、数多くの財政的に豊 かな惑星を味方に引き入れるのに成功していた。 二四〇六年七月、設立後およそ三百年では銀河消防隊とい う名声を前にもましてほしいままにした。銀河系内の政治が大宇宙 を舞台として発展してゆくにあたって、 DtnO がしだいに太陽系帝 国の利益のために奉仕するようになったことは疑いの余地がない。 もともとはひたすら軍事的な性格をもっていた >tnO は、活動を 続けてゆくうちに太陽系艦隊の作戦計画にも、はたまた太陽系秘密 情報局の出動・フログラムにも含まれていないような内政面ならびに 外交面でのもろもろの難題と戦うはめになった。 二十五世紀のはじめのころ " 延長された戦線″という概念が生ま れた。 ノ 1 ー・ 大執政官ペ ローダンは帝国の軍事的ならびに経済的な力を あげて、島の主人たちとの戦いに投入せざるをえなくなった。帝国 の予算は二四〇五年一月十五日付ですでに八十億ソラーにのぼる赤 字を出していた。 アンドロメダ星雲の星域への出動は、かって人類が行なったいか なる事業よりも費用がかさむことが明らかになった。そのころ秘密 情報局は、いかにすぐれた訓練を受けていたとはいえ、 ト部隊を異常なほど大量に求めすぎていた。ところが彼らは故郷で ある銀河系内では利用できなかった。 政務大提督アトランは太陽系帝国と銀河系の内部で発生する無政 府主義的なもろもろの動きに >TO が対抗し、それに必要な費用を 分担する用意があると宣言した。 数多くの銀河系内の利益グルー・フ、たとえばアコン、銀河商人、 ソ 1 ー・ ローダン・シリーズと並ぶこのアトラン・シリーズは、 長年にわたる準備のあと一九六九年に開始された。最初の構想に は、チ 1 フ・オーサーの・・シェールの持ち味が生かされてい る。「アトラン」 ( 副題、人類に委任されて ) はユナイテッド・ス ターズ・オーガニゼーション 0 ) の情報部員の活躍をあっか っている。 TJ C はペリー ・ロ 1 ーダンの太陽系帝国のための銀河消 防隊といわれている。しかしその主任務は火災を消すことではな く、むしろ火災を監視することである。の弟分、 (-)—< のよ 、この秘密組織の活動分野は、もろもろの惑星の独立運動とい うべスト菌を一掃するために″節度ある分子の依頼に応じて援助に のり出す″以前にうさんくさい惑星の居住民を逆に挑発することに ある。共産主義との闘争のように行なわれる、こうした銀河系の悪 漢たちとの戦いは三百巻までつづけられ、それ以後は伝説のアトラ ンティス大陸探査の物語に移行する。 ( 訳者 ) シ リ の ペ ー 84
によって、この自由貿易惑星の権力者が地球のミュータント部隊の ことができない各種各様の勢力からも好意的な支持を受けていた。 6 ーについて、かなり以前から充分承知しているらしいとい 8 このようにしてこれまで知られていた商業犯罪、暴力犯罪それに各メン・ハ 麻薬犯罪をはるかに上まわるような活動を狙いとする、政治的、軍う疑いがもたれていたのだ。 ″延長された戦線″における戦いは、帝国の信頼できるメン・ハーな 事的な色彩の強い運動が広がった。 二四〇六年以後は新しい敵を発見した。その敵は、知られしで遂行せねばならなかった。そのころ内では、恐ろしい意 ざる権力者の影響下に活動し、巨大な経済力、独自の宇宙艦隊を持味をもっ格言が生まれた。それは、「すべての道はレ。フソに通ず : ・ ・ : 」であった。 ち、さらに単にその場で非合法的な活動が行なわれているばかりで なく、科学的にももろもろの研究が行なわれているいくつかの秘密 の惑星を保持していた。 2 政務大提督アトランの個人的状況報告 ″延長された戦線″の中で、コンドス・ヴァサクがナン・ハ の敵となった。二四〇六年七月二十一日、政務大提督アトランは最テレビ・スクリーンは明るくなった。白衣をまとった男の上半身 初のいくつかの手がかりを得た。それはあまりにも重大なことであが認められた。この人はの司令部キントセンターの救急ス り、帝国艦隊の軍事的優勢など一夜のうちにくつがえされるおそれテーションーに勤務する医師である。 