アイデア - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1983年1月号
15件見つかりました。

1. SFマガジン 1983年1月号

読者のつくるべージ リーダーズ・ストーリイ、さて作品は、全部で八篇ということに東京都の橘高寿さんの「星に祈 なりました。 りを : : : 」、再度、地上に神の国を 今月の結果は、如何なものでしょ いつものように一篇ごとに短評造らんとして、悪魔ルシフェルを 追い求める天使ミカエル、記億を 今月の応募作品は、読める、面をしてみようと思います。 白い、というものがかなり含まれ先ずは、埼玉県の平松誠治さん失い、平和な暮しを続けたルシフ ていました。 悪魔が星に祈るラス から。平松さんの作品、「逝っちエルは : : : 。 小説としての完成度は、皆さんまえ ! 」、宇宙の賞金かせぎを主トはとてよいのだがスト かなりのところまできていると言人公とした物語、よくまとまって運びがいま一歩。 京都府の永井修一さんの「一 ってよいでしよう。あとは、どのいますし、なかなかに面白い作品 ように的な設定と物語を噛みでした。まだ十四歳とのこと、こ 粒」、アイデア、オチともに大変 合わせるかという問題だと思いまれからが楽しみな人です。がんば面白いのですが、作品としては、 す。 って下さい 説明的に過ぎるような気がしま それから、無理に八枚という規次に神奈川県の高橋佳人さんのす。もっとシンプルにストレート にまとめてみてはいかがでしよう 定を守ろうとしている姿勢が感じ「帰りのシャトルにて」、タイト られるのも、大きなマイナス・ポレ : ノカイマイチなのが気にかかるのか。テレポという薬品の発見によ って誰もがテレポートを行える未 イントの一つだといえます。半数ですが、火星探険船が帰路に出会 近くの作品が、無理矢理、八枚にった不可解な事件、宇宙の座敷ぼ来、ただし、薬の量によって飛距 するために、ス トーリイを引きっこともいうべき存在が巻き起し離は限定されている。そんな時 延ばしている。つまり、本筋とはた騒動は : : : 。 アイデア、構成と代、古代遺蹟から発見されたもの 直接関係がない描写が多いというもいいのですが、もうあと一歩とは : : : 。最後のオチが実によいで ことですね。これは、せつかくの いうところ、次回作を期待しますね アイデアが、オチが、生きてこなす。 最後は、東京都の松田佳子さん い大きな原因となっています。シ静岡県の遠藤英樹さんの「サヨの「影の接点」、文章、アイデアと ヨート・ショートのテンポが狂っナラホームラン」、設定に少々無もになかなかのもの、作品に引き てしまうわけです。八枚という規理があるようですが、アイデアは込まれるものがありました。〃過 定に沿ったアイデアとオチを持っ面白い。研究室で偶然出来上った去再生″エネルギー理論が確立さ たストーリイ作りを心がけて下さ擬似地球、野球のポールほどのサれた未来、思わぬトラブルから過 イズの地球がまぎれこんだのは、去に影響を及ぼした時 : : : 。今月 さあ、いよいよ入選作の発表で甲子園球場 : : : 。あとはストーリ の入選作は、この「影の接点」で す。今月は、最終選考まで残ったイのテンボとまとめ方次第です。す。

