あれ、自動医療機にーー」だが、カル 0 スの弱々しい手が、それをげで、のどが痛くな「た。「それにしても、われわれは、彼に命を も押しとどめた。 助けられたようなもんさ。席を立つ前に、空気圧を高めるようダイ 6 「そんなもの、要らん。畜生、ぼくは見とどけたいんだよ」息もたアルしたにちがいないんだ。どうしてそんなことをしたんだろう えだえの声だ。 ふたたびアウスフ , ラーは折れた。小走りにそこを出て、操縦室「記録にとどめてほしか 0 たんじゃないかな。・ほくらのほかに、彼 〈向かう。カル 0 スがそれにつづいた。私も、鼻孔から流れる血をの業績を知るものはいないんだから。あ ' 杁き拭き追っかけた。半死半生のありさまだったが、私はもう、カ はっと目をあげると、ちょうど小惑星の表面の一部が、深いクレ ルロスの見たがっているものは想像がついていたし、私とて、それ ーターを残して内部に陥没したところだった。 見のがす気は毛頭なかったのである。 「軌道の遠地点では、速度が小さくなり、それだけ多量の物質を吸 座席につき、ベルトをかける。アウスファラーが、主推カモータ収するんだ」と、カルロス。 ーをいれた。岩塊が、みるみる遠ざかっていく。 「何のことを話しているのだ ? 」 「それだけ離れれば充分だ。向きを変えてくれ」やがて、カルロス 「あとでな、ジグムンド。のどの痛みが、もう少しおさまってから りささやき声。 にしよう」 アウスファラーは、それに従ってから、「いったいあんたは、何「フォワード の宝物は、穴だったんだよ」と、私はロをそえた。 かお目当てなんだね ? 」 「たが、しまいこんだポケットにも穴がーーー」 「いますぐわかるよ」 小惑星の反対側の一部が陥没した。一瞬そこに、稲妻のような光 「カルス、私が、曳船を射 0 たのは、正しい処置た「たろうかが走「たように思われた。 そうして、よごれた雪玉のような小惑星は、ぐんぐんと縮みはじ 「ああ、もちろんだとも」 めた。 「よか「た。気にしていたのだよ。すると、やはり、船食いの犯人私は、は 0 と思いついた。カルスは、まだそのことに気づいて フォワードだったのかね ? 」 いないらしい。「おい、ジグムンド、この船は、自動遮光式になっ 「ああ」 てるんだったな ? 」 ・助けにい 0 たとき、姿がみえなか 0 たな。やつは、どこにいる「もちろんだよ。そうでないとーー」 宇宙を食いつくす、あの閃光が現れた瞬間、スクリーンは真暗に カルロスがとっぜん笑いだしたので、アウスファラーは、めんく なった。眺めがもどってきたとき、そこにひろがっているのは、満 豸たようだ。私も笑いだしたので、なおさらだった。笑ったおか天の星々ばかりだった。
ししか私は田 5 った。 おれを宇宙船技術学校に通わせ、自分の果せなかった夢を、息子の 補充か増援であろう。うまくゆくと、 おれにゆだねようとしたおれの親父。おれがたまに帰省すると、お その年の終りごろ、思いがけす、何年ぶりかで人事局のシェイか ヘルメット れの宇宙帽をかぶって、ためっすがめつ鏡を見つめていたおれの親 ら電話があった。「おまえに意見を求めることではないから、ーおれ 父。どこでおばえてきたのか、宇宙船技術学校のカレッジ・ソング の方できめさせてもらったが : を、へたな口笛でしきりに吹いていたおれの親父。おれがもういら なくなった学校のバッジを、だいしに自分の小物入れにしまいこん かあさん ! ーにも長いことっと でいたおれの親父。そうだったのか ! スー 心の中でおれはさけんだが、言うべき一言葉はべつに何もなかった 医、とめ医、 めたのだし、もう人生を自分のために使ったっていいだろう。 親父が応募したのを、必死に引きとめた母親だったが、引 「と、つさん」 れないものならは、自分があとを追うしかないときめたのだろう。 、ましないのだし、何より おれは親父の手を、かたくにぎりしめた。 募集する方は、男だって女だってかまし ( も、どうしても行きたいという気持ちをもっている者ならはそれだ けていいのだ。 