ビルス - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1984年11月号
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1. SFマガジン 1984年11月号

ビルス の短剣を、わたしたちに渡してくださいません ? 」 i.-a ()n が喚いた。 ク声ス が、その声も、自閉した O t-n の耳には届かな、。 クス ランドリアン・ O TJ が、よろりと後退った。 そのまま、彼は、ロをつぐんでしまった。 そして、いやいやをする子供のように、首を激しく振った。 またも そこへ ぐらり、と揺れがきた。 ローヴァー・ 0 が、音もなくつめよった。 O を除く、立っている全員が、それでよろめいた。 「ーーーまさか ! 」 そして、一挙動で、彼の手から衝撃銃をひったくった。 クロス ビルス ミーラー・が声を張り上げた。 だが、そうされても、はことさらに抵抗するではなかっ唐突に、 「まさか、きさま、あの鍵を ク戸ス かえって、ほっとしたように肩を落とし、そのまま、へなへなと ランドリアン・ O の唇の端が、ぐにやりと歪んだ。 笑った、のかもしれない。 床に座り込んでしまう。 そして、つぶやいた。 アイ・カメラを通して、ルー・風はそう感じた。 「・ : : ・なるほど・ : : ・〈ネティの鍵〉、か : : : ふん : : : そこまでは、 考えたというわけだ : : : 錬金術にいれあげていただけのことはある : しかし : : : しかし : 彼の声は、次第に細く、聞き取りづらいものになっていった。 「 : : : しかし : : : おまえたちは、そこまでだ : : : そこまでしか、知 ってはいまい : だが : : : しかし : その時どこかで、何かが、ごう、と音をたてた。 そして、この移動基地が、ぐらりと揺れた。 「ーーなんだ」 ビルス ミーラー・が、目を剥き、拳銃を振り上げた朝 「 : : : 来たそ ! 」 クロス ランドリアン・ O のつぶやきが、微かに聞こえた。 「・ : ・ : 来たそ ! とうとう・ : : ・」 「なにツ何が来たんた ショックガン ク戸ス ( 以下次号 ) ー 58

2. SFマガジン 1984年11月号

「うたた寝、ですっ・て は、とにかく何も話さない方がいい。分かるでしよう ? 」 彼女が、片方の眉を大きく上げた。 ルー・風は、うなずいた。 「あなたは、ここで、うたた寝をしていたっていうの ? 」 それは、確かだ。 「そうです」 言われるまでもなく、どんなことであろうと、もとより、彼に何 ルー・風は答えた。 かを告げる気にはなれるはずがない。 「プリントを眺めている内に、つい眠くなって : : : 」 「いいわ。じゃあ、出かけましよう」 「そしてー ー ? 夢を見たんじゃなくて ? 」 彼女が言った。 ルー・風は、ぎくりとした。一 「出かけるーー・ ? 」 ク声ス 彼女は知っているのだろうか 「そうよ。ランドリアン・ O を捜しにいくのよ。彼が持ってい 彼女もまた、あの″門 / / をくぐったことがあるのではなかろうかる〈ネティの鍵〉を取りもどすために そうだった。 しかし、そうは思ったものの、彼は慎重に否定の言葉を口にし そして、ルー・風は、記録員としての装備を整えてついてくるよ う命じられていたのだ。 、え : : : 見たかもしれません。でも、忘れました。何も : : : 覚 そのことを、やっと思い出した。 えていません : : : 」 しかし、〈ネティの鍵〉を″取りもどすとは、また勝手な言い 「そう : : : 」 ビルス アイリ 1 ・ン・は、不満そうに鼻を鳴らした。 それは、彼女のものでも、 n のものでもないのだ。 が、それ以上、彼を追求しようとはしなかった。 しかし、それをどうこう言っても仕方がない。 「いいわ。分かったわ。そういうことにしておきましようーーーこ 今の彼は、ともかく、彼等について歩くしか道がないのだ。 そして、ちょっと考えて、言葉を継いだ。 「でも、大丈夫なの ? 坊や : : : そんな様子で、出かけられる ? 」 「ーーーでも : : : そうね : : : もし、その、あなたが見たかもしれない アイリーン・が、本気で気遣っているかのような声を出し ビルス 夢を思い出したとしても、ミーラー・には話さないことね。 それと・ーー」 : ええ、なんとか」 ′ール 、アイリーン・は、唾液で汚れた〈エメラルド盤〉を爪の先で ・風は答え、立ち上がった。 弾くと、続けた。 足元が少しふらついたが、金星服に入ってしまえば、筋肉は休め ビルス ミ 1 ー一フ 「うたた寝の話も、まずいわ。 ・»-a TJ にていられる。 しいわね ? テーゾマ / ー 48

