考え - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1983年8月号
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1. SFマガジン 1983年8月号

りそうなことであった。 もりでの、独善であり自己満足に過ぎないのではないかフ でもまあ、そういうつもりなら、こっちもそれなりに対応するま 2 彼はそう思う。 思いながらも : : : まだ彼は、にそうと指摘したり、考え直でだ。 のその思い込みは、情報「頼む」 すよう要求することはしていない。 官がいっていたように、まことに強いのであり、うかつなやりかた彼は返事をし : : : 再び窓の外の海面に目をやって、想念のつづき を追いはじめた。 で修正を試みるのは危険だったからた。 それにしても : ・ それにしても : のそうした現状肯定の感覚への違和感とは別に、彼はこの 「今、よろしいですか ? 」 二、三日のうちに、が報告し説明するタトラデンの状況や事 むかいのシートにすわっているが声をかけて来たので、 彼は考えごとを中断し、視線を窓の外からへとめぐらし情そのものに対して、つかもうとしてもどうしてもっかみ切れない いらたたしさをお・ほえるようになっていた。 の話を聴き、資料を読んでも : : : 本当にわかったとは思え 「何だね ? 」 : ・佃かがずれているという気がして、仕方がないのである。 彼は問う がいうことのその大略は、彼も知っている事柄だった。そ 「機はこれから東へと方向を転じ、十五分後に司政島の周回道路に れはひとつには彼が以前はタトラデンの住人であり、タトラデンの 着陸し、地上走行に移ります」 がいう。「地上走行に移りましたら、説明をはじめさせ人間として自分の世界を勉強したからであるが : : : もうひとつ、情 報官からもいろいろ話を聞いていたせいである。というより、 て頂きます」 それはどうやら、のスビーカーを通じてのの言葉 1 の伝えかたは、情報官がやうとした方法と、ひどく似通ってい たのだった。考えてみると、これは不思議でも何でもないことかも ではなく、自身のもののようであった。司政官に随行する ロポット群の隊長でありガイドでもあるが、与えられた知れない。ひとつの世界の概略を告げるに当ってはさまざまな型が あるけれども、その点、連邦経営機構が一般的に採用している手法 役目を果たしているわけである。 いや、こんな予告をするのには、やはりそこに (-00b-H の意思があは、つまり情報官のやりかたであり、のやりかたでもあるの るのではないか、という気もする。の言葉からは、機が地であって、両者の根は元は同じのはすだからである。だから、彼は 上走行になると次々と説明が行われるために、もうぼんやりと考えの概説を耳にし目で見ながらも、かなり重複のイメージを抱 いたのだ。 という感じが窺えるのだ。そ に耽ってはいられなくなるだろう いいたげなところがある。のや大略のうちでも、彼がこれまでそんな見方をしなかったようなこ うするのなら今のうちだ、と

2. SFマガジン 1983年8月号

「もちろん、おれたちた「て頭に来てる。だから、考えてるんだ「やってみれば、わかる」 レイクは、足を組み姿勢を正した。どこか不安げなジェーンに、 「何を ? 」 片目をつむってみせ、 「連中を、ギャフンと言わせる手」 「心配いらない。すぐに迎えに来る」 「問題は、ここを脱け出したあとだな」 「ええ」 ジムが言った。 ジェーンは生真面目な表情でうなずいた。 「礼拝室の位置は、覚えたかい ? 」 「それしや」 「ばっちり」 レイクは、目を閉じ精神を集中させた。ジムは慣れたものだが、 「いったい何の話をしてるのよ、二人とも。脱出したあとって、どジ = ーンの方は興味津々といった感じで、かたずをのんでレイクを ういうこと」 見守った。 「忘れてもらっちゃ困るな、ジェーン」 身体の奥から、カが湧きあがってくる感覚があった。 このぶ レイクが、気取った声を出した。 んなら大丈夫だろう。レイクは思った。その時、ジェーンが心配そ 「おれが、なんで〈高飛び〉レイクって呼ばれてるのか」 うに話しかけた。 ジェーンの顔に、ばっと理解の色がひろがった。〈エリノア〉の 「ねえ、レイク。平気 ? テレポートできそう ? 」 ームビーチでの出来事を思い出したのだ。 「ああ。多分ね」 「そうだったわね。すっかり忘れてたわ。あなたは : ・ : 跳躍者だっ 目を閉じたまま、レイクが答えた。 「だけど、心配だわ。本当に、ちゃんと覚えたの ? 」 「そういうこと。ただ、行く先をしつかり覚えてなきゃいけないの 「ああ」 が、難点でね」 「すごいのね。あんな短時間で。あたしなんか、昨日あったことも 「そう一一一〕えば、礼拝室で、あなたひと言も口をきかなかったわ。妙すぐ忘れちゃうのに」 だと思ってたんだけど、そのせいなの ? 」 「コツがあるんだ」 「亜空間で迷子にはなりたくないからね」 「へえ」 レイクはうなすいた。ジムが言った。 「大丈夫か ? 」 「汗が出てるわよ。ふいてあげましようか ? 」 「なにが ? 」 「いや、大丈夫」 「ガスだ。悪い影響が残 . ってなきや、 「あたし、なんだかわくわくしてきちゃった。だって、こんな近く しいがな」 24

