ラジコン - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1985年2月号
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1. SFマガジン 1985年2月号

「こ、これは : ・ : ・」 コン・カーは沈黙して動かない。 おれは眼をしばたたいて、ラジ「ン・カーを見た。唾をぐびぐび「健一「 ! 何度でも言うそ 0 ! 自分の体に戻りなさい 0 ! 」 呑み込む。 と、ふいにラジコン・カーはタイヤを猛烈に回転させ、ライトを 「お、おまえは、もしかして健一か ? 」 激しく点減させ、おれの手からビョンととびでた。 ラジコン・カーは返事をするようにライトを点減させた。」 あっ ! と思ったときは遅かった。 「ね、あなたもわかったでしょ ? 」 ラジコン・カーは床をすばしつこく走り、絵美の両足の間をぬけ 絵美がおれに身を寄せてくる。 て、開けつばなしのドアから廊下へでて行ってしまった。 おれは眼を丸くしたままガクガク頷いた。確かに、これは健一だ「健一待ちなさい「 ! 」 おれと絵美も廊下へでる。 父親の直観で、このラジコン・カーが健一だということが、 はっ絵美が悲鳴をあげた。 きりわかったのだ。 「危ないっ ! 」 おれはラジコン・カーとともに、絵美をガ・ ( と抱きしめた。 呼び止めたが遅かった。 「絵美っ ! 」 廊下を端まで走ったラジコン・カーは、階段をポールのように下 「あなたっ ! 」 へ落ちて行ったのだ。 おれたちは、おいおい泣きはじめた。 ガシャンガシャンと音がし、一階で止まった。 おれたちも階段を駆け降りた。 絵美が階段の下に、へなへな腰を落して、べったり座った。 「健一つー ( の言うことをよーく聞くんだぞっ」 。フラスチックのボディが真二つにばっくり割れて電池がとびだし おれは両手に持 0 たラジ「ン・カーに向か「て、眼を寄り目にしたラジ「ン・カーが、裏がえしにな「て階段の下にころが「てい て、どなりちらしていた。 ラジ「・カーはウ→ーと返事をするようにタイヤを少し回転絵美がおそるおそる両手を伸ばして取りあげ、胸に抱いた。そし させる。おれは息を吸い込み、言った。 て傍に立っているおれをハッと見た。 「ラジコン・カーをでて、自分の体に戻りなさいっ ! 」 「健一じゃないわっ ! 」 机の下に蹲っている健一の体をサッと指差した。 「なにつ ? 絵美はおれたちのやりとりを、おろおろして見ている。 ラジ健一は自分の体に戻 0 たのか ? と思い、おれは思わず階段を見 こ 0 2 9

2. SFマガジン 1985年2月号

カーが走りでてきて、床をぐるぐると走り回った。 ・フチメカになってしまっているのよ」 絵美は ( ッと顔をあげてラジコン・カーを見る。 おれの体がワナワナと震えてきた。 こ 0 しいいかげんにしろと言ったはずだ : : : 」 おれは、うおお「と叫んでべッドに跳び、絵美からロポットを引「健一「 ! 」 ウインウイン音をたてて、うれしがる小大のようにおれのまわり ったくった。絵美が両手を伸ばして悲鳴をあげる。おれはロポット をラジコン・カーは走る。 を床に叩きつけてやった。 「健一つママの所へいらっしゃい ! 」 ロポットは床の上でパラ・ハラになった。 するとどうだろう。ラジコン・カーは、くるりと向きをかえ絵美 「ぎゃあああっ ! 健一いしし 絵美は床に這いつくば「て、・ ( ラスラにな「た手足を集め、ひ「の所まで走「て行き、ピタリと停止したではないか。 床に横座りになった絵美はラジコン・カーをそっと抱きあげ、涙 しにくつつけようとした。健一が健一が、とわめき続けている。 を浮かべて頬ずりをした。 おれは足もとに這いつくばる絵美を見おろし、肩で息をしてい こ 0 。今度は自動車になっちゃったのね」 「健一健一 : そう一一一口うと、ラジコン・カーのライトが、まるで返事をするよう くつつかない・ 「だ、だめだわ : ふいに、キ ' と絵美はおれを見あげた。そして動物のように爪をに点減したのだ 0 た。 なんだかしらないが、これはちょっとやそっとのことではない たてておれに跳びついてきた。 ぞ、とおれは悟った。 「この人殺しいいっ ! 」 おれは絵美の傍へ行き、床に座った。 ハリとおれは顔中を引っ掻かれた。 ビクンとして絵美はラジコン・カーを取られないよう胸に抱きし 「落ちつけっ ! 」 める。 おれは絵美の頬を平手で二往復はたいた。 、・ , ドに突「伏して、わんわん声をあげて泣「わか 0 た絵美。怒らないから、どういうことなのか、ちゃんと話 絵美は頬を押さえへ してごらん」 きはじめた。 おれは絵美の眼をひたと見つめて言った : おれは絵美を見、彼女を叩いた自分の右掌を呆然と見た。絵美を おれを怯えた眼で見かえしていた絵美は、しばらくして、こくり 叩いたのは結婚していらい、はじめてだった。 と頷き、ぼそぼそと話しだした。 「あなたは、なにもわかっていないのよっ ! 」 「あなたが出張にでかけた翌日から健一は、またおなかが痛いだの 9 絵美はそう叫びながら、泣いた。 熱があるだの言って、登校拒否をしはじめたの。無理に行かせよう トの下からふいにラジコンの白いスポ , ーツ・ と、そのとき、ペッ ッと破顔し

