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1. SFマガジン 1983年10月号

った。アメリカ S F 作家協会の創立にも、 彼の力が大いにあすかっており、初代の会 長に選ばれた。 F& S F の 1976 年 11 月号は デーモン・ナイト特集を組み、シオドア ・スタージョンによるナイト論を載せてい 〔 MJ E 〕 救おうとする日本政府の計画に参加する。 までの 1 年間で、できるたけ多くの住民を 手の打ちょうがなくならないうちに、それ りあい、つぎに、地震発生や列島の沈下で しているかどうかを判定する調査にかかわ ると思われる ) まず日本列島が本当に沈下 では、彼らの性格描写がかなり損われてい の登場人物は ( 短縮された不手際な英訳版 ったため、沈下をはじめたのである。多数 えていたマントル塊の対流相が急激に変わ いた日本列島が、太平洋側でこの圧力を支 て押しつけられ、逆断層の形でのりあげて 見される。太平洋側のマントル塊にむかっ むかって容赦なく横滑りしていることが発 応用で一一一とつぜん日本列島が日本海溝に ・テクトニクス理論のきわめて説得力ある ンをいくつか加えてある。物語はフ。レート 分のオリジナルを 81 分に削り、新しいシー ン製作による欧米版 7 ' al Ⅳ 2 は、 140 ごく一部で上映された。ロジャ では T ん S ″ろ〃昭 24 として、 の題名で映画化された。この映画は、欧米 万部が売れ、おなじく『日本沈没』 ( 1973 ) 分の 1 に短縮したもの ) は、日本で約 4 百 ( 1973 ; 英訳第 4 れ & れ , 1976 は、約 3 気が高い。デイザスター小説『日本沈没』 日本の作家、評論家。 SF 作品で最も人 KOMATSU, SAKYO ( 1931 ー 小松左京 1982 日本で編集 ) 。 『ディオ』 ( 集 その他の既訳作品 T んの・切〃統 1981 ) となった。 * のちに長篇化されて T んⅡあだなの 23 小説は、二人の主要人物がシベリアに脱出 し、「早い冬にむかって冷えこむその闇の 中を」列車で西へ向かうところで終わる。 続篇が予定されている。『日本沈没』は、 徹底的に考えぬかれた地質学的仮説もさる ことながら、地理的、文化的なひ弱さを持 つ日本そのものへの痛切なエレジーとして 感動的である。この物語には善玉も悪玉も なく、われわれの関心の焦点は、死にゆく 日本にそそがれる。 コーンプルース、 C ・ M 〔 J C 〕 KORNBLUTH, C(YRIL) M. ( 1923 ー 58 ) アメリカの作家。 1930 年代に S F ファン となり、 ーヨークのファン・グルー フ。、フューチャリアンに所属した。 1940 ー 42 年には、フューチャリアンの仲間のドナ ルド・ A ・ウォルハイムとフレデリック・ ポールが編集するいくっかの雑誌に多くの 作品を書いた。彼は数多くのペンネームを 使い、しばしば共作をしたが、中でもポー ルとの共作が多かった。彼が 2 回以上使っ たペンネーム ( そして、のちに本人が認め たもの ) には、つぎのようなものがある一 ーーセシル・コーウイン、 S ・ D ・ゴッツマ ン ( しばしばポールと、そして 2 度にわた ってポールおよびロバート・ラウンズとの 共作 ) 、ウォルター・ C ・ディヴィス、ポ ール・デニス・ラヴォンド ( ポール、また はポールおよびラウンズとの共作に使った ハウス・ネーム ) 、スコット・マリナー ( ポ ールとの共作 ) 、ケネス・フォルコナー ( 初 期の最高作の一つ "The Words of Guru ” は、 1941 年にこのペンネームで発表されて いる ) フューチャリアンの多くのメンバー とおなじく、彼の作家歴も第 2 次大戦で中 断された。彼は歩兵として戦闘に参加、勲 章を受けた。復員後は通信社につとめなが ら、 1947 年から、こんどは本名で小説を書 XI