3. SFマガジン 1983年8月号

震えて、外皮の下を移動するのがはっきりわかった。ゆっくりした努力した。厚い雲は薄れつつあり、すでに陽は高く、彼が立つ一木 一草もない動く小山にさんさんと降りそそいだ。彼の内に生まれた 蠕動運動に似た波が東、つまり怪物の頭のほうにむかって動いた。 ウ = ストーヴァーはもちろん、ここで無事にしがみついているこ考えがその光に照らしだされたように思い、希望が脹らんだように ともできた。怪物の背中にいれば、怪物もその仲間も恐れることはさえ思えた。 ない。しかし、夜になって怪物がまた静止するころには、疲労と空震える指で彼はベルトから小さな斧を引き抜き、怪物の鱗がはえ 腹とで、自分がもはや降りられなくなっているだろうとはっきり悟た背中を裂く仕事に熱中しはじめた。 っていた。彼は倒れたところにそのまま横たわった。気力が衰えて鱗に覆われ、風雨をしのいできた表皮層はとても厚そうだ。しか いくのをひしひしと感じていた。もはや彼を前進させてきた意志にし、ようやくのことで表皮層を掘りおえ、その下の柔らかな原形質 にたどりついた。彼は掘った穴のなかでゆっくりと切り進み、怪物 よってそれをくいとめることもできなかった。 彼はふたたび夢うつつの状態で横たわった。この無力感は彼を死の肉を厚くそいだ。 の淵深くひきずりこもうとした。彼の頭のなかに脈絡のない考えが蠕動運動とは関係のない痙攣が穴のまわりをはしった。ウエスト いくつも浮かんだ。自分はいま、怪物を殺すあの理論の立証に必要ーヴァーはふいに力をもったような気がしてけたたましく笑った。 な実験をおこなえる理想的な場所にいるのだと、ふと気づいた。誰ダニのような小さな存在である自分が何マイルもの大きさをもっ怪 が怪物の背中に生物学研究所をつくるなどということを予見しただ物を痙攣させたのだーー。・大にたかるノミのように。 ろうか。もちろん、揺れの解消には、特別な技術が必要だろうけれこの比喩はびったりだ。ノミのように彼は大きな生物にのつかっ ど。 ばかげている : : : 彼はふたたびサットンの顔を一瞥したよて、そこから栄養をとろうとしているのだから。彼が切りとった肉 ットンを助けて研究し うに思った。あの生物学者が撲減委員会に恐ろしい報告書を提出しの塊りは火色をしていて、まずそうだが、サ : サットンの予言は百パーセント正しかった。怪ていたときにこれだけはわかっていた。地球外生物であっても、こ たときの顔だ。・ 物の食糧となりうる世界中の有機物を喰いつくすまで、やつらの食の怪物は、人間やアメリ ( 同様、基本的化学組成は蛋白質、脂肪、 ・ : そして、人類は飢え死に炭水化物でできており、それゆえーー食べられるのだ。 欲はとどまるところを知らないのだ。・ しなければならない。いま、ウエストーヴァーがそうなりかけてい 防水袋に入れてあったので、マッチは乾いていた。怪物の背から るように・ そいだ繊維状の鱗でたき火をし、三十分後には満腹した。長い断食 のせいか、無意識の反撥のせいか、それともたんに怪物の動きに酔 もがきながら、ウ = ストーヴァーは起きあがった。まず上体をおったせいか吐き気がしたが、なんとかそれに耐えて、そのはじめて こし、ついで、よろめきながら立ちあがった。顔をしかめて、さつの肉を飲み下しつづけた。やがて彼は渇きに苦しめられた。だが、 き得た恐ろしいインス。ヒレ 1 ションを正気の頭で見つめなおそうと彼がつくった傷口に集める透明な液体を飲む覚悟ができるまでに