3. SFマガジン 1984年11月号

ビルス 少佐は、まだ、明らかに不服そうだ。 当然、ミーラー・も、とてつもない秘密を、それこそいく ( ーーわけが分からぬ ) といった目配せを、ルー・風の方に送ってらでも抱え込んでいるはすである。 くる。 それらが、いっか、出合うことがあるのだろうか ・ : ルー・風は、それに応えることができない。 それとも、積み重なった秘密が、自らの重みに耐えかねて、不意 メノーンドーム にはちきれたりするのではあるまいか 主気閘へ通じるハッチが見えてきた。 シャッター 「まったく ! おまえたちは、何をぐずぐずしておるんだ。こんな その遮蔽扉は、開かれたままになっている。 クロス クソッー・て その向こうで、人影が動いていた。 ことをしていて、 O に逃げられでもしたら ら ! 早くせんか ! 」 「ーー何をしておる ! 早く ! 走ってこい ビルス 叫び声が聞こえてきた。 ーラー・に追いたてられて、三人は地上車の発着場へ急 ピルス 待ちかねているミーラー・»-äだ。 ヴィーナスーツレッシ / ダルーム アイリーン・がそれに応じて足を早めながら、素早く振り向その向こうに、金星服の装着室がある。 いて言った。 記録員用の装備も、そこに揃っていた。 カートリッジ 「分かってるわね、少佐ーー〈エメラルド盤〉をに見せ新しい記録筒だけを、それに装鎭してやればいい。 たなんてことを、»-; に喋っちゃ駄目よ。ほのめかしてもいけな ルー・風は、早速、その作業に取りかかった いわね ? 」 「ところで、博士ーーー」 ヴィーナスーツ ビルス 「それは もちろん。分かってます」 金星服にもぐり込みながら、ローヴァ 1 ・ 0 が、 *-äに尋 が答える。 ねた。 しかし、彼は、分かっていない。 「ランドリアン・ O の居場所ははっきりしているんですか ? 自分が何をしたかを、理解した様子ではない。 もし、あちこち捜し回るのなら、予備の器材を用意しなくてはなり ( : : : それにしても ) ませんしーーーー , 一 ピルス ルー・風は、こっそりと溜め息を吐いた。 ミ 1 ラー・は、うめき声で、それに応した。 またも ″に話してはいけない″である。 「 : : : うむ、いや : : : それほど長い旅にはならんだろう。恐らく、 こうして、秘密だけが溜まっていく。 そう : : : 三時間もあれば、奴を追いつめられるはずだ」 グス にもかかわらず、何ひとつ、明らかにはなっていかない。 「追いつめる ? じゃあ、 O cn 教授は、どこか、このあたりを移 ( 一体 : : : どうなるのだろう ) 動中なんですか ? 」 ルー・風は思った。 「・ : ・ : うむ : ・・ : まあ、そんなところだ。とにかく、儂の指示通り テーブマン タロス ランにート 22

