ったく見つからぬ。ペッドルームにもない。「ここには眠けざましね。これからどうしても明日の夕方まで起きていなくちゃならな 。そうすると、どのくらいの量が必要なのかな ? 」 は何もなかったかな」 わざと声に出して自問してみた。だが、コリーの思考からは、ま エディはちょっと首をかしげるようにしてうなずき、考えこん ! 」 0 ったく応答はな、。 誰か〈薬〉の常用者はいないか ? やはり、エディ・フィンチし「おれの売り値で十ドルぐらいかな。本当に必要になるまでは かおらぬ。さっそう、電話した。 〈薬〉を使わんほうがいい・せーーー壁をよじ登るようなまねをしたく 「エデイかな ? コリー ーセルだ」 なかったらな。いいな ? 」 「すまんな、今、いい気持になってる最中なんだ」 そう言ってエディは小さな容器から手のひらの上に振り出した錠 エディはコリーが嫌いなのだ。しかも、それを隠そうともしな剤を親指で教え、それをさらに小さな別の容器に移した。 「十ドルだそ、いいな ? 」 「いや : : : 実はその、ばくにも〈薬〉を分けてもらえないかな ? 二人はドルと錠剤を交換した。 徹夜で仕事をしなければならないんだが、ここにはその種のものが「いいとも。ありがとう、エディ」 まったくないんでね」 「また欲しくなったら、いつでも来てくれ。でも、こんなものに夢 ちょっと間を置いてから、エディは言った。「ま、分けてやらん中になるなよ。もっといいものもあるんだから」 こともないがね。よし、分けてやろう。いっ渡したらいい ? 」 もっと しいものだって : : : そのとおりだ。しかしいったいどう 「その : : : 今からそっちへ貰いに行っても、 しいかな ? 」 やって、アートの知りたいことをコリーに訊かせたらいいのだ ? 「いいとも。金はちゃんと持って来いよ。貸し売りはしないそ」 ま、とにかくやってみよう。 しろもの 「うん、必ず持って行く。ありがとう」 「きみとアートが先月やったやつは、かなり強烈な代物だったらし いな」 これまでアートとしては気づかなかったことだが、こうして長身「ああ、あれか」と、エディは肩をすくめ、「ま、あれは新しいも そっぱ のコリーから見るとエディ ・フィンチはまさに反歯のチビであり、 のだったし、おれたちはちょっぴり飲みすぎてしまった」と言っ かなり不快な相手である。この違和感はおそらく多分にコリーに対て、悲しげな顔をした。いや、怒った顔だったのかもしれない するエディ自身の態度からくるものなのだろう。どうやらエディは アートには、どっちとも判断のつかぬ表情である。「で、おれもあ コリーを軽蔑すると同時に恐れてもいるらしい のときは一、二分、気を失っちまった。それだけのことさ。無意識 「やあ。〈薬〉が欲しいんだって ? 量はどのくらいだ ? 」 のうちに〈緊急医療センター〉へ電話して救けを求めたらしい。な 「ゆうべはよく眠ってるんだ。今朝起きたのは八時ごろだったからあに、心の中では大丈夫だとわかっていたんだが、おれの頭の中の かね 0 9
あったが、これほど大規模な部隊を動かすのははじめてだった。 「ヨナ」 人間型生命を殺したこともある。 少女が呼んでいる。 この手で : : : 至近距離から銃器の引き金をひいて・ 「もう行かないと」 だが、それは正しい判断だったと今でも信じている。軍のため、 あたしはふと耳をそばだてた。 をしったいなんだろう。そも 人類のために。だが、正しい判断とよ、、 水の音がする。 そも″正しい″とはどういう意味だろう。立場によって、状況によ 水が勢いよく噴き上がる音。 って、それはあまりにも違いすぎる。″正しいと信ずるためには 〈何か来たわ〉 それそれに宗教が必要なのだ。 少女は目を見はって、身を硬くした。 たとえばかれは、あるいは幻かもしれない″神″の片鱗をつかも あたしは訪問者用の外回りの監視カメラを使った。 うと躍起になっているーーひつつかまえて、生命の意味を問い正す するとなんと、十二個あるうちの十個が潰されていることがわか った。十個は、タイム & サ】ヴィス社の規格品、潰されなかった二つもりなのだーー・軍の中枢に位置する人間が、だ。 ・は、軍神の夢を見ることがあった。 個は、警戒心の強いママが勝手にとりつけたものだ。 赤い髪、琥珀の瞳をした青年将校の夢だ。 あたしは残った二つの目を使った。 Q ・は彼に励まされて自らを信ずることができる。彼女は重大 そして唸った。 な判断のまえには、必ず軍神に祈るのだーー・ーオネガイデス。コレカ 〈たいへん : : : あんた、いったい何なの ! 〉 少女は覚悟を決めたように立ちつくしていた。そして静かに告げラデス : ・は出陣前の瞑想を・ハッサリと切りすてた。そして号令をか ける。 「あたしはサン・フル証号というの。軍から脱走してきたのよ : 「全軍戦闘準備、 八台のディスゾレイが組み込まれたコンソールバネルの前に、シ 〈サイフル証号 ? 軍、ですって ? 〉 しん ノハラ中尉がかけていて、忙しく無線で連絡をとりあった。 あたしは実に久しぶりに、体の芯が痺れるような興奮を覚えた。 「準備よし ! 」 彼女は、やつばり普通じゃない、普通じゃないー 中尉がふり返って答えた。 家のまわりを、正規の軍隊が静かにとりまいているのだった。 彼は・の強いまなざしに出会い、深く満たされた。それが彼 の宗教なのだった。 ・は決断を下さなければならない。 サン・フル虹号は大量の肉を欲していた・ 特殊任務をおびた軍人として、重大な決断を下すことはたびたび〈肉なら、地下の冷凍庫にゴロゴロしてるけど〉 2
とりあえず、彼女の自殺の道連れにだけはされな ロン・ Q>H は、もう一度とんぼ返りを打って、あたりを見回し そうすれば いで済む。 静かだ。 しかし、それは、アイデアほどに単純な作業ではなかった。 アラーム たとえ、切り離しが無事に成功したとしても、今度は、 O@O* 少なくとも、警報の原因となりそうな事態が発生している気配は に代わって、誰かが、あるいは何かで、それを制御してやらなく感じられない。 どういうことだろう てはならないのだ。 どこかで、何かの機械が、チチチチ : : : と軽い音をたてた。 そんなことが不可能たからこそ、 O O —という超知性体が、 それが、妙に楽しげに聞こえた。 ヴィーナスターに導入されたはずではないのか ( からかわれているのではないか : : : ) どうしようもない矛盾だった。 ふと、そんな気がした。 そして、その巨大な矛盾が、今や、ロン・たち技術員の肩に だとしたら : : : だ。彼女の悪戯かもしれない。 のみ預けられている格好だった。 キュイ ロン・ O>H は、空中でゆっくりと身体をよじった。 「クソったれめがーーー」 キュイ ためらう気持ちが強かった。 ロン・ O>H は、宙をただよいながら、独り毒づいた。 プエイス ・ : 結局、彼は、壁面の欄伝いに床の方へ頭から下降していっ そして、壁に埋め込んであるの総機能端末器を見つけ て、それをにらみつけた。 プル・プニイス テックマン そこに、総機能端末器のスクリーンがある。 彼女の狂気は、とても技術員などの手におえるものではなかっ キュイ ロン・ O>H は手をのばした。そして呼び出しボタンに触れた。 彼女は、人間と同じだった。いや、その知能の質から計れば、人スクリーン・フェイスを、チカチカと光が走った。 間よりも遙かに複雑な存在と言えた。 しかし、具体的な映像は現れない。 だから、彼女には、技術者ではなく、医者が必要だった。 こんなことが、最近はよくある。またも彼女は、セラミックの内 ・スペース それも、彼女に匹敵する超高度の知能を有する医者がついてやら宇宙に閉じこもってしまっているのだろうか : ねばならなかった。 しかしーーその役を、人間がこなせるはずもない。それができる ロン・は、声で呼びかけてみた。 のは、恐らく : : : 神、だけであろう。 ・ : あるいは、彼女に必要なのは、なんらかの宗教であるのかも「 : : : 誰 ? 」 しれないのだ。 思いがけず、応答があった。 ャュイ テッケマン イイド ー 42
