宇宙 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1983年6月号
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1. SFマガジン 1983年6月号

八月号サスペンス特集 プラッドベリ「草原」 / ベスター「祈り」 九月号タイムトラベル特集 星新一「 0 BuiId or Not to Build 」で初登場 十月号ハインライン「お席へどうぞ諸君」「光りあれ」「強敵」 〈てれぼーと〉開始 十一月号ミュータント特集 矢野徹〈赤げつと〉柴野拓美〈日本史雑論〉 十二月号ハインライン「鎮魂曲」 / プラウン「クレイジーブラネット」 第一回空想科学コンテスト募集開始 一九六一年 一月号・フラッド・ヘリ特集 「万華鏡」「マリオネット株式会社」 一一月号創刊一周年記念特大号 キイス「アルジャーノンに花束を」 ハインライン「宇宙の戦士」連載開始 三月号クラーク「闇を行く」 / ファーマー「トーテムとタ・フウ」 四月号 ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」 / ウエルズ「新加速剤」 五月号日本人作家三人集星新一「闇の眼」 / 高橋泰邦「宇宙塵」 福島正実「なべてどの世もことはなし」 六月号プラウン「すべて善きべム」「星ねずみ」 七月号〈人間衛星船リポート〉ー宇宙人第一号帰還報告インタビュウー 座談会「は消滅するか」ー人間衛星船の打上げをめぐってー 出席者安部公房、原田三夫、手塚治虫 星新一、日下実男、福島正実 八月号体裁、ロゴマークを変更 四月ソ連のユー ・ガガーリンが、人類史上初めて、人間 衛星「ヴォストーク—号」で地球を一周する。 ( 十一 日 ) ン ガ ュ 九月星新一原案「宇宙船シリカ」で放送開始。 星新一「人造美人」が第四十四回直木賞の候補作とな る。 ドが、軌道外飛行に成 五月アメリカのアラン・シェパ 功。 ( 五日 ) ケネディ大統領、アメリカは一九七〇年までに、月面 に人類を着陸させる予定であることを発表する。これ が「アポロ計画」の土台となる。 い一 福島正実 434

2. SFマガジン 1983年6月号

我々はそれを遵守し、いかなる惑星に対しても、敵対行為の些細な「少なくとも、お前はどういうことになるか確信しているようだ 口実も与えないことを期しています。たとえば、私はここで初めてな」 公表する権限を有しているのですが、過去一カ月間に、偽の地球船若者の応答には疲れた様子など全くなかったし、不安もなかっ た。心からの満足感だけだった。「いよいよ時節到来だよ、父さ 籍を掲げて航行中の五隻の宇宙船が、宇宙国家から地球への物資の 密輸に従事しているところを取り押さえられました。貨物は没収さん ! 」 「じゃ、何も心配はしていないのか。我々は、うまくわなにはめら れ、乗員は拘禁されています。これは我々の善意の表われです。 れたんだとは思わんか」 。宇宙国家の宇宙船ですか ? ? これで 答。そうです。しかし、偽の地球船籍で航行していたことを忘れ「そうだとしても、何をくよくよすることがあるんだい ないように。 地球もおしまいさ」 メイナードは頭をふった。「だが、我々が不名誉な立場に追いこ 。それから、拘禁された者たちは、宇宙国家の市民ですか。 答。そうだと思います。しかしながら、彼らは我々の法律を破っまれたことは、わかるだろう。彼らが抑留している宇宙国家の市民 ていたばかりか、宇宙国家の法律をも破っていたのですから、二重たちは法律違反者だ。地球は正当な権利を行使しているんだよ」 息子は眉をひそめた。「議会でそんな主張をしないでくれよ、父 の意味で惑星間の権利を喪失したのです。ここで、インタビ、ーは じゃない 終った方がいいと思いますがね。 さん。地球に正当性があるなんて、全く思わないな。いい 問。しかし、それでは か、密輸が行なわれていたとしても、それが何だというんだ。宇宙 ここで放映は不意に中断された。キーリンの最後の言葉の後半を国家の誰かが、地球の食糧に対して進んで闇の価格を支払おうとし ているだけじゃないか。地球に少しでも分別があるなら、見ないふ 聞いたのは、モレノだけだった。それは、こうだったのだ。 りをして、みんなが利益を得るようにすればいいんだ。地球は我々 「ーー戦争になるじゃありませんか」 との貿易が必要だと、さんざん騒ぎたてたのに、どうして何か手を ・こ。 : ルイズ・モレノは、もう画面には出ていなかった。だか うたないんだよ。何にしても、善良なオーロラ人や他の宇宙人を、 ら、手袋をはめながら微笑し、そこにさまざまな意味をこめなが あんな猿人どもの手に委ねたままにしておくなんて、考えられない ら、やや無頓着な態度で肩をすくめたのだった。 よ。彼らが釈放しないというなら、そうさせるまでさ。そうしなけ それを証明できる者は誰もいあわせてはいなかったのである。 れば、次には我々だって安心できなくなるんだ」 「私が何をいおうと、お前は世間一般の意見に染まってしまってい オーロラでの議会はまだ続いていた。フランクリン・メイナート は「疲れはててちょっと席をはずした。彼は息子と顔をあわせたるようだな」 「これは自分で考えた意見だよ。それが世間一般のものでもあると が、海軍の制服を着ている彼を見るのは初めてたった。 0 4

