ませぬ。そのおりに片桐様は何を玩具に差上げまするおっそれにしても、天下の大大名を戦争より他に能のない小人 どもが、やがて不善をなすであろうという冗談は耳にも、い 到頭長安は片桐且元を完全に毒舌で翻弄したした。ここ にも痛かった。 まで問いかけられると、 こ温厚な人物でも気がっかな むろんその退屈まぎれの不善は、不善な行為として爆発 い筈はなかった。 する前に、不平として豊家の周囲に集るであろう。そのお 「貴公であったら何とするかの」 り、豊家を預る且元としてはどのような覚悟でそれに臨む 且元は不快を押えて訊き返した。すると又待っていたとつもりか ? 不思議な論理でそれを追究し、その覚悟を促 ばかりに、長安はやり出した。 されたような気がする 「やはり太閤さまのなされた通りに致すより他にござりま いや、それ以上のことまでいわれた すまい。城造りだの大仏造りだの濠造りだの : : : それで適 ( 退屈させぬためには城普請だの大仏造りだの濠造りだの 当に腹を立てさせておいて、これがもし、大きな腫物にな うみ りました節は順に潰して膿を出す : : : まさかに朝鮮出兵も それならば、すでに諸侯が、それとなくそろそろ警戒 なりませぬので。片桐さまとて、同じことをお考えになりし、私語しだしていることであった。 士しよ、フて」 征夷大将軍となった家康は、千姫を大坂の人質に残し 且元は、きびしい顔で膳を膝からおし離した。 て、やがて江戸へ引きあげる。そうなれば次に来るのは、 当然江戸城の大改築であった。 十四 今迄は徳川家個人の居城であったが、武将全体の統領で 片桐且元は、暗澹とした気持で大奥を辞し去った。 ある将軍の居館となれば、当然これは私有物ではなく、公 ( あれは果たして大久保長安自身の考えによる脱線だった共的な意味を持ってみなが工事の課役を受け持たねばなら のだろうか : ぬものに変って来る。 それとも本多正信とか、板倉勝重とかい う智恵者ども戦はもうないのだ。したがって、百姓たちに四公六民の 長安に入智恵していわせたのでは無かったか : 税をかけていながら、領主はその領地の安全を保証して呉 144
「もし、大久保さま : 「確かにそうかも知れませぬ」 とその時、いったんこの場をはずした於こうが、またあ 「と、ロではいうが、お許には異存があろうな。まだ、そ わたたしく廊下をふんでやって来た の黄金が行き渡ったわけではないと : 「左様、また河原にはいつばい、乞食も居れば、盗賊も絶「義兄さま、珍しいお方が見えられました」 えませぬ」 「それゆえ、ここでは一層派手にやってみせねばならぬと ころじゃ。働きさえすれば、富めるのが人間じゃと、大き 光悦は、大久保長安に話しかけたままの形で於こうを振 く希望を持たせる時じゃ」 り返った。 光悦は、それから先はもうくわしく聞く要はないと思っ 「お話中じゃそ。どなたが見えられたのだ」 「はい 0 ~ 余屋さまで、こざいます」 器量の中にも、守勢の器量と攻勢の器量がある。大久保「なに、茶屋のご当主ならば、すぐさっき : 長安は、思いの他に金山があたったので、幾分は浮かれて そこまでいったときに、当の清次はもう土間に姿を見せ いるらしい ていた。 それよりも間題は、太閤の七回忌のことであった。その 「ご来客が、大久保さまと伺いましたので、無遠慮に押し 事では、考えれば考えるほど長安の思案とそろばんは確かかけました。先刻は、失礼を」 であった。 「茶屋どの、あの大坂の、於みつどのは : 「十、 0 いや、それもすでに期日は迫っている。 ーし心急くと見えまして片桐貞隆さまが、お迎えに参 光悦は、長安がタバコ盆を引きよせたところで、 られました。それゆえ私は片桐さまにお任せして、おじ様 ( ひと走り所司代屋敷まで行って来ようか ) のあとを追って来たのでございます」 「それはそれは、やはり片桐さまが : : いや無理もない。 と、ふと思った。ここで二人を会わしてしまえば、事は さ、こちらへお通りなさるがよい」 決まろう。所司代の板倉勝重は、先々代の茶屋が亡くなっ てから、光悦とは一層親しさを増している。 光悦は、自分で立って嗷物をとって来た。 308