煙を、おれに背を向けて眠っている女のカーリー・ ヘアは吹ぎつ おれは隣で寝ている女が乗ってきた真赤なラングレーが、地下の けてやった。だが平然と彼女は眠っていた。よっぽど疲れたらし駐車場に置いてあるのを思いだしていた。おれは車は持っていなか 4 、。おれも腰がガタガタだった。 ったが免許はある。 「もう、おまえの所に行くのはごめんだよ。遠いし、まわりは畑ば あ、ありがとう。助かる。必ずきてくれつ。な、よ ?. こっち かりだし。会うんだったら、おまえが都心へでてこいよ」 「ああ、行くよ。午後になるかもしれんけどな」 そう言わないでたのむ。愛車のスカで、おまえのマンシに すまん。 ンまで向かえに行っても、 しいカら。な、な。 吉永は鼻をぐずぐずいわせていた。あの奥さんに、よっぽどのこ あのクーラーもついていないポロ車をおれは思いだした。二度ととがあったのだろう。 乗るのはごめんだった。あれに乗るくらいなら、たとえ何十キロで「で、友紀さんは、どんな病気になったんだ ? 」 も歩いた方がましだ。 「いったい、なんでおれが、おまえの家へまた行かなくちゃならな いんだよっ奥さんが会いたいとでも言ってるのか ? それなら「こ、こんな病気になっちゃったんだよく , 、くこ 話は別だがな」 翌日、おれは女の真赤なラングレーを借りて、吉永の家へ一人で 行った。ひさしぶりの車の運転だった。 そ、そうなんだっ。じつは妻の友紀が、ちょっと病気になっ ちゃって : 階段をあがって寝室へ入るなり、吉永はダブルペッドの上の全裸 の奥さんを指差して、泣きそうな声をだしたのだった。 「なにつ ? でも、おれは医者じゃないぜ」 その、なんというか医者には見せられない状態なんだ : おれは彼女をひとめ見るなり、くるりと踵をかえして逃げだそう おれ、どうしたらいいか判んなくて。 とした。ショッ クで心臓が喉もとまであがってきていた。 突然、吉永は声を殺しておいおい泣きだした。 「待ってくれ三崎つ」 おれは吉永の泣き声にびつくりし、そしてセクシーな吉永の奥さ 吉永が悲痛な声をたして、おれの腰にへばりついてきた。 んを思いだした。本当に彼女がおれを必要としているのだろうか ? おれと吉永はもつれあって床に倒れた。 . しュ / し どういうことなのだ ? 彼女のタンクトツ。フにミニ。ハン 「ななな、なんだなんだなんだ、あれは、なんだっ ! 」 ツ姿の体を思いだすと、なんだかむずむずしてきた。同時に胸がキ腰が抜けたおれは、べッドに座って、こちらをじっと見ている吉 ュンとなる。 永の奥さんを震える手で指差した。 「しようがねえな、なんだか判らないが、行くよ」 「そうなんだ。あんなんなっちゃったんだ」 おれは言った。 吉永は涙と鼻水でべとべとになった顔をおれに向ける。おれの左
の追悼という意味で同じような雑誌をだすくてすみますし ( 注・彼はアメリカ人には評というものはね。わたしも以前、アイザ ック・アジモフ誌の書評子をつとめていた ことにしたのです。初期のローカスは商業珍しく、運転免許をもっていない ) 、一日 じゅうをやっていられるようになりまんですが、けつきよく手に余るようになっ 的なものではなく、ファンダムについ てしまいました。わたしたちは数年ごとに したからね。 てのものでした。 書評家を変えるようにしているんですが、 読者からの反響はどうですか ? いつごろ、それがいまのような形に変 ま 0 たくといっていいほどありません。基本的に本誌が必要としているのは、四、 わったのでしようか ? ロ 1 カスは情報誌なので、投書はわたした五冊の本に関してわけのわかった文章を書 すぐです。数年以内に、書評をのせてい れば書評用に新刊をただで送 0 てもらえるちがなにかミスをした場合の指摘にかぎらき、それを二週間で送「てくれる人間でし て、それのできるひとは多くないんです ことがわかったんです。を読 むのが大好きでしたし、そんなわ わたしたちの仕事は書評をすることで、 けで書評をのせはじめたところ、 号批評をすることではありません。不満の大 プロからの反響が返ってくるよう 半は批評的なものです。ローカスの書評の になり、しだいに。フロのニュ 1 ス 眸目的はよそでは目にできない本の推薦をす がふえ、ファンのニ = ースがへつ ( ることで、批評的書評はしていません。酷 ていったんです。