年 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1985年2月号
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1. SFマガジン 1985年2月号

1959 年 12 月 あの頃わたしは・・・ 栗本薫 もり見な・みかつにの さもひ、守そおフてもよあ愛 王しいずに のつきたらし よとはだれてそイ位れ意け うもなひるかう老学な志らま な、さとこれだ師問かをれだ もかれりとはつの所つお、包 、た講のたき守ま のれて、も をのい近な父の義長。わ役れ 感外たしい母でをたかすのて じ見のいまのあうるれれ手守 さかで肉ま愛るけフはてでら 。さェきき育れ せらあ親にと せイわたてて る、るで、い るガめよらい もそ。あ十う ほンてうれる のう はしたにのど老聡なたべ の師明はこき 何た母なに のり世成がなかと年 なよち、の績、少なが頃 SF マガジン創刊 25 周年おめでとうござい かるが学つで特年さ、に ます。 25 年一一 -- 四半世紀ですね。凄い ! つべう問ねあにでにそ 乞あつの品 所の たな 残念ながら , 25 年前 ? まだ生まれてない 。さ歳に子たうりな、物 もんね , とはかなり前に云えなくなってしま がて、がどの 下通ど 、オそ よ のうも 弟このそーのてかう 稚園の年長組といったところでございます。 よろ王とよれ・麗い生に むろん , いかに早熟な私といえども , さすが りも子とうでタ質るヘ人 にまだ SF マガジンは読んでおりませんでし もンをのの手 となに た。当時私が読んでいたものというと , なか よし , りぼん , ぐらいなところでしよう。 のをぶつこ が わたなべまさこ「白馬の少女」「すみれ子さ 、そあえそかた王たの がえの、り の連は人か よ よ尾をふれ」などというのを覚えておりま ロロれ、づれうひ歩て形あた す。あと水野英子とか , 赤松セッ子 , 細野み のの王れがすそい人のえか ち子 , 細川知栄子 ( いまだに「王家の紋章」 でひてをよてい あ、子の 、そゆよいそ少 る先殿姿ふ 描いてるってのが凄い。「泣くなパリっ子」 ゆとくせ頭の年 男に下をつ なんて覚えてるな ) などはもう少しあとでし るさとつは身は が立目と やさ、け、を 足 かや教な誇刃そ を にく棟からにん と たかと申しますと , 髪はポニーテールにし 歩声のつか倒な た め て , ヒ。アノを習いに通い , 八コマの連載マン いがあたにしふ 礼黒か た てきち。もたう ら の ゆ だ は でありました。 くえちげあひ を手にしたのは 89 号からですから , ずいぶん のたのらろと た 。広で。窓れうに あとのことになります。「カムカム・エヴリ いあしか ボディ」なんてのがのってた。 10 周年記念号 芝るからそゆわ ト は買って今でももっています。 25 年もたっと し寄のつれ 生 、宿目くま ずいぶんいろいろなことがあるものです。来 を 王生はりれ よ 年は , うちの子どもが幼稚園へ入るのですか 子た底とる ら。ともあれ《銀婚式》おめでとう , S F はち知歩ほ ぎ の 何のれをど MO も目ぬはで て 四 闇こあ く 十

