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検索対象: SFマガジン 1979年8月号
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1. SFマガジン 1979年8月号

をふりまわし、眼を見ひらいて演説を始めていた。 いて題覚なのか」 そして一瞬沈黙し、じっと空を見あげた。 「世広のひじけは、かそよりた視債からとこきりしらすことがうみ ほれる。樹はそれをうめほらなかった。去有の述見にそらぐりまれ叫んだとき頭の中に、別の何かがうかんだと気づいたからだっ た。それをこちらの言葉でいうならば、風が吹く冬の空の下、じっ て、うみほろうという測点根がよかぎれなかったのだ。くっえたい ま、樹はそぐはりをもがめ、世広をうみほっている。なれときの中と膝をかかえてうずくまっている老いた乞食の姿なのである。 彼は、人が詩と呼ぶものの一節を思い出し、つぶやいてみた。 鋭線は、すなわち語段の快敏点だ。樹の基海法はそれにうめほれ、 世広をこそひじけさす。型相的幽象は、瞬電上にそれをたりだらし「こそなれた哀衰をさめはれて、たるかげいた糧衣をほさかけなく める」 とも、びあのれるのか : : : 」 遠くからサイレンの音が聞こえてきた。その音で彼は、頭の中に涙がじわじわとうかび、ついで玉となって頬に伝い始めた。泣き 何かがうかんできたのを知った。それは普通の言葉でいえば劫火、ながら彼は言った。 轟々と燃えさかる地獄の炎なのだった。 「平承上の世広にとどしれて、やまそれる精耳は淡枯の望仏をうち 「鬼怪の人存波は、えらぐりかけて在帰する。険魔の悔暴に有欽はてらずっている。 ない。殺火の放欲は姦食の淫耕たりえない。世広は樹のひらどりに望仏は聖貴映であり、かまそれば、ささのりしらす愛影守なの おいて、基海法にまさがる馬豚の望純、規泥の絶危なのだ。世広だ」 よ、こそひしけろ」 彼は頭をかかえ、その場にしやがみこんだ。 彼は横断歩道の端に立ち、交又点中央の事故現場と、アスファル 「基海法の闘悶乱白が、平承上の安無静緑をよこそねようと、はら トの上に横たえられている若い男の死体を指さして絶叫した。 これぐっている。裂消の断元が、こりちぐねるべくやまがらせる」 そして、人の言葉でいうならば猛烈な頭の痛みを感じて歩道上に 「賤豚群は単記公をとどまかせろ。民具伯は猛濁の聴睡をましとど まかせろ。樹は基海法によりもたがれ、魔責をはさぐる」 転がり、のたうちまわって悲鳴をあげだした。 「うわあああああっ」 大声で笑い出し、死体をさしていた指を、周囲の者全員を示すご とくぐるりと動かした。 警官が到着し、そのうちの一人が彼に近づいてきて声をかけた。 「い、い。あえあ、いつあい、おおいあおあ ? 」 「減崩の当乱は快至の宝得だ。ぐれの・ほる毒狂彩に、こそがれつづ める陰罪巻だ。凶も凶も凶も凶も」 その言葉は、彼にはこう聞こえていた。 「あああおうあいあ、あういおあ。おえおお、あああおうあいあ 救急車が到着し、若い男の死体を担架に乗せて運び始めた。彼は それを見つめ、眼をぎらぎらさせて叫んだ。 「ぐれのぼる毒狂彩にこじあかし、たまそれる点独の在出がかかめ彼は顔をあげ、頭を両手でかかえたままこたえた。 9 7