3. SFマガジン 1985年2月号

「どうして、そんなことがわかるんだっ卩」 とすると、いつになく暴れて、あたしの手におえなかったわ。 おれはまたイライラし、あわてて口調を静めた。 それで、しようがないので学校には病気ということにして体ませる 絵美はおれをひたと見た。 ことにしちゃったの : : : 」 「だってわかるんですもの。あたしはこの子の母親よ」 「そんな、すぐに休ませたりしたらだめじゃないか」 おれは眉根を揉んだ。そして先を促した。 「ごめんなさい。でも、暴れたり泣いたり物を投げたりで、どうし それで、健一は学校を休んだとき「よし、健一の意識がどこかへ行ってしまった。それで ? 」 ようもなかったんですもの。 いつもするように、自分の部屋に籠ったきりで、独りで一日中遊ん「あたしはおろおろして、健一健一つて大声で呼んだの。そした そしら、あなたが壊してしまったオモチャのロポット超合金・フチメカ でいたの。食事のとき以外はずっと独りで遊んでいたわ。 が、あたしの方へ歩いてきたの。 あたしは、すぐに健一だって て三日めの夕食のとき、あたしがイライラして怒ったの。そうした ら、茶碗をあたしに投げつけて自分の部屋へ行ってしまい、籠ったわかったわっ」 「なんで、そんなことがわかるんだっ卩」 きりでてこなくなってしまったの」 「母親の直観よっ。自分の子ですもの」 絵美はラジコン・カーをなでながらしゃべっている。 おれはイラつく口調をひっしで押さえ、こめかみをぐりぐり揉ん 「めんどうなので、しばらく放っておいた後、寝かせようと思って あの子の部屋を覗いたの。そうしたら、机の下に入ってしまって、 でてこなくなってしまったの。あたしがいくら言っても引っぱって「それで、今はそのラジコン・カーが健一だっていうのか ? 健一 も、いやだ、と言ってでてこなかったの」 の意識がラジコン・カーに入っているというのか ? 」 「そうよ」 おれは机の方を見てから、また絵美を見た。 ィーンと数秒間、タイヤが回った。 「どうしてもでてこないので、しようがないから、蹲った体を毛布ウ で被ってやり、放っておくことにしたの。 そのうち自分ででて絵美はラジコン・カーをおれに差しだした。 きて、べッドで寝るだろうと思ったの。 それで、あたしも寝室「あなた抱いてみて。そうすれば、これが健一だっていうことがわ へ行き眠ってしまい、翌日起こしに行ったら、健一はまだ机の下に かるわ。だって、あなたは健一の父親なんですもの」 蹲っていて、そこで眠っていたわけなの : : : 」 おれはしかたなくラジコン・カーを受け取った。するとラジコン 「それいらい、あそこにいて眠っているというのか ? 」 ・カーは、まるで喜んだようにウインウイン、タイヤを回し、ライ トをしつこく点減させた。 おれは机を指差した。 でも、眠っているんじゃないらしいのがわかったの。 おれはラジコン・カーを胸に抱いた。 健一の意識がどこかへ行ってしまったらしいのがわかったの」 そして、ぎくりとした。 8 4

