としては。そういうのんの後遺症がやつばり未だに残ってて、ち ども、そういわれてもかまいませんと、でもおもしろいでしよう よっとたとえば初めて会う編集者の方なんかで、初めにしてはち といいたいと。おもしろくないかもしれませんよ。でも一応おも 6 よっと、なんというのかなあ、あまり失礼なこといい過ぎちゃう しろければですよ、その場合ね、おっしやるとおり小説しゃあり かなと思うときがあっても、その場は別に怒りもせんと、はあは ません。でも、おもしろいでしようといえればそれでいいんじゃ あという感じでおさめてしまうところがありますよね。これはや ないかと、ドタ。ハタやる限りにおいてはね。それと、ぼくがもう つばり後遺症が残っているのと、明らかに自分で分るんで、あと ひとっ考えているのは、その、よくマニアみたいな人の作品の判 からすごく腹が立ちますねえ。 定の仕方として、何か知らんけど、これはではないとかいう こういう舌、聞きましたか、いままで ? ・ ことをよくいいますわね。たとえばの批評をするコラムに、 その作品名をあげて、これはではないといったりする。これ 掘いやあ、サラリーマンとしてのそういう心情はあまり出さない はおかしいんしゃないかと思って。 n でないものはそのの ですねえ、かれ。ぼくは非常にもう、かれのデビュー当時から親 しいからいろいろなことをよく知っているんで、それで落語好コラムからはすしておけばいいんであってねえ、作家が書い たのだからといってわざわざそれを取上げてでないというこ ぎ、広告テクニック、それから経験体験もろもろのことから類推 とはないんでね、その人に作品の選択権があるんだから、ないと できることはあったんです。それがときどきやつばり違うものが 出てくるんですよね。それでこれから、どうなるのかというふう見なすものははずしておけばいいんだけども、わざわざ取上げて ではないといったりするのは、これはおかしいんじゃないか なところの : : : どこから何をア、、 ー・ハみたいに触手をひろげるの と。それから考えますと・ほくの場合ももちろんを中心点とし かというあたりが予測っかないところがあるので : てやっていくという気はありますけども、それはもちろんそうい これからどうなりますか、という質問ですな。 う予定もしてますし、あれもありますけども、そういうような仮 かんべそれと関連するかどうかわかりませんけどね、前に東京に にではないというのが仮に増えてきたにしても、それは・ほく いたとき横順やら正紀やら鏡明と会ってかなり長いことしゃべっ はかまわないと思いますし、だから最終的にはその、英語でいえ たことなんですけど、そのときたまたま出た話で、その、なんて ばオーサーであればいいんだと・ほくは思っているわけです。だか のかな、結局ドタ・ハタを書く場合にどんどん極端にしていけば、 ら、そのはもちろん書いていきますし、たとえばなんてのか たとえば小説ではないといわれる時点が必すくるわけですねえ。 これは小説じゃないやないかと。あるいは、横順のハチャハチャ物なあ戯文みたいなものを書くかもしれませんし、あるいはテザイ でもそうですね。これは小説じゃないといわれる時点が必ずくる ナーなり、マンガ家なりと共同してなんか馬鹿なことをやるかも と。もうすでにきているというみたいなこともありますと。その しれませんし、そういうわりにやりたいことというのはいろいろ ときに期せずしてばくと横順と同じ回答を用意していたんですけありますんでねえ。最終的にオーサーという言葉でくくられてお