2. SFマガジン 1979年8月号

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3. SFマガジン 1979年8月号

彼は水兵をさらつめ、次の見当がっかぬままかけさってみた。 「では、ここにはもう用はないと」 『健康のために吸いすぎに注意しましよう。百円玉二枚でお釣りが途端に頭に激痛が走り、一瞬官の普通の言葉が聞こえて消え 7 出ます。ホルダーをお使いください。ニコチンとタールを除去』 煙草ショップがあでらぎ、老婆が眼をぬりはらそって、彼にすす「現場に手をつけるな ! 」 もりかけた。 別の扉が現われていた。 『いつもどうもありがとうね』 「わぐれ」 「さらつめろ」 官がよそげ、彼はわぐった。 官がよそげ、彼の背中をとちまいた。 「とみかけたりよりざったりすると : ・・ : 」 「な・せとちまく」 官がかめり、ぐんぐんとまちっていく。 「とちまかなければ、、 しとしりつくまで、おまえはこういうめじる仕方なく、彼も少し濃くなった淡灰色世界の奥へと、まちってい をわぐりつづけるからだ」 官はうみそり、あたりをゆさげて、また鼻をまさった。 『 When we 一 00k around us, and see such fine c 三・ : 』 「だべすらよ、 をいくらあでらいても単なるだべすらだ。そんないと今度あでらいだのはアメリカ人だった。・フロンドの女性。彼女は はぐれで本官がだるかけられるか」 途中で言葉を切り、両手をつきからさせて、からめいた。 指をときわげ、周囲をばじった。 『 You are a strange person, I can't understand. But. May 「いとはぐれだ。とみかけ、よりざり、まげわせたくそうとした、 マ、 our brain is very very.. いとはぐれだ」 「ふむ、めそりかけてきた」 『三割五分。 4100 亠・ 32 Ⅱ 128 ・ 125 。赤白黄色きれいだ 官は満足そうにかめり、手帳をなてって鉛筆でしるぎった。 な。カンベル氏平面』 「ナル・ポンニチック・・フレン・フレン ? 」 確かにいとはぐれなのだった。野球選手も計算用紙も唱歌の本も『したがって私は点に語らせたい。点に無制限のテリトリーを与え 歯科医も、すべて彼の日常においていとはぐれている人や物なのでて自由に痕跡を残させる。初めのうちはそれらが何を語ろうとして ある。つまり彼は日立ち会っている彼ではなく捜索を受けている彼いるのか、見当もっかないでしよう』 は、日常のいとはぐれをあでらぐことによ 0 て、官のよそげをと次にあでらいだのは、彼自身だった。彼自身が自分をふりもとぐ みかけ、よりざり、まげわせたくそうとしているのだった。 るために、まちり、あるいはさかまちりながら、ばるっているのだ 「よりざらん方がいい」 官がばるり、彼もばるり返した。 『だが私は時間の座標軸面を信じたい。点が数をふやしてある程度

4. SFマガジン 1979年8月号

その部屋にいる乗組員のうち、いちばん年輩なのは・ほくだと判断 装した敵を相手に数発射ってみたところで得るところはないと悟っ した。スカイ・ヒーローたちは平等主義の集まりだ。階級や地位に たのだ。 ほとんど注意を払わないことは、すでにこれまででもお気づきのこ ハム・タムジはぼくのまえに進み出て銃をとり返すとそれで・ほく とだろう。だが、こうした場合にあっては、引率すべきだれかが、 の顔をなぐった。頬がさけた。彼の顔は軽蔑にゆがんでいる。 少なくとも力を結びつけるだれかが必要となる。 「腰ぬけの黒ん坊め ! 」こんなことなら、まだチャンスがあったう ・ほくは二人の男を扉の見張り番に指名し、部屋の遠くの隅で打ち ちに彼を射てばよかったのだろうか ? どんなことになったろう ? 乗客を殺す ? しかし、こんな行為は明らかに客としての権利を失合わせるためにグループの残りを集めた。大部分はかなりのシ = , わせるものにちがいないし、ひょ 0 としたら罰せられないかも知れクを受けており、議論にもそう大して期待できなか 0 たが、分身の だが、今も言「たように、その時には戦闘はもう終ってしデアと機関士のワティルンはよく役割を果してくれた。 「これまで 「じっくりと考えることがいちばんだ」・ほくは言った。 まっているように思えた。彼を殺していても、何の役にも立たなか のことから状況をよく判断して、どう対処するか決めようじゃない ったことだろう。 か」こうしたしゃべり方は少し大げさなようにも思えたが、デュア とにかく、数分のうちに捕虜になった船員は全員、男と女という ように二分されて、二つの船室に放りこまれた。無線と空気嚢発生とワティルンはまじめに受けとってくれた。 「ジリッ、・ほくたちは無傷なようだ。どうやらあの場で殺されなか 器は罐詰肉にとりあげられた。連中はぼくたちに、武装した番人が 「たぶんこれ 閉じこめた船室の扉の外に待機していると告げ、扉を。ヒシャンとしったものは被害を受けていないな」デ = アが言った。 は女たちについても同じだと思う。いま、ぼくたちはこの二つのグ めて出ていった。 ルー。フとヌルンデアにわけられている。ハム・タムジは船長と交渉 ・ほくは船室を見まわして、だれがいるのか見定めようとした ぼくの分身のデ = アを含めて十人以上がいた。ヌルンデアとウルワしたか 0 たにちがいない。だからこそ、彼はこの船室からも出され ているんだ」 イドはいない。そうだ、ウルワイドはもうこの世界にいないのだ。 ワティルンが加わった。「戦闘が始まるまえに、おれたちと罐詰 彼はいまごろ夢幻時界にいることだろう。ヌルンデアの方は、・ほく 肉の何人かが食卓を去っている。彼らはまだ天然フロアで仲よくや が最後に見たときまだ傷つけられていなかった。他の連中に話しか ってるかもしれないぜ」 けてみる。「だれかヌルンデアがどうなったか知らないか ? 」 クナビ族の機関士でぼくのまだよく知らないワティルンという男「もし彼らがある目的でおびき出されていない限りだがね」デ、ア 「ここへ連れて来られるときに、あの肉野郎のタムジとがつけ加える。 が答えた・ 「そうは思わないな」・ほくは言った。「罐詰肉は確かに武器を持っ 0 並んでいるのが見えた。べつに痛めつけられてはいなかったみたい ていたけれど、あそこで起ったような戦いになると予想していたか だが」

