監視 - みる会図書館


検索対象: ルポ老人病棟
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1. ルポ老人病棟

書いたあとで指示を書く。その指示に従って看護婦がカルディオの装置を動かす。使い終わ ってから、何時間監視したか書く。あるいは医師の指示した時間だけ監視する。 婦長はなぜ心電図の張りつけ作業に熱中するのか。 医療行為としてたしかに行った、という証拠をつくっているつもりなのか。カルディオは 一時間に千円の医療費を請求できるのだが、「私たちはインチキ請求はいたしません。これ このとおりに本当に実施いたしました」と言い張る根拠を残しているつもりなのか この病院では、いつも四時間の監視をしていたことにして医療費を請求する。だれの知恵 か知らないが、この「四時間」が実に巧妙、絶妙である。 カルディオの医療費は、一人当たり六時間以上稼働させたとしても六時間分までしか認め られない。本当は命の危ない患者を常時監視しているのが正しい使い方なのだが、一人を継 続的に長く監視しても、医療費は伸びない 。しかし、多数の患者に数時間すっ割り当てれば、 収入は大きい ナースステーションにあるカルディオ・スコープは、同時に二人を監視できる。これを二 十四時間のフル回転で使うと、一日当たり延べ四十八時間分監視したと主張できる。重症部 屋の十一人全員を四時間すっ監視したとしても、四十四時間分だからオッリがくる。万一、 県当局や警察当局から突っ込まれたとしても、全職員 ( 退職者も含めて ) がロ裏を合わせれ ば、主張に破綻は起こらない

2. ルポ老人病棟

大熊しかし、北欧にしてもイギリスにしても、かなりなことをやっています。国民性の 違いとは関係なく、ケアのレベルの違いは謙虚に認めなければいけないと思いますが。外国 と比べておくれているという認識はおありですか 厚相おくれている部分もあるけれども、おくれていない部分もあると思いますね。 大熊いちばん最初の話にもどりますが、私が書いたあの老人病院の現実、あれが神奈川 県の「平均的病院だ」とはっきりいうわけです、県の医療整備課長さんが 厚相平均的であっては困るんですよね。 つばいあ 大熊あれが平均的ということは、この日本には安心して入れない老人病院がい る : 厚相ですから、私どももあのような状況の改善のためには、各都道府県を指導して、も っと積極的に強力に進めていかなければいけないと思っていますね。たとえば、要員の面な んかについては医療法に基づく医療監視の面、それから診療報酬の面のいろいろな指導監視 をもっと徹底していくことは必要です。老人病院においてはとくに重点的にやっていくよう にするべきだと思っているんです。 大熊ただ、私の見るところ、監視しようにもあまりに全体のレベルが低くて、実際には どう監視していいのかわからない、監視の役が果たせない、 という印象ですが 厚相やつばり、それは指導をして、そして改善させていくということだと思いますよね。

3. ルポ老人病棟

せんね ( 機械は一台で同時に二人までしか監視できない ) 。昼間、婦長が一時間ほどの間に 十人分もの監視をしたように格好をつけて、事後承諾でドクターが指示簿にサインしてます ね。 吉田看護婦は勝手にやりません。必ず指示があってからです。 大熊何年か前、埼玉の三郷中央病院でカルディオでの不正請求があって、詐欺罪で院長 が逮捕されてます。こちらのやり方はあの事件に似ているので注目しているのですが。先生 は、正しく使われていると断一言なさいますか 黄ばくは正しいと思います。乱用してないと、全く乱用してないといえます。 大熊十人、十一人と、あの重症部屋のほば全員に使ってますが。 吉田あのお、重症室ですから、これは : : : それでも毎日はできないでいますが、なるた け全員についてみるようにという指一小は出してあります。 大熊婦長が、午後一時から二時までの間に十人分の心電図をとってカルテに張りつけ、 それで一人四時間監視したことにしていませんか。一人一分少々機械を動かして、それで四 時間請求するのはおかしくありませんか。 吉田でも、実際は請求以上のことをやっているんです。 大熊機械を短時間動かしただけで十一人について一人四時間監視しましたというふうに 請求してませんか、とうかがっているのです。

4. ルポ老人病棟

告人に苦情を述べたところ、同年一二月中旬ころ、被告人は事務職員らに対し、「もっと頭 を使え。一人の患者に一分間すっ流し、これを一〇枚に切って台紙にはればよい」「一日分 を一度にとれ」等と言って、一人の患者につき一日一回テレメーター記録をまとめてとり、 これを一〇分割して三〇分おきの時刻を記入して五時間にわたる継続監視を偽装することを 指示し、以後、同人らにおいて非重篤の患者に対し、右まとめどりの方法によりテレメータ ー記録をとり、継続監視の外観を作出するようになり、又昭和五六年三月ころ、被告人は別 の職員にも右と同様のまとめどりの方法を指示し、同人も以後これに従って来たことが認め られ、本件患者らは、いすれも本件で問題となっている昭和五六年三月以降八月までの期間 においては、テレメーターの本来の使用方法である継続的監視が行われていなかったこと、 したがって、テレメーターの使用に基づく診療報酬の請求が可能な「常時監視」が行われて いなかったことが認められる。弁護人は、医師・看護婦あるいは資格を有する臨床検査技師 によるテレメーターの継続的監視が望ましいとしても、これは、非現実的な理想論にすぎな い旨主張し、被告人も右主張に沿う供述をしているのであるが、テレメーターの機能及び使 用目的は前記のとおりであり、その使用に基づく診療報酬を請求できる要件も前記のとおり であって、右機能、目的及び要件に照らすと本件における前認定の如きテレメーターの使用 方法は、到底テレメーターによる診療の名に値しないものというべく、したがって、これに 基づく診療報酬の請求ができないことは明らかであるから、右主張は理由がない

