ー特別企画・連載⑨ー THE ENCYCLOPEDIA OF SCIENCE FICTION SF 工ンサイクロべディア ピーター・ニコルズ編 浅倉久志・伊藤典夫監修 安田均訳 Copyright ◎ RoxbY Press Limited 1979 P N : ヒ。ータ 几 1 . 邦訳のある作品には邦題を添え、未訳作 品は原題 ( または英訳題名 ) のみ記した。 2 . 原題のうちイタリック体で表わされてい るのは単行本、引用符 ( “” ) でかこんで あるものは短篇。ただし、単行本としては 未刊の長篇や、単行本に他の作品とともに 収められている長篇は、短篇とおなじ扱 3 . 邦題も 2 にならい、単行本は『』で、 短篇ならびにそれに準ずる作品は「」で かこんだ。 4 . シリーズ名は、未訳のものも含めて日本 語で表記し、《》でかこんだ。 5 . 作者名の中には、あえて慣例に従わず、 原音に近い表記をとったものがある。 ( 例 : ヴァン・ヴォート ) 6 . 本文中のゴチック書体は、本事典中に項 目の立てられている見出し語。またポール ド書体の年号は、初版発行年。 7 . 映画および TV ドラマについては、日本 で公開された作品には邦題を『』でかこ んで添え、原題をイタリック体で示した。 未公開作品は原題のみを示した。ポールド 8 . コミックは《》でかこんだ。 書体の年号は、本国での製作年。 B S : プライアン・スティフ・ルフォード J C : ジョン・クルート ー・ニコノレ . ズ 2 7 ー 例 9 . 略語および記号 A S F : アスタウンディング・サイエン ス・フィクション誌、および ( 後 年の ) アナログ誌 F& S F : ファンタジイ・アンド・サイ 工ンス・フィクションんい TWS : スリリング・ワンダー・ストー リーズ誌 NW : ーユ ・ワールズんい : アンソロジー 圜 : 版による題名の異同 : 加筆 國 : 改訂版 : 短篇集、またはひとりの作家による 長篇のオムニバス版 阯 : 複数の短篇を加筆改訂し、長篇のか たちに統合したもの 前 : 戦前にしか邦訳のない書名 : 抄訳 国 : 原作はおとな向きだが、わが国への 紹介にあたってジュヴナイルに翻案さ れたもの。いわゆる、、再話 % はじめ からジュヴナイルとして書かれた作品 は①指定されていない。 * : 訳註 : 参照 F R : フランツ・ロッテンシュタイナー CL : コリン・レスター
キム・スタンリー・ 〈処女長篇〉『烏竜とお茶を』 7 ・ ( ミモ ~ ・、 h ・イギリス協会賞決定ー 、、ミ BIack し、ミ g ・ 0 洋・・マカヴォ 先月号「特派員報告」で紹介されていたシ 〈ショート・ ストーリイ〉「調停者」会 The イ C ハンタム社 ) 、、ミミをガードナー・ドゾア ( アシ ーコン知 ( 四月二十 ~ 二十三日 ) の会場で 〈ノヴェラ〉「器用な夫」、 7 ( ~ 、・ 7 ト ~ b ~ 7 ~ ・、ミ ″大混乱″のうちに投票および開票が行われ、ミミマイクル・ビショッ。フ ( 『ュ モフ誌 ) このほか、〈ドラマ〉が『スター・ウォー ニヴァース』 ) / 〈長篇〉『チック・タ - ック』 Tik-Tok ジョ ズ / ジェダイの復讐』、〈雑誌編集者〉が 〈ノヴェレット〉「猿式やせる法」 2 7 、ミ ン・スラデック ( ゴランツ社 ) ン、 ~ 守 T 、・ ( ~ ミ、、ミミジョージ・・ & 誌のファーマン、〈出版編集者〉がタ トウエレ、 〈短篇〉「残像」会、、ミ・ 7 、、ミををマルコ イムスケー。フ・ブックスのハ ・マーティン & rp.æ誌 ) ム・エドワーズ ( インターゾーン誌 ) 〈ショート・ 〈アーティスト〉がマイクル・ウィーラン、 ストーリイ〉「死礁のかなた」 〈メディア〉『アンドロイド』」、 1 、 ~ ・ 0 ミ 13es ざ、 ~ ミミし e 戔ミ , 、三ジェイムズなどとなっている。 各部門とも″対抗″格の作品が受賞したか おもしろいことに、ノヴェラ以外の作品部 ・ティ。フトリー・ジュニア (;.:« & TJ :.æ誌 ) 門は、みなローカス賞で次点となった作品が んじである。長篇部門などは、受賞作は脱走〈短篇集〉『ュニコーン・ヴァリエーショ ン』 U ミ・き、ミまミ、こ、、 ~ ロジャー・ゼ受賞したかたちである。 / した奴隷ロポ , トが人間たちに復讐していく 物語なのだが、昨年アメリカではロポット ラズニイ ( タイムスケー。フ・ブックス ) の御大アシモフが〈ロポット工学三原則〉 このほかの部門は、〈アンソロジイ〉がテ 以上二つの賞とも、ネビュラ・ヒューゴー にのっとった新作長篇を発表しているだけ 両賞の候補作とほ・ほ一致する結果となった。 リイ・カー編の『年間傑作選』、〈ノン に、どことなく、皮肉な選択という気もすフィクション〉がチャールズ・プラットのイ昨年のアメリカの長篇は、ネビュラ・ る。 ンタビュー集「 ローカス両賞受賞のプリンにとどめをさすよ トリーム・メイカーズ第二 うた ( ヒュ ーゴーはどうだろう ) 。