ロしソ , てよよのる トっえさて数の男どま れた中夫 モれっししド し介れも型「 ン イ 一ささ識待ンらつの典 かこ紹ぎ篇離作にて ( アもデ版ぶ認期ョかかそ藤 のにま長距表う見 ) ・ ナ・ ・まよ はらの出お再をビ た率本に。短代よに まらで つ日まうだのる 彼ち初が少を果誌ー もなイ ン , ざろん期あ斜 , こ ~ 邦 , 多事結妹 うてデ 後 本社に仕 はだ富初で も のりてう心判の まオ人のとに , う そなれと青評彼 のもの波こ神はそン あイ。楽る 。にわう ( の シたてあ るう奪と』ムえ 、一ア訳そのう精味が っクれくるが くよを年オルいり ラさしす評 てる目昨イへは まナく , とん月工 ャ表楽懐批 ュな誌あた誌かの派れ介じすにくデルと いる刺ば 5 、ß=a イる 高ギ発て述明 ぜ明ン , あ諷ち年チ的がイでし同た風 " べ紹生躍ちカ , 比もが活たに集ウあが な説モのでろいシ質彼シりうがっ乍 」号てそる がう一家しの誌な本。クとそスだイ家にて利て家と篇・が 篇合デ作むそ本刻のるラひ , ンり。作家し不し作 , 短トろ動 2 月いが光 深風あヤのもセたう作うにといしトイこるル 7 書身と 短の者外たが ど序トしかイケとすべ年 , 自リ のま作海つるで」に作にギ形の的つろ ・、ど者ラ こっ , るまあ家女な , み代花た会びだ重な , 順ス新しナ人ると 「四ほ作キ 夫いうう じばれし点作とんう軽年のつ都にら " 手ばのジか 1 が、三脚の上のなにかにかがみ込んでいる姿があった。両手がめ くり返しくり返しうなずいて見せた。 ハッセルプラツ まぐるしく動き、たちまち部品を組みたてた。それから、人物はう キャノーが最初に思いついたのは、写真機を守ることだっ た。かれは三脚ごとそっくりぜんぶ抱きかかえて、カ = 歩きで安楽しろにさがり、三脚にとりつけられた長四角の箱を、満足そうにじ 椅子後方の安全地帯まで運び、それから部屋をよこぎって煖炉に近っと見つめた。箱の前面には、クロム・メッキの円筒がっきだして 、こ。、ツセルフラツ・ト・こ 0 づくとラックから火かき棒をとった。そして、しつかりと武器をに キャ・ハノーは火かき棒をしたに下げた。そして、ぽかんと口をあ ぎり、妖怪に近づいていった。 フーリガンも薄笑いをうかべ、うなずきながら近づいてきた。あけていまや空白となったディスクを凝視し、それから紫のフーリガ ンの顔と、その上に生えた銀色のなにかをしげしげと見つめた。そ とほんの二歩まで近づいて立ちどまり、不器用なおじぎをしてか ら、革帯で肩からつるした白いディスクを差しあげた。てつべんをれは毛でも羽毛でもなく、しかもそのどちらにも似ていた : 片手でつかみ、キャ・ハノーに平らな面を突きつけた。 「いまのは、どういう仕かけなんだい ? 」かれは尋ねた。 ディスクには絵が浮かんでいた。 「すずうすざあ」フーリガンが鋭く言った。そして、キャ・ ( ノーに そこには総天然色立体映像で、身の丈わずか十インチのキャパノ向かってディスクをゆらゆら揺らし、自分の頭を指さし、ディスク 解説人と作品 6 っ 1
これは語末の子音からして、たぶん正確ではない。キャノーは クウェア ( 実際には四角ではなく三角形 ) 西のはすれ、砲弾色の将 首をふり、黒くぬりつぶした円を指さした。 軍像からほんの数ャードのところで、丁重にキャ・フのドアをあけ 「ぶこうど」と運ちゃん。 キャ・ハノーは指さきを白い円へ動かした。 キャ。ハノーは身ぶりで待つように伝え、幸せそうな微笑とこっく 「まあへ」 り一つを確認してから、歩道を走りだした。 「おうえへ、まあへ 「正解 ! 」とキャノー 」かれは第三の ジャニジアンの店のまえを、いったん気づかずに走りすぎたが、 絵を指さした。 これには立派な理由があった。だだっ広い仕事場兼売場には、どこ これは難問だった。運ちゃんには見当もっかなかった。「ぶなきを見ても靴とかサンダルは一つもなかった。 ゃう ? 」かれはあてずっぽうを言った。 ドアが半びらきになっていた。キャ・ハノーは店内に入り、からっ 音節が足りない。