思い - みる会図書館


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1. SFマガジン 1979年8月号

川円ⅢⅢいⅲ卍い山川川Ⅲ明リ山川川川川Ⅲ川り山いい引い tl 川Ⅲ川第川Ⅲい川川い中川円山国川ⅲ川ⅢⅢりⅢ川圻円山ⅢⅢⅢ川川ⅱ川いⅢいリい川怛山川円山川Ⅲ 一 - 三一三一一三三一三 = 三三 V 三 - 一三 - - 一一三 = 三三一三ニ三 = 一三一三一三三 = 三三 lJ 三一三 = 三 - また、栗本薫氏の「豹頭の戦士」も最終回にな りました。この作品は、″ O>—Z- 編集後記 シリーズの第一回として文庫から出版されます。 ず四十巻を予定している大長篇の、いわば・フロロ ■しかがでしたか、野阿梓氏の「花狩人」は ? ーグともいうべき作品です。大河ヒロイック・フ こうして新人のデビュー作が掲載されると、な アンタジイとでもいえば良いのでしようか、完結 んとなく読者のひとりひとりに感想を訊いてみた した暁には、世界にも類のない、空前の世界がで い気がします。この作品は、たしかにエボック・ メイキングな作品であるでしよう。まだ、なんときあがります。 表現してよいのかわかりませんが、どことなく少次号には、コンテスト佳作になった、神林 、ハードの混淆は長平氏の「狐と踊れ」が登場します。御期待くだ 女漫画を思わせるムードと ( 今 ) 新鮮な魅力があります。また、萩尾望都氏には新さい 人のデビ、 1 を飾るにふさわしい、素晴しいイラ■スタジオぬえを訪れたときのこと。高千穂遙氏 ストレーションを描いていただきましたが、ここのダーテイベアのモデルである、ぬえの女の子た ちが、例の省資源型ダーテイベア・ルックで出現 にも私は同じようななにか、を感じます。 ・ウェーヴということばがありましたのです。その新鮮な驚きといったらもう・ : かってニュー したが、今では音楽の世界の言葉になってしま尽くせません、筆舌には。尽きたのは生ツ・ハだ 、の中にはほとんど見かけることはできまけ。この感動はまさにセンス・オプ・ワンダー ・ウェーヴが前衛そのものです。現実がに迫る好例で、 せん。私はこの理由を、ニュー 的すぎたためとは考えません。逆に、大部分の作マガジンの担当者としては慄然とする思いでし 品は、過去の文学の追体験という形で、後ろ向きた。そういえば、不勝を誇る西武ライオンズの人 気の秘密もそのあたりにあると見た。世の中には の発想で書かれていたのです。 しかし、現在の若い作家たちには、真に前かくも人を感動させるものがあるのです。本誌も 方を向いたペクトルを感じます。野阿梓氏にも、常に新鮮さを失わないよう頑張りまーす。 ( 池 ) 画嬉しいですねえ、やっと夏山のシーズンが到来 さらに今後の活躍を期待したいと思います。 さて、御愛読いただいておりました山田正紀氏しました。学生の頃は毎年夏になると縦走に行っ の「宝石泥棒」、今回が最終回です。ヒロイックていたのに、去年はついに一度も行けずじまい ・ファンタジイのみせかけで始まった作品です新宿駅のホームにたむろする男女を眺めては、無 が、最終的には見事なになりました。単行本念の思いに駆られていたのです。一年間のうつ積 になる予定です。御期待ください。ところで、こは大なるもの。今年は早々ともう二度も行きまし の作品には、まだつづきがあるような気がしませたが、まだ不足。「花狩人」ならぬ「山狩人」に なって過ごそうかなどと考えています。 ( 松 ) んか 2 次号予告 1 9 7 9 年 9 月号 く女流の新星 130 枚〉 ジョーン・ウ・インシ く第 5 回「ハヤカワ・ S F コンテスト」佳作〉 ラ神林長平 く若手競作〉 堀晃 梶尾真治 く海外精選作品〉 〈連載〉 連作「宇宙叙事詩」第 12 話 ミ光瀬龍十萩尾望都 「私を SF に狂わせた画描きたち」「題名未定新コラム」「サイエンス・ト ビック」「 S F レビュウ」「スターシップ・ライプラリイ」他好評読物満載 264 マガジン一九七九年八月号 ( 第二十巻八 号 ) 昭和五四年八月一日印刷発行発行所東京 都千代田区神田多町二の二郵早川書房 東京 ( 二五四 ) 一五五一 ( 代 ) 発行人早 川清編集人今岡清印刷所誠友印刷株式会社 Tin Soldier 「狐と踊れ」