3. SFマガジン 1983年6月号

から解放するものであるが故に、しよせん、 しを、彗星樹に夢みたのだった。一方、ダイ河帝国の作製する銀河地図は、認識の光ばか りでなく、宇宙的無意識の闇を凝縮した 生態系の東縛から逃れられなかった、といえソン球は、超巨大なカンづめにほかならない るでしようね。 のだから、ダイソンは、超近代科学と近代科たちが描きこまれねばならない。さもない と銀河図書館も銀河地図も、銀河帝国の完全 ところが、近代にいたって、あたらしい種学との峠にたつ人といえるでしょーね。 類の食品保存技術が出てくる。カンづめ、冷宇宙船がカンづめでしかない一面をもっとカンづめ化の具となるだろう。カンづめを内 凍機、真空乾燥法などだ。これらは、人間のはいえ、映画『未知との遭遇』や『・』から開けうるものは、カンの外に拡がる時空 移動性を高め、生態系の東縛から人間を解きで見事に描かれたように、その窓からは光がの無限の闇に感応するカーー・あえて言う、そ ちから こ・ほれおちるから、完全なカンづめではない。 放った。 れを再聖化への力とーーであろう。 ″闇のなかにすこしでも明るい時間と空間を 印刷による複製が、本書のいうように、聖 すでに二千年ほど前に、観念の世界では、 つくる″に苦心してきた技術史の延長線上なるお守りに始まり、遊なるカルタによって に、光さんざめく宇宙船はある。たき火をい世俗化への道をたどったとすれば、印刷され 「ダヤ教 ) から、縛られない世界宗教 ( 仏教と たも、・ほくたちにとって、世の荒海をこ キリスト教 ) が生まれていたんでしたね。とろりとして″家のなかにとりこ″んだとき、 スター ・ンプイ はいっても、それは、《だべる》レベルのこ太陽を体内化して翔ぶ恒星船の誕生は必須とぎわたるお守りであり、一時の慰めを与えて くれるカルタである。しかし、それだけでな とで、《たべる》レベルでは、民族的たらざなった、と言ってしまいたい。 しかし、闇を排斥し、光に固執するのみく、再聖化への人類の手探りの一触手でもあ るをえなかった。そこいらへんの矛盾をつい て、新たな民族的宗教 ( ヒンドウー教とイスならば、ハインライン『宇宙の孤児』が象ると私は思う。 ラム教 ) が誕生したのではないかしらん。だ徴するよーに、完全力ンづめ化を免れず、開再聖化に果たす技術の役割は何か、につい けられないカンづめになるだろう。そもそもての問題意識が、本書『技術の社会史』には からこそ、その新宗教は、何かを食べてはい カンづめが発明されたのが、一八三〇年。欠けているように感じられる。それはもしか けないといった食事のタブーを厳密にして、 その開放性 ( 誰をも受けいれる ) と、一体性″おどろくなかれ″、カン切りの発明が一八すると、氏の処女作『中間文化』の、に 八五年。その間、タガネをあてがって、ハン対する皮肉の中に先取りされていたのかもし ( 同志感 ) との・ハランスをとったのでは ? そのイスラム教に反撃すべく、西欧キリス マーでがんがんたたいて、中の食物を出したれない。 ( 『技術の社会学』 / 著者Ⅱ加藤秀俊 る売店のおやじさんが開 / 二六五頁 / \ 一二〇〇 / 四六判上製 / ト教文明は、いちはやく、その民族科学を世もの。カンづめは、、 界科学に変身せしめ、地球の覇権を握った。けてあげるサービスつきで売られていたの研究所 ) その象徴が、カンづめだと私は思う。自動車た。さて、完全にカンづめと化し、中身が腐 が一種のカンづめであり、宇宙船もまた一個り切る前に宇宙船を外から開けてくれるよー第藤一査俊 の巨大なカンづめであるとすれば、西欧原産な親切な神さまは存在しないでしょーな。完 . の近代科学は、地球のみならず大宇宙をも覆全力ンづめ化の運命を免れるためには、闇の いつくすかもしれない。 体内化がどーしても必要じゃないか。 ある」は、そうはならな」かもしれな」と本書が示唆するように、帝国には図書館が技術の " スと、ダイソン『宇宙をかき乱すべきか』にろう銀河図書館には、光をになう本ばかりで 現われているよーだ。ダイソンは、これまでなく、闇を象徴する悪書をも体内化されねば ~ のカンづめ型科学技術を、天色な技術が緑のならない。″国土地図の精密化と国家権力の 技術を包んでいると批判し、そのひっくり返成長はだいたい対応。しているとすれば、銀 ちから 305