キャ。ハノーは首をふり、四番めの絵にうつつぼの棚と裏手の部屋につづくドアを、疑いの眼でじっと見つめた こ 0 この世のものとも思われないくらい大きく、重い南京錠とかけ金 「ぶぶじえちゅ」 で、そのドアはがっちりとふさがれていた。これはおかしい、とい キャ・ ( ノーはうなずき、かれらはまた最初から同じことをくり返うのは、⑧ジャニジアンは昔から錠前というものを一度も信用した した。 ことがなく、事実あのドアはまえにはかんぬきなど付いていなかっ 「おうえヘーーまあヘーーぶぶじえちゅ」理解の光が運ちゃんの顔たのだし、⑤ジャニジアンは絶対に外出しないーーー数年前、・ に広がった。「じかあぐる ! じかあぐる ! ぶぶじえちゅ ! 」 ・ホワイトの戯評で、いったん足をあげると、歩道の敷石がその足 「そうだ、そのとおり」キャ。ハノーが言った。「シェリダン・スクを迎えにあがってくると知って以来、完全にびびっているからだ。 ウェア。じかあぐる・ぶぶじえちゅ」 ( 訳注、絵は上から女の目、信号 キャパノーはドアににじり寄り、扉と側柱のあいだの細いすきま の赤、銅像、四角 Sheridan square*she red squave) に指の爪をさし入れ、そっと引いた 運転手はキャ・フへ歩きかけたが、すぐになにか思い出した様子で頭をちょん切った二本の木ネジで、側柱にとめてあっただけのか け金が、すうっと動いた。ドアがゆらりとひらいた。 立ちどまり、思わせぶりに手をさしだした。 なかにジャニジアンの姿があった。 キャ。ハノーは財布から札を抜き、相手の顔のまえにつきつけた。 小さな木箱の上に、あぐらをかいて坐りこんだ靴屋は、やや異常 運ちゃんは首をふった。「ぬぐうぶ、じようく」かれは悲しげにつ な目つきだった。ひざの上に錆ついた散弾銃を横抱きにし、目のま ぶやき、また塀のほうへ戻りかけた。 二十分後、キャパノーから三十カラットのダイヤを一つまきあげえの床には、刃わたり十インチの肉切り包丁が二本つきたててあっ 9 ると、運ちゃんは正直そうな顔に笑みをうかべて、シェリダン・スた。 こ 0 スクウェア
この船は、一人の人間と積荷を くんだ。理想や熱意しゃない。 「おりて」いること、現世をあきらめ、それを傍観者の目でみてい のせ、 ( デス港へゆくことしかできん。これは、わしがあんたのい 9 ることのあかしでもあったろう。 2 マックスは、若さゆえに、まだそのくりかえしのはかなさに気づうことに賛成する、反対するの段じゃないのだ。積荷はすてるわけ あんたは計器をごまかした いておらぬ。染まってもおらぬ。理想によって世の中はかわりうるにいかん、コースはかえられない ものーー・・世の中をよくすれば、人間もまた幸福になれるものといちが、船はごまかせん。あんたも、わしもこの船とともに ( デスへた ずにひたむきに信じている。彼の目の中にもえている火は、かってどりつけずに死ぬ、ということにならんためにや、たったひとっー なるべく早く、船の外へ出 ャン・ラーセンの目にも灯っていたのと同じ炎だ。その炎にまかせーあんたか、このわしが、いますぐ て、かれは、こんな世界の涯へ、みこみもない無鉄砲な救出計画るだけだ。それも、早くせにや、間にあわんだろう。いますぐそう に、しかも単身のりこんできた。ここへたどりつき、もぐりこむまでしても、少し、あとで速度を加減して燃料をかせがにゃなるまい が」 だけでも、たいへんな苦労をかさねたことは、充分に察しられる。 それでも マックスは、しばらく、黙っていた。 老ャンは、マックスを見つめた。 あまり長いこと、ロをひらかないので、ヤンは心配になるほどだ ( よい若者だ ) ー 2 やらたち : ・ そう思った。かってのかれ自身、《彼》、ナン・ハ ようやく口をひらいたとき、マックスの声は、哀しいくらい、子 ・ : すべての時代の、すべて理想を胸に、炎を目に、そして夢を追い もとめていたかれら。 供つぼく、たよりなかった。 手のうちょうはないのか、爺さん ? 」 誰が知ろう。