部屋 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1985年2月号
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1. SFマガジン 1985年2月号

ラント サンワワンタ 、ステク 「いいですね。あの部屋には絶対はいってはい けませんよ〕シャドー先生は厳しい目つきで 生徒たちを見回した。いつもいたずらはか りしているライト君たちも神妙な顔をして いたところかいけないといわれると余計に 冒険心をかきたてられるのが人の世の常。 ライト君たちも例外ではなかった : ・。 その日の夜。正門前に集まった彼らは、鉄格 子の門をよじ登り 、 1 階の廊下の窓をこじ あけると校舎へしのびこんだ。まっ暗で冷た い廊下を、ペンライトの細い光だけを頼りに すすんでゆく。ヒタヒタヒタ。心なしか足音 まで湿っぱく聞こえるような気がする。と、 彼らの足音があの部屋の前で止まった。息 をひそめてドアを開けた瞬間、部屋の外を 車が通過した。するとヘッドライトの輪の中 に浮かびあがったのは、誰もはいれない部屋 の中で向かいあって話しこんでいる 2 人の人 影だった /. 彼らは一歩、ニ歩と後すさりをす るとくるりと向きを変え一目散に逃げ出し た。翌日、シャドー先生は手に大きな壺をか かえて教室にはいってくるとこう言った。 「昨日注意したのにもかかわらすあの部屋へ しのびこもうとした人たちがいたそうです ね。この壺が無事でよかったけど〕 ☆ あり得ないと思っていたことが起きるのが現実。 万一の備えは万全ですか。 一ム、、こ 三和銀行

2. SFマガジン 1985年2月号

「驚かれているこど てしよう」 やっとのことて 私は今日子の借りて いた部屋を探し だした ところで 残りの 部屋代だけど 時間論 ? 払ってくれるん たろうね 「さぞかし」 「航時機の : ・」 2 7 2

3. SFマガジン 1985年2月号

東京からは、 0 0 0 Z —ツアーも組ま そんなこんなで、前夜祭の夜は更け、しけが顔を出している赤い輪 ) などの出たオ 1 クションや、サイン会など、盛り沢山の 5 れ前夜祭の前日に京都のお寺で、前々合宿つかり寝た人にも、二十分しか寝なかった 2 を行なうというカの入れようでした。 ( な人にも、朝は訪れ、 XOOOZ* 当日を迎企画で、参加者を倦きさせませんでした。 んのことはない : えました。 ・ : ちょっと観光をして、 スタッフの皆さん、ほんとーにご苦労さ ースディ企画あまでした。 夜は、宴会の後、お仕事をしたんです。。フ火浦功氏を囲んでの ログラムをホチキスで留めたり、くす玉のり、ビデオ上映では、なんとー 作家そして、火浦功氏を始めとするゲストの 仕上げをしたり : : : ) の。フロモーションビデオなるものや、お宅方々、ほんとーにありがとうございました。 次の日は、夕方から、前夜祭に突入しま ( 十一月二十四、二十五日於大阪市立労 した。したのはいいのですが : : : 火浦功氏 働会館特派員・功援会川野由貴 ) 幸と、米田裕氏と田中氏 ( 『時をかける少女』 マガジン特派員募集中ー など、一連の大林監督の映画のスタッフの 方です ) に小松左京氏から、お呼びがかか このページでは、読者の皆さんからの り、お出かけになられてしまいました。 イヴェント・レポートを募集していま タ さて、残されたのは、参加者と高井信 ス す。 氏。 あなたが参加、主催したイヴェントの 合宿企画は、「ビデオ部屋ー「宴会部屋」 ウ模様を、四百字詰原稿用紙二枚半から三 「マージャン部屋」で、高井信氏は、「マ 枚にまとめて、本誌編集部「特派員報 ージャン部屋」の主となり、朝の六時頃ま 告」係まで送って下さい 「ビデ で、がんばっておられたとか : また、そのイヴェントの写真など、あ 、冫オ部屋」は、米田裕氏提供のさよならジ、 わせて送っていただけると、あなたのレ ビターのメイキングや、時かけ、転校生、 ポートに添えて掲載させていただきま 愛情物語のロケ地を、火浦功氏、とり・み拝見ビデオ、昨夜のロケ地巡りのビデオ す。その際、写真返却希望の方は、その き氏、田中氏と共に訪れた時のビデオなどが、ゲストの皆さまの楽しいお話と共に上 旨、明記して下さるようお願いします。 で、三部屋の中では、一番健全に盛り上が映されました。自己紹介の際には、火浦功 なお、掲載分には、そのレポートの載 っていたそうです。「宴会部屋」では、某氏より、一人一芸必ずパフォーマンスする ったマガジンをお送り致します。 作家の長寿・ O の人達が集まってしこと、などの注文がついたり、〇 x 式のク どうそ皆さん、奮って御応募下さい ″ほのぼのルーム〃とやらを作ってイズ、。フロモーションビデオの撮影の際に ここは、あなたがつくるべージです。 いました。 使った大道具 ( ゴーストパスターズのおば