秀頼が天下人となり、家康が家老になって、自分たちに しかったが、これも家康の前では、知っているとはいいに 仕える日が近づいた : : : 若しそんな期待と夢を描いている くい事であった。 のたったら、それは末恐ろしい不幸であった。 「さあ、さような儀も一向に・ 征夷大将軍になった家康が、そのようなことをする筈は 且元は、あわてて汗を拭いながら頭を下げた。 なく、同時に又秀頼で治め得るような天下でもない 五 したがって淀の君が、そうした錯覚で千姫を迎えて行く 家康は、チラリと黒田長政を見やったが、かくべっそれとすれば、それがあらぬ錯覚とわかったあとの落胆と憤怒 はどのような形をとって現われるか : にはこだわらなかった。 事実「天下さま 」の噂を伝えたのは長政だった。長当然それは千姫の身に意地わるい迫害となって、そこか ら両家の不和は堰を切ってゆくであろう。 政はそれを家康とは違った感覚で受け取っていた 今ごろになって、太閤のことを「天下さま 」と呼・ば それゆえ、それとなく片桐且元に、その錯覚の有無をた 2 せるのは、淀の君に、大きな誤解と期待があるからだと彼だし、若しそれがありそうだったらその間の事情をよく説 明しておくよう : : : そう思って家康の耳に入れたのであっ は解していた。 十一歳とはいえ、ここ一、二年で他の十三歳位の大きさ たが、片桐且元はさらりとそれを遁げてしまった。 に成長をとげている秀頼は、見ように依れば、周囲の女た そうなると長政は黙っていては家康に済まない気がし ちが、手どり足どりで思春期に引っぱり伸した間の抜けた 青竹のような感じであった。 「ほう、片桐どのはご存知ない・ しかし、それは母である淀の君にとって頼母しい生成ぶ りに見えるに違いない と、且元は又空とぼけた。 そこで、淀の君は、千姫を迎えた秀頼が、遠からず天下「何の話でござりましたかな ? 」 を渡されるものと錯覚しているのではあるまいかと危惧し 「天下さま、天下さまと、女たちにまで故殿下を呼ばせる ている。 ことでござる。この長政でさえ耳についた。日々お側にあ せき
蒼ざめている。 「その話は、実は片桐貞隆さまから、茶屋どのの許へ突然 どうやら何かに思い当ったものらしい : まことに突然に、お話があった由にござりまする」 光悦はホッとして、声をおとした。 「何かあの女子に不都合があったと申すのだな。お千の身「上様、それが茶屋には全く突然のことにて覚えがないの にもかかわりのあることか」 でござりまする。むろん茶屋はその旨お答え申上げた。と 「はい : : : それが不都合はなかった。が、お暇を出したい ころが今度は、片桐どのが両手を突かれて、それは重々わ 故、茶屋の方から、お暇を願い出て呉れまいかというお話 かっている。何も言わすに、こなたの子として引取って呉 であったようで : : : のう茶屋どの」 れまいかと : しかにも、その : : : その通りにござりまする」 「ウーム」と、宀豕康は唸っこ。 「まわりくどいそ両人 ! 何のために片桐の舎弟からその 「して、茶屋は何と答えたぞ」 ようなことを申して来たのじゃ」 「一両日考えたうえで : : : そう申してお帰し申しました由 「されば、栄の局は懐妊の様子である。