《青の魚座胃》開発計画は精力的に進められていった。探検隊員た かあさんコ ちは火星での基礎訓練を終えたのち、辺境へ送られ、そこで《青の おれは生れてはしめて、祈りに似た気持ちを抱いて、遠くはるか 魚座胃》の自然環境と戦うための、種々の改造手術を受けた。代謝 なものヘ目を閉した。やさしい白 マイクロ・ポッド 系の勵起装置とそれにともなう同化葉のとりつけ。超小型原子炉を い顔か、まぶたの裏から消 体に埋めこみ、発電、 - ・旧い〕 1 れ想・「 ) 」を補うと同時に不随えなかった。なんだか、 意筋の動力源にする。さらに感覚葉や静電気をにがすための放電葉どうしようもなくや 補助の運動器までとりつける。 りきれなかった。 《青の魚座胃》のおそろしい低と乾燥に耐え、大気の中の徴量な チッソと炭酸ガスとでたん白質を合成するかれらの機能は、いわは ハクテリアやビールスの生理に近い。かれらは植物の抵抗力と忍耐 力をもって、永劫の凍上へ挑戦していったのだ。 おれたちはやたらにいそがしく、《青の魚座》開発計画のこと は、気になっていたがその後のようすを知ることもなく、年月だけ が過ぎていった。実際、そのような開発計画はめすらしくなかった し、おれ自身、地球を遠く離れて辺境にあった。 ある年、ふと《青の魚座》開発計画について小耳にはさんだ。 それは、ふたたびその地にサイボーグが送られるといううわさだ
ける十のマイナス二十五乗オングストロームという極徴のブラック うのに、ふたりは私を仲間はすれにしたまま : : : まるで閉鎖的なク ホールまでが生しえたのだ」 ラ。フのメンバー同士のように話しあっているのだから。 「たが、そんな小さなものを、探知できるはすがないよ」カルロス カルロスが、興味を惹かれた様子で、「どんな方法たい ? 」 がいった。朗らかとさえいえそうな口調たった。な。せたろう : : : そ「小惑星が、量子プラックホールをとらえている可能性のあること う思ったとたんに、気がついた。船の消失の機構が、彼の予想どおは、・ こ存じたろうね ? 例えば、十の十二乗キログラムーー、十億ト りだったのだ。彼にとっては、柱に縛りつけられているこの窮状に 「そのレベルの ンだな」私のために、 いいなおしてくれたらしい あってさえ、それが大きな喜びだったのだろう。 ・フラックホールの直径は、一・五掛ける十のマイナス五乗オングス フォワードがつづける。「しかし、その爆発のさいには、あらゆ トロームくらいだ。原子よりも小さい。そいつが小惑星にゆっくり る大きさのブラックホールが形成されえたし、実際にも形成されたぶつかると、通りぬけるあいだに何十億個かの原子をのみこみ、速 はすだ。七百年にわたる捜索の歴史上、そういった量子プラックホ度がおそくなって、小惑星の動きに同調してしまう。それ以後は、 ールが発見されたという記録はひとつもない。ほとんどの宇宙論学何万年にもわたって、小惑星の内部の軌道を、わすかずつ質量を食 者は、捜索をあきらめるとともに、大爆誕仮説をも捨ててしまっ いながら動きまわりつづける」 た」 「それで ? 」 カルロスが、「だが、ツングース隕石の実例がある。あれがブラ 「で、もしたまたま、見かけよりもすっと大きな質量をもった小惑 ックホールだとすると、おそらく小惑星に匹敵する質量ーー」 星があったら : : : そして、その小惑星を、何らかの方法でわきへの 「 , ーーで、大きさは分子ぐらいだ。それでも、通過のさいには、潮けたとき、あとにまだ質量が残ったら : : : 」 汐力で樹木が倒されーー」 「ずいぶん多くの小惑星を動かしてみたんだろうね。でも、どうし 小惑星帯あたりで、なぜやらなかったんだ ? 「ーーーそして、地球をつきぬけた・フラックホールは、数トンの重さてこんな場所で 2 を加えて、宇宙へ飛び去っていった。八百年前には、その出口の跡ああそうか、なるほど、ここでなら、ハイ。