子供たち - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1985年2月号
50件見つかりました。

1. SFマガジン 1985年2月号

ちゃ泣く程ショッ クです。ぬいぐるみさんを連れていっ ク てしまったゴミ回収車を走っておっかける程、 です。 ( 何度もやられた素子ちゃん。いまだに覚えてる もん。ちりがみ交換にだしたって言われて、死にもの狂 いで町内をはしりまわってちりがみ交換車探したこと。 ネンネックちゃん、熊さん、びつくりかめさん、あなた 達は今ごろ草葉の陰でどうしていることでしよう ) まして。新しいぬいぐるみ、買ってあたえて、で、子 供の興味がそっちへいった隙にぬいぐるみさん捨てるの は、ほとんど詐欺です。子供って、意外とちゃっかりし ているもんで、一週間新しいぬいぐるみさんと遊んたあ とで、あの子がいないつつって泣きたしたりしますぜ。 それでも、どうしても捨てなきゃならない程、ぬい るみさんが破損した場合。ます、おすすめしたいのは、 押し人れに隠すことですね。隠して、子供が、そのぬ、 ぐるみさんがいない状態になって二カ月以上文句を言わ なかったら、捨てていいでしよう。 ( 文句を言われた ら、あぎらめて出してやってください ) 子供がどうしてもあきらめなくて、どうしてもぬい るみさんを捨てたい場合も、子供の目にふれるような捨 て方たけは、絶対、やめてくたさい。 ( たとえば、子供 が幼稚園へ行こうとして、で、ふっと近所のゴミ捨て場 に目をやる。と、その時ゴ、、 ハケツの中からその子のお く「プタネコ」という、かわ いそうな名のついた、ネコ のぬいぐるみ。 気にいりのぬいぐるみさんが顔をのそかせている、たな んて、最悪です ) 子供にとって、ぬいぐるみさんは家族 です。ですからこんな情景は、子供にとって、古くなっ ていらなくなったおばあちゃんがゴ、、 ハケツにはいって いるのを目撃したようなショックてす そう。大体がとこ、あたしに言わせれば、ぬいぐるみ さんを捨てること自体が異常なんですよね。どこの世界 ズる に古くなったおばあちゃん捨てる家庭があるもんです シの か。 ( あ、これはいい手かも。どうしても捨てたいぬい ヌ のも タ ぐるみさんの場合、子供に、もうこのぬいぐるみさんは 、の動 で死んじゃったんだよって言って、お葬式をしてあげる ) 商、 それから。原則として、できるだけ、ぬいぐるみさん は洗わない。汚くなって、悪臭がしていたとしても 子供、その匂いをかぐと安心するんですから : : : 限界ま で、洗濯は我慢してくたさい。 それから。古くなったぬいぐるみさんを修理する時に も、配慮が欲しいです。断ちばさみか何か出してきて、 さあ、これから繕いものをやるんたそって態度ではなく て、『このぬいぐるみさんは御病気たから、これからお 母さんが手術をしてあげましようね』って態度でのそん でください。『痛くないかな』って心配する子の為に は、麻酔か何かかける真似してあげてもいいです。 ( つづく ) 1

