ネンネ - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1985年2月号
24件見つかりました。

1. SFマガジン 1985年2月号

が見えてきた。 『そんなちっちゃなおつばいを見せたって : : : 』ほっとしたように 土曜だから道は若い連中の車で一杯 : ・ ネンネは車線を戻しながら言った。 『サ、着替えて頂戴』 『大きいばかりが能じゃないや ! 』 姉さンツぼくネンネが言ったもので、あたいはさっそく後席で作 あたいがやり返すと、。フッ とネンネがふくれ上った。 業衣を脱ぎ捨て、下着一枚のスッポンポンになってスーツを出し始 と、そのとき、すーっとまた地表艇が寄って来た。 めたら、すぐ横を走っていた地表艇がめざとく見つけて幅寄せして『また来やがった ! 』と言いながらよく見ると、こんどは。 ( トロー きたかと思うと、ワル餓鬼風の奴が身をのり出して、わアわア下品 ル艇じゃないのー な野次を飛ばし始めた。 さっきのアツー はこれだったのか : 『頭に来る奴等だね ! ス。ハナをぶつつけてやろうかしらン ! 』 ″脇へ止めろー ハトロール艇が指示してきた。 『止めて頂戴 ! 』幅寄せされて流れ舵になりかける地表艇を必死で ネンネはすぐに艇を止めた。 支えながらネンネが言った。 『こらア ! 真昼間からストリツ。フか ! 』 あたいはスッポンポンのまま、キヤノビーを開けて怒鳴り返し お巡りがイヤらしい目付きをしながらこっちへやって来た。 た。『うるさい ! 』 あたいはやっとのことでスーツを着終った。 ・フスー ブス ! 』とたんに向うの奴等がはやし立てる。 『どこへ行くんた ? このブス共 ! 』 『バカヤロウ ! てめ工の面のことは棚に上げやがって ! おつ。は『アノ、アノ、表彰式へ : ・ : ・』とネンネ。 い見せてやろうか ! 』 『なにイー 裸踊りのコンテストか ? 』 『いえ』ネンネはあわててピンクの。ハッグのなかから、招請状をと 『止めなさいッたら ! 下品な ! 』とネンネ。 りだした。『これなんです』 『見たけりやもっと寄って来い ! 』あたいは怒鳴った。 『なんじゃい それは。見せてみろ ! 』 横柄な態度でそれを受けとったお巡りは、文面に目を通したとた だしぬけに向うの悪餓鬼達はスーツと離れていき、脇道へそれてんに目を丸くした。 しまった。 『シ ! 失礼致しました ! 』お巡りは敬礼した。『公安委員長殿の 『失礼しちゃうね ! まったく ! 』キヤノ。ヒーを閉じながら、あた御招請とも知らず : : : 』 いは思わず言ってしまった。『おつばいを見せてやろうかと言って『わかって下さればいいんですのよ』ネンネがお上品にツけた。 るのに、アッ で逃げていくこたあないじゃないのさ『失礼致しました、お嬢様 ! 』 お嬢様 : ・・ : と来たねー 工 0 4

