事務員 - みる会図書館


検索対象: オレンジ色の希望の光
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1. オレンジ色の希望の光

「うつ」 水をかきわけていた肩が、突然痛みを訴えた。今度は、先程御 子柴家の風呂になぜか着いてしまう前のように溺れはしなかっ たけれども、泳ぎ続けることは出来すに足をつく。ニ十五メート ルプールの、まだ真ん中あたりだった。 「大丈夫っすか」 プールサイドできらきらしていたはすの百太郎の目が、一瞬に して心配そうな色に変わる。 飛び込もうとするのを、大丈夫だ、と手で制す。ここて年下の 百太郎に助けに来られるのは、宗介のプライドが傷つく 痛む肩を押さえて、プールの端まで戻り、プールサイドに上が 上る。しつかり見るためか、百太郎が水から上がる。 飛び込み台は使えなかったので、一つ深呼吸をしてタイミング をはかって、プールの壁を蹴る。フォームを意識しながら、勢い よノ \ 水をか、た 「うわあ ! すげえ、山崎先輩速え ! 」 陸上で、歓声を上げる百太郎の声が遠くに聞こえる。無邪気な やつだな、と微笑ましくなった、その時。 る。不安そうな顔をした百太郎が、すぐに駆け寄ってきた。 「山崎先輩 : : : 肩、痛いんすか ? すげえ赤くなってるっす、俺、 俺事務員のおばちゃんに救急箱借りてくるっす ! 」 「落ち着け、御子柴。 ・ : 大丈夫だ」 考えてみれば、百太郎の所に来る前にも泳いでいて、肩の痛み を感じていたのだ。それまでいたところとはまったく違、つところ に辿り着いてしまったという驚きと、懐いてくる百太郎のために すっかり忘れていた。冷やしもしていなかったのだから、こうし てまた全力で泳いだりしたら、痛くなるのも当たり前だ ( 御子柴が喜ぶからって、ちょっと調子に乗っちまったな ) とう・にもしよう・かないのた。本、米な、ら、、冰がない方力い、こと はわかっている。それができない以上、今、この肩を相手に出来 ることは冷やすことくらいだ。 「ても、ても山崎先輩 : ・ : こ しかし、百太郎は心配そうな顔て、ぎゅっと宗介の左手を握っ ている。まるで、自分が痛みを抱えているようた。 「大丈夫だ」 本当はその頭をがしがしと撫でてやりたいか、左手は百太郎に 握、られているし、今は右肩を動かしたくない 仕方なく、握られ -4

2. オレンジ色の希望の光

も頼む」 という言葉だけたった。 百太郎の言った通り、スイミングスクールは本当に近くにあっ た。百太郎の足でも十五分あまり。今日は歩幅を合わせたが、も し宗介一人なら、その半分程度の時間で着いただろうか。それく らい、近くにあった。これなら、百太郎があんなに気軽に行こう、 、。近所に気らっと遊びに行く と誘ってきたのもわからなくもな、 ようなものなのだ。 「こんちはー ! 」 「こんにちは百太郎くん。今日も元気ね ! あら、どなた ? お 兄さん、他にもいたの ? 」 受付で元気よく百太郎が挨拶をすると、顔見知りらしい事務員 の女性が頬をゆるめて挨拶を返し、それから宗介を見つけて不思 議そう - な顔をした。 行けないとも言えなかった。口に出せたのは一宀一口。 「 : : : 着替え、 ハンツも貸してくれ。あと、着替えの時のタオル おそらく、このスイミングスクールに来るのは、顔見知りばか りなのだろう。不審そう、ではないのか救いである。 「んっとね、山崎先輩っす ! 俺の友達 ! 」 、とひやひやする宗介を 変な説明をされたら通報されかねない 尻目に、百太郎はこ、 ーカっと笑ってそんな風に宗介を紹介した。 明らかに年が違う宗介を友達、と紹介する様子から、どうやら 女性は宗介を、百太郎の友人の兄、とでも勘違いしたらしい。あ らあら、ずいぶん大きなお友達ね、と微笑んだ。 ( 良かった : : : ) 顔には出さず、内心そっと胸をなで下ろす。 「うちは初めてですよね ? 百太郎くん、案内できるかしら ? 」 ここね、お風呂もあ 「もちろんっすよー・山崎先輩、行こうー るんすよ ! 」 自慢げに言って、百太郎は宗介の手を引く。 どうも、と受付の女住に軽く頭を下げて、百太郎の誘導につい てく引っ張られているのたが、いかんせん歩幅が違う。ぐい ぐいとされても、普通に歩いてついて行けた。 更衣室には他には誰もいなかった。上下並んで空いているロッ カーの上を宗介、下を百太郎が使うことにして、お互い荷物を置