Ⅱ . 塾眠 0 かんべ自分の中でですよ。 ・なハ二二ロ 自分の中で別な分野でもそれはかまわんけど、こんどはもうひかんべ知識としてはですね、それはいけますね。 とつのほう、いま書いているような吹き出すようなことを書いた掘寄席体験というか : : : そんなんじゃなしに電波。 り、なんであんなこと書けるのかということ、親父が落語家だと かんべもちろん、研究会とか、独演会とか、そんなんによく行き か、まわりが半村さんみたいに、そのときの道徳軌範が落語であ ましたけど、最近行きませんけど : : : 確かに寄席というか、角座 ったりするというような場合とは違うわなあ。 とか、梅田花月、ああいう雰囲気は好きですけどねえ。一番前の さんばそう かんべええ、そうですねえ。 席で見ててね、「三番叟」ちゅうんですか、最初の下手糞な前座 : イチ さんから出てくるところを見てて、つくづく下手糞でね、なんで なんでそれが出てきたのか、たとえばイチビリだけど : ビリの人はたくさんいるわなあ。 こいっこんな下手糞だろうと思いながら見ていたり、それから若 かんべまあ落語とか万才とか、そういうのは昔から小学校のころ手でああこれちょっと愛嬌あるからこれでひょっとしたら伸びる なあと、そんなことを考えたりねえ、それからあのポーイズ物と から好きでしたから、よく聞いたり、高校で落語研究会作ってや いって何人かで楽器弾いてコミックなんかやるのがありますよ ってましたんでねえ。落語の影響というか、それはかなりあるで ね。そんなんでひとりの人が台辞やっているあいだ、残りふたり しようねえ。あの一時落語なんかに凝っていたときは、まだいま がどんな表情して待っているとかね、そういう表情見るのは好き みたいにレコードみたいなものはほとんど出ていないときでした ですねえ。あれはテレビとかなんとかではわからんですで、寄席 、こつばしからテレビとかラジオからテープに録亠日し んでねえ、カナ へ行ってみないとわからんのですけど : : : ひとりやっているあい まして、いまでもおいてますけど、たぶん上方落語って、だいた だに残りの、台辞がないやつが何しているかちゅうのはものすご い三百ぐらい残っているらしいんですけどねえ。その中で常時出 く面白いですねえ。 しているのは百五、六十ぐらいなはすなんで、あとはいまやって まあ、小説書くというのは、ある程度の知識がないと書けんこ もわからん話とか、くたらんとか、やれ、ちょっとやばい、エロ ティックなんで出せないとかで、常時出しているのは百五、六十とだわなあ。 ・、ツクにあるものは、ま なはすですけどね。たぶん、ぼく、そのうちの百四十ぐらいは収堀そうすると、あなたが小説書くためのノ 録しているはすなんです。だから一応ばっとなんかいわれたらどず乱読した本、それから電波からやってきた落語、万才。それか らなんとか学問というか、学校のほうからの授業とか、あるいは の落語かわかるぐらいまでは、のめりこんでますね。 : いや、それともうひと そのとき与えられたもので、この三つ : あなたの中での、教養の中での非常に大きな部分を占めている つ、大きい要素というのは、やつばり広告代理店にいたときのあ 9 わけですか ? れでしようね。 かんべまあ、教養といえますかね。
ていない学生にテープ聞かせて、まともに聞いた者とテストかな かんべ年表ってのはもちろん一つの形式ですけどね。 んかでくらべたら、ほとんどかわりなかったっていうんですね。堀長篇の発想としていくつぐらいあるわけ ? ぼくも一度「小説宝石」でやったことがあるけども。ずーっとかんべいま手持ちですか : : : うーん、十個ぐらいあるんと違うか なあ。 文章書く必要まったくないわけだ。だからお客さんのほうで頭の 。しままでの短篇との比率から言えば二百五十の 中で文章考えてくれと。そしてここには百枚のものを五枚で書い掘割合としてま、、 うち十でしよう。 てある。何と何、何がこうなる、こうこうこうと。本当にそれこ そ企画書。それを、。ほんと出したことがあるけどね。編集者は感かんべ二百五十といったって形式とかあるからまあ百ですね、百 心してくれるけれど、お客さんは感心してくれんわなあ。 の一割ですね。 かんべだから、いきなりね、どこまでお客さんが自分の頭働かす堀じゃあ、これから少しずつ、長篇のほうへ : ことになりますからね、一種の労働強いることになりますよね。 