花かんざし - みる会図書館


検索対象: 坊主の花かんざし(四)
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1. 坊主の花かんざし(四)

私は、いまでも「坊主の花かんざし」に大変愛着を持っている。 原稿を頂いていた二年間半、何か ( マをして佐藤さんにお叱りを受けないかと、いささか緊張 をしていた。しかし連載が終ったあと、無性に淋しさを感じた。一か月も彼女の声に接しないと、 しみじみと懐しくなる。やたらに彼女とおしゃべりがしたくなる。そしてダイヤルを回して、彼 女が出て来るとほっとしたりする。 また、何となく心がウッウッとしているとき、私は「坊主の花かんざし」をばっと開いて、そ の。ヘージから読みはじめる。何回でも繰り返し読んでいると、いつの間にかウッウッは消えてし まっているのだ。 「坊主の花かんざし」は、はじめ一年間の約束で開始された。それが大好評で、もう一年、そし てまた一年と重ねて頂いた。しかし三年目に人って、本文の「お・わりの言葉」にあるように、・途 説中で終ってしまった。 だから私は、「佐藤さん、エッセイのお約束が、あと半年分残っていますよ」と、チャンスあ 解 るごとにお願いの釘をさしている。そして " 正直 ~ な佐藤さんは、そのことを決してお忘れでは ないだろうと、私は信じているのである。

2. 坊主の花かんざし(四)

184 者冥利につきるというものであった。 社内を歩いていると、先輩や仲間たちから「坊主の花かんざし、面白いね」とか「佐藤愛子、 今週もやってくれましたねえ」と、よく声をかけられた。そのたびに、私は自分が賞められた上 うに、誇らしく思ったものである。 こういうたぐいの連載は、三回に一回面白ければ、まず成功といえるだろう。・しかし「坊主の 花かんざし」は毎回拍手喝〔木であった。どんなに辛い点をつけても、 9 割のヒットであった、 私は田う。 しかし、こういうことをいま、ここで私が繰り返す必要はない。読者はすでに読み終えたは十 だから、きっと同意下さることだろう。 「坊主の花かんざし」は一回が四百字詰の原稿用紙で七枚半であったが、私はある日、佐藤さん の書斎でこの七枚半のために三十枚ぐらいの原稿用紙がムダにされているのを見たことがある。 頂いた原稿も、あっちを直し、こっちに手を人れ、といったぐあいで、かなり直しの部分が多い 9 割ヒットを出すための呻吟がにじみ出ているようで、私は思わず胸をうたれる思いだった。 ところでーー佐藤さんのこの魅力はなんであろう。 彼女のものの見方、考え方のユニークさはもちろんである。頑固でありながらものわかりの好 さ、素直さがある。短気にみえながらがまん強さもある。わがままと思いやりが同居している。

3. 坊主の花かんざし(四)

編集部にまで、 「坊主の花かんざし、もうやめますッ ! 」 などとわめいて困らせた。 「坊主の花かんざしだけではない。執筆一切やめる ! マスコミ相手に暮すのはもうゴメイ と発表した。 そんな事情を何も知らずに原稿を頼んで来る人がいる。 「もう仕事はやめたんです」 そういう一瞬、相手は絶句する。私の一一一口葉の意味がわからないらしい。 「では、いつまでおやめになってるんですか」 四 「アリ金がなくなるまでです」 し ん「すると、そのアリ金はいっ頃なくなりますか」 と聞く人がいて、 の 主「そんなことわかりませんッ ! 」 とまた私は怒る。 たちま 男に惚れ込んでせっせと貢ぎでもすれば、忽ちにしてかき消える程度のカネである。火事を

4. 坊主の花かんざし(四)

坊主の花かんざし

5. 坊主の花かんざし(四)

集英社文庫 坊主の花かんざし ( 四 ) 佐藤愛子 集英社

6. 坊主の花かんざし(四)

集英社文庫 坊主の花かんざし ( 四 ) 佐藤愛子 集英社版

7. 坊主の花かんざし(四)

159 坊主の花かんざし ( 四 ) い出したもんやなあ。 「久米の仙人でも、女のハギに目が眩んで雲から落ちて来たんやもん、心の乱れはみなありま亠 よ。ま、気長にガン。ハリなさい」 と友達はヘんな激励をしてくれたのであった。

8. 坊主の花かんざし(四)

115 坊主の花かんざし ( 四 ) するか。 「いや、ポーイといえども地震の際はやはり逃げるし、火事の時は消火器持って走ります」 と意見を述べた人がいる。 「ですからやはり逃げるんじゃないですか」 「まさか消火器持って走って来たりはしないでしようが、アハハ」 誰も「ポーイといえども興奮して襲うかもしれませんな、といわぬのが悲七いのであった。

9. 坊主の花かんざし(四)

171 坊主の花かんざし ( 四 ) するとさんはいった。 「佐藤さんはいっそ、芸者になるより、国会議員にでもなった方がいいのではありませんか」 あっ、そうだ。そういう生き方もあった。手はじめに次の参議院選挙に立候補してみようか。 「何党から出ます ? 」 「そうね、やつばり自民党がいいわね」 なぜ自民党がいいか ? だって、あすこには虐め甲斐のある人が沢山いるんだもん。 がい

10. 坊主の花かんざし(四)

坊キも 0 鰲睾 坊主の花かんざし徊佐藤愛子集英社文庫引一 真鬼欠 男の学校 エ一ム哥 品天気晴朗なれど坊主の花かんざし曰Ü国四 文作赤鼻のキリスト 男の結び目 愛子の日めくり総まくり 女優万里子 英愛 父母の教え給いし歌 集藤娘と私の部屋 丸裸のおはなし 佐娘と私の時間 女の学校 娘と私のアホ旅行 《佐藤愛子ゲキレツ語録》 社会の矢面に立っている人間は、飛来し て突き立つ矢の分量だけ、どこかでその 矢を射返さなければ身がもたぬのだ。 ( 、、得難い相棒〃より ) オッパイの大きい女は、脳みそのモトが みなオッパイに行ってるんです。だから デカバイはたいてい頭が悪い一 ( 、、無邪気な話〃より ) 今は男と女の間で、握るのは手だけとは 限らない。 ( 、、握る〃より ) こんなちつばけな布ギレの中に、お尻を 押し込むくらいなら、私は雷のふんどし を愛用するであろう。 ( 、、パンツ考〃より ) 解説・池田敦子 佐藤愛子 ( 撮影・大石芳野 ) 一九二三年一一月五日大阪生。甲南 高女卒。処女作「愛子」。六三年「ソク ラテスの妻」が芥川賞候補となり文 壇の注目を浴びる。六九年「戦いすん で日が暮れて」で直木賞受賞。、五三 年「幸福の絵」で女流文学賞受賞。 ー ( 馬の耳に念仏 ) ・山藤章二 定価 220 円 \ 220 0195 ー 750357 ー 3041