やがて、読者も ス評のたぐいもしたことはありません。それ ふえました。 カ がこの雑誌の哲学なのです。 主な理由は、七〇年代にわたし ・、ロ本誌の書評の目的は本を推薦することで はエンジニアの仕事をしていたん す。その本を気にいる人間がいなければ、 ですが、レイオフにあいまして ( ・ - ・ 書評もしません。これがわたしの哲学でも ね。執筆を生活の道にすることに あるんです。 して、それ以来もとの職にもどる れています。読者からくるのは、お金、情本について酷評をしるすのはやさしいこ のはやめました。 とです。そのての書評は、書くのも楽しい では、ロ 1 カスを専門のお仕事にされ報、誤まりの訂正がほとんどです。 失礼な質問になりますが、ロ 1 カスのし、読むのも楽しい。でも、自分がどの本 ているのですね ? ええ。もう九年間、ロ 1 カスで食べてい書評に関していくつか不満をききましたを読んだらいいかと探している人間にと「 ては、けつきよく無用のものなんです。 、カ ます。 どんな雑誌でも、どんな書評家でも、そ 書評子にはいろいろな人間を起用してい ーー生活が大きく変わったわけですね ? そのとおりです。 = ンジ = ア時代とちがるんですが、書評を書くというのはとてもれをきらう人間は必ずいるものですよ。 ところで、現在のアメリカの界を って、家で仕事をし、まるつきり外出しなむずかしいことなんです。首尾一貫した書 ・、 0 ー 07
全身から冷や汗が吹き出す。 良くないことであれ、必ず起こるのだ。 返事はシ / ハラからではなかった。 彼は屋根のないジー。フの中で、生暖かい汚れた外気にあたってい 『少佐殿、大変です ! 最前列にいた十二台のモビルが完全にやら た。ジープのフロントグラスには、大きな炎がうつっていた。 れました ! 』 シノハラはハッとして顔をあげた。 「原因はなんた卩」 白い影が見える。 うすい雲のように透けて、背後の炎が見えるくらいだが、ものす『 : : : おそらく、核融合ュ = ットを利用した何らかの兵器でしょ う』 ごい存在感がある。 シノハラは悟った ・は胃がすくんだ。 かれだ。まだ一度も会ったことはないが、 直感的にそう思った。 だが、すぐに決断を下した。 「そうだ」 「全軍、ただちに撤退だ ! Q 形式で撤退 ! : : : 」 かれが答えた。 部下に確認をとらせたあと、宙軍の出動を要請した。出動要請 は、ただちに許可された。 意外なくらい現実的な声だ。 かれは疲れたように言った。 それから、サンプル群対策のアドバイザーとしてついてきたサ ガ・エレクトロニクス社の技術者をふり返った。 「おまえは : : : 死んではいけない」 瞬間、かれのからだ ( ? ) がうすい衣のようにシ / ハラをくるみ「どう思う ? 」 こんだ。 まだ若い技術者は、狭い席の中で窮屈そうに身じろいだ。 「最初から、そうすべきでした」 シ / ハラは、うすい膜のようなものを通して外界を見つめてい 自分の造ったサンプル群は無敵だと言わんばかりだ。彼はつづ た。母親の胸に抱かれるような安心感が彼をつつんでいた。 突然、サン。フル虹号が青い炎を噴くのが見えた。その炎は、すけた。 さまじい勢いでモビル・ユニット の上を横に走り、すべてをバラ。ハ 「うちの社の対電磁パルス用穀を装備したあとたったら、ミ ラに破壊しつくしていった。。フラスチックのおもちやか何かのようサイルを撃ち込んだって、死にやしませんよ」 自分の部下だったら軽く頬をなぶってやっただろう。ひどい口の にモビルがはじけ飛び、ひっくり返り、灼け裂け、ただれた。 青い炎は、スローモーションでジー。フを吹き飛ばした。 きき方だ。 シノハラが″ああっ″と思ってとなりを見ると、運転席の兵士が 爆弾は、すべての電子機器を・フラック・アウトさせる。証 溶け出し、みるみる白骨に変わっていった。ジー。フはあめのように号も例外ではあるまい。 ・はふいにシノハラの安否を思った。 曲がって空中にとばされ、ボウッと発火した。 Q ・はディス・フレイを見て、悲鳴を肱み殺した。 いやーー自分と彼が未来において結ばれる以上、安否を気づかう 「中尉、状況を説明しろ ! 」 必要はまったくないーーー彼女はそう思った。
