きようとし 一九四九年、京都市に生まれる。 しんしゅう しぜん 豊少年時代に訪れた信州の自然のすばらしさ かんどう こすむことを心 、気 , 、一 - 鑿え & 。一一〔二第を、 , 」】、 : 村に感動し、そのときから信州。 にきめる。 やまごや 一九七二年から五年半、信州の山小屋で働 せいたい きながら、ホンドギッネやヤマネなどの生態 しら を調べ、自然とのつきあいを深める。 すかん どくりつ 一九七七年、自然写真家として独立。図鑑、 ー自然雑誌、広告などに作品を発表している。 著書に「新信濃写真風土誣一本土ズ のきよういく力いしゆっ第、んふ 濃教育会出版部 ) がある こよんさんカく力し 一一まんよこゅうるいカノ、カ、 印本乳類学会、印本山岳会の会員。 現住所諏諏市お諏訪一三二八 蓼の海第二団地四七ー一二 おとす うみ はたら
春 い夏 * ヤマネの一年 ねんたいはん ヤマネは、一年の大半をねてくらしますが、そのあいだにも、森の時誌は休 とき もの むことなく時をきざんでいます。そして、いろいろな生き物がさまざまにかか ど やっ わりあって、その時のれにあわせて生きているのです。ここでもう一度、 もり ねん たけらゆうしんこうげんこくていこうえん 岳中信高原国定公園の、ヤマネの森の一年をふりかえってみましよう。 く、りし ほかの生き物たち 森の四季 ヤマネの ゆき とうみん ・ホンドギッネは、土の中 ・雪どけがはじまった ・冬眠からめざめたヤマネは、せ す おがわ の巣あなで、すでに子ギッ 川のそばで、ザゼン っせと食べて体力をつけます。 ちちおや すうしゅうかん ネをうんでいます。父親ギ ソウがさきはじめます。 ・数週問で、結婚のシーズン。め ははおや ふくすう ・」うび ツネは母親ギッネのために、 ・里ではあたたかい日 すは複数のおすと交尾をし、この た もの 食べ物を運んできます。 がつづくのに、森では とき、おすどうしのあいだでかみ そうげん ひょうてんか ・草原ではノビタキやウグ ときどき氷占下にさが ついたり、おすがめすをはげしく イスが、のまわりではヨ ることもあります。 おいかけたりするよ、つです。 すざいあっ しゆっ、ール ちか シキリがさえすります。 ・出産が近づくと、めすは巣材集 ・ぬかるんだ地面に、イノ ・五月中旬、カラマッ めにいそかしくなります。 しっさん 、一うび シシやニホンジカの足あと ・交尾から約一か月で出産。こん ′やミズナラが、ようや み が見られます。 / 、ぶはド ) - め土 6 す・ どは子育てでいそがしくなります。 ははおや みど叮 ・森はこい緑にすっか ・ヤマネの子どもは、母親ヤマネ おそ から生きるための知恵を教わり りつつまれます。森の げつはん そばの草原には、ツツ 第誕生から一か月半ーニかで、巣 ノ からはなれてひとりだちします。 ジやニッコウキスゲが ・ひとりだちしても、イタチやテ さきみだれます。 あお ン、フクロウ、ヘビなどにおそわ ・空は青くすみきって、 れるヤマネもいます。 さわやかな風がふきぬ けていきます。 きせつおおこんらゆう がつらゆうしん ・この季節に多い昆虫などを、す ・八月中旬をすぎると、 みじか あきかせ ばやい動きで、たくみにとらえて なっ 食べます。 夏のおわりをつげます。 たんじよう ・一そだ ナつ、 ) ん とき す さと がつらゆうしゅん かせ 0 ・ノビタキのひなが巣立っ ていきます。 ・セミが鳴いて、夏のさか りをつげます。 ・ホンドギッネの子どもが ははおや 母親ギッネにおいはらわれ、 ひとりだちしていきます。 、】んらう ・たくさんの昆虫たちが飛 びかいます。 やす もの なっ すだ と