2. SFマガジン 1979年8月号

アンソニーが四人の専門家にそんな質問をしたのには訳があっ アンソニーは心理学者に会いにいった。 「シャーム先生、あなたはどれぐらい大ぜいの人を知 0 ていますた。彼は ( 新しく目覚めた能力で ) ありとあらゆる人間を知「てい たのだ。彼はソルト・レーク・シテイへ一度も行ったことがないの に、市民のぜんぶを知っていた。港をとりまく円形劇場のようなジ 「ひねくれた言い方をすれば、わたしが知りたいだけの数、かな。 = ベル・シャーの人びとも、タンガスや威海の住民も、ひとり残 しかし、それは真実じゃないだろう。わたしは人間が好きだ。この 職業ではめずらしいことだがね。きみはい「たいなにを知りたいのらず知「ていた。イスタン・フルーのガラタ橋のたもとでのらくらし ている連中も、クアラ・ルンプールのポータ 1 たちも知っていた。 「一人の人間が知ることのできる人間の数は、どれぐらいのものでプ 0 フディフのタバ「商人たちも、ポルトガルの = ルク採取者たち も。ジ・フティの波止場人足たちも、。フラ ( の手袋職人たちも。エル しようか ? 」 「それはたいして重要じ、ない。往《にして人間は、知り合いの数・ ~ ント 0 周辺の野菜作りの百姓たちも、ラタリア・・〈イのジ コウネズミの猟師たちも。彼は全世界三十億の住民を、顔と名前だ を過大評価するものでね。きみの質問の要旨はどこにあるのかな けでなく、ある程度くわしく知っていた。 「そのくせ、・ほくはそんなに頭のいい男じゃない。むしろ、へまな 「一人の人間があらゆる人間を知ることはできますか ? 」 「当然できない。もしそう思えるとしたら不自然だ。そういう効果や 0 だといわれてきた。いま 0 とめている情報審査セ〉ターでも、 三度も持ち場を変えられたぐらいだ。この三十億人のうちで、・ほく をもたらす、多幸症をともなった妄想があってね、その病名はー が会ったことのあるのはせい・せい数千人。これだけの人間ぜんぶを 「病名は知りたくありません。なぜ専門家はラテ語やギリシア語知 0 てるなんて、異常な気がする。シ〉ー、先生がい 0 たように、 妄想かもしれないが、だとしたらえらくこみいった妄想たし、それ を使うんですか ? 」 に多幸症をともなってもいない。そのことを考えるだけで、緑の地 「三分の一はごまかし、三分の二は必要からたな。あれを使わない と、ふ 0 うのア ~ , ・〈〉トの組み合わせだけじゃ、名詞の数が足獄みたいな気分になるほどたもんな」 ー・ドニゴールの家畜商人を知っていた。オリエン りないのだよ。概念というやつは、子供とおなじで、名づけ方がむ彼はレタケ = ルン・べイの木登り屋たちも知っ ずかしい。そこで、われわれは母親のように頭をひねる。ふたりのテのサトウキビ採取者たちも、ミ ていた。この一秒一秒にだれが死んでいき、だれが生まれてくるか 子供、ふたつの概念、どっちもおなじ名で呼んではぐあいが悪いか を知っていた。 らね」 、。まくは世界のあらゆる人間を知っている。ありえ 5 「ありがとう。これが妄想だとは思えません。それに、多幸症をと「逃げ道はなし ない話だが、事実そうなんだ。いったいなんの目的で ? ぼくに一 もなってもいませんし」 ウェイハイ