4. SFマガジン 1983年8月号

のつきあいに慣れてしまった。それがないとさびしくてたまらな人間たちはいくつかの明るい黄色の光点として間近に見えている しかし、きみたちは悲しそうだ。わたしはきみたちの不幸な思人間の住む惑星を、食いいるように見つめていた。彼らは、もし自 2 考にはっきあいきれない。それはみじめな考えだ。苦痛の考えだ。分からエイリクス星に住むことを選んだのなら、ここで幸福に暮ら どうしたらきみたちは幸せになるだろう ? 」 せただろう、と認めた。宇宙ョットは離陸し、寒さと氷、飢えと渇 彼らは自分たちのその きの世界へと、狂ったように飛んでいった。冖 「自由だ」囚人の一人が苦々しげに答えた。 ここで、エイリクスは不思議そうに言った。「わたしは自由だ世界を選び、エイリクスが彼らのために作ってくれた楽園を捨てた 、人間がいないとわたしは幸福ではない。なぜきみたちは自由をのだ。その楽園の上では、エイリクスは、実体のある生物として、 ほとんど万能に近かった。しかし、その彼でも人間を幸福にできな 求めるのだ ? 」 「それは一つの理想だ」ョットのオーナーが言った。「だれかに与かったし、人間の憎しみや不安をいやすことはできなかった。 えてもらうものではない。自由はわれわれが自分で手にいれて、自宇宙パトロールは、この二度目の誘拐事件に勇気づけられた。工 ィリクスは孤独なのだ。ェイリクスは人間が訪れる以前は、真に自 分でそれを守らなければならないものだ」 「人間とっきあって孤独を避けることも一つの理想だ」と通信装置分の記憶といえるものをもたなかったし、その知恵も人間から獲得 の声は悲しそうに言った。「しかし、人間はもうわたしに理想を実したものである。思考や意見や印象を与えてくれる人間の思考がな どんな人間よりも多くのことを知ってはいてもーー・彼は宇 現させてくれない。きみたちを満足させるために、わたしにできる ことはないか ? 」 宙のどんな生物よりも、恐ろしい孤独を感じるのだ。ェイリクス あとになって、その人間たちは、想像もっかないほど巨大で考えは、自分の同種の生物が他にもいるとは考えることすらできない。 もっかないほど奥深い知恵をもったその生物の声が、本当に悲しそそんな生物は存在しない。ェイリクスが満足するためには人間の思 うだったと語った。だが、そのときの彼らにとって願いは一つしか考がどうしても必要なのだ。そこで、宇宙パトロールは、あとで放 なかった。そこで、エイリクスは、その巨大な質量ーーー直径七千マ棄しても惜しくない小惑星に、新しい化学薬品を製造する大工場を イルの球体ーーーをファニスからわずか数千マイルのところへ移動さ設けた。 せた。そのくらいの距離なら、宇宙ョットにも楽々と横断できる。 程なく、新しい薬品を入れた容器が、切れ目のない流れとなって 自由になったヨット : 1 カ人Ⅲの世界に向かって離陸する直前、エイリ吐きだされるようになった。頑丈な容器で、そこに書かれた薬品の クスはまた通信装置を通して言った。 使用法は明瞭そのものだった。すべての宇宙船は航行のたびに、こ もし船がエイリクスに 「きみたちが幸福でなかったのは、ぎみたちがここで暮らすことをの容器を一つ持っていかなければならない。 選ばなかったからだ。もし、それを選んだのなら、きみたちは自由とらえられたら、エイリクスの表面に到着ししだい、容器の中味を ぶちまけなくてはならない。 だった。そうだね ? 」とエイリクスはたずねた。