それゆえ茶屋の方 : さりながら、事は茶屋の了簡たけで済むことではござ からお暇を願い出るように : : と、こう申し越されたのでりませぬ。あちらを思い、こちらを案じて、茶屋どのはこ 、一」ギ、り - 寺する」 の私に相談ー こ見えられました。が、私に致しましても同じ 光悦はそういうと、あわてて額の汗を拭った。 ことにござりまする。上様の仰せの通り、茶屋どのがはや まった態にして、お暇を願い出ずれば一応は事は済むよう ではござりまするが、栄の局が果してそれで納得するもの 「どうも平素の光悦に似合わぬ話ぶりじゃ。すると清次かどうか。何しろ生まれ出ずるお方が太閤殿下のお孫では は、あの女子が宿下りしたおりに、はやまって膩しみを : はい、姫さまならばまだよいとして、若し和子さまで 忘れたと申すのか。女子はひとりでは懐妊はならぬものおわした節は : : : 」 「待て光悦 ! 」 そこまで言って、家康はギクリとしたように自」をのん「はツ 一 0 277
長安の想像では、一個はせいぜい五貫匁か七貫匁のもの 彼が一応徳川家から命じられて来ている雑務を終って、 本丸内の片桐且元の詰所に報告に来ている時に、弟の片桐と思っていたので、且元が一つ運んで来て見せて呉れるも のと田いっていた 貞隆がやって来て、 ところが且元は、笑いながら首を振った。 「ご用談中ながら」 「ここまで運ばせるわけにも参らぬゆえ、途中までお運び そう言って何事か耳打ちした。 すると且元は、うなずいて長安をふり返った。 下され」 「あの、運ぶところまで参りましても、よ、よろしゅうご 「只今、ご金蔵からご本丸の天守のお蔵にご分銅を少々積 ギりまするか」 み代えさせているところゆえ、ちょっと中座致します。こ 「他ならぬご親類のご家臣、苦しゅうござらぬ。お目にか れにてお待ち下さるよう」 け申そう」 「あのご分銅と仰せられると、太閤殿下ご秘蔵の黄金 : ・ そして、且元は長安を伴って、天守の下の蔵の前までや で、こギ、りまするか」 って来たのだ。 「いかにもそのご分銅でござる」 こよ、通路に荒ゴモが敷かれ、その上をいま四人 「片桐さま ! それがしも徳川家では金山奉行と相成る蔵の前しー 身、後学のためでござる ! いや今後の想い出とも相成り宛でこれもコモで包んだ切石のようなものを重そうに運ん ましよう。そのご分銅、ひと目なりと拝見させては頂けまでいる。長さは一尺一、二寸、厚さはそれより少し薄く見 、。冨もまま一尺はありそう えるから七、ノ寸でもあろうカ申冫 オ , いか」 だった。それを厚い欅の板に載せ、四方で吊って運んで来 その様子があまり熱心なので、且元はびつくりしたよう るのだ。 いや、すでに運び込んでいるのもあれば、あとに続くも 「宜しゅうござろう。では一つだけお目にかけましよう。 のもある ) つまりその列がし 、ま天守のお蔵に向ってすす 他はみな、それと同じ形、同じ大きさでござりまするゆえ」 「ありがとう存じまする。では、この場で拝見致せましょんでいる。 、フ、か」 「一寸、一つおろしてみよ」 けやき 767
徳川家康 3 泰平胎動の巻 北月月作り 桜の乱行 江戸の抱負 於大の生涯 出ずる日落つる日 人質草 桐の片桐 泰平胎動の巻 、 1 江戸・大坂の巻 目次 一〇四 四七