2. SFマガジン 1983年10月号

わはははは。まあ、面白い、といってもよ わり思い入れ、そんなところにあった気がすがあるのかもしれない。 い。ただし、私以外の人が読んでも、私の感 0 る。どの長篇もとにかくひたすら暗くてそこ 小型飛行機の研究に一生を捧げた男の話 じるようにおもしろいかどうかは受けあえな カよし ウインターシュタインの物語」、 「週刊宝石」の書評欄で、鏡さんが書評 それがナチス日戦争体験に根ざすものであコン。ヒュータに人間を遙かに越える知性を。フ るなら、 ( なんとなくそうにちがいないときログラムした結果は ? 「最終価値零」、家族したそうだから、読んでみたいね。 いやしかしおかしかった。何がおかしいと めてかかっているのだけれど ) 歳月のもたら生活に耐えきれなくなって人類初の異星大使 いって、アメリカ人というやつはほんとにお す風化の中で、作者がそのこだわりをどう処として赴任していった男の話「地獄を脱出し 理していったのか、あるいは作品をどういうて」、生命尊重を刻み込まれた宇宙船のコンかしい。なんでこう即物的なんだろう。やる ビューターとべットの鳥のひなの問題で対立ことなすこと実にアメリカ的なのだ。そうと 形につくりかえていったのか、そのあたりが レ 知りたい。 してしまう「コース変更」といったところがしか云いようがない。 しかしやたらおかしがっていてもしかたが ・ほくの好みのベスト アイデアは平凡なまま、こだわりはどっか 三分の一ちょっとが愚作である。フランケないので、少々まじめに書評する。まず、こ ・ 5. にや 0 てしま「て、ペシミステ「 ' クなムー ドをテクニックとしてだけ身につけて、同工らしさというのは随所にあるけど、読んでての本を、「ベストセラーを書こう」と思って 異曲の作品を書いている、というケースが考耐えられないところもかなりある。『思考の買う、小説家志望の諸君に警告する。この本 の忠告にしたがって小説を書いても、日本で えうる最悪のケースで、近作が紹介されない網』 ( 現代全集 ) を読んでみて、気にい のもひょっとしたらそんな愚作ばかりだからった人にだけ、参考文献としてお勧めした作家として成功することはできない。これは ではないのだろうか、なんて考えてしまった 断言する。私自身、アメリカと日本でこんな しハにも出版事情が異次元断層を生じているとは りね。 ところで、この人、英語読みだと、 ート・フランクになるんだね。まあ、どうで知らなんだ。しかし考えてもごらん。このク 三修社というところから唐突に出た『紀元 ーンツ君が「お手本」にしているのは、アー 3000 年のパラダイス』は・ほくのそんな気もいいことだけど。 ( 『紀元 3000 年の。、 ラダイス』 / 著者ⅱヘルベルト・・フランサー・ヘイリー「ホテル」、アイラ・レヴィ がかりを不満足ながら埋めてくれた。 不満な理由は短篇集だというところ。どうケ / 訳者ⅱ金森誠也 / 二四〇頁 / ¥一〇〇〇ン「ローズマリーの赤ちゃん」、マリオ・プ ーヅオ「ゴッドファーザー」なそである。彼 してもアイデアに比重がかかってしまうぶ / 四六判変型 / 一二修社 ) は徹頭徹尾、「百万部をこえなきや書いても ん、フランケの思い入れみたいなものが薄ま しようがない」という視点で、これは正しい っていて受けとめきれない。 ここに収められ ディ 1 ン・・クーンツ著 といってもよいが、しかし、日本でミリオン た作品の半数近くがなんらかの形で笑いをさ ・セラーになった本を考えてみよう。「窓ぎ そう工夫がされていることにも、なんともい わのトットちゃん」に「限りなく透明にちか えない居心地の悪さを感じてしまう。長篇の い・フルー」に「積木くずし」、「何となくク イメージがだぶついて、どうもすなおに笑え 『ベストセラー小説の書き方』 ですせ。日本じ リスタル」「蒼い時」 や、「完全な」小説よりも、あやしけな身の テーマはパラエティに富んでいる。バラ・ハ ラと言ってもいいくらいだ。軽いあてこすり 中島梓上話がうけるのさ。国情の違いを無視しては いけませぬ。その意味では、むしろ、この本 からカをこめた作品まであって、全体から受 ける印象には漠然としたものだけどレムに似 の逆手をとれば日本で売れる、可能性もあ る。つまり、アクションなし、ダラダラした たところがある。ひょっとするとレムの影響わはははは。この本は、すごくおかしい。