4. SFマガジン 1985年2月号

ところ。おそらく、ゲームは見事に・ハランスのと れた、火花散る争いになっていることと思う ( が んばれ、ウエルドナ ! ) 。 一方、『ウルティマ』は、またも新機軸をうち という題だけれども、べつにプロレスの話ク、音楽等コンビ、ータ・ゲームにおける斬新出した。今度は。フレイヤー側の心的態度が成長を さで『』というのが偽らざるところだ。 司どるという。つまり、自分より弱い怪物を目一 ではない。 現在のところ、コン。ヒ、ータ・ゲームの決定版今度の第四作もそれそれの特徴がよく出ている杯倒して成長度を上げるといった姑息な手段は通 用せず、正々堂々の戦いとなるらしい。そして、 ( と信じて疑わない ) 『ウイザ ードリー』と『ウようだ。 ー』は、第一作で邪悪な魔術師ウ規模は相変らず壮大。八つの冒険シナリオがつま ルティマ』が、それそれ構想も新たに第四作を年『ウイザー タンテの『神曲』をテーマにした世界たと 末年始にかけ、発表するということなのである。 エルドナとその解き放った怪物どもを退治するのった、・ 以前にも書いたけれど、この両大河口ールプレが目的だったが、今度はその魔術師が甦り、何という 『ウイザー ーⅣ』『ウルティマⅣ』ともすで イ、出来ばえのすばらしさと同様、ライ・ハル意識。フレイヤーはこの魔術師側に立って、人間どもに にコン。ヒュータ・ゲーム界では定評を得ているー の激しさでも甲乙つけがたい。スタートしたの復讐する設定になっていると聞く ( 某 (-) 誌に載っ が、ともに一九八一年。以後、両者とも年一作主たこうした情報の出所は筆者だー、・ーというのは嘘ーというより、これらによって向こうのゲーム・ 義を貫いて、ついに昨年からは発表時期も合わせで、質問を考えて、両社にいろいろと訊いてもらソフトのステート・オプ・ジ・アート ( 分野の水 ったのが真相 ) 。アッと驚く内容だが、じつはこ準 ) がわかると言えるほどなのだ。 るという形になっている。 二つの評価をいろいろ見ると、熱狂度で『』、れには先例があって、元祖ロール。フレイの『ダン忙しいといいつつ、またディスプレイの前に釘 一般性で『』というところか。個人的な感想でジョン & ドラゴン』が流行ったとき、あまりの怪づけになるファンも多いだろう ( 自戒をこめ は、ゲームとしての完成度で『』、グラフィッ物虐殺ふりに、あるデザイナーが怪物側に視点をて ) 。だけど、このスリルと興奮が何ものにも替 置いた『モンスター えがたいのは筆者もよくわかっている。ぜめて、 モンスター ! 』というゲ ームを作っているのだ。その辺りポードゲーム界アツ。フルⅡ O の白さが目にしみないくらいにして Ⅲ おかなければ : の故事を見逃さないのも、いかにも『』らしい あの『ゴジ一フ』がゲームになった ! ゴジ一フ・フリークには見逃せないゾ , は」 G0005 の 毎度出ました界のアレルギー、森田です。今っている。ん ? 映画と同じス下ーリイじやアド Ⅲ月は映画公開に合わせて東宝から発売されたコン べンチャーの意味がないそと思った人は鋭い。そ れ マ 。ヒュータゲーム、『ゴジラ』を紹介しよう。このゲう、このゲームは、映画通りの筋立てをいかに イ テ ームは、アドベンチャー・ゲームになっていて、 て辿り、かつどのようにして芹沢博士を説得しオ ほ・ほ映画のス トーリイ通りにプレイするようになキシジェン・デスト卩イヤ下を手にいれてゴジ彡 ・ l—eoox— >-<ODO< ・「トラベラー」の続篇が出ました。皆な買ってねー。題は研究基地カンマ」です。 両雄四たび対決 ! 「甚「」 GAME 1 安田均 森田繁