ローカス 集』、〈アーティスト〉がマイクル・ウィ ・一九八四年度ローカス賞発表ー・ ラン、〈雑誌 / ファンジン〉がローカス誌、 賞長篇部門受賞作は、三作とも次点以下に圧 アメリカ最大の情報誌「ローカス」の 〈出版社〉が・ハランタ - イン / デル・レイ、と倒的な点数の差をつけており、昨年は長篇に よっこ。 読者が選ぶもの。各部門五位までを投票し、 ついてはいまひとっ不作だったといえる。あ 一位日八点、二位Ⅱ七点 : : : と特殊な点数制 えて他の話題作を探すなら、ディック記念賞 ・クロニクル誌読者賞も発表ー・ とクロニクル賞を受けたパワーズだろう。 / で集計していく。投票者数は九九五で、今年 のヒュ ーゴー賞ノミネーション投票の倍近やはりアメリカの情報誌である「 中短篇では、若手の活躍がいっそう目立 アメリカの T' ファンの意識がもっとも クロニクル」の読者が選ぶもの。ローカス賞つ。ローカス賞ではノヴェラ以下三部門を中 よく反映される賞として、定評がある。 ほどの投票数はないが、こちらも恒例となり堅が独占して、完全に世代交替がおわったこ / / 〈長篇〉『星の海、満ちゅく』イミミ つつある。 とを示しているが、次点以下には、ネビュラ え ~ ゞ g ディヴィッド・プリン C ハンタム 〈長篇〉『アヌビスの門』 7 、ミミ ~ b 二部門独占のグレッグ・べアら、より若い世 社 ) 代がひしめきあっている。八三年は、八〇年 Gates テイム・・ハワーズ ( エース社 ) 〈ファンタジイ長篇〉『アヴァロンの霧』 〈ノヴェラ〉「器用な夫」マイクル・・ヒショ代の真の幕開けを告げた年、ということ 7 、ミン、 ) of べミ、 0 洋マリオン・ジマ になるのではなかろうか。 ップ ( 『ュニヴァース』 ) フラッドリ ( クノッ・フ社 ) 〈ノヴェレット〉「黒い空気」 B こト 4 ~ ・ ( 山岸真 ) 4
アイス・ドラゴン (lce し、ミ go ド 7974 ) % 刊 / 360 円 / 講談社 / 文庫 / 長篇 / 解庫 / 長篇 / サイボーグ・シリーズ① 著日ジェフリー・ ロード / 訳ⅱ榎林哲 / 2 日高橋信之 68 頁 / 7 ・ 6 刊 / 340 円 / 東京創元社マガジン・セレクション 1983 編い ポール・ウイルソン / 訳Ⅱ広瀬順弘 / 29 / 文庫 / 長篇 / リチャ】ド・プレイド⑨ 早川書房編集部 / 4 7 2 頁 / 6 ・刊 / 5 0 頁 / 7 ・川刊 / 4 2 0 円 / 角川書店 / 文 6 0 円 / 早川書房 / 文庫 / アンソロジー / 庫 / 長篇 日生蒼き大地の伝説著。田中光一一 / 316 頁 / 6 ・ % 刊 / 9 8 0 円 / 集英社 / 長篇 解日マガジン編集部 亜空間に突入せよ著Ⅱ斉藤英一朗 / 252 ⑩黄金の回帰線著日荒巻義雄 / 376 頁 / ポール・ウイルソン / 訳広瀬順弘 / 31 頁 / 6 ・刊 / 400 円 / 朝日ソノラマ / ・刊 / 4 8 0 円 / 徳間書店 / 文庫 / 長 0 頁 / 7 ・川刊 / 4 2 0 円 / 角川書店 / 文 文庫 / 長篇 / ・ハヴァリア戦史③ 篇 / キンメリヤ秘宝シリーズ④ 庫 / 長篇 インディ・ジョーンズ魔宮の伝説 (lndi- 雄馬と剣 ( Th 代 Ch きミミ ) of C ミミミ . ・ サンドキングズ ( S ミ ~ il ~ 5. 7987 ) 著Ⅱ ミミ、 07 ~ ト 4 、一 The Te ミト 0f TI ミ S 0 、ミ、 ~ T 、ミ S 一・ 0 ド ジョージ・・・マーティン / 訳 " 安田 797 、 ) 著日マイクル・ムアコック / 訳“ b00 ミ . 7984 ) 著日ジェイムズ・カーン 均・風見潤 / 384 頁 / 6 ・間刊 / 460 / 訳日山田順子 / 316 頁 / 6 ・燔刊 / 4 斎藤伯好 / 274 頁 / 6 ・刊 / 340 円 円 / 早川書房 / 文庫 / 短篇集 / 解 " 安田均 0 0 円 / 早川書房 / 文庫 / 長篇 / 解日高橋 / 早川書房 / 文庫 / 長篇 / 紅衣の公子コル ショートショートの広場 6 編Ⅱ星新一 / 2 良平 ム⑥ / 解日井辻朱美 38 頁 / 7 ・ 5 刊 / 880 円 / 講談社 / ア ⑩宇宙商人 ( 77 ミを e ミミミ争オーロラの消えぬ間に著Ⅱ光瀬龍 / 352 ンソロジー / 解日星新一 7952. 