4. SFマガジン 1984年11月号

ク声ス 「それが嫌なら、ランドウ、ここで死ぬんだな。ターニヤや、あの ランドリアン・ O の顔が、今度は、まっ赤に充血しはじめ 記録員のように ーーーえ ? 儂をだまして、病棟へ押し「知らん ! わたしは、何も知らん ! 」 「おい、どうした、ランドウ 込めたつもりでいたんだろうが、そうはいかん。ふん : : : こんなと「そうかい。知らなければ、それで結構だ。〈ネティの鍵〉だけ渡 ころで、こそこそと、墓泥棒めがーーー」 してもらえれば、儂等も、何も知らなかったことにして、ここを立 え ? ランドウ、どうた ? 」 ち去ってもいい。 「何を言うか、この ク tl ス ランドリアン・ O が、吠えた。 ランドリアン・ O の両目が、極限まで見開かれた。 「それより、アイリーン ! 少佐まで : : : なんで、こんな奴の手先「〈ネティの鍵〉だとーーー ? なんだね、それは : : : そんなものこ いや、おまえは、 にならなくちゃならんのだー おまえたちまで、まさか、正気そ、わたしは知らん。気でも狂ったのか どうなんだ卩」 をなくしたわけじゃなかろう卩 もとからまともじゃなかった。また、どこから、そんな妄想をひろ ってきたんだ 「教授ーーー」 アイリーン・が静かに答えた。 彼は、必死だ。 「正気を疑うなら、お互いさまじゃありません ? ターニヤをあん必死で喋り続けながら、なんとか、逆襲のチャンスを探ってい な目に遇わせて : ・・ : それに、カーリイ・まで : : : 」 ビルス 「な、なにツなんの話だーー」 ミーラー・がしびれを切らしかけてい しかし、そろそろ、 クロス ランドリアン・ O の目が、逃げ場を探すかのように、忙しく 動いた。 彼の手の中のマグナム・リポル、、ハーが、苛々と揺れ動きだしたの 「なんの話、だと 忘れたのなら、記録を見せてやろうか」 が、その証拠だ。 ビルス 危険だった。 \-a は嘲笑った。 記録だって ? なんの記録た。わたしは知らん。ふ このまま、やりとりが続けば、、・ しすれどちらかが、それに決着を 「記録ーー ざけるな ! 出ていけ ! おまえら、みんな、ここから、すぐに出つけようとするだろう。 ていくんだ ! 」 「教授・ーー」 記録と聞いて、彼は逆上した。 アイリーン・が、それを察したらしく、割って入った。 ショックガン 衝撃銃を握る右手が、ぶるぶると震えたす。 「〈ネティの鍵〉と言っても、お分かりにはならないかもしれませ んわね。だったら、言い直しましようか ? 短剣ですよ。ターニヤ 5 「出ていくのは、おまえの方だ、ランドウ ! 」 ビルス が地面から抜き取って、そのおかげで黒こげになってしまった、あ ミーラー・が、負けじと怒鳴り返す。 テーブマン こ 0

5. SFマガジン 1984年11月号

ビやス ・前回までのあらすじ・ そこで、狂博士ミーラー・ \--äから渡された〈エメラルド盤〉 と称するものの接写。フリントを眺めていただけだ。 記録員であるルー・風は金星調査隊の欠員補充のために、金星の 衛星基地《ヴィーナスター》へと派遣される。だが、」 到着した彼を そして、偶然に、ひとつの紋様に注目した : : : それが、 待ち受けていたのは無人の発着ルームであった。彼は酷寒の発着ル 意味する文字ではないかと空想し、さらに、もうひとつ、″鍵〃に ームで内部への通路を探すうち、エレベーターを見つけるが、そこ 相当するのではないかと空想し得る文字を見つけて : ・ で白衣の女性アイリーン・に出会う。あまりの寒さに意識を失 ( しかし ったルー・風は彼女の部屋へ連れていかれ介抱され、彼は金星で撮 〃であり、″鍵で どうあれ、それは、ただ文字の上での、 ったといわれるあきらかに人造物を撮ったと思われる不思議な写真 を見せられる。その後ローヴァー・ (.50 少佐らと死んだ前任者であ あるに過ぎなかったはずではないか るカーリー・ のコ・ヒー・アンドロイドのところへ、情報の引き そんな、″文字″を″くぐる″とは、どういうことなのか 継ぎに行く。ルー・風らはカーリー・ の死に関係のある映像記 それよりも何よりも、その文字に似た紋様を″ ″と解したこと 録を受け取りそれを見るのだが、ミーラー・博士に邪魔をさ すら、実に、ルー・風の勝手な思い込みなのである。 れる。アイリーン・が博士を衝撃銃で倒し、ルー・風らは金星 ビルス へ降下しようとするが、またしてもミーラー・博士に行く手 にもかかわらず ドールジー′ビルス をはばまれる。博士を説得し、結局風、、 (.50 、の四人 そんな思い込みの内部に、彼はふと入り込み、そして閉じ込めら で金星へ降下する。降りたった一行は基地の試験坑道へと入り、 れてしまったというわけだ。 博士に文字らしきものの描かれた石盤を見せられ、話を聞く。 ( ーーー馬鹿な ! ) そして各自文字盤の解読をいいわたされるのだった : ・ 佃力が、根本的におかしい。狂っている。そうに違いなかった。 登場人物 そして、狂っているとしたら、それは、まずもって自分だ。これ ルー・風・ : : ・宇宙開発部隊所属の記録員。 らは全て、彼自身の頭の中での出来事に決まっている。 アイリーン・ : : : 国際宇宙連盟所属、中佐。 が、その″狂い″を意識の上で、どうしても納得できそうにない ローヴァー・ (.50 : ・・ : 部隊の先任士官、少佐。 どルス もどかしさが、やっとのことでルー・風を苦しめようとしはじめて ミーラー・ : ・・ : 連盟の嘱託研究員、惑星地質学者。 なんであれ なる物質によって形造られているのかを言い当てることはできなか それが現実であろうとなかろうと、彼の目の前には、閉ざされたった。 鉄の門と石の壁が立ちはだかっていた。 鉄のようではある。が、どこか : : たとえば、表面に浮いた錆の 鉄や石といった呼び方は、しかし、便宜的なものだ。 具合が異質だ。 その、見た目の質感が似ているというだけで、実際それらがいか あるいは、石壁と見えるものも、その肌が、妙に植物的だ。なん テー・フマノ ー 40