全 100 巻 ( 十別巻乙巻 ) 全 76 国 サ学 ン校 ケ図 イ書 児館 童協 出議 文推 化薦 大基 賞本 受図 ・虫 ②モンシロチョウ ⑦アリの世 ⑨カプトム ⑩アカトンボの一生 の ⑩セ のアゲハチョ ウ 生 ン 界 ⑨カマキリのかんさつ ⑩アシナガバチ ⑩クモのひみつ ①トノサマパッタ のミッパチのふしぎ ホ ⑩カ ⑩ク ①テ ⑩カ ①鳴 ⑩オオムラサキ タノレ光のひみつ キリムシ ワガタムシ ントウムシ まゆまで イコ まゆから く虫の世界 ⑩ハヤプサの四季 ⑩モズのくらし ⑩キツッキの森 ⑩カラスのくらし @フクロウ ⑩ウミネコのくらし ⑩たまごのひみつ ①ッパメのくらし ①ライチョウの四季 ⑩わたり鳥のひみつ のタンチョウの四季 ⑩シラサギの森 ⑩ペンギンのくに ①水生昆虫のひみつ ①ギフチョウ ひみつ ①昆虫のふしき 、、色と形の ⑩高山チョウのくらし ・動物 ⑤ライオン ⑧ニホンサル ⑩野生ウマの生活 ⑩カエルのたんじよう ⑩海のさかな ⑩野生ゾウの世界 ⑩ヘビとトカゲ コのくらし ①シカのくらし ゾリスの森 ⑩モリアオガ工ル タッムリ ⑩ムササビの森 の 貝 ⑨サンゴ礁の世界 ⑩ニホンカモシカ ⑩いそべの生物 のくらし ⑩ネ ⑩工 ①カ @海 @カ ⑩森のキタキツネ ・地学 ⑩ヤドカ ①ヤマネのくらし ⑩メダカのくらし ⑩カメのくら コウモ ⑩サケのたんじよう リ し リ ⑩しようにゆうどう探検 ⑥きようりゆう ③雲と天気 ⑩雪の 生 ⑩火山は生きている ⑩水めぐる水のひみつ ( ⑩塩海からきた宝石 ⑩氷の世界 ⑩鉱物地底からのたより 少漠の世界 ・植物 たねから ⑩アサガオ たねまで ⑩食虫植物のひみつ ①ヒマワリのかんさつ ①イネの一生 ⑨高山植物の一年 ⑩サクラの一年 ⑩へチマのかんさつ ⑩サポテンのふしぎ ⑩リンゴくたもの のひみつ ックシのかんさつ ①キノコの世界 @たねのゆくえ @コケの世界 @ジャガイモ ①植物は動いている 惑星をみよ @星座をさがそう ⑩太陽のふし ④星の ①月をみよ ・天文 @花の色のふしぎ ⑩ドング ⑩ュリのふし ⑩ムギの 紅葉のふしぎ 水草のひみ ぎ 生 リ ぎ 生 つ 四季の野鳥かんさつ 四季のお天気力、んさつ 夏休み植物のかんさっ 夏休み昆虫のかんさっ ・別巻 ①流れ星・隕石 ⑩惑星の探検 のひみつ ⑩彗 星ほうき星 ⑩星雲・星団をみよう
ヤマネのなかま・ 世界のヤマネ、印本のヤマネ・貶 ヤマネ ( ニホンヤマネ ) のからだ・ ねん ヤマネの一年・ ふゅ 動物たちの冬「 ) し・ よもり もの ヤマネのすむ森とさまざまな生き物・ よもり ヤマネのすむ森と開発・ あと、かき・ 5 どうっ 協力 / 湊秋作 イラスト / 神山博光 わたなべようじ 渡辺洋二 きよう せかい みなと かみやまひろみつ しゅうさく かいはっ
0 あとがき かんなん わたしとヤマネのつきあいは、もう十年以上になります。この間、何びきも であ / , / に、のヤマネと出会うことができました。はじめはみつけるだけでや「とでしたが、 と医」 かお せいか / 、 くべっ 時がたつにつれて、一びきずつ区別がつくようになり、顔のちがい、性格のち にんげん かいまではっきりわかるよ、つになりました。まるで人間をみているよ、つです。 そんななかに、 いまもわすれられない、 一びきのヤマネの子がいます。ふつ うヤマネは、わたしを見るとにげるか、かくれようとしますが、このヤマネの 子は、どういうわけかわたしを見ると、一目に遮づいてくるのです。そして、 わたしをしっと見ていて、わたしが動くとおいかけてもくるのです。 ある日のことでした。このヤマネから四十センチメートルほどはなれたとこ ろから撮鬆していたら、叫畆のの中から、突然、ヤマネの姿がきえてし まったのです。しばらくあたりをみまわしましたが、どこにも姿が見えません。 撮鞍をあきらめて、カメラをおろしたときです。なんとカメラのストロボの にんじゃ に、ちょこんとヤマネがいたのです。それはまるで忍者のようでした。 それからも、このヤマネと会うたびにルしい時間をすごせました。そして、 しぜんせつり いろいろな自然の節理も教えられました。そうしてできたのが、この本です。 この本をるにあたり、湊秋作先生をはじめ、多くの方がたのご協力をいた ゆたか だきました。ここに、心よりお礼を申し上げます。 西村・豊 こころ おし もう ねんいじよう すがた にしむら はん