53 ) 著ポール & コーン・フルース頁 / 6 ・刊 / 420 円 / 早川書房 / 文庫スター・トレック 3 ミスター・スポックを / 訳日加島祥造 / 2 7 6 頁 / 6 ・刊 / 3 / 短篇集 / 解日三村遼 探せ ! (STAR 7 K 77A ・ TI ミ ミ・ ch For SPock, 、 98 ・ 4) 著日ヴォ 4 0 円 / 早川書房 / 文庫 / 長篇 / 解Ⅱ浅倉風の勇士 ( B The モ ~ ・、 ~ 798 、 ) 著Ⅱ 久志 ハトリシア・ライトソン / 訳ⅱ渡辺南 ンダ・マッキンタイア / 訳日斎藤伯好 / 4 宇宙の操り人形 (The Cosmi ・ c P ~ き ) 都子 / 254 頁 / 6 ・刊 / 320 円 / 早 32 頁 / 6 ・刊 / 500 円 / 早川書房 / 川書房 / 文庫 / 長篇 / ウイラン・サーガ③文庫 / 長篇 / 宇宙大作戦シリーズ ディック / 訳ⅱ仁賀克雄 / 270 頁 / 6 ・紀・魍魎伝説著日谷恒生 / 190 頁 / THEREWASA KNOCK ノックの音が 刊 / 470 円 / 朝日ソノラマ / 文庫 / 長 6 ・刊 / 640 円 / 角川書店 / 新書 / 長著Ⅱ星新一 / 英訳日スタンレー 篇 / 解日仁賀克雄 篇 ズ / 184 頁 / 6 ・絽刊 / 430 円 / 講談 うつりこ 宇宙皇子 1 はるかに遠き都よ著い藤川桂ゴッドマジンガー 3 妖魔都市ダイカン原社 / 文庫 / 短篇集 介 / 2 3 0 頁 / 6 ・刊 / 6 8 0 円 / 角川 作日永井豪 / 著日園田英樹 / 186 頁 / 6 ⑩ 1985 年 ( 1985. 7978 ) 著日アント 書店 / 新書 / 長篇 ージェス / 訳日中村保男 / 424 ・ % 刊 / 2 6 0 円 / 角川書店 / 文庫 / 長篇ニイ・ ' ハ 新世紀レンズマン上巻著日吉川惣司ゴッドマジンガー 4 ムー彷徨人原作ⅱ永頁 / 6 ・刊 / 640 円 / サンリオ / 文庫 / 原作 " ・・スミス / 230 頁 / 6 ・ 井豪 / 著 " 永井泰宇 / 18 0 頁 / 7 ・川刊 / 長篇 % 刊 / 3 8 0 円 / 講談 / 文庫 / 長篇 / 2 6 0 円 / 角川書店 / 文庫 / 長篇 泰平ョンの未来学会議 ( K 。、 ~ ご F ミミ・。ー ~ 0 . k971 ) 著Ⅱスタニスワフ・ 新世紀レンズマン下巻著吉川惣司サイボーグ逆亡命作戦著Ⅱ若桜木虔 / 24 / 原作日・・スミス / 2 0 8 頁 / 6 ・ 6 頁 / 6 ・刊 / 360 円 / 秋元書房 / 文レム / 訳日深見弾 / 212 頁 / 6 ・刊 / 4
作品のほうが構成的にも成功すること が多い。いえば、野心的であればあるも 平 ] という人は、い。も将来 ほど一種の判断停止状態になること 良の可能性を期待させる不思議な作 は、やむを得ない。の可能性もそ 家であるーー・『夢と闇の果て』 こにある。想像力を超えて、なにもの かに到達するとき、まったく新しい地 高 今年の上半期、海外を中心にしてスリ平が生まれるだろうが、これに対する リングな出版シーンが展開している。こ永久革命的ア。フローチが、なので れは量の増加ではなく、やはり質と話題性のある。 『夢と闇の果て』は、小松左京の、こ 間題だろう。ハインライン、アシモフ、クラ ークの大御所御三家の新作を並べた早川の第れまた素晴しい失敗作 ( 讃辞ですよ ) 二期海外ノヴ = ルズ、筒井康隆の書き下『果しなき流れの果に』に挑戦した感 リードし、活性化の方じを受けた。物語Ⅱ神話の人類が持っ ろし長篇などが話題を 向を与えている。この調子で下半期も活況を意味を、時間と空間、その過程である進化のナ こ。″成長″を″喪失″と受けとめるところ 呈してほしいものだ。 問題を含めて、光と闇の対立、言葉と沈黙のが青春小説の所似である。ところが、この作 対立でもってドラマを展開し、最終的には永品では、喪うことではなく、喪われてしまっ 今月最初にとりあげるのは、山田正紀の書遠回帰の結末を持ってくる。『最後の敵』でたことを観察することに重点が置かれて、 き下ろし長篇『夢と闇の果て』だ。山田正紀扱った進化テーマを継承して、さらに小説日る。掌中に得た文章で心地よく読まされてし というのは不思議な作家で、いつでも次回作物語論をくりひろげた長篇、このもう一歩先まうが、かってのような″脳が焼きつくよう を期待させる人だ。べつに発表された作品がを読みたくなるのは、私だけではないだろな喪失感″を感じさせる作品を望むのは、読 つまらないということではなく、その作品のう。″第一夜豚の王″では、文体的に大江健者の我儘な願望だろうか。 さらに先の、作家の将来の可能性を期待させ三郎の初期作品に似た印象を受けたことも、 海外ではまず、ジョージ・・・マーテ るのである。彼のキャッチ・フレーズ「想像つけ加えておきたい。 インの作品集『サンドキングズ』。 ( ヒ できないものを想像する作家」どおり、実に ューゴー賞受賞用人気取り作品を書く作家グ 連作″調査船報告″がまとまった光瀬龍の 壮大な的テーマをいつも長篇作品におい 『オーロラの消えぬ間に』では、この作家のルー。フ ) とトマス・・ディッシュに呼ばれ ている。手さぐりながら、大胆に実験をして いく作家である。だが、その壮大なテーマゅ作品に対するスタンスのとりかたの変わた七〇年代登場作家のびとり、マーティンの りようを今まで以上に感じた。