6. SFマガジン 1984年11月号

のだ。 に、地上車を動かせばいいんじゃ」 ピルス あの、〈エメラルド盤〉を与えられたが、呼びかけに ミーラー・は、苛立たしげに声を尖らせた。 応じないというのた。 「しかし、博士ーーー指示通りにと言っても、航法をあらかじめポー しかし : : : ) ( まさか トに入力しておかないとなりませんから : : : 」 「大丈夫ーーー、この座標でもなんとかいけますよ」 「そんなもの、適当に人れておけばいいんじゃ」 「そうはいきませんよ。でたらめな進路をとると、ポートが帰り道相変わらずの陽気な調子で、ローヴァー・ (-bO が答えている。 レスキュー 「 O O »-äはきっと、また、欝ぎこんでるんでしようよ。それと で迷うことがあるんです。救助隊にびろってもらうような、不様な も、何か、瞑想の最中かな ? 」 ことにはしたくありませんからね」 ビルス ミーラー・ TJ の目が、なせか、ぎら ″瞑想″という言葉で、 「 : : : うむ」 ピルス はまたもうなり、しばらく考え込んでから、もそもそとポりと光った。 ケットを探って、一枚の紙片を取りだした。 : これが、座標だ。二地点ある。それを結んだあたりのどこか 第五章星母伝説 に、奴はいるはずだ」 金星服から上半身を乗り出して、がその紙片を受け取った。 — (--€・ Z Z 4 0 0 3 3 : 「—・ Z 5 4 0 21 : ・ : なるほど、これは、交信記録用の相対座標ですね ? 」 「・ : : ・うむ」 ピルス 不機嫌にうなり、は続けた。 「 : : : もっと具体的な地形座標を知ろうと思って、ヴィーナスター を呼んでみたんだが、どういうわけか、 O O —の奴め、応答を しやがらん。まったく、クソッ ! 役に立たん腐れ頭脳めがーー」 ルー・風のかたわらで、カートリッジの装填作業を見つめていた アイリーン・ Q が、その、の言葉で、息を呑んだのが分か っこ 0 ・風も、また、彼女と同じ強い不安を、その瞬間に感じたも N 0 、ー 1 ゆるやかな上りが続いていた。 大地は平坦で、しかしもろかった。 静かな世界である。 そして、見た目、そこは涼しげな世界でもあった。 しかし、そんなはすはない。外気温は、摂氏四百五十度を超えて クリア・ワールド 晴天界の気底、即ち地表は、何十億年にもわたって、猛烈な圧 力と熱と乾きに痛めつけられてきた。 つまり、朽ち果てているのである。 六輪の地上車は、時速十マイル以下の這うような速度で、その長 ラソ . ドート ー 53

