「それたけだ」 できた白い紙くずを追いたてていく。 コナン・ラングは、ゴッライブを眺めながら椅子の背によりかか「またお出かけだ」コナン・ラングは言った。 った。妙な男だ。たが人徳はある。 「いい子にしていたごほうびだ」司令官はにやりとした。「たっふ 「いっかあのべ・ヒイをいしってみたいものですよ」彼はさりげなく りとな。まあゆくゆくはわたしの職務も引きつぐんだしーー・前途厳 言った。「訊いてみたいことが一つ二つあるのでー しきものありだな、いくらきみでも。まあ抜け目のないやつなら、 「答えを知らぬほうがよい質問もあるものだ、ラング博士」 この仕事をさんざんしくじってみせるだろうな、そうなればこっち 「ええ。でも一度訊いてみたいんですよ。わたしがこんなことを言も休暇をあたえないわけこよ、 冫 ( し力ないからね」 っていたなんて、警備員たちには言わないでください。逆さ吊りに 「そう , ーーちょっとしたおふざけをやってみますかね、ほんの気睛 されちゃうから」 しに。やつらの手斧の先つぼに原子爆弾を一つ二つくつつけると 「まあいっかな、ラング博士。わたしくらいの年になったら」 か。やつらを洞窟に連れもどすとか。うんとたのしい可能性がどっ コナン・ラングは。 ( イ。フを握って立ちあがる。「以上ですね」彼さりありますな」 カ一一「ロった。 二人の男は銀色の宇宙船にむかって歩みつづける。 「そうだ」フリツツ・ゴッライプが一「ロった。 「準備万端ととのっていますね ? 」コナン・ラングは訊いた。 「いずれまた」 「おう。スタッフはすでに乗船ずみ、荷物は積みこんである」 答えはない。冷たい影が部屋をおおったように思われた。 「ほかに指令は ? 」 コナン・ラングは背をむけ、来た道を戻っていった。背中にくい 自分の任務はよくわきまえているだろう、さもなければ いるようなフリツツ・ゴッライブの目を感しながら、極寒の海の凍行くはずはないからな。ただできるかぎり早いところ片づけてくれ った水のように冷たく深々とした目。 たまえよ、コーン。相関データの統合促進原理の研究に関心が集ま りはじめているから いまにえらいことになるぞ、そうなったと 船は地球の表面に立っているが、とうてい地球には似合わぬものきにきみにそばにいてもらいたいんだ」 だ。飛びたとうと身構えている巨大な銀の魚、深海の生きものだ。 コナン・ラングはにつこり笑った。「・ほくがいっか飛んでったま もどかしそうに待っている、「ナン・ラングがホワイト司令官と肩んま消えてしまったらどうします、ネルス ? 銀河系は嘆き悲しん を並べ、第一宇宙港の広々としたジ、ラロイ舗装の = 。フロンをゆ「で、ま、しようがないやとあきらめるんですかね ? 」 り歩いてくるのを。澄んだ青空には太陽がぎらぎら燃えている。 「知ったことか」ネルソン・ホワイト司令官は言った。「しかし 陽光はゆらめく炎となって船に触れ、コナン・ラングの制服を通し だ、万やむをえない場合を除いて下手な危険はおかすな。かといっ て肩にぬくもりをあたえる。風が吹きよせて、どこからか迷いこんて、自分はなくてはならない人間だなどと思いあがるな。新人を仕 244
情報を総合できないようにされているー コクビット へ行ってみると、技術将校のクレイマーがコンビ、ー 「それでもうちよりはマシかな」小坂は自嘲気味に呟く。 ター・ディス。フレイに向かってキイを叩いている。ガ 1 ナ 1 船長は そのうしろで腕組みをし、むずかしい顔をしている。工作員のテイ「で、何を議論してたんです。物体が実在したのを確かめたから、 ラーと通信担当のウォードは船首の方を向いてすわりながら、クレもう帰還するかどうかですか ? 」 「まさか」 イマーの手元にときどきちらりと視線を送る。 小坂がキャ。フテンの背後からディス。フレイをのそきこんだ。松崎「でしような。じゃ、ロケット弾をぶちこむかどうか ? 」 「そんなものは積んどらんよ」船長は呆れた表情をあらわにする。 