その若さが、やがては汚濁の波にのまれ、現世の垢「何とかならないのかい にまみれ、一身の欲やささやかだが重大なのぞみ、妥協と惰性、そ「ないな」 してやがて、老いと失意とにあとかたもなく変容してゆくのが、世老ャンはきつばり云った。妙なところで、かってのラーセン艦長 の習いとしたところで、それでも若者が若者らしくありえなかったのきびしさがよみがえったようた。 0 / . し . し 、つ、誰が人間に夢をもち、希望をかけることがで「絶対に ? 」 こんなことは、云い きるというのか。 「絶対に。これはあんたの招いたことだよ たかあないが。あんたは辺境航路の実体がどんなものだか、少しも それでもなお 知らんで来たわけだが、だからといって、これはあんたの招いたこ 「あんたのいうことはわかる」 とだというには、少しのちがいもない」 のろのろと、老ャンは云った。 「うるせえッ わかってらツ、そんなことは ! 」 「だがわしも云うだけのことは云わにゃならん。船は、燃料でうご っこ 0
ボ・フ・デ はあちこちの棚で見つけた。 重いガラス戸が、ぼくの背後で閉じる。 八月も半ばの、とあるタ暮れ。・ほくは、 イランの「ライク・ア・ローリングストー 店の中は、しーんと静まりかえってい ひとり繁華街を歩いていた。アルバイトの ン」、チェイスの「黒い炎」、ドノ・ハンの た。今までいた通りの喧駁が嘘のようだ。 帰りで、手足が重ったるい。 「フラザー・サン・シスター・ムーン」 改めて中を見回すと、そこは小じんまり 街には、「夏」が溢れかえっていた。 ぎやかな女のこたちの嬉声。幾重にも重としたレコード店だった。初めて入る店ジャケットはどれも色あせ、こすれて角が だ。客は、・ほくのほかには二人しかいな白くなっている。あの頃からどれほどの年 なった靴音。アーケードのス。ヒーカーから 月が過ぎたのかを、ばくは痛感した。 は、明るい夏の音楽。そして、それらをか ところが、買って帰る気にさせるレコー 何だか、閑散としている。壁にポスター き消してしまう、絶え間ない車やミニ・ハイ ドにはぶつからなかった。店の中で中古レ もはっていないし、新譜広告の。ハネルもひ クの排気音。 コードを物色しているうちに、・ほくは何た とつもない。普通のレコード屋のような むせかえるような熱気の中を、あてもな かかったるくなってきた。 新曲をがなりたてるスビーカーすら、この 2 、・ほくは歩一いた。 考えてみれば、この店にあるレコードは と、ひっきりなしに流れていた車が、信店にはなかった。 ふと見上げたぼくの目が、店の隅っこにすべて、誰かが一度買って、やがて飽きて 号に妨げられて停まった。通りの向こうか 、ものな 控え目にはられた色画用紙のはり紙をとら手離したものなのだ。本当にしし ら、人の波が押し寄せ始める。 ら、いつまでも持っていたいと思うものじ えた。 不意に、何かひんやりとしたものが頬に ゃないだろうか : 当たってはじけた。見上げると、いっしか ちょっとうんざりして、店を出ようとし レコード買います 空のこちら半分を黒っぽい雲が覆ってい た。ところが、出口のすぐ横の壁にディス 一枚でもどうそ る。来るそ、と思った途端に、ザアッと来 。フレイされた一枚のレコードのジャケット たーーータ立だ。 を見た時、ぼくは思わず立ち止まってしま ぼくは納得した。この店は、中古レコー 横断歩道から、群衆がアーケードの下に ドだけを扱う店なのだ。何か買って行こう 駆け込んで来る。見る見るうちに、ぼくの 四角い青空のジャケット。目を近づけて 、、、・まくは店の中を見てまわった。木 周囲は髪や肩を濡らした勤め帰りの人々でと思し。 つ。よ、こよっこ 0 の棚にきちんと収まったレコードのジャケ見ると、写真のようでもあり、イラストの しし . ぐ / 学ノ ようでもあった。ジャケットの表いつばい ットを、一枚一枚めくっていくと、何だか 歩道は今まで以上に熱気を帯び、不快指 に、青空が広がっている。下の方に、かす 数は一気にはね上がった。耐えきれず、ぼ懐しい匂いがした。 かに雲海が見えている。そして、ジャケッ 昔よくラジオで聴いた曲の題名を、・ほく くは手近な店に飛び込んでしまった。
