神と人との間 - みる会図書館


検索対象: 谷崎潤一郎全集 第9巻
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1. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 「おや、一人ですか ? 」 穗積は漸く、そこにゐるのがその人であるのを知ってから云った。 「ええ、一人よ。 今日は何だかイヤなお天気ね、表はよっほど寒かないこと ? 」 「どうしたんですか、外の者は ? 」 と、彼女の問ひには答へずに聞いた。 「幹子さんは今日、本讀みとかがあるとかって、もうちょっと前にお出かけになったの。」 「ぢゃあ看護婦は ? 」 「今日は先生が晩に診察にいらっしやるんで、晝間のうちにゆっくりお休みなさいって、寢かして上げた の。看護婦さんだって疲れてゐるわ、昨夜も病入が苦しんだんでおちおち寢られなかったんですもの。」 道子は何處か、庭で遊んでゐるらしかったが、子供のあとを追って出るのも妙にその時は気が咎めて、仕 方がなしに穗積は病人の枕邊に据わった。 「あなた、穗積さんが人らっしゃいましたよ。」 と、朝子が云った。 さういっ迄も苦しくっちゃ、困ったもんだねえ。」 「添田君、どう ? 病気のエ合は ? たかふ が、病人は突如として、癇の昻った調子で云った。 「どうしたんだよ ! 揉まないのかよ ! 手を休めちゃいけないぢゃないか ! 」 ほら、斯うしてさっきから揉んで上げてゐるちゃありませんか。」 「休めてなんかゐやしませんわ、 391

2. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 に意外だ、こんな事になる筈ではなかった。それもお前が惡いのではない、みんな私が、 前を墮落させたのだ。 お前にあの罪を自白すれば、或はお前は私を赦してくれるだらう。さうすれば私は自殺しないでも濟む 此の上お かも知れない。けれどもそれは、私が世間を欺くばかりか、お前に迄も欺かせるのは、 到底私には出來ないことだ。それに私は、世間が何處迄も私たち夫婦に同 前を墮落させるのは、 しほ 情を寄せ、亡くなった人を悪く云ふのが一と入悲しい。私たちは、いや少くとも私だけは、添田君より 憎まれなければならないものだ。私は憎んで貰ひたいのだ。 お前は此の頃、私の様子が變なことにうすうす気がっき始めたやうだ。私はお前に間はれることが恐ろ こら そしてお前の愛情に一生懸命縋ったのだが、 しい。お前の前では出來るだけ堪へて來たのだが、 しかしもう駄目だ。恐ろしい問ひが發せられる前に、私は處決しなければならない。 矛盾のやうだが、結局私は添田君が恨めしいのだ。添田君さへゐなければよかった。そして初めからお 前と私が夫婦であればよかったのだ。一入の悪が三人に及ばす。添田君一入が惡かったために、お前も 惡くなり、私も惡くなったのぢゃないか。そして最初の悪人が死んでしまった後までも、なほ私たちは その惡のために惱まされる。お前と私は割りに合はない。 すが : 私がお 407

3. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 し ネ皮 田 添 ら の し も の じ さ と た 知 月匈 ね や き 田 で く と つ て ふ く 僕 才辰 ひ、 添 の っ り ム は オし て な 中 ゐ な に や れ は る 田 た た 君 ま に み、だ 人 分 か 良 4 勿 と は ふ に が カゝ で の ・つ で 附 や ら な あ ら ヾ か の ノ、 ね 片 葉 っ な け き て ふ か る 君 鱗見を っ イ業 と 人 ん 。僕 た ゐ 果はし に 句 だ な は つ な だ よ 觸 っ 違 切 敢かて っ 朝 と ど ち な ゐ ん く っ を た ま ふ だ い と か も て て を 希 附 る け 出 し 愛 や 片ノ つ そ っ 穗 望 れ 君 來 ん き て れ す て だ て も ム な 積 だ ど は く そ に る る れ の 僕 さ 君 は よ あ の つ を 。實 は 彦頁 て 信 給 っ ら つ ほ し ゐ 用 朝 は は た の に ど と 惡 淋 た 覗 て し 子 る を な ん っ 傷 人 君 い し け き オこ オ フ ) ふ ノ、 込 ち け も に と れ や た . 眞 も 間 ま と に が も っ の も 大 く の 人 の な も な だ ふ だ 言睾 友 ら が ん ふ 切 が 意 惡 ノ、 善 だ 君 ぢ 君 ま だ な か ま ふ よ だ 穗 入 の と 人 と ん の や だ 女子 そ 積 な 眼 だ ム が じ か 悪 分 意 君 君 ふ と ろ の は か ら 黨 な時 ら 君 り ぢ と の は イ業 の 同 感 の が ツ ん つ て 感 は 、良 . 等 此 く れ 化 と が だ た て な の 化 ま な つ ら の な よ る 待 男心、 い し そ を ん の の 受 つ く と る ん 惡 た 女喜 け 努 い 見 ば 聞 く ら て め し だ し り ゐ た 君 か 君 た で て な 良 で は ん だ つ と の た 附 希 な だ け は な ひ は 望 と 人 よ ん き が は 彼 ム は あ 思 心、 あ は に さ の の っ 底 と 日寺 始 る な そ の の 釜 分 中 な め ん ム カゝ ら 嬉 人 猫 も 君 ふ だ る つ 添 僕 信 を 君 か し ら は か 、よ」 0 、 233

4. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 になっちゃったんです。」 「だけど此の頃は酒を飮むから、どうか分らんぜ。酒の味を覺え出したら女の方へも直きに手が出る。」 「そりゃあさうかも分らんな、此れから僕もぼつぼっ夜遊びを始めるやうになるかも知れない。 今夜あたりはどんなものだらう ? 歸りがけに何處かのバアでウイスキ 1 でも引っかけて、ぐでんぐでん 一瞬間、穗積の腦裡にそんな考へが、ちらと浮か に泥醉して、十二階の下でもうろついて見たら ? 367

5. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 「僕に手紙をよこしたのはあなたに居所を知らせてくれるなと云ふんですよ。僕があなたからその金を受 け取って、送ってくれろと云ってるんです。」 いっ迄に送れって云ふんでせう ? 」 「そんなお金がないことは分ってゐるのに、 もし後れると餘計足りなくなるからって、大分 「明日の午までに屆くやうに電報爲替で送って貰ひたい。 急な話だもんだから、手紙を見ると早速やって來たんですがね。」 朝子は腹の中で箪笥の中に殘ってゐる物を一とわたり數へて見た。「もう入れる物がありませんから」と さう云っても、「お前の物を人れなくってもいいんだよ、まだ己の物があるぢゃないか」と、夫はいつも みきこ 云ふのである。それは皮肉でさう云ふのか、それとも本気でそんなにまでして「幹子さん」に人れ上げた いのか、さう思ふと恨めしくもあったけれど、でも成るべくなら夫の衣類に手を付けたくはなかったので、 朝子は今まで出來るだけ自分の物を削いで來てゐた。けれどさし當って考へて見たところで、殘ってゐる のはみんな此の先冬になれば入用な物ばかりだった。金目な品と云へば一昨年拵へた大島の對の羽織と綿 人だけだが、それを人れればちょいと表へ出ると云ってももう着る物もなくなってしまふ。が、どう思っ ても夫の物に手を着けまいとするならば、それを都合するより外に仕方がなかった。それと、たった一つ ならなかったら、子供の名前 身に着けて居るルビ 1 の指輪と、二つでうまく百圓になるかどうか で預けてある三十圓の郵便貯金の中からでもどうにかしよう。 それちゃ明日の朝取りに來て下さいまし。」 「ええよござんすわ、何とかしますから。 咄嗟の間にきつばり腹をきめたらしい朝子の言葉は、なぜか穗積に或る淋しさを覺えさせた。彼は思はず ひる ゐどころ をととし っゐ 207