3. SFマガジン 1983年10月号

、 Sc 励」こ S 最終回 ◎ 〇 ◆ 0 S FÄ ◆ ◆ Sound Re 、【回 1 KORG 最近僕は自分で、難波弘之というミュージ シャンは日本にあ 0 て稀にみる孤高の存在な仡 我だ のではないかと思えるようになってきた。 自の というのは、実は以前の僕はやたらを信■■・ のな がなくて ( そうは見えなかったと言う人も沢 て役山いるだろうけれど ) 、どちらかというと人 し主に気をつかいすぎる対人 = ンプレ , クスがあ っこ 0 とか それというのも、どうも私小説めくが、小 ト俺 学校のとき受けた教育や友人関係を含めた環 境のせいだとしか思えないのだ。 スは 山本夏彦がいみじくも、日本の文化は恥の イ月 文化などではなく、実は小市民のねたみとや テ今 きもちが力を持っ文化なのだとどこかに書い ていたが、まさにそのことだ。 両親共音楽家という恵まれた環境に育った 覚僕は、当然小学校 = 一年にして。ヒアノが弾け た。音楽の先生にかわいがられ、上級生しか 出られない発表会などに低学年のときから引 つばりだされた。それで得意にならない子供 かいるだろうか ? 特別扱いをされたので、掃除当番などもや らずに即六時間目の授業が終わると練習と うようなぐあいだった。 ◆ これが、まずかった。女の子この子に も、よくいじめられた。当男のくせに ◆◆なよなよ。ヒアノを弾くな、」、とい 0 たよう ◆な風潮が子供社会にをだ根強く残 0 ていた 翻ら ( 今やキー、・ドなんて男の子にと 0 て なってしまったけど ) 、 むろそのころのほうがミュージシャンと しての自信と自覚があったような気がする。 難波弘之

4. SFマガジン 1983年10月号

今月から、この「珍盤アワー」 には、たくさんのレコードが発売されま で、レコードをめぐる諸々のお話しをさした。僕はよせばいいのにほとんどのレ せていただく事になりました。どうそよ コードを収集してしまったので、今では ズ . 純 ろしくお願いいたします。 レコトの棚四十数枚分をスター・ウォ ウ ところで、スター ・ウォーズ第三作 ハカバカしロ ーズが占めているという、 「ジェダイの復讐」はいかがでした 2 さ。シンセサイザーや。ハイブオルガン演 タ 撮影技術はすごい進歩をしているのに、奏のもの、更にはファンが作ったオリジ ・、つ 何となく僕は不満だったのです。第一、 ナル・アルバムまであるのです。この中 これは第一作を拡大しただけのビジュアで一番気に入っているのは、スペース・ ル・インパクトしか持っていない。第ロポットというグルー。フ ( 日本、キング ーを真 ストーリーは的発展をせず、極レコードより発売 ) の「戦え ! ルーク」 ーウめてこじんまりと辻褄合わせの家族騒動というレコード。まるでア = メ主題歌調 0 的解決 ( あれでは銀河帝国対反乱軍とい 最近では、インストウルメンタルの映 なんです。 ったイメージではない ) をした事。第 画音楽に勝手に歌詞をつけて歌う人がい ワロタ 三、何となく日本のアニメ・パターンに 宇宙に飛び交うエネルギー・ビームるそうで、スター・ウォーズも歌われて 近づいてしまった事。というわけです。 いるそうだし、日本の映画でも、 平和を守る戦さが始まる X ウイングが花火あげる所なんか見たく 「海底軍艦」のメイン・タイトル曲に見 目の前せまるデス・スター 満あ なかった。 事に詞をつけてしまった人も知っていま ダースの魔の手が待ち受ける 舟でま す。でもレコードになっているのは、子 スターウォーズと言えば第一作公開時頼むそルーク我等のヒーロー あふ 越て 門真人のスター・ウォーズだけでしよう。 夢に溢れた惑星の とわ るつ 輝き永遠に守る為 CD 見歌 行けはるか遠く銀河系をこえて ライト・セイバー片手にかざし 飛べ王女レイア救うのさ必ず 神秘のカ理力を信じ 燃えあがる正義の炎暗い空をこがし 戦え ! ルーク感じるままに 宇宙の平和守るためダース・べーダ 戦え ! ルークダースを砕け を滅すそ これがロポット・アニメ主題歌のメロ さあ、みんなで歌ってみましよう。と クディーに乗って歌われると思っていただ ころでこの歌詞、訳詞・有川正沙子とあ ルければ、感じがわかってもらえるでしょ う。珍品ですよこれは。中古レコード屋るのですが、基の英語の歌詞ってあった つけ ? さんで見つけたら、・せひ買うべし。 0 ・子門真人