3. SFマガジン 1979年8月号

にるたと く投強物相かも彼ム ⅢⅢⅢはⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ些 白ハげ烈狂手らにら一 くムこないでだ 、はト ーま陽には 巨トれ光戦な 大″たがうい ″でが近 パをよいづ なの鉛、ほ 蜃姿の急かき / をプイー 箋気も薄速はたム葉一て 楼ま板になえーが のたの大いぬトまもる ーよゆよ気怪か の うらうを物れはた葉を 、くを待 にめに熱なた みき、しの戦こ無かっ え、陽はだ士ざカわて たど炎じ。のかでしい うのめ肉しああた かなて体いるお う すかい ぶ略とと ″るでた くとゆ つやをし 、陽ら沙け、知な 隅田川の河口近くで生れた。私どものささやかな会 , 、戦りか ム炎め海 GA SM には , 信長・蘭丸の研究をしている会長の花子 ーがいはそ術つつ れがくた ト生て さんをはじめ , ウィーン少年合唱団熱という , 奇妙な病 みい溶 気をもつ者や , デジュー・ラーンキ気違いなどが所属し がだた鉱そ用て ています。 あし。炉死すい人 漫画 , 絵画 , イラスト , 映画 , 劇画 , 純文学 , 詩 , S F, 随筆 , 座談会など , 多くの ( 悪くいえばごちゃまぜ 覚あくるら かもま しる、手とジタも の ) 事柄を体験しようと , はりきっています。 り にしロムし理に て 劇画「はみだしっ子」の愛好会を母体とするこの会 ん力は一、れ性常 は , 結成二周年を迎えましたが , 成立当初の気構えを忘 なだなをじはタなが識 いがとこめそムっそ、を れることなく , 時にはきれいさつばり忘れて , 日夜 , 創 、きめての、かれ、逸 が 作にはげんでいるのです。 そにてい音タたをし 会誌名も , もちろん「 GASM 」。表紙は , 会員がひ 。現て それい、、るをム き 実巨 のはね、 とりずっ順ぐりに描きます。時々 , 「これが表紙 ! ? 」と の大 逆のむ、わとい 言われるのがありますが , 製作者は , ひたすら笑ってご にて単 もな なんり、 のきし気い調 のた ま化します。会員の年齢層は , 女子というには育ち過ぎ だどそてがるな とめ た。女性というにはこそばゆい感じの年代であります ぅ眠っうド 極ろにけきちラ が , コーヒーより , どちらかといえばソフトクリームが てじ 度のなを、にム 好きなのは , 疑いようのない事実なのです。 の話る追愕、の けさ GA SM の概要 緊でない然いひ、 入い ①正式名称 GA SM ②代表者鈴木初恵 / 連絡先〒 張はんはとつび、 れに がなてらししき、 る目ま 120 東京都足立区柳原 2 ー 12 ー 6 ③創立 1977 年 5 月 / 、おたかが のの 創立者鈴木初恵・鶴見千春④会員数 7 名⑤会費 3 自つ かつのう をあ カ月 48 円⑥発行物会誌「 G A S M 」・ B 5 判・年 4 えたんと剣分づ 拒た 回発行。 つ。きすをがい 否り ・この欄への応募歓迎 ! 官製葉書に上記の要領でグル てジにるにうて しに ーフ・概要① ~ ⑥まで明記の上 , 当誌「ファンダム・スポ 精ロも てし ( 宛先は奥付参照 ) 抽選に 神ーほまつらる ット係」宛お送りください。 いて のはどってう るい より , 当選グループには原稿を依頼します。 'IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIÉリ也自力 ; ナこし、つ のて 剴ⅢⅢファンタム・スホット G A S M 第幸を