ハ ードライヴが使えるか も残っていたろう。それがあれば、そいつの軌道コースをつぎとめらだね ? 」 「そのとおり。ここなら、わすかな燃料で、毎日十個以上も実験す 「そのとおり。しかし、その方法はあきらめなければならなかっ ることができる」 た」とフォワード。 「学会が、援助を打ち切ったのは、わたしが新「おい。もしあんたの見つけたやつが、宇宙船を食うほど大きいん たな方法に切りかえたばかりのときだった」 なら、な。せその小惑星を食いつくしてなかったんた ? 」 「さっ ふたりとも気がくるったんしゃないか、と、私は思った。カルロ 「それほど大きなやつではなかったんた」と、フォワード。 スは柱に縛られ、フォワードはいまにも彼を殺そうとしているとい きいったくらいのものたったよ。それを、私がふくらませた。この る 0
くれさえすればーー。 「申しわけない」 カルロスは、ちょっと沈黙したのち、質問した。「宇宙の開闢だが彼はまた、船食いの正体の話に立ちもどった。「その、テス 、あなたはどうとらえておられますか ? 」 トに使われた百億トンのニュートロニウムですがね 9 それでも、問 ふいの話題転換に、フォワードは当惑したようにみえた。 題の重力傾斜をつくりだすには、大きさも密度も不足でしような」 私も、何となく不安になってきた。 「表面のすぐ近くでなら、大丈夫かもしれんよ」フォワードは : に 宇宙論については皆目知らないけれども、それを語るさいの態度やりとして、両方の手のひらを近づけた。「大きさはこのくらいの ャ語調は、はっきり見てとれた。カルロスは、自分の出した結論へものさ」 フォワードを引っぱりこもうとするあまり、手のうちをさらけだし「そしてそいつが、この宇宙で、物質が達しうる最高の密度です 丁ぎているようだ。プラックホール、宇宙海賊、ツングース隕石、 か。たいへんなもんだ」 「そのとおり。だが 子宙の起源ーー手がかりとしては充分だが、その餌に、フォワード 量子・フラックホールのことはご存じかな いっこう食いついてきていない。 。わたし自「ええ」 彼が答えている。「宗教家にでもたずねてみたらいい ピッゲ・をハ / フォワードが唐突に立ちあがった。「尻尾を出したようだな」 彗は、大爆誕理論に傾いておる。定常宇宙論は、どうもまやかしの ーの第三のボタンを手さぐ 私は椅子からころげ出ると、ジャンパ ように思われてね」 りをしながら、身をかがめて跳躍にそなえた。ますかった。ここの 「・ほくも大爆誕の肩をもちますよ」と、カルロス。 何かもうひとつ、気になることがあった。そう、あの三隻の採鉱重力に、私は慣れていなかったのだ。 フォワードはもう空中をとんでいた。すりぬけざまに、カルロス 用曳船た。おそらくあれは、フォワード基地所属のものにちがいな のこめかみを一撃し、跳躍の頂点で私に追いつくと、鋼鉄のような 。見知りごしのその三隻が、ここへやってきたら、船に残ってい 手で私の手首をつかんだ。 るアウスファラーはどう対処するだろうか ? 勝ち目はなかったが、私は夢中で相手を蹴とばした。彼は、それ いや、どう対処してくれるのが望ましいだろうか ? このフォワ ド基地は、まったくすてきな海賊の本拠になりうる。ほとんど何を防ごうとさえしなかった。まるで山と格闘しているようなもの の秩序もなく掘られた、レーザー掘削による無数の坑道 : : : そのネだ。彼は私の両手首をひとまとめに片手でつかんで、ひきすってい ットワークが、実は二組あって、両者が表面たけでつながりあってくのだった。 いるとしたら ? たしかめる方法があるだろうか ? フォワードは忙しく立ち働いていた。馬蹄形をしたコンソールの ふいに、そんなことはどうでもいいような気分になった。とにか ( 、無事に地球へ帰りたい。もしカルロスが、きわどい話題をさけて中の席で、何やらしきりにしゃべっている。コンソールの縁の上