2. SFマガジン 1985年2月号

かれらは売店にいた。そして、一人ずつ、大きなカスタード・ア ・ ( クスターは興奮で体がうずくのをおさえることができなかった し、かれの妻は目を輝かせた。一等は、ア。 ( ートの建物管理だ。年イスクリームを持っている。 が無料でついて「わたしたちと一緒じゃないときは、何も買ってはいけないといつ」 間給与が二万五千ドル、そのうえ三部屋のア。ハート ておいたのに ! 」 と、ミリセントは大声でいった。 行列に加わったとき、ミリセントにはかれの考えが読めてしま 本当のところ、それ以上に悪いことだったのだ。子供たちは、見 ささやいた。 「高望みしたくもなるわね ! でも、わたしとしては、ほかのどれ知らぬ三人の大人と話していた。やせて、金髪で、鋭くきびしい顔 をしている年配の女性と、頭が禿げており、りつばなべっこうの眠 に決まっても満足だわ。見て、英語教師の職まであるのよ ! 」 ランドルフは、黙って首をふ 0 た。まったく信じがたいほどだー鏡をかけた、丸顔で浅黒い皮膚の男性と。 ( クスター夫妻が近づくと、その女性は申し訳なさそうな顔でふ ーこの一回の売出しだけでも、五種類ものフル・タイムの仕事があ りむいて話しかけた。 たるなんて。それに、それが、その日の最大のものではないとは。 花火が終「たあとの最大の当たり籤には、いつも最高の賞品がつく「まあ、こんにちは : : : あなたがたは、き「とご両親ですね。どう ぞ、わたしたちを許してくださいな。ミスター・カッビシとわた のだ。 し、ツアーの人たちからはぐれてしまったようなんです。それで、 「ここにこられて、あなた、よかったわね ? 」 あなたがたのお子さんたちが、ご親切に、探がしてくださっている と、ミリセントは尋ね、彼女の良人はうなずいた。 しかし、実のところそうは思っていなかった。少なくとも、かれんですのよ」 サイモンは、すぐに口をはさんだ。 らが無事に宝籤を手に入れ、子供たちのところへもどろうとしたと : この人たち、外国人かんこうきやく 「たいじようぶだよ、 きまでは。そしてかれは、残してきたところに子供たちがいないこ の人たちなんだ。それで、この人たち、なんでもただなんだよ。。 ( とに気づいて、急に不安になった。 . 」 どうしてぼくたちも、ツアーに入って、なんでもただでもらえ 「なんてことだ : : : 」 と、ランドルフはうめいた。来たばかりだというのに、子供たちないの ? 」 「われわれはアメリカ人だからさ」 : 、なくなるのは早すぎる。 しかしかれらは、遠くに行っていたわけではなか「た。かれの妻と、かれの父親は説明し、背が高くてイギリス人らしい女性と、 ずんぐりして元気のいい日本人らしい男性にほほ笑みかけ、この連 は鋭くいった。 「ほら、あそこにいるわ。ま「たく、子供たちがしていることを見中は、子供たちにひどい悪戯をやる人々のようには見えないと気づ てちょうだい」 7

3. SFマガジン 1985年2月号

ってきて、ダンゴになってぶどうの房にな って、卵時代と同じようにくつついてしま う。そうなってから初めて、ザリガニのお 0 0 母さんはエサを食べに出かけるんですね。 お もう水の中を這いまわっている自分の子供 はいないから、安心して食事ができるので ひ しよう。こちらも母親の分は夜に別にやら 五ロなきゃいけないのだが、ついついそれを忘 = れてしまう。ザリガニのお母さんは空腹な のです。 題 最近はもっとひどい。脱皮がすすんで、 ッ もう母親にくつつこうとしない子ザリガニ カ がいるかと思えば、まだしつかりくつつく のもいる。夜も昼もザリガニのお母さん この段階では、まだお母さんは普通にエ いつの間にやらお母さんのおなかにうじゃ は、ほとんど食事をしないらしいのです。 うじゃと黒っぽい卵がくつついていた。卵サを食べることができる。 しかし、おなかにくつついた赤ん・ほどもこの前、水漕のまん中で動かなくなってい の塊はいくつもの房にわかれていて、お母 たので、コッコッとしてやったら、 さんは水の中でそれを体の両側に広げたが脱皮して、水の中を動きまわるようにな ると大変です。たぶんザリガニの触手はエ気付いたふうで、慌てて穴の中に這いこん り、腹の下にすぼめたりする。 これだけでも結構えぐい光景だが、卵がサと自分の子供とを区別しないんでしようでいった。気絶していたようだ。子供が全 かえるともっと不気味で気持わるくいつまね。親どうしだと共食いしたりすることも部母親から離れれば、別の水漕でたつぶり 食べさせてあげたい。 でもじっと見つめていたい風の光景になつある。 サリガニのお母さんは偉大だ。 だからザリガニのお母さんは、子供たち 卵からかえったちつぼけなザリガニの赤が水の中を泳いだり這ったりしている間 ちゃんは、まだ糸でお母さんのおなかにく は、エサを食べようとしない。投げこんだ今月は、福岡県粕屋郡の太田定芳さんの つついたままでいる。四百匹の甲殻類が重工サは全部、子供たちが食べてしまう ( 父タイトルです。 今回掲載予定となっておりました亀和田 なり合って団子になってザリガニの腹から親は別居させてある ) 。 しかし、良くしたもので、夜がくると子武氏ですが、氏の都合により来月掲載とな はみ出しているんですぜ。おそましいと思 いながらも何度も何度も見てしまう。 ザリガニどもは、また母親のおなかへもどりました。御了承下さい。 330 0 6 0 7 6