だが、ラマダのかたちをつくるのも保つのも、おそろしくたくさ 突然、どことも知れぬ体の奥深いところから、カアッと血がのぼ るような恥ずかしさを覚えた。瞬間、その場で、体の骨格がラマダんの細胞が必要なことは確かた。 かれは待った。 に変身しかかった。かれは必死の思いで変化をおさえこんだ。 女は不透明なビニール袋を持ってきて、花弁にかぶせ、上から根ダダジムの記憶に従って、かれは鼻先で女の尻をつついた。 「いやね ! 」 元をおさえた。すると花弁の先がひらき、硬い臭いの少ない糞がポ 台所に立っていた女は飛び上がった。 ロリと出た。女はビニール袋をはずし、すぐに口をしばってダスト でも字義どおりイヤだったわけではないらしい。かれをふり返 ノュトへ放り込んだ。 しも 微笑みをいつばいためた目と野菜の汁で濡れた左手で愛撫し 下の始末が簡単なことーー・という良いペットの絶対条件をダダジり、 ムは見事に満たしている。 彼女は右手に包丁をもっているのだ。 だが、ダダジムのかたちは恥ずかしい。 「ちょっとまって。すぐにつくるから」 まるつきり自尊心のかけらもない形態た。 ・ : なにつくってるの、ママ ? 〉 かれは外へ出ようと思った。 「材料を見てわからない ? 」 都市への道さえわかれば、すぐにでも外へ出よう。 ラマダになって外に出て、陽の光を浴びながら走ろう。 〈よく見えないの〉 「うそ」 問題は家だ。 女は、子どものいたすらにうんざりした母親のように、・フラック 家は国の監視機構に組み込まれている。 ・オニオンを刻みはじめた。 ダダジムがダダジムでないことをやらかせば、たちまち彼らの目 〈ほんとよ。だって背が低くてとどかないんですもの〉 にとまるだろう。 「ウソつきね。そこにカメラがあるじゃないの」 問題はどうやって情報をひき出すかだ。 あるいは食事 ( エサだ、エサ ! ) だけもらって、また、わけもわ女が指差した先はダイニングキッチンのテー・フルのま上にある、 きらびやかな照明だった。どうやら中にカメラが隠されているらし からずにひた走るか、だ。 い。かれは今まで気づかなかった。 ラマダのかたちになれば、もう少し速く走れるが、人目につきす 〈ウソじゃないわ : : : 〉 ぎるかもしれない。なにしろ高さ八メ 1 トルのところに頭があっ て、昔の汽車のような胴体を四本の足が、いともたやすく移動させ家のコン。ヒューターは涙声でそう言った。そして、子どもがスリ ッパをパタバタさせて走り去るような効果音が入って、居間に通し る。遠目に見れば黒い馬だが、すぐそばで見れば足は遺跡にそびえ る四本の柱のようたろう。 るドアが開き、効果音は音を変えながら、なおも遠く小さくつづい こ 0 2 2 8
じゃあ、作家はで食べているかれ、アイディアに乏しいんですから。最考えですか ? それはどこからでしよう ? つねにすべてのものが新しい血を必要と わけですね ? マ 1 ヴィン・ケイのように初読むときには″うわあ、これはすばらし していますよ。新人作家はあふれていま ミステリでも有名な作家もいるようですい技巧で書かれた本だそ″と興奮しますが、 す。これまで長篇を書いていなかった新人 、刀 やがて興味をなくしてしまうでしよう。 の本がたくさんでています。何人かは十年 マーヴィン・ケイは最初のうちはミステ 二巻目、三巻目がつまらなかったせい 以内に有名になるでしよう、キム・スタン リを書いていましたけれど、を書くよですか ? ロビンスンやルーシャス . シェパ うになってからはほとんどミステリを書し 一巻目はすばらしかったですがね。 ていません。ロン・グ 1 ラートはなんでも ちがう作家ではジョン・ヴァーリイが大ドのような作家です。とくにキム・スタン ・ロビンスンですね、ジョン・ヴァー 書きますが、あれはどれをとってもロン・好きです。どれもアイディアがふんだんに グーラートの小説というジャンルの小説ではいっていますし、アクションのテンポもリイ以来の大型新人ですよ。ほかにはドナ ルド・キングズベリでしよう。これもサイ はやいですしね。 すからね。 