光瀬の宇宙小作品集で、私もどちらかといえばディッシュ えに、判断停止的な結末を迎えてしまう。思 考力もまた体力である。ギリギリまでせめこ説 ( と長い間言われているが、宇宙塵版『派に似た立場を取るほうなので、あまり高い評 ロジャー・ゼラズニイは何人 んで、さらにその先に踏み込むときに必要な遣軍還る』から、文章とムードで別なものの価はできない。 のはやはり体力。山田正紀の生みだした素晴ように受け取られてしまっていても、彼の書もいらないのだ。ゼラズニイ的ムード、スタ いているものの基本構造は四〇年代キャンべイルはけっこうなものだが、それだけで しい失敗作 ( 念のためにいっておくが、これ はけなしているのではない ) は、あと一歩のル流的スペース・オペラである ) は、″年代を書かれてはたまらない。たぶん、気分、と いったものを小説化していこうとしているの 体力不足を感じさせる。長篇は体力。だから記物″は、喪うことを描いた、彼が大人にな だろうが、ポーの提唱したように短篇小説に ったからこそ書けた、脆い青春小説でもあっ 連作長篇の『地球・精神分析記録』のような 8
した例も多数あります。すぐれたひとつの メレディスの手腕によるものといわれてい の復活を望まなくなっていたのです。 作品を長い時間をかけて売るというの 8 作家やエージェントからも、批判の声がます ) また、ある編集者はこのシステムが、発伝統が、どうせ発行部数の半分の印税しか あがっています。先鋒となっているのが、 行部数を少なくし、増刷もしぶるように出はいらないのだから、という形で作家側か やり手と評され、〈タイムスケー・フ・・フッ らくずされはしないでしようか。 クス〉後のポケット社の路線参加を企版社をしむけ、中堅クラスの作家にはむい ひとつの例があります。『星界の王死す ててカーティスらの批判をあび、撤退を余ているものの、何部売れるか見当のつかな い新人作家や、数十万部が売れるベストセとき』などで知られる元作家、ジョン 儀なくされた、あのスコット・メレディス ・ジェイクスは現在・ヘストセラー歴史小説 という作家エージェントです。さすがにやラー作家には不利になると述べています。 ひとっ気になることがあります。創作と作家として知られています。しかし、ジェ り手といわれるだけあって、このシステム イクスはブック・クリエイションズ社とし いってもビジネスのひとつにすぎないとか では返本が五〇パーセント以上なければ、 作家側が損をするといっているのです。もたづけられる資本主義国アメリカではだれう創作工房と契約し、印税の五〇パーセン をそこに納めています。というのも、ジ し、返本が五〇パーセント以上という事態も指摘していないのですが、ただでさえアト ェイクスの″執筆〃というのは、この会社 がつづくなら、出版や作家という職そのもドヴァンス・システムの徹底ゃべストセラ ー現象のおかげで、自己のを換金商品の提供するプロットを肉づけして小説にし のが成りたたなくなる、とメレディスはい と考える風潮が高い現在、さらに印税収入あげることにすぎないからです。こうして っています。 ジェイクスは全七巻の Kent 、ミこ ( 余談ですが、メレディスが年間にあっかまで売れゆきと関係なく作品さえ出版社に 渡せば一定期間内に一定額となって手もと C 守ミ ~ ミ e という大河小説を三千万部売 う″商品″は六、七千点と、その他のエー り、大金を手にしたのです。″となら にはいるとなった場合、作品の完成度を捨 ジェントの二、三十倍にものぼります。ど のような著者も、ただの商品提供者としててて、はやくしあげ、次から次へと新作をぶ″人気ジャンルとされるロマンスもの 公平にあっかい、従業員も歩合制ではなく書いていればよいという考えが無意識のうも、プロットはコンピーターが作成し、 サラリー制で雇っています。さらに、作品ちに強くなるのでは、ということです。こ原稿も買いとられる形で印税契約ではない シリーズものが多数執筆されているときき ズものの執筆や、人気作のシリ の売りこみを依頼する著者からは、作品をれはシリー ーズ化を促し、また短篇の長篇化や、さらます。これらの″創作方法がに波及 読む手数料として数百ドルをとりたて、そ には原案提供者と作家の分業の流行をもたしないという保証はまったくないのです、 れが出版社に売れたときに改めて一〇。ハ セントの手数料をとるというすさまじい商らすのではないでしようか。とくに作しかし、逆にこの印税システムでは、出 法をとっているのです。クラークに『 20 家の場合これまでも科学知識に明るいリサ版社側が発行部数をおさえ、ベストセラー 1 チャーや友人への相談をひんばんに行なをねらうよりは小部数ずつ増刷して長く売 10 年宇宙の旅』を書かせたのも、さらに ったほうが得だと考えるようにもなるでし っています。編集者のアイディアを小説に その続篇を書く気にさせたのも、ひとえに
