製造業者 - みる会図書館


検索対象: 世界の大思想15 スミス 国富論<下>
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1. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

132 で自分たちがっかうために前者を輸人したり後者をつくった 受を嫌悪する、偏狭さといやしさと利己的性向がそうなるの である。 りしようとくわだてるとしたばあいに、使用せざるをえない 不生産的階級すなわち、商人、手工業者、製造業者の階級であろうよりも、ずっと小量のかれら自身の労働の生産物を は、まったく、他のふたつの階級すなわち土地所有者の階級もって、購買することができる。不生産的階級によって、耕 と耕作者の階級との費用において、維持され使用される。両作者たちは、さもなければかれらの注意を土地の耕作からそ 階級は前者に、そのしごとの原料と、その生計の資料を供給らせるであろうおおくの配慮から、解放される。この分割さ し、それがそのしごとに従事しているあいだに消費する穀物れない注意のけつか、かれらがたかめることができる生産物 と家畜を供給する。土地所有者と耕作者は、究極的に、不生の優越性は、不生産的階級の維持と使用が土地所有者または 産的階級のすべての職人の賃金と、かれらのすべての使用者かれら自身にかける費用の全体を、支はらうのに十分にたり の利潤とを、ともに支はらう。それらの職人とかれらの使用るのである。商人、手工業者、製造業者の勤労は、それ自身 の性質においてはまったく不生産的だとはいえ、それでもこ 者たちは、ほんらいは、土地所有者および耕作者の、召使な のようにして間接に、土地の生産物を増大させるのに貢献す のである。かれらは、家庭の召使が屋内でしごとをするのと おなじく、屋外でしごとをする、召使であるにすぎない。そる。それは、生産的労働がそのほんらいの業務である土地の れでも、一方も他方もともに、ひとしく、同一の主人たちの耕作に自己を限定する自由をあたえることによって、その労 働の生産力を増大させる。そこで、犁はしばしば、犁からも 費用によって維持されているのである。双方の労働は、ひと っともとおい事業をしている人の労働によって、一層容易に しく不生産的である。それは、土地の組生産物の総計の価値 一層よくうごくのである。 に、なにも追加しない。その総計の価値を増大させるどころ か、それは、そのなかから支はらわれなければならない負担 商人、手工業者、製造業者の勤労を、どんな点においても であり費用なのである。 抑制したり意欲をくじいたりすることは、けっして土地所有 しかしながら、不生産的階級は、他の二階級にとって、たん者と耕作者の利益ではありえない。 この不生産的階級が享受 する自由が、おおきければおおきいほど、その階級を構成す に有益であるというだけでなく、おおいに有益なのである。 商人、手工業者、製造業者の勤労によって、土地所有者と耕るさまざまな営業のすべてにおける競争はおおきいであろう 作者とは、かれらが必要とする外国の財貨とかれら自身の国し、他の一一階級が供給をうける外国の財貨も、かれら自身の の製造品とをともに、もしかれらが不器用なまずいやりかた国の製造品も、ともにやすいであろう。 イヤー エンプロ

2. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

の剰余部分は自然に、国内での手工業者と製造業者の使用造品のおおくを、おいだすであろう。 に、むかうであろう。ところで、それらの手工業者と製造業 それらの農地諸国民の、粗生産物と製造品との双方の、継「 者とは、かれらのしごとの原料とかれらの生計の資料とをと続的な増大は、適当な期間のうちに、通常の利潤率をもって農 もに国内で入手するので、ただちに、技術と技倆ははるかに業においても製造業においてもそこで使用されうるよりも、 おとるとしても、そういう商業国家の同様な手工業者や製造おおきな資本をつくりだすであろう。この資本の剰余は、自 業者とおなじくやすく、しごとができるであろう。後者は、両然に、外国貿易にむかうであろうし、それ自身の国の組生産物 者をともに遠距離からもってこなければならないのである。 と製造品のなかで国内市場の需要をこえるような諸部分を、 技術と技倆の不足から、かれらがしばらくのあいだは、おな諸外国に輸出するのに使用されるであろう。農地国民の商人 じくやすくはしごとができないかもしれないとしても、それたちは、かれら自身の国の生産物の輸出にあたって、商業諸 でも、国内に市場をもっために、かれらはそこでかれらのし国民の商人たちにたいして、その手工業者と製造業者がそう いう諸国民の手工業者と製造業者とにたいしてもったのと、 ごとを、そういう商業国家の手工業者や製造業者のそれとお なじようにやすく、うることができるかもしれない。後者の おなじ種類の一利点をもつであろう。それは、他方の商人 しごとは、たいへんな遠距離からでなければ、そこへもってたちがとおいところでさがさざるをえなかった、〔船の〕積荷 くることができないのである。そして、かれらの技術と技倆 と備品と食料品を、国内にみいだすという利点である。した が改良されると、かれらはまもなく、それを後者よりもやすがって、航海の技術と技倆がおとっていても、かれらは外国、 く、うることができるであろう。したがって、そういう商業市場でその積荷を、そういう商業諸国民の商人たちとおなじ、 諸国家の手工業者と製造業者は、それらの農地諸国民の市場ようにやすくうることができるであろう。そして、ひとしい において、ただちに競争をうけるであろうし、そのごまもな技術と技倆をもってすれば、かれらよりもやすくうることが ( 4 こ 安うりにまけて、それからまったくおいだされるであろでぎるであろう。だから、かれらはまもなく、かれらの外国 う。技術と技倆がしだいに改良されるけつかとしての、これ貿易のこの部門において、それらの商業諸国民と競争するで らの農地諸国民の製造品の低廉さは、適当な期間のうちに、 あろうし、適当な期間のうちにかれらをそれからまったくお いだすであろう。 それらの販売を国内市場をこえて拡大するであろうし、それ らをおおくの外国市場にはこぶであろう。それらはそこか したがって、この自由で寛大な体系によれば、農地国民が ら、おなじようにして、しだいに、そういう商業諸国民の製それ自身の手工業者、製造業者、商人を育成しうるための、

3. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

製造業者が禁止されたことを、農業者は、するようにある ない。かれの事業を他の人々の事業とおなじ水準で、いとな ていど要求された。すなわち、かれの資本をふたつのちがっ んでいくためには、一方では製造業者の利潤をえたにちがい た業務に分割して、その一方の部分を、市場のそのときどき ないように、他方で商店業者の利潤をえたにちがいない。た の需要に供給するために、かれの穀倉と乾草おき場に投下し とえば、かれがすんでいる特定の都会で、製造業と商店業と の資財の通常の利潤が、ともに十パーセントであ 0 たと想定ておき、他方の部分をかれの土地の耕作に使用する、という しよう。かれはこのばあい、かれが自身の店でうるかれ自身ことである。しかし、かれはあとの部分を、農業資財の通常 の財貨の、ひとつひとつについて一一十。 ( ーセントの利潤をつ利潤以下で使用する余裕がなか「たのとおなじく、まえの部 けたにちがいない。かれがそれらを、かれの仕事場から店分を商業資財の通常利潤以下で使用する余裕もなか「た。じ へはこぶとき、それらをおろしでか「たであろう商人や商店 0 さいに穀物商人の事業をいとなんだ資財が、農業者とよば 業者に、かれがうることができたであろう価格で、それらをれる人物にぞくするにせよ、穀物商人とよばれる人物にそく するにせよ、双方のばあいにひとしい利潤が、それをこのよ 評価したにちがいない。もしかれがそれらを、それよりひく うなやりかたで使用することにたいしてその所有者につぐな く評価したとすれば、かれは自分の製造業資本の利潤の、一 部をうしな「たのである。さらにかれがそれらを自分の店でうために、かれの事業を他の諸営業とおなじ水準におくため て にかれがその事業をなにかほかのものと、とりかえること うったときに、商店業者がそれらをうったであろうのとおな っ 、、、可能になるやいなやそうしようという利害関心をもつのを じ価格を、えなかったならば、かれは自分の商店業資本の利 潤の一部を、うしな「たのである。したが 0 て、かれは同一防止するために、必要であ 0 た。したが「て、こうして穀物 商人の商売をおこなうように強された農業者は、他のどん の財貨について二重の利潤をえるようにみえたかもしれない 済が、それにもかかわらす、これらの財貨はひきつづいて、ふな穀物商人が、自由竸争のばあいにうることを余儀なくされ 治たつの区別された資本の一部をなしたのだから、かれはそれたであろうよりも、かれの穀物をやすくうる余裕はなか 0 た のである。 らに使用された全資本については、単一の利潤しかえなかっ 事業の単一の部門にその全資財を使用しうる取引商は、単 匹たのである。そして、もしかれがこの利潤よりすくないもの 第 一の作業にその全労働を使用しうる職人とおなじ種類の、有 をえたならば、かれは損失者だったのであって、すなわち、 利さをもつ。後者が、おなじ一一本の手ですっとおおぎな量の かれの全資本を、かれの隣人たちの大部分とおなじく有利に しごとを遂行しうる、手ぎわを獲得するように、前者は、か は、使用しなかったのである。

4. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

ひきおこした。それは、、 しすれにおいても穀物商人の事業を業者がかれらの財貨を、そうでないばあいにえられるであろ うよりもいくらかいい価格で、うることを可能にするばあ 増大させたのであって、凶作の年には、かれが一層おおきな 量を輸入できるようにしたばかりではなく、それを一層いし 、あなたは、それらの財貨の名目価格だけでなく実質価格 価格で、したがって、もしある年の豊富が他の年の欠乏をすをも、ひきあげるのである。あなたは、それらの財貨を、 〔そうでないばあいよりも〕おおきな量の労働と生活資料にひ くうのを、おおかれすくなかれさまたげられていなかったな らば、かれがもうけることができたであろうよりも、おおき としいものとするのであり、それらの製造業者の名目的な利 な利潤をもって、うることができるようにした。わたくし 潤だけでなく、実質的な利潤、実質的な富および収入を増大 は、それだから、この群の人々のなかに、奨励金の継続また させるのであり、かれらが自分たちの生活をよくすることで は更新にたいする最大の執心を、みてきたのである。 も、それらの特定の製造業において使用する労働の量をおお われわれの地方郷士たちが外国の穀物の輸入に、まずますきくすることでも、可能にするのである。あなたはじっさい に、それらの製造業を奨励するのであり、それらにむかって の豊富さのときには禁止にひとしくなる高関税をかけたと き、およびかれらが奨励金を設置したとき、かれらはわれわその国の勤労を、おそらくそれが自発的にいくであろうより もおおく、ふりむけるのである。しかし、同様な制度によっ れの製造業者の行動を、まねたようにおもわれる。一方の制 度によってかれらは、国内市場の独占を自分たちに確保し、 てあなたが、穀物の名目価格つまり貨幣価格をひきあげるば 他方の制度によってかれらは、市場がかれらの商品によってあいには、あなたはその実質価値をひきあげるのではない。 かりにも供給過剰になるのを、防止しようと努力した。両者あなたは、われわれの農業者と地方郷士の、どちらの実質的 な富、実質的な収入をも、増大させるのではない。あなた によってかれらは、われわれの製造業者が同様な制度によっ は、穀物の育成を奨励するのではない。なぜならばあなた て、おおくのちがった種類の製造品の実質価値をひきあげた は、かれらがそれを栽培するのにもっとおおくの労働者を維 のと、おなじゃりかたでそれ〔かれらの商品〕の実質価値を、 ひきあげようと努力した。おそらくかれらは、自然が穀物と持し使用することを、可能にするのではないからである。も 他のほとんどあらゆる種類の財貨とのあいだに樹立しておい のごとの本質は、穀物に、人間の制度がかえることのできな た、おおきくしかも本質的なちがいに、注意しなかったので い実質価値を、刻印しておいた。どんな輸出奨励金も、どん あろう。あなたが国内市場の独占によってであれ、輸出奨励な国内市場独占も、それをひきあげることはできない。もっ 金によってであれ、われわれの毛織物または亜麻織物の製造とも自由な竸争も、それをひきさげることはできない。世界

5. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

373 訳注 十二ポンドの重さのなめし皮につき、一ハンドレッド・ウェイト あたりわすか一シリングという少額の税を支はらうことにより、 この独占からまぬがれることとなった。かれらは同様に、かれら の製品をそれ以上加工せずに輸出したときにも、それに課せられ た物品税の三分の二のはらいもどしをうけることとなった。なめ し皮製品はすべて無税で輸出しうるし、輸出者はさらに消費税の 全額のはらいもどしをうけることができる。牧畜業者はいまなお ふるい独占におさえられつづけている。牧畜業者は相互にはな れ、農村のさまざまな地方のすべてに分散しているので、同胞市 民に独占をおしつけたり、あるいはほかの人々からおしつけられ た独占からのがれたりするために、団結することがきわめて困難 なのである。あらゆる種類の製造業者は、すべての大都市に多数 の集団をなしてあつまっているので、容易に団結することができ る。家畜の角笛さえ輸出を禁止されている。そしてこの点では、 角笛業者と櫛製造業者というふたつの些細な営業が、牧畜業者に たいする独占を享受しているのである。 完成品ではなく、半加工品の輸出を、禁止あるいは関税で抑制 することは、皮革製造業にかぎられたことではない。ある財貨を すぐ使用し消費できるようにするために、まだなにか手をくわえ なければならないかぎりは、われわれの製造業者はかれら自身で それをやるべきだと考えている。羊毛織糸やウーステッドは、羊 毛とおなじ刑罰をもって輸出を禁止されている。白布さえ、輸出 税をかけられており、そのかぎり、われわれの染色業者は、われ われの織布業者にたいして、独占をえているのである。われわれ の織布業者はおそらくこの独占にたいしてみすからを守りえたで あろうけれども、じっさいには、たまたまわれわれの主要な織布 業者の大部分は、同様に染色業者でもあるのである。懐中時計の 外側、柱時計の外側、柱時計や懐中時計の文字盤は、輸出を禁止 されている。われわれの柱時計や懐中時計の製造業者は、この種 のしごとの価格が、外国の競争によって、かれらにたいしてたか められることを、このまないようにおもわれる。 エドワード三世、ヘンリ八世、エドワード六世のいくつかのふ るい条例によって、金属の輸出はすべて禁止された。ただ鉛と錫 だけが除外されたが、これはおそらくこれらの金属がたいへん豊 富なためであろう。当時、この王国の貿易のかなりの部分は、こ れらの金属の輸出からなっていたのである。鉱業を奨励するため に、ウィリアムおよびメアリ第五年第一七号の法律は、プリテン の鉱石による鉄、銅、および可鍛鋼を、この禁止から除外した。 のちに、ブリテン産のみでなく外国産のものも、銅棒はすべて、 ウィリアム三世第九年第一〇年第二六号の法律によって、輸出を 許可された。未加工の真鍮、いわゆる砲金、鐘金、台所道具金属・ の輸出はいまなお禁止されている。真鍮の加工品はすべて無税で 輸出することができる。 製造業原料の輸出は、完全に禁止されていないばあいには、お おくのばあい、たかい関税をかけられている。 ジョージ一世第八年第一五号の法律により、グレート・プリテ ンの生産物または製造品で、それいぜんの条例により課税されて た全財貨の輸出は免税となった。しかし以下の財貨は除外され た。すなわち、明ばん、鉛、鉛鉱石、錫、なめし皮、緑ばん、石 炭「梳毛機、白毛織物、とたん、あらゆる種類のうすい皮、にか わ、兎の毛、野兎の毛、あらゆる種類のながい毛、馬、および黄 . 色酸化鉛。このうち馬をのぞけば、これらはすべて製造業原料、 または半製造品 ( これはさらに製造されるための原料と考えてい い ) 、または営業用具である。この条例は、それらのものを、

6. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

麦芽製造業者が、自分の麦芽の価格をあけて十八シリン に、かなり公平に分配されているが、そうされないで、その 税は、利潤に影響するかぎりでは、まったく麦芽製造業者のとりもどすことが、現在醸造業者が、かれの飲料の価格を〈 きあげて、二十四ないし二十五シリング、ときには三十シ「 利潤にかかることになるであろうということ、そしてまた、 ングをとりもどすことよりもなぜずっと困難であるのかを 麦芽製造業者が自分の麦芽の価格をあげて、その税額をとり もどすのに、醸造業者や小売商人が、かれらの飲料の価格をあ解することは、あまり容易ではない。たしかに麦芽製造業亠 げてそうするほどたやすくはできないであろうということ、 は、麦芽各クオーターにたいして六シリングの税のかわ に、十八シリングの税を前ばらいしなければならないだプ そして、麦芽にたいするそんなに重い税は、大麦をつくる土 う。しかし現在では、醸造業者は、自分が醸造する麦芽のカ 地の地代や利潤をひきさげるであろうということである。 いかなる税でも、相当ながい期間にわたって、どんな特定クオーターにたいして二十四ないし二十五シリング、とき は三十シリングの税を前ばらいしなければならない。 ' 麦芽 の営業の利潤率もひきさげえないのであって、この営業は、 造業者が比較的軽い税を前ばらいすることの方が、現在醸 いつも近隣の他の営業と同じ水準を保たなければならないの である。麦芽、ビール、エールにたいする現在の税は、こう業者がそれより重い税を前ばらいしているのにくらべてず「 した商品の販売者の利潤には影響をあたえないのであって、 と不便であるということはありえないだろう。麦芽製造業亠 は、醸造業者がよく自分の地下貯蔵室に保存しておくビー この販売者たちはすべて、自分たちの財貨の価格をたかくし て、追加的利潤とともに税金をとりもどすのである。たしかやエールの在庫品にくらべて、処分するのにもっとながい止 て 間を必要とする麦芽の在庫品を、かれの穀倉に保存してい に税金というものは、それがかけられている財貨の消費を減 とはかぎらないのである。だから麦芽製造業者は、醸造業亠 に少させるほどこの財貨の価格をたかくすることもあるだろ 入 う。しかし麦芽の消費は、麦芽でつくった飲料でおこなわれとおなじくらいはやく、自分の金を回収しうるだろう。し , 家る。しかも、麦芽一クオーターにたいして十八シリングの税し比較的重い税を前ばらいしなければならないことからど ( ような不便が麦芽製造業者におころうとも、それは、現在 ( 国は、現在、一一十四ないし一一十五シリングにもなるさまざまな つうに醸造業者にあたえられているよりも数か月長期の信Ⅲ 五税がひきあげるほどには、これらの飲料の価格をたかくしな 第 いだろう。反対に、これらの飲料はおそらくもっと安くなるをかれにあたえることによって、容易にすくわれることが一 きるだろう。 8 だろうし、またそれらの消費は減少するどころかもっと増加 しそうであるだろう。 大麦の需要をへらさないでは、何であっても大麦をつくプ

7. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

ることがすくなかったにしても、ひとしく偉大なものであっ によれば、かれらは、日本人の実例をのぞけば、どこか他の たとおもわれる。したがって、双方の国は、ときとして飢饉 国民の実例によって自己を改良する機会を、ほとんどもたな いのである。 にみまわれるけれども、たいへんな肥沃さをもって有名だっ たのである。両者はともに、きわめて人口がおおかったけれ 古代エジプトの政策もまた、そしてインドスタンのジェン トウー政府のそれも、他のあらゆる職業にたいしてよりも農ども一応の豊年には、ともに大量の穀類を、近隣に輸出する ことができた。 業にたいして、好意的であったとおもわれる。 古代エジ。フトにおいてもインドスタンにおいても、国民の 古代エジプト人は、海にたいする迷信的な嫌悪をもってい 全体がさまざまな身分や種族にわかれていて、そのおのおの た。そして、ジェントウーの宗教は、その帰依者たちが水上 は、父から息子へと、特定の一業務あるいは一種類の業務で火をつけることも、したがってどんな食物を料理すること に、限定されていた。僧侶の息子は必然的に、僧侶であっ も、ゆるさないから、それは、かれらにたいして、あらゆる た。兵士の息子は兵士であり、労働者の息子は労働者であ遠洋航海を禁止するというけつかになる。エジプト人もイン り、織布業者の息子は織布業者であり、仕立屋の息子は仕立 ド人もともに、かれらの剰余生産物の輸出については、他の 屋である、等々であった。双方の国において、僧侶の身分は諸国民の航海に、ほとんどまったく依存していたにちがいな て 最高の階級とみなされ、兵士のそれは、そのつぎであり、そ 。そしてこの依存性が、市場を局限したにちがいないし、 にして双方の国において、農業者と労働者の身分は、商人およ同様に、この剰余生産物の増大をさまたげたにちがいない び製造業者の諸身分に優越していた。 それはまた、粗生産物の増大よりも、製造品の増大の方を、お っ おきくさまたげたにちがいない。製造業は、土地の粗生産物 双方の国の政府は、とくに、農業の利害に注意ぶかか のうちのもっとも重要な部分よりも、はるかにひろい市場を 済た。エジプトの古代の主権者たちによって、ニール河の水の 適切な分配のために、建設された諸施設は、古代において有必要とする。ひとりの靴屋は、年に三百足以上の靴をつくる 政 名であったし、それらのうちの若干のものの荒廃した遺跡であろうし、かれの家族はおそらく、六足をはきつぶしはし ないであろう。だから、かれが、かれ自身のような家族のす は、いまなお旅行者たちの称讃するところである。インドス 四 タンの古代の主権者たちによって、ガンジス河の水を他のおくなくとも五十からなる顧客を、もつのでなければ、自分自身 の労働の全生産物を処置しえないであろう。もっとも数のお おくの河の水と同様に、適切に分配するために建設された、 おなじ種類の諸施設は、前者にくらべれば、ほめたたえられおい手工業者の階級でさえも、おおきな国では、そのなかに ランク カスト

8. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

な市場である国内市場を、減少させることになり、そしてそ って自分たちをきわだたせることができないので、とうぜ うすることによって、さらに農業をさまたげる。 ん、かれらの衣服が多数で多様であることによって、そうし ようと努力するであろう。 したがって、農業を他のすべての業務に優先させて、それ を促進するために製造業と外国貿易に抑制を課する、諸体系 各国民の商業の最大で最重要な部門は、すでにのべておい たように、都会の住民と農村の住民とのあいだにいとなまれは、それらが企図する目的そのものと反対に、行為するので あり、間接には、それが促進しようとおもう種類の産業その るものである。都会の住民は農村から粗生産物をひきよせ、 それは、かれらのしごとの原料とかれらの生計の資との双方ものを、さまたげるのである。それらはおそらく、そのかぎ りで、重商的体系にさえもまさって、一貫性をかくのであ をなす。そしてかれらは、この粗生産物にたいして、それの る。あとの体系は、農業よりも製造業と外国貿易を奨励する 一定の部分を直接に利用するように製造し調製して、農村に ことによって、その社会の資本の一定部分を、有利な種類の おくりかえすことによって支はらう。それらのふたつのちが った組の人々のあいだにいとなまれる交易は、究極的に、一産業の支持から、有利性のすくない種類の産業の支持へ、ふ 定量の粗生産物が一定量の製造品と交換されることにある。 りむける。しかし、それでもそれは、じっさいに、終局的に まど、前者はやすい。そして、 だから後者がたかければたかいを は、それが促進しようとおもう種類の産業を、奨励する。反 て どこの国でも、製造品の価格をたかめることになるものはす対に、それらの農業的諸体系は、じっさいに、終局的に、そ にべて、土地の粗生産物の価格をひくめ、そうすることによっれら自身が支持する種類の産業を、さまたげるのである。 こうして、異常な奨励によって特定種類の産業へ、その社 体て農業をさまたげることになる。あるあたえられた量の粗生 いったであろうよりもおおき が産物、あるいは、おなじことになるが、あるあたえられた量会の資本のうちで自然にそこへ なわけまえを、ひきよせようと努力するか、あるいは、異常 済の粗生産物の価格が、購買しうる製造品の量がちいさければ な抑制によって特定種類の産業から、資本のうちで、さもな 治ちいさいほど、そのあたえられた量の粗生産物の実質価値は ちいさく、地主が土地の改良によって、農業者が土地の耕作ければそこで使用されたであろうあるわけまえを、むりにひ によって、その量を増大させるように奨励されることもすく きだそうと努力するかする、あらゆる体系は、じっさいは、 ないのである。そのうえ、どこの国においても、手工業者とそれが促進しようとおもう大目的を破壊するのである。それ 製造業者との数を減少させることになるものはなんでも、土は、その社会がほんとうの富と偉大さにむかって進歩するの 地の粗生産物にたいするすべての市場のなかでもっとも重要を、加速するかわりに阻止するのであり、その土地と労働の

9. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

グレーン 穀類を、ふたたびうる意図をもってかうものは、だれでも、 〔各州の全治安判事による〕四季裁判所に限定されたのである。 不法なかいしめ人とみなされるべく、そして初犯について ヨーロッパのむかしの政策はこのようにして、それが都会 は、二か月の投獄をうけ、その穀物の価値を没収され、再犯のおおきな営業である製造業について樹立したのとはまった については、六か月の投獄をうけ、その二倍の価値を没収さ くべつの、諸原理によって、農村のおおきな営業である農業 れ、三犯については、さらし台にかけられ、王のおもうままを規制しようとっとめた。農業者に、消費者か、かれの直接 の期間の投獄をうけ、一切の動産をすべて没収されるべきこ の代理人たる穀物のべてん師と仲継業者かのほかには、顧客 とである。ヨーロノ ツ。、の他のたいていの部分での、むかしのをあたえぬことによって、それはかれに、農業者の営業だけ 政策は、イングランドのそれにまさるものではなかった。 でなく、穀物商人あるいは穀物小売人の営業をも、おこなう われわれの先祖たちは、人民がかれらの穀物を、穀物商人ことを強制しようとっとめた。これと反対に、それはおお からよりも農業者からかう方が、やすいであろうと想像した くのばあいに、製造業者が商店業者の営業をおこなったり、 かれ自身の財貨を小売でうったりすることを、禁止した。そ らしい。先祖たちは、穀物商人が、農業者にたいして支はら った価格のうえに、途方もない利潤を要求するだろうと、おれは一方の法律によって、国の一般的利益を促進すること、 それたのである。そこでかれらは、かれの営業をまったくなあるいは穀物を廉価にすることを、おそらくどうすればこの くしてしまおうとっとめた。かれらは、どんな種類であれ仲 ことがなされるかをよく理解しないで、意図したのである。 介業者が、栽培者と消費者とのあいだにはいるのを、できる 他方の法律によってそれが意図したのは、ある特定の一階層 かぎりすべて阻止しようとさえ、つとめたのである。そして の人々、すなわち商店業者の利益を促進することであって、 キッダ このことが、かれらのいわゆる穀物のべてん師あるいは仲継もし製造業者がすこしでも小売をゆるされるならば、かれら リア 業者の営業にたいして、かれらが課したおおくの抑制の意図よりひじようにやすくうるであろうからかれらの営業は破減 なのであって、この営業は、誠実で公正な取引をする人であするであろうと、想定されたのである。 るという資格を証明する認可状がなければ、だれもおこなう しかしながら製造業者は、店をかまえてかれ自身の財貨を ことをゆるされなかった。エドワード六世のその条例によれ 小売でうることをゆるされたとしても、ふつうの商店業者よ ば、三人の治安判事の権威が、この認可状の交付に必要でありもやすくうることは、できなかったであろう。かれの資本 った。しかし、のちにはこの抑制でさえ不十分だと考えらのうちでかれがその店に投じたかもしれぬ部分は、どんなも れ、エリザベスの一条例によって、それを交付する特権は、 のにせよ、かれはそれをその製造業からひきだしたにちがい