なって、若君さまは嘘を申される : : : などと言うても手遅 「ふーむ。こなた腹を立てたようじゃの」 れじゃぞ」 「そのようなことがあったら : いえ、疑われても詮ないことと、素直にお裁きは待っ : と一一「ロお、フとして、き、すがに冖回はこら 舌噛み切っても : て居ります」 「そうか。まさかこなたをここでこのまま手討ちにもなるえていった。 まい。時刻のことは不問に致して、いったんは帰せと申し片桐且元はもう、すっかり責任感だけの、武骨で律儀な ているのだな」 傅役になっている。その前で、秀頼の幼い青春の過誤だけ 「そこまでの差出口はなりませぬ。しかし、時刻の長びきま は、そっとしておいてやりたくなった。 したことならば、明朝若君さまにおたずね遊ばされても、 事実栄の局が、秀頼の居間で暇どったのは、彼自身のロ から側室になどと言い出すことを控えて呉れるようにと、 明瞭になることかと存じまする」 「指図は受けぬ。大事と見れば、これからでもお起こし申それを説き伏せることにあったのだ す : : : したが局」 片桐且元は、またしばらくじっと局を見詰めていたあと で、 「何で、こギトり・ましよ、フ」 「確かに若君の方からこなたを召寄せられたのじゃな」 「よし」と、小き、く、 ( 里く一一一口った。 「誓って、その通りにござりまする」 「誰ぞこなたに、特別若君にお近づき申すよう : : : そのよ 青かな暴風 うに申付けた者があったら、この市正に打明けて呉れぬか。 市正は短慮な者ではない。決してそのためこなたに迷惑の 及ぶようには取計らわぬぞ」 「お信じ下さりませ。若君さまがお淋しがられ : : : それ で、思わぬ長座を致したのでござりまする」 「その儀は市正から改めて若君にお訊ね申上ぐる。あとに 」の来訪者 その日淀の君の許へ珍しい「ご機嫌伺い が二人あった。一人は自分とおなじ太閤の側室だった京極 237
る片桐どのがそれにお気附きなさらぬとは奇妙千万」 少し意地わるい目で見れば、片桐且元の態度にはたしか 「あよい」 にどこかずるそうな所もあった。 それを家康は、哀れんでいるのだが、若い長政は反撥を と、家康はたしなめた。 「太閤はたしかに天下さまであられた。間違うては居ら覚えるらしい ぬ。それより、輿人れについて、淀どのから何かかくべっ抛っておくと気拙い空気になりそうだと思ったのだろ う、年長の堀尾吉晴が口をはさんだ の申し出はなかったかの」 「そのようなご贅沢は、将軍家はお喜びなさられぬかもし 且元は、わざと長政を無視するように家康の方へひと膝れませぬなあ」 すすめた。 家康は、それが耳に人ったのか入らぬのか、しかし、す ぐあとを引き取って、長政の皮肉から話題の焦点を巧みに 「実は、他ならぬ千姫さまのお輿人れゆえ、大手門から大 玄関までの間の通路に新しい畳を嗷きつめまいて、その上そらした。 「して、市正は、何う決裁なされたの ? 」 を白い絹布で覆うよう : : との、ご内命がござりましたが 「はい。それがしも、そのような物々しさは却ってお喜び なさるまい。こう申して差し止めましたが : 「ほう、畳を敷いての」 「差し止めたが、聞き人れなんだかの」 「はい。女性のお身ゆえ、衣裳をよごしまいらせてはと、 お心遣いなされてのことでござりまする」 「いいえ、市正は、何彼といえば、すぐに将軍家、将軍家 , 乃・枷どの : : : 」 と、江一尸のことばかり口にする。こんどはこちらにとって 芽出度い婚儀なのじゃと、皮肉を仰せられただけで、それ 無視された長政は笑いながらロを出した。 「それは姫の衣裳のためかの ? 天下さまのお子の威を示がしの申すとおりに致すことに相成りました」 「そうか。そういわれたか : すためではござらぬかの」 家康は軽く頷いて、 「それはそれでよかった。しかし、お身の立場も時々微妙 133