2. SFマガジン 1985年2月号

1959 年 12 月 あの頃わたしは・・・ 田中光ニ 与は 末 : まスえ、よただ あチれ退ろ。ろ ュば屈し おワ、をい も し がかダ 3 きト人てと 力、 前あも し そ聞ズ なゴのまか のいは ツ っリにてい てン戻酒ちは 下はるび、ど さ肩かた、会む っズし、 す知にてろ つカ ; つ くれな い下め めまる話の て宿て たせ男を男 。んもしに るてる 昭和 34 年といえば , 僕にとっては忘れられ L—いて興 レいら まみ味 り , SF マガジンが創刊された年でもあるの なうえ た 仕世せよ う だ。ながくもあり , みじかくもあった 10 年だ った。ここで学んだ最大の教訓は , 生きてゆ くためには我慢をしなければならないという てのはあと、てだ ことだったろう。 トいグ成なあアいぐ、煮いとそ人 主ドのたリををめたい日食 まれつきこの我慢が出来る人間もいるが , ま ア人大果ろカ物第巻た。てのい ったく駄目な者もいる。ぼくはあきらかに後 ダに佐てうや憂ういよ アげてう安、め 者の人間た。 10 年持ったのがふしぎなくらい ム訊はが ズね、集祖そジにいな煙た私者 とた奥ま国をア歩る服 10 年 , 何をしてしのいでいたかといえば , 。にるを、き。をのちち うあこ捨あ回娼着煙はが スキー , 海 , そして本 , 映画だった。これら がホ集 をカ世ていてを荒も、テま 食だったのである。 う、ルる 探ウの一 2 はいかく SF にとりつかれたのは , SFM 創刊にシ しン地旗南たねれも、の吹 ーのげの酒た た。星 , 小松 , 筒井 , 光瀬の名前をおぼえ , 場ちたかま ま底よど る 世の中にはすごい想像力をもつ人間がいると ちらり のでなうの女が アの だ入のと町た ~ 、 ) ナこ 0 ちあめダよ つだ飛に が それからいっしか S F にたいする興味がう がちるムう てっぴも すれ , 冒険小説へと傾斜していったが , S F そズな 行た出 盆ちのの場 がぼくのいのちを支えてくれた恩人であるこ とてのをの酒居所 とはたしかである。 持テ場場だ いま , その恩返しが出来たろうか , 正直い へ所っ とがた って自信がない。そのうちいずれ・・・ を冒なてフ・ 拭険酒そル入そ 家場ので 243

3. SFマガジン 1985年2月号

ロバート・ < ・ハインライン 默の数字 矢野徹訳定価ニ七 00 円 時空を超えて旅をする二組の天才夫婦が行き着く先は ? 巨匠が七年の沈黙を破って発表した超大作、遂に登場ー ロ・ハート・ < ・ハインライン 工 グ始まりの場所フライティ 矢野徹訳定価一七〇〇円早 - 小尾芙佐訳定価一三 00 円 あたしは戦闘伝書使のフライディ、遺伝子工学て生まれ わずらわしい日常を逃れて別世界へさまよいこんだ少年 た人工人間ー近未来社会を舞台に巨匠が描くカ作長篇 の愛と闘争を、 t--oæ界の女王が流麗に描くファンタジイ カート・ヴォネガット アイサック・アシモフ ファウンテーションの彼方へチャンビオンたちの朝食 浅倉久志訳定価一 ~ 〈〇〇円 岡部宏之訳定価一八〇〇円 現代アメリカ文学の旗手が、涙と笑い、ペーソスとユー モアに満ちた軸自の筆致て綴る愛と条理の磔作長篇 ! 〔ロリ沈黙い破「て発表し、全世界を熱狂させた最新話題作 ! アーシュラ・・ル・グイン 映化 2 ロ 10 年宙の旅 伊藤典夫訳定価一六〇〇円 二〇一〇年、宇宙船ディスカバリー号調査回収隊が見た 真相とは卩全世界待望の「 2001 年」の続篇登場ー・ アーサー・ O ・クラーク

4. SFマガジン 1985年2月号

.. 乃乙ノカ・ - フ冫ア - ン ' タ」ゞノイグチク昭和 35 年 4 月に日第三種郵便物認可昭和 34 年に月旧国鉄東局特別扱承認莠 昭和 60 年 2 月旧印刷・発行 ( 毎月一回・旧発行 ) 第 ? 6 巻第 2 号 0 枩シリーズ努揃い ・グイン・サーガ外伝 栗本薫 ・銀河乞食軍団外伝 野田昌宏 ・大魔界外伝 O ・日 C ・マーティン 田中文雄・・べィリー ・高飛びレイク外伝 ¯) ・一プトリー LL ・ボール 火浦功 念特 み 岬兄唐 大原まり 久美沙織 上に 海外精選ー スペンヤル・エッセイ 新井素子 、、迎載ー 眉村卓 田中光ニ 川又千秋 7985 / FEB