4. SFマガジン 1985年2月号

に駆け込んだ。 口を ? 何を ? 騒ぎが遠のいた。 わからない。 キイは手探りで何段か下りると、うずくまった。 あのすばらしい体験がデータとしてムダだったこと、そのまま認 データ、変わらなかったんたわ。 めたくないだけ ? 抱えた膝の中に顔を埋めて、キイは黙って耐えた。 でも逢わなくては。彼に。逢わなくては。 失望。 . ジェンはどこ ? 」 失望。これは失望よ。絶望じゃない。 不意に誰かが言った。キイは、耳をそばだてた。 ふう、と顔を上げた時、腕鐶が耳を擦った。 「なんとかいうお偉いさんがきてるでよ、挨拶してるべ」 とたんにキイは思い出した。 末装置に繋いでおくのを忘れたのだリ からだしゅうの力が抜ける気がした。 気絶しそうだった。 リンチされるかもしれない。 『やっかいもの』が出てくるのを、 ううん、絶対くる。いっかは戻ってくる。 誰か、待ち構えているかもしれない。 キイは『ふり』をするのをやめて、本気で掃除をしはじめた。何 一瞬そう思ったが、こころは止まらなかった。 かしていないと、朦朧としてくる。 キイは暗い階段を飛び出した。 きれいにしよう。 ごったがえすひとに紛れて、しごとをした部屋のほうに走った。 ここはあのひとの場所。この床はあのひとが踏んだところ。 立ち入り禁止、のドアも、体当たりをするようにして開けた。舞あたしはあのひとの足跡に接吻する。あのひとの指紋に接吻す 台衣装を纒ったままの『アクター』の何人かが、顔をあげたが興味る。 ・ : あのひとの吐いた空気を吸う。 なさそうにすぐ背けた。間違いない。 このあたりのどこかに『彼』 廊下も、着替えを終えた『アクター』が、いなくなった部屋も、 力いる キイは磨いた。ひとり、ふたりと去って、空き部屋が多くなった。 逢わなければ。彼に逢わなければ。 キイはいつまでも掃除した。 掃除道具を見つけて、あたりを掃くふりをしながら、キイは耳を幸い、ほんとうの掃除人は来なか「た。恐らく明日の朝のしごと すました。 なのだろうと思った。ひとのしごとを奪ってしまったことが、少し 誰か教えて。あのひとはどこにいるのつ・ 気がかりだったが、やめられなかった。 このままじゃ帰れない。あのひとに逢わなければ。そして確かめ全ての部屋が片付いた時、キイはようやく我に返「た。 彼はまだ戻ってこない。 6 9