5. SFマガジン 1983年10月号

・ヘイリーのような小説は書きたくらないが、五、六十万部なら「・ほくらの時代」 素人っ・ほい文体、アンチ・ヒーローがグズグアーサー ズ、泣き言を云っているばかりの、プロット ない。それは私を満足させない。それは私にがある。グイン・サーガはトータルでは二百 もクライマックスもないメリハリのない「小は、「二流のプロ」の作品である。な・せなら万部ちかいはずだから、一応ベストセラーと いってもよろしかろう。しかし、こうやれば 説」をーーー云ってて自分で怖くなってきたそれはツクリモノである。小説とはしよせん ックリモノだ、というのは、すなわちアメリもっと売れる、と云われても、私は、「ホテ が、まんざら当ってないこともないのがもっ カ式即物的小説観である。私はやたら精神主ル」を書いて一千万部売ってもしようがな と怖い 、と思う。「ローズマリーの赤ちゃん」を というより、はあ、アメリカでは、こうい義の日本の純文学的小説観にもうんざりだ う小説が売れるのか、としみじみ感動してしが、だからといって、よくできたロポットみ書いて、売れるのはいいが、あれを代表作と いわれ、「オカルトとサスペンス」「人間心 まう。本人がベストセラー作家だというからたいなアメリカ式小説も、「真の小説」とは レ には、このびと、ベストセラー作家なのであ思わない。「ローズマリーの赤ちゃん」も、理の深層にひそむ恐怖」をみごとに描き出し た、と云われて果てるのは小生の本望ではな ろう。読んだことはないから、この本人のウ「ホテル」も、アリステア・マクリーンも、 い。別に、文学史上にサン然と輝きたい、と t..nu. 「イ〈タについては何ともいえない。しか〈ミングウ = イですらそう思う は思っとらぬ。もし「夜明け前」だの「人間 し、さっき云ったように、彼が「お手本」にあれは、ツクリモ / にすぎぬではないか。 クーンツ失格」だの書かにゃならんのならね。私は名 している小説の特徴を考えてみるとー・ーー実に物質的成功というものはでかい。 って前なそ、残らなくていい。ただ、「三国志」 もう、はっきりと、「よくできたツクリモのいうとおりだ。しかし、売れりやいい のように、「水滸伝」のように、私の小説が ほれ、 もんでもない、 ってのも本当だ ノ」なのだ ! 別に私は純文の信奉者じゃない。それは私「積木くずし」に「トットちゃん」よ。一読みつがれ、生きつづけることを望む。考え てみりや、途方もない夢を見たものだ の書く小説をみて頂ければわかることで、体、「ホテル」を読んで私に何が残ったか。 「ジャンル小説を書くな」「手あたりしだい何で、ホテルの経営法やエレベータの修理の家として見られる限り、最高の夢を。 さよう、このクーンツ氏の本は、それ自体 に小説をよみまくれ」「短篇より長篇を」仕方、ニューヨークの黒ミサのやり方に私が 「レッテルをはられることを避けよ」といっそんな詳しくならにやいかんのか ? 私はアとして文句はないし面白い。それでいいので ・ヘイリーにインタビューするんで彼す、それで。まちがってるところはない。売 た、クーンツの「理論」にはまったく、わが 身をかんがみて、同感である。むしろ日本での訳された小説・せんぶ、一昼夜で読みあげたり方も、狙い目も、テクニックも、正解だと 私が一番彼の云うことに共感する作家だと思が、何が書いてあったか、すべて忘れてしま う。日本ではアメリカよりはるかに、短篇でったよ。ただ、それ以後、エレベータにのる デビューするチャンスが多い。にもかかわらとき、おちやせんかと足でためしてみるよう になったが。こういう小説を、読んでいるあ ず私はしよっぱなから長篇でデ・ヒューした いだだけ面白ければよいと思うか、パッ し、ミステリー、、時代、というレッテ ルを一つ一つ、はられてははがし、はられてラウンドたとえばホテルの内幕がみごとに描・ ははがしていったのも、最初の売り文句が破されてることに感心して「ああ読んでよか ~ ~ った」と思うか、何千万部売れたから、ああ 「むやみと本をよむ」だったのも ( たぶん ) いう本を書きたいと作家として思うか、とい ご存じのとおり。その点では、彼はたしか に、正直かっ明敏に、「正道」を見ぬき、披われれば、私は断固「ノー」と云います。 売れない作家がヒガンでると思われちやシ 露していると思う。が、そのあとだ。 ヤクだ。一冊で百万部売った経験は無念なが たとえば私は、たとえ何千万部売れても、