妖神グルメ著日菊地秀行 / 282 頁 / 6 ・ フライディ ( F い、 982 ) 著日ロ・、 14 0 円 / 集英社 / 長篇 刊 / 420 円 / 朝日ソノラマ / 文庫 / 長 ・ << ・ハインライン / 訳日矢野徹 / 41 ⑩地球文明人へのメッセージ著日小松左京 / 2 52 頁 / 7 ・新刊 / 4 30 円 / 勁文社 0 頁 / 7 ・刊 / 17 0 0 円 / 早川書房 / 篇 長篇 / 解日谷口高夫 / 文庫 / ェッセイ集 超時空世紀オーガス下著日井上敏樹 / 原魔界水滸伝 7 著栗本薫 / 262 頁 / 6 ・・本欄に掲載した書籍は六月十一日 ~ 七月十 刊 / 64 0 円 / 角川書店 / 新書 / 長篇日までに発行されたものです。⑩の記号は再 作日スタジオぬえ / 原作協力Ⅱアートラン ド / 258 頁 / 7 ・川刊 / 390 円 / 小学夢と闇の果て著日山田正紀 / 294 頁 / 6 刊。文庫などの新版で発行されたものです。 ・刊 / 9 8 0 円 / 集英社 / 長篇 館 / 文庫 / 長篇 / 解日大野木寛 筒井康隆全集⑩スタア・おれの血は他人の 血著日筒井康隆 / 368 頁 / 6 ・ % 刊 / 15 0 0 円 / 新潮社 / 全集 / 解新戸雅章 書店通信駸々堂書店阪急ファイプ店 ( 大阪市北区角田町五ー五阪急ファイプ五 ) の天の向こう側 ( 77 ミ 0 斗ミ・ S ~ ・ミ・ T 、ミ S k958 ) 著日アーサー・ O ・ クラーク / 訳 " 山高昭 / 3 0 0 頁 / 6 ・ 5 当店は梅田のファッションビル内にあり、 刊 / 3 6 0 円 / 早川書房 / 文庫 / 短篇集お客様は一一十歳前後のヤングが大半を占めて 透明人間の科学から物理学へ著 " 大います。そこで、ヤングに人気のコミック、 槻義彦 / 194 頁 / 6 ・刊 / 540 円 / アニメ、イラスト等、また特に、″・フ アンタジイコ 1 ナー″を常設して、海外 講談社 / 新書 / 科学解説 ノヴェルズ等、可能な限りの品揃えに努力し ドネラールの海賊 (Kingdom 0. 、 Royth' 7974 ) 著 " ジェフリー・ ロード / 訳 " 松ています。おかげで、男女を問わずファ 田銑 / 274 頁 / 6 ・ 8 刊 / 360 円 / 東ンのお客様がどんどんふえてきました。とて 京創元社 / 文庫 / 長篇 / リチャード・・フレもうれしい事です。 イド⑧ また、日頃御来店いただく読者の皆様へ感 、ツ 美少年学入門著Ⅱ中島梓 / 2 8 8 頁 / 6 謝の気持ちをこめて、有名コミック作家の先 フ % 刊 / 980 円 / 新書館 / = , セイ・対談生方の原画展やサイン会を、特設ギャラリイ にて常時開催しています。あなたの大好きな 秘薬の惑星エリシウス ( 7 、ミ、・きミ先生方の原画を、すぐそばで御覧いただける 月 7980 ) 著 =g.* ・ 0 ・タ・フ / 訳大西憲 / というわけです。 288 頁 / 6 ・刊 / 360 円 / 東京創元それから、将来作家やコミック作家の 社 / 文庫 / 長篇 / デュマレスト・サーガ@ ・フロを目ざして頑張っている皆さん、皆さん の風葬の街著日田中光一一 / 250 頁 / 7 のファンジンをお持ち下さい。よろこんで販最後に一句。 ジャイアンツ 新刊 / 320 円 / 徳間書店 / 文庫 / 長篇 / 売させていただきます。一般読者の皆様に作巨人軍、五十周年優勝の夢はっきれども、 トラキチ 解ⅱ星敬 品評をしていただいてはいかがでしよう ? 世にの種はっきまじ。 円 5
川川Ⅲ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ聞ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ川ⅢⅢⅢ川ⅢⅢⅢⅢ ヤの《カレワラ》シリーズ、ジャック・オ ーディンが宇宙空間その他で闘うジョーゼ フ・ E ・ケリームの The ″〃住れ ( 196 のやその続篇などはこれに該当す る。スタン・リーの甦らせたさまざまな神 話、特にマーヴェル・コミックスの《マイ ティ・トール》などもこれである。同様の ものに、スターリング・ラニアの The 君に I だ E ェ 2Z0 / な可、月 r なイ r 工記んて膨 5 ( 1972 ) ほかの一連の短篇があり、 では半神や怪物、他の神話上の生き残りな どの対決が詳述されるが、もう少し機知に 富み、洗練されている。ジョン・プラック パーンもこのテーマを扱っているものの、 これは別の分野、特に SF 的でもある合理 化された神話としてとらえるべきだろう。 フ・ラックパーンは、この合理化された神 話の代表的作家というわけではないが、 C んれイ the Night ( 1966 ) や『小人 たちがこわいので』 4 だん i ・な Men ( 1972 ) は、イングランドに隠れ住む 失われた種族を描いて上出来の恐怖感をか もしだしている。