生から死亡するまでの経過が解明できるはすた」 4 「この基地にはこの男一人だったのですか」マキタは疑間を口にし こ 0 「私の同類はこの男だけだ。あと四人いるはすだが、配置はわから 再現の手順は、映像のみスクリーンに投影し、マキタに対してラ このメモリーを再現する方が能率的たろう」 ィリーが解説するかたちで開始された。 「再現装置は」 ダムキナ送電基地。・ ( ビロニア・ウェー・フの光軸の中へ送ら 「調査艇の。フロジェクターを使う」 れてゆく巨大な反射鏡。比較するものがないが、他の送電用反射鏡 ライリーはそういって、もとの通路を戻りはじめた。 に較べ、桁ちがいの面積を持っことはわかる。 「あの反射鏡は・一辺が五十キロメートルある。もしあの面から完全 調査艇の操縦室に戻って、しばらくライリーはロを開かなかっ に反射できれば、出力は九千三百ギガワットと推定されていた。こ た。何事か迷っている様子なのだ。情報管理官に″迷う″こと自れが恒星間飛行用のエネルギー源になる筈たった。優に数十光年先 までエネルギーを送れる計画たった。 体、珍しいことといえた。やがて意を決したように話しはじめた。 まさしく、あなたの指摘 「事故の経過を再現する前に、あなたに伝えておきたいことがあしたとおり、エネルギーのみに依存した恒星系への進出方法た。だ る。それは、あなたには情報管理官としての素質がある点だ。これが、われわれは、もうひとつ重大な研究をこの基地で進めている。 までの色々な行動と判断力を見ていればわかる。われわれに必要な超光速通信の可能性だ」 のは演算能力ではなく、直観力なんだ : : : 」 「超光速通信 ! 」マキタは思わす声をあげた。 マキタはライリーの意図を測りかねた。 「エネルギーを照射して何光年先まで宇宙船を飛行させる方法は簡 「あなたに情報管理官になるために人体改造を受けろと勧めている単だが、距離が拡がるほど制御は困難になる。 一光年離れた位 訳ではない。ただ、事故を再現した結果によっては、ある実験を行置にある船が進路の変更をしたい場合、照射源に電波で通信指令を なうことになるかもしれない。その時、あなたに私と対等の位置出して、往復二年後にやっと進路が変わることになる。現在の方法 で、ある役割りを果していただきたいのだ , ライリーはちょっと言では限られた方向にしか飛行はできない。が、もし同じレーザービ 葉を切り、それからきつばりといった。「そのためにこの基地で進 ームに乗せて超光速で信号が送れるとなれば話は別だ。恒星系への められている。フロジェクトの全容をお知らせしよう」 進出はきわめて自由になる」 マキタはためらうことなくうなすいた。 「そんなことが可能なのですか」 「協力いたします」 「可能性がないとはいい切れない。 これを説明するためには、 ハビロニア・ウェ 1 ブの成因について、今まで解明されていること 9
年ヒューゴー賞特集 特集解説安田均 ・ノ・ウェラ部門・ リチャード・カウ 監視者 岡部宏之訳 4 環状列石の中央に位置するその修道院には、未来を予知する奇妙な石棺が : ・ノ・ウエレット部門・ ラリイ・ニ・ーウン 9 太陽系辺境空域 小隅黎訳 海王星軌道の外、太陽系の辺境空域に続発する宇宙船消失事件の裏には ? : シュラ・・ル・グイン ニュー・アトランティス 佐藤高子訳 9 エネルギー枯渇にあえぐ人類を後目に、自然はあらたなる大地の創造に取組む ・ショート・ストーリイ部門・ マイクル・ビショップ はぐれトマト 浅倉久志訳 7 ある朝目覚めたフィリップ・は、赤色巨星をめぐる大トマトに変身していた 好評連載第ニ十一回 消減の光輪 1977 年 10 月号 目次 眉村卓 0