2. SFマガジン 1983年1月号

0 イ ) を養殖したりする。 このほか、ニンジン、トマトなどを、手間の そのアイデアの一つによると、直径一・五メ ポ ートル、長さ三メートルの円筒形栽培室をスべかかる種からの栽培にたよらず、タンク内で小 ス ) 薬 Z ースステーションに取り付け、円筒の内壁にガさな細胞や組織片から細胞培養、組織培養によ ス ラスウールを張り、レタス、ホウレンソウ、サ って増やす方法も提案された。 ラダ菜などの葉菜類の種をまいて、水耕栽培す宇宙ステーシ = ンから海面温度分布や波の状フ卦 / ャ町州 / る計画。太陽光線は、ステーション外に取り付態、海色計などによりクロロフィル分布状況な ン キ CO けた直径七メートルの集光器で集め、グラスフどをキャ〉チ、それを地上のデータ処理システキ ムで処理し、魚の種類ごとの漁場情報も入れたス アイ・ハーによって栽培室に導く。 乗 O また別のグルー。フのアイデアによると、動物漁業情報図を作り、ファックスで漁船に知らせ ン 性蛋白質を自給するため、ウズラを飼育して卵る「海洋情報即時通報システム」も、漁業国な 人イ 2 レ・、 を産ませ、孵化したり、テラピア ( イズミダらではのアイデアとして注目を集めた。 置ビレ CO 太陽発電衛星から地上へ電力を無線送 グ装ラニ作 ンマ操レ 一言 電する場合、マイクロウェー・フが電離層 ュ 例一 ド用 にさまざまな影響を与えることが懸念さ 波ナ器レ れており、その問題を解明するための実 クテ験ビ 験計画も提唱された。 マ供マ 親ステーションからレーザー光線を発ものについても、各国からアイデアを募集する と Z は呼びかけており、これにこたえて 射して、それを受けた子衛星が、キャッ チしたレーザー光をエネルギー源とし三菱重工、三菱電機、三菱商事の「三菱グルー て、就道変換などをするアイデアも出。フ」は、スペースステーション本体に接続する CO 「有人実験モジュール」や、ステーションから このほか、スペースステーションからやや離れて飛行する無人実験室「・ハス。フラット ホーム」、さらには・ハス。フラットホームとスペ 千キロ以内に近づいた他の衛星やロケッ タ トの燃え殻などを探知し、回避する「宇ースステーションを往復する一人乗り「スペー 宙衝突予防レーダー」計画は、宇宙も過スキャ・フ」と無人の「テレオペレータ」などか ビレ 密時代を迎えつつあり、タイムリーな。フら構成されるスペースステーションシステム構 ランである。 想を打ち出した。 リニアモーターカーに使われる磁気浮こうしたアイデアの数々は、宇宙開発委員会 上リニア・シンクロナス・モーターを宇の宇宙基地計画特別部会に提出され、科技庁が モ 行なったアンケート調査の結果などとともに検 宙に利用、低戦道を回るスペースステー ションから人工衛星などのペイロードを討され、一九八三年五月ごろまでに日本として Z 馬 中高度軌道や静止軌道へ打ち上げるのにの参加テーマを絞り、へ提出する。 Z CO 役立てるアイデアも発表された。 で受け人れられれば、いよいよ日本人の田 スペ 1 スステーションのシステムその夢が現実へ向かって動き出すことになる。 工アロック 実験機器 0 曝露型バレット ( 4mX4 司 ドッキング / 与圧型有人モジュール (4méX12m) こ 0 WSZ 操縦桿 ーヘリウム 拘束プロープ