4. SFマガジン 1985年2月号

ち、はぐれてしまったツアー・グル 1 ・プを見つけ出せそうもありまンでかこまれていた。 ( クスター一家がやってきたときには、すでに六十カ所以上もの 7 せんから、ね、ご一縉させていたたけないでしようか。とにかくそ 壇が、その日に博覧会場で死んでいった人々の、無言の、生命をな こは、この博覧会全体で、中心となるテーマ館のようですし : : : 」 くした姿で占められていた。かわいい顔をした子供がそこに、年配 ミリセントは暖く答えた。 「ええ、どうそどうそ : : : わたしたちも、ご一緒できたらほんとにの婦人がこちらに。そして、新婚のカツ。フルが並んで。ランドルフ 。ハクスターは、列のすぐ前で死んでしまったあの背の高い冫 カツツ・ . カツツ・ 嬉しいですわ。あなたとミスター / し、そして見つけた。かれの顔はもはや笑 にこしていた黒人を探 「カッビシです , 、深く頭を下げ、歯をぜんぶ見せて笑「た。それ「てはいなかったが、静かで、まるで楽しそうにさえ見えた。 と、かれはいし からかれら七人みんなが " 生と死の館。にむか「て歩き出した。ち「もう、のんびりしているわね」 と、ミリセントは、良人の腕にふれながらささやいた。かれもう びのルイーザが、嬉しそうに先頭に立っていた。 なずいた。この厳粛なホールの中で、大きな声を出したくなかった そのホ 1 ルは、白い大理石の低い建築物で、記念塔から続いてい る芝生を前にして建っていた。まわりにある楽しい緑の休憩所でのだ。そこでは、冷たいェアー・カーテンが、低い音とともに、す べての遺体の上を吹いてゆき、それよりかすかに大きく、オルガン は、どこにも。ヒクニックを楽しんでいる家族がいたし、アイスクリ 曲が聞こえていた。 , ーム売りは道にそって歩きながら歌い、サーカスの。 ( レードが 大群衆のだれひとり、ロをきこうとしなかった。観光客たちは、 馬やキリンや象までもーー楽団を先頭にして、メイン・ストリート それそれの遺体が横たわっている壇の前で、なかなか立ち去ろうと をうねりながら行進していくのだ。ディンドン・ディンドン、ディ 音と色彩と興奮の洪水た。 しなかった。しかし、部屋の後方にむかって動き出すと、かれらは ノバン・一アイノくン でも、かれらがホールの中に入るとすぐに、世界はがらりと変わもうぐずぐずするのをやめた。だれものせられていない壇の前を通 りすぎるとき、何人かは、目をなけることさえしなかった。博覧会 ってしまった。″生と死の館″は、博覧会で唯一の無料展示館だっ たー・ーー博覧会ではトイレまでも無料ではなかったのだ。ホールの中の観客はみな、その夜、博覧会が終る前に、そこも空ではなくなる だれかの死体に占め ことを考えないではいられなかったからだ を歩いてゆく人々の数は大変なものだった。しかしかれらはみな、 られるのだ、ということを。 虔そうにしていた。 入ってゆくとすぐのところが、大きなドーム状の人口。 ( ビリオン″逝ってしまった人々の円形広間。というのは、そのホールが提供 だ。そして、高くなった壇が七十五カ所あるたけで、ほかにはほとする多くの、心を奮いたたせずにはおかない展示物を見せられる前 の控えの間にしかすぎなかった。そして、子供たちでさえ夢中にな んど何もなく、それそれの壇には、隠された光源からのスポット・ っていた。幼いサイモンは、大きな″生と死の時計″ を前に心を奪 ライトがあてられ、それそれがおだやかな風の吹くエアー・カーテ