てたようだ。いいよ、カルロス」 私にわかるのは、カルロスが、私の思いも及ばぬことを思いっ 「いっしょにこいよ」 き、しかもそれをたすねるのは私の自尊心が許さないということた けだった。 ードライ 大男の肩幅よりいくらかましなくらいの太さで、 ( イ。 ( アウスファラーには、自尊心のかけらもなかった。幽霊でも見た ヴ・モーター室とその周囲の燃料タンク群のあいだに通じている道ような顔つきでもどってくると、「なくなってしまったー 路チュープの中を、われわれは這い進んでいった。カルロスはもう いどこへいったのた ? どうしてこんなことがありうるのだ ? 」 点検窓のところに達した。のそきこみ、そして彼は、はじけるよう「その質問になら答えられるよ」カル 0 スは上機嫌で、「極度の高 に笑いだした。 重力傾斜が必要だがね。モーターが、そいつにぶちあたって、周囲 何がそんなにおかしいのか、と私はたずねた。 の空間をまきこみ、われわれには手のとどかないより高次のハイバ 高笑いを残しながら、彼は先へ進んだ。そのあとにつづいて私も ースペースへ、とびだしていってしまったんだ。もう今ごろは、宇 這い進み、そしてのそいてみた。 宙の果てまでいっちまったことだろう」 ードライヴ・モーター函の中に、 ードライヴ・モー 私は思わず口を出した。「本気なのか、え ? ほんの一時間かそ ターは、影もかたちもなかった。 こら前には、こんなことを説明できる理論なんて、何もなかったと 修理用ハッチをくぐり、円筒形をしたモーター ・ケースの中に立 いうのに」 って、周囲を見まわした。何もない。出ていった孔ひとっさえ残っ 「だが、モーターが消えたことはたしかた。そのさきのことは、ま ていない。超電導ケープルと、モーター台座が、途中でスパリと断あ少々眉つばたがね。しかしこれは、船が特異空間にぶつか「たと ち切られ、切り口はまるで小さな鏡のようだ。 きに起こる事態の、充分信頼できるモデルの一つなんだ。もっと低 アウスファラーも、自分で見たいと いいだした。カルロスと私は い重力傾斜だと、モーターは船全体をまきこみ、その全粒子を吸い 操縦室で待「た。なおしばらくのあいだ、カル 0 スは、こみあげてこんで、あとには超空間駆動場だけしか残らないことになる」 くる笑いの発作を押さえきれなかった。それが始まると、うっとり「うへえ」 と夢みるような表情になったが、そのほうがよほど私には気になっ カルロスも、ようやくその仮説の呪縛から解放されたようだっ ウェーヴ こ 0 た。「ジグムント、超空間通信機を使わしてくれ。ぼくの考えはま 彼の頭の中で何が起こっているのだろうかと思い迷ったすえ、私ちが「てるかもしれんが、チ = ックしてたしかめられることもある は、所詮知るすべはないのだという不快な結論冫、 んだ」 こ達した。数年前 一度—O テストを受けてみたことがある。この分野で出産権を手に 「われわれが、その質量のまわりの特異空間内にはいっていたら、 いれられないかと思ったからたが、私は天才ではなかった。 超空間通信機は自壊してしまうそ」 ウェーヴ
カルロスがすわったまま、ぎき耳をたてている。彼にはまだ、時「冥王星は、いれないのか ? 」 間がなくて、その話をしていなかった。私は、にやりと笑って答え 「ああ。冥王星は、海王星の月が離脱したものと考えるべきだろ 3 た。「自分ながら惚れぼれしてるよ」 。太陽に近いほうからあげると、海王星の外がベルセポネ、次が ノウン・ス・ヘース 「いや、当然だよ。あんたのやったことは、単に既知空域最高のク カイーナ、アンテノラ、プトレミーの順だ。これらの惑星の就道 ダトリノ人触感彫刻家を救いだしたというだけではない。大勢を相は、太陽系平面上にはない。例えば、ベルセポネの軌道面は、百一一 手に、その一人を殺し、ルルービーを解放してあとの連中を派手に十度傾いてる。つまり逆行た。つぎのが発見されたら、ジ = デ , カ かたづけさせるという、みごとな仕事ぶりだった。ほかのやりかた とよばれるだろう」 だったら、クダトリノ人は、満足しなかっただろうな」 「な・せ ? 」 ジグムンド・アウスファラーの手助けをするなど、この八年間、 「ちえツ。みんな、ダンテの地獄の、内側の四つの名前じゃない およそ心に浮かびもしなか 0 たことだ。が、急に私は、ひどく浮きか。どれも大きな氷の平原で、その中に凍った罪人をとじこめてい うきした気分になった。