はね・ほけまなこをこすりながら端のコンソールの上に腰をおろし 「誰をあのレストランに送りこむかだ」 ディスゾレイ上には〈鳳凰〉が送ってきたらしいイオと木星の映乗組員全員がさっと松崎の方を見た。小坂もおずおすと皆の視線 像が映し出されていた。そして、画面の右すみに、ほんの針の先ほに合わせる。 どの鈍い光点があるのが見てとれた。金属製。距離約五キロ。 松崎は一瞬硬直した。ト / 坂は、よせばいいのに小さく拍手する。 「例の予告ポイントがこれですか ? 」 ガーナー船長はディスプレイから目を離さすにうなずいた。「そ彼はすぐさま松崎に横っ面を蹴られた。 のようた。わしらにはさつばり見当がっかんよ」 しかし、アメリカ人たちの表情は全然変わらなかった。テイラー 「どうして ? 予告通りなのに」 はさっそく作業用ポッドをスタン・ハイさせる。ウォードはメイン・ コンビューターとポッドの端末間の回線を開き、システム、コント 「予告通りだからだ。これであのメッセージは意味のあるものとい ロール情報を送りこむ。 う説が立証されちまったんだからな。本当に・ e とのコンタクト 「ちょ、ちょっと待てったら」 となれば、わしらの思惑をはるかに超えた全地球レベルの・オペレー 松崎はあわてたが、もう手遅れである。ガーナーは彼に宇宙服を ションになるそ」 「、はこれだから嫌たな。本当はこういうのとしよっちゅう着させ、最後に頭にヘルメットをすつばりかぶせた。 出くわしてるんでしよう ? 歴代の大統領は宇宙人と秘かに会見す「これはきみたちに来た招待状た。きみたちのポスにくれぐれもよ ろしくと言われている。婦人同伴でなくてつまらんだろうが、せい るのを楽しみにしていたと言うし」 ・せいごちそうになってきてくれ」 松崎の言葉に技術将校のクレイマーがきっとなって振り返った。 「人殺し ! 」 「まあ、待て。日本人の言うこともわからんではない」ガーナーが 船長は松崎のヘルメットを気密状態にする。。フシュッという音と 制する。「事実は歴代の大統領と数人の科学者、それに国防総省の ともに彼の肉声は聞こえなくなる。 トツ。フクラスしか知らんよ。我々 Z の現場は常に分断され、 8 4
ではやはり伝説は真実だったのだ。中央アフ屮・カの奥地に、″生 グッドが嘲りをこめた口調でいった。 命の泉″と呼ばれる広大な湖があり、そこには白人種が住むという 9 「自分の責任において、何ひとっ答えることが出来ないのか ? 」 しゅうれい : こ伝説は。 タロスの秀麗な顔がっかのま蒼ざめ、それから紅潮した。・ かっとう かぶと ころのなかで葛藤しているかに見えたが、やがて兜を脱ぐと、かた しかし私たちがかれらナーガ人に接した最初のヨーロッパ人とい しようぎ うわけではない。かってその国に入り込み、かれらに英語を教えた わらの床儿を引き寄せてどかりと腰を下ろした。 「よろしい。わたしに出来ることであれば、教えよう。質問は何だ白人がいたのだ。アラ・フの奴隷商人とともに、コンゴの奥地の探険 をこころみた冒険家ででもあったのだろうか ? 「君たちの先祖はどこから来たのだ ? 」 「たから、何度も評ねている」 グッドがたずねた。 カーティスが冷静さを保とうとしながらいった。 「私の知りたいことは三つある。 : : : 君たちは何者で、どこから来「 = ジ。フトか、アラビアか、あるいはさらに東方からか ? 」 ひたい じゅうりん タロスは苦しげに頭をふった。その額にはいつの間にか汁がびつ」 た ? ククアナを蹂跟した目的は何だ ? そして、女王とはいった しりと浮かび出ていた。 い何者なのだ ? 」 をしまから二千五百年も前に北から移って来た 私はうなずいた。たしかにカーティスは私たちの疑問を要約して「 : : : 伝承によれま、、 という。″海″と呼ばれる大いなる水のひろがりのほとりにある国 くれたのだ。 からだ。砂漠を流れる大河をさかの・ほり、沼地を渡り、そして山々 「わたしたちの国は、ここからはるか北にある。馬で二十日はかか をも越えてわれらが国に到達した。そこは、このククアナに似た高 る距離だ。 ちみと 原で、地味も富み、けものたちにみちあふれた土地だった。 