4. SFマガジン 1979年8月号

「ではほんとのヴァー / ン伯爵は : : : 」 息を切らしてグインは叫んだ。 「とうの昔に白骨になっているさ」 「もしセムどもの方が早ければーーー」 グインが云いおわらぬうちだった。 「セムが怪物を見つけたわ ! 」 階段の下で突然おおさわぎが起こっていた。死霊がグインたちょ「ああっ ! 」 リンダが絶叫した。その指がさす方向をかれらは見ーー・そして凍 りも手つとり早くありつける生き餌どもを見つけたのである。 それは狼の群れの中に蛇を放ったにも似ていた。たちまちセムのりついた。 絶叫と戦いの物音がわきおこった。死霊は餌を選ばなかった。 暗い石廊のゆきどまりに、何の前ぶれもなく亡霊が出現してい 「この隙だ。とにかく走れ」 それは亡霊以外のものではなかった。その輪郭はお・ほろになかば グインは云って急がせた。だがもう四階ばかりもかけの・ほると、 そこは白い塔と同じくゆきどまりで、塔の小部屋の重い戸がかれら壁とかさなりあい、そこには生ある闇の死霊ほどの実在感さえも感 じられなかった。 をはばんだ。 「くそ、別の塔で同じはめになったばかりか」 にもかかわらず奇妙なくらいにそれはありありとした姿をしてい た。それは背のたかい一人の、どことなく貴族的な男で、といって グインは怒った。息を切らしながらレムスがきいた。 もその全身は乱暴にまきつけた包帯と黒い長いフードつきマントで 「あーーあの化物は何だろう。あれがヴァーノン伯爵を僭称してい おおいかくされてほとんど見えない。 たのなら、真の癩伯爵はどうなってしまったんだろう」 その、包帯のすきまからのそく顔やからだの皮膚は、むざんにも 「俺の想像にまちがいがなければ、さいしょに食われたのがほんも 白くたたれ、生きながら腐肉と化したそのどろりとした白がゆ、ま のの伯爵なのさ」 じりもののあるかゆ状の肉のあいだから、真白な骨がいたましくの グインは答えた。 「たぶん伯は人肉と人血に身をひたすのが宿痾によいときき、辺境そいている。 だがその凄惨な腐れはてた外見よりも、もっともっと恐怖をさそ にやられたのをよいことに治療をこころみて、それ、ルードの森の 、あわれみをかきたてるのは、包帯でおおわれ、ほとんど髪もぬ グールにとりつかれた人間を死人とは知らずにつれ帰ってしまった のた。グールにそいつを食ってのりうつり、あとは次々に人間をつけおちているようなその頭で、包帯のさけめからのぞいて光ってい れて来させてはむさ・ほり食っていた。たぶん、伯を食ったときに伯るどろりとした目だった。 の知識なども一緒に身をつけたので、城主になりすませばすべては それは白くにごり、なかば視力をも失っていることは明白だった お思いのままと知ったのは小面にくいことさ、たかがルード の森のけれども、それでもそれは人間の目ーー知性と意識とを辛うじて保 っている目だった。 悪霊ふ・せいにしてはどうして知恵のまわることだ」

