日本代表ミス殺しこそ中島河太郎一スフィンクスを殺せ田中光二悪魔はあくまで 都筑道夫 のテリー選集 3 わが人生権田萬治爆発の臨界田中光二十七人目の死神都筑道夫 テリー選集 4 〈の待権田萬治エデンの戦士田中光二キリオン・スレイ 都筑道夫 の生活と推理 日本代表ミス殺しの方法中島河太郎一 テリー選集 5 教えます権田萬治編大いなる逃亡田中光二阿蘭陀すてれん都筑道夫 月 日本代表ミス 都筑道夫 人肉料理 中島河太郎編異星の人田中光二キリオ , ・スイ の復活と死 テリー選集 6 権田萬治 死はわが職業田中光二黒い招き猫都筑道夫 9 日本代表ミス殺人者に・ ( 中島河太郎一 テリー選集 7 ラ 0 花東権田萬治編蟻の自由古山高麗雄吸血鬼飼育法都筑道夫 日本代表ミス殺意を秘中島河太郎一 編疑わしきは罰せよ和久峻三キリオン・スレイ 都筑道夫 テリー選集 8 めた天使権田萬治 の再訪と直感 緑日本代表 = , 犯罪特製中島河太郎編死体の指にダイヤ和久峻三紙の罠都筑道夫 ( テリー選集 9 メニュー権田萬治 我が子を盗め和久峻三あなたも人が殺せる都筑道夫 学日本代表ミス殺人者が追中島河太郎一 文テリー選集加。てくる権田萬治編特捜検事和久峻三感傷的対話都筑道夫 本日本代表。え。、あの中島河太郎編呪いの紙草履和久峻三べ 0 出しチョン斎藤隆介 代日本代表ミス犯罪教室中島河太郎一田暗黒山林和久峻三ちょうちん屋のままッ子斎藤隆介 現テリー選集 0 権田萬治 シ、リーマンの財宝和久峻三落語無頼語録大西信行 星のカンタータ三木卓 小説熱海殺人事件つかこうへい生きているユダ尾崎秀樹 目鬼を飼うゴロ北畠八穂 初級革命講座飛龍伝っかこうへいちびつこカムの冒険神沢利子 青春絶望音頭富岡多恵子 ジャイアンツは負けないっかこうへい海辺の広い庭野呂邦暢 ・ほくが・ほくであること山中恒 角 おかあさん全一一冊高峰 = 一枝子編薔薇のざわめき丸山健二玉嶺よふたたび陳舜臣 君は円盤を見たか田中光二穴と海丸山健二虹の舞台陳舜臣 幻覚の地平線田中光二明日への楽園丸山健二割れる陳舜臣 わが赴くは蒼き大地田中光二アフリカの光丸山健二残糸の曲全二冊陳舜臣
た。学校では週に一度、全校生徒が講堂に集って、一つのテーマのもとに各学年の代表が短い 演説をする時間があった。 私はク非常時日本の我らの覚悟クという演題で演説をすることになった。私は自分から進ん でその役目を引き受けたのだ。私は演説を終ると演壇を下り口の方へ歩いて行きながら、人さ し指を上げてメガネの中央を押える、あの癖をやるつもりだった。そうして実際にそれをした。 私の学年から弾けるような笑い声が上った。笑い声の中には歓声も混っていた。教頭がすっく と立った。そうして叫んだ。 『三年生、総員起立 ! 』 たちおうじよう 私の友達はゾロゾロと立った。私は演壇の下り口に立往生した。 『何がおかしい。笑った理由をいうてみなさい。一番前ーー・』 指さされた同級生が、モジモジしながら、泣きそうな顔でいった。 『小山田さんが : : : 笑わせたからです』 私は観念した。 『小山田、何をした。やってみイ』 教頭がいった。私は仕方なくそこに立ったまま、眼鏡の真中を指で押えた。 『何じゃ、それは : : : 』 教頭はヘんな顔をしていった。 まんなか
になり、右〈行けば母屋の中心部〈出るらしい。真直ぐ行 0 て玄関でルをはくと、庭から大急ぎ で大熊氏が廻って来た。 「君のところで、諸国美人めぐりというのをやっとるだろう、グラビアで」 いきなり大熊氏はいった。大熊氏のせつかちは有名である。 「はあ、連載でやっておりますが」 「あれに出してほしい女がいるんだがね」 「はあ ? 」 「いい子なんだ。生れは京都だよ。住んでるのは東京だが、京都代表で出すのがいいね、エキ ゾチックな趣のある娘でね。その一方京風の味もあって、なかなか面白いんだー 「はあ : : : 」 「来月号で出してくれないかね。急ぐんだよ、君 : : : 」 「はあ : : : 」 は 「この先のね、バス停の近くの山科というアンミッ屋の娘なんだ。君のところがダメなら、大 と 湯木戸君か田島君に : : : 」 茶 「いや、だ、大丈夫です、大丈夫 : : : ぼくの方でいただきます」 「そうか、そうしてくれるかいー 「その代りといっちゃ何ですが、先生 : : : 」 やましな