6. SFマガジン 1983年10月号

ー特別企画・連載@ー THE ENCYCLOPEDIA OF SCIENCE FICTION SF 工ンサイクロべティア ピーター・ニコルズ編 浅倉久志・伊藤典夫監修 浅倉久志訳 Copyright ◎ Roxby Press Limited 1979 1 . 邦訳のある作品には邦題を添え、未訳作 品は原題 ( または英訳題名 ) のみ記した。 2 . 原題のうちイタリック体で表わされてい るのは単行本、引用符 (" " ) でかこんで あるものは短篇。ただし、単行本としては 未刊の長篇や、単行本に他の作品とともに 収められている長篇は、短篇とおなじ扱 3 . 邦題も 2 にならい、単行本は「』で、 短篇ならびにそれに準ずる作品は「」で 4 . シリーズ名は、未訳のものも含めて日本 語で表記し、《》でかこんだ。 5 . 作者名の中には、あえて慣例に従わず、 原音に近い表記をとったものがある。 ( 例 : ヴァン・ヴォート ) 6 . 本文中のゴチック書体は、本事典中に項 目の立てられている見出し語。またポール ド書体の年号は、初版発行年。 7 . 映画および TV ドラマについては、日本 で公開された作品には邦題を「』でかこ んで添え、原題をイタリック体で示した。 未公開作品は原題のみを示した。ポールド 書体の年号は、本国での製作年。 8 . コミックは《》でかこんだ。 9 . 略語および記号 A S F : アスタウンディング・サイエン ス・フィクション誌、および ( 後 年の ) アナログ誌 F& S F : ファンタジイ・アンド・サイ 工ンス・フィクション誌と TWS : スリリング・ワンダー・ストー リーズ誌 NW : ・ワールズ誌 : アンソロジー : 版による題名の異同 : 加筆 國 : 改訂版 : 短篇集、またはひとりの作家による 長篇のオムニバス版 : 複数の短篇を加筆改訂し、長篇のか たちに統合したもの 前 : 戦前にしか邦訳のない書名 : 抄訳 国 : 原作はおとな向きだが、わが国への 紹介にあたってジュヴナイルに翻案さ れたもの。いわゆる、、再話″。はじめ からジュヴナイルとして書かれた作品 は①指定されていない。 * : 訳註 : 参照 オ レ イズ トテル レ ンイタ ジ・フビ O Z M J : マクシム・ジャクボウスキー J B : ジョン・フ・ロズナン MJ E : マルカム・ J ・エドワーズ 2 7 ー