があった。 モビレーズ大佐にはさしあたり応急措置をほどこすことが ありとあらゆる事件の焦点は、銀河系内の自由貿易惑星でフィリできるだけという事実を率直にみとめなければならなくなりまし た。もしあなたとの会話がこれ以上できそうならば、たとえあなた ソグ星系の第二惑星レプソにあるように思われた。 ( 注 " 特別コン。ヒューター、太陽系秘密情報局、ネーサン、極秘デを心から尊敬申しあげているわたしとしても服務規定を守らねばな 1 タの請求には情報局長官の承認を必要とする。二一〇三年三月のらないこと、それにわたしの医師としての義務をあなたに充分に顧 慮していただかざるをえなくなります。すみません、サー、しかし レ。フソに対する帝国艦隊の攻撃に関する件 ) 政務大提督アトランは、 0 のもっともすぐれたメン・ハーをコ ソドス・ヴァサクに対抗して投入せざるをえないことをさとった。 医師は残念そうに両手をひろげた。医師は非常に若い男であっ かってコンドス・ヴァサクと接触したのは、秘密工作専門の二人のた。彼にとって 0 の最高司令官にこのような形で警告を発する のは明らかに容易ではなかった。彼の額の上の玉の汗はカラーの立 スペシャリスト、すなわちロナルド・テケナー中佐とシンクレア・ マーロウト・ケノン少佐であった。 体テレ・ヒで見すごされることはなかった。おそらく同僚の医師たち 特別部隊のミ、ータントを投入してはという太陽系秘密情報局のはけっして連絡などしてはいけないと彼に懇願したことであろう。 申し出をアトランは拒絶した。多くのスペシャリストの活躍それに重要な秘密会議の中断は、特別の例外的ケースにだけ認めら
どんな成果をあげたと思ったのですか ? それは大きな間違いで ればならなかったのです、サー」 ケノンは前方に走った。格納庫のドアは閉ざされた。灯火がひらす ! まるで子供がしでかすようないたずらじゃありませんかー めいた。ケノンは無精ひげをはやし、顔面をゆがめた相手の顔を見あなたはすぐれた科学者を相手にしていたのですよ。あなたはみつ おろした。この招かれざる客は疑いもなくテラナーであった。彼のかってしまいましたね。そうでしよう ? 」 血まみれの掌のなかに絶対模造できない太陽系秘密情報局の勤務章「そのとおりです。しかし敵は遅すぎました。わたしは脱走できま した」レセクはのどをごろごろいわせて述べた。「サー、あなた方 が輝ゃいていた。 は、トランスフォーム砲の建造データが相手の手に入ったことを認 ケノンはわれを忘れた。彼はこの情報局員がどんな失敗をやらか めなくてはなりません」 したかを見抜いた。 「だれもわたしを見た者はありません」レセクはつづけた。「どう「そんなことはずっと前から知っている ! 」ケノンは自制できず大 かわたしを寝かせておいてください、サー。わたしの体に触れない声で叫んだ。「しかもあなたはここまでやってきた。な・せあなたは でください。わたしに残されたのはあと数分だけです。少佐、わたあなたのセクション・チーフと連絡をとらなかったのです ? あな しはイシガットの中央計算センターのチーフ・プログラマーでしたは秘密情報局の第一原則をご存じでしよう、それとも ? わたし た。四週間前、わたしはアインヒンガー式暗号のデータ・テー。フをは : : : 」 ケノンは絶句した。彼の探知機の。ヒービーという音を彼ははじめ 入手しました。わたしと他の十人の専門家は、それを解読するよう 命・せられました。ポジトロン・センターが一丸となって、数週間にて聞いた。彼は左腕を曲げて、探知機を、ついでレセクをじっと見 わたり、ひたすらこの仕事に取り組みました。サー、わたしはこのつめた。ケノンはレセクの弛緩した肉体をさぐった。しばらくさぐ っているうちに、彼はマイクロ送信機を発見した。 テー。フがトランスフォーム砲のデータをあっかっていることをさと りました。ただわたしの評イ ( 西よあやまっていました。