かんべだからさっき言いましたように徐々に徐々に自然に書いて 画像たとそれはないけども。 いったら伸びていったというふうな形式を自分にとらせないかん 掘同じ感動与えられるなら長篇よりはショートショートのほう のかなあと思っているんですけどね。そうしないと短いので書く が、客としてはコストが : のは、つまりいかにポンポンと飛んでいくかという快感ですよね 感動はやつばり、行間にあるんだろうなあ。 え。ジャンプして、かっ、ツポをおさえて飛んでいく快感 : かんべそれと、長篇じゃないと、絶対無理だというのがね。やっ長篇でそれをやったらねえ、駄目ですから : : : それが今岡さんな ばり明らかに分れてきますからね。このあいだ「マネーチェンジ んかとも話をしてよくいわれるんですがねえ。たとえばなんかギ ャーズ」あったでしよう、テレビの。あれなんか、どう考えたっ ャングみたいなのが夜中、裏町に車すっととめて下りて、地下室 て長篇のものですからねえ。じっくりと話をもっていかんとね のドア開けようとして、そこに黒ネコが横切ってね。その黒ネコ 自体は話自体にぜんぜん関係なくっても、ある種の雰囲気は出せ 1 ト・ン るということですよね。だけど、でもショ さっき年代記が、書けないというのはどういうことなの ? かんべいやいや、たとえば火星年代記みたいなのを、ショートシ らそんなことなしに、ギャングが地下室に入ったと書いたらおし まいですよねえ。そこいらへんが明らかに違うものだから、それ ヨートで書けといったら無理だろうと。そもそも入れないかん量 は当然、そういう練習必要だと思いますけどね。 が多過ぎるんで、必然的にそんなのは無理であろうという意味で す。 いや、なかなか、実のあるお話を、ありがとうございました。 ・ほくの考えた意味は年表ととって、・ほくは長篇のとき年表に相 当するのをずーっと書くからね。 7
ーツともう、ほんとびつくりしたんですよ。もちろんね、 っていくから : これが作品になったときのそのすごさというのがある程度想像でかんべええ、・ほくもそう思いますけどね。とにかくそういうふう きて全体の一目見てこれが : : : 一目かな一分ぐらいはかカったか に考えといたほうが、こっちが自由にいろいろなことができるか な、読むのに。これはすごいという感じで、だからそれが本当に らという感じですよねえ。 小説になったときに、やつばりものすごい反響あったわけですけ 自分でもマーケット作っていくわけだものなあ。 どね。小説読んでの反響なのか、いや・ほくがその、だから、シノ かんべそうですね。だから、たとえば自分でこの話ならいますぐ プシスの用紙をひと目見たときの感動なのか、同質かどうか、分書けるとか、これにあと二、三冊本を読んだら書けるとかいう、 らないんですよ。 だいたい見当っきますよねえ。いろいろと、自分の中にある書き O やっていてスポンサーのとこへ持っていくときに、その段 たいものの中で。これはあと五年くらい勉強せんと、いま書いた 階で見せることがあるの ? ら絶対失敗するなあと分っているのもあるわけですよねえ。そう かんべもちろん、あります。 いうものはつまりまだ・せんぜん自分から手つかずで置いています そうすると、企画書用紙に書く段階で買ってもらうかどうか決ので、ひろげることはできると思うんです。非常に楽観的なあれ 定する : ですけど。 かんべそうです。勝負は企画書で決まりますからね。 さて、そうすると、実際問題にあなたが作品を書くときに、短 そこだな。 いものも長いものも、どういうふうに書いていくわけ ? 堀だから企画書が面白かったのか、作品が面白かったのか、・ほく かんべいちおうですねえ順を追っていいますと、普段思いついた は読んだ順序が企画書読んだら判定できないのですけどね。最近 ことなり、アイデアなり、あるいは、ちょっとやってみたいこと のほら、マガジンにのった「カートウーンミッ クス」とか、あ なり、まあ頭に浮かぶとしますね。