4. SFマガジン 1983年6月号

なかろう 船に乗りこんで、武器を操作してくれないかといった。カイーンに 「わたしの結論もまさにそれだ」クローは厳粛に答えた。「少なく は、それがどんな戦いになるか想像がついた。急ごしらえの宇宙船 2 とも重火器に関するかぎりは。双方とも、ある種の宇宙船を建造し が、完全な無の空間の中で追いっ追われつ、シテイへの接近を注意 てはどうかな。この取り決めを有効にするため、双方とも充分な兵深く避けながら、おたがいに相手に対して絶好の標的を提供するの 力を外部に移すまでは、おたがいに干渉しないこと」 だ。運がよければ、彼らのだれひとり生還できなくても、シティは 「うん、よかろう。括約ロの管理のために、独立した機関を設立す平和に生きつづけられるだろう。 べきだな」 カイーンは、ポケットの中のキーをまさぐった。それは電子イン コルドは考え深げにちょっと間をおいた。 パルスで作動する特殊なキーで、その持ち主は天文台の核子ロケッ 「ところで、きよう、ちょっとしたニュースが入った。分枝局にあ トを自由に動かすことができる。カイーンは、タムとの飛行のあ る例の計器のことは知っているな。物質宇宙が完全に消失した瞬間と、キーを返さずに持っていたのだ。 を記録する計器だ。昨夜の八時ちょっと過ぎに、その事象が記録さ「ポーラ、どこかへ行こう」 れた」 「どこへ ? 」 クロ•- ・は無言だった。公式の打ち合わせが終わったあと、帰って「外さ」カイーンは冷笑的にいった。「外へ向かってだ。初期の探 いく彼は、進行中の状況について、わずかな不安しか感じていなか険隊が失敗したのは、帰還不能点、つまり、エンジンの能力からし て、それ以上先に進むと帰ってこられない点に達したとき、そこで ひきかえしてきたからなんだ。おれたちはそのまま先へ進む。どう せおんなじことじゃないか」 「まるで悪夢みたい」ポーラがいった シティはなにかを期待して、じっとうずくまっている感じだっ ポーラは彼のいう意味がよく理解できなかったけれども、ともか た。北のほうには黒焦げになった地域が見え、かすかな煙の匂いが いつも会っていた公園まで彼についていった。カイーンは天文 まだ空気中に漂っている。循環システムでも処理しきれないのだろ台へと向かったが、きようはドームをぐるっと迂回して、塔の根も う。クリスタル・ドームはきらきら輝いている。だが、そのむこうとにある小さなスロットへキーをさしこんだ。 には、お・ほろげな影がうごめいているのが見える。対立する両軍 ドアがするりと開いた。彼は中に足を踏み入れ、ポーラの手をと が、戦闘隊形をととのえているのだ。 って、彼女をひつばりこんだ。ロケットの船体と塔の内壁とのあい 「まあとにかく、シティは安全だろう」カイーンはそう答えた。へ ・こには、四メートルほどの幅のすきまがあった。宇宙船は、巨大な リンがやってきたのは、市街戦に加わらないかという誘いだった。 円柱のように、二人の頭上にそそり立っていた。 カイーンが断ると、ヘリンはまたやってきて、新しく作られた宇宙カイーンはおなじキーを、ドアの内側の大きな箱の中にあるスロ