「申し上げます。ただいま茶屋四郎次郎さま、お目通りを 「物・し上げエしよ、つと , ・」 光悦は、感慨をこめて答えた。 慶順尼がやって来て、わざと声を張るようにして取次い 「まことに仰せのとおり、天下のこともさることながら、 若君さまのご将来は、かかって片桐さまご兄弟と、ご生母 偶然ではあるまい。片桐貞隆が、万一のことを想って、 さまのご思案のうちにあると存ぜられまする」 「そのことじゃ。秀頼どのも正しくはわが子なのじゃ。太茶屋の方へ、於みつの上京を知らせたからに違いない : と、光悦はった。 閤はご生前、そのけじめははっきりとつけられ、誕生祝い の伊勢のご祈願など、みなわが名でなされておわした。さ りながら、今になってそれを言うては、却って風波のもと 「なに、茶屋が来られたと : にもなろうと忍んでいるがの、大事なおりには、わらわも 口をはさむぞえ」 高台院は、チラリと光悦と顔を見合わせてから、さりげ 8 なく於みつに問いかけた。 「それはも、フ、当然のことにごギ、りまする」 「どうじゃな於みつ、慶順尼がああ申す、この場に茶屋を 「ホホ : : : わらわとしたことが、今日はすっかり生地をむ き出してしもうた。。 とうじゃな於みつ、これでこなた、も通して苦しゅうないかな ? 」 それは、高台院も、清次の来訪を予期していたかと思う 、つわらわに訊ねることはあるまい」 ほど、とろりと自然な間いかけだった。 さすがに於みつは狼狽した。 「何時までも人を頼って、どうして強く生きられるもの じゃ。この尼とてもはや何時仏の手に召されてゆくやも知びくりと肩を波打たせ、それからあわてて面を伏せて、 れぬ。おのれがことはおのれでするのじゃ」 膝に重ねた指のふるえをこらえていった。 「こなたが、いまは会うまいと思うたら、わらわがそのよ 於みつが、明るい表情をとり戻して答えたときであっ うに計らおう。遠慮はいらぬ。思うままに答えてみやれ」 光悦は思をのんた
: そう仰せられて肩をお抱き下さる : : : それだけかも知光悦は、生まじめに合槌を打ってから、 れませぬ。それでもお目にかかりたいと於みつどのは言わ「それからお目にかかるように取計らうと致しましても、 っしやるのか」 これは内密に致すべきでござりましような」 語尾を於みつに向けられて、 「内密に この大切な預り人を : : : 」 し」 「はい。すべては円満にあれかしと希うてすること、わざ と、於みつは小さく頷い わざご母公さまにご不快の念をお与え申しては意味がな い。この事は、市正さまにも内密がよろしゅ、フござりま 於みつにもそんな気がする。一日も早くほんとうの世捨 人の境涯になりたいと常々口にしている高台院たった。 しよ、つな」 ( それでもよい : : 会うと何か大きな啓示を得そうな気が 「兄上にも : してくる ) 「はい。すべて手前と片桐さまの一存で、万一のおりには 貞隆は、もう一度低く呻いて、又淀の君の名を口にしそっと京へ伴って茶屋に会わせた : : : そう致して参らねば 7 2 なりますまい。その辺のことは心得てあろうな於みつどの 「ご母公さまは感情のつよいお方じゃ。関ヶ原の合戦後、 子飼いの武将たちを将軍家の側に追いやったのは、みな高光悦は、もう於みつの望みをとげさせる気であった。 台院さまのおさしがね : : : そんな風に聞かされて、それを そのまま信じなされておわす」 「そのよ、つなことも、、こざりましよ、フな」 片桐貞隆は、しばらく黙って光悦の言葉の意味を追いか 「それゆえ、実のところ、わしも兄上もなるべく訪うのをけた。彼の頭の回転は早いほうではないらしい ご遠慮申上げている。そのようなところへ、局が参られた 「兄上にも内密で : となると、折角の話がまた以前に逆もどり : : : そう思われ ロの中で呟くと、すかさず又光悦はその先の先をいっ るのだが如何であろう」 「、こもっともで」 「万一のおりに叱られたと致しましても、その方が宜しい