5. SFマガジン 1983年8月号

人間が描かれ、『シリウス』 & ( 1944 ) では、知能の高い犬が扱われている。いろ いろな意味で後者のほうが成功作だが、そ の理由は、おそらくこの種の小説にくりか えし派生する問題にある。つまり、問題の 性格ゆえに読者に万全の理解を求めること 作者にしてもたんに は望むべくもない 当て推量をしているだけの一一一知的体験を 語るにふさわしい言語形態を発見しなけれ ばならないのだ。 IQ120 の人間に、たとえ ば IQ 300 の人間の思考を説明するのは、 盲人に色彩を説明するよりむずかしいだろ う。説明者も盲人だとすればなおさらのこ とだ。知能の増進を扱う小説においてその 難関を回避する便法のひとつは、動物なり 魯鈍なりからスタートさせることだ。そう すれば、絶頂期になっても、われわれのど うやら手の届く範囲だろう。この方策はジ ャンル S F に何度か取り入れられている が、中でも名高い 2 点をあげると、ポール ・アンダー、スンの『脳波』月 / 〃Ⅱ鳬て℃ ( 1954 ) と、ダニエル・キーズの、「アル ジャー / ンに花東を」 "Flowers for Algenon'Y ( 1959 ) で、これは後に同題の 長篇 ( 1966 ) に書きのばされた。『まご ろを君に』 C んの ( 1968 ) というタイト ルで映画化もされた後者は、魯鈍の知能を 人為的に増進させる実験を、彼の日記を通 して描いた感動的な作品である。悲しい とに、その効果は一時的なものであり、主 人公と読者は天才の思考を、驚くほど迫真 的に、垣間見ただけで、黄金都市の門はす ぐに閉ざされ、物語は耐えがたいほどの喪 失感と、主人公の並み以下の知能に対する うずくような不快感を残して終わる。 知能を持つ大に関する物語を叙事詩的に 綴ったシリーズは、クリフォード・ D ・シ マックの『都市』 0 ( 1944 ー 51 各種雑 誌 ; 1952 ) であるが、小説の主眼は知能 の獲得そのものではなく、人類のいなくな XVI った地球を大が継承する顛末を物悲しく語 っている。 超知能は、通常の人間の目には冷淡と道 徳感の欠如をともなって描かれることが多 いが、これは作者の側の負け惜しみとも見 える。われわれは進化の舞台の隅に追いや られるのを必ずしも喜ばない。進化は伝統 的に、、歯と爪を血まみれにした自然〃によ って遂行されてきたので、われわれは天才 種族が冷酷なものと、なかば予期してい る。この種の小説の原型は、ジョン・ティ ンの S 研ん ( 1931 アメージング 誌 ; 1951 ) である。陰気な実験技師が放射 線を浴びて、アドニスの肉体と冷酷で活発 な超頭脳をさずかる。技師の心のはたらき 具合の描写は生き生きとして、小説中にあ る進化論のパルプ雑誌的いいかげんさを補 ってあまりある。こでも、知能の向上は 逆行する。 多くの大人は、子供は自分たちとは異質 な生物だ、という考えに違和感を抱かな い。超人的な子供 ()S F に登場する子 供 ) が両親や保護者との絆を危険にさらす というサフ・ジャンルには多数の作品が含ま れている。ヘンリイ・カットナーはそのテ ーマを繰り返し取りあげていて、「ポロゴ ーヴはミムジイ」 "Mimsy Were the Borogoves ( 1943 、ルイス・パンエット 名義 ) では未来から舞いこんだ教育機器が 子供たちに恐るべき影響をおよぼし、「親 枝の折れるとき」 "When the Bough Breaks ” ( 1944 、ルイス・パジェット名 義 ) では実に嫌味な超赤ん坊が両親を手こ ずらせる。マーク・クリフトンの「希望の 星」 "Star Bright" ( 1952 ) はパルプ雑誌 版の知能テーマの典型で、子供に発現する 高い知能 ( この作品の本当の主眼はそこに あったのかもしれないのたが ) は、みるま に魔術的な力に発達していく。このサフ・ジ ャンルの中で、最も思慮に富み、かっ完成 256

