「佐藤さんが。ハンツと思ってはるものは、ショーツの方ではなく、。ハ そう考えて : : : 」 の赤電話でかけているのだ。 ここで電話は突然切れた。彼女はデ。ハート ジリジリと再び電話がかかり、 「もしもし、佐藤さん。そしたらショーツやなくて。ハンティでよろしいのんね ? 」 ああ面倒くさいな。ショーツと。ハンティとどう違うんや ? 「ショーツの方はですね。がまっすぐに切れてるんやわ。。ハンティの方はナナメに切れ上って て、腰にびったり密着したカンジやわね」 「そんなら私が使っているのはショーツの方かもしれない」 「そう。そんならショーツを買うたらええのですね」 「ちょっと待って。ついでやから両方買って来てみてちょうだい 「わかりました。そしたらショーツと。ハンティ、買うて行きます。で、色は ? 」 ああ面倒くさいな。白に決っているよ。 「白ね。わかりました。ではビキニ。ハンティはいりませんのね ? 」 なんや、そんなものあるのか。何のためにそういろいろと作る。たださえ忙しい世の中、日常 すそ ンティの方なんでしょ ?
「そうよ。私の。ハンツ」 「。ハンツいうたら佐藤さん、男がはくもんですよ。女がはくのは。ハンティ」 「男がはくのが。ハンツ ? 女は。ハンティ ? いっからそうなったんです ? 」 「いっからって、もうずーっと、そうですよ」 「ずーっとってことないでしよう。私は子供の頃から。ハンツといっていたわ」 「でも今は。ハンティです」 しつこいね。女は。ハンツ、男はサルマタと、決っていたんだ。断りもなしにそう変えられては 困る。 したば 「とにかく、下穿きを買ってくれたらええのよ」 と私は一歩譲った。何しろ彼女は大学で法律を勉強している。彼女と論争するといつも負ける のだ。すると彼女はいった。 「では。ハンティを買って行きます。ショーツやなくて。ハンティの方やね ? 」 「ショーツ ? ・ショーツと。ハンティとちがうの ? ・」 「ちがいますよオ、知らんのですかア ? 佐藤さんは今、何を穿いているんですか」 「だから。ハンツよッ ! 」 ハンティの外にまたショーツなるものが登場して私はイライラする。
「そんなら参考のために一つ、買うて行きますわ。花がらのがええわね」 「花がら ? そんなのいらんよう ! 五十二歳のおばはんが、怒りながら花がらのビキニはいて る ! 赤塚不二夫のマンガやわ」 「またそんなこというて : : : 芸術家がそんな古いこといわはったらいけませんワ、下着におしゃ れをして心にゆとりを持つ。それが若返りのコツですわ、ホホホ」 電話はやっと終った。 数刻の後、彼女は紙袋を下げてやって来た。 「ハイ、これが。ハンティ。これがショーツ。これがビキニ・ 「ビキニなんていらんというてるのに」 「そんなこといわんと、一度ためして下さいよ。私からのプレゼント」 g 彼女が帰った後、私はそれをひろげて呆れた。こんなちつぼけな布ギレの中にお尻を押し込む ざくらいなら、私は雷のふんどしを愛用するであろう。私は叫んだ。 いんわい か「こんなものを穿いて、お尻のかたちをクッキリ見せて、男心をそそろうという魂胆が淫猥であ の 主 しかしせつかく買って来てくれたもの。捨てるのは勿体ない。それで私は頭にかぶって寝る。 ナイトキャップにしたら丁度よいのである。 あき もったい