7. SFマガジン 1983年10月号

S. おレヒッウ ーとも思える愛着を示すのであり、それ七四年に、不定期的に出ていたハヤカワ がまことに心地よいビター・スイートな読後シリーズも三一八冊目のハリスン『殺意の惑 感を残す。こうしてみると、ところどころ西星』で中止となり、ハヤカワ文庫、創元推理、 欧的なパ ーソナルな視点は登場するけれど文庫の両双書は、変わらず点数を重ねていた も、全体的な印象はずいぶん東洋的だ。まさが、アップ・トウ・デイトな翻訳紹介が途切以 に日本にしか生まれ得ない作家ということがれてしまった、という感が強かった。六〇年一 できよう。 ( 『言葉使い師』 / 著者日神林長平代後半から七〇年代前半にかけての海外 ・ウェーヴ″ の空白が訪れたのだ。″ニュー / 文庫判 / 一一五六頁 / \ 三一一〇 / 早川書房 ) の波が押し寄せた以後の、ゼラズニイ、ディ レイニー、その他、名のみ知られる作家たち マイクル・ムアコック著 の作品はどんなものなのか ? 原書を読まな いかぎり、断片的に紹介されるのコラ ムでしか情報は伝わってこなかった。時代もて、この世の春なのだろうか ? 常識も良識 また、そうであったのかもしれない。六〇年も見識も、″クライ″という一言のもとに切 『暗黒の廻廊』 代の昻揚期を経た、なしくずしの七〇年代り離されていく″オモシロイイトモ″の幼稚 は、しらっとした空気が淀んだ、微熱の時代化の時代で。多様化という錦の御旗のもと に、今、なにが喪われようとしているのか。 だったのだから。 高橋良平 今こそが必要な″時″なのに、と呼 突破口は、日本のだった。 ばれる多くのもののなかには、ない。具 そして″海外ノヴェルズ″のスター 。同年に、かなりの雑音を含んで″サンリ体的にいって、前に挙げた出版物のなかで、 ″海外ノヴェルズ″第一期五〇冊の最終 いくつのものが残っているのか数えてみれ オ文庫″が刊行。専門誌一一誌が創刊 刊が、この『暗黒の廻廊』である。一九七八 というもので 年の二月、 ( インラインの『愛に時間を』とされ、そのうちの「宝石」は″アシモフば、わかる。別にあればいし この薄・ほんやりとした″春″ ズマガジン″の日本版、その勢いにのも無論ない。 ・エルドリッチの三つ ディックの『パーマー の聖痕』の二冊同時刊行から五年、年間約十り、 ( ャカワ文庫、創元推理文庫も活性化すは、翻訳にとって、喪失の、危機の時な 冊のペースで出版され、五〇冊を数えたわける。他の出版社も単行本、文庫で海外をのだ。海外の、ことにアメリカの実状も反影 だ。どういう形になるかはしらないが、第一一出す、久保書店、立風書房、遅れて集英社がしている。あるのは、ファンタジイと、 シリーズ刊行。ビジュアル・サイドは″スタの名を借りたエセ・ファンタジイと、そして 期には「 2010 年宇宙の旅 2 』や「ファウ ズである。が雲散 ・ウォーズ″が先鞭をつけ華やかに切り込量産されるシリー ンデーションの彼方へ』などが刊行されるこ とになるだろう。 む。世に云う・フーム到来。スペース・シ霧消してしまうのではないか、などと杞憂す この五年間、リストアップされた五〇冊のヤトルからマイコンと再びテクノロジー、サらしている。これが情況判断だ。 書名を眺めていると、それそれの本のことよイエンスが謳歌される時代は、不分明の二十そんなこんなのムアコックだ。十三以上の りも、それをとりまく環境の方に、しばし目一世紀と世紀末日滅亡の不安がないま・せにな訳書があるが、は『この人を見よ』に続 がいき、感慨にふけってしまう。この五年りながら見知らぬ明日へ突き進んでいこうとき二冊目で、他はヒロイック・ファンタジ 力なり前に「乱流」とい 間、なんと海外の翻訳出版状況が変わっしている。出版物の洪水、専門書評誌さイ。ムアコックは、、 てしまったことだろう。およそ十年前の一九え生まれている、今。はたしてにとつう時間テーマの傑作中篇がに初紹介さ 發ま 00 に マイクル。ムコフラ。 0

8. SFマガジン 1983年10月号

硺 / ☆リハーワールド : P ・ J ・ファーマア☆☆☆イラストレーション錦織正宜☆文森田繁 リバーワールドを行く マーワ・トウェイン号 ーワールド ーーー全長一千六百九 万キロに及ぶ、長大な河の流れる世界 第三巻の〈まえがき〉に記されている、 ファーマーの解説をそのまま引用して みよう。「その岸に沿って、旧石器時 代からエレクトロニクス時代の初期ま でに生存していた人類、つまり三百六 十億以上の人問が住んでいる」という、 途方もない惑星ーーーそれが、 ールドだ。この世界は、何者かによっ て、壮大な実験のためのシミュレイタ ーとして構築されている ( らしい ) 。 かって地球に生を享けた、ほとんどす べての人間が、この地に復活させられ ているのだ。だが、何者が、いったい 何のために ? 物語は、この謎を巡っ て展開する。 さてこのシリー ズ、日本では第三巻 までが翻訳されているのだが、全四巻 の予定だそうで、ストーリイの全貌は 完結を見るまでわからない。言い方を 変えれば、あと一巻は、この世界の謎 を楽しめる、ということである。 イラストは、これまで翻訳されてい る三巻の中から、一番新しい作品「飛 翔せよ、遙かなる空へ』に登場する電 気駆動の外輪船、マーク・トウェイン 号の姿。この峡谷が、 の典型的な風景と思っていただければ いいたろう