5. SFマガジン 1985年2月号

このまま寝室へ直行か、と思いきや健一の部屋の前へつれて行かて覗いた。 れた。 「こら健一つ。そんな所ですねてないで、でてきなさいつ。おみや 閉まったドアの前で、絵美はおれを泣きそうな表情で見あげた。げ買ってきてやったぞ」 ポプ・カットの切りそろえた髪の下の丸い眼を、ひたとおれに向け健一は半ズボンからでた膝に額を押しつけて両手で抱え、机の下 で蹲っていた。 る。ジーンズに、薄ビンクのセーター姿だった。 パ怒るそっ ! 」 小学一一年の子供がいるとは、とても思えない。大学時代とちっと「こらつ。でてきなさいつ。健一つー もかわっていない絵美だった。 だが健一は膝を抱えたままピクリとも動かなかった。もちろん息 はちゃんとしている。 おれが絵美の肩を抱き、顔を近づけようとすると、 「け・ん・ 「健一がおかしくなっちゃったの」 そう言った。 おれは手を伸ばして、健一の膝を揺すった。 「へ ? おかしくなった ? 」 「いいかげんにしなさいっ ! 」 こくっと絵美は頷く。 髪をくしやくしややる。 「どういうことだ ? 」 「顔をあげろ健一つ ! 」 訊いても絵美が答えないので、おれは健一の部屋のドアを開けまるで反応を示さない。 て、中に入った。後から絵美も入ってくる。 いったいどうなってるんだ ? おれは机の下に這いつくばったまま、傍に立っている絵美を見あ 健一はいなかった。 六畳の部屋にはべッドや机や本棚などがある。床にはマンガやオげた。 モチャなどが散らばっていた。 絵美を見て、ぎよっとした。 ぐるりと部屋を見まわしてから、おれの後ろに立っている絵美を絵美は大袈裟なテレビ俳優のように涙をポロポロこ・ほしていたの 見た。 である。 「いないじゃないか」 おれは首をひねり再び机の下の健一を呼んだ。 「あそこ」 「健一つー ママが悲しんでるしゃないかつ。でてきなさい。でて こないと。、 , ハが引きずりだすぞっ ! 」 絵美は学習机を指差した。よく見ると机の下から健一の足がチラ おれは両手を伸ばして健一の足をつかみ、引きずりだそうとし と見えた。 「なんだなんだ、しようがないやつだ」 おれは苦笑し、ネクタイをゆるめながら机に歩み寄り、身を屈め と、絵美が声をだした。 こ 0 396

6. SFマガジン 1985年2月号

# 3 ジムは、約東通り、八番街のヴァンドーム・ホテルを訪ねた。 号室の前に立つ。 まったく。 いささかの気恥かしさを覚えつつ、二、 一、三とノックした。 ハフェの中身を、ス。フーンでかきまぜながら、ジムは苦 ドアが細く開いた。 笑いを洩らした。 「誰だ ? 」 昔つから、ロのヘらねえ奴だったからな、あいつは。 べィリーの声だった。 もっとも、後で聞いた話によると、レイクはレイクで、ジムのこ 「おれだ」 とを、 ドアが大きく開ュ / 『なんて鈍そうな大男だ』 「よく来てくれたな、ジム。さあ、入ってくれ入ってくれ、 と思ってたそうだから、お互い様ってところではあるが : べィリーは、ジムの肩を抱きかかえんばかりにして、部屋に招き とにかく、ジムにとって、レイクの第一印象は、決して良い方で 人れた。もっとも、べィリーの背は、ジムの脇の下あたりまでしか よよ、つこ。 なかったから、実際に肩を抱くことなど不可能だったが。 部屋には、べィリーの他に、三人の男がいた。 実際のところ、その場の顔ぶれをひと目見た瞬間、ジムは、この 「さあ。これでチームが全員そろったわけだ」 まま帰ってしまおうかと思ったくらいだったのだ。 べィリーは、両方の掌をすりあわせながら言った。 生意気な高校生みたいを口をきく若造ーーーレイクのことだ。 いかにも、うれしくてたまらないといった様子だ。学芸会で、主短身猪首で赤ら顔。ハゲかくしに、部屋の中でも帽子をかぶって 役をひきあてた小学生みたいに、うきうきしていた。 べィリー いる太っちょ 「みんな聞いてくれ。これが昨日話してた、ジム・〈マイクロハン そして、あとの二人。 ド〉・ケースだ。電子工学の専門家」 片方は、皮膚の下で骸骨がすけて見えそうなくらい、ガリガリに 三人の中の一人が、軽口を叩いた。 痩せた男で、何を喋っても葬式のくやみを言ってるようにしか聞こ っ 「電気屋さんか。こいつア、驚いた。てつきり、ニッポンのスモウえない、陰気な声の持ち主ーーーたしか名前は、ガーシ、とかい ・レスラーだと思ってたぜ ! 」 ゲラゲラ笑った。 それと、シャツの上に着けたホルスターから、大口径のパワー それが、レイクだった。 ガンを、これみよがしにのそかせて、やたらタフぶっている男。目 9 尻のところに小さなキズがあって、笑顏がサメに似ていたーーーあれ こ 0 」 C