彼らの存在が妖精や小鬼 の伝説を生んだわけだが、こうした論理は 前述のクライトンの長篇と同じものであ ウェイド・ウェルマンの る。マンリ 《ホク》という短篇シリーズ ( 1939 ー 42 ) も合理主義でさまざまな神話を説明し、 H ・ペドフォード = ジョーンズは早くからフ・ ルー・フ・ツク誌で ( 1938 ー 9 ) 、同様な《忘 却のトランペット》シリーズを書いて成功 を収めた。いくつかの SF では、むしろェ ーリヒ・フォン・デニケンの理論と似た方 法で、神話をかって地球を訪れた宇宙人の 記憶が歪曲されたものとして説明する。た とえば、アーサー・ C ・クラークの『幼年 期の終り』 C んん 0 ' 5 End ( 19B ; 1953 ) では異星人に角があり、それが悪魔 の伝説の起源となったのである。クリフォ ード・ D ・シマックの『小鬼の居留地』 VI 7 ' んに G 訪んツおに 4 0 れ ( 1968 ) では、 / 」、 トロール 人や巨人、妖精、妖霊などを生物工学的に 創り出され特殊化した植民者として説明す る、やや根拠の弱い試みが行なわれている が、力点は純粋におふざけにおかれている ため、合理化の姿勢はポーズにすぎない。 もう少し成功しているものには、ナイジェ ールの TV シリーズ Q44 卿〃おれ d ノレ・ 訪があり、この脚本は Qu 観み襯 5 and the ″ ( 1960 ) という単行本でも入 こでは、悪魔のイメージは昆 手できる。 虫めいた火星人の祖先の種族記憶であるこ とがわかり、そうした記憶上の存在がよみ がえって現代ロンドンを混乱に陥れる。ラ リイ ーヴンとジェリイ ーネルは 『インフェルノ』加 ( 1976 ) で通常 の合理化手順を逆転させる。そこでは SF 作家が、当然の報いかもしれないが、地獄 にいると知る。彼は終始、そこを現実の物 質宇宙での自然存在物として合理化しよう とするのだが失敗に終わる。最後には、そ こは実際に地獄だったとわかる。 ファンタジイではなく、 S F でもっとも 一貫して神話テーマを扱う作家は、ロジャ ・ゼラズニイだろう。彼の最初の長篇 『わが名はコンラッド』 T ん・ 5 襯襯 0 だ地 ( 196 のは、ほとんど不死の主人公が神話 の元型にさまざまな形で肉づけをされたミ ュータント生物と対決することで、ギリシ ャ神話のいくつかを再現する。ゼラズニイ はこの種のテーマと数年間とりくみ、進ん だ精神訓練と高度なテクノロジーの融合に よって力を得る人工の神々を扱った作品を 何篇か発表した。彼はそれらで慎重に神 話上の対決を再構築し、再演している。 C 4 5 / ん 4 れ d の 6 ( 1969 ) ではエジプトの神々を甦らせた が、おそらくいちばん成功しているのは 『光の王』ん。んな ( 1967 ) だろ 266 う。これは複雑かっかなり巧妙な作品であ
ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅧⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢ川ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ聞ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ 國 1968 ) に顕著である。フ・ラッドベリの 「亡命者たち」と同じく、ファーマーの作 品の大半では、文学上の神話と宗教上の神 話にほとんど区別がつけられておらず、ど ちらも同じく人間の必要をみたすと考え られているようだ。ファーマーの全作品に は、神話が充満している。その神話生物 が、甦った神であれ、偉大な白鯨であれ、 ターザンであれ、あるいは、ファーマ 身によって通常かなり伝統的な神話をモデ ルに発明された新たな存在であれ、このこ とは変わらない。 上述の作品よりさらに複雑なタイフ。で は、神話の構成要素にある程度のアイロニ ーが見られ、過去の継続だけではなく、明 確な現代的手法も強調され、神話とのアナ ロジーだけでは完全に解き明かされなくな っている。サミュエル・ R ・ディレイ の長篇の数冊は、このカテゴリーに含ま れ、特に T ん E 立夜ツ c 〃 0 ( 1967 ) と N 。て , 4 ( 1968 ) についてはそれ が言える。前者では、荒廃した地球に人間 の姿をとる異星人が住みついているが、彼 らはそれとともに過去の神話の重荷を、あ る混乱した、よく理解できない形で背負っ ている。後者では、フ・ロメテウスの物語が 文字どおり天国から火を盗む物語として再 演されるものの、その叙述の調子には誇張 化だけでなく、卑小化も見うけられる。マ イクル・ムアコックの『この人を見よ』 召訪 0 the れ ( 1966 ; 1969 ) には、 キリストの磔刑を見たいと望む時間旅行者 が登場するが、結局自らが不愉快な中心的 役割を演じることになる。男の見出したも のは、超絶的な光景などではなく、見すぼ らしいものである。