9. SFマガジン 1983年10月号

「ダ」ク・クリスタル」 T e しミ * 0 ・レミ ~ 6 ・ハーバート、「デューン」シリ ・フランク ・・ラフアティの新作 ( といっていし 〈ホラー映画部門〉 ーズ五作目完成 かどうかわからないが ) が来年にかけてな「ポルターガイスト」 P 。、、ミ・ g 4 この三部門は、いずれも日本で公開された 〈デューン〉シリーズで日本の読者にも人気んと数冊出版される。マイナー出版社から トが、このほどシ一連のシリーズとなっている短篇を集めた作品ばかり。「・」はこのほか、音楽、 のあるフランク・ハー H ミミ ~ ・ 2 。 f しミを完成し、出版社のプレイズからハンク・スタイン編のベスト物、賞。「ポルターガイスト」もこの他二部門で トナム社に引き渡した。今回の作品は、比較エースからはやはりえ g Ch ミと受賞している。結局部門数では「・」が いう短篇集が出版される。未発表長篇が日の トップである。その他の部門も見てみよう。 的短く、ベネ・ゲセリット、ゴーラとなった 〈海外部門〉 /. ダンカン・アイダホ、アトレイデ家をめぐっ目を見ないのはまことに残念である。 The え日まミ、・ ~ ・ 0 、・ ( 「マッドマックス ていよいよ話は大団円となっていくようであ ヴォンダ・マッキンタイアのスタートレッ る。もっともさらに続篇は書けるようになっ クものではない新作がようやく出版される。 〈低予算映画〉 ているとか。 またハー ートは、現在進行中のデューンタイトルは S ~ きミミといい、九月に の映画に関して、彼が見学した限りでは満足出版予定である。この作品は以前発表した中〈アニメーション映画〉 篇 "Aztecs ・・をもとにしたものだという。 T 、ミ S 、・ミ 0 トン「 ~ ・ミ h のいくものだったと語っている。 〈主演男優部門〉 / / / ・作家ニ = ース ハート・シェクリイがパリに移住した。 ウィリアム・シャトナー ( スタートレック チャールズ・プラットが、彼のファンジン放浪生活に終止符を打ったようである。 〈主演女優部門〉 である「パッチン・レビュ】」を七号で休刊 サンダール・・、 グラニア・ディヴィスが新作 Moo 、 ~ 、 1 グマン ( コナン ) / する。休刊の理由は多忙なためというが、非 〈監督部門〉 常にユニークで話題を提供してきたファンジをダブルディに売った。この作品はファンタ ジイだそうである。 ニコラス・メイヤー ( スタートレック 2 ) ンなだけに惜しまれる。 ・映画賞発表 0 デイトマー賞発表 作家でもあり、スターゾレイズという アメリカのサイエンス・フィクション、フ シリーズの編集長でもあるハンク・スタ オーストラリアの TJ ファンタジイ賞で インが、スター・フレイズの発行元のダニングアンタジイ & ホラー映画アカデミーが毎年最あるデイトマー賞が今年も発表された。主な / / 社から解雇通告を受けた。スター・フレイズは優秀映画に与える賞 ( サターン賞と言うそう受賞作は次の通り。 最近ソムトウ・スチャリトクルやラフアティである ) の第十回受賞作が発表された。主な〈海外 / ファンタジイ〉 え ~ dd Walker ラッセル・ホー・ハン らの作品を出版し、比較的ュニークで良質のところは次の通りである。 <rn 映画部門〉 活動をしていたが、その矢先の出来事であっ 〈オーストラリア / ファンタジイ〉 "The Man 「 h 。 WaIks Away Behind 1 トウエルに続き、またも男性で「 g.ä・」 . T. 7 、ミ Ex 、、・や T ミ、・、、・ ~ ファンの出版者がクビになった。 〈ファンタジイ映画部門〉 the Eyes" テリー ・ダウリング ( 島田武 ) 2 ) 2 」 )