7. SFマガジン 1984年11月号

、チカ上がった。 もないと、儂等全員がやられる。 ピルス 、そしてが、金星服をよじりながら、もがくように中「分かったわ」 アイ・カメラの視界の片隅で、固い表情の彼女が、ともかくもう へもぐり込む。 ール ル 1 ・風とアイリ 1 ン・も、すぐ後からもつれあうように転なすくのが、見えた。 「よし ! 開けろーーー」 がり込んだ。 ピルス b-äが喚いた。 外部ハッチが閉鎖した。 O が、ハンドルを回した。 気圧回復を示すサインが灯った。 ヴィーナスーツ ハッチは、シュンと小気味よい音をたてて、横に滑った。 四人は大急ぎで金星服から這い出した。 そこに おい ! カメラを忘れるなーーー」 ピルス ランドリアン・ O が立っていた。 ミーラー・の声が飛んだ。 とは一一 = ロっても、ルー ・風にとっては、はじめて見る顔である。 ルー・風は、大きめのゴーグルといった格好の標準環境用アイ・ カメラを、頭部にじかに装着し、それを作動させた。 長身だ。 0 は早くも内部ハッチの開閉ハンドルを握り、身構えている。 黒い、長くのばした髪を、びったりと撫でつけている。 ピルスヴィーナスーツ が金星服の中から、例の、馬鹿でかい、前時代の拳銃を引 その顔面は、歪み、はっきりと蒼ざめていた。 っ張りだした。 そして ソウズブオーティーフ十ー 四十四マグナム・リポルバーである。 案の定、彼の手には、黒光りする得物が握られていた。 ショッグが / そして、もう一丁、アイリーン・から取り上げた衝撃銃を取アイリーン・と同じ、衝撃銃のようだ。 りだして、彼女の方に向き直った。 ただし、タイ・フが違う。 「おい、こいつを返してやる。奴も丸腰ということはないはずだ。 彼女のものよりも、ふたまわりほど大きい ビルス 二人で二方向から狙うんだ」 言って、その衝撃銃を、彼女に放る。 ランドリアン・ O が、憎々しげに歯を剥きだした。 「待って ! 教授を撃つつもり 「なんだ、おまえたちは 何をしにきた。出ていけ ! すぐ 慌てて、彼女は訊き返した。 ここから出ていけ ! さもないと , ーー」 「それは、奴次第だ」 「さもないと、どうするんだ、え ? そいつをお見舞いするとでも ピルス ミーラー・はつけ加えた。 言いたいところだろうが、こっちは四人だ。銃も二丁ある。さあ、 にやり、と口元を悪魔的に歪めて、 「しかし、 いざという時には、絶対にためらうなよ。さ撃ってみろ ! 」 ショックがン ヴィーナスーツ クロス ショックガン 26

8. SFマガジン 1984年11月号

い上りを蛇行しつつ進んでいく。 大きな崩落の跡を過ぎたあたりで、ポートが唐突に停止した。 やがて、前方に、細い、谷状の地形の入口が見えてきた。 なんだ ? どうしてーーー」 ピルス それは、チグリスと名付けられている大渓谷から分かれた、いわ喚こうとするミーラー・を、金星服の腕を振り上げて、ロ ば支流にあたる大地の裂け目である。 ーヴァー・ 0 が制止した。 ランド第ー 地上車は、さらに速度を落とした。 そして、彼は、その腕を、ゆっくりと前方に振り向けた。 そして、その谷への進入を開始した。 その先に このあたりが、通信座標で示された第一地点—e ー NW544 / ( R021 にあたる。 ルー・風も、それを見つけた。 プレイノ 通信座標というのは、受信側の制御脳が、発信点をおよそ推定し半球形の金属屋根が、岩の向こうにのそいている。 ローヴィング・・ヘース て記録する数字で、あくまでも便宜的なものだ。 移動基地だ。 遭難などの事態が発生した場合、捜索範囲をそれによって絞るこ そうに違いなかった。 とができる程度の正確さに過ぎない。 移動基地は、その名のごとく、居住スペースと簡単な研究設備を しかし、この場合は、それで十分に足りた。 持つ大型の無限就道車である。 というのは、第一の座標で示されている地域内に、ちょうどこの定員は五名で、補給なしでも二週間程度の単独活動が可能だ 谷の入口があり、第二の座標付近が、同じ谷のもう一方の端にあた金星の各基地あわせて、七台が配備されている。 クロス っていたからだ。 その一台を、八日ほど前から、ランドリアン・ O が独占的に ピルス つまり 使用していることを、が突きとめていた。 タス ランドリアン・ O はどうやら、この小さな谷の中をうろっき しかも、同行者はいないらしい ながら、何かをしているらしい かって彼の仲間だったと思われるターニヤも、そしてカーリイ・ そう、推測できた。 »-a も、死んだ。 ラノにート 谷へ入ると、急に地面が荒れてきた。 (-50 が、いざるような動きで地上車を後退させ、大きな岩の影に 大小の岩塊が、いたるところに、ごろごろと転がっている。 隠した。 それらを乗り越え、あるしを 、よ避けながら、金星服姿の四人をの 「ここからは、歩いて近付いた方がいい」 せた地上車は、なおも慎重に進んでいった。 彼の提案で、三人は地上車から降りた。 タンムーズ基地を出て、一時間余りが過ぎている。 先頭は、 (-50 だ。 ビルス ドール と ランドート ヴィーナスーツ ランドート ヴィーナスーツ ー 54