森さん - みる会図書館


検索対象: そして、こうなった
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1. そして、こうなった

75 私の古傷 といっている。ルドちゃん ? もう名前までつけてもらってるのか。 「目は治ったの ? 」 「うん、お母さんがお医者さんから目薬貰って来たの」 お医者へ連れて行ったア ? 目薬さしてるウ ? チェッー 部屋の隅にはおしつこ用 の砂の入った箱、キャツッフードの入った容器 ( ピンクの可愛らしいの ) 、ふかふかし た寝床が並んでいる。 「またこんな無駄遣いをして ! うちに猫の食器に丁度いい欠茶碗があったのに・ いいながら抱き上げようと手を伸ばすと、チビめ、生意気にも背中を丸め尻を高く上 げて威嚇の形を作るではないか。思わず、 「こらーツ・ と追う。追いつつ、これからの日々、こやっとの戦いの予感が胸底を流れたのであっ っ ) 0

2. そして、こうなった

ような人間は病気になってしまう。喧嘩は私の健康法なのです。 森首相はもしかしたら私のような人物なのかもしれない。およそおかまいなしのお方 のようで、「ひとがどう思う」ということは頭にないらしい。政治記者が国会の廊下な どにまつわりついて質問をすると、こんな所でしゃべれるか、うるさいな、などと怒っ て記者たちににくまれ、今回の「神の国」騒動でも新聞の風当りが強いのは、そんなこ とも起因している、としたり顔にいっている人がいたが、頭の中に考えごとがいつ。し 詰っている時にどうでもいいようなことを質問されると「 , つるさいツー つわもの くなるだろう。これが海千山千の強者ならばアタマに来ていても気ぶりにも出さず、機 智やおとばけをもって何とかイナすのであろうが、単細胞の森さんや私にはそんな芸当 は出来ない。「政治家の資質がない」と非難されるのは、まさにその通りで、だから私 は政治家にならないが、 森さんはなった。政治家なんかおよしなさい、村の熱血青年団 る 長になればよかったのにと私は思う。 て 「神の国」発一言以来、野党はこそって森タタキに狂奔している。「この発想はかっての 大日本帝国憲法に近い。国民主権の現在の憲法を正面から否定する話だ。アジア諸国に 与える影響を心配せざるを得ぬ」と民主党鳩山代表はアノ目を光らせて批判した、と朝

3. そして、こうなった

「そうしよ、そうしよ、遠藤さんのオゴ : : : 」 「リ」、という間もなく、「ワリカンや ! 」ときめられてしまったあの年、彼は死んでし まった。あれからもう七年も経つのか。古くからの大切な友達が櫛の歯の欠けるように ( というのも古い比喩だが ) 死んで行く。 逝く人はぬくし残りし者の寒さかな だ。今は死んで行った人を悼むよりも、羨ましいという心境になっている。どう考え ても今は向うの世界の方が賑やかで面白そうだ。 「なにやっとるんだ、サトくんは。まだ生きとんのか」 と遠藤さんがいえば、川上宗薫は、 モ「しかしなあ、愛子サンが来るとなあ : : : またうるさくなるからなア」 こら ~ といい、菊村到さんはいつも歯イタを怺えているようなあの顔で笑っている 本この秋には私が最も信頼し、私の死後はこの人にすべてを托すつもりでいた池田敦子 さん ( 元週刊読売記者だった ) に先立たれた。私よりも七歳年下の池田さんに逝かれた