エンスに力点をおいている作家です。ヒュ マ , うクル ビショッ。フはどうでしょ ファンタジイはお好きなんですか ? 1 ゴー賞を今年とった新人のディヴィッド いえ、わたしはまるでだめです。 キンはべつですが。あれがはじめて出版さ だめです。未来都市をテーマにした小説・ブリンも、サイエンスに力をいれている は好きですが、ほかのものは人類学的すぎ作家ですね。 れたとき、わたしははじめてファンレター ( 以下略 ) というものをトールキンにだしました。一ます。短篇には好きなものもあるんですが 九五四年のことです。でも、それ以外はフね。 このほかにも各国の出版の話とか、 アンタジイはだめです。 女性作家はどうですか ? 冒険を読んで育ちましたから、リイ冒険、戦争、ユーモア、黒人 文学的な、スタイルを重視するは ・・フラケットは好きです。エリザベス・リと、イギリス、小出版社の問題な し力がですか ? ンも好きですし、ジョアンナ・ラスのものど、さまざまな話題について話してもらえ わたしはエンジニアでしたし、テクノ ジカルなが好きです。ふつうはミステも半分ぐらいは好きです、ぜんぶはためでました。機会があればまた、少しずつでも リなどを読みますし、よく書きこまれた本すが。アーシ、ラ・・ル・グインのものご紹介させていただくつもりです。 なお、この記事でローカス誌に興味をも も大好きです。このところの数作はだめで にはさしてひかれないんです。 ジーン・ウルフなどはどうですか ? すよ、文学的趣向にとらわれすぎて、おもたれたかたは、左記にお問いあわせくださ いくつか好きなものはありますが、過大しろくありませんから。初期のアン・マキ LOCUS Publications 評価されていると思えるものもありますヤフリイも好きですが、以後のはみんなわ P. 0. Box 13305 , Oakland たしの嫌いなファンタジイですからね。 ね。例の〈新しい太陽の書〉にはうんざり CA 94661 ) U. S. A. いまの界に新しい血が必要たとお しました。どれも同じで、文体に重点がお
この男の思考に、ア・ハートを出る必要も、 着たきり雀だったはずの衣服は大分しわだらけになっているが、まら今日は非番らしい だそれほど見すぼらしくはない。明らかにコリーから不必要な歓迎その意図もまったく見当らないからだ。コリーは室内を片づけた 、飾り物のほこりを払ったりし始めたが、アートはすぐにうんざ は受けたくない様子で、朝食を食べ終るなり、そそくさと・ハスルー ムに姿を消した。やがて出て来たかれは、ちょっともじもじしたありしてしまったーーそれで、そそくさと雑布を放り投げ、冷蔵庫か らビールを出した。 とで唐突に片手を突き出した。コリーはその手を握った。 ーセル」と、フランクは言った。「昨夜今になって気づいたことだが、コリーは煙草を喫わない。昼間の 「心から礼を言いたい、パ は泊めてもらって本当にありがとう。それに実にすばらしい朝食だテレビ番組は退屈でアートにはとても我慢できぬ。室内に置いてあ ったよ。それで、そのう : : : そろそろ出かけたほうがいい と思うんる本はどれも一様に面白くないものばかりだ。どうやら、ひどく長 、一日になりそうである。 だ。道路が混まないうちにね。もう一度礼を言うよ、どうもありが ドアのチャイムが鳴り、アートはびつくりすると同時にほっとし とう」 だが一向に立ち去ろうとしない。 た。だがもっと驚いたのは、コリーの示した熱つぼい反応である。 「気にしなさんな、フランク」と、アートは言った。「いつでも歓跳び上がらんばかりにして来訪者を迎えに出て行く。 ドアを開けると、入って来たのは背の高いスリムな少年である。 迎するよ」 握っていた手を放すと、フランクはドアの方へ歩いて行った。 年のころは十九ぐらいだ。コリーの思考から、こいつがコリーの現 だち 「それじゃ、さよなら」 在のホモ相手で、かわいい弟分でもあるシド・ラングリ 1 であるこ そう言って、フランクは出て行った。 とが・ハッとわかった。ドアが閉じるや否や、少年はいきなりコリー おやおやーー・コリーのやつめ、いつの日にかフランクがまたここに抱きっき、キスした。 