けっしよう とけることと日すること・ しお 塩でためしてみよう・ しおせいめい 塩と生命 れきし しおしんるい 塩と人類の歴史・ れきし しお にっぽん 日本における塩づくりの歴史・ よう しお 塩の利用・ ~ のとが・ かん 修 / 日本専売公社 むらかみまさよし 村上正祥 によんせんばいこうしゃ 写真提供 / 日本専売公社 ジーランド せいえんかぶしきがいしゃ ドミニオン製塩株式会社 きしょツレ」土す tJ とし 岸本雅敏 やのようこ イラスト / 矢野洋子 わたなべようし 渡辺洋一一 しやしんていきよう
・すもうと塩■日本の閠であるすもうは , もともと田の神に豊作をネ万る祭りとしてはじ まりました。このため土俵は神聖な場所とさ れ , いまでも勝負の前には塩をまいてきよめ る習慣があります。それに , まいた塩は土俵 を適度なかたさにしてくれます。 ・塩にまつわる儀式や風習 どこの国でも , むかしから塩は神聖なもの とされ , 神へのささげものにしたり , きよめ のしるしにつかってきました。からだの健康 をたもったり , 食べものがくさるのをふせい でくれる塩に , むかしの人はふしぎな力を感 じとっていたのでしよう。 この塩の力と貴重さが , むかしから塩にま つわるいろいろな儀式や風習 , いいったえを のこしてきました ・店の門前のもり塩・蓉がくるように縁起 をかつぐ意味があります。むかし中国のある もんせ人 女性が , 皇帝の乗った牛を , 門前に塩をもっ てよびよせたいいったえからきています。草 食動物の牛は , きっと塩がほしくてたまらな かったのでしよう。 4 ン ラテン語のサラリュウムからきたものです。 らゆうごく しおぜいきん 中国では、塩を税金がわりにおさめた時代があり しお きよか 許可なく塩をつくったり売ったりすると、死刑にな ったということです しお えどしだい りのさかんな藩では、 日本でも、江戸時代に塩づく はんざいせい はんしお 藩が塩をとりあっかい、その収入を藩の財政にして、 しおみつぞうみつばい 塩の密造や密売をきびしくとりしまりました。 しおな、力し このよ、つに、 塩は内外ともに政治や経済とむすび れきし つき、歴史をうごかす大きな力をもっていました。 とるまにに 0 皿たなた立 、代 , しで役 塩れ人ててし時はまりも たとのれし」戸道えか オかば「去ル つか以陸ば「舌《工ご あ塩内・蓮、生にんさ塩交た らてく」運て , のし 6 かっとをしは力化 に。皿と , 道・女 ん本でで以海カ買 日海以本 , をた道の , て ・一日はに 0 皿しはのこくっ △福 ( 長野県 ) 千国地方に のこる土盍の道。 0 お お ちから しゅうにゆう ん 0 0 △海と内陸をむすんでいた塩の道。
・藻塩焼き 海藻を日にほすと , 表面に白い塩のつぶがあらわれます。 塩の結晶です。この塩の結晶のついた海藻をあつめて焼く と , 塩をふくんだ灰になります。この灰に海水をかけると しおみす 濃い塩水ができます。 かいそう また , 海藻は焼かすに , ほした海藻に海水をかけると , ひょうめん しおみす 表面についた塩がとけて , 濃い塩水ができます。 しお 4 す このようにしてできた濃い塩水を土器でにつめて塩をつ くっていた時代がありました。このような塩づくりのため の土器は , 縄文時代のおわりから桑良時代にかけてのもの がみつかっています。 しお れきし * 日本における塩づくりの歴史 うみ しお 日本は、まわりを海にかこまれていて、塩の資源にはこと欠きません。でも、 ひかくてきあめおお てんびえんてん ほ、つまう 四季を通して比較的雨が多く、湿度も高いので、外国の天日塩田のような方汝 しお しおみすうみ がんえん で塩をとるわけにいきません。それに塩の湖もなければ、岩塩もとれません。 どく かいすい しお そのため日本では、 ・虫とノ \ 宀な いかにしたら能率よく海水から塩がとれるか豸 ながれきし 方法か長い歴史をかけてくふうされつつけてきました。 ほ、つほう つう しおはま ・塩浜 はま やがて , 藻塩焼きの海藻のかわりに , 浜辺の砂を利用す ひかた はじめは自然のままの干潟などを利 るようになりました 用していましたが , 鎌倉時代には , 溝ゃあせなどをもうけ しおはま た塩浜 ( 塩田 ) ができました。 はま しおはま 塩浜には , 海水を人が運びあげる揚げ浜と , 潮の満ち干 いリはま を利用する入浜があります。 えんてん はまえんでん かんこうよう はぞん 能登の揚け浜塩田は , 観光用に保存されている塩田で , はうはう いまもむかしながらの方法で塩をつくっています。 はまえ人 マ能登の揚げ浜塩田。 ひと 力い一」ノ、