田実 呼び止める女鮎川哲也男の日ごよみ宮原昭夫アメリカ 唇鮎川哲也カムイの剣矢野徹わが人生の時小田実 蝶を盗んだ女鮎川哲也。・フテン船長の冒険矢野徹明後日の手記小田実 月自負のアリ・ ( イ鮎川哲也新世界遊撃隊矢野徹天国は遠すぎる土屋隆夫 街Ⅱ父と子永六輔カラスの海矢野徹天狗の面土屋隆夫 鷲矢野徹危険な童話土屋隆夫 旅Ⅱ父と子永六輔海 女Ⅱ父と子永六輔地球 0 年矢野徹判事よ自らを裁け土屋隆夫 、の牙土屋隆夫 2 孤愁の岸杉本苑子安楽死西村寿行 ~ ノ 舟崎克彦瀬戸内殺人海流西村寿行粋理学入門土屋隆夫 トンカチと花将軍舟崎靖子 文木馬がの。た白い船立原えりか屍海峡西村寿行地獄から来た天使土屋隆夫 本まぼろしの祭り立原えりか原色の蛾西村寿行影の告発土屋隆夫 代青い羽のおもいで立原えりか蒼き海の伝説西村寿行針の誘い土屋隆夫 現妖精たち立原えりか幻の白い犬を見た西村寿行傷だらけの街土屋隆夫 録でかでか人とちびちび人立原えりか牙城を撃て全二冊西村寿行赤の組曲土屋隆夫 目 鼠どもへの訴状佐江衆一化石の荒野西村寿行芥川龍之介の推理土屋隆夫 すばらしい空佐江衆一汝、怒りもて報いよ全二冊西村寿行異説・軽井沢心中土屋隆夫 わが闘争堤玲子荒涼山河風ありて西村寿行青い帽子の物語土屋隆夫 カクテル・・ ( ーティー大城立裕双頭の蛇西村寿行ねこに未来はない長田弘 ばなりぬすま幻想大城立裕悪霊の棲む日々西村寿行日本代表ミスロ笛ふい中島河太郎 編 テリー選集 1 て殺人を権田萬淪 風の御主前大城立裕妄執の果つるとき西村寿行 日本代表ミス犯罪エリ中島河太郎一 誰かが触った宮原昭夫銃器店へ中井英夫テリー選集 2 ート集団権田萬治
圏 「わかってるよ。書くよ、八十枚でも百枚でも」 友平の顔は輝いた。友平は思わず吃っていった。 「で、では、し、新年号に、百五十枚 : 「百五十か・・・・ : ま、いいよ、書こう : 「あ、ありがとうございますー 「その代り、頼むよ、グラビアの方 : : : 実はね、約束しちまったんだよ。彼女はモデルとして 売り出そうとしているんだよ。テレビなんかにも売り込んでやりたいんでね」 「承知しました。ぼくにお任せ下さい」 大熊氏は五尺そこそこの小男で、長い無名時代の苦労のせいか、ここ数年の執筆過剰のせいか、 うなず しな 萎びて淀んだ顔色をしている。その顔を性急に小刻みに首肯かせたその真剣な表情に、大熊氏の アンミッ屋の娘に対する執着が並々ならぬものであることが窺われるのであった。 - ゅうきょ 小説プリンスでは急遽、予定を変更して十一月号のグラビアの巻頭をアンミッ屋の娘で飾るこ とになった。とはいうものの、そのアンミッ屋の娘を京都の代表美人として出すことには抵抗が あった。殊に強く抵抗したのはカメラマンの土屋である。アンミッ屋の娘セッ子の顔は、人形の ように白いまん丸の顔に仏さまのような切長の細い目が眠そうについていて、唇は厚くて大きい。 「何がエキゾチックだ、何が京都の味だ : : : 」
69 ブップ島 「長に初夜権というもんがあるんです」 「はあ : : : 」 「初夜権、知ってますか ? 」 鉄太郎ははじめてニャリとした。色の悪い唇の間から、煙罩のヤニに染まった年老いた前歯が 現れた。 「ムコさんより先に、長がヨメさんを毒味するちゅうわけです。長がヨメさんの処女をい ただくちゅうわけです」 「はあ : : : 」 邦子は顔を伏せた。またしても面白からざる話題になって来た。 「酋長はヨポョボのおじいや。いったい年なん、ほやと聞いたら、七十八やというたが、七十八 いわ では部落に結婚式があるたびに辛い思いせんならんのとちがうかと思うてね。しかし長日く、 がんば 付長の位にいるからには、あくまで頑張っておる、とね。ウヒ、ウヒ、ウヒ : 邦子は顔を上げて仕方なく笑った。 「ぼくが代理長をやった三日のうちに婚礼があってね。 「はあ 「こら、えらいことになったと思うたねえ。七十八の酋長が頑張ってて、六十六の代理酋長が あかなんだということになったら、君、これ、日本の名折れや」