これはどういうときに浮かぶ あいうのは一種そこまで行っているような気がするわけですよ。 かというと、人としゃべっているとぎとか、あるいは本読んでい そこまでとは ? ・ るときとか、あるいはポーツとしているときとか、何かいろいろ 堀小説にやるんじゃなしに、一種企画書そのものをぶつけてしま な刺激が入ってきますね、自分の中に。そこで触発されて、あッ うような感じがして : : いま話聞いてて、ちょっとそんな気がっ こんなのやったらおもしろいなあとか、こういうことをやろかと いたわけだけど、だからこれはもう小説じゃないかもしれないし いうのが浮かびますね。それは書いておかないと忘れるので、名 刺ぐらいのカードにちょっと一行ぐらい書いとくわけです。で、 そんなようなことじゃなくて、世の中変わっていくようにね、 そのカードを一応ストックしておくわけですね。で、こんどいよ 読物とかなんとか : : : エンタ 1 ティンメントの質と形は常に変わ いよ土冖くときには、そのカードをくって、さっきいいましたよう
: ほんで 行ぐらいで線を引っぱってイントロでこれこれこれと : は、いわば社会人の感覚なわけですね。社会人というかなんとい つぎ、本文の一やったら一が十行ぐらいの感しでこうこうと。だ うのかなあ、ビジネスマンといってしまうのはおかしいですけ いたい自分量作って、それよりも多少の増減あっても無茶苦茶オ ど、そういう人の感覚であってね、どちらかといえばですね。あ ・ハーして、頭でつかちになったりせんように、そういう量での るいは、ええようにいえば、ちょっとええようにいい過ぎですけ 規制は、そのラフ用紙でやっているわけです。 ど、ジャーナリストの感覚なんですよね。ほんまいえば野次馬の これはだいぶん真似されるな。 感覚ですけど。ええようにいえばジャーナリストの感覚、ほんま 堀あの、荒巻さんが、場合によって原稿用紙の紙の色を変えると いえば野次馬の感覚なんで。・ハランスよく、浅くてもいいから広 いう話、ありましたね、積み上げていくとだいたい : くやっておかないと不安感が出てくるということがあるんですよ かんべイントロが何センチとすぐわかるという : ね。そんで、それが結果として小説書く上にも役に立つので、こ れはやめる必要ないから続けているということですね。 まあ、世の中にはいろいろなことをやる人が : かんべだから・ほくは別に、なんというのか、いい格好でいうんで崛なんかそれ、その、あれ、指向性というのは、自分ではあまり もないし、卑下して言うんでもないですけども、自分のいまの状わからないわけ ? たとえばこれは未来考えて自分の好奇心がこ う働いているとか、お笑い優先であるとか。 態ありのままにいえば、昔からいわれてる小説家が小説書いてい かんべいや、そんなのはわりにないですねえ。だから、資料たく るというニュアンスよりも、一社会人が小説を書いているという さん調べて書くというのは、・ほく苦手なのはそれだと思うんです ふうに見なしたほうが、自分ではしつくりきますね。なんての よ。何か、目的決めてこういうことを書く、そのためにこの資料 、カ ・ほくはわりに普段、常識的といいますかねえ、わりにあれな んで、自分の知識なり何なりがこう、片寄ってしまうというのは要りますからといって、資料をざーっと読み出すと、ちょっとそ こでうんざりしてくる気があるんで、だから逆にいえばいままで 非常にいやなんですよねえ。そうすると、たとえばなんというの かなあ、本を読むにしても、小説を、たとえばここしばらく、三自分が自分の中に放りこんだもので何が書けるかというふうに考 えるタイプですね。だから逆にいえば必然的にどんどん放りこん 冊か五冊、続けざまに読んだとしますよね。そうするとその時点 でおかんといかんということになってくるし。 でああ小説ばっかり読んでたら世間一般のこと分らなくなったら すると、航空母艦乗っていたわけ ? 困るなと思って、ルポルタージュ読んだり、あるいは、エッセイ 読んだり、 ハウッー物読んだりという期間がくるわけですねえ : かんべいや、乗っていませんけど、あれは好きだったので、ほと んど : : それがまたしばらく続いたら、あ、小説も読まなあいかんなあ と、小説にまたもどるとか、そういう・ハランス感覚というのがわ 実におもしろかった。 りにというか、ちょっとあるんですよねえ。そういう感覚てのかんべあれは航空母艦の中身とか、構造とか、専門用語なんか 6