わたしは、余 ハル・レセク大尉は、だれでも好きなときにその位置をたしか 計なシンポルを追加し、あやまった評価を提供しました」 め、かっ傍受できるようになっている生きた受信・送信ステーショ ーのパックルにセットし ケノンは冷汗を流した。彼は負傷者のロを閉そうとっとめたが無ンだったのだ。送信機は幅のせまいオー・ハ てあった。 駄であった。 「かまわないでください、サー。わたしたちの話はだれにも立ち聞 ケ / ンの頭脳はいまや再び持ち前の精密さで働きはじめた。レセ きされていません。データはあやまっていました。どうか聞いてく クはかなり以前から追跡されていた。しかしレセクが連絡をとるで ださい。サー、わたしは : : : 」 あろう人間を発見するため、わざと泳がせておかれていた。データ 5 「さあ、ここで、完全に口を閉じてください。あなたは・ ( 力者でがあやまっている事実が、最初の実験の失敗のあと、すぐにわかつ す」ケノンはしやがれ声で相手の話を中断した。「あなたの行動がてしまったのは明らかである。は再び、悪魔のような賢さで
「テラのアヒルと、ボクシングのグロー・フをはめた七面鳥のあいのは数多くの奇妙な情熱をもっていた。その一つは武器蒐集癖であっ このような様子をした生物は飢えた他所者とっきあうときはうんとた。彼の蒐集は知られている限りの銀河系内では随一とされてお とりわけ、よそものの神経をさかだてるり、この種の他の蒐集とちがってしばしばの出撃の際に実際 用心しなくてはいけない。 に使われていた。 ようなことをしてはならん」 たとえばテケナ 1 はアンティの個体バリアに対して近代的な光線 ェッカは聴取可能の最上限に達するような高いひびきをたてた。 出目はますます突き出し、大きな足は軽蔑をあらわすように地ひび銃をつかうよりは、テラ製の古式ゆかしい前脚つき散弾銃をつかっ た方がはるかに貫通しやすいと考えていた。実際にこのスペシャリ きを立てた。 ストは一度ならず、。ヒストルや小銃を用い、もっとも現代的な武器 「八万ヘルツかな、もしかするともっと高音かもしれない。若僧、 おまえが世話するはずの人の聴力を害するような音を立ててはならに対抗して敢然と身を守ることができた。 ただしこのような冗談めかした行動は、多くの銀河系の知的な諸 ないよ」 「わたしはだれも害したりしませんよ。わたしたちマンフィナーは民族のなかで、高価な大時代的博物館入りにふさわしい物品を蒐集 銀河系内でもっともすぐれた料理人とされているんです。ほんとうしかっ操作することのできる有名なこの男だけができることであっ た。他ののス・ヘシャリストなら異星の辺境に姿をあらわすや に銀河系内のいたるところでわたしは有名なんです。ところでわた いなやその土地の原住民を刺激するなげやりな仕方で荷物の包装を しがなぜだか知りたいことがあるのです」 ほどき、原住民の猜疑心をひきおこすことなくこれらの物品を利用 「・ : ・ : おまえはここに派遣されてきたわけか、おまえの客がぶかっ こうなカタッムリを焼いた料理や、シーラカンスの生きづくりをたすることなどとうていできなかったろう。 スマイラーにはそれができた。彼は、銀河系内でもっとも謎の多 ・ヘないのはな・せだろう ? おちつけ、若僧、・ハンケーキ、シロッ い人物で、こそこそと語りつがれるもろもろのスキャンダルの持ち ブ、それに地球のコーヒーなんかどうだい ? 」 主であった。 「いいとも、わたしが用意しますよ。それではデザートは ? 」 テケナーは巨大な財源を抱える正体不明の人物とされていた。大 「マンフィナーの肉がいいね。おそらくもも肉あたりがいし力な ? 」ェッカの態度いかんにかかわらず、とてつもなく重たい武器を銀行、財界人、重要な政治家、業界の指導者、地下運動者との彼の しやべりながらもてあそんでいた背の高い男は申し込んだ。その武暗い結びつきは、各種の諜報組織によって熱心に観察、吟味されて 器というのは、おそろしく旧式なテラ製の・ ( ズーカ砲であった。こいた。 ただ DTO と太陽系秘密情報局だけは、テケナーの派手な生活を の砲には手製のグリップがついており、あきらかにお払い箱になっ ことさらきらびやかに助長する組織ではなかった。や情報局 9 た二十世紀の無限軌道車の備品であったことを示していた。 スペシャリストのロナルド・テケナー中佐、人呼んで微笑する人ではこの天才的な人物が何者であるかを知っていたからである。