行きよおるというて、残念がっとったんじゃ : : : 」 「働きながら定時制へ行くという手もあるわ」 久はいった。 「お手伝いをしながら定時制へ行ってはどう ? 」 「行かせてくれるところ、あるじやろか」 「あるわよ。その代り働くときは一所懸命に働くのよ」 そうじ 「働くことはなんぼでも働きます。病院におる時も朝、五時に起きて掃除やら炊事場手伝うと ったんです」 「そう、それならそのように考えましよう。そんな働き口を探してあげるわ」 「すいません」 かすみ しかしそういう由紀の表情は相変らずぼんやりと霞がかかったようで、その大きな四角い顔は 仕事にあぶれた中年の日雇い労務者のように見えるのだった。 千「窮鳥懐に入らば猟師もこれを撃たず、ってことがあるわ」 万その夜、遅く帰って来た有作に久はいった。 十 「あの子は私を頼って来たのよ。広い日本に私以外に頼る人がなくて来たのよ。ほかに沢山の 作家もいるし、身の上相談の回答者もいるわ。でもあの子はその中からこの私を選んだのよ。こ のことをゆるがせに考えてはいけないんだわ : : : 」
九回裏 佐藤愛子 さとうおいこ 昭和五十五年七月十五日初版発行 発行者ーー角川春樹 発行所ーー株式会社角川書店 東京都千代田区富士見二ー十三ー三 4 電話東京二六五ー七一一一 ( 大代表 ) 〒一〇二振替東京③一九五二〇八 文 剛印刷所ーー・厚徳社印刷製本所 , ー , 大谷製本 装幀者 , ーー杉浦康平 落丁・乱丁本はお取替えいたします。 定価は力。ハーに明記してあります。 Printed in Japan 0 【 93 ーこ 5909 ー 0946 ( 0 )
「電話をかけて聞いたのよ。ピーター化粧品に勤めてらした嵯峨さんではありませんか、って。 そうしたらそれは姉ですっていったわ。姉妹でやってるんですって。聞きもしないのにそんなこ とまでいったわよ、妹が 静子の顔は紅潮しはじめた。 「ねえ、お邪魔でなかったら、ちょっと伺ってもいい ? 」 静子はいった。 みそづ 「実家から送って来たさわらの味噌漬けがあるの。丁度、おすそ分けしようと思ってたのよ」 「どうそ、いらして。丁度、焼き上がったクッキーがあるわ。お茶にしましよう」 静子は急いで引っ込むと、表から入って来た。 「私ねえ、今度という今度はもう決心しようと思うのよ。結婚して何年になると思うの、この 五月で満十年なのよ」 静子は部屋に入って来ると、坐りもせぬうちからしゃべりはじめた。 「その十年の間、林が私にしてくれたことといったら、浮気をごま化すために作ってくれたオ ぎげん 。、ールの指輪だけじゃ ーバーが一枚と、私が別れ話を持ち出した時に機嫌とりに買った安モノのノ ないのー その話を町子はもう何回聞いたか覚えがないくらい聞いた。哲夫はオー と。、ールの指輪を 買ったが、それくらいのことでは追っつかぬほどもっと沢山のひどいことをしている。その代表
週刊太陽から作家大曾根鉄太郎との対談に出てほしいという電話がかかって来たとき、多田邦 子は一瞬、緊張して声が出なかった。 ようや 邦子は一か月ほど前に戦国時代を舞台とした小説で、ある文学賞を受賞して、漸く作家として 文壇の隅っこに足がかりをつけることが出来たばかりの小説家である。二十四歳から三十六歳ま ゆいいついきがい での十二年間、邦子は大阪に近いこの町の図書館に勤めながら、小説を書くことを唯一の生甲斐 として、恋もせずおしゃれもせす、その道一筋に励んで来たのだ。 邦子には年老いた母が一人いる。母は若い時から大曾根鉄太郎の愛読者で、 「大曾根先生は偉いお人や。あんたも小説家になるんなら、あんな人になりなさい」 というのが口癖だった。 大曾根鉄太郎は時代小説の大家で、中でも武将伝や剣豪伝に幾つかの名作がある。男性的な作 家の代表のように見なされており、その小説の中に情痴場面のないことや、美女が出て来ぬこと でも知られている。邦子の母は特に彼の作風の、そんなところが気に入っているのだった。 週刊太陽の桑田という編集者は、「昔の男、今の男」というテーマを一応設定しているが、大 きよう 曾根先生は談論風発という方で、興に乗るとテーマはどこかへ行ってしまうのが常であるから、 なにとぞ 何卒、気楽に来ていただきたいといった。週刊太陽では毎号、大曾根鉄太郎と各界のゲストとの すみ くに