たぶん、カルロスが熱心に私のことばに耳るんたよ」 をかたむけていたからだろう。カルロス・ウーを感動させるのは、 「話をそらさないでほしいね」と、アウスファラーがいった。 たいへんな難事業なのである。 「そのいちばん外側に彗星殻がある」とカルロスは説明をつづけ カルロスがいう。「もし海賊だとしたら、べイ、あんたは来てく た。「密度はごく低い。まあ、地球就道の大きさの球形空間内に、 れるだろうね ? おそらくやつらは、はい 0 ていく船を見つけるこ彗星一個くらいの割合だ。内側に進むと密度は高くなる。いくつか となど、できるはずはないんだ」 の惑星、いくつかの内部彗星、氷や岩のかたまり、みんな歪んだ就 「だろうな」 道でまわっているが、まだとてもまばらた。海王星から中へはいる 「それに、まさか、 ( イバースペースに住む怪物なんてものを、信と、 いつばい惑星や小惑星があり、その就道も、太陽の自転になら じてるわけでもあるまいに」 って、平面的になっている。それにくらべると、海王星の外側なん 私はことばをにごした。「もっとましな説明が見つかれば、、 しって、広大な空虚そのものだ。未発見の惑星があったっておかしくな でも捨てるよ。問題は、超技術をもった海賊なんて説明も、同じく い。船をのみこむほどの特異空間をもったやつがね」 らい信じにくいってことなのさ。あの、巨大質量がうろうろしてる アウスファラーは憤然となった。「三つもいっしょに、幹線航路 っていう話は、どのくらいたしかなんだい ? 」 にはいってくるとなると、別問題た」 カルロスはロをす・ほめると、「よかろう。太陽系には、惑星がい 「ありえないとはいえないよ、ジグムント」 つばいあるーー・発見されたものが少なくとも十二個、そのうち四個「確率としてはーーー」 は、太陽をとりまく主要特異空間の外にある」 「そう、無限大分の一さ。べイ、たしかにこれは不可能に近い。ま イ・しートー ・フしートー ネプチューン ネ・フチューン
ス。ヒーディな戦闘シーンも抜群である。 抜群ではあるのたが、このあたりになってひょいと気がつくの は、この宇宙艇にしろ、基地の戦闘指揮所にしろ、その基本的なデ ザインは現在の小型ジェット戦闘機や空軍の戦闘指揮所そのままだ という事実である。アポロ宇宙船やヒューストン管制センターより もずっと昔風だということにはじめて気づいたりするのである。 そのあたりがまたスペ・オペ的しゃないかと言われればそれまで だが、それだからこそこの作品は、われわれスペ・オペ・マニアに かくも大きな感動 ( ! ) を与え、生々しいリアリティ ( ! ) をもっ てせまってくるのだ と言ってよいだろう。 いっとも知らぬ時、どことも知れぬ銀河で起きた話ーーというエ クスキ、ーズを払った上で、へんなこりかたはせす、この銀河系の いまの技術レベルをもとにした丹念なデザインをこっこっ積みあげ ていったところに、この映画の価値があるような気がする。この写 真など、窓外のレーザー砲塔を除けば、四の爆撃手席にそっくり ではないか。しかし、これがいいんだなあ : 〈 Star Wars 〉にすっかりうれしくなって前口上が長くなったが、 実はエムシュウイラーという人の絵にはこのすべてがあてはまるの である。 四の爆撃手席そっくりのレーザー砲座
ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ は打ち上げられており、後続の「ひまわり 2 わが国は、人工衛星打ち上げ用ロケットとしである。 、号」「ひまわり 3 号」も打ち上げられることに また外惑星の木星や小惑星、さらには一九ノ て、東大が *-a 4 ロケット、 ロケット、 ロケット、ロケットを次々と発展六年に太陽に接近する巨大な ( レー彗星にも探なろう。また放送衛星、通信衛星については、 的に開発し、三年後、ロケットにたどり査機を飛ばす。