3. オレンジ色の希望の光

とは限、らない にいるっす ! お、俺襲われるっす— ! 』 疑問も謎もっきないけれど、宗介は一度それらを 全て忘れることにした。 もし仮にここで百太郎が叫んだりしたら、間違いなく警察を呼 とにかく、なんとかして高校に戻らなければならない ばれ、宗介は連れて行かれるに違いない 安心してこれからとう : つっても、俺の格好は水着たしなあ・ こんな格好で外するか悩めるのも、ひとえに百太郎がよく言えば宗介を信じてく れたから、悪く言えば警戒ごに欠けているからた。 歩いたら、警察に通報されるんじゃねえのか ? ) それに、身一つでここに来てしまったため、財布も持っていな そんな事情か、ら、宀不介としてはできる限り優しく声をかけると、 これでは、と、フにもで弋」ない 百太郎のきらきらとした瞳は、宗介の下半身に向けられた。 「山崎先輩、水泳やるんすか ? 」 「あ、ああ : 宗介は途方に暮れる、というのを文字通り体感していた。一体 と、つした、らいいのか、まったくわか、らない 練習している最中だったから、海で着るようなものではなく、 「はあ : : : くそっ、参ったな くるぶしの少し上まで覆う、完全に競技用の水着た。隠しても仕 深いため息をついて頭をおさえていると、 5 と、隣からの視線方が無い 宗介の答えに、百太郎の瞳はさらに輝きを増す。 が気になった。誰の、と考えるまでもない。先程からおとなしく 「俺もやるんすよ ! 」 黙って宗介の懊悩を見つめていた、百太郎のものだ。 : なんた」 「そうか」 「俺ね、俺ね、専門はパッ なんとなく嫌な予感がしたものの、無視をするわけにもいかな タだ」 「俺はパッ い。なにしろ、今、宗介の運命は百太郎が一部握っていると言っ てもい、。 ぐいぐいと身を乗り出してくる百太郎の勢いに少し引く。本当 『、やあっー に水泳が好きなのだろう・。 だ、誰か、誰かっー なんか知らない人が風呂場 クなんすよ ! 山崎先輩は ? 」

4. オレンジ色の希望の光

続いた 「山崎くん、無理はやめなさ、 、。簡単に冶るものじゃない君の ためにも、頑張りすぎはダメなんだよ」 「山崎、大丈夫なのか ? 」 主冶医にそう諭されても、宗介は止まることができなかった。 「肩だろ ? 大丈夫じゃねえだろ」 彼の言っている意味はわかっていたけれども、止まったら、そこ 「今度の大会、誰が勝つんたろうな」 で夢まで目の前から消えてしまいそうて怖くて、頑張ることしか 部外者は無責任にそんな言葉を遠巻きに囁いた。この間まで賞できなかったのだ 賛と嫉妬のまなざしを向けていた者たちが、同情とあざけりの目 もし、近くに誰か、宗介が弱音を吐ける相手がいたら、事態は を向けるよ、つになる。同じ水泳部の中でも、圧倒的な強さで他を また違ったのかもしれないでもそれは仮定の話で、そこにそん 寄せ付けない宗介を、よく思わない者たちもいた。そんな人間た な相手はいなかった。 ちは、これみよがしに宗介に対して同情して見せたり、馬鹿にし 頑張れば頑張る程、どんどん駄目になってい たりした。 ( : : : 本当の俺の肩は : : どうだったんだろうな ) だが、宗介にとってそんな人間は、相手をするに値しなかった。 気がつけば、故障していなかった頃の自分の肩がどうだったの 大事なのは、肩を治し、再び夢へと全力で手を伸ばすこと、ただ かなんて、わか、らなくなっていて。 一つ。囁かれる言葉に耳を貸さす、宗介はリハビリに励んだ。 ( 俺は、絶対に凛とオリンピックに行くんだ : 、ビリは、簡単なものではなかった。血がにじむよう・な田、 でリハビリをし、、水げるよ、つになったと田った、ら、また無理をし て故障をする。大会にも、エントリーしても出場てきない日々か き飛ばしてくれるような魔法だったのだ。 , ーーーもちろん、そんな もの、この世に存在するわけがないのだけれども。 宗介が夢を見たのは、そんなときのことだった。起きたと きにはもう忘れてしまっていたけれど、大事な何かを失うような、 そんな嫌な夢。 そして、 ハビリで良くなってきたと思った肩が再び故障をし、 ・ 4

5. オレンジ色の希望の光

宗介君が近所のお兄さんだったら : 市民プール編 これはー 兄ちゃんの水着っす " 百どうした 4 男尋更衣 手に持ってんじゃねえか 間違えた : 水着を家に 忘れたっす : L 」 ・・ノ ~ 嬲 ( 学級担任 半泳いでる時に説げたりして 女の子に避けられたら 大変なんすよ ! ( 経験済み ) プーメラン この水着はチョットした サイズの違いが命取りなんだから 5 がああ んなもん大してサイズ 違わねえだろ 家まで戻るのも面倒だし 借り着させてもらえよ 0 ダ メ それに今日は ! 新しく買った ンツ 勝員 イ ( キッズ用竸プーメランを 宗兄ちゃんに見てもらいたかったし , 勝負 / ヾンツ / ヾンツ勝負パ 勝 / ヾンツ呵ンツ勝負パンツ勝 見てらいた たし見て てもらいた し見てもらいた らいたか、ーー った る コ 工 め る→羞恥と戦う宗介 が ワ ャ に結局家まで 取りに帰った / ん / イ