につ一ん ・げつ歯目の先祖とヤマネ ・日本にすむげつ歯目のなかま ( 帰化種はふくみません ) ホンドリス * ヤマネのなかま ノヾラミフ、 げつ占目の先祖は , いまから約 まんねんまえ 5500 万年前にあらわれた / ヾラミス というけものだといわれています。 げつ占目のなかでも , ヤマネは ネズミに近いなかまです。でも , ネズミがかたい物をかじる歯を発 達させて進化してきたのにくらべ , ヤマネはあまり発達していません。 ヤマネはげつ占目のなかでも , げんしてき 原始的ななかまだと考えられてい シマリス リス亜科 ネズミ科 リス科 ムササビ ヤマネ ヤマネ科 かんが ・しも ~ 、 ょにゆうどうぶつ 。 ' ヤマネは、乳動物のなかのげつ歯目という きなグループにわけられています。 乳動物は、からだが毛でおおわれ、朱を一「 ちちそだ 定にたもち、うまれてくる子どもを乳で育てます。 ょにゆうどうっ ちきゅうしよう げんざい 」現在、地球上には四千種あまりの乳動物が、暑 かんきよう さむ いところから寒いところまで、さまざまな環境の 一もとでくらしています。 まえば げつ歯目のとくちょうは歯です。前歯のうち、 まんなかの上下、四本の門歯が、のみのようにす るどく、かたい物をかじるのに適しています。 し↓もノ、 よこゅうどうぶつ 乳動物は、げつ歯目のほかに、虫を専門に食 に′、せんよっんしよくこくも′、 しよくちゅうもく べる食虫目や肉専門の食舟目など、十八のグルー プにわけられています。なかでも、げつ歯目は、 しくしゅもく 耨コウモリの属す翼手目とならんでもっとも種類が 多く、喩乳動物のおよそ三の一をしめています。 日本にすむげつ歯目のなかまは、ネズミ、リス ムササビ、モモンガ、そしてヤマネなどです。 につばん もの せんしゅ てき むしせんもん あっ
」、ゆ あき かつどうかいしじこくひょう ・ヤマネの活動開始時刻表 「 / 5 4 3 1 5 回目 わんながのけんすわちほう ~ 円 85 年 , 長野県諏訪地方での調査 ヤマネは巣からでかけると , 夜明けまで帰っ てこないこともあれば , すぐにもどってきて , しばらくすると , またでかけることもあります。 うえ 上のグラフは , ヤマネが何時こ・ろでかけるの か , またひとばんで何回でかけ , 各回の時刻は へいきん 何時ごろか , 月別の平均をとってみたものです。 にキとの 、ケ巣すはのはヤヤ 巣すなの、ほあママ いどゆ小こつりネネ つをか鳥与たまはの 烏」ばしに腓あせ、巣 , いきはのなん自じ にま、巣すを。分え っすか箱 'éつ木きで めがれをかの巣 , と 葉 = = 利。いう・あ巣 ' ①木のうろの巣。②キツッみおや用まろ・な材 ま産え木きしすやを キのほったあなを利用した すののま。キほ 巣。③ダケカンバの皮。巣 。と皮 2 すとツる 材に利用されています。 4 回目 か、、め 3 回目 か、、め 2 回目 っ 4 一 1 0 8 「 / t-D L.0 4 3 月 かいめ 一回目 ・ニ度目の出産をするヤマネもい ます。 ・木の実がじゅくしはじめると、 かよ まいにち 毎日のように通って食べます。 とうみん ・冬眠にそなえて、からだに脂肪 をたくわえ、まるまるとふとって かつどう きます。そして、日中から活動し ていることがあります ・霜がおりるころになると、ヤマ とうみん ネは冬眠にはいります。 ゆき した とうみん ・ヤマネは、雪の下で冬眠してい とうみん さむ ます。冬眠の場所が寒すぎたりす ると、とちゅうでおきて、場所を かえることもあるよ、つです。 