タロスは話し始めた。 「このククアナよりも三倍も広い。西を広大な沼地に、東を密林にれらが先祖は、それ以上南へ進むのをやめ、そこに、大いなる国を さえぎられており、東西からは何者も侵入出来ない。北は、雪をい築いたのだ」 海のほとりの国。もちろんそれは地中海を指すのだろう。私 ただく山岳地帯となっていて、やはり沼地へと通じる通路がある。 は思った。ではかれらはパレスチナから来たのか ? やはり、イス 国の中央には広い湖がある。″生命の泉″と呼ばれている聖なる ラエルの失なわれた十二支族の末商だったのか ? 湖だ。そしてそのかたわらに、女王の都アースラがある」 ひとざる 「ジャガ族。あの忌むべき人猿どもは : : : 」 「君たちの国の名は ? 」 私がたずねた。 咳払いするとグッドがつづけた。 「ナーガと呼ばれている。わたしたちの先祖のことばで、″失なわ「君たちとはどういう関係なのかね ? 」 れた人々″という意味らしい」 「やつらは、西方の密林の闇にひそんでいたけものだ。しかし女王 ぎもん
催県に敬意を表し、「いばらぎパビリオン」にゆく。 三がっ四か さいごにわたしたちは「いばらぎばびりおん」 と「ゆーしーしーこーひーかん」にゆきました。 「いばらぎばびりおん」に入るとうけつけにおじ さんの写真をならべてうつってるみたいでした。 わたしはこれは「いばらぎの県ちじにちがいな とおもい、「これはいばらぎの県ちじです かーとききました。するとこんばにおんさんは、 いえ、これは当ばびりおんの館長でございま す」といいました。館長さんのぶろまいどをなら べていたのはいばらぎばびりおんだけでした。 いばらぎ」 なかには「さいえんす・わーるど・ とかいてありました。「せかいにほこるいばらぎ の先たん科がくぎじゅっ」ともかいてありまし こ 0 「なっとうのできるまで」があるとゆったの におとうさんはうそっきです。 わたしは「げん子の火」のなかをとおりまし こ。ばばっとらいとがついてすごいでしたが、ち っともあっくありませんでした。みんなとてもに こにこしてしんせつでした。「おまつり広ば」に ゆくと、「ぶるーじーんず」とゆうばんどのよう いがありました。おとうさんは、「まだやってた のか、すごいな。さすがいばらぎだな」とかんし んしていました。このばんどはとてもむかしから やっている、とてもゆう名なばんどなのだそうで す。 さいごに「ゆーしーしーこーひーかん」へいっ てコーヒーをのみました。さすがにおいしいコー ヒーでした。のみながら「ゆーしーしーがーる ず」というおねえさんたちのおどりとうたをみま した。おとうさんとかとうさんはこれはこくじよ くもんだなとゆっていましたが、わたしはどうい ういみかわかりません。うたをうたっているおね えさんはいしゆとばーんのようにおんちでした。 でもくろいたきしーどをきて、たからづかのよう で、かっこよいおねえさんたちでした。たいわん やふいりびんのおねえさんもいました。おとうさ んはここでしりあいのひとにあいました。 これでわたしのばんばくのえ日きはおしまいで す。あとでかぞえると九つもばびりおんをみてい ました。それでもまだみてないばびりおんのほう がずっとずっとおおくて、まっ下かんも三びしか んもがいこくのはひとつもみてないですから、み んなみてたらきっとなつやすみじゅうかかるだろ うとおもいます。ざんねんなのはりにあもーたー かーにのれなかったことと、もっとたくさんえい がをみられなかったことです。うれしかったのは ぶれびゅーなのでどこへいってもただでいろんな ものをくれたことと、しゅうえい社かんで、ほろ ぐらむのついたふくろをもらったことです。とて もすてきなかっこいいふくろで、みんなにじまん してだいじにするつもりです。 とてもさむかったけどひとが少ししかいないの ですぐみられてたのしいでした。でもおお・せい行 でんでんー Z()D 館にて 芙番ロボット・シアターにて
