ウンコ - みる会図書館


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1. だからこうなるの

虫 気になる。病気になると注射をしてやらなければ死んでしまう。ほったらかされて死ん だときは、頭に三角をつけ、怨めしそうに口をへの字に曲げているが、十分に世話をさ れて天寿を完うした時はにつこり笑いつつ天国へ向うのだそうだ。 娘の説明を聞きながら私はただ「へーえ、ふうん : : : 」というばかり。 病気になった時は、なぜわかるかというと、ガイコツが現れるのだ。ウンコの掃除は どうするのか。ボタンを押して箒を取り出せばウンコは消える。ウンコはいつ出てくる のか。訊くと、それはわからない。いきなりヒョッコリ出ているという。だからしよっ ちゅう注意して見守ってやらないといけないのだそうだ。 ムは「いきなりヒョッコリ出ている」というウンコを見たくなった。だがいくら見た くなってもウンコは出る時が来なければ注文通りには出ないのだと娘はいう。 「ウンコが出る時っていっ ? 」 「だからそれはたまごっちの都合だっていってるでしよ」 「是非、見たいものだわね」 ゴ「じゃあ、じーっと見て待ってるよりしようがないわね」 」 , つか : : といって老眼鏡をかけて目を凝らす。虫みたいなゴミみたいな奴はピョコ まっと

2. だからこうなるの

ピョコ絶え間なく動いている。じーっと見つづけるが、何の変化もない。目が疲れて来 たが、視線を逸らした瞬間にウンコが出たら、と思うと瞬きも出来ない。 そのうちコメカミがジンジンして来た。しかしここでやめて、その瞬間に出てしまっ ては口惜しいので我慢する。肩が凝り、目まいがしてきた。もう何も見えない。助けて くれ工、と叫びながら最後の力をふり絞って凝視する。 「なにやってんのよ 。、い加減にしなさいよ。ほっといたらそのうち出るわよ」 と娘はいうが、出たものを見ても面白くないのだ。どんなふうに出てくるかを見たい のだ。 と、突然ひょっこり出た。ウンコが。湯気が立っている巻きウンコが。 「出たア、ヾ ノンザイ ! 」 その声に孫が走ってくる。娘が箒を出して掃除をしようとするのを、孫が自分でやり たがる。「ダメ ! 」と娘は叱って押しのける。私もウンコの掃除をしてみたい。だが娘 と孫が取り合いをしている中へばあさんが割りこむのもどうかと思われる。娘は急いで ウンコを消してしまった。孫は泣く。そして虫みたいなゴミみたいな奴は大口開けて喜 ぶ。その大口の喜びようを見ると何だか可愛らしくなって、思わず私はワハハハと笑っ

3. だからこうなるの

虫 たのであった。 暫くすると孫は貝を拾いに海岸へ行きたいといい出した。行っておいで行っておいで、 と私。夏までに書き上げたい小説の、せめて資料だけでも読んでおきたいのだ。ゴミ虫 がウンコをしたの、お腹を空かしてるのと後ろでワイワイやられては気が散ってしよう 、カ十 / . し 二人は出かけて行き、私はやれやれと資料を読みにかかる。するとピュルルルー どこからか、聞いたことのあるような音が聞えてきた。何だろう ? と考えて、あっと 気がついた。 そうだ、ヤツだ ! ゴミ虫だー 次の間へ行くとテープル上にそやつがのつかっている。手に取って見ると湯気の立っ ている例の巻きウンコが出ているではないか。だがどうやってそれを消せばいいのか、 箒はどうすれば出てくるのか、わからない。だからあの時、母子で取り合いなんかして、 ゴ私を近よらせないものだからこういうことになるのだ。 私はゴミ虫を手にうろうろする。ウンコをほっといたためにへの字口をして死なれて

4. だからこうなるの

65 作りハクション 「ウーンコウンコ ムフ日もウンコが山山亠よしたよオ」 と歌になった。この頃孫は何でも歌にする。 「今日のウンコはどんなでしよう ? ・ 娘も歌で応じる。孫はつづけて歌った。 「モチロン、バナナの形ですウ : : : 」 なるほど。こういうごま化し方もあったのかー 母、私、娘ーーー。三代っづいてごま化し方に苦労している。 「幼児の心理学」とか「四歳児の育て方」というような育児書は沢山あるが、それより 「質問のごま化し方」という本はないものか。私はそれを探している。

5. だからこうなるの

その「お絵かき」をしながら孫はいった。 「お日さまって、なぜ赤い色を塗るの ? 」 「赤いからよ」 と娘。 「なぜ赤いの ? 」 「火の玉だからよ」 「火の玉は赤いの ? 」 「そ , つよ」 「なぜ火の玉は赤いの ? 」 うーん、と私は絶句する。 「火の玉はどうして赤いの ? 」 その時娘はいっこ。 「モモちゃん、あんた、今日はウンコ出たの ? 」 孫は簡単に火の玉を忘れ、

6. だからこうなるの

202 は困る。うろうろと窓の所へ行き、救いを求めるように目の下の海岸を見渡した。遠い 砂浜に孫の赤いバンツと麦藁帽子が見つかった。かがんで何やらしている。その傍にい るおばちゃん風が娘だ。 ノンキに貝なんか拾ってる場合か。窓を叩く。叩いたところでどうにもならぬのだ。 わかってる。だが私は叩く。叩いているとゴミ虫はまたピュルルルーと音を出した。ウ ンコを早く取れと催促しているのか、それともほかの要求なのか、私にはわからない。 もうどうにでもなれ、とあてずつばうにボタンを押した。押しまくった。押しまくっ ているうちにウンコはふと消え、ゴミ虫は大口開けて笑い顔。 仕方なくまたボタンを押しまくる。 やれ嬉しやと思う間もなく、またピュルルルー。 するとゴミ虫は消えて何やら出て来たものがある。だが老眼鏡をかけていてもあまりに 小さくてよく見えない。ルーべ、ルーべ、ルーべはどこだ。さっき使った筈だがてて いるので見つからない。 「落ちついて、落ちついて」 と自分にいう。たかがニセたまごっちのゴミ虫じゃないか。と思いつつなぜか慌てて いる。このゴミ虫がなんだか本当に生きている奴のように思えてきているのだ。ゴミ虫

7. だからこうなるの

798 チェッ , 涙が出てくるよ、星なんか何も見えないじゃないか , ・はくし , ん だがそう いいながらこの私もまた、日本人を呑み込んだ「快適への驀進」に乗っかっ ているこの矛盾。ああこの暮しをいかにせん。 そんな所へ暢気な顔で二階から降りて来たのは娘と孫。孫は「たまごっちのニセモ ノ」なるものを大切そうに手にしている。ホンモノのたまごっちはなかなか手に入らな いが、ニセモノは簡単に買えたのだと娘も満足そうである。たまごっち、たまごっちと 大ブームらしいが、しったいどんなものかさつばり知らなかった。手に取って眺めたが 目の悪い私にはよく見えない。玉子型の懐中時計のようなもので、プラスチックの下に 何やら虫みたいなものがピョコピョコ動いているのが見えるだけである。その虫みたい なゴミみたいなものを大事に育てるのが面白いのだそうだ。 ではどうやって育てるのかというと、 << ボタン、ボタン、 O ボタンがあって、場合 に応じてそれを押し、空腹であればゴハンを食べさせ、退屈していれば遊んでやり、ウ ンコをしていれば掃除をしてやる、というふうに気を配って世話をするのだ。気配りを 怠ると呼び出しサインがピュルルルと鳴る。ウンコの掃除をしないでほうっておくと病