5. SFマガジン 1985年2月号

わされることがありました。しかし、二十 チックに義務的なセックスを描き、表面的質も変わりました。一九七〇年以前には、 なこまかなことをおびただしくならべたてどのファンも有名な作家・作品はほとんど人の若者の中でバラードを読んだことがあ るという、ぶ厚いベストセラー小説そっく読んでいるというのが共通諒解事項としてるのはたったひとりでした。一九七一年の クラリオン創作講座では、フィリツ。フ・ りの g-æを書くことによって金もうけを狙存在していました。それがいまのファンは う、ニーヴン & パーネルの『悪魔のハンマ多くが活字媒体のに中毒しているわけ・ディックの長篇を一冊でも読んだことの ー』 ( 一九七七 ) のようなやりかたや、人ではなく、ポツ。フ・カルチャーを通じてあるものが、作家志望者十八人中たっ ー・トレック』、『二〇〇一年宇宙たひとりでした。しかも、その十八人はの 気作を際限のないシリーズにしてだらだら ( 『スタ ートの〈デュ の旅』、『デーン』、『異星の客』、マーヴちに全員。フロになっているのです。現在、 と書きついでゆく、ハー ン〉シリーズのようなやりかたと、それをエル・コミックス、コミックス大会 ) もはやの全体像をつかむことは、ファ ンにも作家にも不可能になっているのでし 促す商業主義の圧力が攻撃さ れています。はつねに出 ようか。若いファンや作家がはじめて抱く 像が、をサイファイと呼ぶメディ 版界からの圧力にさらされて いたものの、それは性描写や アからのものであることが問題なのた、と ートウエルは説きます。 ペシミズム傾向の拒絶という 七〇年代はの・フームの時代だったと 側面にかぎられていました。 それが、いまでは作品の根幹 ルされています。しかし、その大半はじつは ファンタジイであり、ファンタジイの隆盛 にふれるとしての中味を タ がもそれほど栄えているわけではない 無視し、技巧、人物描写、複 サ という事実をわかりにくくしているので 雑なパノラマふうのストーリ イ、近未来の舞台設定を重視 す。出版点数のかなりの量が旧作の再 するように、全面的な圧力がかかっているを発見し、そのほとんどが過去の作品にま録でしかありません。出版界はがけっ というのです。 で掘りさげて読もうとしないのです。一九して古びたりすることなく、作家が新しい 当然のことながら、ファンも批判の対象七一年ですら、一年間に出版される新傑作を発表するたびにその古い作品をだし となっています。一九七〇年以前の地方大刊は約九十点にものぼっていますから、新なおせば売れる特異なジャンルだと豪語し 会の参加者は、。 てきました。しかし、雑誌の部数はど フロも含め三十 ~ 三百五しい作品をつぎつぎと追いかけるのにせい 十人程度でした。それが一九七九年には、 いつばいで、とても古典にまでは手がまわんどん落ち、の新刊点数はほとんど変 化していないのです。・フームとはこういう 同じ戦没将兵追悼記念日の週末に五か所でらない、というわけです。最近のとある cn ことをさすのでしようか ? 地方大会がひらかれ、参加者はそれそれ四大会で、二十人の若いファンを前にパラ 0 百 ~ 千人にまでのぼっています。ファンの ()n は文学ではない、 1 トの初期の作品について活発な論議がか トウエルよ 233

6. SFマガジン 1985年2月号

この年になって 再現しようとする 監督もいれば あの一瞬はまた 永遠でもある 子供の頃に見た 映画を 三十七年前のあの出来事は つい昨日のことのようでも あり : いまだに 気動車が走っている 所だってあるのだ 航時機ガ開発されよう としている同じ時代に しかし彼女は フィル乙の中に 生きている これつばっちも 意味は変わりは しない 生きているうちに あれ以後の今日子には もう会えないガも しれない 私の生きてきた時間を 細ガく区切り それをどう並べ変え ようと 彼女に一つプレゼントを しよう : 今度の映画の中に あの 8 ミリフィル乙を インサートするのだ 本番 いきまーす 2 0 本は IW 7 2 7 7