7. SFマガジン 1985年2月号

「どうして、そんなことがわかるんだっ卩」 とすると、いつになく暴れて、あたしの手におえなかったわ。 おれはまたイライラし、あわてて口調を静めた。 それで、しようがないので学校には病気ということにして体ませる 絵美はおれをひたと見た。 ことにしちゃったの : : : 」 「だってわかるんですもの。あたしはこの子の母親よ」 「そんな、すぐに休ませたりしたらだめじゃないか」 おれは眉根を揉んだ。そして先を促した。 「ごめんなさい。でも、暴れたり泣いたり物を投げたりで、どうし それで、健一は学校を休んだとき「よし、健一の意識がどこかへ行ってしまった。それで ? 」 ようもなかったんですもの。 いつもするように、自分の部屋に籠ったきりで、独りで一日中遊ん「あたしはおろおろして、健一健一つて大声で呼んだの。そした そしら、あなたが壊してしまったオモチャのロポット超合金・フチメカ でいたの。食事のとき以外はずっと独りで遊んでいたわ。 が、あたしの方へ歩いてきたの。 あたしは、すぐに健一だって て三日めの夕食のとき、あたしがイライラして怒ったの。そうした ら、茶碗をあたしに投げつけて自分の部屋へ行ってしまい、籠ったわかったわっ」 「なんで、そんなことがわかるんだっ卩」 きりでてこなくなってしまったの」 「母親の直観よっ。自分の子ですもの」 絵美はラジコン・カーをなでながらしゃべっている。 おれはイラつく口調をひっしで押さえ、こめかみをぐりぐり揉ん 「めんどうなので、しばらく放っておいた後、寝かせようと思って あの子の部屋を覗いたの。そうしたら、机の下に入ってしまって、 でてこなくなってしまったの。あたしがいくら言っても引っぱって「それで、今はそのラジコン・カーが健一だっていうのか ? 健一 も、いやだ、と言ってでてこなかったの」 の意識がラジコン・カーに入っているというのか ? 」 「そうよ」 おれは机の方を見てから、また絵美を見た。 ィーンと数秒間、タイヤが回った。 「どうしてもでてこないので、しようがないから、蹲った体を毛布ウ で被ってやり、放っておくことにしたの。 そのうち自分ででて絵美はラジコン・カーをおれに差しだした。 きて、べッドで寝るだろうと思ったの。 それで、あたしも寝室「あなた抱いてみて。そうすれば、これが健一だっていうことがわ へ行き眠ってしまい、翌日起こしに行ったら、健一はまだ机の下に かるわ。だって、あなたは健一の父親なんですもの」 蹲っていて、そこで眠っていたわけなの : : : 」 おれはしかたなくラジコン・カーを受け取った。するとラジコン 「それいらい、あそこにいて眠っているというのか ? 」 ・カーは、まるで喜んだようにウインウイン、タイヤを回し、ライ トをしつこく点減させた。 おれは机を指差した。 でも、眠っているんじゃないらしいのがわかったの。 おれはラジコン・カーを胸に抱いた。 健一の意識がどこかへ行ってしまったらしいのがわかったの」 そして、ぎくりとした。 8 4