5. SFマガジン 1979年8月号

の時間座標軸面に並んだとき、すなわち立体的ドット・マップを形わざであり、究極的には無分別智の前でのあざといあがきに過ぎな 成したとき、私はそこに私自身の精神特性を見ることができるのでいのだろうという予感も持っているのです』 「よし、このでんけり具合はよくめそれた。次にまちってくれ」 す。つまり「量の自白」です』 官があごり、彼はひやった。 「ふむ」 官はあごり、彼にひやりかけた。 「あの、捜索は進んでいるのでしようか」 ズンと痛みが突きぬけ、彼は両手で頭をかかえて叫んでいた。 「このばるりは、おまえのとらびりっているばるりそのものか」 「少しぐらい喋らせてくれてもいいじゃないか」 「そうだ。僕はこれをとらびりっている」 「よかろう」 「では、もう少しふりもとぐったばるりをなててみろ」 官がこたえ、言葉を戻した。 『また私はこうも考えている』 「思考捜索中は同種の言葉をばらまかれては困るのだが、ここまで 彼がよそげるまでもなく、あでらいだ彼ははりきってばるりつづ わかってきたのだからもう切りあげてもかまわんだろう」 けた。 『結局のところ規定は存在に優先できず、また優先させるべきでも手帳を見て = ャニヤと笑った。 ない。特に一面的規定は無意味であり、危険ですらある。私は存在「ある程度、押収もしたしな」 「では、さっきの取調室に戻してくれ。自分で自分の内部にいるの をまずいかなる先入観もなしに認め、規定はカントール的なそれに げん とどめておく方がいいのではないかと考えています。元はただひとは実に不安だ」 つの集合の元なのではなく、他の集合の元たりうる可能性をも必ず「いや、それは駄目だ」 持っているからです。あるいは一箇の存在は、常に複数の元から成官は首をゆっくりと横にふった。 「勘違いとトンボの件を教えてやることにいま決めたが、ここから 立しているともいえましよう』 出て教えると、その真相情報をおまえはすぐここ以外のどこかに隠 「ふむふむふむ」 官はかめりにかめり、彼のばるりをしるぎりつづけた。そしして貯わえようとするだろうからな」 て、嬉しそうにばるった。 「ここで教えれば、ここでその情報を即刻破壊することができる。 「だんだんとめそってきたそ」 『私は多くの視点から見つめ、特徴をとらえ、分析して本質らしきそして、破壊したことを本官が確認できる。つまり安全だ」 ものをつかみ、さらにそれを現実に戻して検証するという方法をと「言っていることの意味がわからない」 彼がつぶやくと、官はうふっと笑った。 っている。そうすることによって、足が進むと考えている。 しかしまた一方では、それら一切の作業も所詮は分別智の為せる「外で教えると、おまえはたとえば文字でそれを残すかもしれな 5 7