へ来てくれることを期待していやがる。アートとしては、あんな野なんてこった ! さあ、どうする ? アートはあわてながらも精 郎とくつつくのはもう真っ平だ。それで、わざと大きな声を出して一杯の優しさをこめて、抱きつく少年から身を離した。 言ったーーー自分の口から出たこの言葉にコリーが注意を向けてくれ「どうしたの、コリー ? ぼくのこと怒ってるのかい ? 」 ればいいのだが アートは首を振った。 「しかしあいつは気むずかしい野郎だな」 「いいや、怒ってなんかいないよ。ただ、今はちょっと : : : 疲れて コリーが納得したかどうかは、アートにもわからなかったこ いるだけさ。今朝はあまり気分が良くないんだ」 はてな、自分は気分が悪いのかな : : : と、コリーの意識がしきり やがてアートは、運送会社の運行管理主任をしているコリ ーの勤に首をかしげているが、もちろん、どこも悪いはずはない。 務スケジュ 1 レ・、、 ノカカなり変則的なものであることを知った。どうや「今日の・ほくは : : ・ほくはどうもその気になれないんだよ、シドニ
tanh To 、 パラメ 1 ターと速度との関係も重要な ので、基本的なものを記しておく。 ( ト + 1 ) ~ ーく ( ト十 1 ) sinhTop=(V/c)/ 1 ー ( ミ 0 。 TpQ/sinh T 宅十 1 coshTop=1/ 1 ー ( ミ。 )2 日ト ( ( ト十 1 ) 「 1 ) 十 1 tanhTop=(V/c)=N18) ド、 0 sinhTop 十 2coshTop—1 Ⅱ 2 ト十こ十 1 これで、必要とする計算式は、十二分に そろったことになる。 TpQ/sinhTop 十 TpQsinhTop 十 2cosh To 、 以上が、。によって実を、を計算する計 数値を仮定して Ⅱト ( ( ト十 1 ソー 1 ) 十十 2 ( ト十 1 ) 算式の全てであるが、読者を混乱させない グラフをかけば : である。 ため、式の中のパラメータ 1 は、特定の位 置および区間における、 0 の値とし、かっ つぎに、これは簡単なことであるが、図そこで、今度は、ト・ごに具体的数値を ということにな なるべくその数を減らした。 1 で定義したパラメーターを、式中で使入れて計算してみる 使用したのは、図 1 を参照していただい った T 宅・ T. きの二種によって表現してる。もちろん前回とおなじく、 おく。 トⅡ 18 ト て、号・ Tox ・ T. きの三種である。 トⅡ 300 ト この三種のパラメーターは、距離ト・こ ド 9 Ⅱ 0 とによって、次のように表される。 としよう。 ド 0 Ⅱ cosh ー】 ( ト十 1 ) と決めたところで、今月の頁が尽きてし 宅Ⅱ男を Ⅱ s 一 nh こ、 ( ト十 1 ソー 1 まった。グラフの説明は、前回の残りであ S00 Ⅱ T 宅十 T. き るやから一光年離れた位置の意味や超 T. きⅡ / 、 ( ト十 1 ) 。ー 1 7- 'ox Ⅱ 2T 号十 T. き 」 Tox Ⅱ Top 十 7 、 0 十 TQX C25) 光速の意味の説明とともに、来月まわしと S00 Ⅱ 3T 宅十 T. き したいと思います。 Ⅱ 2T 宅十ド T きⅡ 3T 号十 2T. き 今月は式ばかり並びましたが、来月は このことからさらに、各式中の一つの項 T, きⅡ 2 ( 2T 宅十 T き ) Ⅱ 2Tox Tsp=Top 吶Ⅱ ( 1 十 ( anh 、 0 をトトで表すことが可能になる。すな を わち、 程度ですので、ご安心ください。 T. きⅡ男言 原研 s in h 宅日、 ( ト田 fjäⅡ 1 ド、Ⅱ T 宅 cosh 0 Ⅱト十一 3 TQp= TPQ Tps= To 、 [ 洋 E ア ⑩↓を減速中のの固有時 霎Ⅱ 2 ( T き /s 一 nhT 宅十 T. 、 QS 一 nh7 ・宅 十 2cosh Top)tanh Top 十 (TPQ sinhTop 十 2coshTop—1) xtanh( 、 0ー2SOH) T. 、 0 仏、 0 、オ 0 95