「マスターって誰 ? 」 「もちろん。それどころか、もっとすごいコレクションを隠してい あたしはメイヤーに訊いた。 るようです。かれは、この発見を『ルーシファ』のために役立てる 「お見せしましよう」 つもりでいるのでしよう」 メイヤ 1 は映像を切り換えた。画面が、山荘の門前の映像に変わ 「それ、やばいわ。ちょっとーーー」 あたしはテー・フルの上の像を見た。天使とはとても思えないけった。山荘は高い塀と、金属製のゲートに囲まれている。そのゲー トの前に、白いロー・フをまとった異様な風体の集団が詰めかけてい ど、たしかに何か未知の生物をモデルに造られた像だ。この像が、 あの見えない牙となんらかの形でつながっているのだろうか。それた。 ともまったく無関係なのか。うーむ、ややこい。頭で考えていたの 「かれらの真ん中に、輿に乗った仮面の男がいます」 では、まるつきしわかんなくなる。 メイヤーは映像をズームさせた。銀色ののつべりとした仮面をか あたしは悩みだした。あたしは、ややこいのが苦手だ。話は、もぶった男が、スクリーンに大写しになった。 「こいつが、マスター、あるいは教祖と呼ばれている男です」 っと単純な方がいい。 と、そのとたんである。あたしはあれのことを思いだした。そう教祖 ! それなら知っている。ランディスの話にでてきた。 だ。〈エル・サント〉で牙にやられかけたときだ。あのとき、あた集団は大声で叫んでいた。その声を門に取りつけられているマイ したちは、あれを見たんだ。あれのことさえわかれば、話は一気にクが拾った。 単純になる。 「異教徒は、聖なる地から去れ ! 」 あたしは、あれのことをメイヤーに訊こうとした。 かれらは、そう言っていた。 マスター ところが、そこに邪魔がはいった。 オーナー、メイヤーに引きつづいて、またもや、変な人物の出現 非常警報がけたたましく鳴りだしたのだ。・ なんの前触れもなし。とっ・せんである。心の準備ができてなかっ」である。困った。話がさらに、ややこくなってしまった。 ( 以下次号 ) たあたしは、びつくりして一メートルくらい飛びあがった。 「なんだ。いったい ? 」 メイヤーがボタンを操作した。例によって壁の一角がスクリーン に変わった。そこに先ほど玄関で見た、目つきの鋭い公安スタッフ の一人が映った。 「マスターです」スクリーンの男は言ったこ 「また三十人ほど引き連れてきて、門の前で騒いでいます」 ロ 9
かったけど、よーまあここまでステレオタイ。フのもの : ないか。集英社館のいわゆる「歓喜の空間」よりは ハウスをつくったもんだ。不毛的一一十分間がおわる。赤べレ るかにはるかに歓喜絶叫のサントリ館コーヒー ・サ 1 ビス ーと白服のコンパニオンが出てくる。この女の子もの の空間なのであった。おまけにブレビュー でコーヒーはタダ、クッキーまでもおまけについてく 1 がきをたれる。のーがき館、のーがきと人間、であ る。三人でサントリ館はえらいと絶叫しつづける。ある。むろん、加藤カメラマンはコンパニオンさんの写 あ、これまで幾久しく「レゼル・フ」一筋にのみつづけ真をとる。 た甲斐があった。決定的好感をもって見まわると、展われわれはここですでにかなりくたびれた。ひとっ 示も実に愛らしい。トリ、トリ、トリである。木に何元気を出して「講談社・フレイン ( ウス」へゅこう、と 百羽のいろんなトリが並んで大合唱するおもちゃがた相談する。向うから「歩く案内所」が歩いてきたので いへんかわゆい。噴水もトリの絵である。壁もトリ どーやってゆくかきく。この「案内所」をわれわれは だ。さすがにヤキトリ屋は出さんのだ。 「モニョモニョ」と名づけた。どうして「モニョモニ このサントリ館にあまりいとおしさを感じるので映ョ」か、というと、何となく「モニョモニョ」だから カ 像もみてあげたかったのだが、やはり。ヒラミッド をみである。万博とは「ポレポレスス」が「カッコー たくてまた集英社館のホールに戻る。どでかいスクリ ノコー」となきなき走り、「モニョモニョ」が浮遊 ーンである。寒い し、「ホレホレモノレール」が走りまわっているとこ やれやれくたびれたと座ると、白服のオジさんが出ろである。