3. SFマガジン 1983年1月号

CO 池見照一一 サイエンス・トピック物 日本人の宇宙基地への夢 カット佐治嘉隆 スペ 1 スシャトルが実用化時代を迎え、最近かれた。同研究所、文部省宇宙科学研究所、宇切れず、廊下まであふれ、入り口から中をのそ CO にわかに注目を集めるようになったのは、米航宙開発事業団、経団連宇宙開発推進会議の四者き込んで発表に聞き入るありさま。ディスカッ 空宇宙局 (Z ) のスペースステーション が共催したもので、大学の研究者や国立試験研ションも活発に行なわれ、スペースステーショ ン計画に対する関心の高さを物語っていた。 究機関の研究者、民間企業のエンジニアらか }— ( 宇宙基地 ) 計画である。 スペースステーションといえば、これまでオ スペースステーションといえば、の世界ら、合計九十一件ものアイデアが発表された。 ニール博士のスペースコロニー計画 のものと思われがちだったが、現実味 Z を持ってきたのである。 などが知られているが、今回のシン Z < は一九八五年までに開発計 ポジウムで、日本人の描いたスペー 図 CO 画をまとめて建設に着手、一九九〇年 置スステーションの夢が盛りだくさん ごろに実現を目ざしている。総開発費丐 へ′装に出され、身近に感じられるように は一兆円から二兆円はかかるとみら 実 れ、 Z < < は米国内のメーカーだけ 霾実シンポジウムで発表されたアイデ 置 . 実 O でなく、日本、カナダ、欧州諸国に禾 アは、宇宙天文台から宇宙での半導 装業 も、計画立案の段階から参加するよう 体や新合金の製造、さらには宇宙農 - の験 農 呼びかけた。 場での野菜栽培や畜産など、宇宙科 CO これに対しわが国は、一九八一一年六 学、エネルギー、通信、地球観測、 月、中川一郎科学技術庁長官 ( 宇宙開宀于 マ、 ( ⑨図農業、材料工学、ライ , サイ = ス 光 といった多分野に及んでいる。 CO 発委員長 ) が訪米した際、ペックス Z 集 長官に開発段階から日本も参加 その中で注目されたテーマのいく 光 つかをビックアップしてみると、ま CO する意思を表明するとともに、宇宙開 ず宇宙農場をあげることができる。 円発委員会内に宇宙基地計画特別部会を このように多くのアイデアが出ようとは、主宇宙航空研究所、農林水産省農業技術研究所、 O 設け、日本としての参加方法の検討を始めた。 こうした折り、十月一一十一日に東京都調布市催者側は予想しておらず、びつくり。会議室や畜産試験所、名大、名城大などの研究グループ Lu の科学技術庁航空宇宙研究所で、日本としてど講堂など四会場に分けて、同時進行でアイデアから十一ものアイデアが出された。人類が宇宙 CO のような参加アイデアがあるかー、・・をテー「にを発表してもらうことにな 0 た。約百の機関かステーションで長期滞在する時代に備え、食糧 してスペ 1 スステーション・シンポジウムが開ら約四百人が集まり、狭い会場では室内に入りの自給システムを確立しようというのがねら CO 6

4. SFマガジン 1983年1月号

S 気 : 発表 ! SANSEIDO SF FORUM ・入選 「廷吏よ滅びの笛を吹け」 ・佳作 「降下」 「飛び越えた時間」 雄記亮 奥田委佐子 福明子 ■選 評住 う。しかし、 20 枚てはそれになじむ以前 S F ストーリイ・コンテストも、これ て第 2 回。第 1 回応募の方が第 2 回にも に小説が終ってしまいます。結果として 応募し善戦するなど、 2 回目とはいえ着 は、ただ作品をとつつきにくいものにし 実に歴史は作られていくようてす。 . この てしまうだけてす。それと、このコンテ コンテストの特徴は、 20 枚という規定枚 ストが S F ストーリイ・コンテストてあ 数てしよう。小説は長さによってまとめ る、ということもよく考えていただきた 方も、そこに盛リ込む内容もかわってき い点てす。非常にうまくまとまってはい ます。今回の応募作品を拝見していて、 るのてすが、アイデアそのものが SF と 一番感じたのは、この規定枚数をうまく 違うという作品もあリ、惜しいと思いま 使っていないということてした。ショー した。国を惑星、 100 円を 100 クレジッ ト・ショートのアイデアを無理矢理水増 トにしただけて S F がてきるというわけ ししたリ、逆に 100 枚にはなろうかとい てはあリません。入選作は、アイデアも う構想を、梗概のようにまとめてしまっ SF 的てあリ、長さのパランスもまあま あ、総合点て一番秀れていました。しか たリというケースが目立ちました。また ヒロイック・ファンタジー系統の作品に し、タイトルは大仰すざるてしよう。 多かったのてすが、作品に固有の固有名 . なお、このコンテストの授賞式はさる 詞、特殊な酒の名、儀式の名などが頻出・ 11 月 21 日、神田三省堂本店て亀和田武氏 するものも、 20 枚という長さには適しま を招いておこなわれました。授賞式の模 様は本誌次号を御覧ください。 せん。そういったものは、作品の世界へ 読者をひたリきらせるためのものてしょ ( 本誌編集長 ) 主催 三省堂書店 協賛早 ) 書房 ロ 7