かっては、ヤンもまたこのような目をして世を憂え、人を憂えては、マックスは若く、理想にもえていすぎた。 いたことがあったのだ。現政権は腐敗しきっているーーー外惑星のゆ「それじゃ、孫娘のために祈ることだね。いまのご時世じゃ、 こもわかりやしないんだから。それどころか、 たかな無尽蔵の資源に目もくれず、三惑星植民地をしぼりとる上に誰がどうなるか、誰冫 もしぼりとり、搾取の上にも搾取することしか考えていない。私腹あすの食物が手に入るかどうかだって、神そ知る、なのさ」 をこやし、わいろをとり、敢然として条件のわるい植民地へと移住 ( テレサ ) していった勇気ある人びとを植民地人とさげすみ、差別し、まとも老ャンは、じっさいの苦痛に近いものを味わって、心中にうめき な職も与えない。地球はそれらの犠牲の上にぬくぬくとあぐらをか声をあげた。 き、肥えふとっている 「《彼》はもうダメだ」 マックスはそんなャンにかまわず、断言した。彼は、自分の思い いったい何が真実で何がいつわりなのか、何を信じ何を理想にか かげればよいのかーーー友はかれを、自ら独裁者となったのちにうと にまた浸りこんでいた。 んじてしりそけ、唯一まだのこっていると信じていた理想は十年に 「《彼》が政権をとってまだ十五年だが、《彼》には、統治者とし してついえた。人民の英雄であり革命戦士であったかれはいまやこての資質は、皆無に近いんだ。たしかに、すぐれた軍人だったかも の宇宙のかたすみに老残の身をひっそりとかくしている。 u しれないが、いまの世の中は、軍事力だけでどうにかなるような世 ( テレサ。テレサ。テレサ ) の中じゃない。い ま必要とされているのは、経済学と歴史的視野な しまこ この子の大きくなるころには、世の中は真実よくなるだろう。そのだ ・セイ博士の思想なんだよ。 これが、レオナー う信じて、かれは赤ん坊だった娘のノラをのこし、戦いに出ていっそ、おおいなる視野の転換が必要なのだ。力による支配から、学問 た。その娘が、長じて娘を生み、その孫娘が結婚しようとしてい によるコントロールへ。われわれ、太陽系学生連合委員会は、セイ 「大統領時代の方がまだマシだ」と、この若者はい 博士だけが、 博士に、太陽系の根本的な立て直しをしてほしい うのだ。 それができると信じている。セイ博士の理論は画期的であり、それ どうしたんだ。あんた、泣いたりして ! 」 「爺いさん ! にもまして、セイ博士は新時代の指導者たりうる人だ。あんたは、 おどろきあきれた調子でマックスが叫んだ。 この辺境にとしこめられて、ニ、ースもみなかったろうが、を セイ博士の名とー ャンはあわてて片方だけの眠からよだれのようにしたたりおち見ることのできる人間なら、誰でもレオナード・ る、しまりのない涙をぬぐった。 ーそして彼が三年まえの大学疑獄でハデスおくりになったことは知 「わしはな、わしはなーーー地球に孫娘がおってな、それで、それでってるよ。おれはセイ博士を救出するーー・ーこのままでは、太陽系は ほろびてしまう。地球対三惑星連合の宇宙戦争が、日一日と近づい しかし、老人の、あまりにも苦くやるせない思いを理解するにていることがおれたちにはわかる。地球の人冂爆発ーーーインフレー 238
てのそきこんだ。 いっしか、体の下に絨毯の感触が戻っ 聴いてみて、何も感じなかったら、とぼく 「いっ帰ったのよ」 は思ったのだ。よくあることたけど、例え 「いつって、もうずいぶん前だよ。ここで 。ヒアノの音がやみ、旋律は消え入るよう ば新譜のレコードを買って来て最初に聴い に終わった。風の音も小さく弱くなり、ふずーっと、レコード聴いてたんだぜ」 てみた時は、新しく手に人れたっていう興 っと途切れた。カチャツ、と小さな音をた 姉貴は、不思議そうにぼくを見て、首を奮のせいで、やたらよく感じる。ところ 傾げた。 てて、針がレコードを離れた。 が、しばらくして改めてかけてみると、こ 目を開いた時、あれ ? と思った。レー 「ずーっと ? 一度帰って来てから、またれが全然面白くない。 がいつの間にか出かけなかった ? 