る ) が手のこんだ悪ふざけをしているのか。いや、ひょっとする段を客を連れての・ほり、いつもっかえて肩であけねばならぬドア と に、キイをさしこんでからだった。というのが、客が四つの部屋を いまや人間 。だってそうだろう、天気、月、母性、生死 はなんでもいじくってしまっている。こんどは時間をいじっている好奇と賛嘆のまなざしで歩きはじめたとき、つかのま、彼はまたも 若者の目でそれを見たのである。キッチンをふくめてどの部屋に のではなかろうか。 ナカ ( = ック状態をきたさぬうちに、首尾よく冷静をとりもども、ざっと三十年かけてあつめた品物が、窓敷居より高く積みあげ し、自分が狂気の方向へかけ足で進んでいることに気がついた。なられていた。 おびたたしいフィルム罐、手ずれした台本の山。スクラツ。フ・フッ にか単純な理由があるにきまっているのだから、それがむこうから これはたいてい個人的記念品。 しいだけだ。そう思っ ク。スチール写真。小道具少々 やってくるまでは、臨機応変でやっていけば、 たら、胃の痛みがすこしひいた。車はもう四周ひらけたところをす衣裳類はない。そのほうのコレクションはやらないーー彼はスペシ ャリストなのだ。 ぎ、人間をのみこむ郊外住宅地に吸いこまれ、約東のノース・ハリ 自分が死んだら、ぜんぶライブラリーか博物館行きだ。・・ ウッドに近づきつつあった。 カレン・コレクション。自分が後世に記憶されることがあるなら、 市街地へはいると、・の乗客は車窓から見えるものすべてに 目をこらし、高いビルは首をのばして見あけた。はつ、なんのことそれによって記憶されるだろう。 はない、と運転席の男は思った。こんな小僧、どこかその辺でおろ たカ、いまはなにもかもビロードのようなほこりの薄膜をかぶ してしまえばそれつきりじゃないか。 り、かぶっていないのは食事どきに使う一本脚のエンドテー・フルと 「いまから仕事さがしはおそいんじゃないのかね」彼は若者にいっソファー、それにキッチンの流しと調理台だけだった。 た。「相手にあたえる感じもよくない。今夜はどこかに泊まるあて「メイドが休みでね」若者が宝物といっしょにほこりを見ているの に気づいて、彼はいいわけするようにいった。 でも ? 」 トレヴィス・フレインはかぶりをふった。 あいにく若者は、その言葉をきき流してくれなかった。 「いいんですよ。どうせメイドにこんな貴重なものはさわらせない 「そうか。じゃ、うちへきたまえ」 んでしよう」 「ほんと、カレンさん、なんとお礼をいっていいカーーー」 「大したところじゃないよ。マンダヴィル・キャニョンにある、たそこでまたいいつくろわなくてすむように、・は映写室にし ている予備室のドアをいきおいよくあけた。一方の壁に小さなスク だの独身者用アパートだ」 リーンがとりつけてあって、ビニール・カ・ハーをかぶった映写機が といったのは間違いで、案外大したところなのかもしれないぞー ーそう思 0 たのは三十分後、建てたあとで思いなおしたようにアパ待「ていた。あいだにせまい簡易べッドがおかれ、その上に、下 ートに改造した化粧漆喰塗りの古屋の、陰気なカー。〈ット敷きの階に、まわりに、やはり台本やいろんなものが積みあげてある。