10. 世界の大思想15 スミス 国富論<下>

もっとも有利な方法は、他のすべての国民の手工業者、製造とによってである。そして第二に、他のすべての職業におけ 業者、商人に、もっとも完全な貿易の自由をあたえることで る利潤率をひきあげることによってである。農業は、そうで ある。そうすることによってそれは、それ自身の土地の剰余ないばあいにくらべて不利にされ、商業と製造業は有利にさ 生産物の価値をたかめ、その継続的な増大はしだいに、ひとれる。そして各人はかれ自身の利害関心によって、できるだ つの基金を設定し、その基金は必然的に、それが必要とする けおおく、かれの資本とかれの勤労とをともに、まえの職業 すべての手工業者、製造業者、商人を、適当な期間内に育成からあとの職業にふりむけるように誘惑されるのである。 する。 この抑圧的な政策によって、農地国民は、それ自身の手工 反対に、農地国民が、高税か禁止によって他の諸国民の貿業者、製造業者、商人を、自由貿易がなしうるであろうより 易を抑圧するばあいには、それは必然的に、ふたつのちがっ もいくらかはやく、育成することができるとしても、ただし たやりかたで、それ自身の利益をきすつける。第一に、すべ この点はすくなからすうたがわしいが、そうだとしてもな ての外国財貨およびすべての種類の製造品の、価格をたかめ お、それはかれらを、もしそういっていいならば早熟に、育 ることによって、それは必然的に、それ自身の土地の剰余生成するであろうし、それがかれらをもつまでに完全に成熟し 産物の実質価値をひきさげるのであり、それはその剰余生産ないうちに、育成するであろう。一方の種類の産業をあまり て 物をもって、あるいは、おなじことになるがその剰余生産物の にいそいで育成することによって、それは、もっと価値のあ に価格をもって、それらの外国の財貨と製造品を購買するので る他方の種類の産業をよわめるであろう。その勤労〔産業〕 体ある。第一一に、それ自身の商人、手工業者、製造業者に、国を使用する資財を通常の利潤とともに更新するだけの、そう 内市場の一種の独占をあたえることによって、それは商業お いう種類の勤労をあまりにいそいで育成することによって、 学 済よび製造業の利潤の率を、農業利潤の率に比してたかくするそれは、その資財を利潤とともに更新するだけでなく、同様 レント 治し、そのけつか、農業から、従来そこに使用されていた資本に地主にたいして純生産物すなわち無償地代を提供する、そ の一部をひきぬくか、あるいは、さもなければそこにいったで ういう種類の勤労をよわめるであろう。それは、まったく不 匹あろう資本の一部分が、そこにいくのをさまたげる。したが 妊的不生産的な労働を、あまりにいそいで奨励することによ 第 ってこの政策は、ふたつのちがったやりかたで農業を阻害すって、生産的労働をよわめるであろう。 る。第一に、その生産物の実質価値をひぎさげることによっ この体系によればどのようにして、土地の年々の生産物の て、そして、そうすることによりその利潤の率をひくめるこ 合計が上述の三階級のあいだに分配されるのか、どのように