7. SFマガジン 1985年2月号

ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ聞ⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢ パラドックスを扱っており、古来の、、現象 と本質 / / というテーマに取り組んで、興味 ぶかい SF の分枝をつけ加えている。同作 品は 1975 年のイギリス S 賞を獲得した。 『スペース・マシン』 T ん Spac M “ん・ ( 1976 ) は、 H ・ G ・ウェルズの作品を巧 みに組み合わせたパスティーシュで ( ウェ ルズ自身が作品に登場する ) 、ウェルズが 「タイム・マシン」 The Ti ・襯 Mac んツ 6 ( 1895 ) と『宇宙戦争』Ⅳ〃尾 Ⅳ。 ( 1898 ) で残した物語の未説明の 一部をプロットとして解明している。賛否 さまざまな評価があるものの、 1977 年のデ イトマー賞を受けている。 フ。リーストの最新作は『ドリーム・マシ ン』 A の 1 ぉ“の ( 1977 ; T ん れ記。だ米 ) であり、 1983 年に 39 人 の精神をコンヒ。ューターでかみ合わせて、 彼らを ( あるいは、彼らの精神的幻影を ) 150 年未来の世界に送りこむ計画が描かれ ている。彼らは現実世界の記憶なしに、そ の時代で、、生きる″ことになる。作品全体 が創作過程の暗喩ととれ、また唯我論とも 関連している。後者は『逆転世界』のテー マの一部を敷衍したものである。 進行中の《ドリーム・アーキペラゴ》シ リーズは長篇 2 作を含む予定だが、その初 期の数篇が 1977 / 78 年の後半に出版される The 五″ e Su 加襯 e だ〔幽 1978 〕として刊行され ている . また、この長篇 2 作とは、後に刊行された 月だ川観〃〔 1981 〕、 The G 襯 0 な r ) 。プリース 〔 1984 〕を指すと思われる ペンネームで他のジャンルの長 トはまた、 篇も書いている。どれも SF ではないが、 一部はファンタジイの要素を含むとされ ている。ただ、作者はこうした作品の存在 を認めてはいない。 フ。リーストは、、サイエンス・フィクショ ン・ファウンデーション″の理事であり、 その機関誌ファウンデーションの副編集長 アポロ賞 PRIX APOLLO アポロ 11 号を記念して、 1971 年にフラン スでジャック・サドゥールにより制定され た文学賞。フランスで発表された年次最優 秀長篇に贈られる。 11 名の審査員は、作家 のミシェノレ・ビュトーノレ、アラン・ロフ・ グリエ、ノレネ・ / くノレジャベノレ、 シェノレ・ トミュート、批評家のジャック・サドゥー ノレ、フランシス・ラカッサン、ジャック ゴワマーノレ、ジャン = ジャック・フ・ロシ ェ、シャーナリストのジャック・ベルジ シェノレ・ランスロ、和一学 : 名 ) フラン ソワ・ル・リヨネーである。 以下の作品が受賞している。 1972 : ロジャー・ゼラズニイ lsle 〃尾 の ad 1973 : ジョン・ゾラナー Za ルル ar & 4 れ d 0 〃 を 2 年間っとめた。 4 田 〔 PN 〕 1974 : ノーマン・スビンラッド『鉄の夢』 T んヒ〃 0 れ D の〃 1975 : イアン・ワトスン T んに E 襯ろ記市れ g グ『夜の 1976 : ロバー ト・シノレウ・アー / 、一 翼』 Nig を切 gs 1977 : フィリッフ。・キュルヴァル『愛しき 人類』 C 2 尾乃 4 〃襯 1979 : フレデリック・ポール『ゲイトウェ イ』 Ga 1980 : ジョン・ヴァーリイ『残像』 T んに ~ にな〃化 0 工な / 0 れ 1981 : ケイト・ウイルヘルム『杜松の時』 五れゆ T / 〃尾 1982 : スコット・一くイカー当 , 襯房 0 ん ' 5 ( ン℃てし , れ 〔 M J 〕 原 S F PROTO SCIENCE FICTION 、、原 S F ″という語を意味のあるものとし て使うには、明らかに、、 S F / / という語を VII