5. SFマガジン 1985年2月号

『それから : ・ おネジッ子達は、一段と声を高めた。 やっゞより・こっこ。 『今朝の、ティファニー宝石店の、強盗事件の、犯人は、この、お と目も眩むようなもの凄い閃光とともに、・フラック・エ ばさま、です ! 』 ン。フレスのエンジンがケシ飛んだー 宇宙船メーカーの言う通りだな : ・ : なんて、あたいは・ほんやり考 なんでこんな独断専行をやるんだよー えていた。 やるならなるで、もっとやりようもあるのに : ( シケってのは、宇宙港なんかでこまかい作業をやるから、よ あたいがレーザー・ガンをひッこ抜いたとき、ネンネはもう自分 く、ツつかけたり、衝突したりすることがあるわけね。 のを構えていた。 そのたんびに人間が巻き込まれたりしたんじやかなわないから、 あまりの事に、理事長はどうしていいかもわからず目をパチクリ エンジンが爆発しそうなショッ・、 クカ起きると、艇尾の機関部だけが させているだけ : ・ 自動的にケシ飛ぶわけよ。 客席は静まり返ったまま : それがその通りになったわけ : 案の定だった。 さもなけりや、おネジッ子達は悪党と一緒に木っ葉微塵になって まるで、湧いたみたいにあの丸坊主とヒョロ長いのが表彰台の上るわよ : に姿を現わした。 ・フラック・エン。フレス号の燃料系統に、しこたまあのうんこを詰 手にはもちろん、レーザー・ガン ! め込んだのはおネジッ子達の仕業に違いなかった。それは上出来た 奴等はあ「さりとおネジ〉子達三人を人質にして、理事長ともどけど、なんでちゃんと報告しないのかしら ! そうすれば = も、表彰台を降りた。 プラック・エン。フレス号のコック。ヒットはこっぴどくねじれたけ そしたらなんと ! 台の下の目立たぬところにひ「そり隠してあど、キヤノビーがばたん ! と開き、おネジ〉子達を盾にして三人 ったのは、あのハシケ、ゾラック・エン。フレス : が外に出てきた。 丸坊主とヒョロ長いのがレーザー・ガンを構えて四方を警戒する 警備員達がかけつけてきたけれど、奴等はびったりとおネジッ子 うちに理事長はおネジッ子達を押しこみ、自分が乗り込むと男二人達を人質にしてるから、とても手を出せない。 もあとに続いた。 そのまま奴等は : しまったー エンジンが起動した。 奴等は近くに止めてある「おネジ娘に栄えあれ ! 」で脱出するつ でもあたいは、おかしい もりだわ。 ととっさに思った。。フロたもの・ 4 6