4. そして、こうなった

114 いわされて」 さそかし辛かろうと同情していた。だが毎日同じビデオフィルムで前半を埋め、後半 にひとっふたつ新しいネタをくつつけるだけの水増し映像に、昨日も今日も変らぬ真面 目顔でサッチー批判を始める草野さんはあくまで温厚沈着で、辛いのか辛くないのか、 同情するべきか批判するべきか、さつばりわからない。 草野さんの隣りには、これまた草野さんに劣らぬ真面目顔。冷静沈着の上に真剣味を 加えた有田さんがいる。正面向いた姿勢は常に真直、顔も真直。目だけが動く。「立板 に水」といったそのコメントぶりは「弁論」というにふさわしく、真面目と真面目、沈 着と沈着が相呼応して絶妙のコンビでサッチー批判がくりひろげられる。はっきりいう とそれは「弁論」風ではあるが、やつばり井戸端風悪口に違いなく、真面目重厚におば ちゃんの悪口をいいつづける、というところが他局には見られぬ面白さなのである。 それからそうだ、有田さんの隣りに石川さんというふつくらと鼻が丸い人がいる。 ( 私はこのハナが気に入っている ) 石川さんは先の二人に比べていささか沈着味には欠 けるが、ややもすればしたり顔、あるいは感情的になりがちなレポーターの臭みをやわ らげているのが、ふくろう時計を思い出させる丸い目とふつくら鼻である。そこがいし

5. そして、こうなった

つづけているのだ。その火柱を私に消してほしいといわれても、私はもはやうら枯れつ つある身だ。彼女も苦しいだろうが、「完璧な献身」を受けた夫の方もさそや辛かった ろ , っと思 , つよ , つになっている。 「わたくし、苦しくなると佐藤さんのことを思い出して気をとり直したんです。ほら、 佐藤さんが中華饅頭をご主人のフケ頭に投げつけて、畳に落ちた饅頭のフケとゴミを払 ってふかして借金取りに食べさせたこと。それからそうだわ、ご主人は社長なのに会社 をほったらかして、三日も居つづけマージャンをしてやっと帰って来た時、靴音を聞い た佐藤さんはバケツに水を入れて物蔭に潜んでいて、玄関のドアーが開くなり正面から 水をぶつかけたんでしたわねえ : : : あれを読んだ時、わたくし、スーツと溜飲が下って ポバイのほうれん草みたいに元気になったものでしたわ」 「いや、どうも : ・・ : よくご存知ね」 「もっと知ってますよ ! 倒産したご主人がテレビの前でノターツと横になってる。佐 ゾ 藤さんはやっと食事の片づけをしてアイロンかけてる。ご主人は『紅茶』っていうんで の すよね。倒産したくせに威張ってる。でも佐藤さんはぐーっと我慢してアイロンかけて る。ご主人はまた『紅茶』という。仕方なく立って紅茶を淹れるんだけれども、朝から

6. そして、こうなった

156 だ」と思ったという。なぜそう思ったのかわからない。ふと、そういう思いが浮かんだ のだ。そこで上り框の太鼓を居間の中央のテープルの上に置き替えて寝床に戻ると、そ の後天井は鎮まり朝まで静かに眠ることが出来た。 翌日、優れた霊能力の持主、美輪明宏さんに電話してその話をすると、美輪さんは呆 れ果てたといわんばかりに、 「神さまのものを人間が勝手に持ち出して遊びの道具に使うなんて、しかもすぐに返さ ないで玄関先にほっとくなんて、怒られるのは当然よ、すぐお返しして謝っていらっし これはいかん、と私と娘は太鼓を担いで竜神さんへ行き、 「竜神さま、挨拶も申し上げず太鼓を拝借して叩きまくり、歌えや踊れの大さわぎ。粗 末にあっかいスンマセンでした」 と二人並んで深くお辞儀をしたのであった。 太鼓を持ち出したのは我々ではない、叩いたのも玄関先にほっぱり出したのも我々じ ゃない。なのになんで私ばっかりザラザラズーと脅されなくちゃならないのよ、と娘は 怒っていたが。

7. そして、こうなった

228 日新聞は報じ、 ( もっとも「アノ目云々」とは書いてないが ) 野党、 ( 産経新聞を除く ) 情報メディアはこそって首相失格を叫んで揃い踏み。 そんな騒動の中、当の森さんはどうかというと、一向にやつれた気配もなく、何かの 集りで「神」と「紙」をかけて、暢気なしゃれをいっていたという新聞記事もあり、 じめッ子がよってたかって虐めても、このいじめられッ子は一向にこたえていないよう なのであった。 森さんの発言の要旨は「神様であれ仏様であれ、天照大神、神武天皇、親鸞聖人さん、 日蓮さんであれ、宗教は自分の心に宿る文化であるからそれを大事にしよう」という占 にあり、それに私は全く同感である。今の少年少女の荒廃は「怖れ畏む」存在が日本人 から失われていることに原因があると前々から考えていたのだ。 しことをいっているのだ。だが八方に目を配ることを忘れて、無頓着にし 森さんはい、 ゃべってしまうのがいけない。 ( と私がいうのはおかしいが ) 野中幹事長、青木官房長 官らがいかに閉ロし、困惑したかはこの私にもよくわかる。殴りつけたいのを我慢して 一所懸命に擁護に奮闘している折しも、 「また舌禍また絶句 かし、一