迎会の席上、カル・フはアントルスの執政官ラヤン・ホメソドにめぐ エルトルスの女性のひろい顔が現われた。 重力がきわめて大きな星の住人にと「て彼女はたしかに美人とさりあ 0 た。この機会に彼は執政官にデ 1 タ入りのテー。フを手渡し れていた。わたしは別の意見をもっていた。しかしそんなことは重た。 月の科学研究所長以外には窃取は不可能であり、そのことを敵は 要ではない。 よく知っていた。一 「あなたもやはりインテリアの係かい ? 」 一時的に逮捕されたとき、カル・フは世の中がまっくらになったよ 「そうです、わたくしはエルトルス人の居住域を担当しています」 うな気がした。情報局のミ = ータントがカル。フが数週間にわたり、 「すまないけどね、仕事をするために、どうかわたしの執務室に入 0 てこないでくれたまえ。もちろんその他の場合にはいつも大歓迎パラ心理の暗示・フ。 ' クをかけられていたことを本人に確信させる までは。 をするけどね。ありがとう。以上だ」 これはそれまで知られていなかった他人の意志に影響を及ぼす独 「それでも何かお望みなのではありませんこと、サ 1 ? 」 「わたしが ? あなたは夢を見ているんじゃないか ? わたしは安特の方法であ 0 た。その方式はま 0 たく目立なか 0 たために、月面 基地のコントロール機器はまったく反応しなかった。 楽椅子を確保していればいいんだよ」 しまのところ たがいったいどのようなしくみになっているかは、、 わたしはスイッチを切った。エルトルスの女性と趣味について論 この暗示・フロックはわれわれがどのような敵 まだわかっていない。 議するのは、地球生まれの人々と似たようなことをするよりもいっ そう無意味であ 0 た。平均体重が八百キ。グラムもある女性は通常ととりくまねばならないかを教えてくれた。外部の者が、太陽系帝 国のなかでもことさらに厳しく守られている科学者をいかにして精 の体重をもつ人間の生活習慣などを親身になって考える能力などい 神的にわがものにすることができたかは、わたしにも謎であった。 っさい持ちあわせていなかった。 カルプはもちろんすぐに釈放された。彼はおのれの意志に反して 裏切者となったわけだ。だが、だからといってデータがコンドス・ ヴァサクの手中に落ちた事実に変わりはなかった。怒り狂ったわれ 三日後われわれはすべてを、あるいはほとんどすべてを知った ! = ンドス・ヴ , サクという概念は、われわれにと「てまさに悪夢とらがアルノ・カル。フ博士を筆頭に、太陽系情報局の専門家たちはひ きつづきそもそもどの記録がリコ。ヒ 1 されたかをたしかめた。幸運 よっこ 0 にもカル。フとても , ネルギ 1 金庫を開き、いわゆる完全なコ・ヒ】を コマンドで 銀河系のいかなる組織、たとえアコンのエネルギ 1 も = ンドス・ヴ , サクの壮挙をけ「してなしとげることはできない走査機械にかけることはできなか「た。暗示は ( イ。 ( ー物理学者を この行動にかり立てうるほど強力ではなかったらしい。そうはいう円 であろう。天才的な ( イバ 1 物理学者のアルノ・カルプ博士はコ・ヒ 1 をつくりあげ、それを自らテラにとどけた。地球上のある国賓歓ものの敵はもともとこの種の危険な実験を前も「てあきらめていた