2. SFマガジン 1985年2月号

レースのスタートは正午、あと二時間。 ( ライザーに小さな粒がひっかか「ていたんです』とヒナコ。 『理事長さンも、もう逃げたのかしら ? 』 『そういや、 = ンジンをすり替えても無駄だ「て言「てたね、あい 最後の整備を進めるおネジッ子のとなりでネンネがそう言「たと たんだった。 『よもや、あなたがた、その : 『あなたがた ! 』ネンネが言った。 ・ : ウンチを「おネジ娘・ : : ・」の燃料に混ぜてレースに出るつもりし 一 = 。カカ ( ンガーの扉をノックする音がした。 ゃないでしようね ! 』 あたい達はギョッとなった。 ずばり言われておネジッ子達はたしろいだ。 ノックの音が押し付けがましいのよ : 『ブラック・ = ン。フレスが出なけりや、うちの優勝は決ったような フ = ア。フレーでやりなさいよ』ネンネが言っ ものじゃないのー 『ド、どなたですか ? 』やっとのことでネンネが言った。 た。『とにかく「星海企業」の恥になるようなことは止めなさい 1 、らっしやる ? 』 ヒ野ネンネさんー 『青井お七さん ! イ おネジッ子制度は、昨日表彰されたばかりなのよ ! 』 間違えようがない・ かン高いあの声・ : さすがにこれは、言 0 たネンネもテレたけれども、とにかくあた い達は、その言葉をき「かけにして「星涯グランプリ」決勝戦出場『あたしょ ! 星涯健全少女育成財団理事長です ! 』 なんという度胸 ! じかに乗り込んできた : の准毒Ⅷにとりカカナ : : : ? ネンネの目が断いている どうしよう 押し込み強盗まで働いたとなっちゃ、敵もおいそれと近付けない 『応援に来たのよ ! あけて頂戴 ! 星涯市東警察の署長さんを御 とは思ったし、たぶん、もう星涯から逃げにかか「てるんじゃない 紹介したいと思って : : : 』 かとも思ったんたけれど、相手が相手だし、なにを仕掛けてくるか ガチンー とにかく、あたい達としてはあらゆる手を わかったものじゃない。 とたんにハナコがス。 ( ナをとり落した。 打っておくことにした。 ちょうど、うちの星涯出張所の美沙子がお弁当をも「て来てくれ逮捕に来たのかしら ? まさかー おネジッ子はもうみんな真青 : たので、こっそり奴等の ( ンガーを覗いて見て貰ったらもう中はか あたいは思いきって扉を開けた。 らつ。ほ、プラック・エン。フレス号もいなくなってる : 『まあまあ、たいへんねえ ! 』理事長さンはけたたましい笑い声を やがて竸技委員会から、ゾラック・エン。フレス号の棄権が発表さ 立てながら入「てきた。『あらあら、これがおネジ〉子ちゃん達 れた。 それで、なんとなくホッとしたのはしたんだけれど、とてもこれね ? なあんてかわいい さすがだわ ! 昨夜、。フラック・ = ン。フレスの ( ンガーてこ一一ち で済むとは思えなかったわよ。 6

3. SFマガジン 1985年2月号

相変らずドジなことを言ってるネンネの声を聞きながら、あたい 丸坊主は、ジーっとあたいの手元を見ているの、嫌な感じ。 『それから、そこの美人 : : : 』あたいの背中でヒョロ長いほうが声はそのゾョゾョした爆薬を ( シケの先に突きでたゾームへ固定する 作業をつづけた。このなかに触発信管をくつつけてるんたから、あ を掛けてきた。 ハシケを トの建物を爆破しようというんだろうけど、 「待ってなったら ! 』あたいは言ってやった。『一度にひとっしかのコンクリー ここに戻って ) 、 tJ せようというのは一体どう言うことなのかしら ? 仕はできないわよ ! すぐ済むから : : : 』 ハシケは木ッ葉徴塵になるじゃないの : ! 』丸坊主が気味の悪い声を立て でもネンネは、素直というかドジで気付かぬというか、凄く手慣 た。「お前のことじゃね工よ・ れた手付きで言われた通りに地形図を読みとりはじめた。 『あたしですか ? 』ネンネのやつがキョトンとして答えた。 それから手計算と ( シケの応急キットに入っている計算機を使っ 『そうよ、お前さンよ』と生白い方。『お前はそのハシケの慣性航てコースを計算して、。ほんぼんテンキーで打ち込んでいく。 法システムにコ 1 ースを打ち込みな、これがここの地形図だ』 ヒョロ長い方が、熱心にそんなネンネの手順を観察している。 ・ : 』ネンネは地形図を調べている。『あれに : 仕事はすぐに完了した。 あれにぶッつけるんですか ? 』 「よし、ハシケを微速航進させろ』丸坊主があたいに言った。 ネンネは、ほとんど真上にならんでる月二つの、オレンジがかっ ートパイロットはついてるけど、 『どうやってやれってのさ ? オ た白い光の下にひろがる草ッ原の彼方を指さした。、一〇〇〇メート 無人航行制御システムは載ってないわよ』もちろん、手はあるんた ルも離れたところに、なにか農業倉庫にでも使っていたのかしら、けど、わざとあたいは言って見た。 五階建てくらいの大きなコンクリートの建物が立ち腐れになってい 言っては見たものの″それじゃお前が乗っていけ″と言われたら て、片方の壁だけがまだのこっている。 大変だから、あたいはすぐにハシケへ乗り込んで慣性駆動系を起動 『あそこの壁にぶつつけるだけじゃねえ。ぐるっと回ってここへ帰し、地上一メートル程に浮かせてから、微速前進に固定した操縦レ ってくるようにするんだ』 ーにひもをくくり付け、ひもの端を持って地上にとびおりた。 「ここに : : : ですか ? 』 「いいの力い ? いくわよ ! 』あたいは二人に聞いた。 『そうよ ! 』 『よし ! やれ ! 』二人が同時に答えた。 「あノ、あそこ、人間は住んでいないんですか ? 』 と思い切りひもを引ッばると、 そこであたいが地上からグイー 『住んでるわけアねえだろ ! あんなものに : シケはユラリー と一揺れしてから静かに前進を開始した。 『それじゃいいです。もし、人が住んでたら逃げといて貰わないと ネンネッてのはいい腕だわよお ! と思って : ・ : ・』 あたいは改めてあの子を見直したわ。 5 5