5. SFマガジン 1985年2月号

あっ ごめん ごめん 子供の頃・ : この同し場所で ( 僕はオバケを 見たことかあるんた それも 十つよ・つど△フと 同じ夕暮れ時にね 262

6. SFマガジン 1985年2月号

サイモンが自分のをあけると。フロペラ帽子が、エマには扇子が、 やってきたのは。ハクスター一家。 ・マルクスのロ髭 ランドルフとミリセントが両親。三人の子供たちは、エアとサイちびのルイーザにはポール紙の眼鏡とグルーチョ が入っていた。 モンと末っ子のルイーザ。 タクシーで そして、なんという人混みー 信じられないほどの混雑だ , かれらは博覧会に、おんぼろ。ハスできたのではない。 乗りつけてきたのだ。町のむこう側の遠く離れた家からすっと、笑駐車場の一方では、何台もの観光ススが、中国人、アルゼンチン いあい、つつきあったりしながらだ。そして車から下りるとき、ラ人、スエーデン人といった外国人をいつばい乗せて、入ってきてい ンドルフ ハクスターは実にたくさんのチッ。フを渡した。 た。かれらには専用の入口があり、特別警備員が案内していた。と そんなことをする余裕が本当にあったというわけではない。でもきどきその連中は、かれら自身の国の言葉で「ヴィルコメン」とか なぜか、そうすることが正しいと感じられたたけなのだ。人が家族「ポン・ジ = ール」とか「おい、まて、まて」とか挨拶していた。 ともかく、かれらがウルドウー衄やセルビア・クロアチアといっ 全員を籤びき博覧会につれてゆくときは、格好よくするほうがいい たものを話さない限りはだ。 ハクスターは信じていた。それに、料金はただの金た。チッ。フ ミリセントはロをすぼめたけれども、決して怒ったわ外国人観光客は、ふつうの方法で切符を買う必要がなかった。か の額を見て、 けではない。なぜって、彼女の瞳も、子供たちと同しようにキラキれらは入場券を、それそれが出てくる元の国で、値打のある外貨で 購人しており、そのあとはすべてが無料になっている。 ラと輝き、一緒になって籤びき博覧会の模様を眺めていたのだ。 門を人る前からすでに、カーニ、、ハルの匂いが漂っていた もちろん、、ふつうのアメリカ人のお客となると、そうま ・ポツ。フコーンや綿菓子やタコスが入り混じりーーーそれに、カー い。かれらは、支払いをしなければいけない。 ゴ ・ラウンドのオルガン、ジェット・ 一二ハルの響きだ。メリー それそれの家族グルー。フが、入場券売場に近づいているのが見え コースターに乗っている人々の悲鳴、遠くから聞こえてくる楽隊やる。売場に近づくにつれて、かれらはしだいに遅くなり、やがては ハグ。ハイ。フの音。 立ちどまってしまい、頭をつきあわせるようにして集まり、どうや 道化師がひとり、背の高い竹馬に乗って、切符売場へと並んでい って支払うかを決め、それからそのうちの一人か二人、さもなけれ る人混みのあいだを歩きまわっていた。かがみこんで子供たちの顎ば全員が窓口へとむかい、切符を求めて窓口に腕をのばすのだ。 の下をつついたり、派手なサマー ・ショーツをはいた十代の娘たち ランドルフ バクスターはずっと前から、今日は家族のために、 の耳たぶを、ちょっと噛むふりをしたりしている。 どんな口論もしないことにしようと決心していた。それでかれは、 虹の噴水は、 しい匂いのしぶきをまき散らしている。漫画に出てあっさりと「ここでちょっと待っておいで」といし 、入場券売場ま くる連中の衣裳をつけた人々、ガス・ザ・ゴースト ッキー・マで一人ですたすたと歩いていった。かれは窓口へ手を入れると、切 9 ウス、。ハックマンたちが、子供たちに無料で福袋を渡していた。 符売りにほほ笑みかけ、堂々と話しかけた。 かね らっしゃ

