ロクロッ - みる会図書館


検索対象: そして、こうなった
4件見つかりました。

1. そして、こうなった

% こんな夢である。 娘はひどい渋滞の高速道路にいる。道路は立体交差になっているが、上も下も遥か前 方も後方も、車が珠数つなぎになっている。もう何時間も動けずにいるのだ。先がどう なっているのか皆目わからない。その時、娘はふと気がついた。横に並んでいる車に乗 っているのは「ロクロッ首男」であることに。 「ロクロツ一目 ? 」 私ま訊、こ。 「どうしてそれがわかったのよ ? 」 「どうしてってことないのよ。なぜだか知らないんだけど、ふと思ったのよ、この人は ロクロツ一目だと」 「根拠なしに ? 「だって夢ってそういうもんじゃない」 それはその通りだ。それでどうした ? 「わたし、窓を開けてロクロッ首に頼んだのよ。『すみませんが、先の方、どうなって いるか見てくれませんか』って : : : 」

2. そして、こうなった

したの。そうしたらロクロッ首は『いや、そんなのいいです。ちょっと首を伸ばしただ けなんですから』って」 「、、人なのね」 「そうなの。それでまたこっちで相談してね、これはキモチだから五円くらいがいいん じゃないかってことになって、五円玉を渡したのよ。ご縁 ( 五円 ) があったらというこ とで、五円だけでも、ってロクロッ首の手に握らせたの」 「受け取った ? 」 「苦笑しながら受け取ったわ。その後で五円なんかあげて却って失礼だったかな。失礼 なことしちゃったかなって、くよくよ思ってるの。そこで目が醒めたの : : : 」 「ふーん : : : 面白いねえ。それはいい初夢だわ」 「吉夢か凶夢かどっちだと思う ? 」 「どっちか知らないけど、面白いからいいのよ」 ものごとは何でも面白いのがいい。私はフロイトじゃないから、ロクロッ首が象徴す る潜在意識は : : : などという気はない。 「ロクロッ首に頼んだんじゃなくて、自分がロクロッ首になったのなら、これは間違い

3. そして、こうなった

「へーえ : : : 」 「そうしたらロクロッ首は『ああ、 しいですよ』って、あっさりいって、窓から頭をつ き出したと思うと、みるみる首はニョロニョロと伸びて空へ上っていったの」 「変ってるねえ : ・・ : 」 「それから首は戻ってきてね。『大分先まで詰ってますが、ずっと先頭の方は動いてる ようです』って」 私は「へーえ」というばかりだ。 「それでね。お礼に二千円ばかり包もうかと相談したのよ」 「誰と ? 」 「それがハッキリしないんだけど、一緒に車に乗ってる人 : : : 多分ヒロユキさん ( ムコ どのの名 ) かママよ。そうしたら、首伸ばしただけだから二千円は多いんじゃないかっ て : : : そうだ。ママだわ。そういうことをいうのはママだわ : : : 」 いや、それは : : : そうかもしれん。 初「で、どうしたの ? 」 「とにかく二千円包んで、『あの、これ、お礼です』っていって、ロクロッ首にさし出

4. そして、こうなった

なく吉夢だけどねえ」 「だって大空高く首が上って行って、天下を見下ろしたんだから、天下を取る兆という ことになるところだけど、隣りのオッサンの首が伸びたんじゃねえ : : : 」 それにしても面白い夢を見るものだ。羨まし い。かってはこの私もロクロッ首に劣ら ぬ面白い夢をよく見ていた。その頃、娘の夢は語るに足らぬ凡夢ばかりだったので、私 は自分の夢を話しては、 「これくらいの夢を見てごらんよ」 と威張っていた。例えばそのひとつにハムレットの夢がある。 私は俳優になっていて、これからハムレットの舞台に出るのである。出は迫っている がハムレットが穿くタイツがどこを探してもない。時間は迫る。タイツはない。探し廻 っていると、夫の ( その頃、私にも夫がいた ) メリャスのバッチが見つかった。タイツ 勝もバッチも似たようなものだ。 ( ただバッチの方は紐がついている ) 夢 ェイ ! これで間に合せよう ! 初 ャケクソでそれを穿いて舞台へ出て行った。舞台は暗い。 中央に四角い箱が一つ、ば きギ ) し