5. SFマガジン 1983年6月号

英宇 , 雄宙 光瀬龍 萩尾望都【 野田昌宏編著・ 画集 判並製本・定価 1500 円 : 大胆な筆致と緻密な画面構成で贈る、ファン必携のイラスト集ー 詩情あふれる文章と流麗な絵の織りなす壮大な宇宙叙事詩 ! 判並製本・定価各 宇宙船フリークの見たいものさわりたいものを現地徹底取材 ! 判上製本・定価 1500 円 10 0 0 円 20 ー

6. SFマガジン 1983年6月号

七月号山野浩一「電車で行こう」で初登場 八月号ハインライン「大宇宙」 / ラインスター「最初の接触」 八月臨時大宇宙小説特集 増刊号 O ・・ムーア「生命の樹」 / ハインライン「生命線」 座談会未来を創るワールド・フェア 三人男ニューヨークへ行くー 手塚治虫、星新一、真鍋博、福島正実 九月号草下英明〈宇宙は生命に満ちている〉連載開始 十月号レム「ソラリスの陽のもとに」連載開始 小尾芙佐〈ミスターとの一時間〉ポストンにアシモフを訪ねる 十一月号プラウン「暗黒の方へ」 / クラーク「憑かれたもの」 第三回日本大会レポ 1 ト 十二月号筒井康隆「お紺昇天」 / シェクリイ「われらは孤独」 一九六五年 一月号星新一″ショート・ショート・シリーズ″連載 石川喬司〈日本史の試み〉 一一月号五周年記念特別増大号 オールディス「終りなき午後」 小松左京「果しなき流れの果に」連載開始 伊藤典夫〈スキャナー〉連載開始 三月号・フラウン・ショ】ト・ショート・カ】ニ・ハル ・・フラウンのショート・ショート九篇を一挙掲載 四月号ウエルズ「最後の審判」 / キャンベル「最終進化」 五月号筒井康隆〈作家の精神病院ルポ〉 大伴昌司〈トータルスコープ〉連載開始 六月号エフレーモフ「宇宙よ、宇宙よ」 一九六五年 一月東大宇宙研究所、大型ロケット「ラムダⅢ型・ 2 号」 の打ち上げに成功。日本初の大型宇宙ロケット。 七月第三回日本大会「」が大阪府立厚生 会館にて開催さる。 ( 二十五、二十六日 ) 十月東海道新幹線が開通。 第十八回オリン。ヒック東京大会開催。 三月ソ連の二人乗り宇宙船「ヴォスホート 2 号」初の宇宙 遊泳に成功。 438