この事件の二時間後、長官エーレット・ヤムンはヴィジフ このわずかのあいだにまだほかの事件が起った。イルナ・イルサ オーンで呼ばれた。彼は間接的ながら、このことを予知していた。 タのいたホテ ~ の部屋に侵入しようとした二人の男は、突然自分た彼の通話の相手は、簡潔に話した。口調はまるで命令を与えてい ちの方に向けられた銃口を見た。五人が彼らに先んじてや 0 てきてるかのようであ 0 た。 いたのだ。 エーレット・ヤムンは三人の護衛とともに出かけていった。彼ら 「あなたたちは当然、テ」ビを通じて、「イク。・ , → ~ 、が花瓶のうちの一人はの医師であ 0 た。彼らの飛行機は小さな個人 の中にあることを聞きましたね。わたしたちもそうです ! もしあ病院の屋上に着いた。この病院のオーナーはアラのチ・、ス なたたちがテケナーの味方なら、退出されてけ「こうです。しかしレン博士であ 0 た。 もしそうでなかったなら : : : 」 赤い制服姿の人々があらわれたとき、アラスはちょうど手術室か 銃ロは上に向けられた。 ら出たところであった。彼は一行の訪問を予想していた。彼は準備 「わたしたちはテケナーの部下です」おびやかされた者のうちの一万端を整えていた。 人が、とげとげしさをやわらげるように急いで言った。 エーレット・ヤムンは、きわめて礼儀正しく、ていねいであっ 「どうもそのようですね。とにかくあなた方のチー , に対して、あた。彼はテケナーの取調べのために、重傷を負 0 た彼の妻に会わせ る程度の危険な仕事に関する資料は、どこか別の場所からも「てくてくれとたのんだ。チ〉・、博士は、医師がよく使う逃げ るようにと伝えてください。あなたたちはおそすぎます。わたした口上を用いた。だが、原則的には博士は〉〉ク」ア・・ケノの ちはテケナー氏と連絡をとります。と 0 とと出てい 0 てください」 指示によって行動していた。 テケナーの部下は出ていった。イルナの部屋にいた妙な人物は、 「あの患者は審問に耐えられるような状態ではありませんよ」 もちろん夫がま「たく知らないうちに太陽系秘密情報局のス。 ( イとテケナーの部下が計画どおり、わざと遅くや 0 てきたのを知らなか して働いていたことが明らかとな 0 た。したが「て、たとえ正当防 0 た。天才的な犯罪学者であるシンクア・・ケノンにしてみれ 2 衛でなか「たとしても処罰はみとめられるはずである。さあ急いでば、敵方にテケナーとの連絡をとりやすくしてやるのが賢明である くれ」 ように思われた。これとねら 0 たはっきりした目標があるので、わ 十分後、テケナーはカジノ監視のための高級警察官から言葉をか ざとしくまれたゆすりでもけっこうだった。 けられた。彼は情報を聞いて満足した。 ねらった目標とは、コンドス・ヴァサクと接触することであっ 「どうかの最高長官にわたしの心からのあいさつを伝えてく ださい。たいへんありがとう」 こ 0
作業した。 減した。これまで、通路とその背後にある空洞の部屋の存在をかく ケノンよ」、」、、 : に , , が秀 ( 〉 " リトであることをうまく否定しており、捜す者には、まるで堅固な土塁でしかな」ようにみせか っ一 するには、すでにあまりにも多くのことをしゃべ「てしま「たと悟けてきた物質凝縮機は轟音とともに消え去 0 た。 った。おそらくすでに重装備の警察グライダ 1 が出発したことであ ケノンは壁を開け、破壊スイッチをオンにし、通路を急いで走っ ろう。格納庫でかわされた会話はひとこともらさず送信機から送出こ。 されたはすだ。 彼が巨大な発電所、秘密送信機、それにありとあらゆる種類の兵 史上もっとも天才的な銀河犯罪学者シンクレア・・ケノンは、 器のある広い空洞の部屋についたとき、自動的に新しく。フログラミ ただ一つのチャンスをもっていただけだ。それは逃亡であるー ングされた彼の従僕ロポットがの精部隊と激戦中であっ 彼はただちに消えなければならなかった。彼が何年も仕事をして 集めたすべてのものを放置し、長年かか「てつくった逃走経路をた ケノンは、いわば活力を再獲得するために三分間を必要とした。 どって脱出せねばならなかった。 身をふるわせ、息をはずませながら、彼は各種各様の秘密スイ〉チ = 0 小男は意識不明にな「た情報局員を、そ 0 ままころがしておを入れた。高性能反応炉が動きだし、たちまち最高能力を出すと一」 」た。彼にはもはや他 0 選択はなか「た。秘密情報局員が生き 0 びろまで達した。前も 0 て準備されて」た緊急電文が自動的に送出さ てゆくための法則は、苛酷であり、ともには、そればかりか無慈悲れた。 