8. SFマガジン 1985年2月号

求リスが、一新った。 べてみせた。 「まさか、こんなしけた部屋で、飲もう「てんじゃねえだろうな脚 「それより、今度は、こっちが訊ねる番だ。この仕事に、乗るのか 乗らないのか : レイク ? 」 「なんだって ? 」 レイクは、あっさりと答えた。 「アンヴィルにや、愉しめる場所もたんとあるだろうが。ええっ・ 「乗った , ちょうど、頃合いも良し。豪勢に、どこかへ べィリーさんよ。 「ガーシュっ .. くり出そうじゃねえか」 「ああ」 「賛成つ」 「ドレイク ? 」 レイクが、片手をあげて、叫んだ。 「見つからなかったら、ただじゃおかねえぞー 「おれは、どっちでも : : : 」 ガーシュが、・ほそ・ほそと呟いた : ジムは、素早く考えた。 べィリーは、なぜか、急にうろたえたような表情になった。 もったいをつけてはいるが、・ヘイリーのことだ。確率は、半々 しかし : いだろうが : まあ、それも、 「いや。そうだな。 か、四分六つてところだろう。 しかし。 なければないで、べィリーの奴を大笑いしてやればすむこと「なに言ってんだよ。さあ、行こうぜ ! 」 だし、万が一にも、本当に見つか「たら、こいつは、また別の意味ポリスは、ソフアの背にひっかけてあった、自分のジャンパ 持って、立ちあがった。 で、大笑いた。 それに、大昔の難破船を探しに行くのに、さして危険があると袖に手を通しながら、さっさと先に立って、ドアを開ける。 求リスは、ノ・フを握ったままの格好で、中の四人をふり返り、首 も、思えない。 をぐいと横に倒して、言った。 ジムは、一一「ロった。 「早くしな」 「 0 」 四人は、そろそろとポリスの後に従って、部屋を出ていった。 「これで決まった ! 」 エレベーターが来るのを待っ間、ポリスは調子っ外れのロ笛を、 ペイリーは、ばんと手を打って、立ちあがった。 「じゃあ、ひとつ、作戦の成功を祈って、今度こそ乾杯といこうずうっと吹いていた。 インジケーダー ジムは、階数の表示板を、イライラしながら見つめた。 ロ笛が、どうこう言っているのではない。 「おいけし

9. SFマガジン 1985年2月号

光がそっと闇にさしこんでいた。星々と街の灯を背にして、ドアをした。 開けた男が立っていた。巨大で、忌まわしいほどに太っていた。肌 ドアのしまる音がした。ここに住んでいたものがゆっくりと彼に 4 4 は茸のように白く、ぶよぶよした幅広の顔には、皺に埋もれて小さ近づいてきた。ケ = イは涙を払い、月光に青白く照らされ、脂肪が な眠が光 0 ていた。男が身じろぎすると、乳房のような肉塊が腹について・フ = ・フ = した巨大な二本の脚が近づいてくるのを見つめた。 当た「た。男がにやりと笑うと、顔の半分が歯にな「た。大きな一 = 上を見ると、まるで山を見あげたみたいだ「た。はるか頭上に、恐 日月のような歯ならびだった。男はケ = イとケ = イの猿を見て笑っろしい歯が見える。 たのだった。ケニイは気分が悪くなった。戸口の男は彼の背中にい 「彼はどこだ ? 」ケ = イはかすれた声で言った。「かわいそうなモ る猿の二倍は重そうだった。ケニイは震えた。 ロニイに何をした ? 」 「彼はどこだ ? 」彼は低くささやいた。「、。 = →はどこだ。・彼にやにや笑いに変化はなか 0 た。そい 0 はぼ「ちやりした手を伸 に何をした ? 」 ・よし、キーレ・、 あざけ ーサ・ソーセージほどもある太い指で縞模様のだぶ そい 0 は笑 0 た。嘲るように身体をゆすると、垂れさが「た胸のだぶ。 ( ンツのゴムを持ち、ぎこちなく。 ( ンツを脱いだ。。 ( ンツはパ 肉塊が激しく揺れた。ケ = →の背中の猿も笑いだした。ナイフの刃ラシ = ートのように床におち、足元で小山とな「た。 よりも鋭い、甲高くか・ほそい笑いだった。猿は手を伸ばしてケ = イ 「そんなばかな」ケニイは叫んだ。 の耳をいやというほどねじった。底しれぬ恐怖と底しれぬ怒りがケ そいつには性器がなかった。汚れた。 ( ンツから解き放たれ、絨毯 ーチ = ター 0 身体に充満した。疲れはてた身体に残「てに触れそうなほど垂れさが「ている 0 は、皺だらけ 0 皮でできた袋 いた力を総動員して、彼は前に進みでた。いかなるわけか、ケ = イ だ 0 た。袋は股から生えて、細長く、痩せさらばえていた。しか は戸 0 に立「た巨大な男 0 なかを通りぬけ、室内に = ろがり = んし、 = →がおびえた眼で見 0 めるうちに、それは弱《しく蠢き、 身震いした。。 ふるぶる震える襞は、小さな腕と脚とに分離した。 「モロ = イ」彼は叫んだ。「どこだ、モロ = イ ? ぼくだ、ケ = イ それは眠をあけた。 ・トーチ = スターは悲鳴をあげ、あわてて後ろに跳びさが 答はなかった。ケ = イは部屋から部屋へと調べまわった。マンシ 0 た。部屋の中央でにやにや笑っている猥褻なものから逃れようと 。は汚れ、ちらか「ていた。骸骨、 0 = →の姿はどこにも見えなした。そい 0 の脚のあいだから、か 0 ては、。 = →だ 0 たものが哀 かった。ケニイ・、 カ喘ぎながら居間に戻ると、猿が急に身じろぎし、・願するように棒みたいな両手をあげているのた。 彼は・ ( ランスを崩した。彼はよろめき、どしんと倒れた。膝にはげ「やめてくれえ」 しい痛みがはしった。クローム・パイ。フとガラスでできたコーヒー ケ = イはうめき声をあげ、なにやら叫びつつ、背中の猿の体重を ・テーブ ~ の端で、伸ばした手を切「てしま「た。ケ = →は泣きだず「しりと感じながら、激しく跳びまわ 0 た。月光に照らされた薄 ぎのこ わいせつ