7. SFマガジン 1983年6月号

難信号を発している宇宙船に対して、救援の手をさしのべる義務か 点ニオイテ、都市ノ機能ハ保持サレテイタト思ワレル : ら解放される。 《 : : : 地上ノ施設ハホトンド失ワレティル。マタ接近スル宇宙船ニ その理由は開発都市としての生産力の喪失であり、人々は撤退し 対スル誘導ハ極メテ不完全デアル : 《 : : : O 項。一一八〇。連合布告ニョリ『ケンタウルス・アてゆく。 タ』表カラハズス : わずかな例として、強大になった開発都市が、連合から離れて独 立してゆく場合もあった。 生産物を連合に吸い上げられてしまうことを拒否してのことだ。 リトル・ハラは頭の中に浮かび上ってきた資料を、首をふって追い 冫オしナカはるかな辺境にあっ もとより連合が容認するはすよよ、。ど・ : やった。 このケンタウルス第三惑星の衛星軌道に乗って、周回を続けた五ては、連合としても、権威だけでは統制を維持することははなはた 十時間の間に、 この惑星から発せられたと思われるほんのかすかな困難だった。 電波さえとらえることはなかったし、地上に、はるかかなたの星の 『ケンタウルス・アタ』の場合は、少なくとも後者ではないようだ っこ 0 またたきほどの灯ひとつ見ることはできなかった。 ウラン鉱の採掘と精錬だけで、連合の傘の下から離脱できるほど 四十隻の宇宙船は、とうに古びて廃棄されてしまったにしても、 それに代る新しい船が必要なはすであった。だが、この惑星のどこ経済的に豊かになるなどということはとうてい不可能だ。 スペース・ポート それに『ケンタウルス・アタ』は、長い間、連合の経済的援助に にも、宇宙空港らしいものはなかったし、何よりも、衛星軌道を周 回している『アナクレオン川』に、呼びかけてくるシグナルひとっすがっている。 だが、経済的に破綻を来たしたはずの『ケンタウルス・アタ』 無かった。 は、なぜ撤退せずに、コロニーとして存在しつづけたのたろうか ? 「救援の要請と言ったわね。何がどうしたというの ? 助けてほし 十字路に出た。 下方に向う急傾斜の階段があった ) リトルバラはつぶやいた。 足をのせると、きしんた。停止したエスカレーターだった。 これが、救援を要請したという情況なのだろうか ? . し / し もう長い間、使われたことがないのだろう。腐蝕した金属が融着 この都市の住人たちは、どこへ行ってしまったのだろ していた。 リトル・ハラは、一歩、一歩、奈落へ向って下りていった。 かって、この『ケンタウルス・アタ』は、連合所属の都市として の機能を否定された。表からはすされた時点で、その都市は、救下層も闇と静寂が充満しているたけだった。 7 5