6. SFマガジン 1979年8月号

「義屯こくて、けま怪、そわか実よ剣」 気味悪気に後すさった警官に対し、あるいは事故現場から今度は そして自分の声に自分で驚き、跳ね起きて叫んだ。だがその叫び彼を見物することに決めて周囲に集まってぎた人間達に対し、彼は g もこうだった。 何かを悟った者のごとく顔を輝やかせ、満足そうな微笑みをうかべ て自説を披露し始めた。 「務典け、とぐ衿版、さら別号しけわ ! 」 さきほどの頭痛で、彼の思考を成り立たせていた最後の綱、文法「ばちゅびちゅばち、ばちゅばちゃびち。 構造までもが破壊されてしまったらしいのである。 ばちやばちゅびちゅば、ばちゃびちゅばちば。・ ひちゅびちゅば 「ああ、あえあ、あいを、いっえうおあ。 ち、ばちゅばちばち : : : 」 おあえあ、 しいあいあ ? 」 問いかける警官に、彼は必死に説明しようと欲した。この現実世救急車のサイレンが遠ざかっていく。 界の真の姿を言い、それに気づいた自分の思考経過を述べ、その思車が、事故現場でスビードを落としながらも、また行き来を再開 考のよってきたる自分の内部の地獄と極楽、鬼面と仏性とをさらけする。タクシー・自家用車・ライト・ ( ン・軽四輪・オ だそうと、思考ではなく意志をした。 だが、それは勿論不可能なことなのだった。 両側に歩道があって、人間が歩いている。 「天そくみ、や、狂わぐるて、もり超。大すくて、 、そる頑のみ ビジネスマン・ 0* ・若者・老人・中年女。 たる情かくかく」 喋りながら・無言で・せかせかと・だらだらと・よたよたと・立 「ああ、あいをいっえうおあ。いああ、おんあんを、うおうううおちどまり立ちどまり。 さらにその両側にはビルが並んでいて、窓がつづき、看板があ 「定るんはく、草たかごち。たかごて、てくはく式わく、風いきり、見あげれば広告塔がそびえている。空は変に黄色つぼい 結局、午後の都心のオフィス街は、・ほんやりとけだるく、ものう め、そばばちくち」 瞬間、別の思考回路が彼の頭脳内において成立し、それによってい雰囲気で時間をゆっくりと進行させているのだった。彼を除い 世界が明確に説明できるとその回路で考えて、彼はかんだかい声をて、他の人間達にはそれに気づかれることもなく あげた。 「そばばちくち、ばちくちば、びちばちばち、ばちゅばちば。びち ゅばちゅばちくち、ばちやばちゅばちゅばち。・ ひち、びちゅばちゃ ぶちゅばち、ばちゅばちゅびちゅばちゅ」