5. SFマガジン 1983年1月号

ゾチアルストハスティクの法則は適用されないのだ。竜ーーーこの竜 たちは、システムをゆるがそうとしている。カタストロフィありと すれば、それはたちによってであろう。疲れはてておれは足をと めた。 眼の前のア・ハートがあいている。そこへはいった。汚いものでも つかむみたいにあのベルトを腕からとり、シャワーをあびる。ひら いた傷口に汗がすごくしみた。自動医療器がすぐそこに細かい粉末 をふきかけ、痛みはたちどころに和らいだが、おれはそれにもろく に気づかなかった。まだそれだけ昻奮していたのだ。連中はおれを スパイしていたのに違いない。おれこそ連中に必要な迷路専門家と 思い、おれの反応も計算ずみだったのだろう。どっこい、それは計 算違いというもの。連中が考えたよりおれは利ロだった。連中の心 底をおれは見ぬいた。竜たちょ、ひっかからないぜ、おれはー 徐々に落ちついてきて、凝縮ロ糧をかみ、横になる。お気に入り の舞台装置を念じた。木星が巨大な光球となって眼のまえにあらわ れた。大赤点の輝き。南温帯、南熱帯じよう乱のグリーンのしまに かこまれて。眼下はガニメデの岩の表層。 ガニメデⅡ現実におれがそこへ行きつくことはないだろう、も しも : そのことさえ連中は探りだしたのだ。ガニメデ。 いつも はるかなものを夢みるだけということ。なんと的確にやつらはおれ の反応を知っていたことか はたしておれは本当に相手を見ぬい たのか ? 見ぬくようにしむけられたのではなかろうか ? おれが 自由意志で決断できるように、と ? 狂人の集団 ! これからどん な意外事が待ちかまえているか , ー・ーそれを思うたけでふるえが来 た。システムからの脱出ーーーそれはなんとかなる。しかし、それに つづく宇宙飛行。つねに同じ顔をながめる。毎日、毎時間℃ ょに食事をし、話し、話し、話し : 。人間たちの汗の匂い : : : 安 らぎはもはやない。 システムの論理的冷静さというものはない。大 きすぎるジャンプではないのか。おれには耐えきれるまい。しか し、木星とガニメデと : : どういうことだ ! 夢は現実の助けにな らぬ。 ひょっとすると、ひょっとすると、システムもこの冒険をおれの ためにアレンジしてくれたのかもしれない。変化を求めてわめいた のはおれなのだから : ・ 薬が効きはじめ、おれは眠りにおちた。システムのやわらかな、 どこででも聞こえる音につつまれて。 フェニックスアロイ アイデア募集・結果発表 「形状記憶合金をどう使う ? 」 これに応えて、 多数の読者からアイデアが寄せられましたが、この 中から選考の結果、福岡市の吉良義文さんほか五名 の方に、株タカラから世界最初の形状記憶合金玩具 「フェニックスアロイ」が送られました。 9 7