8. SFマガジン 1985年2月号

う、ずっと前に終わって、いまは血管まで凍りつくような冬だ : 少女は思った。 「天にいますわれらの父よ、 みな 御名があがめられますように。 御国がきますように。 みこころが天に行われるとおり、 地にも行われますように。 わたしたちの日ごとの食物を、 きようもお与えください。 わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、 わたしたちの負債をもおゆるしください。 わたしたちの試みに会わせないで、 悪しき者からお救いください」 食事がはじまった。 あたたかい野菜のスウ。フは食道から胃腸へ流れて、三人の冷えき った体を生き返らす。 ・フリキのロポットが、ミルクポトルに入った赤い液体をグラスに 注いでまわった。 「このぶどう酒はどこのですの ? 」 くちびるを少しひたして、女は言った。 「名のるほどのものじゃないさ」 老人は答えた。 「ぜひ知りたいわ」 「自家製さ : : : 裏庭でとれる葡萄でつくってみたんだ。これはたぶ ん一番古いやつだから四十二年ものになる」 「そう : : : 小さな女の子に飲ませてもいいのかしら ? 」 老人はやさしく笑った。 「もう、そろそろ軽い酒をお・ほえてもいい年頃さ」 「そうかしら ? マリ、あなたはいくっ ? 」 少女は左手をきちんとテー・フルの上に置いて、背すじをまっすぐ のばしたまま、銀のさじを正しく口に運びつづけていた。少女はさ じを音もなく置いて答えた。 「七つです」 「おや : : : まだ七つだったのかい」 老人が驚いたように少女をあらためて見つめた。 六年まえやって来たときから七つの年を六回もくり返している少 女のことを、この老人はいったいどう考えているのだろう。 百二十歳をすぎた脳細胞は時を忘れはててしまうのか。 もちろん少女は一年ずつ成長することもできた。なぜならダナ・ サノの遺伝情報を体内にサン。フリングし貯えてあるから。 少女が成長をやめたのは、老人の溺愛のシャワーを浴びたせい だ。溺愛のシャワーは成長抑止剤として作用する。 、つしょに極上の ブリキのロポットが扉をあけて入ってくると、 ラマダ肉の焼けるすばらしい香りがひろがった。肉にうめ込んだ香 草の実がかぐわしい 「学校ではなにを習ってるの ? 」 女がさっそくカマをかけてくる。 少女は答えた。 「わすれちゃった」 「冬休みに入ると子どもはみなそうさ : : : それより肉、肉 ! 」 373

9. SFマガジン 1985年2月号

乳と肉、ひからびたキャベツのような野菜など ) の再分配と、 " 洞「太陽が黒くなる前に、天が落ちる。それが前兆だ」 「蝕はどのくらい続くんです ? 」 窟の準備を担当しており、あいた時間は殆どないらしい 「三十五時間」 ″洞窟″というのは、何だかはっきりしない理由に基いて、″天〃 が落ちて来る事態にそなえるための、一種のシ = ルターらしい。百内惑星による蝕の場合、長時間にわたり、しかも、全惑星規模で 年以上前から、そのためにうけつがれて来た建造物のようだ。こおこる場合がある。 の、数百戸のテント小屋が並ぶ " 町″の、どこにあるのかはわから「その間、真っ暗なのが続く訳だ」 「そうだ」 アマズ氏は、そのことについて、多くを語りたがらなかっ アマズ評議員は、重々しくうなずいた。 た。おれには、その理由も、うすうす見当がついた。 「暗く、息苦しい」 ″洞窟″がどこにあるにせよ、彼は、おれたち二人のよそものを、 「息苦しい ? 」 そのシェルターに入れてくれる気はないのだ。 「そ、そうだ」 となれば、当然、おれたちは独自に、天の落下にそなえなければ アマズ氏は、思わず口をすべらせてしまって、あわてている様子 ならない。 日蝕は非常にゆっくり進んでいるが、あと十時間かそこらで、あどっこ。 たりは暗くなるだろう。そしてーーーそして、何が起こるというの 「だから、わしたちは、洞窟へ行くのだ」 「住民全部が避難するのですか ? 」 ない」 「いや。全員では 「太陽にできたしみのことは、知っている」 アマズ評議員は、苦しそうな顔になった。 と、アマズ評議員はのたまい、例の嫌らしい味の茶をすすった。 「すでに、くじびきはすませてある」 「五十年に一度、太陽が黒くなるのだ」 アマズ氏のロにした″くじびき″という言葉には、、やに不吉な 「なるほど」 響きがあった。 おれは、茶には手をつけずにうなずいた。 「くじびきで、避難する者を決めるのですか」 「しかし、この星にも月があるんですか ? 」 アマズ氏は、直接質問には答えなかった。 「いや、月ではない。″ 内側の星″だと伝えられている」 「″洞窟″は、あまり大きくはない」 つまり、内惑星による蝕だという訳だ。五十年に一度の周期とい うことは、内惑星の軌道平面が、この星のものとは幾分ずれている「くじびきで、そこに入る者を決めるのですか ? 」 ことを意味する。さもなければ、蝕は五年に一回か、あるいはそれと、おれは重ねて質問した。 「そうだ」 以上の頻度でおこる筈だ。 224