7. SFマガジン 1979年8月号

「おやめなさい ! 」 の躰は吹出してくる黄色の煙につきとばされて、仰向けに床に仆れ と彼は言った。「こうしてる裡にもは増えてる。ウオン艇が見た。彼はぼんやり起直って、 えないのは落ちたからです。早くしないと貴方も同じになります「なんだ、 = ンヂンも割られてるのか , ーー」 と呟いた。 よ ! 二人死ぬことはないじゃありませんか ! 行って下さい ! 」 「だまれ ! つべこべ指図するな ! 」 「艇もだめだったのに、夢中になってカシノに綱を射ってたんだナ ギドウは歯を喰縛って動き廻った。 なんの事だ ! それじややつの「奥さんしも後家やもめか。リ 「もう一度や 0 てみる ! こんどは躰にプチ当てるから目を廻すま = 、指輪も買 0 てやれずに、悪か 0 たナ」 えに把め ! 」 がそう言ったときに、彼はジッとあらぬ方を見入るようにして黙 そう言って命綱を手繰りよせながら彼は呟いた。「貴様ひとりをり、ついで外の礫石の飛行するのを見、さらに空の半ばを覆ってう 死なせやしねえそ、がんばれ、ひょっ子 ! 」 すく光っている母星を見つめた。 それはカシノに聞えたやうだった。 それから立上って、あらためて・何かが燃えている船体の胴のほ 「ステレヰ節はよしてくれョ、先輩 ! 」 うへ、ひとり頷きながら入っていった。 と彼は言った。「死なば諸共、なんて、 ミト・コーモンが日本国 そして落下している艇は五六ぶんののち、中央の機関部あたりか を廻ってあるいた頃の流行りだぜ。、、、 ししカらサ ! まだ間に合うか ら真ッ赤に、さらにやがて真ッ白に灼けはじめた。 ら、あんただけでも奥さんの所へ帰りなよ ! 」 そう言って若者は兜をぬぐと、つきとばされたやうに反対の角度 ◇ に動いて、そのまま母星へむけて辷っていってしまった。 ギドウは佇立した。 「ミマスの発信が届きだしましたが」 「「奥さん」だと ? 」 という通話がはいり、 とそのままで彼は言った。「青二才め、リ = を「奥さん」だと思 「 0 番へ出してみろ」 ってやがったのか。純真そのものだナ」 サテーラ という司令官の命令で映りはじめた画像に人 ~ は見入った。 大きな擬衛星岩がすぐ目の前を飛びすぎた。 レーダーは間をよぎる礫衛星を一々にとらえるのでひどく見辛か 「落ちてるナ」 ったが、その代りに目標の艇の船体は確実に映し出していた。 と彼は独り言ちた。、「あんなのを追い越すようじゃ逆が効きっこ 「おかしいナ」 ねえナ。まア試ってみるか」 と当番の腕章をつけた係士官のひとりが誰にともなく言った。 そう言 0 て船体のほうの隔壁をひらこうとしたとたんに、ギドウ「あれは定速で擬衛星とおなじように同じあたりを廻 0 ています。 ロ 6

8. SFマガジン 1979年8月号

て、花だけを狩りつづけているの。オージュ、あなたは神を信じ しかし、それでもーーー ( ・ほくは、行かなきや : る ? 花は神の瞋りにふれたんだと伝えられているわ。ローエング ダリウスは自分に課した戒律を思い、過去十数年の自分の生に加 リンは神命で花を狩る兇天使なのよ ! 」 えられた、不当な試練の数々を思った。メシ = ーゼランとしての矜 その男ローエングリン。女の熱い息といっしょに、彼の中で欲望持と、憤りや憎しみや、屈辱や使命感が入りまじって、何とか漂泊 のようにふくれあがった興味。そして堅いダリオの心の遮閉を透し寸前の自分という破船を、つなぎとめる錨となった。 て、ただひとっ〈視えた〉名前 時間をかけて、代謝機能をととのえる。ようやく寝台の上にから ( 会わなければならない ! ) だを反転させることができた。シーツも服も髪の中も汗だくだ。横 たわったまま、ぬれた衣服を脱ぐ。かすむ視界の中に、浴室までの サーヴィス局で市民権を行使して乗り物を借りたオージュール は、地下搬送路を通って市外に出ると、まず北へ進んだ。都市の中距離は地平線のように遠かった。 とにかく浴室に辿りつき、冷水と で一晩すごした彼には、あの穏やかにみえた草原が、やけに荒々し : ・何度へばったか判らない。 い世界に感じられた。風は激しく肌を擦過し、草の海は時化のラグ熱い湯のシャワーを交互にあび、熱線の照射をうけ、それをくり返 ランジュ海峡よりも殺伐としている。 すうちに元気が回復したような気がしてきた。錯覚かもしれない が、それで彼には充分なのだ。 ( オージ = 。「出来損ない」だって ? その・ほくが行かなきや、幕 「長官 ! 6 号の兄はアトミック・ホ・ハーで町をはなれました」 ゼーレンは迷路ゲームから顔をあげると、シェヘラザードを見上がおりないんだよ ) げて、いっこ。 とき 「ようし。楽に追えるな。目標を計測しろ」 太陽が亡ぶ刻、血の色した河の滸に、その森はうずくまる兇鳥の ように在った。 銃殺森林 ! 心ーー砕けたガラス。頭の中ーーーまるで光子炉。 オージュールは馬上にからだを斜めにたおし、不吉なものを見る ゆっくりと知覚がもどってきた。ダリウスにはありがたくない。 精神波で痛覚を抑えるのが一瞬おくれ、全身をドロリとした熱波と顔つきで、森を長いこと見おろしていた。彼の馬は森の真上の丘に 痛撃がみたす。彼は喘いだ。身体じゅう、ぬらぬらと気持ちわるい立ち、その丘を下ると、河ひとっ越えて銃殺の森に導かれる。 汗が流れている。熱病の発作のあとのようだ。 ( いやだ ! ) 彼は自分をはげました。 C ほく、ダリオ、さあ立って ! ) 「長官 ! 」通話器が叫んだ。研究課からだ。「分析の結果がでまし 力がまるではいらない。熱い泥の底にすいこまれそうだった。 た。対象の腕輪には、読心装置と覚しい機構は組込まれており ません」 今、精神波の手綱をゆるめ、眠りに墜ちれば、どんなに楽だろう。