6. SFマガジン 1985年2月号

ソビニト政府は、八五年に同国内で開かれ出版されること。 ・クルト・ラスヴィッツ賞 ( 西ドイツ ) ・ : と書けば、お気づきの方もいるだろう る予定だった、人の国際組織「ワールド が、これはペインがエース社の編集長だ 現在西ドイツで唯一の / ファンタジイ」の総会と、国境を越えた全ヨーロツ・ハ った八〇年前後に出していた「ディスティニ の賞で、・フロの投票で決められる。八四年度の大会「ユーロコン」を、ともにキャン セルしたもようである。詳細は不明であり、 ーズ」誌の事実上の復活なのだ。当時は短篇 の主な部門の受賞は以下のとおり。 〈長篇〉『いけにえ』し芋守ミ・ . ミミ事後処理についても確実な情報は入っていなの分野が不振で短命に終ったが、雑誌界がに トマス・・・ミーク ぎやかになりつつある現在、夢よもう一度、 今回のキャンセルは、オリンピックや— *-äとなるかどうか ー〈 / ヴェレット〉「夜の声」 "Stimmen der Nacht" トマス・ジーグラー O に対する最近のソ連の対応と同様の、同国 ・作家ニュース 〈ショート・ ストーリイ〉「太陽のささやき」の対外政策のあらわれと推測するむきもあ "Atem der Sonne" ヘルベルト・・フる。先月号本誌の深見氏の「海外事情」〇アジモフの編著書がついに三百冊を突破、 ランケ にもあるように、けっしては政治と無関三百冊目の 0 ト 300 が八四年末に出版さ 〈翻訳〉『ヘリコニアの春』ミ ~ 係ではないし、また国際情勢が界に及・ほれた。また彼は、企画中の映画『ミクロの決 死圏 2 』のノヴェライズを依頼されたが、お す影響というものは確実に存在する。 S こ、 ~ ・フライアン・オールディス それにしても、ソ連が二つの大会の開催地そらく断るだろうとのこと。 このほか、「ドイツ作家の長篇専門の ハードカヴァー出版を開始した出版者」に対に選ばれたのには、前年度の大会でソビエト〇アジモフと言えばクラークだが、『 200 作家協会部門の代表 ( 先月号で紹介され 01 年ファイナル・オデッセイ』は、 Z< して〈特別賞〉が与えられている。 たニレミイ・パルノフ ) が立候補し、参加者の探査機が木星の正確なデータを送って ・英国幻想文学大賞 の圧倒的な支持で可決されたといういきさつくるまで書かないとのこと。同書の出版契約 かっては長篇部門を別名〈オーガスト・ダがある。また、共産圏の作家が西側の大会にをわずか一ドルで結ぶ ( むろん完成時には巨 ーレス賞〉といし 『闇の公子』や『カメレ出席するのが日常化してきた近年の風潮をも額の金を受けとる ) などとくだらないことを オンの呪文』が受賞したこともある賞であ考えあわせると、今回のキャンセルは残念なしている一方、イギリス唯一の誌「イン ことである。 ターゾ 1 ン」に寄付をしたりもしている。 る。八四年度の受賞作は、九月十六日、 〇ロ / 1 ト・・フォワードは『竜の卵』の ミンガムで開かれたファンタジイコンⅨで発 ・リバイバル・ザ・マガジン 続篇、 S ミミ ~ ミ守を完成させた。 表された。主な部門の結果は 八五年一月に、新しい雑誌が創刊され〇ホラー界の二大巨頭、スティーヴン・キン 〈長篇〉『浮遊するドラゴン』。ミ ~ ・、 る。その名は「ファー・フロンティア」。 グとピーター・スト 0 ウブの合作長篇 Ti ミ . し、・ ag ・ 0 洋ビーター・ストロウ・フ 編集長はジェリー・ パーネルとジェイムズ戔ミ洋 ( ス・ヒル・ハ】グ映画化予定 ) は発売即六 〈短篇〉「獣でも人でもなく」 "Neither Brute Nor Human" カール・エドワー ・ペイン。創刊号のラインナップは、アンダ十万部という記録的な売れ行きで、十月二十一 ド・ワグナー ースン、ニーヴン、グレッグ・べアなどハー 八日の Z>A タイムズのベストセラー・リスト ド系の面々。また、科学記事にもかなりでは難なく一位となった。 〈映画〉『ヴィデオドローム』 〈アーティスト〉ロウィーナ・モリル の誌面を割き、こちらはポーヴァやフォワ 1 〇『最後の危険なヴィジョン』は八五年に、 ドらが担当する。このように「アナログ」誌今度こそ本当に、出るという話である。 〈特別宀 8 ウォルハイム夫妻 と似た性格の雑誌だが、最大の特徴は、ペ ・の東西交流に暗雲が ン・ゾックスの一冊としてペー ー・ハックで ・山岸 . 真