6. 谷崎潤一郎全集 第9巻

積 の 上 に も 神と人との間 、死 斃をす 、疑 。臟 上 同 の 涙 を そ そ ぐ で あ ら そ し て 蔭 な り 日 向 な り 彼 女 の た め 盡 し て や つ た 失 戀 の 言寺 人 不惠 375 夫 は 却 っ て 先 に 此 の 世 を 去 つ た 世 間 は 必 ず : 夫 の 歸 り あ れ ほ ど 迄 に 待 ち 佗 び て ゐ た 不 な 朝 子 の 身 の 彼 等 を 嘲 笑 し イ寺 し て ゐ た そ の 天 罰 を 受 け た の で あ る 殺 さ れ る 筈 の 妻 は 助 か り 本殳 さ っ と し た 無 な が あ り 朝 子 と ム ふ 良 き が あ つ た に は ら ず 彼 等 の 訴 と 諫 告 と 0 こ 耳 を イ頃 け な カゝ つ た ば か り カゝ 常 に も な い 惡 魘 主 義 者 は そ の の 報 に 由 つ て ん だ の で あ る と 人 々 は ふ 彼 に は 積 と ふ 良 き 晩 添 田 か ら 藥 を 貰 ひ し な カゝ つ た し 長 ら く 醫 者 を 止 め て ゐ る の で ム で は そ れ を 彳 易 に 手 に 入 れ る 便 す る と は 特 に 珍 し い 象 で は な い さ っ だ と す れ 誰 も 穗 積 に を か け は し な い で あ ら っ 彼 は あ の あ の 晩 以 來 度 も ん で ゐ な か つ た と し て も 故 人 の き 不 節 制 / ょ 放 士寺 を 極 め た 生 活 か ら 腎 を 誘 發 現 に 人 の 社 記 者 も そ の 藥 を 貰 て 居 り 死 者 の 友 ノ、 穗 積 氏 も そ れ に 關 し て 呶 を し た く ら ゐ で あ つ て し っ さ も て し と る あ は 張 誇 の 少 多 に 葉 た つ ム と だ ん む 飮 を オも 此 は 己 々、 時、 が 人 古気ロ ば ん , し よ た と 豪 衄 し て ゐ た そ が 單 な る 豪 衄 で な と あ の 晩 幹 子 が 心、 酉己 し た の で も 明 か で あ る ば か り で な く を 引 き 起 し て 死 ん だ の で あ る 死 者 は 生 月リ 精 カ の を 誇 り 色 慾 几 進 劑 と し て 種 の 秘 藥 を 用 ゐ て る 因 に 就 い て は 何 等 怪 し む き 點 は 有 り 得 な い か な る 醫 自市 が 檢 て 添 田 腎 臓 炎 を 煩与 ひら 症 に 昏 睡 爿犬 態 に 陷 つ て 間 カゝ 間 目 の 終 り ま に は れ る で あ ら っ み は な い 手 足 の 浮ふ 腫臟 は よ い よ ひ ど く な り 尿 は ま ま す 少 く な り が て 嘔 吐 と 痙 攣 を イ半 ひ 後 師 は な く 臣又 の 診 を 下 す が 積 の 定 す る と ろ で は は や 十 中 の 八 九 ま で 恢 の

7. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 自然のやうに思へた。彼女の方でもただ何となく二人が好きだと云ふだけの事で、添田にも穗積にも別に 甲乙はないらしかった。 明くる年の正月、添田は穗積と照千代に停車場で別れて、一度東京へ歸ったが春になると又やって來た。 しかしその時はもう照千代は長野にはゐなかったのである。「急に引かされることになってね、京都の方 へ行ってしまったよ」と穗積はあっけなささうに云った。 「京都へ ? ひどく遠方へ行ったぢゃないか ? 」 「うん、旦那と云ふのが始終上方 ~ 商用のある人でね、月の半分は京大阪へ行ってるもんだから、それで あっち 彼方へ妾宅を置いたんだらう。」 旦那は長野の木村と云ふ呉服屋の主人で、もう四十近い男だと云ふ話だった。細君と云ふのが大變物分り のした人で、子供が一人もない所から、夫婦して照千代を妹のやうに可愛がって、引かせる時もその細君 の差し金だった。 「それぢゃあの時分からその男と關係があったのかしら ? 」 「いいや、さうぢゃないらしいよ。男の方は前からそんな気があったんだけれど、照千代の方ぢや奥さん に濟まないと云って、いつも逃げてゐたんだよ。それが今度仲へ這人って口を利く者があったりして、引 かされる事になったと見えるね。」 添田は一週間ばかり穗積の家に遊んで行ったが、二人とも何だか物足りなくて、話が愉快にはずまなかっ 215

8. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 が立つにつれて夫の無情はますます激しくなるばかりで、もはやうはべの幸幅さへも彼女を見捨てた筈で あった。家庭に於いて虐げられるのみならず、作物の上でもモデルにされて虐げられ、見物の前で笑ひ物 にされつ、ある自分を、彼女はどう見てゐるのであらう ? あの、夫が折々發表する所謂「惡匱的」な作 品を、彼女は讀んでゐないのであらうか ? 讀んでもそれを自分のことだと感じないでゐるのだらうか ? それほど愚かにされたのだらうか ? 苦勞と云ふものも或る程度まで馴らされてしまへば却って呑莱にな ることがある、 殊に女はさうだと見えて、どうかすると彼女は涙の中ででも、まるで照千代の昔の ゃうなあどけない冗談を云ったりした。穗積もそれに釣り込まれて、ついたわいのない無駄話に耽りなど して、顏を見てゐる間だけは過去を忘れてゐる折もあった。近頃になって、彼が一番幸輻なのは、彼女と 添田と三人でうはべはいかにも何事もなかった親密な間柄らしく、膝を交へておしゃべりをする時だった。 朝子も穗積の來 「お客が居ると夫の機嫌がいい」と云ふので、 てくれるのを喜んでゐたし、添田も彼が居る時はそれに紛れてさうさう妻を叱ることもなく、元気な調子 ハタから見るとその三人は極く仲の好い友達同士とも思へた で文學談などを試みたりした。そんな場合、 : よしゃ恨みがあったかも知 であらう、 お互ひに、何の限みもこだはりもない人々のやうに。 れぬが、今ではきれいに忘れ去られて、一方は完全に勝ち、一方は完全に負かされたことを承認して居る かのやうに。 ・ : 實際、これでいいのちゃないか、几べては自然に、圓滿に收まったのではないか、斯 : これで一生っゞけて行かれ、ば何も不足はないのちゃ うして三人が笑って向ひ合ってゐられ、ば、 、よ、ゝ 0 穗積はをりをりそんな莱がした。 オ p カ 現在となっては此れ以上を望んだところで何が出來る ? ただ全くそれだけの理由で、 283