4. SFマガジン 1985年2月号

きっと。 宙船を見上げて、それからおかしな声を上げた。『星・海・企・業 これはうちの船だわー — Q カードをチェックされたら、なにしろあたい達はちゃんと・株・式・会・社・ : : ・まア、ほんとー 「小型宇宙艇艇長資格」を持ってるから、こっちはレッキとした宇 3 518131 : : : 「雲呼」じゃないの ! どうして ? 』 宙船乗りなんだから、問題ないんだけど、それでも宇宙港区域出人「 ( 力、どオしても糞もあるもんか ! 』あたいはもう一度ネンネを : 。なんかのとき面倒なことになりそう : とっちめた。『白沙の連中が明日の「星涯グラン。フリ」決勝戦の応 記録には残るからねえ : 援にのり込んできてるんだよ ! 』 だから、でもわざわざ二人分の記録を残すこともないと思って、 ネンネをシート の下へ潜りこませてからゲートで地表艇を止めた『まア、じゃないわよ。だから明日の「星涯グラン。フリ」は、なに がなんでも勝たなきゃならないんだよ ! わかった卩』 ら、ガードマンは二人ともグウグウ眠っていた。 『それよりも白沙の連中が来てるんなら、助けて貰おうよ ! 』ネン しめしめと思ってそのままゲートを抜けて繋留床のほうへ行っ ネが声をはずませている。『椋十達なら喧嘩も場慣れしてるし、き っと大丈夫よ ! 』 徹夜で荷役をやってる船が二、三隻。そいつらにめつからないよ うに、あたいは見覚えのある 3 貨物宇宙船のほうへ接近していっ『駄目だよ ! みんなアスパラ河岸の「千鳥」かどこかでとっくに た。うまい具合にそのまわりは人の気配もなく静まり返っている。酔い潰れてるわよ。留守番には誰か残されてるかもしれないけど : さアー あたいは宇宙船の陰の暗がりに地表艇を止めた。 行くよ ! 』 『やめて ! お七 ! 』 あたいはドアを開けて地表艇から外へ降りた。 あたいがエンジンを止めてキヤノ。ヒーをあけようとすると、ネン 生暖かい夜の空気。 ネがひしとあたいの腕を捉えた。 ラツ。ハ虫の声がうるさい 『なにさ ? 』 つまらない事かもしれないけど、こんなちょっとしたことが金米 『やめて ! こっちが捕まったらどうするのよ卩あたし達が逃げ糖錨地なんかじゃ絶対に味わえないのよね : たと思われて、あいつらはおネジッ子を殺してしまうわよ ! それああ、惑星上にいるんだ : : っていう気分。 に盗みは泥棒の始まりよ ! 』 ネンネが生き返ったような勢いで地表艇から降りてきた。 「雲呼」の作業用ハシケで一番小さい奴は船尾の第四船倉に入って あたいはネンネをとッちめた。 るから、あたいはそっちのほうへ回りこんだ。 『なにを寝言いってるのさ ! よく見てみなー この船を ! 』 『待って頂戴、お七 ! 』あたいが用心深くあたりに気を配りながら 『エ ? 』言われた通り、ネンネは天窓越しにそこへそびえている宇第四船倉扉の管制函に近づくと、ネンネが小声で言った。『盗難警 5