6. SFマガジン 1983年8月号

数毎月入魂の評論でおなしみ「セミナー」。 子〉載Ⅷ イン隆平 先日、東京で開かれたその本家セミナーを覗 伸均満 7 リイⅡ長 編集後記 田田他Ⅷ 2 いて、感激。百花繚乱、千差万別 ( 卩 ) の議論沸 一ウ林 湯安 アド神 = 三一 = 一 = 三一 = = = 一三一三一三 = 三 ) - 三三一三一三 = 三 = 一 = 一三三 = 三三一 = - = 三三 = 三一 - 三一引騰。師、 ). 加亠須のに対亠ョ・る直 ( 摯 , な ~ 安 ~ に田 5 集ヴゴ説 = ■が日常のなかに浸透してくる、という感覚わずうなってしまったのです。それと、その雰囲 国を強く覚えたのは、たしかゲームが流行しだ気。大教室で名物教授の講議を聴く : ・ : ・懐かしく 賞ンク集 ロした頃のことだったと思います。そして、現在でて、思わずカム・ ( ック・マイ・スクールディズー ュ 表のの ジ いは少年たちがマイコンをあやつり、ゲームに興じひとり妙なところで感激する聴講生でした。 発へ之 ( ネ ーているまでになりました。かっては″電子計算今月の翻訳陣にはラインスターにアパーナシイ 退一波 ( 曲機石と呼ばれていた巨大な装置が、ゲームのためと懐かしい名前が。オジさんは好きなんだそおー 次ゲ難 に使われているということは、まったく驚くべきこのストレートな。とは ? という疑告月コ ことでしよう。そして、こうしたテク / ロジーの 問への素朴な解答例です。今後も折にふれて五〇予 9 ュ 叩進歩に伴なう様々な弊害もまたの中に提出さ年代の傑作を紹介していきたいと思います。 ス孝の れてきました。しかし、。、 ノーソナル・コン・ヒュ さて、長いの歴史を下敷きに、い ま、過激Ⅷ次 8 回テ巽宏 8 ンく日曰Ⅲ ・タ、電卓といったの予想しえなかった存在がに界を揺るがすゲーム。の醍醐味を 第コ ンク 曲あったのと同様に、テクノロジーは思いがけぬ弊探るうえでも、安田均氏の連載に期待大 ! ( 池 ) 」ニ野 第ィアト き TJ イ 扣害を現代社会にもたらしたようです。 ■ 新宿駅でみかけた某デ・ハートの広告ポスター し J レ室Ⅷ 最 いま、貸しソフトの是非をめぐって、ソフトの女の人が浜辺にねそべってペー ー・ハックを読ん ズラヤ のワ イ究Ⅷ 潮カデ研 ラブチ 販売会社とレンタル業社が争っています。また、 でいるんですが、これが何とニーヴンの『リング ゼ・ス 恥貸レコードの問題はレコード業界の体質さえ変えワールド』。思わずニャリ。ナウっちいね、と大 ミナの 。つつあるようで、ア = メ原作物、アイデア物以外いに感心した私でありました。今年の夏は浜辺 ャワト切載卓回 = ミ士「 のミ「一ージシャンによるレコードは、極端に売れで、これできまりみたいだね。 ジドム読尾連村第読原 ( 印なくなっているということです。ューザーからすさて、は定員 ( 四千人い ) に達し ロエソぐ梶く眉・・石 . れば、安く借りてソフトや音楽を楽しみたいとい たそうで、申し込みを締切ったとか。いったいど 印う気持は当然でしようし、それだけのマーケット んな大会になるんでしようね。カセットの・フ ーマガジン一九八三年八月号 ( 第二十 回を前に、それを商売にする業者が現れるのも当然ログレスレポートなんてものも届くし : ・ : ・ ( 田 ) ・でしよう。だが、その結果は、オリジナルを作る■今年は、梅雨が短く、夏は暑い日が続くと気象四巻第九号 ) 昭和五八年八月一日印刷発行 ものはどうやって報われるのか ? ということで庁では言ってます。夏といえば、海や山へのヴァ発行所東京都千代田区神田多町二の二郵 早川書房 e »-; 東京 ( 二五一 l) 三一 す。現実が的な世界になっているという時、カンス、生ビール、大会、そして小麦色の肌 一 ( 代 ) マガジン編集部・ダイヤルイン いそれがたんにテクロジーの進歩だけではないことに白いシャッ : ・ : ・というわけで今度、わが 東京 ( 二五一 l) 三一一七発行人早川清 ⅶを、考えさせられるできごとだと思いますが ? マガジンでも三〇〇号を記念してシャツを作り 編集人今岡清印刷所誠友印刷株式会社 い皆さんはどうお考えでしよう。 ( 今 ) ました。詳しくは、二一五頁を。 ( 加 )