7. SFマガジン 1985年2月号

かれは、自分を守るように肩をすくめてみせた。 を受け取るとき、ちょうど前にいた物が高くて、にこにこしていた 黒人の男性が、窓口に手を人れると、はっと驚きの表情を見せて腕「みんなに楽しんでもらいたいんだよ」 を引「こめ、何かしゃべりだそうとし、そのまま地面に倒れてしま「さあ、もうそんないいかたはやめて。わたしたちは決めたのよ。 ハクスター これからは、わたしも子供たちも、自分たちなりの方法で支払う ったからだ。その目はあけたままであり、ランドルフ・ の。もうこの話は終りよ」 を見つめているように思えたのだ。 彼女は、話題を変えることで、それを証明した。 もし、妻と三人の子供がいて、仕事にあぶれており、社会福祉で「見て = = = またあの外国人ふたりよ。ツアー・グルー。フからまたは 生計を立て、考えてみてもどうしようもないから明日のことは決しぐれたのね」 ・カッビシは一擧懣 て考えずに毎日を送「ていたら、一家全員ですごす一日がかりの外彼女が手をふると、ミセス がちにやってきた。 出は、これは大変な出来事だ。どれほどの値段がかかろうといし ・ミレーよ、つこ。 、、セス ー特に、その値段がお金ではないならだ。だから、・ ( クスター一家 ? どうしても、ツアー 「わたしたち、お邪魔じゃありませんか は、全部をやってみたんだ。 ラグアイ館さえ見てしまガイドを見つけられないんですのよ。それでも、けっこう楽しい思 かれらは六つのパビリオンを訪ねた。パ った。記念塔の最上階にある食堂では、豪華にお昼も食べた。それいをしていますけれど。それにしても、なんて暑いこと ! スコソ からかれらは乗り物に乗った。乗り物の全部にだ。すごい勢いで飛トランドでは、こんなこと決してありませんわ」 ミリセントはそのとおりたと、扇子を使った。 びこんでゆくウォーター ・シュートから、展根のないゴンドラの中 スコットランドからこ を風がびゅうびゅう吹きすぎる大回転観覧車まで。そこでは、サイ「おかけになりませんか、ミセス モンが下にいる群衆にむかって嘔吐しそうになったし、悲鳴とともられたと、いわれましたかしら ? それからミスター・カッ : に人をおしつぶしてしまいそうになるジェット・コースターでは、 ちびのルイーザがおもらしをしてしまった。 「カッビシです」 幸いなことに彼女の母親が、子供たちのためにきれいな下着を持かれは笑い、とっ・せん深く頭を下げた。それからしばらくのあい ってきていた。彼女は、姉をつけてルイーザを婦人用洗面所へ着換だ神経を集中させようとして顔に皺をよせ、どうにかこうにか口を えに送り出すと、一ふたりが切符切りの前を無事に通りすぎるまで開いた。 「わたしも : : : スーコッタランドからですよ」 は、不安で目が離せなかった。それから、いった。 ミリセントは、驚きの表情を見せまいとしたが、うまくい力なカ 「ランド、ダーリン : : : あなた、みんなの乗り物代を、ぜんぶ払っ たミセス ・ミレーが説明した。 てくれたのね」 ・フライス ・ミレーとミスタ っ 0