5. SFマガジン 1985年2月号

やってるんだよ』 おネジッ子達も声を揃えて言うんだから、あたいもびつくらこい ところが、おネジッ子三人が、な・せか、一斉に腰でも抜かしたよ ちゃうわよ。 うな顔をしてるのね。 『どう大丈夫なの ? 』 『どうしたのさ ! あんた達 ? 』 思わずあたいは聞いてしまったわ。、 『ア、あの』クウコがいまにも絶え入りそうな声で、皆を代表して そしたら、 『あんたこそ、どう大丈夫なの ? 』とネンネ。 『あたし達、あの ( シケのパ、爆薬の、シ、信管をス、抜いちゃっ一 『どう大丈夫なんですか ? 』 たんです : : : 』 『どう大丈夫なんですか ? 』 『どう大丈夫なんですか ? 』おネジッ子達がまた声を揃えるじゃな『ええっ ! 』 なんてことを : 『ティファニー宝石店の壁に大穴が開いたら大変だと思って : : こ 『ネンネ、どう大丈夫なのさ ? 』あたいは聞いた。 ーには命とハナコ。 ネンネが答えた。『大丈夫よ、あのハシケはティファニ そりやま、そうだけど : 中しないわ、あたしがこっそり慣性航法システムのコースを変えた ! 』ネンネが、がつくりと溜息を漏らした。 から』 あたいは溜息をする気分もなかったわよ : あたいはひやりとした。まさか : 『ス、済みません ! 』 『それで、どこにとんでいくの、あのハシケは ? 』 『ゴ、御免なさい ! 』 『理事長さんのお宅』 『モ、申し訳ありません ! 』 『ああ ! よかったわ ! 』思わずあたいは言ってしまった。『警察 おネジッ子達が消え入りそうな声を出した。 本部にでもコースを変えられたら大変なことになるとこだったわ』 かなりしてからあたいは、これは気を取りなおさなけりやと思っ 『どうして ? 』 こ 0 『あたいは、あのうんこ爆薬をこっそり十倍もくつつけてやったか ら : 。ざまを見やがれ、理事長さンのお宅は大穴が開く位じゃ済『要するにこっちのチームワークの悪さだよ、敗因は ! 』あたいは 言った。『ぼやいたって始まらないわよ、それよりヒナコ、 まないわよ ! 』 音声を受けてごらん』 『すてき ! さすがお七だわ ! 』 ・フロイドか ヒナコがスイッチを入れると、けたたましい・フルー 『いい力い ? 』あたいはおネジッ子達に向って言った。『よく聞き なさいよ ! とつつかまったと見せたって、お姉さん達はちゃんとなにかが聞えてきたが、すぐにブツツリと切れて 5