「モニョモニョ」にきいて「ポレポレ・ハ てきて、のーがきをたれる。いやーくたびれた。サン ス」にのる。やっとすわれてほっとしたがこの・ハスは リ館はえらい。オジさんはのーがきをたれている。 オー・フンカーでかなり寒い。ポレポレ・ハスは「サイエ いのーがきだ。 いつまでもたれている。なが ンス大通り」を走り「虹の何たら」に曲り、「エキス 今岡編集長が「早く芸をはじめんか、芸を」とほざポ。フラザ」にわれわれをつれていってくれた。 あっちもこっちも工事中である。あっちこっちで土 やっとスクリーンが芸をはじめた。遺跡をうっして木作業員諸君がおべんとーをひろげて「工事現場のひ は「我々はどこから来て、どこへゆくのか」「石は何るさがり」のくつろぎをしている。加藤カメラマンは を語ろうとしているのか」「明日のどーたらはこーた何を思ったか土木作業員氏に道をたずねようとして編 らなのだろうか」とのーがきが出てくる。・ハルコの O 集長にとめられる。編集長は「 xxx に道きくな・ハ 、といいますか、イツ X ・ヒロ X X の小説、とい、 力」と差別言辞を発する。カメラマンは用もないのに ますか。不毛だねえ、そう質問ばかりせんと、少し答モニョモニョとみるとかけていって道をきいている。 え考えてみなさいよ。・ヒラミッドが見られてなっかし それにしても何もかも。フレハ・フである。牛ドンの松 やっとありつけたコーヒ 1 火鳥館のコンハ一一オン
な。 ( トロール艇が空中に静止し、新しく切りひらいた畑のまわり 間に初歩の人類学など、あっと驚くほどのことでもなかろう」 に、防護スクリーンをはりめぐらしている。コナン・ラングは額の 「まあーーこ 「いいんだよ」コナン・ラングは感慨深げに相手を見つめた。この汗を拭い、足もとの堀割をごぼごぼ流れていくきれいな川の水で手 若者を眺めていると、ある人間をどうしても思いだしてしまうのだを洗った。 んじゃないか、アンディ」彼は疲れた声で言った。 「だいたいいい 昔々、大冒険にのりだしたコナン・ラングという名の若者を。 「シグナル 4 を送れ」 「ぼノ、は : : うーん : ・・ : その、きみはもう知っていると思うが、テ ンで・ほくといっしょに仕事をすることになっている」 アンディ・アーヴィンは小さな制御盤のレオスタットを 4 にまわ アンディは、コナンからハーレムをのせた銀の皿をさしだされたし、スイッチを入れた。二人は川を吹きわたる夜風のささやきに耳 目に見えるものもない ような顔をした。「ノウ・サー」と彼は言った。「知りませんでしをすませながら待った。なんの変化もない、 た。サンキュ】 力。 ( トロール艇から強力な放射線が畑に注がれ、大地に浸透し、 . 「名前はコナンだ」 種の中の生長因子の働きを何千倍も加速させている。フロセスを、彼 「イエス・サー」 らはほとんど感じられるような気がした。 「まいったね」とコナン・ラングは言った。こうやってまた目をき「うまくいったな」コナン・ラングは言った。 らきら輝かせているやつがそばにいてくれて幸せなんだというこの 「レリース・シグナルを送れ」 気持をどう伝えればいいのだろう ? 阿呆らしく聞こえないように アンディはパトロール艇にシグナルを送り、制御盤のスイッチを 伝えるには ? 答えは簡単・ーー・伝えないことだ。 切った。小さな船はふらふらと揺れているように見えた。かすかな 「待ち遠しいですよ」アンディは言った。「遂になにかをやるって 辷航船は うなりがして空に白熱の光点が見えた。それだけだった。巛 いうのは , ーーすばらしい気分です。うまくやれるといいですが」 飛び上り、彼ら二人がとりのこされた。 「もうそろそろだよ、アンディ。、 しまから二十四時間後にはきみも 「長い夜だったな、若いの」コナン・ラングはあくびをした。「ち ・ほくも仕事にとりかかる。乳母車の旅ももうじきおわりだ」 よっとひと眠りしたほうがいし 夜が明けないうちに眠っておく 二人はふっとだまりこみ、積みあげられた茶色のきれいな袋の山必要がありそうだ」 「ぼ を見つめた。星間宇宙船が、巨大な原子 = ンジンの轟音とともにか「どうぞやすんでください」アンディ・アーヴィンは言った。 すかに震動するのを足の下に感じながら。 くは眠くありませんから。ここの日の出はきっとすばらしいにちが いないです」 「日の出はすばらしいにちがい シリウス・テンは夜だったーーー・蒸し暑い夜、月がひとつ、暗い空「ああ」コナン・ラングは言った。 に凍りついた火のようにかかっている。巡航船から飛びたった小さない」 247