しっさん かえ につらゆう かくかい なんかい なんじ ・湿原の紅葉がひと足 は . や′、はいし土 6 り・土 6 - す・ ・いろいろなキノコが をだします。 がつじようじん ・十月上旬、木ぎの葉 がすこしずつ色づきは じめると、木の実もじ ゆくしてきます。日一 日とえこみます。 ・一ーニ月、森は日「 ) ゆき と深い雪にうずもれて いきご 6 す・。ン」去」には霧 氷が木ぎをかざります。 しつげん ・いつのまにか、アカトン ボの姿がめだってきます。 ・鳥や昆虫たちの姿が、し ・こいに見えなくなります ・ホンドリスが、落ちたド ングリやクルミをさがして 食べています。 どうぶつ とうみん ・冬眠しない動物たちの毛 ふゅげ が冬毛にかわりはじめます。 とうみん ・森にのこった鳥や、冬眠 しないけものたちが、とば ゆき しい食べ物を、雪の中でさ がしつづけます。 、一んらルう すがた
不斗学のア丿レノヾム 98 ヤマネのくらし ■著者 西村豊 ・発行者 岡本雅晴 ・印刷 株式会社精興社 ■写植 株式会社田下フォト・タイプ ・製本 中央精版印刷株式会社 ■発行所 株式会社あかね書房 〒 101 東京都千代田区西神田 3 ー 2 ー 1 電話東京 ( 3263 ) 0641 ( 代 ) 1991 年 2 月発行 にしむら冷たか N D C 489 西村豊 ヤマネのくらし あかね書房 1 9 9 1 著者との契約により検印なし ◎ 1988 Y. Nishimura, printed in Japan I S B N 4 - 2 5 1 - 0 5 5 9 8 -1 54P 23X19Cm ( 科学のアルバム 98 ) ・表紙写真 アケビの実を食べにきたヤマネ ・裏表紙写真 ① ⑥ はそえだ ⑤ ④ ② ③ ①細い枝をつたってのばるヤマネ ②夏のヤマネのすむ森 ③サルノコシカケの上のヤマネ ④チョウセンゴミシを食べるヤマネ とうみん ⑤まるくなって冬眠するヤマネ ⑥汞にかざられたヤマネのすむ森 ■扉写真 細い枝にぶらさがるヤマネ 一目次写真 いどう コケのむした木の上を移動中のヤマネ
* ヤマネ ( ニホンヤマネ ) のからだ い細きやの 夜 ( 打性で、木の上でくらし、夂 ) をするヤマネの からだには、どんなとくちょ、つかあるのでしよ、つ。 を ( たですた立 つ、〉上まに ヤマネの目はまるくてたきく、よくめだちます。 このたきな目は、わすかな光でもものがよく見え、 をるてとや もり やくだ いを・上がしこめ 暗い森の中で活動するのに役立っています。 ~ ・枝ら " 佐わぎ ヤマネは、鼻の先から尾のつけねまでの長さが、 ル、尾の長さは、四 5 五センチ 【、、、第一・ ' ま第ゞ、、・」「 ( 枝し ) 莇きす七 5 八センチメート 、一 ~ = 、、・、 ~ ャいをくとま 丿スのよう ル。尾はネスミにくらべて短く、 えだ に毛がはえています。この尾は、枝の上を走ったり、 ハ一フンスをと い枝にぶ、らさがったり、丁ると医に、 るための、たい せつな役目をしています。 後の足にはかぎづめがあり、太い木も自由にの ばれます。そして、うしろ足のかぎつめを枝にひっ もの かけてぶらさがったまま、前足で食べ物を食べたり、 、毛づくろいをすることもできます。 ヤマネの毛は、皿い毛にまじ 0 て長い毛が生えて います。夂 ) しない動物は、季節によ 0 て、夏毛と はし 1 えだ お かつどう さき お お まえあし みしか た 、つ、えはし えだ
とうみん 冬眠をはじめたヤマネ ヤマネは、気がセ十度以 下になると動きがにぶくなり、やが とうみん て冬眠をはしめます。 とうみん 冬眠するときは、一つの巣に一び ゅま , ききのこともありますが、何びきもい 空っ よ夜ば っしょのこともあります。それまで のの たざ座 一びきすつ行動していたヤマネが、 っオまるでしめしあわせたように、同し 巣にやってくるのはふしぎです。 こ、つどう