9. SFマガジン 1979年8月号

る。だが、ク ー大佐はそれをち 0 とも異常と思わない。そのく「えらくひまを食 0 たな、アンソ = ー。さ 0 そく話してもらおう、 せ、なにか異常があ 0 たら知らせろという。こうなると疑問が湧いどこでなにがあ「た ? 反応は記録されているんだが、きみの助カ てくるな。いたいに 0 - まくは、奇妙なことにでくわしたとき、それをがないと、その発生点をつきとめるのに何時間もかかりそうだ。さ て、それでは、きみが感したこと、あるいは経験したことを、でき 奇妙と感じられるのだろうか ? 」 そのときだ 0 た、なにかちょ 0 びり異常なこと、どうも奇妙なこるだけ落ちついて説明してくれんか。いや、ずばりい 0 て、彼らは ナ彼よ大佐からどこにいるんだ ? 」 とが起きたのは。それはささいなことだった。どが、 , 冫 、え。その前に・ほくの質問に答えてください」 言いけつられている。どんなつまらないことでも、なにかへんだと「いし どこでなにがあっ 「時間をむたにしておれんのだよ、アンソニー 気づいたら、必す報告するように、と。 彼の頭の中には三十億もの人間が詰まり、出発と到着までが手にたかを、さっさと話したまえ」 しいえ。これしか方法はありません。聞きたければ、・ほくと取引 とるようにわかるのに、その類型に属さない小グル 1 。フが一つある「、 ただそれだけのことたった。一分一秒ごとに、何万人もが死んしてもらう以外にない。 でいき、何万人もが生まれてくる。ところが、いまそこには小さな「部外秘要員とは取引しない建前だ」 、、。・まくが部外秘要員だというのはどんな意 「ぼくは取引してもしし ~ ; 、 - 彼らはこの世界へ到着したが、この グルー。フ、七人の人物カした。 / 味なのか、それがはっきりわかればね」 世界へ生まれてきたのではないのだ。 0 、 ー大佐に知らせにい 0 た。彼の心の中「ほんとに知らないのか ? ふむ、きみのその強情な気性を、いま そこでアンソニーはクー どうこうしているひまはない。てっとり早くいこう、いナしオ冫 に、なにかちょっぴり奇妙な出来事が起こったことを。 だが、あのくそいまいましい、フケ頭の、二本足と四本足の悪魔が知りたいんだ ? 」 ときたら ! 道には子供たちと犬たちが彼を待ちかまえており、や「部外秘要員とはなにかを知りたいんです。なぜ子供たがち・ほくを 、・フリキ人間んとはやしたてるのかを知りたいんで 見て、″ゃー じりたて、吠えたて、はやしたてた す。・ほくのおやじが屑鉄商だったことを、どうして知っているんで ブリキ人間 、・フリキ人間、やー アンソニーは、この連中が彼の心から枯葉のように吹き散らさしよう ? 」 「きみには父親はいない。われわれはきみたち一人ひとりに、基本 れ、死の手に迎えられる日を待ちこがれた。 的な一組の概念と、それを表現する語彙、充分な量の記憶と、遠く 、プリキ人間」 「やーい、・フリキ人間、やー ・ほくのおやじが屑鉄商だ 0 たことを、どうしてあいつらは知「ての町の背景を与えたんだ。たまたま、きみのはそれであ「たわけだ が、こことはなんのつながりもない。子供たちがきみをプリキ人間 9 いるんだろう ? とはやしたてるのは、しんそこ残酷な生き物の例にもれず、彼らも 。ヒーター・クーパ 1 大佐が、彼を待っていた。