8. SFマガジン 1983年6月号

は世代宇宙船のヴァリエーションであると感じますよね。でも、だからといって古く浅倉しんどいことはたしかだ。 しても、本筋は海底でのサバイ・ハル物なんさいかというと、ぼくは全然そういうふう森下べンフォードの『タイムスケープ』 ですね。 には感じなかった。それよりも、やはり自を読んでて思ったのは、たとえばレン・テ 森下だって、題名が『生存の図式』なん分の読みたいはこういうものだったんイトンが『ー c.5 』を書いた、ああい だから ( 笑 ) 。 だということを再認識させられて、なぜ最 う普通の小説を書いてる人がちょっと 伊藤この作品をつきつめていくと、世代近はこういうふうに書かなくなったんだろ的趣向を取り入れて書いたものと、感じが 宇宙船という考えは重要ではなくなってし うってことの方が気になりました。ニュ 似てるんですよね。というよりも、もっと まう。サ・ハイバル物、あるいは異星の知的 ウェーヴがを開いたと言われたけはっきりいえばリアリズムを目指している 生命との出会いの話としてしか、とらえら ど、そのせいなんですかねえ : : : 。新しい んだけど、それでは書けないことがあるん れよ、。 ところで、この作品は一九六六 読者が増えて、今までのと比べてどこ じゃないか。むしろはそっちの方を重 年、つまりニュ ・ウェーヴ以前に書かれが新しいなんていっても通じない。また、 視す・ヘきじゃないかとも思うんですが。 ているんですね。『 r-o エンサイクロペデ 読者の方でも、そんな読み方はしなくなっ 伊藤それは前から言われているんたけれ ィア』の出版が七七年だから、十年がたっ たってことでしようかね ? ど、実際問題として、その部分でアッとい ている。その間にニュ ・ウェーヴが起こ伊藤しなくなったんでしようね : : : やはわせる cn がどんどん出てこなければしか ってが開かれてしまったわけです。つり時代が変ってしまっている。 たがないんだ。いま英米の流れという まり、それ以前だったらブック・レビュア 今岡日本ではアニメのファンや、個々のか、少なくとも評論家うけするレベルで 1 は世代宇宙船テーマから取りあげるだけ作家のファンが増えて、なんでも読んでい は、人間を描くことに傾いているでしょ で事足りていたのが、もっと広い読者を相るという co ファンは減っているような気う。 手にしなければならなくなり、世代宇宙船 もするんですが、アメリカでも似たような森下逆に、作家の側が小説としての完成 の新機軸といっても話が通じなくなったん状況はあるんでしようか ? 度を求めて、新しいアイデアを打ち出すこ ですね。そこで、もっと根元的なテーマを伊藤あるとは思いますよ。というか、一とに力を入れなくなったこともあるんじゃ 見出さなければならなくなった。要する番広い読者層に浸透させるには、的な ないですかフ ・ウェーヴ以前は、「これはま アイデアで喜んでいてはだめで、根元的な伊藤というより、それを両立させるのが た新しいアイデアだ」というたけで読者は ところを取りあげないといけない。だかむずかしいのかも : 買ったんですよ。 ら、グレゴリイ・べンフォードみたいな人森下本当は、やはり両立させてくれた方 浅倉いい時代たっこ。 が出てくるんでしよう。的なアイデア がおもしろい ・ウェーヴ 森下『生存の図式』がニュー は脇に置いて人間を書こうとしたり : : : そ伊藤ただ、・ほくは本当のことをいうと、 以前の作品たというのは、読んでてすごく れの是非は別にしても : ・ アイデアは二の次で、人間を描くことにカ 209

9. SFマガジン 1983年6月号

七月号大伴昌司〈特撮テノ・ヒ映画繁盛期〉 八月号ャング「ジャングル・ドクター」 八月臨時 ハミルトン「鉄の神経お許しを」 / ムーア「シャンプロウ」 増刊号・・スミス「ロポット復讐鬼」 / ・ハロウズ「火星の超巨人」 「大いなるスペース」画 " 水野良太郎、案Ⅱ広瀬正 九月号筒井康隆「馬の首風雲録」連載開始 安部公房「人間そっくり」三回連載開始 十月号 O ・スミス「鼠と竜のゲーム」 石原藤夫〈宇宙を渡る声〉連載開始 十一月号・ゴドウイン「冷たい方程式」 日下実男〈うるとら世界周航記〉連載開始 柴野拓美〈メイコンレポート〉 十二月号〈中国一九六六年夏〉ー作家の中共ルポー光瀬龍 一九六七年 一月号アンダースン「救いの手」「大魔王作戦」 「・ハスカヴィル家の宇宙犬」 一一月号七周年記念日本人作家特集筒井康隆、光瀬龍、星新一、 小松左京、石原藤夫・眉村卓、平井和正、豊田有恒他 エリスン「″悔い改めよ、 ーレクイン ! ″とチクタクマンは一言 った」 三月号・・スミス「スカイラーク・デュケーン」連載開始 四月号・ハラード「無限都市」 五月号オールディス「」 / ' ハラード「タイム・チャンネル」 六月号船戸牧子〈シマックとの二時間〉 一九六七年 一月アポロ宇宙船、予備テスト中に火災事故を起こす。三 人の宇宙飛行士が死亡。 ( 二十七日 ) ノ、 月 会第 ドの館五 年に回 にて日 ノく公開本 ッ開催 S トささ F マれれ大 ンたる会 ミ映二 E ク画十 I 、 C の大二 0 決魔十 N 死神 . ゑ圏日が なサ古 光 440 ミクロの決死圏