小惑星にはランデブーして、サ「実験用」ではあるが、来年一一月までに相次い ついて、固体燃料ロケットとして一応の完成をンプルを地球に持ち帰る。一一〇〇〇年以降になで宇宙開発事業団が打ち上げる。 夢は、ごく一部ではあるが、すでに着々と現 見ることになっている。一方、宇宙開発事業団れば、木星の衛星に探査機を着陸させたいとい 実のものとなりつつあるわけだ。 は、液体燃料 ( 一部固体燃料 ) ロケットを開発う。このような外惑星へのミッションは、 1 このほかにも、天文観測、地球の観測などを ロケット、。、 ホストロケットを用いるが、それ し、技術導入にたよりながらも Z ロケットを完 成、引き続き Z Ⅱ型ロケット、液体水素を使うでも推力不足のきらいがあり、アメリカのスペする「宇宙ステーション」を打ち上げたり「宇 ースシャトルから発進することも考えている。宙実験所」「字宙材料工場」「宇宙生物実験所」 1 ロケットの開発を計画している。さらに将来 は「ポスト 1 ロケット」を開発したいという。 このほか、地球を周回するさまざまな実用衛の計画もある。字宙農場、 ~ 工田病院まで備えた ー」のプランも立てられており、 「宀亠・宙コロニ わが国の宀工田船打ち上げは、このシリー 星が登場する。 ズのロケットを用いる。まず重量約五トンの無″字宙の灯台といわれる測位衛星、測地衛字宙への夢は、とどまるところを知らない感じ 人の ~ 工田船をロケットで軌道に乗せる。そ星、防災用衛星など。また″宇街の通信タワである。 ″といわれる放送衛星、通信衛星、航空・海とにかく、どの時代でも、夢はでつかい方が の時は一九八〇年代の後半になりそうだ。続い よいものである。 て二 ~ 三人乗り組みの重量十 ~ 十五トンの有人上航行管制衛星、広域監視モニタ 1 衛星なども 世界の掌雷開発の歴史をながめてみると、米 十スト 1 ロケットで打ち上げる。 打ち上げる。すでに静止気象衛星「ひまわり」 宇宙船を、。、 ソの軍事ミサイル開発レースでスタートし、国 打ち上げ時期は一九九〇年代の初め。いまから 威発揚の時代が続いた。それもアポロ月着陸で ク十数年後である。 ・ヒリオドを打ち、一九七〇年からは第一期実用 有人飛行計画に続いて注目されるのは、惑星 時代に入った。気象、通信などの実用衛星や資 探査計画だ。 べ図源探査衛・、打ち上げられ、ポスト・アポロ時 まず月。すでにアポロ宇宙飛行で、月面車 ー ) が月面を走り回り、月面探 。、カ代は、国民の環元に主眼を置いた宇宙開発が プ行進められてきた。この第一期実用時代は一九八 ・」査はかなり進んでいる。ソ連も無人探査機で月 ・ . 「・ー一飛〇 ~ 一九八五年ごろまで続くとみられる。 ス面サンプルを持ち帰「ている。水はあけられた 第一期実用時代は、そろそろ終わりに近づき が、日本も、月へ探査機を飛ばしたいという。 ' ' 。・ノ第が星 まずできるだけ早い時期に月周回飛行による観 / 、団衛つつあり、やがて第一一期実用時代に入る。ここ エ・ 業送では、実用衛星がますます機能や精度の向上を 測を行い、二〇〇〇年までには月面へ探査機を 事放はかるばかりでなく、スペースシャトルのよう イ降ろし、月物質のサンプル持ち帰りまで行いた 発用 いとしている。 開験な大量輸送手段の登場によ 0 て、宇宙空間が特 ) , 宙実別のものでなくなってくる。まさに地球人類が 続いて、近距離の金星、火星の探査。金星、 を宇る宇宙で自由に生活する時代への足がかりとなる 火星へ周回衛星を飛ばし、金星では金星大気を わけだ。 利用して気球や飛行船方式による探査を行う計 。月上 わが国も、このような世界の流れを見きわめ 画である。火星では、サンプル持ち帰りもでき 年打つつ、国力、国際協力、国内の各分野と 2 ハラ たら行いたいというが : 来らンスなどを考慮して、この字宙の青写真の具体 これら月、金星、火星への探査機は、 Z ロケ 化をはかって行くべきである。 ットⅡ型、ロケットで打ち上げられる予定 7 7