8. そして、こうなった

袋、作業服。足もとに黄色いへルメットを置いているところを見るとあれは地下鉄工事 をサポって来た連中ですな、と教わる。少し行くと暗い池の畔にしやがんでじーっと池 の面を見ている黒い背中。一見この世をはかなんでいるか、借金のいいわけでも考えて いるかのようだが、実はあたりの気配に全神経を集中して、エモノの来るのを待ってい るライオンの心境なのですと、なかなか愉快な刑事さんだった。 ( しかしあまり出世は なさらんかったでしような ) 思えば面白い時代だった。ああいうのを「ゆとりある日々」というんじゃないのか。 夏になると丸の内署の窃盗犯罪の半分以上が日比谷公園のハンドバッグ置き引きだった。 アベックが相擁して、夢中になっていくと、 ( つまり組んずほぐれつ ) 位置が移動して いくもので初めはそばに置いた筈のハンドバッグがいっか遠くへ行っている。それに向 って匍匐前進して失敬してくるという、悦楽と実利を兼ねたノゾキがプロ中のプロとい 歎われていたとか。こういう話を語るだけで私は浮き浮きしてくる。 「佐藤さんの話を聞いていると、なんだかノゾキを讃美しておられるみたい」 男と ()D 子さんは不服そうだ。 ここで突然話題は変るのだが、この年、東京では銀座や新宿、浅草なんかで歩行者天 ほふく

9. そして、こうなった

それはさておいて、アベさんの話に戻ろう。 「ゆんべスカンクが死んだ夢、見たんだよ」 「死んだ夢 ! 」 「そうだ。死んだんだ。なぜだか知らないけど死んでるのさ」 アベさんはあっさりいった。 「それで先生がこっちへ来てるんだよ。スカンクの死骸を剥製にするんだってね。その 剥製を九百八十万で買うって人が現れたんだ。誰だと思う ? 」 知らんよ、そんなこと。こっちはプーのことを思い出さされただけで胸が潰れている のだ。 「それが森光子なのさ」 アベさんはいっこ。 「あの人が買うっていうんだ。部屋の飾りにしますって、新聞記者にしゃべってるんだ。 先生が一千万というのを二十万値切ったんだよ。森光子は」 プーがいなくならなければ、ルドはここで飼われることはなかったのである。プーの せんせ

10. そして、こうなった

与党もため息・怒り」 と朝日新聞は躍り上らんばかりの大文字。何ごとかと読むと森さんは共産党との野党 連立政権で日本の「国体」を守ることが出来るか、と発言したというのだ。国体とは何 だ、国体とは、と忽ち野党は息巻き、「天皇主権の国体護持を意味する言葉だ」といい 立てて興奮している。 いや、国体とは「国の体制」という意味でいっているのであって、共産党も政権に参 画した時、日本の国の体制はどうなるんだという危惧があるのは当然ではありませんか、 と与党の面々、野中、亀井、青木、神の国発言の時は非難に廻った河野外相まで総動員 して″防戦〃に努める。森さんは仕方なく ( 多分 ) 「軽率発言」を認めたが、翌日の演 説会では、 「 ( 奈良の演説では ) 失言がありまして怒られました。あんまり神仏についてはいえな る いのですが : て と「参加者の笑いを誘った」という暢気さ。 ( これも私に似ている ) 野中さんは「真 ま意を説明しなければならないような発言は十分注意してもらいたい」とポャき、亀井さ んは「これからは噛んで含めるように話してくれと、 ししたい」と怒り、青木さんは「政