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検索対象: 科学のアルバム 森のキタキツネ
25件見つかりました。

1. 科学のアルバム 森のキタキツネ

人間のしかけたトラバサミにでもはさまれて、足の さきかちぎれてしまったのでしよ、つか もり 森の斜面には、フキノトウが芽ぶきはじめています。 しやめん あし ゆき 四月になると、雪どけはいっそう早くなり ふるあし しい足あとと古い足あとのみわけがっきにくくな ってきました。 きおく ふきそく わたしは記億をたよりに、不規則な足あとがっ こんど いていた森で、今度はキタキツネがあらわれるの を待っことにしました はつけん 四月二十日、森の斜面で一びきのキツネを発見。 ある よくみると、どこかぎこちない歩きかたです。 まえ よあ かんさっ つぎの日、夜明け前から観察していると、巣と たいばく みられるカッラの大木の根もとから、キツネが出 みぎまえあし しりしていました。しかも、そのキツネは右前足 ふきそく あし あしくび の足首からさきがありません。不規則な足あとは、 おも 、このキツネのものにちかいない、わたしはそう思 ちぶさ いました。それに、おなかにふくらんだ乳房がみ おや えます。どうやらめす親のようです。 こうび キタキツネは、ふつう一 5 三月に交尾し、やく 五十二日後に子をうむといわれています。この巣 こそだ でも、子育てがはしまっているようです。 がっ あし がっ しやめん がっ はや あし あたら

2. 科学のアルバム 森のキタキツネ

しゅうかん 子ギッネは、たん生後やくニ週間で目があき、 一か月後ぐらいから巣の外へ出てくるよ、つにな ります てまえ おや ←めす親は、巣の手前で一度あたりをけいかいし てから中にはいります そと ギ子こ ツがけ近たか 近尾ぉ つツ大五ラよんづいえ く根ね巣す回 しが 待まぎネの月のいでいな 度どにでの目め つのでよ十古となてがわの巣す は 移。、の 日ひすう七い考い らざ失がお・動与出て 田お とは な日切きえ け観と敗あす・か わ帰十 元も りたとい察ミひかるのらい 暗三気きの切き株象かをかすとらにキ四 心て時じい にがりのらはいるり ち夕日か のき間う育第顔株象中象でや心えこ こ今えがキ目め 中象ま ちつをのにすくをとと度どいッ でしネかての中あ 知し強にをはあネ斜 さたズら 0 、ぞかると : めし 巣すりを面 森るからようてさまつにまみを をによせ うやもせした近せつの はうままでららるた りづんけは、 わいでしるす巣すつよ えりすたで りそ歌え方 . 里 . く つを法 ほ カうきとうを キし しやめん

3. 科学のアルバム 森のキタキツネ

ンにト第「 ? ノしウ 生と死、そして新たな出会い せつめんのこ 雪面に残るキタキツネの活動のあとは、 あし 足あとや尿だけではありません。みはらし のよい日だまりには、直径四十センチメー ゆき トルぐらいの雪のくばみかあります。キッ ネが休んだあとです。また、深さ一メート ゅ」 ルをこすななめのあなをほり、雪の下にう すもれたえさを、ほり出したりもします 足あとを追っていると、キツネの死に出 会、つことがあります おやそた キタキツネは、親に育てられている間や びようき 一 ) 、つつ、つに ) ひとりだちの時期ー こ、病気やけが、交通事 おお 故などで多くが死んでいきます。そして、 それらの時期をぶしにすごしたキツネをま さむ ちうけているのが、冬の寒さとうえ、それ に人間の銃やわなです。 こうしたきけんをのりこえたキツネたち 新しいいのちをはぐくんでいくのです あし やす あたら によう かつどう あいた

4. 科学のアルバム 森のキタキツネ

ちち おや ・もう子ギッネはめす親の乳をのみません。歯も 力なりはえそろっています ←子ギッネといっしょに草原であそぶめす親。す つかり元気をとりもどしました。 おや 夏の草原で 七月の強い日ざしが、尾根で察している わたしに、ようしゃなくてりつけます。 ちか 子ギッネたちは、巣の近くでそれぞれはら ばいになり、日中の暑さをしのいでいます。 おや きすのなおっためす親は、朝夕の二回、え さを運んできます。その時こくにあわせて、 すこ そうげん 子ギッネたちも、巣から少しはなれた草原に そだ 出てあそびます。育ちざかりの子ギッネは、 、 4 A 干 おや 冬毛がぬけおちてやせほそっためす親より大 おやくち きくみえます。でも、まだめす親のロをめが えさのさいそくをします。 けてとびかかり おや おお めす親は、大きくなった子ギッネのえささ まいにち きせつ がしに、いそかしい毎日です。この季節、ほ かの巣では、おす親も協力してえさを運んで いるのを、ときどきみかけました。しかし、 かそく おや この家族のおす親は、まったくそのすがたを みせなくなってしまいました。 につちゅうあっ おやきようリよく あさゆ、つ おお

5. 科学のアルバム 森のキタキツネ

巣の移動 がっ 五月二日、カッラの根もとの巣には、 も、つキタキツネはいませんでした。どこ すかほかの場所へ移ったのでしようか。 五月七日、もとの巣からやく二百メー トルはなれた場所に、二ひきのキツネが とお いるのを、遠くからみかけました。 つぎの日、こんもりと土のもり上がっ た場所から、とっぜん、子ギッネをくわ えたキツネがとび出してきました。 すうふんご おな 十数分後、また同しキツネが、子ギッ ネをくわえて走り去っていきました。三 どめ 度目のときです。前を走るキツネを追っ すて、ぎこちない足どりのキツネがとび出 していくではありませんか かん わたしに対して、きけんを感したので しようか。またしても、ほかの場所へ巣 うつ 會を移したよ、つです。 ・みぎ ・ひたり がっ あし うつ っち ひやく