6. SFマガジン 1983年1月号

ト、シオドア・ドライサーらを含むグルー プが 1931 年に創設したフォート協会、およ びダウト誌 ( 米 ) やロー ! 誌 ( 英 ) といっ た刊行物だった。現在、情報収集している のは、 INFO ジャーナルを刊行している 国際フォート組織と、イギリスの雜誌フォ ーティアン・タイムズとである。 フォートが列挙した ( 天文学上の異端デ ータからテレポーテーションの例までの ) 異様な観測報告や出来事と、それに加えて フォートが求める独創的でドグマにとらわ れない解釈とは多くの S F 作家に影響と刺 激を与えた。サム・モスコウィッツは「チ ャールズ・フォートの本が S F のフ。ロッ ト、アイディアに与えた影響は幅広いもの だ」と述べているし、ドナルド・ウォルハ イムも、、 S F 思考〃にフォートが与えた衝 撃に言及している。 S F 界でいちばん熱狂 的なフォート信者はエリック・フランク・ ラッセルで、フォートを「 S F が得た唯一 の本物の天才」だとし、「好きな作家三 人」を「チャールズ・フォートとチャール ズ・フォート、それにチャールズ・フォー トだ」と述べたこともある。ラッセルの 『超生命ヴァイトン』 & れなお 4 なだ ( 1943 ) との尾 ade / 靃 ( 1951 ) とはフォート的なアイディアにもとづいて いる。デーモン・ナイトもフォートに影響 された作家で、フォートの極めつけ評伝 C んおお 0 , ~ ん The U のがイ ( 1970 ) を出版している。 S F に対するフォートのアイディアの影響が 特に強かったのは、ジョン・ W ・キャンペ ル・ジュニアが編集する雑誌アンノウンと ストとして筆やェアーフ・ラシを素晴らしく 効果的に駆使する。これまでサイエンス・ フィクション・マンスリー志や、ノくンサー ・フ・ツクス、 ・イングリッシュ・ラ A S F だった。 フォス、クリストファー 〔 PR 〕 FOSS, CHRISTOPHER ( 1946 ー イギリスのイラストレーター。 1970 年以 来 S F イラストを描き、主に表紙アーティ VI イフ・ラリー パランタイン・フ・ツクスその 他で、百点以上の表紙を描いた。ジャネッ ト・サックスの編集によるイギリスの S F イラストレーターについての本な / 0 れ 5 〃尾 4 尾 ( 1976 ) にもいくつか作品が 載っている。製作延期になったフランク・ トの『デューン砂の惑星』 D Ⅷ e の映画化に協力したほか、ベスト・セラー The 面 & ェ ( 1972 ) のイラストも描 いている。フォスの S F アートはたいてい テクノロジー讃歌で一一 - 怪物じみた宇宙船 や巨大口ポットが美しくも恐ろしく大地や 天空にそびえ、人間は影もないかごく小さ いのだが、その効果は緊張感にあふれてい る。 1970 年代のフランク・ R ・ポールとす ら呼べるかもしれない。フ・ライアン・オー ルディスが序文を書いた & れ c 〃 0 〃 ( 1976 ) はフォスの作品集である。 〔 JG/PN 〕 フォスター、アラン・ディーン FOSTER, ALAN DEAN ( 1946 ー アメリカの作家。ロサンジェルスに育 ち、大学では政治学で学士号を取得したあ と、映画研究で修士号を得ている。面白い ことにフォスターに基本的な影響を与えた 人のひとりとして ( 年とった人物の描写に ついて ) カール・ークスを挙げている。 / く一クスはディズニーのスタッフの中でも 最高の新聞マンガとマンガ雑誌作品を生み だした作家であり画家なのだ。フォスター の S F 処女作は、 1971 年にジ・アーカム・ コレクター誌に発表した "Some Notes Concerning a Green Box" で、これ以来 十数本の短篇 SF を発表している。長篇の 方は、その大部分が共通の背景をもってい 266