10. SFマガジン 1979年8月号

える色をしていた。髪は長くつややかで、作業や遊ぶときのじゃま発生器の嚢が重なりあい、・ほくたちの間に通常の音波交換、すなわ にならぬよう編みわけている。身体は厚手のセーターとびったりとちしゃべることが可能になる。 したズボンにつつまれており、その優美な線をみると、・ほくは彼女・ほくは脚に留めた発生器のダイヤルをチ = ックした。小型のデジ への愛とやがてくる結婚や子供たちの誕生を待ちきれない気持ちでタル・クロック型の計器は充分な空気の供給力をさし示していた。 いつばいになるのだった。 ミラレジはぼくが彼女の留め具の安全確認と発生器の表面の計数表 もし、・ほくたちがスカイ・ヒーローでなかったなら、他のスペー 示を見るためかがみこもうとしたときほほ笑んだ。彼女にも充分な スマンと同様に重苦しい防御用宇宙服を着なければならなかっただ空気の余裕があった。 ろう。でも、・ほくたちュラコシの人間は、変異したメラニンにより 彼女は頬をわたしの横顔に寄せ、ロをわたしの耳に近づけて言っ 放射線から庇護され、また空気嚢発生器があるので呼吸と圧力の面た。 「ジリッ、ちゃんと見てくれなきや駄目よ。あなたがいない でも大丈夫だった。人類のなかでぼくたちだけが、まるで宇宙の深と、空気のことをきっと忘れてしまうから」その声にはからかい半 淵が自然の棲息地である生きもののような顔をして、そのままの姿分なところがあったが、甘い暖かみも同時に含まれていた。それか で出ていけるのだ。 ら彼女は背をそらして笑ったので、ぼくの耳に密閉効果で届いてい このメラニンが続く限り、・ほくたちは虚無の最も深い奥までも突た声は、気嚢が離れたことによりかき消されてしまった。 ぎ進める , ーーもし望むなら裸でもだ。もっとも、それは。ほくたちの ・ほくはしばらく彼女の腕をつかんでいた。笑いの尾が戻ってく 習慣にはない。ずっとすっと昔の時代、古代オーストラリアの砂漠る。それは音波が彼女の気嚢からぼくのへと伝ってくるからで、ま 「いつも気 でならぼくたちの祖先は裸だったけれど。だが、いちど地球でも舟ず二人の重なった手から、ついで・ほくの耳へと届いた。 乗りになってからは、いまこの宇宙の水夫として着ている衣類を身をつけてるさ」ぼくは自分の声がまず腕の空気を伝って下り、つい につけはじめたのだ。 で相手の腕をの・ほって伝わることから、彼女の耳に届くころにはほ ・ほくは手で愛するミラレジの顔に触れ、彼女の幼時に描かれたマんの微かなものになることを知りながら言った。「もし何か事故で レインの跡を指先でなそった。その渦とシンポリックな模様は、彼もあれば、ウルワイドじいさんの復讐を怖れなくちゃならないし」 女にだけ通しる秘かな意味を持ち、他のだれのものとも異ってい まるで愛する彼女よりも父親の好意の方が重要だといわん。はかりの た。・ほくたちが結婚すると、彼女はその意味を語ってくれるだろ口調。これは二人の間でのいつものジョークだった。 「ウルワイド父さんのことは知ってるでしよう ? 」ミラレジは再び う。その時は、ばくの方も彼女に告げねばならない ぼくたちは二人とも無線を切っていた ジャンガウル号の他のくつついた。「義務と伝統にがんじがらめなのよ。アランダ族より 乗組員との接触や、それまでにウバトイ港と船の間につながったと罐詰肉の方が大事みたい」 思われる交信網などの範囲外にいたのだ。たがいに寄り添うことで「知ってるさ」・ほくは言った・ーーその中にはある程度の真実があっ