6. SFマガジン 1985年2月号

井上已奈が来てるんだもの : ラン。フリ」のレギュレーションを徹底的に研究して、ギリギリの。 ( 今一番の人気歌手なのよ。それをお邸のパーティーに呼べるんた フォーマンスを引きだしてくれてるのよ。燃焼室をゼラニウム鋼で 4 からねエ・ 削り出したレーサーなんてうちだけよ、多分。だから予選はぶッち すてきな娘なのよ、これがー ぎりのタイムでパスしたのに : 女のあたいだってホレポレするくらいだから、あなたなんか、い それが、今になって急にあの、ゾラック・エン。フレスとかいう第 っぺんで参っちゃうわよ、きっと。 二惑星・炎陽からはるばる乗りこんできた連中のタイムが桁違いに 伸びてきたなんて : ″星たらけでつめたくって やるしかないな、これは : 真ッ暗けでひとり : あたいが心の中でこうつぶやいた時だった。 ネンネが急ぎ足でこっちへやって来た。 だまって待ってる、人の世の間で やがてのは収斂して。 ) は虚数 何故たか知らないけど、あたいはひんやりした。ネンネの顔がひ 駄目なのね、作られた身は きつっているんだもの。 星だらけのなかであたしわかった″ 『お七、ちょっと ! 』 いい歌だわ : : 。井上已奈ッてほんとにすてき。 クラッシュでも起きたのかしら : : : ? だけど・ 『どうしたの ? 』 『すぐ、サーキットへ戻ろう ! 』 たちまちあたいの目の前を、あの黒し 、、ハシケのまぼろしが通過し『どうしたのさ ? 』 て現実に引き戻されてしまう。「星涯グラン。フリ」なんてバカなも『いいから早く ! 』 のに噛みこまなきやよかった : 只事じゃないネンネの表情に、あたいは「番頭さン」と美沙子に そうすりや、今日だって目一杯、「アンドロイド恋県」でも井上理事長さんへ挨拶しておいてと頼むと、お邸を出た。 已奈でも楽しめたのに : ・ 『一体どうしたっていうのさ ? 事故でも起きたの ? 』 「乞食軍団のお七さン」がのり出したとあっちやさア、おネジッ子 ネンネは厳しい顔で地表艇をスタートさせながら言った。 達に優勝させなけりや格好がっかないじゃないの : 『おネジッ子達が捕まったの ! 』 事実、自信があったんだ。 『ええッ ! 誰に ? 』 白沙にあるうちの基地の、腕ッこきのメカ = ック達が、「星涯グ 『プラック・エン。フレスの連中に :

7. SFマガジン 1985年2月号

『お願いに御座います ! そんなわけで、この子たちは逃してやっ 別の手でゆさぶってきたなー て下さいまし ! 私共二人を如何様になさってもかまいませんから 『ごめんなさあい ! 』 『お願い申します ! 』ネンネも調子を合せた。 『おかあさあん ! 』 聞いたとたんに、なんにも知らないおネジッ子達は一段と盛大な足手まといのおネジッ子三人を逃がしちまえば、あとはどうにで 泣きごえをはり上げ始めた。それを聞いてるうちにあたいはムラムもなる。スキを狙って脱走するなり、こいつらを退治してしまうな ・ : 。なんとか今晩中に片を付けて、明日の「星涯グラン。フリ」 ラと怒りがこみ上げてきた。 よ : 『黙らないか、このカ ! 』あたいは思わずおネジッ子達を怒鳴り ところがそうは行かなかった。 付けた。『刻印ナイハーはつるのも忘れやがって ! やるんならや ッ クエッ 『クエッ ! 』丸坊主が気味の悪い笑い声をた るでーーーあいた ! 』 てた。 ネンネがいやというほどあたいのお尻を抓った。 『お聞き ! 』 『身代り : : : ときやがった。こ 2 ハスア奴 ! 』と青白い方 : まだ泣きじゃくってるおネジッ子達に向かってネンネが言った。 なんてことを : おネジッ子達は、きよとんとあの子を見上げた。 『あんた達、ほんとに大変な事をしてくれたわね。これでわたし達「 ( バアッてどういうことですの ? 』場合が場合だから、けつを捲 「星海企業ーの信用は地に落ちてしまいました。頭目やお母アさんるわけにもいかないけど、思わずあたいは聞いちゃったわよ。 ( お富姐御のことなの ) はなんといって悲しむでしようね ! それ『わたくし達、まだ十七ですけど : : : 』 も、今日、会社はおネジッ子制度が認められて、星涯健全少女育成『十七なら婆アだぜ』相手はけろりと言う。『ホレ ! 』 財団から表彰されたばかりなのに : そのとたん、向うの丸坊主とヒョロ長いのが、なぜかちょっとた そいつは大きな名刺を、ハシケの熱交換機力。ハーの上にほうりだ じろぐ感じになった。 した。 ネンネは、おネジッ子達をゆっくり見回してから言葉を続けた。 『いいわ、あなた達三人の身代わりになって、お姉さん二人が奴隷 として炎陽に売られていきます。あなたがたはこれからよいおネジ ッ子として : : : 』 すかさず、あたいが丸坊主達に向かって泣きを入れた。 いたいけ少女売買専門 株式会社【ロリータ商会 本社・惑星・炎陽 4