7. SFマガジン 1983年8月号

彼女は、囁くような声で言った。 に、知らなかったとは言え、君のやったことで、・ほくたちは非常に 「なんですって ? 」 困難な立場に追いこまれてる。だけど、すぎたことはもう水に流そ 「飛べない」 うじゃなしカオ ~ 、、。よーこ、ちょっと寄り道をすると思えばいいんだ」 「どうしてよ ! 」 「誰が責任を感じてるなんて言ったのよ」 ジェーンは、ジロリとレイクを睨みつけた。 急に声が高くなる。レイクは、何やら意味深な目つきで、ジェー ンをチラリと見た。 「車の中に、そんな大事な物を置いとく方が、馬鹿なんじゃない。 「なによ、その目」 冗談は、日曜と祭日だけにしといてほしいわ」 ふん ! てな感じで、ジェーンは昻然と胸をそらした。 「あー、つまり : : : 」 甘かった。 レイクは、言いにくそうにロごもりながら、情を説明した。 ージェーンが、借金のかたと称してレイクたちから巻きあげた車の レイクは、カなく首を振った。 ディストーション 「まあ、君が素直に謝るとは思ってなかったけど、それじゃあ一 中に、ワー。フェンジン用の空間歪曲コイルが置いてあったこと。ワ ー。フのできない宇宙船で逃走するのは、ドラム罐で海を渡るような体、なにを考えこんでたんだ ? おれたちの車はどこにある ? 」 「それが、ちょっとね : : : 」 もんだってこと、などなど。 ジェーンはロごもった。 「本当なの、ジム ? 」 を、第ー . ′ーし、カ / し 「ちょっと ? 」 「ああ。あればかりは、他の部品で代用するってわナこよ、 んだ」 ジェーンは、えへっと首をすくめて、言った。 ジムが、前を向いたまま、大きくうなすいた。ジェーンは唇をか「売っちゃったのよ」 んで、黙りこんだ。 「売ったア」 反省してるのかな ? レイクとジムは、同時に素頓狂な大声をはりあげた。 レイクは、ジェーンの横顔を、そっと観察した。ジェーンは、う「売ったって、いったい誰に」 つむいて、自分の爪先のあたりを、じっと見つめている。何か考え 「スクラツ。フ屋」 ど 込んでいるらしく、深刻そうな色が、その顔に浮んでいた。 こともなげに、ジェーンは答えた。ジムとレイクは、茫然と顔を ディストーション うやら、反省してるらしい。よしよし。 見合わせるしか能がなかった。彼らの車が、彼らの空間歪曲コイル が、巨大なカークラッシャーの中で、べっちゃんこにされる情景 レイクは、心の中でにんまりと笑って、おうような口調で言っ が、二人の脳裏をかすめた。 「ジ = ーン。君がそんなに責任を感じることはないさ。まあ確か「なんてことをしてくれたんだ」