ロレンス・ダレルの 『トウンク』 Tu れ 0 ( 1968 ) と、その続篇 『ヌンクアム』″れ 9 ″ 0 襯 ( 1970 ) には、 マーリンと呼ばれる多国籍複合企業が描か れるが、アーサー王伝説のなごりは、腐敗 IV した未来にロマンの余地はほとんどないと いう事実を示すだけである。コードウェイ ・スミスは興味ぶかい例を示してい る。彼は自己の作品で、しばしば東洋風の 神話の相似物を使い、そこから少なからぬ 感情喚起力を引き出すのだが、 "The Dead Lady of Clown Town" ( 1964 ) では、ジ ャンヌ・ダルク伝説を下敷きにしている。 スミスの神話の使用は、奇妙に感動的であ る一方、ときにはどこかよそよそしくもあ る。 "The Dead Lady . ”のように、物 語の事件が後の世代によって思い出され、 よくできた神話としてのパランスと形式を もって語り直されることにより、その神話 的相似はしばしばさらに距離をおいたもの と感じられる一一一いわば、神話内神話とい えるだろう。アンジェラ・カーターも別の アイロニストの一人である。 T ん / げれ記 D ぉ i ・尾 Ma 訪お Do 0 丑 q 〃〃 ( 1972 ; The W D の〃 s 米 ) で は、ェロチックなエネルギーを充填され、 男の夢と神話を現実化させる機械を使うマ ッド・サイエンティストが登場する。その 計画が不首尾におわる思惑はずれのなりゆ きこそ、皮肉なことに神話的なのだ。チャ ールズ・ L ・ ーネスは、その複雑で雄大 なメロドラマの登場人物とプロット双方 に、つねに神話の元型を使用する。特に目 につくのは The 切 g ″ 0 記 ( 1968 ) と "The Rose ” ( 1953 ; 短篇集 The 。 1966 の表題作 ) で、 2 作とも 芸術と科学が複雑なサラバンドを踊り、崇 高な元型が数学と対峙している。アラン・ ガーナーは、古代の暴力と裏切りの神話が 現代の設定の中で再び意味を持っという一 種の歴史の循環を主に描くが、マビノギォ ン神話の中の一ウェールズ伝説に基づく 『ふくろう模様の皿』 The 03Z Service ( 1967 ) や、記 S んー ( 1973 ) といった 作品では純粋な決定論に立ってはいない。 268
いったり、異質なものが入り込んできたりし は集東的がなければならない一面がある。ム方、相対化によってグロテスクなまでに変形 ードだけの散満な印象を与えられては困るのさせたものを示すことによ「て諷刺たりえてて、こちらの認識をくっ返してしまうような いた。それがパロディなる、時代の後追い的作品といったらいいのだろうか。そのために む だ。描写力のある作家だから、表題作「サン ー展開がなされ ドキングス」のような作品では成功する。ホなものが瀰漫するうちに、鋭い針、毒を喪っサスペンスフルなストーリ る。作品に魅き込む力、緊張感がある。ポー てきている。これがファンタジーのチョ をラー小説に向かっていたのもうなずけるとい ンと異世界に投げ出してグダグダ描写するな ーリヨーパッコの原因にもなっているのでは うもの。スティーヴン・キングも作家志 このあたり、現代の作 ないか。時代を、現代を、その表層と本質をどということはない。 収望だ「たのだ。 みつめる眼を持っていない作家には、諷刺を家もみならってほしい。ディックのこの作品 スタ = スワフ・レムの『泰平ョンの未来学描くことはできない。レムのこの作品は、そも、彼の作品ではおなじみだが、久し振りに故 会議』は、ルクス・プラザースの映画のよんな不満を吹き飛ばしてくれる快感を与えて郷の町に帰ると、ま 0 たく見知らぬ町にな「 ていて : : : というところから神々の闘いの物 ・バーレスクくれる。御一読をおすすめする。 うだ。グロテスク・ユーモア 語へと拡がってゆく。認識の拡大という、 ( 変な言い方 ! ) を観ているような気がす さて、最後は、異常な心酔者がいて少々鼻ならではのものを与えてくれるのである。 る。無限ドラッグ・オチ的な構造を持ったこ 白む思いがするほど、亡くなったからこそ人 の長篇、笑えないような笑いに満ち満ちてい シリーズ物ではムアコックの〈紅衣の公子 気があるかわからないが、フィリツ。フ・・ る。プラック・ユーモア、あるいは諷刺とい " 諷ディックの初期長篇『宇宙の操り人形』。短コルム〉全六巻、パトリシア・ライトソンの うものは、こうでなくてはいけない。 〈ウイラン・サーガ〉三部作が完結した。気 刺″というの機能が、いつの間にか風化篇「地球乗っ取り計画」も併録してある。 になっていたものなので、この期に一気に読 してしまっているのは嘆かわしい。諷刺が軟わゆる五〇年代と日本で呼ばれる雰囲気 0 弱なパロディなるもの ( 本来の。 ( ロディとはをそなえてスタートしたソ・ノラマ文庫の海外んでみよう。 O 違うもの ) にすり変えられたのはいっからだシリーズの一冊だ。少し勘違いしているので ・『夢と闇の果て』 / 山田正紀著 / 二九四頁 困って ろう。