そのものであった。 ちょうどこのとき、テケナーはケノンが、生命を失ないそうなき ケノンは走った。彼は息をはすませパ = ックに襲われながらも、 わめて危険な状態にありながら逃走中であることを知「た。また他 格納庫リ「 , トめがけて急ぎ、リ , トに飛びこなと、地下室に下降さ 0 ポ ~ 通信は、現在も「とも緊急な業務が危険にさらされて」 せた。地下室につくと、上空にはすでに爆音がきこえた。 ることを知った。 の空陸両用戦車は格納庫の扉を押し破「た。ケノンは例の これ以上のことをケノンはもはやできなか 0 た。部屋の背後に小 太陽系秘密情報局員が、その際殺されたかどうか、その後一度も聞 型転送機の真紅の = ネルギー・アーチが輝ゃいた。受入れステーシ くことはなかった。 = ンは、いざ逃走という場合のために、の技術者が沼のよう ケ ' 〉は自宅の防御【リアのイ ' チを入れた。が認可しな海の底に待機させておいた宇宙艇の中におかれて」た。 たノーマル反応炉は、そのために必要な電流を供給してくれたの ケノンは再び大時計の針をみた。あともう二分間すると効果的な だ。警官たちは、さまざま 0 防御・ ( リアを突破する 0 に」くらか時熱核反応が = 0 部屋 0 中 0 す ~ て 0 物体を灰と気体に変えてしまう 間をかけるであろう。 であろう。 ケノンの面前で岩壁の一部がスルスルと開いた。防御パリアが消 ケノンはむせび泣いた。この仕事をする上での未知のファクター こ 0
なりませんか、サー」 を獲得しようとっとめた。 わたしは自分が執務している椅子の背にあるスイッチのボタンを わたしはうまい時期にこうした動きについて充分に察知した。わ おした。巨大な装甲。フラスト壁の前の視界シールド・ ( リアが開かたしの情報提供者はキラス・トスマティル大尉であった。 れた。われわれは今や前方にひろがる広間の中をみわたすことがで わたしとしても DTO の上陸用艦隊を突然さしむけることによっ きた。逆の方向からわれわれを見ることはできなかった。 てアントルス人に正義とは何か、不正とは何かを教えるのは正しく 科学幹部会の数百人にのぼる男女が最近の情報の判断について論ないと考えていたので、太陽系帝国の蔵相のホーマー・・アダム 議していた。数学者、数理論理学者、銀河系心理学者、人類学者、スにアントルスⅣに飛び、住民に地球との契約内容を思い出させる それにさまざまの専門分野にわたる人々であった。 ことを依頼した。さらにホーマー・・アダムスはテレ・ヒ放送を通 コン。ヒューターのにぶい音、自動記憶装置ならびに伝達装置の接じてアントルスⅣが経済的にいかに密接に地球と結びついているか 続の際のカチリというひびきまでが制御録音によってわたしの執務を反省するよううながした。アントルスの重工業の育成だけでも九 億五百万ソラーを要したのだ。 室にも伝えられた。これは気分を憂うつにさせる騒音であった。 わたしはチラチラする光のマークとダイヤグラムのスクリーンを始まった反乱は自然に鎮圧された。流血の惨事もなく静かにおわ 観察した。ずっと右側にはっきりした文字の列があった。確率係数った。 が、六十五パーセントを上まわる重要な情報ないし評価が直接わた ただ現職の政府首脳は別の道を選んだ。ラヤン・ホメンドはひそ しのもとに伝えられた。 かに八百万ソラ 1 という大金を抱えて姿を消した。 わたしはキラス・トスマティルという名の男のことを考えた。彼もしアントルスⅡに駐在していたスペシャリスト、キラス・トス は 0 のスペシャリストであった。今や彼はアントルス星系の一 マティルの 0 がキャッチされなければ、われわれのスペシャリ 惑星上の開拓居住者の墓地に眠っていた。 スト・チームの探査もなんらの成果をあげることなくおわったこと 。フレャデス星団内の高度に発達した惑星アントルスⅣの住人のだであろう。 れしもが、法によって定められた百年間という入植期限が、まだ経彼は瀕死の状態で発見された。