5. SFマガジン 1979年8月号

ここらでお前の言うとおりにしよう。つまらねえとは思うが何か変だ」 哲のねえ地上勤務の科に替 0 て、まいにち判 0 で押したように職場「何だ 0 ていいわ , 。どうせそんな型変りの〈ンなの」 へ行って、判コで押したように帰ってメシを食うことにするから、 「ヘンなのって言草があるか。旦那さまが下さろうってえ一世一代 もう文句言うな。だが結婚するとなれや資金が要る。おれはゼ = がの品物をョ ししか、ダイヤか紅玉か、それともエメラル何とか ねえからご希望に添えねえできた。ところがここに一つだけ、ちょ いう舌の廻らねえやっか知らねえが、よく考えて決めとけョ」 0 と纒 0 た額になる仕事がある【どうた、それで金を掴んでから止とそう言 0 てひとの指の寸法なんか取 0 てい 0 て、それきり、忘 める、てのは」 れたようにまた来てまた行く平常にもどったと思うと、このあいだ 「だめよ、そんな事ーー・ ! 」 フィと出てきようで十日、隊には帰ったのかいないのか、分らない しりぞ リエは瞬間に危惧をかんじて却けた。「どうせ危ない事でしょー まま顔を見せないのだ。 宇宙艇つか 0 て密輸する仲間になるんじゃない ? 捕まるに決って何をしに行ったの ? るわョ ! 」 どこにいるの ? ・ 「ばか。大違いのコン「ンチキだ。ちゃんと筋のとおった、職務上 そしてこの人達はあの人について何を知って、何を待ってい るのフ の褒賞金た。それやそれだけの危険はあるがナ、おれにとっちゃい リエはただ思い煩らうばかりだった。 つもと同じ、馴れた仕事ョ。まア四五日は帰れねえかも知れねえが ナ、もう一ペんだけ行かせろ。賞金をもらったらかならず退職「そろそろ此方側へ来るころです」 か転勤を申出て結婚する。この一ペんだけが最後だ」 とジャワ ( ルラル中士が腕時計を見て言った。 「ほんとに ? 」 「ほんとた。帰りにマヴォラへ直行して指輪を買ってくるよ。婚約 ◇ 指輪で、結婚指輪た。おめえは何がいい ? 真ン中へ篏める宝石 よ」 「がんばれヨー いま命綱射つからナ」 「ばかね。婚約でも挙式でも、結婚の指輪は石なんか入れないのが どんどん遠ざかってゆく若者の鉢に、なんとかすれすれにザイル 普通よ」 が延びるやうにと不安定な照準をあわせながらギドウはどなった。 「おれは入れるんだ。普通じゃねえからナ。そして、サアこれでお「望みをすてるな ! 精一ばい泳いでこ 0 ちの延び線と直角にな 0 前と普通の暮しをはじめるそ、という約東の印をお前さんの薬指にてみろ ! 」 はめてから、登記所〈行 0 て、帰りに飯をくおうじゃねえかーーナ「親父」は前より一そう大きくな「て、空の半分を占めるほどにな ア、何にする = 。指輪は金か。フラチナでいいとして、石はどうなん 0 ていた。艇は傾むきながら衝撃の余波でグルグルまわり、真空に け 4