10. SFマガジン 1983年10月号

方″だと言っているのである。ならばそれはするとすれば、その点においてではなかろう 彼が生まれついて持っているもので、理科系か。 教育はそれに気づくきっかけとはなり得て また、神林作品の求心力が、人間を中心と も、それ以上のものではない筈だ。 するものであることも、ディックと異なる点 だいたい「理科系」「文科系」などという だろう。六篇中、妻や恋人を″求める″主人 言葉が古い。明治時代の遺物であろう。われ公が登場する話が五篇ある。表題作を除けば われはフィクションという人類的、宇宙的なすべてそうなのである。考えてみれば、「人」 謎に挑んでいるのである。人智を結集してか はあらゆる不思議をオーガナイズしたもので かるべきこの壮挙に、「理科系」「文科系」あり、虚構を内包している。神林作品におい 伊沢昭 レ などというグロテスクなレッテル貼りは百害ては、ディック的設定がすべて「人の人を求 あって一利もないと僕は思う。そのことは神める心」に置きかえられるのだ。ディックが ・ 5 今をときめく神林長平の第二短篇集であ林長平自身が一番よく心得ているだろう。ど常に " 部屋の出口。を探していたのに対し、 る。もうかなりいろんな人が著者についてはちらの側からたどりついても、する者に神林は″部屋の中にいる筈の恋人″を探して 語っており、非常にやりにくい状況にはなっ とって最も邪魔なのは、この・ヘルリンの壁の いる。『あなたの魂に安らぎあれ』を見れ ているのである。つまるところ神林長平よ、 ーノような、いわれなき政治的な境界なのであば、彼にとって「人」が何を意味するのかわ かるだろう。まさにあの登場人物たちは虚構 〇年代日本ムー・フメントの″顔″なわける。 で、神林長平をどう位置づけるかによって、 さてこの短篇集、神林長平の最近の成果六を内包していた。 自分が今のの胴体のどこらへんにくつつ篇が収録されている。いずれも傑作なのはま神林長平が、登場人物に対して思いやりが いているかを知ることができるのであろう。 ちがいないが、こうして短篇をまとめて読んないという意見もあるが、僕は逆の見方をし たい。彼くらい「人」に対して思い入れのあ 神林長平の特徴を語るにあたって、過去のではっきりするのは、極細部まで組み立てら 評者諸氏の分析をかなり大胆に無視するなられ塗られた長篇と違い、かなり″見える″よる作家も珍しいのだ。ただ、そのひとつひと ば、彼が理科系の出身であるなどということうに作ってあるということだ。″わかる″のつの相に対しては情容赦がない。様々な相 は別段どうでもいいことのように思えてならではない。神林が「小説を書くのはハードをを移ってゆく「人」に対して、神林は多少オ ないのである。確かに本邦には理科系の正統創ることなんだ」と言うように、論理がその 教育を受けてきた作家が少ないのは事実まま形をとっているのである。同じ日本語で で、第一世代の作家たちは常にそれを負い目ありながら、一篇ごとにあつらえた言葉で語 に感じてきた。石原博士はじめ数少ない正統っているようなのである。これはすごいこと 理科系 n;-k 作家が、そんな日本界のよきだ。神林作品は、通常その現実崩壊感覚でと オ・フザー ーとして多大な努力をされたことらえられることが多いようだが、これは″崩「、 も事実で、それには敬意を払って払い切れる壊″ではなくて″生成″なのだ。古い皮の下 L ものではない。しかしながら、今、独自の小 で、新たな組織が形成され、やがてそれが古 い組織にとってかわる いわば新陳代謝 説世界を創りあげようと登場した神林長平に 「よっ、理科系 ! 」などと無責任に声をかけだ。だからカ点が置かれるのは、失われる言 ることは、かえって彼の魅力をスポイルする葉世界よりも、生まれてくる言葉世界の筈で ことになりかねない。彼はは″物の見ある。積み木くずし的なディックと一線を画 神林長平著 『言葉使い師』 掲 7