ゆに心う ・輸入にたよっている日本の塩 昭和 53 年 , 日本でつかわれた塩は , 約 760 万トンです。このうちソーダ土業 せんた、、 につかわれた土盖が全体の約 80 % , のこ カ・ていよう りの 20 % は家庭用や食品加工用です。 こうき : うよう 工業用の塩はほとんど外国から輸入 し一くリ : うよう した塩をつかい , 家庭用や食料用の塩 は国内でつくった塩をつかっています。 ゆにうきち マ塩の輸入基地 , 三子島 ( 広島県 ) 。 ねん につは・ん り・ - し玉、つ しお * 塩の利用 かていよう しお しよくたくえん カてい らようみリよう 塩は、家庭でつかう食卓塩などの調味料のほかに、 るた しよくひんかこう 存まさ、まさ士 ( な・食ロ加工に利用されてい土亠 9 。ー ) よ、つ , 佃、 は保き しお ひと さかな ててみそ、つけもの、魚の塩づけなどは、むかしから人 しれ しお びとが塩のもっ性質をたくみに利用してつくってき しおすいふんきゅうしゅう ほそんしよくひん 皿おオ こ保存食品です。塩が水分を吸収して、細菌の発生 をら はたら 魚かをふせぐ働きなどを、つまく利用しています りよう しお 巻諸古 しかし量でいうと、もっとたくさん塩がっかわれ せかい ケている世界があります。ソーダ工業です。ソーダ工 しおげんリよう サ方 會業は、塩を原料にして、生ソーダやソーダ灰、塩 せいひん それからいろいろな製品をつくります。 素をつくり こうぎようやくひん たとえば、か陸ソーダからは工業薬品、紙、。、ル せいひん プ、化学せんいなどが、ソータ灰からはガラス製品 えんそ えんか せいひん が、塩素からは塩化ビニル製品など、さまざまな製 ひん しお 品がうまれてきます。左ページの「塩の木」は、生 しお すかい かっ 活のなかでつかわれている塩を図解したものです。 しお 塩は、わたしたちの生命を直接ささえるばかりで ぶぶん なく、生活のあらゆる部分をささえているのです。 ぎよう せいかっ ひだリ ちよくせつ こうぎよう よう さいきんはっせい かみ
科学のアルノヾム 66 士盖海からきた宝石 ■著者 かたひら 片平孝 ■発行者 岡本雅晴 ■印刷 株式会社精興社 ■写植 株式会社田下フォト・タイプ ー製本 中央精版印刷株式会社 ・発行所 たかし あかわ書房 1 9 9 0 土海からきた宝石 片平孝 N D C 459 1990 年 9 月発行 電話東京 ( 263 ) 0641 ( 代 ) 〒 101 東京都千代田区西神田 3 ー 2 ー 1 株式会社あかね書房 62P 23X19E ( 科学のアルバム 66 ) ■表紙写真 しおみす 荒だきした塩水の水面にでてきた , 逆ピラミ はまえんて人 けっしようのと ッド形の塩の結品 ( 能登・揚げ浜塩田 ) ■裏表紙写真 ① ② ③ ④ ⑤ ◎ 1979 8340 ー 12166 ー 0027 Printed in Japan 著者との契約により検印なし ⑥⑦ ①海水からとれた塩の結品 ⑦塩の輸入基地 ( 広島県・三子島 ) ゆにルうきら みつ・しま ⑥塩田に海水をまく ( 能登・揚げ浜塩田 ) ⑤シャーレの底にしすんだ塩の結品 ④はリめぐらした糸についた塩の結品 ③岩塩でつくったシャンデリア ( ウェリチカ ) がんえん ②うめは、しの表面についた塩の結品 塩の湖 ( アルジェリア・メルリル湖 ) ■目次写真 四角い塩の結品 ・扉写真