8. SFマガジン 1985年2月号

( シケはびたりと指定されたコースに乗って見事に右へ曲り、左やらされ、やっとのことでおネジッ子共々この悪党達のハンガーか の建物に向って接ら釈放された時は、もう夜が明けはしめていたわ。 にカープを切り、すこしずつ、そのコンクリート また濃い紺みたいな色をした空には雲ひとつなくて、そのかわ 近していく。 、地平線すれすれに惑星・白沙が真ッ白なお皿みたいに大きく輝 あと五メートル、三メートル、 と目のくらむような閃光。あたいは当然物凄いていてとてもきれい そして、。ヒカッ , 一人乗りの「おネジ娘に でも、あたい達はそれどころじゃなく、 い爆発が起きると思って耳を押えた。 ところが、それつきり : 栄えあれ ! ーに無理矢理五人乗りこんで、こっちのハンガー トの建物揚げてくるまで、みんな黙りこくっていた。 チカチカする目がなおってからよくみると、コンクリー のど真ン中には大きな穴があいていて、壁を突き抜けた ( シケはゆ今日は年に一度の大イベント「星涯グラン。フリ」決勝戦、もうあ たりは関係者でにぎわい始めている。 つくりとこちらへ戻ってくる。 ガーの中に乗り入れてほっと一息つくと、早速 レーサーごとハン 『よしよし ! こいつあいい按配たて : 『これならあたいは怒鳴った。 ! 』丸坊主が嬉しそうに気味の悪い声で笑った。 ティファニーの壁だって : : : 』 『しつ ! 』ひょろ長い方があわてて言った。『たまらねえか ! 』 只今 ! 』クウコが弾かれたように返事をして、金 丸坊主はあわてて口をつぐんだ。 米糖錨地から持ち込んできてる野戦用。ハーコレーターにとびつい ーへもどるんた ! そし 『よし ! あのハシケを回収して、ハンガ : : : ? どちらに ? 』 たらてめえらも釈放してやる ! 』 『アノ : : : お豆は と飛び乗っ ・ハカ ! こんな気分でアンナ。フルナが飲 『キリマンジャロだよー 仕方ないから、あたいは戻って来た ( シケにパッ ! めるとお思いかえ ? お前達、気の使いかたが足りないよ ! 』 て、行き足を止めた。 ・フームの先がほんのすこし熔けてるたけ、でも、その熔けかたは『ハ、は、ツ ! 申しわけございません ! 』 『おねえ様 ! お肩を』ヒナコはネンネの肩にとりついてせっせと 只じゃなかった。 揉みはじめた。 そのとたんにネンネは言った。 『なアに ? あなた、あなたはこのお姉さんが憎いらしいわけねフ あたいがもう一度 ( シケにうんこをとりつけさせられ、ネンネがえ ? 』ネンネもご気嫌が悪いんだ。 いえ、おねえ様 ! とんでもない。そ、そんな : : : 』ヒナ 地名を隠した地形図をもとにもう一度慣性航法装置のイン。フットを『イ、 6 5