10. SFマガジン 1985年2月号

のうち数篇は沢 I - T / 〃尾の・ ( 1974 ; 1973 年にドイツ版アれ眇厩 i ・ 0 劭が 先に出ている ) に収録されている。 プリーストの長篇第 1 作は『伝授者』 c ( 1970 ) だが、長篇第 2 作 の五 ag な / 0 な Da 切 g おれ d ( 1972 ; 圜 D 〃 g la れイ米 ) の方 が力強い出来映えと一般に考えられてい る。これは近未来のイギリスが舞台で、故 国を核戦争で破壊されたアフリカ人難民の 到来に焦点を合わせ、政治的・種族的緊張 げられている。また、本事典のかなり多く のテーマが部分的に予言を扱っているの も、当然の成り行きだろう。すでに述べて きた項目とは別に、社会科学面での予言が 優勢なものには、都市、デイザスター、経 済学、ゲームとスポーツ、レジャー、メデ ィア風景、人口過剰などがある。技術的分 野で、 S F が予言し、その多くがすでに現 実となった、あるいは虚構に終ったものに は、コミュニケーション、サイバネティッ クス、エコロジー、機械、医学、月、公 害、エネルギー源、輪送機関、海底などが ある。 SF の予言としてまだ完全な実証の 機会を得ていないものの、今後 50 年の間に 試されるであろう分野には、クローン、ク ライオニックス、サイボーグ、宇宙船、人 工冬眠、テラフォーミング、気象制御など がある。 上述の多くは、予言という語を漠然と使 っている。 SF 作家が何かを空想して、後 にそれが実現した場合、われわれはそれを 予言と呼ぶかもしれないが、そう呼べるの は後知恵にすぎない。そうした空想の結実 を、、こうなるだろう″という形で読みとっ てもらいたい SF 作家はほとんどいない。 ほぼつねに、それは、、もしこうなればお もしろいだろう〃という形をとる。また、 S F の創作裏にひそむ心的態度として、し ばしばつぎのような場合もある。 これが まさか起こるとは思えないが、作家として の全才能をかけて、もっともらしく見せか けてやろう。このイメージにはわたしの心 を魅きつけ、共鳴させるものがあるから 〔 PN 〕 プリースト、クリストファー PR I EST, CHRISTOPHER ( 1943 ー イギリスの作家。会計士として働いてい た 1966 年、インパルス誌に "The Run" で デビューし、短篇を発表しはじめる。これら 『逆転世界』 が高まる様を描いている。この作品は 1973 年のジョン・ W ・キャンベル記念賞で、年 間最優秀長籀部門の第 3 席となった。 つぎの長篇『逆転世界』記確の - 記 ( 1974 ; 圜 7 ' ん e 0 な d 幵アの・朧米 ) は 一般にこれまでの彼の代表作と見なされて いる。事件の展開する双曲面世界は、おそ らくハル・クレメントが『重力の使命』 石 0 れ G ( 1954 ) で創造した メスクリン以後もっとも風変りな惑星だろ う。『逆転世界』は知覚と認識の変革での 482 VI