9. 谷崎潤一郎全集 第9巻

神と人との間 「その看病が眞っ平だと云ふんだ。彼奴にやって來られたりして、又めそめそと泣かれでもした日にや、 尚更僕は病みつくからね。」 ふいと穗積は、遠い昔の出來事を思ひ浮べた。もう今からは六年も前、長野で醫者をしてゐた時代に、彼 が添田の流感を診察してやったことがあった。 それが機縁で二人は友達になったのだったが、 ー添田はあの當座、病氣にかけては案外神經過敏だった。「君は心臓が悪いから注意しなければいけない」 と云はれて、好きな酒さ ~ 暫く止めてゐたくらゐだった。さうして見ると今度の病気も、ロではあんなに 強さうに云ってゐるけれど、腹の中では多少氣にかけてゐるのであらう。朝子がここ ~ やって來て、枕も とでしくしく泣いたりすると、自分もついつい弱くなって泣くやうな風になるかも知れない。それが彼に は、見つともないと云ふよりは、死の前兆であるやうに思へて恐ろしいのに違ひあるまい いづれ死ぬべき病人が、「死」がそれほどに近いとも知らずに、此の場になっても盛んに日頃の強がりを 云ひ、空威張りをつづけてくれるのは、穗積に取っては都合が好かった。寧ろ彼には心地よい眺めでさ ~ あった。彼は成るべく此の男を、惡魔のままで死なせたかった。「おい添田君、君はロでは何んと云って も、氣が弱くなってゐるんだらう。それこそ君がもう直きに死ぬ知らせなんだが、まあいっ迄もさうして 威張ってゐてくれ給 ~ 。君が死ぬまで正直になれず、傲慢の癖を止められないのは、よくよく訷に見放さ れた證據なんだよ。」 ぢっと病人の眼を見人ってゐる穗積の胸には、時としてそんな意地の惡い言 葉が浮かんオ だんだん彼の豫想のやうに、添田の病気は重くなって行く一方であった。明るい、陽気な病室も、日は麗 、 ) 0 381

10. 谷崎潤一郎全集 第9巻

彼は素直に箸さへ取ればよいのである。にたゞ一つ殘されてゐるのは、さうして最も重要なことは、彼 の良心がよくその仕事に堪へるや否やの間題のみである。萬一破綻が起るとすれば、それは外部からでは なく、必ず内部から生ずる。彼は一般の彼に對する信賴に乘じ、同情を利用し、密かに人の命を奪って平 然としてゐられるだらうか ? なほその上に社會を欺き、戀人を欺いて、所謂「勝利の榮冠」の下に安ん ずることが出來るだらうか ? それは惡魘に魂を賣ることだ、神にも佛にも見放された、人間の皮を被った一個の怪物になることだと、 一つの聲が彼に囁く。が、もう一つの聲は凛乎としてそれを否定する。彼は一旦戀の戰ひに勝ちながら、 かひ 友情のために添田に讓った。そして心から添田夫婦に幸あれと祈った。自分の拂った貴い犧牲が効あれと 願った。彼は唯一の友に出し拔かれ、戀人にさへ背かれて、孤獨と屈辱と侮蔑に堪へつ、、どんなに淸く、 さ、つ どんなに気高く、どんなに美しく彼等のために盡してやったかは、たゞ神のみが知り給ふ。 ( 思ふ時、穗積の眼には敬虔な涙が浴れた。 ) にも拘はらず、彼の優しい心づくしは水泡に歸したばかりで なく、添田は却ってそれを飜弄の具に供した。拂っても拂っても、彼は後から後からと穗積に犧牲を要求 した。彼の目的は穗積と朝子とを生きながら苦しめることにあった。此のま、ちっとして居れば、穗積は 早晩減されてしまふであらう。 どっち のそこで問題は、二つに一つの A1ternative に歸着する。減されるか、滅すか ? 孰方か一つを取ること とである。穗積の過去に何か誤があったとすれば、此の選擇を強ひられながら進んで孰方を取らうともしな 7 いで、逡巡してゐた一事にあった。そのために彼は添田の悪に肥料を與へ、その惡の樹にいよいよ廣く核 かぶ いのら