8. SFマガジン 1983年8月号

そして仕事をしているうちに、タトラデンというものが自分なり とや、もっと細部にわたる説明の場合は、そんな印象はなかった。 : 自分の知らなかった事柄として、何とか頭に叩き込もうとしに実感し得るようになって行ったのかっ・ た。もっとも、叩き込むといったところで、彼がいちいち正確な数そういうこともあったかも知れない。 また、考えようによれば、一世界の司政を行うにあたって、その 字を覚え込む必要はない。そんなこまかいきちんとしたデータは、 がいつでも出してくれるのであり、それがの職掌のひ世界を完全にわがものにし、実感しようというのは本来不可能なこ とつでもあるのだから、無用の暗記をするのは馬鹿げている。彼はとなので : : : そこまで行かなくても : : : むしろそうなるとのめり込 たた、そうしたものを通じて、全体的にどんなかたちにな 0 ているんでしまうおそれがあるから、担当世界にど「ぶりとはつからす のか、要所要所ではどういう状態になっているのかを把握すれば事に、そこそこの離れた位置から仕事をするほうが望ましい うことも、あるのではないか ? 足りるのであった。 そういうことも、いえるかも知れない。 そうした学習をつづけながら、しかし、彼にはどうもびんと来な かったのだ。 彼には、まだ何とも決めかねるのだ。 ただ : : : 彼は、自分がこんな風に、どうしてもタトラデンをつか 大まかな概説と、統計 : : : それに煩雑な数字 : : : こちらから求め ればいくらでも、いや求めなくても限りなく与えられる中にあつみ切れない気になるのは、おのれが当のタ - トラデン出身だからでは ないか、との疑念も抱いている。 て、彼は、タトラデ . ン世界そのものをとらえたという実感を、どう しても持っことが出来ないのである。事物や、数字や、映像をいく もしも自分がタトラデンの出身でなかったなら、現在程度の知識 ら通しても、タトラデンというものを納得行くまでわがものにしたと感覚でも、充分にタトラデンを知悉したと信じていたかもわから ど ない。そして、司政官としては当面それでスタートしても一向に差 というむ情にならないのであった。何かもうひとつわからない、 支えなかったかも知れないのである。しかし、そうなるには自分は こかべールをかぶっているような気分が、つきまとうのた。 それはなるほど、これで司政をしろといわれても、やれないことすでにタトラデンの住民としてタトラデンを知り過ぎ、自分なりの はないだろう。ある状況に対しそれなりに公式的に手を打って行く固定観念を持ってしまっている。そのもともとのタトラデン観と、 ということで、仕事は出来ないわけではないが : : : 自分でも何とな司政官としてのタトラデン観とを、何とか合致させ、総合され統一 されたものとして把握しようとするから、どうしてもうまく行かな く得心の行かない面が残るのではあるまいか ? いいかえれば、いろんな角度から眺めた全 いのではあるまいか 2 と、彼は思った。歴代 歴代司政官たちはどうだったのだろう の司政官たちもまた最初の間はこんな感じのままに、やりはじめた体的なタトラデン像をおのれのものにしようとしているので : : : そ んなことは実際には不可能なのではあるまいかっ・ のだろうか ? わからない。 そうかも知れない。 5 っ宀

9. SFマガジン 1983年8月号

「計画を説明している君は、即座にそれを実行に移したそうな口調誤るような知能の低い者には解読できないような記録をさ。子孫に だった」 残す謎というわけだ。いつの日かそれを使えるだろう」 「そんなことはない ! もちろん、・ほくにだってわかっている ようやくサ ットンは徴笑した。 君の言わんとするところはわかるーーと、思う」ウエストーヴァー 「そいつはいいや。きみはそのことを終りまで考えぬいたんだね。 は落胆した顔つきになった。 わかるよ : : : 。人類史のこの局面は永遠には続かない。いっかは怪 サットンはかすかに徴笑んだ。 物も地球に似ている星に着陸するだろう。な・せなら、やつらの獲物 「そうだろうとも、ビル。生き残るために、我々は立派な寄生生物はそうした星なのだから。サナダムシもラクダの内臓にはいれば、 にならねばならない。つまり、なによりも、これからの何世代ものサハラ砂漠を横断することができるーー」 あいだ、数をあまりふやしてはならないのだ。立派な寄生生物は宿彼の声は大きなシ、ーという音にかきけされた。途方もない高圧 主を殺したり、負担をかけたりしないものだ。腺ベスト菌やチフスが部屋の壁を歪ませ、みんなの足をすくった。サットンは酔ったよ うによろめいたが、立ったまま、傾いた床をなんとか進み、大事な 菌のようにバカな生物の二の舞いは踏みたくないからね。それより 装置が無事かどうか確かめようとした。彼はウエストーヴァーらの も、模範とするべきなのは卑しいサナダムシだ。 同じ理由から君のアイデアは危険だ。怪物は恒星間宇宙を何千年ほうを振り返った。足を踏んばり、なにか叫んだ。やがて、自分の も旅するだろう。その間、やつらは自分の脂肪ーー・地球で蓄えた燃声が轟音にかき消されたのを知ると、身振りで去りつつある地球の 料を使「て生きのびる。我々もそうするのだ。我々の前には新しい方を示した。それはなかば悲しげで、なかば勝ち誇「たような別れ なのあいさつだった。 人類の歴史がひろがっている。こんな激変した状況下では、い、 ることになるか予見できない。最大の危険は、人間が宿主を殺して しまうほど繁殖することだ。しかし、想像してみたまえ、みんなが 生活できる空間がぜんぶ合わせても数千匹の怪物に限られ、それぞ れの怪物が維持できる人間の数がごく少数だとしたとき、そこで生 活圏を獲得する戦いがどんなものかを。 君の方法では子孫が住 める小世界を簡単に破壊してしまうことになる。そんなダイナマイ トを家の中にはあぶなくて置いておけない」 ウエストーヴァーは頭を垂れたが、そう言うサットンの眼になに かを待ちうけるような、奇妙な光があるのに気づいた。 「ぼくの考えを記録する方法を考えだしたらどうだろうーー用途を ー 05