6. オレンジ色の希望の光

2015.3.15 SOUSUKE X MOMOTAROU シュガー☆はんつ

7. オレンジ色の希望の光

手にとっていただき、そして読んでいただきありがとうございます。 なぜいきなり若干のパラレル入ったショタになったのか 宗百すごく好きなのに というと、プロット立てていた年末が絶賛ショタブームだったからです。 宗介くんの辛い過去も、全部ももたにぎゅっと抱きしめてあげてほしいです。で も多分出会ってもお互い気付かないです。ただ、宗介の心の中でずっとショタも もたが、救いになってるんだろうなって思うと尊いです。 思いの外宗介くんがすっきり吹っ切れたのて、、アニメの宗介くんどうしたのとい う、目の前で凛ちゃんの泳ぎとか見ていて、 色々思うところがあったということで .. う感じですが、それはきっとね、 感極まって小躍りしています。本当にありがとうございました。 さらに木鈴さんにはねだりにねだって、とても素敵なゲスト原稿をいただいて、 今回も表紙は木鈴様 ( p i x i ⅵ D = 9 8 2 2 0 0 9 ) に描いていただきました。 印刷所 : サンライズバブリケー シュガー☆は。んっ : れんげ 2 0 1 5 年 3 月 1 日発行 オレンジ色の希望の光 Tw i e 「 : @ 「 e n g e_n 0_h 0 n 0 : 「 e n g e_4 6 1 @ y 0 h 0 0. c 0. 」 P : 2 8 5 5 7 8 3 p ー X ー V ※無断転載、複製、ネットオークションへの出品等はご遠慮ください。 ションオ巣 24

8. オレンジ色の希望の光

0 0 氛」 宗兄ちゃん 匂の ・が うし・ 宗兄ちゃん 見映 のの か夢 大好きっす 今後軍事アクションものは 観せないようにしねえとな・ 何だ急に お前疲れてんだろ 家まで寝てろよ

9. オレンジ色の希望の光

宗介君が近所のお兄さんだったら : 一緒にタ食編 どしたんすか ちょっと指を 切っただけだ 水で洗って 絆創膏貼っとけば 何ともねえよ 痛いの痛いのー 飛んでけー この前俺がケガした時 兄ちゃんがこう言ってくれたら 痛くなくなったんだ ! ・・・ね ? もう痛くないすか ? 不思議と痛くない ありがとな百 先っ 1 もにな ああ 本当だ

10. オレンジ色の希望の光

壁に掛かっている時計を見ると、溺れてから今まで、五分ほど しか経っていない。百太郎と過ごした時間は、それどころではな ということは、夢なのだろうか かったはすだ。 だが、宗介には根拠はないか、あれが夢だとは思えなかった。 「やりたいこと : 百太郎に言われた言葉が、胸に蘇る。同時に思い浮かんだのは、 今まで描いていた夢の隣にいた、凛のことだった。 「 : : : 見に行くか」 日本に帰ってきた、と風の噂で聞いた。 たとえ水泳を辞めるにしても、一度、凛の試合を見に行こう。 それが、今一番やりたいことに違いないから 宗介はそう決めると、きらきらと輝く夜のプールを、細めた目 で見つめた。 その後、凛の試合を見に行った宗介は、気がついた また、凛と泳ぎたい。禀と最後に、本当の仲間になりたい。 たとえ、肩がそれで壊れたとしても。 その決意の背中を押してくれたのは、やはりあの百太郎の涙で ぐしゃな、しやになりなか、らの あのオレンジ色の髪の少年が結局夢だったのかどうか、宗介は 知、らない ただ、ら : らとした笑顔と、らき、らとした涙は、オレンジ 色の光となって、宗介の胸をそっと暖めてくれる。 この光は、きっと、宗介の希望の光だ。 「やりたいことやったらいいんすよ ! 」 という言葉だった。 『俺、俺、もっと山崎先輩と泳ぎたいっす : 百太郎が泣きながら言っていた言葉が、脳裏に蘇る。 ( そうだな、俺もお前と、また泳げたら、 、いなって田 2 う・よ ) それは、きっともう一つの宗介の今の夢だ。 ニつの夢を心に抱いて、宗介は今日、鮫柄学園の門をくぐる。 この場所て、成長したあの少年との出会いが待っているこ とを、彼はまだ知、らない 一 8