9. SFマガジン 1985年2月号

報システムを殺さなけりや ! 』 ほんとに現金な子だよ ! ネンネって娘は。 止めて頂戴 ! 盗みは泥棒の始まりよ ! なんて泣きごとならべ てたのが、こうとなったら、その「泥棒避け回路」の殺しかたは本 物の泥棒よりずっと器用なんだから : ・ あの子がヘア。ヒンから つくった特製ドライ。ハー一本でやってのけるのよー 『よしー しいわよ ! 』というネンネの声に、あたいは第四船倉扉 を開いてこっそり中へ入り込み、ハシケの固定フックを解放した。 大体、惑星のうえで使うつもりのものじゃないから、扱いにくい ったらない。 とにかく慣性駆動系を起動してなんとか浮かし、まさ かここで微速ロケットを吹かすわけこよ、 、よ、、ら、両側から押 したり引いたり、なんとか外へ引きだし、貨物地表艇の荷台にのつ けて固定した。 第四船倉の扉を閉じてあたりの気配をうかがう : みつかった気配はな、。 よし ! あたいがいそいでとび乗るとネンネはすぐに貨物地表艇 を発進させた。 そしていま来た道を引き返し、やっとのことでサーキットのハン ス トへトになってしまってい ガ 1 まで帰り着いたときは、もう、ヘ 本 『よし ! よし ! 持ってきたな ! 』丸坊主はあたい達に言った。 の いつのまにか、こいつの女言葉は消えて、凄く緊張した表情にな っている。一体ハシケを使ってなにをやるつもりなのかしら : : : ? ハンガーのなかには、星涯健全少女育成財団の理事長さンはいな くなっていて、丸坊主のずんぐりと青白くてヒ「ろ長いやっとの二・、 人だけ。横でおネジッ子達がスリ替えたエンジンをもとへ戻させら 銀河乞食軍団〔 1 〕 ~ 、、るさと 謎の故郷消失事件 定価 280 円 銀河乞食軍団〔 4 〕銀河乞食軍団〔 2 〕 宇宙コンテナ救出作戦宇宙翔ける烏を追え ! 定価 320 円 定価 300 円 銀河乞食軍団〔 5 〕銀河乞食軍団〔 3 〕 怪僧ゴンサレスの逆襲銀河の謀略トンネル 定価 360 円 定価 340 円 5 3

10. SFマガジン 1985年2月号

心配だったけど、さすがは東出の三郎ね。見事に強制着陸させてし こうとなったら最後の手段しかない。 まったわ : よかった : 。手を打っておいて : 「おネジ娘に栄えあれ ! 」のキヤノ。ヒ 1 が閉じられて、ブオンツ 1 とまだ熱いまンまの = ンジンが起動したのは、ネンネの無線機が彼あたい達はもうい「ペン表彰式に参列するために星涯へ来なきや をとらえるのと同時だった。彼 ? そうよ、彼よ。いよいよの。ヒンならなかった。 今度は星涯市警察本部の表彰式よ。 チに備えて頼んでおいてほンとによかった。 やつばしお巡りさ。セレモ = ーはとっても田舎くさくって、二度 「サ・フロー 助けて ! 」 と警察に表彰されるのはごめんだと思ったわよ。 おネジッ子三人と悪党三人が無理矢理のりこんだハシケが浮いた あたいたちは会社から懲罰をくった。 かとおもうとみるみる急上昇を開始した。 あたいとネンネは″おネジッ子の監督不行届きで謹慎一日、但し ″あれだな ! ″東出の三郎の声がかえってきたとき、もう近づいて 業務多忙につき勤務を命ずっていうやつ。 くるあのマセラーリ 4 2 0 の姿が地上からも見えていた。 おネジッ子共は、独断専行のかどでイヤというほどあたい達にシ メラれたわよ、もちろん。 まア、とにかくあの日、星涯旧港のスタンドにいたお客は入場料 を倍は払うべきだね。 でも、このウンコ爆薬とロリータ商会についちゃ、もっとバカな うちの「おネジ娘 : : : 」を追ッ駈ける東出の三郎の飛ばせかたは 大騒動があるんだけど、今度ゆっくりお話ししてあげるねー ほンとに見事なものだったわよ。 一気に空域から脱出しようとして水平飛行に入った「おネジ娘 : ・ : 」のまわりに、まるでビンク朝顔の蔓がからむみたいに三郎のマ リがスパイラルに入ったの : マセラーリだからよかったわけよ。 あの艇体はムクのポインセティア鋼板でできてるじゃない。それ でくるくる「おネジ娘 : : : 」のまわりにスパイラルかけられたら、 そう、なんだっけ、フレミングの右手だか左手だかがどうとかし て、「おネジ娘 : : : 」の四〇〇ルの交流系はたちまちおかしくなる わけ : ・ あたいは、そのまま「おネジ娘 : : : 」が墜落するんじゃないかと お手紙下さいな。 すてきな年賀状でお返事出します。 青井お七 花野ネンネ 5 6