るのは三月末日。さっきラジオつけて そーですか、透明君と透明ちゃんですか : ・ 。そーいえば″ダイヤプロック″なんての読んでたら、ベストテン番組で速報とし がありましたね。色つきで透明のやつが。 て入ってきたもんだから、みんなよりはや 私は父のをたまに読む程度の不ま ところで岡村さん、五歳の頃の事を、よく いんだそ ! ) ホントに r-0 なのだそう。し , じめな読者ですが新井素子姫さまのエッセ 覚えてますね。ワタシなんそ、その頃を想い かしまあ、他人のいうことだからわかりま 」とおもっ イをよんで「こ、これは : ーこ落ちた 出すと、大に噛みつかれたとか、月冫 せんぜ。スタッフの方は、今はまだよくわ たのです。 なんてことしか出てこないんですよね。 ( う かんないんだけど、せめて原作か脚本に 私も、です。私の頭の中も半分ぬいぐる ーむ、なんで悲惨な子供時代だったんだろ 作家の誰か ( 桃子チャンだったら、新井 ・みさんの乱舞という素子姫さまと似たよー ( 加 ) う ) さんや栗本さんあたり ) が加わってくれて なもんじゃないかな 1 と思ったものでし ればいいけど。チャチにならないように ・た。私は小さい頃 ( といっても五歳ぐら ね。ビデオでしようとして失敗した早 い ) ・フロック遊びが好きでした。まず家を それにしてもなんですねえ、最近はアイ見優や小泉今日子の例もあることだし。け つくって、・フロックの箱の上において「お ドル歌手がしちまうんですねえ。 ( こど製作費三億円ってのは少ないなあ。かり やかた ! 」にするのです。もちろんキャラ にも映画撮ろうってんなら、十億 ・クターもでてきます。私もよくわからん内れはべつにアイドル歌手を・フべッしていっ にいつのまにか話が進行しているのです。てるんじゃなくてね。現にワタシはセーコせめて五億は出して欲しかったんだけど : まあ、低コストで成功した例もあるこ ・もうずっと前にプロックしなくなりましたちゃんの歌が好きです。あくまで歌が ) 。 が : ・ : ・。今では・フロックでないキャラ作っ的なものを使ったアイドル映とだし、これ以上うじゃうじゃいわないけ て遊んでいます。 ( キャラの名前がけった画 ) をやるのはチ = ッカーズ程度が限界だど。しかしこれも単に、隆盛に便乗 ・いだったので覚えてたんです。名は透明君と思っていたら、ナントあの桃子チャンがしただけの映画企画なのかなあ。そうなん やってしまうそうで。ナントカカントカボだろうなあ。ま、その中から少しでもいい と透明ちゃん ) 。 ーイってなモロのタイトルで ( まだコのが出てくれば文句はないけど。 ・ ( 〒Ⅲ東京都大田区南六郷一ー二〇ー七 ャツはタイトルもロクに知らんのかといわ ( ペンネーム】名前が出ては困るのことよ ) 岡村智子 ) れそうだけど、残念デシタ。コレ書いてい ・投稿歓迎 宛先は本誌てればーと係 ( 奥付参照 ) 掲載分には OI-L マガジン最新号進呈 円 8