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ジローは最近になって、どうしてザルアーにかすかな違和ったというんだ ? なんにも残りやしねえ : : : なあ、ジロ 1 よ、俺 たちゃそこらの乞食とかわりねえんだぜ」 感をいたくようになったのか、そのわけにようやく思い至ったのだ 「そうかもしれない」 った。ジローはうかつにも、ザルアーに超常能力がよみがえってい ジローはくいしばった歯のあいだから、息をもらすようにしてい ることを、気づきもしなかったのである。 った。「だけど、ダフームはどうなる ? ダフームは″甲虫の戦 「あなたもダフリンの町をみたはすよ。女乞食の姿をみたはすだ 士〃として立派に死んたんだそ」 「そいつはどうかな : : : 」 リとした口調でいった。「ス ザルアーがしすかな、しかしキッパ ビンは肩をすくめながら、いった。「あんがい、ダフームの奴も フィンクスは、わたしたちに罰を与えたのだといったわ。このみし めったらしい世界は、人間があまりに幼くて、喧嘩好きだったため俺と同じことを考えていたかもしれないぜ」 に、わたしたちに与えられた牢獄たって : : : でも、この世界はひど「 : ダフ , ームの死を揶揄されたように感じ、ジローはカッと頭のなか : いくらスフィ すぎるわ。あの女乞食、かわいそうなあの女乞食 : ンクスでも、あんなひどい罰を人間にくだす権利はないはすよ。わが熱くなるのをお・ほえた。ほかはどうあれ、ダフームの死を軽々し くとりあっかわれるのだけは、なんとも許せない気持ちになってい たしたちに罪はないわ。数百年まえ、数千年のまえの人間がなにか たのだ。 したからといって、どうしてわたしたちが罰を受けなけれはならな ザルアーが口をひらくのがもうすこし遅ければ、ジローは猛然と ビンにつかみかかっていたことたろう。もちろん、そうならば、ビ 「だから、″空なる螺旋〃をこわすというのか : : : 」 ンのナイフがジローの喉をつらぬいていたに、ちがいないのだが。 ジローの声はうつろだった。どうして、こんなにさみしく、むな 「チャクラの言葉を想いだして」 しい思いがするのか、ジローは自分で自分がふしぎでならなかっ そのとき、ザルアーがそういったのだ。「チャクラは自分が自分 「あんなに苦労して、ようやくそのとばぐちにさしかかったというの人生の主人でありたいといったのよ : : : 言葉はちがうけど、チャ クラはそう いいたかったんたわ、ジロー、おねがいだから、眼をさ ″空なる螺旋″をこわすというのか」 まして。″空なる螺旋″があなたになにをしてくれたというの ? 「その苦労が気にいらないといったら、どうだ ? 」 あいつらは、ただあなたの人生をめちゃくちゃにしたたけじゃない ビンがうっそりとした声で、いった。「俺たちは宇宙パイロット なんたとよ : : いまいましい話じゃねえか。なあ、ジローよ。俺たの」 ″甲虫の戦士″がきい ちの人生って、いったいなんだったんだ ? てあきれる。せ。 いいようにふりまわされてよ。その結果、なにが残 ジローは空をあおいだ。ゴオゴオと音をたてて、帆桁が燃えさか ー 07

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リューン・エル日クマービスの話を引き合いに出 られないかを、エ ぼくたちの一行の女性は、男性と同じ服装だった。ところが罐詰して説明してみた。 肉の方はといえば、床にも届きそうな変ったガウンを着ている。そ彼女の答え。「たって、その男は汚らわしい黒ん坊だったんでし の大部分はまた胸の途中までしか覆っておらず、見た目はまるで意 図したよりも二 ~ 三〇センチばかり衣服がずり下って、いまにも落ぼくは言った。「宇宙服なしで外へ出ようとすればだれにでも起 ちそうだという感じだった。 こりますよ。これは古代オーストラリア原住民の純血な子孫以外は ヌルンデアは、もう何度も光子帆船の船長たちが行なってきたのだれでもなんです。混血でも駄目ーー光子帆船の初期時代には、ス と同じ歓迎の辞を述べた。船にすばらしい客を迎えた喜び、乗客のカイ・ヒーロ】の数を増やすためにこうした連中が少しだけ、慎重 世話と安全についての確認、スカイ・ヒ 1 ロ 1 との神聖な信頼関な試みの結果生まれたことがあります。でも、彼らは保護メラニン を持っていなかった。 係、などといったものだ。 ハム・タムジは船長の話の間、少し落ち着かぬ気配だったが、次 だから、出られるのはぼくたちだけなんです」 に乗客を代表してその好意とご馳走に感謝すると述べた。それから「あなたたちは、あのひどいユダヤ人みたいね」ケイドル嬢は言っ 全員は席につき、実際の食事となった。 「それは何です ? 」 ・ほくはジュリエッタ・ケイドルと名のる女性の向い側についた。 彼女はニュテンシからの全権大使の事務官補佐だと説明した。波う「古い地球の民族よ。自分たちが他のどんな連中より優れているん だという思い上った心でいつばいだった連中。それに黒人は白人と っ黄色い髪と青白い肌の大きな身体つきで、動くたびにその筋肉が ふるえるようだった。彼女はぼくに、船乗り生活はどんなものかと平等だというおせつかいな空想的社会主義も頭につまっていたよう ね。わたしたちはニュテンシの学校で古代地球の民族について習っ 聞いてきた。 「仕事は」・ほくは語った。「ときに独りぼっちのこともあるし、逆たのよ」 に賑やかなこともありますね。とにかく、外にいるときはすごくき「ユダヤ人たちは、それでどうなったんです ? 」・ほくはケイドル嬢 に三ねた。 れいだから」 「あら、連中はいくつかの隣りあわせの民族と結託して汎セム帝国 彼女は自分も外へ出られないか知りたがった。 を造り上げ、古代地球を支配したのよ。もっとも、その時には他の ・ほくは、それが不可能なことを説明した。 彼女は、・ほくたちスカイ・ヒーローが黒人で、乗客たちは白人な国家は新たな世界を開拓しに地球を去っていたけれどね」 どうも・ほくには彼女がどういうつもりでそうしたことを言うのか 9 ものだから、そのことで不公平な扱いをしていると言った。 ・ほくは、そこでもう一度、な・せ乗客は宇宙服を着なければ外へ出理解できなかった。食事は続けられていった , ーーもちろん・ほくたち こ 0