を、ほとんど苦労なしに書けましたんでね、あれは昔、プラモデ知らんけど航空母艦は昔から好きだったんですよ。なんか平・ヘっ ル作ったり : : : あの程度は知っているんです。 たくてねえ、形おもしろいでしよう。航空母艦てのは、昔から好 掘あれは面白いですよ。あの、それこそ、野次馬性が一番発揮さ きたったんで、なんか航空母艦の話、書きたいなあと思って、二 れた感じですね。 年前、今岡さんに話したことがあるんですよね、航空母艦を書き かんべあれもさっきの小説家とかの話になってきたら、本人をね たいと思っているけどなあと。たた航空母艦の話だけ書いたって え、わざわざ出す必要ないんでね。本当の小説でいえばね。 もおもしろくないし、書けないし、じゃあ、原子力空母で。 ( ロテ イに仕立ててしまえば、やりやすいと思って : 架空ルポルタージュになってくる。 アメリカの航空母艦の中で喧嘩して、すい分日本の新聞にも出 かんべそうですね。 たことがある、ああいうものも : ーーー読物だな。 かんべ . だから、本当に最初の感じでは別な主人公作っていたんでかんべいや、そういうのは。せんぜん記憶ないですね。はい。ど、 らあの話の中身は、本当に話として勝手に進んでいった感じで すけどもね、結局やってったって自分がナマで出てくることがわ ね。 かり切っているんで、あの構成ではね。じゃあ別に無理に別の主 人公作って、無理に架空の別の職業ぶつけて、無理にその、そい 横須賀に入ったやつで、フォレスタルが、スト起したわけ。 つが航空母艦に乗る必然性作らなくても、いっそナマで出したっ かんべそうですか : : だからわりにそういう軍艦の雑誌とか本読 てかまわんじゃないかと思って、ナマに切り換えたわけですよ んでいたんで、そういう点はむしろ喜び勇んで書く部分ですんで ね。 ね。専門用語とか : せつかくあすこまで航空母艦利用するなら、最後の大どたん場 最初からしまいまで、喜び勇んで書いとるわな ( 笑い ) 。 ですりかえて、 しいほう使えばよかったな。 堀長篇と短篇の区別みたいなものは、最初に発想の段階でつける しし冫うっていいますと - ~ ・ わけ ? かんべ 片方の欠陥船のほうをあいつら使っているけれどもどたん場でかんべそれが本当に困っているのはね。これは本当に・ほくがこん しいほうのエンタープライズを自分らもらったら、もっとよかっ なことをいったら悪いかもしれませんけど、出たとたんに長篇の たよ、正規の海軍のほうはいいわいいわといって走っとるんだ。 注文なんかきましたでしよう。・ほく、出たのは短篇で出ている訳 堀ありそうな話ですね、それは。 ですよねえ。そうすると、短篇で出たこの男が、長篇書けるかど かんべだからあれは本当にさっきの話にもどりますと、発想の根 うかはまだ本当はよく分らないわけですよねえ、ほんといえば。 本は、航空母艦そのものが好きだったんですよね。その。フラモデ それが注文きたし、ぼくは初めてなんでもありがたいと思ってお ルの中でも船のプラモデルたくさん作りますよね、軍艦で。何か 受けしますよね。そうすると雜誌のほうの注文はショートショー
たほうがいいので、百枚になってしまったと。自然とどんどん伸 トなり短篇なりがくると。それが好きだし書きやすいから書いて いると。それでつぎにまた長篇ポンと書かにゃあいかんと。そうす びていってついに四百枚、五百枚にいたるのだ自分では本当じゃ ないかと、自分では思っているんです。それがその、いま状況上 ると百五十枚とか二百枚とかいう中篇が抜けているわけなんです ートンヨ よね。本当いえばショ ートから始めて : : : ま、・ほくの場中篇がスポーンと抜けて、五十枚以下五枚、六枚、十二枚と注文 合ですよ、・ほくの場合広告のコビーから始まっておりますんで、 がくるのと四百枚、五百枚と両極がきてますんでね。このあいだ たとえばラジオの 0 を二十秒なんてのは百字ないし百二十字で が抜けているんで、自分では本当にヒャヒャもんですね、正直い すよねえ。それで完結させていたわけですよね、それまでは。そ いまして。だから長篇はほんま、・ほく、自信はないです、いまん れを何年間もやっていたんで、その癖で短いほうが書きやすいと とこ、ぜんぜん。 