」 ベルの色が違う。レコード 今までに、そんなことが何度もあった。 裏返っていたのだ。ばくは首を傾げた。裏「いいや。別に用もないもんね。レコード それに、今度の場合は特別に興奮していた 返した億えはない。それに、音は途中で切の音してたでしょーが」 し、レコードに期待するものも、いつもと すると、姉貴は首を横に振った。 れなかった。 ちょっと違っている。 「さっき来た時、いなかったしゃない。 魔法のレコード ? じゃ、さっきは 再びレコードをかけて、あの不思議な心 本当に空を飛んでたのかな ? コードの音なんて、してなかったし : : : 」地よさや奇妙な浮遊感を味わうことができ 「変なこと言うなよ おれここにいナ 「まさか、ね」 なかったらーーー・恐らく、・ほくはどっとがっ ・ほくは、声に出して、ふふふ、と笑っ かりしてしまって、二度と聴く気にならな た。あんまり気に入ったものだから、きっ 「うそたーっ」 いだろう。そればかりか、最初に聴いた時の と無意識のうちに裏返していたのだ。そう ・ほくは、レコード・キャビネットの方に鮮明な印象も曇ってしまうかも知れない。 目をやった。 に違いない。魔法のレコードなんて、おと ずっと目を閉じていたのは、そのせいで いとこだ。 ぎ話の読み過ぎもい まさか、ね : : : 。姉貴、何かカン違いしもあった。あれが本当にただの錯覚たった ひとりでくすくす笑いながら、・ほくはレているのだ。きっとそうだ。・ほくは、心の のだと認めてしまうのを、・ほくは心のどこ コードをしまった。と、その時、誰かが・ほ中とは裏腹に、何喰わぬ顏でケラケラ笑っ かで拒んでいた。そのくせ、確かめるだけ くの部屋のドアをノックした。 の勇気も今のぼくにはないのだった。 あきら 「朗、いるの ? 」 空を飛ぶこと・ーーそれは、すっと小さか 姉貴だ。 った頃から、・ほくが心の中に抱き続けてき それからしばらくの間、・ほくはあのレコ 「いいよ、人って」 た願望のひとつだった。そしてそれは、す トを聴かなかった。 ・ほくが返をすると、姉貴はドアをあけ 別に忙しかったわけではない。もう一度っと昔のささやかな出来事によって、・ほく こ 0 レ 刀 4
ぼくは、そう言って彼女を誘った。 自分 「それは ・ほくには言えないような用た。言うべき言葉が見つからない をごまかすための、最も効果的な言葉が。 でも、それは嘘だった。本当は、彼女自身事 ? 」 耳の奥でツーと鳴っている音が、ひとっ に興味があったのだ。そして、話せば話す「そういうわけじゃないけど : : : 」 ほどに、ぼくは彼女のことをもっとよく知 彼女、電話を切りたがっている。すぐの事実を告げていた。今、ぼくはフラれつ りたいと思うようになっていった。 に、ビンときた。・ほくは、あわてて取り繕つあるってことを。 一体、な・せ ? あれから、一年余りになる。今、・ほくのうように言った。 ぼくは、最後に遙子と会った時のこ 前の席に遙子はいない。彼女は初めて、ぼ 「まあ、いいや。じゃ、今度の日曜、あい くとの約東を破ったのだ。 とを一通り思い出してみた。そう言えば、 てるかな。映画でも見ないか」 「ごめんなさい。今度の日曜は、ちょっとあの日の彼女は何だか元気がなかった。で も、普段からロ数の多いこではないから、 その晩、ぼくは電話をかけた。最初は六忙しいの」 ・ほくは気にもとめなかった。思えば、あの 時。結局、呼び出し音を十三回待って、受 「じゃ、その次のは ? 」 日から彼女は変だったのだ。 話器を置いた。八時にもう一度かけた時「日曜日は、当分駄目なの」 「ウィ 何か、彼女をひどく傷つけるようなこと ーク・デーは。ハイトだっけ」 は、十回待って諦めた。下宿にはいないの を、・ほくは言っただろうか。思い当たるこ だ。人をすつぼかしておいて、一体どこに 「そう : : : 疲れるから : : : 」 行ってしまったのだろう。 「そうかーーそうだね」 とは、何もなかった。受話器をカなく置く と、電話台を離れた。ずっとうまくいって ・ほくは、思わずため息をついた。 