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「そうですか。それは楽しみが増えました。もっとも、わたしは、店ドーム街の土地の権利書さえ返してくれれば、それでいい」 今回は用がすんだらすぐに火星に帰りますが、いずれ、もう一度は龍一郎がいう。 いくことになるでしよう」 「なるほど、話はわかった。だが、おめえさんも妙なことをいう。 「その時は : : : 」女はいいかけて、ちょっとためらい、そして今度たしかに、 小杉とかいう倉持の若い者から、権利書は受けとった。 は決心したように続けた。「 : : : 黒水仙のお京という女を訪ねてや博奕の借金のかたというのもまちがいねえ。しかし、そのいかさま ってください。生命の恩人に、名前さえも名乗らなかった、半端なというのは、なんのことだい ? いくら、寺島組の昇り龍か知れね 女博奕うちに会えるかも知れません」 えが、そいつは、ちいっとばかり、ことばがすぎやしねえか」 砂上車が、ターミナルの前に止まった。 鮫島が、龍一郎の顔をにらみつけた。 「別に、すぎやしないと思うが。ま、よかろう。じゃ、博奕いかさ 「お 0 と、だれも、それ以上、近づかないほうがいい。これは、おまじゃなか 0 たことにしておこう。だがね、鮫島さん。小杉が借金 どかしでもなんでもない。このボタンひとっ押しや、このドームはしたのは五万クレジット。土地の権利書では、少し額がちがいやし もちろん、ダイモスの五分の一ぐらいは吹っとぶよ。近ごろは鉱山よ、 ′し、刀し」 の鉱石掘りも楽にな「てねえ。こんなち「ばけな爆破装置で、百人「ちょ 0 と、待ちなよ。あの権利書は、俺のほうで持 0 てこいとい ぶんの仕事をこなしてくれる」 ったわけじゃねえ。借金を返えせといったら、向こうから、金のか 龍一郎は、宇宙服の前をはだけ、ジッパーを開けて、さらしのあわりだといって持ってきたものだぜ。なあ、専務」 いだにはさみこんだ小型の岩石爆破装置のボタンに手をあてた。す餃島は口元をゆがませて、脇に突ったっている男の同意を求めた。 きあらば、龍一郎に斬りかかろうと、じりじりと詰めよっていた、 「そのとおりです。まきあげたなどとは、とんだいいがかりだ」 人相の悪い男たちが、あわてて後じさりする。 「ほう、小杉のほうからねえ。それじゃ、鮫島さん。五万クレジッ 「わ、わかったよ、昇り龍。うわさにや聞いていたが、たしかにい トの金を耳そろえて返せば、権利書は渡してくれますかい ? 」 い度胸だ。俺も馬鹿じゃねえ。ここで死ぬ気はねえ。手出しはしね「いや、いまとな 0 ては、そいつはむりだ。調べてみると、あの土地 え。話を聞こう」 はなかなかの場所だ。うちの会社でも、いろいろと利用法がある」 鮫島元造は、地球産の葉巻をゆっくりと天皿の中でもみ消しなが「ということになると、談判は決裂だ。それじゃ。やつばりしかた らいっこ。 ない。俺も、まだ死にたかないが、し っしょに、死んでもらうしか 「さすがは、鮫島一家、いやダイモス興業の社長さんだ。そうこなない」 くちゃいけません。なあに、話というのはかんたんだ。おめえさん龍一郎は、爆破装置のボタンを指でさすった。 が、いかさま博奕の借金のかたに、倉持組の小杉からまきあげた商「ま、待て ! はやまったことをするな。じゃ、どうだ。ここはひ ロ 4