いうことがあるわけです。で、そういう人間が長篇書こうと思っ 何、おっしゃいます、このあいだ感心しましたから : : : これは たら、これはたとえば百字で書けると思ったのが百五十字いって大丈夫だよ。 しまった、百五十字たと思っていたのが四百字いってしまった崛いま二つ ? と。どんどん練習するなり、書いていくうちに五十枚になってし かんべ二つです。 まった、あるいは、五十枚で足りんアイデア、これはここへ入れ あれは書こうとした時、いける、書き終わったとき、やったっ ていう感じに、ならなかった ? かんべ長篇たったらむしろ「サイコロ特攻隊」のほうが、その感 じはありましたね。 社 堀思いついたとき、これは長篇向きたというのはないわけ ? っ かんべだって長篇また二つしか書いてない。 と 堀けどさ、二百五十の、いくつだっけ、そのうちに。 かんべそれはありますよ。だから、あッこれは長篇でないとでき んなとかね、これは絶対、千枚書かんとあかんなあというのも、 だ混じっていますよ。 刈堀それを聞いたらおもしろいですけどね。絶対いわない ン ・ほくはペチャベチャしゃべってしまうけどな。 ロ 崛いや、いうことによっては励みになるよ。 俺 かんべそれはありますよ。 SF 界待望の新人初の作品集 を . 、第気い : 気鸞、 : 第をう第第、 . って 、、をと第 3 、・本グドを参 0 し厖 の物オ送る第をい 、こいんなあとりやぶ社ゞ 6
が、要するに未来からタイムマシンでエネルギ 1 をかつばらっ : ・と心配されるであろう。 てくればよいというアイデア。未来・はまたその先の未来からエ 時あたかも太陽系開発時代。火星の地下にも金星の雲の下に ネルギーを盗んで帳尻を合わせるであろうという無責任なもも、木星のメタンの中にも、次々と経済社会を築いた異星人が の。 これを書いている最中、手形の決済が気になってしょ生活していることがわかり、たちまち通信網が設備され、交易 うがなかった。手形こそ現代の永久機関であろう。どんどん乱が始まり、太陽系全域から、金はどんどん入ってくる。 発して金を生み出し、未来がその債務を負うのである。構造不 やがて人類は太陽系辺境まで到達し、装置は各惑星に普及し 況業種に勤めていると、何とも身につまされるなあ。 てしまった。ちょうどその時、かねてから研究開発中だったワ 何か熱力学の科学史みたいな内容になってしまった。ネズミ ープ航法が実用化され、超光速通信も可能となり、人類は恒星 講は永久機関とはいえない、など教訓 ( あるいは説教 ) めい系へ進出することになった。 たことまで書いてしまって、今回、やや不調である。そこで、 恒星間調査団からは続々と報告が入る。 今回は最後に、永久機関といえるかどうか知らないが、御都合「惑星系の形成というのはごく一般的現象です。どの恒星系に 主義の極めつきといった話を紹介しておこう。 Anarog 誌にも人類に似た知的生命が経済社会を築いています」 Ditch Sunshine が書いている「ハッビー ・マシン」 (Happy 地球全体に歓声がわいた。装置は銀河系全域に拡がってゆ Machine) という短篇。 き、使いきれないほどの金が払い込まれてくる。 銀河系から、アンドロメダ星雲へ、さらに遠い銀河へ : 寄妙な機械が売り出された。情報化社会にあって無限の金をだが、ポルツマンが " 宇宙の熱死。を予言したように、 生み出すという装置である。これを買って電話器に取付け、そか、宇宙全域にこの装置が行き渡った時、入会が停止するので こにかなりの入会金を払い込んでおき、同じ装を二名以上に よよ、・こ「つ、つカ 売りつける。すると、新たに買った者からの入会金の一部が払その時、宇宙構造研究グループの観測結果がまとまった。 い込まれ、さらにその孫会員からの入会金の一部が入り : 「この宇宙の曲率は負であることが判明しました , うして、自動的にどんどん金がたまってゆく。入金も買物もす「ということは ? 」 べて電話で済んでしまうので、入金の状態を見ながら優雅に暮「宇宙は無限です。宇宙の彼方へ進めば進むほど新しい星雲が せる訳である。 発見され、知的生命は無限に見つかるでしよう」 装置はたちまち全国に拡がり、輸出が始まり ( これも国際電地球はどっと湧いた。 話一本で済む ) 、世界中に売られていった。 ああ、いやんなっちゃった。 読者はここでネズミ講を連想され、地球の人口は有限たから △の△の△の△の△の