10. SFマガジン 1983年8月号

ンポ婆さんの坐っていないガイホ婆さんの揺り椅子を見たのは今日 細長い釗があった。 がはじめてだった。毎朝、彼女は椅子といっしょにあそこに出てい 5 ジェリイは悲鳴をあげ、無理やりに顔をそなけた。そのとたん、 たものだ。そして、日が暮れると、いつも椅子といっしょに引っこ 彼はシーツにもつれ込んで床に這いつくばっている自分と、扉口に ロんだものた。明かるいうちは、椅子と婆さんはいつもあそこで揺れ ンヨッキイ・ショーツ一丁で立っているハロルドに気づいた。ハ ていた。いつも。 ルドが言った。「おい、大丈夫か ! 」 一種の悪寒がジェリイの驅を通りすぎた。「ばかな」彼はつぶや 「あいつが窓から入ってくる」ジェリイは床にへたばったまま、息 もたえだえに言った。 「どういう意味よ、ばかなって ? 」ウェイトレスが言った。彼女は ハロルドがあけつばなしの窓をちらりと見た。そこにはただカー テンが、のんびりと風にねじれているばかりだった。「阿呆」 ( ロチーズ・オムレツを持「てそばに立っていた。「だって、あなたこ れを注文したじゃないのよ」 「ここは三階だぞ」 ルドが言った。 「ああ、そりや」ジェリイは泡をくった。「きみに言ったんしゃな いんだー つぎの朝、みんなして朝食をつくろうと右往左往している最中、 ウェイトレスはけげんそうに彼を見つめ、オムレツを置いて去っ ジェリイの悪夢はみんなの大笑いのタネになった。いや、ジェリイ 以外のみんな、という意味だが。彼はただルームメイトたちをにらていった。 「ばかな」ジェリイはくり返し、フォークをとりあげた。 み付け、コーヒーを飲み、それからそそくさと私書箱のチェックに 郵便局へ出かけていった。この界隈では、私書箱はむしろ必需品だ しかしその夜、彼がアパートに戻ると、揺り椅子はまたそこにあ った。郵便物はかならず破かれて中身をあらためられると決まって った。からつ。ほのまま。ジェリイはそれを無視した。 いたからだ。 つぎの日、彼は裏階段から出入りした。揺り椅子のことも、ガン 彼は正面階段をおりていった。ガンポ婆さんに気のふれた針男ど もについての、もっとでたらめな話を聞かされるものと、すっかりポ婆さんのことも、針男のことも、そういったことはいっさい考え ないことにした。彼。 覚吾はできていた。ところが幸い、彼女はいなかった。揺り椅子は よ一日中環状線内を動きまわり、暗くなってか いつもの玄関ホールにあったが、だれも坐っていなかった。ジェリら二時間ほど飲んでまわったが、まるでなんの役にもたたなかっ た。まわりにいる女たちに、関心を集中することができなかった。 イは幸運に感謝して、椅子のそばを通りすぎた。 ローレンス街のコーヒー ソ。フで仕切席に坐り、手紙に目を気がつくと自分のビールをじっと見つめて、あのからっ・ほの揺り椅 通しながらチーズ・オムレツを待っているとき、突然彼はことの奇子を思いうかべているのだった。 そして真夜中近く、あの横丁へまがり込んたとき、彼はさらに戦 怪さに思いあたった。あのアパートに住みついてから四年近く、ガ