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たぎの衆を守る義務がある。商店街の人たちにも、むちゃなことを「いや、 いんです。ただ、姐さんのような若くて、きれいな女性 しないようにいっておいてくれ。 : : : わかってくれたら、小杉を奥と光線ドスは、なんだかそぐわないような気がしたもんで : : : 」 思わず自分のことばにはっとして、顔を赤くし の座敷へ運んで線香をあげてやるんだ」 龍一郎はいい、 梅原は、両の手のこぶしを固く握りしめていった。 「 : : : なにが、光線ドスがそぐわないものですか。そんな時代もあ 「これでいいでしよう。長くは、無理かも知れないが、宇宙港で修ったけど、いまじゃ、数えきれない返り血がしみついた、あばずれ 理してもらうまでのあいだぐらいは充分にもつはずだ。けがなくてになりました。もっとも、金星にいたころから、男の人なんか鼻も ひっかけてくれなかったけれど」 なによりでした」 龍一郎は、女の宇宙服の肩ロの破れ目を、瞬間接着剤で防ぎなが女は、ぼっと赤らんだほほを、かくすように笑った。笑顔の美し らいった。 い女だった・女の目と龍一郎の目が、ぶつかった。 「旦那、どうやら、まに合ったようです。ほら、前方に白い字宙船 「ありがとうございます。見ず知らずのおかたに、こんなにしてい が見えましよ。あれが、ダイモス行きですよ」 ただいて・ : : ・」 運転手が、フロントガラスの先を、あごで示していった。 女が頭を下げる。 くるまや 「とんでもない。この渡世、困った時はおたがいさまです。わたし「そうか、よかった。ありがとう。これで、運転手さんに砂嵐ん こそ、仲裁に入りながら、満足に用を足せないで、お恥しいかぎり中、突っ走ってもらったかいがあったというものだ」 龍一郎は、満足そうにうなずいた。砂上車は、いつのまにか、も です」 う宇宙港のターミナル近くまできていた。さっきまでの砂嵐も、い 龍一郎がしった 「そんな : : : 。生命を助けていただいた恩人に、謝られたら、わたまはうそのようにおさまり、淡い・ヒンク色の空には、暗い小さな太 陽が弱い光を投げかけていた。 しの立場がありません : : : 」 不規則にならんだ、七つの発射塔のうちの六つには、宇宙船の姿 女が困った顔でいった。 おつはなく、人影もほとんど見えなかった。 「それはそうと、姐さんはなんで、また、あんな連中と : と、そうか。これは、聞いちゃいけないことだった」 「真継さんは、ダイモスへ行かれるんですか ? 」 女がたずねた。 龍一郎は質問しかけて、途中で気づいて止めた。 「すみません。名前も名乗らず、わけも話さず、義理を知らない女「ええ」 とお思いでしようが : : : 」 龍一郎が答える。 「わたしも、近いうちにいくことになるかも知れないんです」 女は目を伏せて答えた。 3

10. SFマガジン 1979年8月号

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