8. SFマガジン 1985年2月号

いつも、宴では、早々に戻ってしまわれ 人とも退けてたくましいケイロニアの外交官を選んだ、と物語にま「優等生のお答えね。 て、女たちは、イリスのようなかただ、といっているわ」 でなった美女なのだ。 「イリス 「ここはカリナ工の王子宮」 うたうように美姫はいった。 「すぐ、雲にかくれるわ。はずかしくて ? それとも、あまりに美 「王子さまこそ、お一人で、何をなさっておいでですの。まだ、乳しすぎて、私たちがお気に召さぬのか」 母に添い 寝されておいでなのでしよ」 「とんでもない、あなたほど美しい方が」 「乳母は一昨年亡くなりましたー 「私、男をすてて来ましたのよ、いま。珍しくもないことだけど、 王子はさりげなくかわした。 私には」 「さあ、どこかまで、お送りしましようか。宮廷一の美姫を一人歩フェリシアは足をとめた。っと手をのばして、ルノリアの一枝を きさせては申しわけがございませんゆえ」 おりとり、ナリスにさし出した。 「本当に、おロだけは一人前ね。でもよろしくてよ。宮廷一の美姫「近くで見るほどにお美しいわ、殿下。殿下は十六におなりでした よりももっと美しいかたになど、送って頂きたくないわ」 わね、たしなーーもう、一人前におなりになってもいいわ。もう、 ご随意に」 女性の扱い方はご存じ ? 」 少年はやさしい笑みをうかべて、身をひくそぶりをした。フェリ 「天性知っている、とさっきあなたがおっしやった」 シアは笑い、つと王子によりそった。 「そうでなくよ」 「冗談よ。王子殿下には、通用しそうもありませんわね。 殿下あやしく、なまめかしい青いひとみが、王子をのそきこんだ。 は生まれついて、女の扱いをこころえておいでのようね。ご成人の「教えてさしあげたいわ」 あかっきが、思いやられるわ」 「光栄ですよ、デビ・フェリシア」 「私は、女嫌いになりそうですよ、デビ」 「この花をおとりなさい」 フェリシアはわらい出した。 「まあ、許しませんわ。私のせいだ、とおっしやるのならね、 フェリシアよ、、 「やはり子供ね。こんなとき、そんなことをいうものではないわ。 。しくぶん、酔っているようだった。 「カリナ工へ、なぜ ? 」 おちついて、何でもわきまえておいでのようにみえるけど、十六で 「逢いびきに」 は、できることとできぬことがあるわ。ーーー私、今夜は、カリナ工 「ああ」 の小宮の、紅星の間に泊っていますのよ。あとで、おいであそば 「おどろかれませんの ? せ、勇気がーーーおありなら」 「ルノリアをありがとう、美しいかた」 「そういうこともあるでしよう」 457

9. SFマガジン 1985年2月号

フィルムは 残ってないわけ ? 母は僕が 五つの時に 死にましてね そのあと しかも当時 こっちに別荘を昨晩 映画をフィルム 持っていた 探したんだけどで持ってて 東京の今の家に 子供に見せてた 別荘にも ひきとられて なんて : ・ ありません いったんですか でした ええ その時の ドサクサで どっかへ ったらしくて でも 変わってるね 女の人で 今日子は、、「 ~ 現れなガった三一一一一【 遅いな : その夜 今ならビデオとか あるから : 彼女・ : も・ついいト ごめんなさい = ここュご、 267

10. SFマガジン 1985年2月号

この年になって 再現しようとする 監督もいれば あの一瞬はまた 永遠でもある 子供の頃に見た 映画を 三十七年前のあの出来事は つい昨日のことのようでも あり : いまだに 気動車が走っている 所だってあるのだ 航時機ガ開発されよう としている同じ時代に しかし彼女は フィル乙の中に 生きている これつばっちも 意味は変わりは しない 生きているうちに あれ以後の今日子には もう会えないガも しれない 私の生きてきた時間を 細ガく区切り それをどう並べ変え ようと 彼女に一つプレゼントを しよう : 今度の映画の中に あの 8 ミリフィル乙を インサートするのだ 本番 いきまーす 2 0 本は IW 7 2 7 7