作品の持っていた諷刺、または未はないかとは思うが、それはしし 来諷刺といわれたものは、それこそ物の見しまうのは、そそっかしいというか、乱暴な / 九八〇円 / 四六判上製 / 集英社 『オーロラの消えぬ間に』 / 光瀬龍著 / 三 翻訳だ。それでも読まされてしまうの・ ト丿ー展開の面白五二頁 / 四一一〇円 / 文庫 / 早川書房 は、ディックのス 『サンドキングズ』 S ミ ~ 、発 / ジョ さゆえだ。サス。ヘンスフルなのだ。こ れをスト 1 リーテリングというのだろジ・・・マーティン著 / 安田・風見訳 / 0 三八四頁 / 四六〇円 / 文庫 / 早川書房 五〇年代は、まさかアンソニ ・『泰平ョンの未来学会議』 K ミ ~ g 、ミ・・ F ~ 、・ ハウチャーの影響ではなかろう が、ミステリと未分化のような作品が、ミ -o ~ 。を鳶、 ~ / スタ = スワフ・レム著 / 深 多い。このあたり書きはじめると長く見弾訳 / 二一二頁 / 一四〇〇円 / 四六判上製 なりそうだが、日本への紹介のされ方 / 集英社 のせいかもしれないとも思うが、・『宇宙の操り人形』 T 、ミ C ミ・ c P ~ 、 ) の「ミステリ】・ゾーン」的巻き込ま p 、•oject; h / フィリツ・フ・・ディ 9 ック著 / 仁賀克雄訳 / 一一七〇頁 / 四七〇円 / れ型作品も多い。つまり、現実世界か ら、いつの間にか異質な世界に入って文庫 / 朝日ソノラマ 日 光瀨龍 第
「とつつあんがうんと言うもんですか ! 」ディーナはかっとなっ た。「にせもの衆に見られてると思っただけでがまんできないっ て、あんたも知ってるでしょ ! 」 「うーん、そうかもしれない。 とにかく、とつつあんは見世物にな んかならないよ、って言ってやったのさ。そしたら、あわてて、見 世物にするんじゃないと言った。科学のためだとさ。それに、手間 賃をくれるって。財団から補助金が出てるんだと。だから言ってや ったよ。それじゃとつつあんはまたビールの顔をおがめるんだねっ て。そいで、ふたりは帰ってった : : : 」 「あんた、ふたりを家の中に入れたの ? 鳥かご、隠した ? 」 「なんで隠すのさ ? あん中に帽子は入っちゃいなかったのに」 ディーナは背を向けてまた魚を揚げはじめ、肩越しに言った。 「とつつあんがうんと言うとは思わないけど、あんたはどう思う ? なんだか見下されてるみたいじゃない ? 「冗談だろ ? とつつあんより下のやつなんかいるもんかい。下に あるのはヘビのおなかぐらいのものさ。だいじようぶ、とつつあ ん、うんと言うよ。なんたって、四つ目の娘っ子にやきっと目をつ けるだろうし」 「ばかなこと、言うんじゃないわ , ディーナはたしなめた。「とっ つあんは汚ならしい、悪臭ふんぶんの片腕の中年男だよ。この世で いっとう醜い男なんだから」 「ああ、確かにとつつあんは醜い。それに屋外便所に落っこった山 羊みたいな臭いがしてる。けどさ、あの臭いにみんながたかってく るんじゃないか。あたいもそうだし、あんただって。他の大勢の連 中もね。あのご大家の奥さまもそうだった。とつつあんがゴミ集め に行った先のさ : : : 」 3 フィリツ。フ・ホセ・ファーマー ハヤカワ文庫に収められているキルゴア・トラウトの『貝殻 の上のヴィーナス』 ( 1975 ) は、周知のようにファーマーの戯 ( 偽 ? ) 作である。もちろんファーマーは、トラウトの名前を使うにあたっ て、尊敬するカート・ヴォネガットの了解を ( 不完全ながら ) とり つけているのだが、この小説がアメリカで・ハカ売れに売れてしまっ ワ たことが、結果的にファーマーに不幸を招いたようだ。〈リー ールド〉という人気シリーズを持ってはいても、ヴォネガットに このた ″文学の寄生虫″呼ばわりされてはたまったものではない。 めアメリカのみならず日本でも、特に若い読者のあいだで、作 家としてのファーマーの名声はかなり下落してしまったふしがあ る。 しかしそういったスキャンダルによって、ファ 1 マーを読むにあ 。パロディを書かせると悪 たらぬ作家と決めつけるのは早計だろう 乗りしすぎるきらいはあるものの、ファーマーの持味は、デ・ヒュー 作『恋人たち』以来、依然として大胆な発想と、それを突き詰めて ーワールド〉シリーズは、厖大な ゆく仮借ない論理にある。〈リ 長篇にふくれあがってしまったため、論理のほうは少々心許ない が、それとは独立した近作 7 、ミ U ミ、ききミ・、 5 ( 1981 ) は きわめて評判がよい。 「路地裏の男」は一九五九年、作者がデビュー直後のスラン。フを抜 け、本格的に活動をはじめたころの作品。基本アイデアは、一九三 九年に発表された»-ä・スプレイグ・ディ・キャン・フの短篇 "The Gnarly Man" によっているが、そこからの展開はいかにもファー マーらしいカわざとなっている。テ】マと深く関わりあった神話へ の作者の関心も、この時期のとしてはたいへん珍しい。 ( 伊藤典夫 )