・ほくがあと五冊書くといった長篇の筋は、編集者みな知ってる 開戦から終戦までをーーーそれを何とか一回見たいなあと思ってい 0 わ。 るんですけどね。どこで、どんなふうに作っているのか分らない 7 のですけど、たぶん大学生か何かが、実験か何かでやったと思う かんべだから、その、これ長篇にせにゃあしようないなと思うの は、やつばりもともとのアイデアの範囲の大きさとかね、それか んですけど、映像学科の奴なんかが。第二次大戦六十秒 : : : これ ら自動的に、自動的にというか、アイデアが自己膨脹していく速はやろうと思ったらできんことはないですよねえ。一秒二十四コ マでしよう。それが六十秒たから六十倍、千四百四十コマですか。 度が非常に大きそうなやっとかね。たとえばそれは、仮に年代記 紙芝居みたいになるんだな。パタバタバタと。 1 トでは無理ですよ。 書こうとおもてね、年代記をショートショ できんことはないですよ、あ、それで思い出した、短いのをずつ堀電卓もないのに、しかしすごいね。 とやってましたでしよう。短いというのはラジオのコマーシャル かんべまあ千四百コマぐらいですよねえ。そしたらそれでだいた か何かで二十秒百字とかそういうので、非常に短くするというの い残像のあれ考えていったら三コマ、四コマで割っていったら二 の快感は、・ほく知ってるんですよ。一回こういうことがありまし 百カット、三百カットやれるわけですよねえ。そうしたら太平洋 てね。ある会社の映画を作るんで、ロケに行ったわけです。 戦争と欧州の戦争とくつつけて、二百、三百のカットは多いくら ぼく、助監督いうことで名前は助監督でほんまは三脚担いで走っ いですよねえ。ポイントボイント押えてけば。だから、やること たりね、銀レフ持って立ったりして。それで映画てのは一巻はできるんだと思いますよねえ。 十分で十分物の映画作ったわけです。同時にその中からいい 堀そんなのから見るとどうですかねえ。戦争やらずでも戦争体験 カットを選別して三十秒のコマーシャルフィルムを作ったわけで やっちゃった、理屈で覚えるんじゃなしに。 す。それで両方続けてみたら中身いっしよなんですよね、十分かかんべそれは、せんぜん違う。 けていえることを、三十秒でもいえるんですよね。もちろんフィ 歴史のお勉強はできるが、歴史に生きることはできないな。 ルムだからですよ。絵がありますから。画像たったら瞬間一秒のかんべそれとか、短くするんでなんか、これもアメリカの心理学 何分の一の三個、五個でも目に残るからね、情報は詰め込みます の研究室でやったと思いますけれども、かりに講義を六十分とし から。でもあれはちょっとあんときに、自分ながらびつくりしま ますね。それをテープにとっておいてああとかええとか、だぶり とか、繰り返しとか、まとかを、そんなものを全部ちょん切っ してね。十分間かけてやっているのと三十秒といっていることい て、それから一言葉をたとえばいまフリーウェイを、です っしょゃなあと。だからそういうふうな短くするという快感は・ほ か、それをフリーウェイと読ましてますわね。あんなふうに単語 くちょっとあって : : : あの、当時聞いた話ですけど、アメリカの も不要なところは抜いて、ガチガチにくつつけて、三分の一のテ 実験フィルムでねえ、第二次世界大戦を六十秒でやるというフィ ー。フ作ったことがあるんですって。それをまだぜんぜん講義聞い ルムがあるんですよ ( 笑 ) 。ヨーロッパ戦線から太平洋戦線から、