ハイト - みる会図書館


検索対象: 女の学校
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1. 女の学校

もない。道へ出てはるか彼方を眺めると、某デ。ハート の配達員が自転車を走らせて行く後ろ姿が 見えた。チャイムを鳴らしたのは多分、彼であろう。たった三度鳴らしただけで、出ないとすぐ 帰って行く。そうして我が家は「長期不在」ということになるのだ。 デ。ハートにその旨いうと、 「何ぶんにも、アル・ハイト学生ゆえ、いろいろおりまして」 という返事である。 それで思い出したことがある。郵便局のアル・ハイト学生が、配達を面倒がって手紙の束を川の 中に捨てていたという話である。またある雑誌社に原稿のコピーを依頼したところ、文字が薄く かすれて判読出来ないコピーが届けられた。これもアル・ハイト学生の仕業である。 私がこう書くと今に必ず投書が来る。アル・ハイト学生の中にもマジメな者がいます。一部を見 て全体を決めないで下さい、と。わかってる。私はあなた方に文句をつけるためにこの文を書き 出したのではない。 私の娘はアル。ハイトをしたがっているが、私は娘に、あの兄の友達のお父さんのようにこうい わずにはいられない。 「アル・ハイトさせるなんて、そんな怖ろしいこと、ママはようしません」 しかし、世の中には大胆な親御さんが案外多いらしい。 そうして、寛大な雇い主も意外に多いようである。

2. 女の学校

なるほど、そういう考え方もある、子供心に私は思った。うちの親はその点、無責任ゃなあ、と。 話は変るが、駅のプラットホームで二人の中年女性が、こんなことをいっているのを小耳に挾 んだ。 「うちの娘も息子もアル・ハイトして、それで好きなものを買っていますから、お父さんの月給の わりには子供は色んなものを持っていますのよ。ステレオとかスキーとか」 「私たちの若い頃を思うと、本当に生活をエンジョイしていますわねえ」 「昔は今のようにアル・ハイトというものがありませんでしたからねえ 「何を買うにも、親にお願いしなければなりませんでした」 「その点、今の親はらくですわ」 ホホホと二人のお母さんは笑って、丁度来た電車に乗って行ってしまった。 私はそれを見送り、心中ひそかに、 「親がらくしてる分だけ、こっちは困ってる」 校去年の歳末、私の家では、デ。ハートから品物を贈らせたが、いつも留守の様子、それとも所番 の地でも変りましたかという問合わせを再三受けた。 女 ふしぎに思っていたところ、ある日、チャイムが鳴った。丁度、私がひとり家にいて電話をか けている最中である。チャイムが三度鳴るまでに電話を終えて急いで表へ出てみると、人影は何

3. 女の学校

娘の値段 ある日、高校一一年の娘が、ふと思い出したようにいった。 「私、この間、学校から帰って来たら、道でヘンなオッサンがそばへ来て、いいアル・バイトある んだけど、五万円でっていうのよ」 「へえ、五万円のアル・ハイト、一カ月で ? 」 A 」一訊′し J 、 「そこんとこはよくわからないけど、一回じゃないのかなア」 「一回で五万円 ? 何だろう ? 」 「売春でショ」 娘はこともなげにいった。 学 の常々、娘の前では豪胆沈着を装っている私もさすがに驚いて、 「。ハイシュン といったきり、後の言葉がつづかない。