数日後、またぼくは電話をかけた。今度 「ごめんなさい」 いたのに、どうしてだろう。隠し事なんか は呼び出し音五回で出た。 「はい と、遙子はまた言った。何度も繰り返さ したことはなかったのだが : わけのわからなさから、・ほくは腹を立て 「あ : : : ・ほくだ。えと こないだ、来なれるその言葉は、わけもなく・ほくをイライ ラさせた。努めて平静を保ちながら、ぼく た。部屋に戻り、絨毯の上にドシンと腰を かったね。どうしたの」 はわざと明るい声で言った。」 キャビネ 降ろすと、自然に目はレコード・ 「ごめんなさい」 「いいんだ。仕方ないさ」 ットを見ていた。 彼女は、ただ謝った。理由を言わない。 「さようならーーーおやすみなさい」 こういう時は、何も考えずにお気に入り 声の調子も、いつもと違って、こわばった 感じだ。 「うん : : : おやすみ」 のレコードでも聴くのが一番し 「何か、急な用事だったの ? 」 電話は切れた。ぼくは、受話器を握りしは、あの青空のレコードを引っぱり出し 「ええ、まあね」 めたまま、しばらくそこに突っ立ってし こ 0 幻 7
かもしれない」 「いや、そうじゃない。あんたは正しい。それがやつらのやり方 やがて、云い出したとき、マックスの口調は、すっとやわらいでだ。やつらなら、やりかねない それ以上のことをやってきてる んた。 オーケイ、とつつあん、あんたは見かけより、話のわか 「おれはもっとずっとかんたんに考えていた なあ、燃料をくわらん方しゃない。それに、ウラニア・キャンプにいるってことは、 ぬよう、コースをかえるか、ス。ヒードをおとすことは、できないの少なくとも反政府思想をもってると見做されたってことーーっまり かい」 同志た。じゃ、おれも、あんたを信じて、何もかもうちあける。あ 「できるが、船はすべて追跡レーダーで見張られてる。とたんに、 んたも、おれを信じてくれ」 ・ハトロールがとんで出てくるじやろ」 マックスは、銃をかたわらにおいた。 「ーーー積荷をすてたら ? 」 「実は、おれが 生地獄といわれる、ハデス収容所に単身のりこ マックスはためらってから云った。 : レオナート・ なという無茶をあえてするのは : セイ博士を救出す 「むろん、そうしたら、とつつあんもハデスにやおりるわナこ、 しーしカるためなんだ ! 」 ない。おれと一緒に行こうーーーあんただって囚人だといったろう。 そのことばの効果をはかるように口をつぐんだが、ヤンの悲しげ おれは、ある人を、脱獄させにハデスへゆくんだ。向うで燃料をぬな顔をみてびつくりしたらしい すみ、とつつあんのゆきたいところへつれてってやるよーー地球へ 「むろん、偉大なセイ博士のことは知ってるよなー でも、どこへでも」 「お若いの、わしは、アーランド監獄に二年、このウラニア・キャ 地球 ! ン。フに送られて、これでもう十年になるよ」 テレサの顔が目にうかんだ。 ャンは悲しげに云った。 マックスはまたショッ クをうけたらしい。見かけどおりの若さな 「積荷はなーー積荷は、ハデス収容所の囚人たちの食糧なんじゃ。 ら、ヤンがはるばる辺境星区におくられていったとき、マックスは 政府はつねに、政治犯の死ぬのを望んでる。わしがこの定期便の食十かそこいらにしか、なってはいなかったろう。 糧をとどけなんだら、たぶん、かわりの食糧は出さんじやろ。いま「そんな長いことーー」 でも、あの人たちは飢死すれすれしか、食わされてない。 この荷を「もっと長いものもおるよ。《彼》のクーデターの前、大統領時代 すてれば、たぶん、ハデスの二千人が餓えさせられ、何百人が餓死 にぶち込まれたが、恩赦にもひっかからず、五十年も入ったきりの するしやろうなーーー・次の便がとどくまでの一月でな」 奴がーーっいこのあいだ、流星群にまきこまれて死んだがね」 単純に老ャンは云った。 「そんなひどいこと ! 」 「わしは年とって人れられたからこたえたが、十年は、短いほうじ マックスは叫んだ。 : 、 、こ、汽をふった。」 235