7. SFマガジン 1983年1月号

階″という考え方と混同した。この混乱 は、アインシュタインが一般相対性原理 ( 1916 ) で宇宙の四次元モデルを提示した ことによって倍加した。 H ・ G ・ウェルズ は『タイム・マシン』 The T 切花イ ac ん・ ( 1895 ) の時間旅行を、、説明〃するのに 古典的な、、時間こそ第四次元 / / とする論理 を使ったし、多数の世紀オカルティスト がこの論理の華麗なる謎を開拓した。これ を使って予知夢を説明し、連続宇宙の理論 を構築した J ・ W ・ダンから、時間は螺旋 状であり六つの空間次元があると主張した P ・ D ・ウスペンスキーのような人までい 次元を考えた時、人間の存在や知覚に限 界がありうることを、最初にフィクション の形で表現したのがエドウイン・アポット の『二次元の世界』窺 4 れ d ( 1884 ) だった。 この本は、二次元の生物がわれわれの世界 からっきつけられる知的な挑戦を描き、読 者には、四次元の挑戦を受け容れるよう促 す。この挑戦を受け容れたのが C ・ハワー ド・ヒントンだった。ヒントンは擬似科学 者であり、次元という考え方で幽霊を説明 し、人間世界の何者も隠れることのできな い四次元の神を想定した。、、 An Unfinished Communication" ( 1895 ) の中でヒントン は死後の世界を、時間次元を自在に動け て、生前の各瞬間を再体験・再吟味できる ものとした。彼はまた、、平面の国〃 ( フラ ットランド ) ものの長篇な。 la d ( 1907 ) も書いている。 E ・ V ・ オードルの T んど C ん 30 Ma れ ( 1923 ) では、主人公は正常な時は多くの次元を知 覚できるが、この長篇の中では機能不全で あるため、なんとか時間の中を往き来する だけで、多次元の生活がどんなものか、そ の片鱗を垣間見せるのみである。アルジャ ナン・フ・ラックウッドの「四次元空間の 囚」 "The Pikestaffe Case" ( 1924 ) は S F よりファンタジイに近いが、ある鏡にひ そむ非ュークリッド幾何学的な次元の罠を 引き出そうとする興味深い試みがなされて 初期パルフ。 S F にも、ひとりふたり、次元 という考え方に魅力を感じた作家があった "The Appendix and the Spectacles" ( 1928 ) 、「四次元方程式」 "The Captured Cross ー Section" ( 1929 ) 、 "The Gostak and the Doshes" ( 193 ののマイルズ・ J および "The Monster ・フ・ノレーーア・一 From Nowhere ” ( 1935 ) 、 "lnfinity Zero" ( 1936 ) のドナルド・ウオンドレイがそれで ある。しかし、彼らはこのアイディアを使 って、せいぜい数学的類推による文字の 手品をやってみせるだけだった ( ただし "lnfinity Zero" の手品は黙示的なものだ った ) 。このアイディアを開発しようと試 みたのは『ヴァレロンのスカイラーク』 S 研記 0 れ ( 1934 ; 1949 ) の E ・ E い、ドック〃・スミスで、スミスの主人公 たちは四次元の世界にはいって、短かい冒 険をする。同じ試みはクリフォード・ D ・ シマックの "HeIIhounds of the Cosmos ” ( 1932 ) にも見られ、 こでは 99 人の男が 四次元にはいって奇怪な一体となり、四次 元の怪物と戦う。 S F が、より洗練されてくるにつれ、巧 みな詐術がしばしば厳密な思考にとってか わるようになった。ルイス・パジェット ( へ ・カットナー ) の「ポロゴーヴはミ ムジイ」 "Mimsy Were the Borogoves ” ( 1943 ) は、未来からのオモチャが子供た ちに四次元の思考法を教えこむ話だが、単 にアイディアをうまくまとめたにすぎな 。 1940 年代後半から 1950 年代初めに流行 した別次元ものの主題はトボロジーで、メ ビウスの輪を仕掛けに使った作品が数多 い。その中にマーティン・ガードナーの 「はみ出た教授」 "No ー Sided Professor ” 264 VIII