10. SFマガジン 1985年2月号

: ママなんかきらいだよーだ : : : 」 あげた。 画面の横のス。ヒーカーから雑音とともに声が聞こえてくる。 そのときすぐ脇の居間から急にステレオの音がしはじめた。 おれもテレビに走り寄った。 ー・メタルたっ 放送が、すさまじい大音量で流れだした。〈ヴィ 「なんてこと言うんだ ! ママをこんなに困らせて悲しませてつー テレビからでてきなさいっ ! 」 おれは居間へとび込んだ。 「 : : : アッカンべーだー 「健一つ ! やめなさいっ ! 」 画面に映「た健一は舌をたした。同時にテレビのスイッチが切れ 耳を押さえ、ステレオのアン。フに向かって大声でどな「た。・ するとビタリとス。ヒーカーからの音がやみ、ザーザーと雑音が流た。 おれは部屋を見まわした。 れだした。 、 0 0 、 0 、 どこへ行った卩」 どこだっー ノの声は聞「健一つー ステレオなんかになるのはやめなさし 天井に向かってどなる。 こえるね」 と、長椅子がガタガタ揺れた。 おれは声を震わせてやさしく言う。 絵美が長椅子に抱きつく。そのとたん、本棚が大きく揺れ、。 ( ラ と、どうだろう。なんとスビーカーから雑音にまじってエコーの ハラと本が落ちた。 かかった健一の声が聞こえてきたではないか。 本棚が絵美に倒れかかりそうになっ 絵美が本棚に駆け寄る。 パあ : : : お帰んなさあい たので、あわてておれが押さえて戻した。 ひええっ健一つ、と叫んで絵美がス。ヒーカーに抱きついた。 おれは息を整えてからもう一度、腫れものに触れるように、でき部屋がしんと一瞬静まりかえ「た。本棚はもう健一ではなか 0 るだけ優しくステレオのアン。フに向かって言った。 おれと絵美は顔を見あわせる。 。いい子だから自分の体に戻りなさい。ね、ね」 「健一 。 ( タンと玄関でドアが閉まる音がした。 そのとたん、ステレオのスイッチがぶつりと切れた。同時に壁に 「玄関だっ ! 」 寄せてある幻型のテレビにスイッチが入った。 おれと絵美は玄関へ走った。 画面を見て、おれと絵美はのけそった。 絵美がドアに抱きついたが、そのときはすでに健一はドアでもな 激しくぶれてはいるが、白い粒子をパックに、健一の笑顔がアッ くなっていた。 3 。フで映っていたのである。 オ冫かになって外へでて行ったんだっ」 9 「絵美つ。外だっ。健一は、よこ 「健一いしし おれと絵美は靴をはいて外にとびでた。な・せかおれの皮靴がなく 絵美がテレビにへばりつく。 こ 0