しんばかりとってちっともたてものをとりませ ん。 いままでのところ、我々はまだ「何かを見た」と云 いうるに足るほどの「何か」を見出してはいない。 しかしまだほんのとば口に入ったところでしかな 第 。その上これは二つとも「政府出展」というハンデ ・を負「ているのだ。おそらく、恐るべき「科学万博」「。 はこれから少しづつ、その驚異の全貌を明らかにして】 ( 一 くれるはずだ。 われわれ探険隊はあらためて「万博」への闘志をふ るい立たせ再度「テーマ館」の内部へと挑戦してみる ンもシキ ことにした。ガラス窓の外に「ヤマタノオロチ」 ( き ゃあたーさんお懐かしいわ。わからぬ人は「魔界水滸 三がっ四か 伝」を読んでないねーーー著者注 ) のつもりらしい八本 わたしたちはまず、せいふ出展の「歴史館」へ首の・ハケモノがゆらーり、ゆらーりしている「テ 1 マ ゆきました。ひろいところにいろんなものがなら館」の外を一服しつつ眺めると、そこにはかの「集英 べてあるだけです。きたない古いつくえやカメラ社館ーはじめ、「でんでん館」「燦鳥館」など がみえる。なかなかここは未来的な光景なのだ。 やテレビがありました。あんまりおもしろくあり ません。 さらに奥へ進んでゆく。と、ロポットがおった。・フ 「メトロポリス」のマリアの方が美人だ つぎにこれはせいふ出てんの「テーマ館」へゅサイクだ。 きました。床の下が水になっていてふん水もありぜ、ハニイ。 ます。ばく大な水のむだづかいで、いつもじやロ これは「。ヒアノをひく口ポット」めなのであった。 をしめないとおかあさんに「にほんは水がだいじヤマハの電子ビアノをひいておる。まわりに取材陣が なんだからむだづかいしちゃだめよ」とおこられむらがって写真をとっている。ストロポが光ると脇に るのに、せいふだとこんなにむだづかいしてもおついているおねーさんが通訳する。ストロポが光って こられなくておかしいな。 楽譜がよめない、と文句をいっとるのだ。ナマイキな かとうさんはこんばにおんのおねえさんのしゃ のだ。そんならおねーさんがひいてやろーか。おねー うを 心 J ( ふいっ さあどこに行こうかな 歴史館にて
それにしても、あの白服の男はなんとドジなやつなのだろ 無造作につかみ出して泥を落としてみると、どうやら玩具の 。ヒストルと思われた。ただし玩具としてもかなり高いものだろう。縄文時代にどんな事件があったか知らないが、あんなに大 事な道具を置き忘れてくるなんて。そのまま未来に帰っていれ う。ジェラルミンか何かでできているらしい。 ばクビにされていたことだろう。警察と名のつくところは、拳 「こんなものがどうして埋まっていたんだろう」 銃の管理は今も未来もやかましいたろうから。 私が言うと、まわりの連中も不思議がった。 どうしてこんなことが私に言えるかというと、例のビストル 「このへんの子供が遊びで埋めたんしゃないのかな 私はタオルですっかり泥を落として、びかびかになったビスを取りあげられる時、私はちらりと銃に刻まれていた文字を見 "TIME PATROL" という文字 てしまったからである。 トルを握りしめてみた。 を。 「こいつはよくできている。安全装置までついている」 安全弁をはずしてトリッガーをなにげなく引いてみた。その 時、驚くべきことがおきた。 突然、閃光がひらめいて、落雷のような音が響いたのだ。そ して、気がつくと目の前の松の木がめらめらと燃えていたので ある。 「たいへんだ。落雷だ」 何も知らない人たちが、火を消しとめようと右往左往を始め 応募規定 その時、茫然と立ちすくんでいる私の手から。ヒストルをひっ 〇応募資格一切制限なし。ただし、作品は商業誌に未発表 たくった者がいる。見ると例の男だ。私が何か言おうとする の創作に限ります。 と、男は「すみません、すみません」を連発した。そして、逃〇枚数四〇〇字詰原稿用紙八枚程度。必すタテ書きのこと。 鉛筆書きは不可。 げるように走り出したが、一度振りかえると、うれしそうに 〇原稿に住所・電話番号・氏名・年節・職業を明記し、封筒 「ありがとう」と言った。それからまた走り出し、森の中へ消 に「リーダーズ・ストーリイ応募」と朱筆の上、郵送のこ えていった。 と ( 宛先は奥付参照べンネームの場合も本名を併記して 下さい。なあ、応募原稿は一切返却いたしません。 結局、松の木が炎上したのは落雷ということになったが、私 0 賞金金一封 は知っている、あの雷光は。ヒストルの銃口から発したというこ 〇掲載作品の版権および隣接権は早川書房に帰属いたします。 とを。あれはおそるべき威力を持った光線銃だったのだ。 円 7