8. SFマガジン 1983年1月号

さて、一般にファンクラ・フには″会寄贈を、この私がうけることになるの ファン 費″がっきものであるが、 このていどのことにおどろくような人結婚相談クラブ″にかぎっては、そんな 二〇〇組が二〇〇冊ずつ重複すると四 ものは不要である。 もいないと思うけれども、この新クラ・フ 万冊寄贈されることになる。 ″余った 不要であるが、そのかわり、 の目的というのがじつにすばらしいので 一〇年たっと四〇万冊だリ ある。 図書類″を寄贈するーーという義務すごい どのようにすばらしいのかというとー : 、結婚成立したカツ。フルに課せられる数年で図書館なみになる。 のだ。 収納場所については、その一部を古書 結婚は男にとっても女にとっても人生ふつうファンは図書やイラス店に売って、そのお金で土地を買って建 トやテー。フやその他的なものをたく物をたてればよい の墓場である。楽なものではない。 とにかく、それまでアカの他人だったさんもっている。 みんなが「ああめでたいめでたい」と 二人が、同じ屋根の下で生活するのだ。 それらのコレクションは、ファンどう一一一一口っているうちに、し 、つさい資金なしで 相互に。フライバシ ーがなくなるのだ。そしが結婚することによって重複し、余る いつのまにか膨大な図書を集めた大 であろう。二人が同じものを所有してい 図書館ができあがるのだ。 れも一生つづくのだ。 ることが多いだろうからだ。 したがって、性格がよほど整合してい もちろんこれは広く世界のファン ないと、むずかしい問題がおこる。 とくに、本格好きは本格好き、ファンのために開放される。 タジイ好きはファンタジイ好きーーーと 問題が発生しても、それがトラブルに どうですフ おめでたいアイディアでしよう ? まで拡大しない夫婦というのは、一般にの中でも同傾向の好みをもつ人どうし 価値観が一致しているほか、趣味が一致がカツ。フルになるだろうから、よけい重 ( もちろん離婚したって返却はいたしま していることが多い。 複図書などが出る筈である。 せん。なおこのアイディアは、かんべむ つまり、ファンは tn ファンと結それを会長に結婚のお礼として寄贈すさしさんが、・ほくのインデックスを買っ 婚するほうが、そうでない人と結婚するるのだ。 てくれていたほど熱心な #-q ファンの女 よりも平和な生活が送れるのである。 会長はなろんこの私である。 性と結婚したために急に蔵書が増えたと ちょっと計算してみよう。 ファン結婚相談クラブ〃というの いうばなしをもとにして考え出したも は、そのような鋭く人類愛的な問題意識仮に一年に一〇〇組のカツ。フルが結婚のです ) のもとに、ファンどうしをムリャリ するとして、その各組が一〇〇冊ずつ余 という目的をも 結婚させてしまおう ったとする。 った会なのである。 すると、一〇〇 x 一〇〇で一万冊の 0- 」 0

9. SFマガジン 1983年1月号

れているんです 「現在では、もっと多くの作品がのぞまれています。うしなわれた も同様の伝統の遺産を思いおこさせてくれるような作品がね」 「そうかもしれません」 クリフォード・ a ・シマック 「ご兄弟の話にもどりますが : : : 」 CIifford D. Simak ートが一一一口った。「さっきか 「ちょっと待ってください」とラン・ハ 昨年八月号「踊る鹿の洞窟」につづいて紹介する、巨匠シマック ら、つぎからつぎと質問してこられる。だが、前置きもなければ簡 の近作である。 単な説明もなかったですね。当たり前のあいさつだって聞いていな シマックの作品には、初期を除いてほとんど常に″田園的 ( を storal). なる形容がっきまとう。″田園みとは自然に則した素朴な いでしよう。やみくもに飛びこんできて質問の連発だ。お名前と大 暮らしの謂で、これが作家シマックの中でいかに大きな思考の 学から来たとだけはうかがったが、それきりです。念のために、大 源泉になっているかは、彼が身をおくウイスコンシン州の田舎と、 学では何をしていらっしやるのかお聞きしておきたい」 そこに侵入してくるテクノロジカルな文明とを対比させれば、一目 瞭然だろう。これはまさしくの大きなテーマになりうるもの 「たいへん失礼しました」とアンダースンが言った。「気がっきま で、事実、本誌連載中の「エンサイクロ・ヘディア」のページ せんでした。それこそが、わたしの専門分野の基本のひとつですの には、この「田園詩」が一つの項目として設けられているほどだ。 に。如才なさが大切だとわかっているはずでした。わたしは、大学 この「兄弟」は、作家への、しろうと読者の古典的質問 「どこでアイデアを見つけられるのですか ? 」に、ずばり答えを与 の心理学科におりまして : : : 」 えたような好篇。シマックの私生活をどこかうかがわせて興味深 「心理学科ですって」 「ええ、そうです」 誌一九七七年十月号に発表された。 ( 伊藤典夫 ) 「英文学か、あるいはことによると生態学か何か環境問題に関係あ る学科の先生だとばかり思っていました。心理学者が自然写生の筆ずだ。自分の作品中では、一度も触れたことがないんだし」 者と話しに来るというのよ、 : いったいどうした風の吹きまわしです「去年の夏に一週間、ここからつい数マイルの釣り用のキャイフ地 か」 に泊まったのです。そのときに、話を聞きました」 「お許しください」とアンダースンはすがるように言った。「話が 「そして、話をした人たちは、わたしには兄弟などなかったと言っ ねじまがってしまいました。はじめにもどってやりなおさせてくだ たのだね」 さい。じつは、ご兄弟のことで話をうかがいに来たのです」 「そのとおりです。この課題についてわたくしは、最近五年間ずつ 「あいつがどうしたっていうんですか。どうしてご存知なんですと研究をつづけていて : : : 」 か。近所の人たちだったら別だが、それ以外にはだれも知らないは 「わたしに兄弟がないというその話がどうしてはじまったものか知 人と作品 6 3