7. SFマガジン 1985年2月号

「ハッシュト・・フラウン・ポテトをえてもらえるかい ? 」 ーコンは消え、フォークの歯は固い樹脂製の皿にあたって 彼は期待をこめて訊いたが、ウェイトレスはかぶりを振って、テ曲がってしまった。 ープルを離れた。 そのときには、ケニイにもこれが競争だということがわかってい なんて優しい女性なんだろう、と料理がくるのを待ちながら、紙た。曲がったフォークを置くと、彼はス。フーンをつかってチーズの ナ。フキンを引き裂きつつケ = イは思った。なんて素晴らしい店なんしたたるオムレツを切ろうとした。オムレツをすくいあげようと前 だろう ! 猿のことを口にしないでいてくれるんだからなー なん かがみになった。できるだけ素早くやったのだが、猿のほうがずつ て礼儀正しい人たちだろう。 と速かった。小さな手がどこからともなく稲妻のように伸びてき すぐに料理ができた。 て、ス。フーンがケニイのロにとどいたとき、そこに乗っていたの 「ワアイ」 は、溶けたチーズの塊だけだった。彼は皿に突っこみ、またオムレ ツをのせたが、どんなに素早くやってもだめだった。猿には二本の 合成樹脂のテーゾルにウェイトレスが料理をならべると、ケニイ 小さな脚までが動員され は声をあげた。腹ペこだった。彼はまずシナモン・トーストを一枚手と一本のしつぼがあり、一度などは、 て、彼から料理を奪ったのである。まもなく、ケニイ・ド ーチェス とりあげ、ロにもっていった。 と、小さな猿が頭のうしろから手をのばし、眼にもとまらぬ早わターの食事は消えてしまった。ケ = イはぼかんと空になった、べ べとする皿を見つめていた。眼には涙がうかんでいた。 ざでトーストをかつばらった。 イが気づかないうちにウェイトレスがあらわれた。 ・トーチェスターは一瞬きよとんとした。大きくあけたロ から 「おや、ずいぶんお腹がすいていたんですね」彼女は言って、伝票 の前で、不意に空になった手が停止した。猿がトーストをかじり、 そしやく ムシャムシャとうるさく咀嚼するのが聞こえた。なにが起こったのを切りとり、彼の前に置いた。「こんなに速く食べた人は見たこと かケ = イが充分に理解する前に、猿の長い尾がわきのしたから伸びがありませんよ」 ケニイは顔をあげた。 て、ミルクのグラスを擱んだ。瞬きをする間もなく、グラスは消え てしまった。 「でも、ぼくは食べちゃいないんだ」彼は主張した。「ぜんぶ猿が 食べたんですよ ! 」 ケニイは言ったが、もう遅すぎた。背中ではチ、ーチ、ーとミル ウェイトレスはとても奇妙な眼で彼を見た。 クを吸う音がして、突然、グラスが左肩をこえて飛んできた。床に「猿が ? 」と半信半疑の口調で言った。 「猿です」 落ちて割れないうちに、ケニイはグラスを損み、あわててテープル に置いた。猿の尾がそっと出てきて、べー コンに向かった。ケニイ ケニイは言った。彼女に狂人を見るような眼で見つめられても気 はフォークをつかなと、べーコンに突きさしたが、猿のほうが早か にならなかった。 422