トスマティルはなんの陳述もでき 過していないことを知っていながら、なおかっこの惑星の独立実現なかったが、それでもわたしの部下にマイクロカセットを手渡すこ のために戦っていた。ローダンが不在であったこと、それに帝国のとには成功した。 財政が崩壊しはじめたことによっていろいろと具合の悪い結果が生録音やビデオのカセットをしらべてゆくうちに、これまで人をた じてきた。 まし法をやぶるけしからん役人とだけみなされていた人物が、いき 三カ月前、アン・トルス人は彼らの執政官ラヤン・ホメンドの指導なり銀河系内の中心的存在にのしあがっていった。 の下に政府の新選挙を妨げ、地球から離脱し、彼らの外交上の自立 ホメンドがひそかに八百万ソラーを持ち逃げしたいきさつの説明
「名前だけなら知っています。彼は徴笑するんと呼ばれています。ている金属性の巨大な装置はとても書き机などと呼べるものではな っこ 0 わたくしはあなたがほんとうにベスト・メン・ハーを投入されたよう 五回コール・シグナルを送ったがなんの効果もなかった。シンポ に思われます」 ミュータントにはレ ルはいつも赤いマークをあらわした。 「この場合にはまさにベスト・メン・ハーだー ・フソで活動の余地がない」 「無駄だ。どんな評価も与えてくれない。わたしはただきみが推量 コンドス・ヴァサクに 「そのことについてはわたくしはまだ確信できません。わたくしはしていることを確認することしかできない。 ここでわれわれの提案を繰り返します。あなたにテレバスを一人、よってこれまで知られなかった程巨大な権力手段を備えた銀河シン テレキネスを一人、それに透視能力者のマルテンを起用できます。ジケートが出現した。その活動をたしかに違法呼ばわりすることは 丿ー・ローダできるけれども、だからといってなんら実際的効果をあげたことに ただ残念ながらテレポーターはアンドロメダ星雲のペ 1 ここで問題になっているのは、もはや小規模な闇商 はならない。 ソのもとに留まっています」 売、脱税、麻薬売買、ホワルゴニウムの横流し、賭博場の経営、ゆ わたしは手で拒絶のしぐさをした。 力しる。。 ( ラ追跡すり、それにあれやこれやの違反などでなく、もっと高度の目標で 「無駄だよ、親愛なる友よ、レ・フソにはアンティ・、、 器がごまんとおいてある。・ ( アロル教団の祭司たちは多くのことをあることはたしかだ。アコンとアンティは、この組織に手を染めて いるかもしれない。当然のことながらこれまで知られているありと 学んできた。動員された地球のミ = ータントの各メン・ ( ーはすっか り知られている。・ ( リアをつくってよせつけないのだ。太陽系秘密あらゆる犯罪もついでに行なわれている。コンドス・ヴァサクの権 情報局の首脳陣はいつになったらミ = ータントが万能選手でないこ力者は、小さなもうけでもけっして軽蔑していない。だがもっとも とがわかるのだろう ? われわれ銀河系の地獄、自由貿易星のレ。フ重要な目標は太陽系の統一をきりくずすことだ。たとえばわれわれ ソには普通の人間あるいは人間以外の信頼できる存在が出動せねばのトランスフォーム砲の設計データをあのこそ泥は何に使おうとい うのだろう ? このデータを活用するには、準備万端ととのえた第 なるまい」 連絡将校は熟考した。わたしは彼が目に見えて弱「てきたのがわ一級の科学者チーム、工業施設、巨大な実験室、それに第一級の品 質の製品をつくり出す企業が必要だ」 かった。鎮痛注射の効果が薄らいできた様子であった。 「だれでもデータを売ることができます」 「きみは病院に行かねばならない、スゾナン」 リアが、地球の最大の秘密を盗み出すことがで 「きみは情けないパ 彼はやにわに鈍くなった目付でわたしを凝視した。彼はほほを。ヒ きると信じているのか ? わたしはけっしてそうは信じないー クビクふるわせた。 コンドス・ヴァサクとはなんですか ? 」わたしは立ちあがみはほとんど全能といってもいい太陽系秘密情報局の代表者であり円 「サー 、執務机の方に歩み寄った。それこそ何千ものスイッチがおかれながら、いまのこの瞬間に至るまで設計コビーがいかにしてカル・フ