10. SFマガジン 1983年1月号

センス・オフ・ワンターランド 2 みるからに恐ろしげな街 プレーカー街で 悠々自適の日々を送る ルーヴィントン氏であった : イラストレーション・加藤直之 ばたばたと雑用にすっかり取り紛れ、そのままやはり賞を出すべきだったのではないかと、今頃を狙う線と、いってみればテレビの〈全日鉢仮装 になって考えているわけだ。 にな「」たのだが、の「スチ =ー 大賞〉にも通ずるアイデア勝負の路線とにっ【 ル・ショーではもうひとっ忘れられない演しもの あのオチなどがやはり関西人の恐るべきところりわかれてきた。 があった。 であって、私なども ( 本籍は私も関西なのだが ) 〈桃太郎侍〉とか食ー ( レラ〉などが前名の路 たしかあれも悪名高き関西芸人一派だったと思一瞬ひやり ! とした位なのだ。下品さにー・・・・で線だが、ここまでショウアップされ、前評判 ' 、 ~ 引のだが〈モスラ〉である。あれはやつばり授賞はない。あの決定的な瞬間、青年のちん。ほこに仕くなると、こんどは逆に桃太郎侍の殺陣の甘さ【 」価いする迷作だ 0 たんじゃないかと今も気にな掛けられていたあのクラ , カーが万が一にも暴発や、 ーバレラにおける、、ハックコーラスの踊りの ってしようがない。 したらどうなる ? 事実、クラッカーというやっ締まらなさがどうにも気になってしようがない。 例の繭が大きくなっていくシーンなのだが、な は時たま暴発することがあって、手を火傷したりあそこまでくると、単なるファンのおあそびの域 。かなかにかわゆいビーナツツまでがちゃんとい することがあるのだ : を越えているからそうなるわけで、大会のシ て、これであたしなんそはもうすっかり嬉しくな これが関東のやつなら、 ( たぶん九州のやつでヨウ化傾向にこの連中が今後どう対応していく ってしまうのだが、とにかく、あの映画〈モスも ) 生殖器に損傷を受ける危険があるからーーな か、こっちとしては来年が大いにたのしみなとこ - ~ ラ〉の雰囲気が実にうまく再現されていて、それどと、こざかしく、なにかべつの手を考えるところである。 だけでも見事なものだった。それで、そのオチがろだろう。 しかし、今年の O * O O Z も面白かったらし 見事というか、あるいは下品というべきか、繭の そこを、おそらく暴発の可能性などとンと考え いね工。〈宇宙軍〉の君が帰ってきてのエキサ 。」中から現われた男がビーナ ' ツを追いかけまわしもせずにあ「さりとやらかすあたりが、彼等の彼イトぶりが只ではない。こ 0 ちはす「かりあおら た揚句、ちン。ほこに仕掛けたクラッカーが炸裂し等たる所以なのだろう。あれはたしかに大傑作だれ、そんなに面白いのなら俺も行けばよかったあ て白いテープがパッ , と放出されるという象徴った。 などと今頃になって後悔している。 的なもので、このきまり様がまた実に見事で、発まあそれはそれとして、コスチ = ーム・ショー ちょうどその頃、私はアメリカ東部をうろうろ 想といい起承転結のハマリかたといい 、あれにはは花ざかり。演しものは、大掛りなショウアップしていて、ニ、ーヨークで面白い人と会ってい 昌宏