「お早う、シグニー ヘレナはいるかね」 「につちもさっちもいかなくなったのさ。彼にはもう売るものは家 「気でも狂ったのかね」年配の女はいった。 「いま何時だと思ってしか残っていないんだ」 「あなたがいうんだからまちがいないわね、エテ んですかね。ヘレナさんは寝んでますよ。あたしだって寝んでたん 。ィー。あの子が土 だ、あんたが呼ぶまではね。まともな時間に出なおしといでな。人地を売るたびに周旋をしたのはあなただった」 のうちの呼び鈴を鳴らすような時間じゃないんですよ」 「ビジネスマンだからね」とスミザース。「ゴードンは売りたがっ 遠くで呼びかける声がした。「何なの、シグニー ? 」 た。買い手もいた。誰かが手数料をいただく理屈さ。とにかく今や 「エディ ・スミザースですよ」女が怒鳴り返す。「入れてくれつ ゴードンは無一文なんだ。そして無論、あんたが死ねばあんたが受 て。いま何時だかもわかっちゃないんですよ」 託者として預かっている金がゴードンのものになる。そこのところ 「はいってもらって、シグニー」と声よ、つこ。 。しナ「コーヒーをお出であんたは大きな過ちをおかしたと思うね、ヘレナ。あんたはびた 一文ゴードンにやろうとしなかった ゴードンが年収として金を ししてね。すぐ下りて行きますから」 どれだけ受け取れるかは、あんたの裁量ひとつにかかっていたのに 「はいはい」と答えて女はスミザースに、「そんじゃ、おはいり、 だーーーおかげで今じやゴードンは、金を手に入れるにはあんたが死 アイー。あの人もあんたと同じくらい狂ってるのよ」 女はスミザースを居間に残し、しばらくたってからコーヒーを運ぬしかないと信じきってる。それに結局のところあれはゴードンの んで来た。スミザースが二杯めを飲み終えた頃、ヘレナ・スレイド金なんだ。奴さんは真剣だ、大まじめだよ。かりに今すぐ金を渡し たとしても、あんたが無事でいられる保証はないね。彼は心底あん が入って来た。ツイン・セーターにツィードのスカート姿のこざっ たを憎んでる。金をくれといってくるのを、いつもいつも無下に撥 ばりした白髪の婦人だった。「お早いのね、エディー。時間のこと ねつけすぎたからね。だが金はすぐにでも渡してやったほうがい はシグニーが注意してくれたと思うけど」 今日にもだ」 「お早うへレナ、してくれたとも。この件は待つわけにいかないと 思ったものでね」 「でもゴードンだってそんなことをして無事ではすまないでしよう 「そう。、、 ししわ、話してちょうだい」へレナは腰掛けてコーヒーをに。もしあの子が , ーーもしあたしに何かあれば、動機があるのはあ 手に取った。 の子だけなのよ。それに現にあなたがあの子の企みを知っている 「ゴードンがあんたを殺そうと企んでる」とスミザースはいった。 し」 カツ・フをあげようとした手がほんの一瞬、止まったかにみえた。 「やっちまったあとで奴さんが捕まっても、あんたには何の助けに それ以外に目に見える反応はなかった。ヘレナはコーヒーを飲み、もなるまいよ。金を渡してやりたまえ」 普段と変わらぬ声でいった。「いっ思いつくかと思っていたわ。例「エディ ー」と彼女はいった。「できないわ」 の阿呆らしい遺言のせいね」 「どうして ? 」 2 9
るのでしようが、以前ジーン・ヴァントロイヤ で、が二十冊になったので、最近の 投稿歓迎 ーが書いていた「五〇年代の作家には、あについての二十冊分の雑感で誌面を汚させ 6 宛先は本誌てれぽーと係 ( 奧付参照 ) る種のさわやかな謙虚さが見られる」という言て頂く。 ( オジンみたいな文だなあ ) 掲載分には文庫最新刊一冊進呈 葉が、な・せかオーヴァーラツ・フして想起されて最近、また「てれぼーと」がミー ハーのお使 くるのです。 り欄めいて退屈になってきた。の定義につ ペダンチックな誘惑にも陥らず、ファンダム いて論争してた頃は、活気があって面白かった 前略世に、俗に云われる〈知識人〉というの贏擾を横目で見やって、ひたすら我が道を行のだが、またつまらなくなってきたので、ここ 語句が、何を意味するにせよ〈知識人的フく。並大底の意志ではありません。