10. SFマガジン 1983年6月号

ば、彼らから解放されることだけだ。彼らがいなくなること以外にと閉じられた。地球の空にある星は、最初の宇宙船が光速の擘を突 破する以前の遠い時代のように、再びただの星に戻った。 ーいかなる形でも我々を益することはないのである。 講和条件がこのような内容のものになったのは、かかる理由によ戦争と講和を行な「た政府は辞任したが、その代りとする者は、 るものである。我々には彼らに危害を加えるつもりはないから、太現実には誰もいなかった。立法府は、前駐オーロラ大使、前無任所 陽系は彼らのものだ。そこで平和に暮すがよい。好きなように自分長官のルイズ・モレノを、臨時大統領として選出したが、地球は全 の運命を作りあげるがよかろうし、我々は彼らの前にちらりとでも体として虚脱状態に陥「ていて、賛成も反対もしなかった。監獄の 姿を見せてそれを妨害しようとは思わない。だが、我々も平和を欲中にある惑星の運命を導こうとする仕事を引き受けるような者がい する。好きなように自分の未来を開きたいのだ。だから、彼らに姿るという事実に、ほ 0 とした気分が拡が 0 ただけだ 0 た。 この結末がいかに周到に計画されたものであるか、またモレノが を見せてほしくはない。そこで、そのことを究極の目標に、宇宙国 どれほどの計算のもとに大統領の座についたかを知る者は、ごく少 家の艦隊は太陽系の境界をパトロールし、彼らの最果ての小惑星に 宇宙国家の基地を設置して、彼らが我々の領域に侵人しない保証と数だけだった。 するものである。 アーネスト・キーリンは、テレビの画面から絶望的な口調で語り 貿易も、外交関係も、旅行も、通信も、一切が停止される。彼ら は囲いこまれ、閉めだされ、完全に封鎖される。我々はこちらで新かけた。「我々は今や孤立無援となった。我々には宇宙も過去もな あるのはただ地球と未来だけだ」 しい宇宙を支配し、第二の人類、高度の人類の創造をめざすのだー その夜、彼は再びルイズ・モレノから連絡を受け、朝を待たずに 彼らはいう。 地球はどうなるのか、と。我々は答える。それは地首府へ向けて出発した。 球の考えることだ、と。人口の増加は制御できる。資源は効率よく いかめしく堅苦しい大統領公邸の中にいるモレノは、何となく場 開発すればよい。経済体系は改善することができる。我々は知って いるのだ これまでそうしてきたのだから。もしそれができない違いに思えた。また風邪をひいていて、鼻をつまらせながら話し のなら、恐竜の運命をたどって、その場所を明け渡せばよいのであた。 る。 キーリンは、我ながら怖しいほどの敵意をもって彼に対した。焼 絶えず場所をよこせと要求するのではなしに、自分で場所を作るけつくばかりの憎悪で、指が相手を締め殺そうとして、むずむずす ん廴し るのを感じた。あるいは、ここへは来るべきでなかったのかもしれ いや、それが何の役に立っ ? 命令であることは歴然とし 3 かくして、太陽系の周囲には、通過不能なカーテンが、ゆっくりていた。自分から来なければ、連れてこられたことたるう。