てんびえんでん てんびえんでん たいよう 天日塩田では , 太陽エネルギーと風の力がたよりです。 しおりよう きしようしようけん とし その年の気象条件によって , とれる塩の量がちがいます。 ・天日塩田のしくみ のつ 0 , 0 ちょすいち 0 貯水池 しようはっち 蒸発池 /. ・みノろ 0 0 てんびえんでん りし当っ 天日塩田は、入江や潟などを利用して いくつもの池をつく そこに海水をひ すい気んじようはっ きいれて水分を蒸発させます。 しおみす 海水はだんだん濃い塩水になりながら、 しお つぎの池に流れていき、最後の池で塩の けっしよう 品になります しおけっしよう ここでできる塩の結晶は、ゆっ せいちょう おお・ 成長するのでとても大つぶです。 ジーランドのグラスメア湖にあ しおけっしよう てんびえんでん る天日塩田では、塩の結晶ができるまで けっしよう やくねんはん 約年半かかり、できた結晶はくつつき あって、十センチ以上もあります。 た。カ につばんあめおお しつど 日本は雨が多く、湿度も高いので、天 しお びえんでん 日塩田による塩づくりはむいていません。 かた みうみぬま ※潟は砂丘などで外海とへだてられてできた湖や沼。 かいすい さきゅう そとうみ いじよう カた かいすい てん
やま てんびえんてん 會天日塩田でとれた塩の山。 てんびえんでん 天日塩田でとれた塩のかたまり。よくみると , はりサイコロ形の結晶がもとになっています。 ( 上 えんてん 下 , いすれもグラスメア湖塩田のもの ) うえ や ※写真提供・ ジーーランド、 ニオン製塩株式会社
△塩がついた砂をあつめているところです。入 はましきえ人てん 浜式塩田は , 気篌や地形にめぐまれた瀬戸内 地方に発達しました。 ・流十民塩田 しやめん 水もれのしないゆるやかな斜面に海水を流し , 水分を蒸 しおみす しおみす この塩水を , 竹の小えだ 発させて濃い塩水をつくります。 ししよう力、 しようはつ さらに水分を蒸発させ , などで組みたてた枝条架にかけて , しおみす できた濃い塩水を釜でにつめて塩をつくります。 よる しようはつ 風さえあれば , くもった日や夜でも蒸発がすすみ , 多量 いリはましきえんてん の濃い塩水がとれます。入浜式塩田のように , をあつめ たり海水をまいたりする労力がはぶけました。 ねんたい 昭和 30 年代 , この方法でさかんに塩がつくられました うカ・はん 冫ル下盤 いリはましきえんてん ・入浜式塩田 ひかた 江戸時代のはじめから発達した大規模な塩田です。干潟 を堤防でかこんであります。 まん′ロう 満潮のとき塩田内の溝に引きいれられた海水は , 塩田の 砂にしみとおっていきます。 しおみす 濃い塩水をつくる方法は , 揚げ浜とほとんどおなじです が , 海水を運ぶ労力はいりません。 ていはう 堤防 す、、ふんしよう △流下式塩田の枝条架。立体的にして、いっそ う水分の蒸発をさかんにする襲置です。やは り瀬戸内地方に多く発達しました。 マ塩づくりは塩田におけ、る農業的な 0 ナトリウムイオン 塩づくりから , 工場の機械による △ 塩素イオン 工業的な塩づくりにかわりました。 濃い塩水 しし : うか 枝条架 ・イオン交膜法 海水にとけている 3 % の塩を電 気のカでとりだすしくみです。 膜をならべてたくさんの部屋を っくり , そこに海水を流しながら 電気を通すと , 塩分が濃くなる部 屋と , うすくなる部屋が一つおき にできます。このうち濃い塩水を あつめてにつめ , 塩をつくります。 昭和 47 年以降 , 日本における塩 づくりは , すべてこの方法です。 らから ぞを面朝亟、、 = コナトリウムイオンだけを通す膜 ー塩素イオンだけを通す膜
棒グラフは降水量 , 折れ線グラフは風速。 輪島 - グラスメア湖 降水量 350 300 250 200 150 田 0 50 カ , つ ー 2 3 4 5 6 7 8 9 Ⅱに月 てんびえんでん 天日塩田のあるニュージーランド , グラスメ はまえんでん のとはんとうわじまし ア湖と , 揚げ浜塩田のある能登半島 ( 輪島市 ) こうす、、りよう ひかく の降水量や風速の比較。 てんびえんでん 天日塩田 力いカ , ん 雨のあまりふらないかんそうした海岸 てんねん たいよ、つねつかぜちから ち・ほ、つ 地方では、太陽の熱や風の力など、天殀 じようはっ のエネルギーだけで海水を蒸発させて、 しお 塩をとることかできます。このよ、つな方 ま、つ しお てんびえんでん で塩をとっているのが天日塩田です。 かいすい ドミニオン製塩株式会社 22 ※写真提供・ ニュージーーフンド