僕自身、十らで拙者が思いきった過激なことを書いて、 アン〉と密かに呼ばれる方々は、単なる知識の数年を読み続けてきて、高波低波いろいろ「てればーと」を蜂の巣つついた騒ぎにしてや 人では決してあるはずがない。むしろ、より以とありましたから、この方達の持続力の源泉のろうかとすら思っている。実際、八一年十一月 上に〈情熱の人〉であるだろう、とこの頃考え深さは、ある程度実感として理解出来るつもり号の中江氏の文を読んだときは、よっぽど反論 です。ただ敬服あるのみ ! ております。おそらく、これまで幾度となく、 しようかと思ったが三カ月の遅れがあるのでや その燃ゆる魂をセンス・オ・フ・ワンダーの風に 石原氏も提案しておられる様に、願わくば、 めた。 さらして、を読み継いできたのではなかっを愛する世のなべてのファンのためにも、 結局、論争はロ火を切った井手氏本人が八 たのでしようか ? その必然的な結果として厖生涯をただ〈独覚者〉たるのみには終らぬこと二年二月号で自ら終止符を打ち、騒ぎを治めて 大な知識を身につけていたとしても、それは決を、我れ人と共に欲す。 しまったが、あんな「狂もミーハ ーも皆な してペダントリではない。と考えるのが本当で ( 岩手県一関市末広二ー一 ー六千葉達郎 ) 仲良くしましよう」的なゴマカシ、或いはおめ ある様な気がします。を残せるのは、僕 でたい理想主義的意見で結着をつけようなどと ら、文才になど恵まれない〈ただのファ十二月十九日、いつもは三カ月遅れてせず、徹底的に論争させとけばよかったんだ。 ン〉にとっては、自分の胸の中だけであって、 が着くのだが、ここのとこ四カ月遅れて来る。 ( 騒ぎを鎮めるのは西武の救援投手だけでよ 外部に表現可能なものは、多くの場合〈知識と 日本では八三年二月号が出る頃というのに、 い。ライオンズ日本一 ! 万歳 ! 八三年も優 なった〉のみですからね。 拙者は南米の密林の中で、着いたばかりの八二勝ライオンズ ! ) もし、ファン一人一人が、魂のふるえを年十月号を読んでるんです。 ( 泣けてくる・せ ) たとえ、理に適ってない無茶苦茶な論で 見事に表現できる才能を持てたなら〈〉は という訳で、最初に断わっておくが、この文も、本屋でとを間違えられたなん 〈文学〉は、今頃どんなにか豊かなものになっは四カ月前に書かれたものと思って頂きたい。 て話 ( 未だにこの笑い話を書いて来る人がいる ていたことでしよう。 七九年二月末に日本を去り、偶然八〇のには呆れた。今更こんな話が載ると白けるだ だからこの頃、石原藤夫さんが連載している年十一月号 ( 「楽園の泉」最終回に涙 ) を手にけです・せ ) やミ ーの戯言、 ー日記の ェッセイに、ぞくそく登場する本物ファン。中入れるまで ( 「てれぼーと」に今でも入類よりは、読む気になるだけまだマシである。 でも〈超弩級知識人的ファン〉の隠れた存在に手の苦労話が載るけど、緑の魔境でを入井手氏は結局、別なことを云ってたのだが、 共感さえ覚えてしまうのです。あれ程の熱情の手する困難さに比べれば遙かに楽ですぜ ) 、彼は自分の文が論争の引金になることに気付い 持続は、大変なことだと思う。イフの論理で、 にはすっかり御無沙汰していた。 てたのだから、論争が始まり、せつかく熱を帯 彼らが作家になっていたならば : : : と思うと、 いくら愛銃コルト 357 ・ ( イソンがあってびてきたのに水を差し、曖昧なところではぐら 凡百の ( 相変らず九〇 % はクズだ ! とはも、中毒の拙者が無縁の生活で正気をかして、論争をぶち壊すのはやり過ぎである。 言わないが ) など吹っとんでしまっていた保てたのは奇蹟に等しい。 ( それだけに この論争は井手氏の云っている事に定 かもしれないなと、チョッ・ヒリ反体制的な空想との再会は感激ものでした ) 義は必要か否か ) とは、もはや全然別の周題に をしてみるのも罪とは思えなくなるくらいで 以後、八一年四月号から毎号 ( 増刊号は手にまで発展しかけてたんだから、芽を摘まずに論 す。〈隠れ〉は、まだまだ何人もおられ入らず ) なんとかを購読している。 争の余地たけは残しておくべきだった。