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六 0 年度新規会員募集中 参加費九千円 ( 一泊二食、酒付 ) 日本に存在する数少ないローダンの一つ、 、Ⅳ開催のお知らせ 参加資格十八歳以上のファン 「ミレニアム・ソル」は只今六〇年度の会員を募やつばり今年もやります。ウラコンです。四回ゲスト 柴野拓美氏 ( 他交渉中 ) 集中です。ローダンの話のしたい貴方、先の話を目です。スタッフ一同待ってます。 定員五十名程度 知りたい貴方、ローダンがないと生きていけない 日時八月十七日 ( 土 ) 合宿 主催山陰創作会 貴方。「ミレニアム・ソル」に入会してみません 十八日 ( 日 ) 本大会 神々の里、出雲における初のコンべンションで か ? これそ無限の喜悦ー 場所金沢市文化ホール す。会場は三百五十八本の銅剣出土の荒神遺跡近 くわしくは返信用切手を同封の上、左記へ連絡参加費一一千円 ( 本大会のみ・予定 ) く。参加ご希望の方は返信用切手同封の上、左記 願います。 一万円 ( 本大会、合宿共・予定 ) までご連絡下さい。折り返し案内書をお送り致し なお正会誌「エレメント」も好評配布中。 ☆詳細は、住所氏名を明記し六十円切手を貼ったます。 内容無限艦隊レキシコン 2 ( 千百巻台ストーリ 返信用封筒を同封の上、左記までお問合せ下さ〒Ⅲ島根県大原郡加茂町三代一二三四 ー ) / 七百一話「自由への跳躍」 ( 連載第一一 舟木志津枝 回 ) / ペー 。ハーカム他満載 〒盟金沢市寺町五ー四ー一五 体裁 5 判・手書きオフ・百五十頁 < C Z Ⅳ実行委員会 研究会 N ( ゼータ ) 正会誌 頒価千円 ( 含郵送料 ) 「日常茶飯事」創刊のお知らせ 連絡先〒神奈川県厚木市岡田一九一七 第一回コン。ハ出雲 わが研究会 N ( ゼータ ) の血と汗と涙の結 早川栄一 ( 雲魂 ) のお知らせ 品 ( ? ) 「日常茶飯事」をみなさまにお届けしま レニアム・ 郵便振替口座横浜 3 ー 6 3 4 6 ミ 日時五月五、六日 ( 日、振替休日 ) す。とてもおもしろい ( はず ) です。だまされた 会場湯の川温泉「湖静荘」貸切 と思って、ぜひどうそ。一家に一冊「日常茶飯 内容″宇宙の神秘″コメデイ「トランプ たらげバ X い銀 御ト ) ま 刑事」 / ファンタジー「閉じた部屋」 / マンガ しかあロ 5 書く想はいのウよげ効神 「」 / オカルトボエム二篇 / イ ら中ま地しク 5 を、感た録みアこあ有区房 。名尚・か登済のかし印田書 ラストほか か寸き錨さ りここ録一こさ消代 系爿だ糖ものン氏。 体裁 5 判・ワープロオフ・六十八頁 一米年伯一所い便っ簿登タ討を日千早 星状け金今画シ住さおさ名に一届状当都 頒価七百円 ( 送料共 ) 現ム番〕留で左記まで 涯賀 し > を夫のの下の下様でユが賀 ( 京 2 申し込み先〒北海道北見市北光二九ー一一 品年を団状邦台分て ~ て客すビ巻年日東一 藤原久美子 ーま軍賀井射自っ〉し顧、ン六 好食年青発に送団封御尚コ第的月田町 締切十二月末日必着 ー〒多 〉紙で軍同業。 ( で動 - 日 - ハ年河ラ。王の書食を企す様ト自 、一〈ー 0 Z 〉開催のお知らせ 脅昨銀力す大 5 封乞励海ま客ツは。切先 のま。、イ , 3 て河激星し顧プにす締宛 十八歳未満立入禁止 ! 指定のコンべンショ 4 0 て 0 尺

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″羅″ HOBBY 5 Ⅷ″ LA 〃 0 ー 5 球ー シミュレーション・ゲーム・シリーズ 知力と感性たけかあなたの味方。謀略 : 計略の限リを つくして主導権をにきるのは一体誰か ? 野望を秘め て、いさシミュレーション・ケーム・ワールドへ出発 ! ガンダム = ジャプロー戦役・・ ・・ 4 ′ 000 円 マクロス = シティファイト・・ ガンダム = 激戦ア・バオア・クー クラッシャージョウシナリオ集Ⅷ .1 ・・ ・・ 4 ′ 000 円 ガンダム = ソロモン攻略戦・ ダンバイン = オーラバトラー ・・ 4 ′ 000 円 伝説巨神イデオン・ スターウォーズ = ジェダイの復讐・ ・・ 4 ′ 000 円 スターウォーズ = デススター ・・ 4 ′ 000 円 マクロス = スペースフォー丿レド・ 戦闘メカザプングル・・ ダン / ヾイン = ウイングキャリバー ・・ 3 ′ 000 円 戦闘メカプレーゲイル・ ・・ 3 ′ 500 円 オーガス = オーガロイド・・・ ガンダム = ホワイトペース・ ガンタ去 = クロスファイト・ ・・ 4 ′ 000 円 スタートレック = クリンゴン帝国の侵略・・ 4 , 000 円 オーガス = ファクトリー スターウォーズ = 帝国の逆襲・・ ・・ 4 ′ 000 円 風の谷のナウシカ・ ザプング丿いウォーカーギャリア・ 機甲創世紀モスビーダ・・ ・・ 3 ′ 500 円 ミッドガルド = 失われた鍵・ 司政官・ ・・ 3 ′ 500 円 クラッシャージョウ = マーフィ / ヾイレーツ・ 3 ′ 500 円 ロードトウロード・・ ロールプレイ = 工ンタープライズ・・ ・・ 3 ′ 000 円 スター・クエスト・・ ロールフレイ = クラッシャージョウ・・ 重戦機工ルガイム・ヘビーメタル・・ ・ 3 ′ 000 円 マクロス = ドックファイト・・ ・・ 3 ′ 000 円 巨神ゴーグ・ スタートレック = カーンの逆襲 ・・ 3 ′ 500 円 銀う可漂流ノヾイフアム・ ロ栗本無大河ヒロイック・ファンタジーいよいよ登場ロ それは豹頭の超戦士の物語 何者にも屈しなかった男の英雄伝 彼をめぐる数々の冒険談が 今、本から飛び出し、ケ。ームとなって甦る。 12 月末 ~ 1 月発売予定 / 予価 4 , 000 円 す 5 翡 k 翡 00 03 ( 843 ) 1130 東京・台東・元浅草 3 ー 1 ー 3 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 2 ′ 000 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 4 ′ 000 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 4 ′ 000 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 3 ′ 500 円 ・・ 4 ′ 000 円 ・・ 4 ′ 800 円 ・・ 4 ′ 000 円 ・・ 3.500 円 ・・ 3 ′ 800 円 ・・ 3.800 円 雑誌 01975 ー 2