6. 科学のアルバム 森のキタキツネ

あとかき おお きせつ 北国の季節が移りかわるなかで、わたしは多くのキ であ タキツネの生と死に出会ってきました。 わか ある年の春、トラバサミに足をはさまれた若いキッ ネが、なんとか巣にたどりついたものの、うえのため あか はっこっか 死んでしまいました。白骨化した足にくいこむ赤さび たわなを、わたしはわすれることができません。 ばんあし ここに出てくる三本足のキタキツネは、たび重なる そだ くなん 苦難を生きぬいて、無事子どもを育てあげました。子 ま ギッネが去っていったタ映えの尾根にすわり、子を待 おや ちつづけるめす親のすがたが、心にやきついています おさな どうぶつえん 動物園のキタキツネしか知らなかったわたしの幼い であ のやま 子どもたちが、野山をかける子ギッネに出会ったとき、 「自由なキツネだね」といったのを今でもよくおばえて います。 もり ゅ、 しかし、森はまた深い雪にとざされ、風で舞い上か あし こなゆき る粉雪にわたしの足あともかき消されてしまいます。 とお きおく あのキタキツネは、今はもう遠い記憶の中でしか会え みぎたかひでおみ ません。 きたぐに さ はる うつ す ゅうば あし こころ おね あし かせ なか 右高英臣 ま かさ あ あ 1943 年、疲阜県多治竟に生まれる。 日本大学芸術学部写真学科を卒業。現在 フリーの写真家として、、、人間と自然との 調和 " をテーマに、自然界の山ふところ さ・ ) え、、らう で撮影中。主な著書に「ライチョウの四 季」「ウミネコのくらし」「エゾリスの森」 「キツッキの森」 ( 共にあかね書房 ) がある。 現住所北海道旭川市神居町雨粉 5 号 自宅岐阜県多治見市池田町 7 の 181 ・写植株式会社田下フォト・タイプ ・発行所株式会社あかね書房 〒 101 東京都千代田区西神田 3 ー 2 ー 1 電話東京 ( 263 ) 0641 ( 代 ) ・発行 1990 年 9 月発行 ◎ 1983 H. Migitaka, Printed in Japan 23cm X 19cm 56P N D C 489 ・科学のアルバム⑩ 森のキタキツネ ・著者右高英臣 ・発行者岡本雅晴 ・印刷株式会社精興社 ・製本中央精版印刷株式会社 著者との契約により検印なし I S B N 4 - 2 5 1 - 0 5 5 7 7 ー 9 みきたかひておみ

7. 科学のアルバム 森のキタキツネ

ひとりだち とおで がっ 九月二十日、それまでなん回も遠出をしていた子 おや かえ キツネか、とうとうめす親のところに帰ってこなく なりました。ひとりだちしていったよ、つです。 ほかの四ひきの子ギッネも、それから六日の間に、 つぎつぎと草原から去っていきました。めす親のけ こそだ がや、おす親が子育てに協力しなかったせいか、成 長がおくれてしまいました。そのため、ほかの巣の 子ギッネよりも、やく一か月もおそい旅だちです。 するどい目つきでえものをねらう子ギッネ。で も , 視力はあまりよくないといわれています。 ちょう そうげん きようりよく げつ 力し たび あいた

8. 科学のアルバム 森のキタキツネ

1 一す . ッ れるとその場で休みます。落 うえやす ち葉の上で休む子ギッネをみ つけると、わたしもその場に すわりこんでしまうのでした。 あさつゆ 朝露をはらって , 毛づくろいをする子 ギッネ。 おお 大きくのびをする子ギッネ。長くてす るどい大歯がよくめだちます。 は うえ 落ち葉の上で , 1 時間ほど 休んでいた子ギッネ。 やす なカー けんし

9. 科学のアルバム 森のキタキツネ

落ち葉のべッド 木の葉がちると、森はみと おしがよくなります。わたし にちしゅうもり はまた、一日中森を歩き、子 ギッネを追いつづけました。 おと ある 音もたてすに歩く子ギッネ がお は、めいわく顔でわたしをふ りかえります。落ち葉をふむ あしおと わたしの足音が、えささがし のしやまになるのでしよ、つ。 すこ そこで、少しはなれて、ゆ ある こんど つくり歩いていると、今度は 子ギッネをみ、つしないそ、つに なります。わたしは、ぬれた 落ち葉に足をすべらせながら、 追いつづけました。 ひとりだちしたキツネには、 きまったねぐらはなく、 つか あし

10. 科学のアルバム 森のキタキツネ

おお ゆきだま 寒さがきびしく、雪の多い年には、枝に雪玉がた くさんできます。 ←森の中へとつづくキタキツネの足あと。ときには、 六キロメートルもつづいていることかあります 、、 , 00 ー ~ 00 、 0 ・ 0 わ さむ あし えだ 不規則な足あと 三月、寒さは ) しくぶんやわらぎ、日中の森 ゆき では、雪どけかはしまります。ピューイ、ピ だか ューイ、ピューイ。ゴジュウカラのかん ~ 咼い ごえ よもりしゅう なき声が、森中にひびきわたっていきます。 あし キタキツネの足あとをたどっていたわたし やす ある ふきそくあし は、休みやすみ歩いたような、不規則な足あ とをみつけました。キツネの足あとは、もっ とリズミカルでまっすぐなはすです。でも大 きさは、たしかにキツネのものです。 にち わたしは、その足あとをなん日も追いつつ けました。しかし、ふふきか一夜にして、す べてをかき消してしまい また、新しい足あ とをさかさなければなりませんでした。 きそくあし がっさむ あし あし あたら につちゅう あし おお