10. SFマガジン 1985年2月号

: ママなんかきらいだよーだ : : : 」 あげた。 画面の横のス。ヒーカーから雑音とともに声が聞こえてくる。 そのときすぐ脇の居間から急にステレオの音がしはじめた。 おれもテレビに走り寄った。 ー・メタルたっ 放送が、すさまじい大音量で流れだした。〈ヴィ 「なんてこと言うんだ ! ママをこんなに困らせて悲しませてつー テレビからでてきなさいっ ! 」 おれは居間へとび込んだ。 「 : : : アッカンべーだー 「健一つ ! やめなさいっ ! 」 画面に映「た健一は舌をたした。同時にテレビのスイッチが切れ 耳を押さえ、ステレオのアン。フに向かって大声でどな「た。・ するとビタリとス。ヒーカーからの音がやみ、ザーザーと雑音が流た。 おれは部屋を見まわした。 れだした。 、 0 0 、 0 、 どこへ行った卩」 どこだっー ノの声は聞「健一つー ステレオなんかになるのはやめなさし 天井に向かってどなる。 こえるね」 と、長椅子がガタガタ揺れた。 おれは声を震わせてやさしく言う。 絵美が長椅子に抱きつく。そのとたん、本棚が大きく揺れ、。 ( ラ と、どうだろう。なんとスビーカーから雑音にまじってエコーの ハラと本が落ちた。 かかった健一の声が聞こえてきたではないか。 本棚が絵美に倒れかかりそうになっ 絵美が本棚に駆け寄る。 パあ : : : お帰んなさあい たので、あわてておれが押さえて戻した。 ひええっ健一つ、と叫んで絵美がス。ヒーカーに抱きついた。 おれは息を整えてからもう一度、腫れものに触れるように、でき部屋がしんと一瞬静まりかえ「た。本棚はもう健一ではなか 0 るだけ優しくステレオのアン。フに向かって言った。 おれと絵美は顔を見あわせる。 。いい子だから自分の体に戻りなさい。ね、ね」 「健一 。 ( タンと玄関でドアが閉まる音がした。 そのとたん、ステレオのスイッチがぶつりと切れた。同時に壁に 「玄関だっ ! 」 寄せてある幻型のテレビにスイッチが入った。 おれと絵美は玄関へ走った。 画面を見て、おれと絵美はのけそった。 絵美がドアに抱きついたが、そのときはすでに健一はドアでもな 激しくぶれてはいるが、白い粒子をパックに、健一の笑顔がアッ くなっていた。 3 。フで映っていたのである。 オ冫かになって外へでて行ったんだっ」 9 「絵美つ。外だっ。健一は、よこ 「健一いしし おれと絵美は靴をはいて外にとびでた。な・せかおれの皮靴がなく 絵美がテレビにへばりつく。 こ 0