5. ルポ老人病棟

204 しれない この異常事態を前にして、役所はみずから真相究明に乗り出すべきではなかった か。総婦長の言葉を鵜呑みにしたのでは、甘すぎないか〕 大熊あそこは平均的とおっしゃいましたが、それなら、もっと悪いところがいつばいあ るとい , っことですか 所長そんなにいいとはいえませんが、中の下ぐらいと私は思ってます。 次長私もおふくろを入れようと思って、ある病院を見に行きましたが、とてもとても真 愛病院よりもっとひどかった。 ( 神奈川県衛生部医療整備課でⅡ丸山隆生課長のほか譲原成光課長代理と一一人の課員が立ち 会った。課長はほとんど口を開かす、もつばら課長代理が発言した ) 大熊津久井保健所長は、真愛病院は平均的な病院とおっしやってますが。 医療整備課長代理県下二十四の老人病院のうち、平均といえば十二、三位でしようが、 もうちょっと下という感覚ですね。 大熊当方もいちばん下とは思っていませんが、あのような劣悪な看護態勢について皆さ んの監督の権限は及ばないのでしようか。 課長代理ご存じのとおり、あそこには医療監視は及んでないのです。その点は大変気に しています。はっきりいし 、まして、法律ではいまのところタッチできないことになっていま

6. ルポ老人病棟

206 の点はうちも援助していきたいと思っていますよ 赤信号みんなで渡れば・ 大熊医療の内容については。 課長代理こちらは全くタッチできないですわ。職員の員数と設備だけです。肝心のとこ ろは保険のほうでチェックされてます。 大熊保健所とこちらはどんな関係なのですか 課長代理保健所長に医療監視の権限をおろしています。監視は年一回やります。その中 からとくに悪いのをピックアップして、われわれが直接行くというルールでやっています。 あと散発的に、何か情報があれば、保健所と一緒に行く態勢にはなっています。 大熊真愛病院は「よそだってたいしたことしてないのに、なんでうちだけが悪くいわれ るのだ」という論理のようですが 課長代理医療監視でもそうですね。仲間の病院も皆いわれてるんだから安心だなあ、と。 実は、うちが特別に行く病院は、悪い病院なんですけどね。そこではっきりいうんです。 「おたくはワースト何番目です」と。すると、びつくりするんですよ。「そんなに悪いんです か。すぐ直します」って。赤信号みんなで渡れば布くない、あれですよ。

7. ルポ老人病棟

っている。それによって、婦長の作業は午後の非常に限られた時間にとり行われているのが 一目瞭然なのである。 「心電図」と書かれた紙の表には、病室番号と氏名が婦長の手で書き込まれる。その用紙を カルテにはさむ。やがてナースステーションに現れたその日の勤務医が「カルジオ、 4 ( 時間 ) 」と書き込み、ドクター名をサインする。同時に指示簿の【指示事項 ( 処分、処置 ) 】 欄にも「カルジオ監視 4 」と書いてサインする。あとで婦長も指一小を受けた印として指示 簿にサインする。 一分ちょっと機械をいじっただけなのに、である。 「重篤な患者」に 5 秒の検脈 指示簿には、【指示事項】のほかに【医師記録 ( 症状、経過 ) 】という欄がある。心拍や呼 吸を監視しなければならない患者というのは、かなり重症である。容体の観察記録がなけれ ばおかしいたが、ここには . 何の記載もない つまり、容体について観察せすに指示を出し ている。その証拠は明白である。とくに週に一度やってくるアルバイトの医師などは、患者 の顔も病名も知らすにサインする。 これが医療行為の名に値するだろうか 本来は、ます医師が容体を診たうえで、カルディオ監視が必要だと判断する。症状などを

8. ルポ老人病棟

202 所長取り繕った形跡があるというんですね。今年度も十一月に医療監視がありますが、 その前に、ちょっとプライバシーに立ち入りますが、そこまでやらなくてはいけないという 問題も出てくるかもしれませんね。 大熊保イ所にその権限が ? 所長ないですね。ご協力いただけますか、という形ですね。ま、これまでの医療監視が 十分でなかったことは認めざるを得ないですね。 大熊そもそも開院当初から職員は充足してたんでしようか。職員数についての時々刻々 の報告はあるんですか 所長随時の報告はありません。年一回の医療監視のときに報告されるだけです。 大熊丸山院長になんの権限もなくて加藤事務局長が実権を握っている、あの病院の構造 について、どうお考えですか 所長この前ね、お二人を呼んで、院長に権限を与えて、院長の命令で動く事務長と総婦 長 ( ともにいま空席 ) をおいてくれなければ困るよ、とはいっておきましたが、ま、そこま で実行できるかどうかわかりませんけど。 大熊総婦長もいないですね。 所長いませんね。前の総婦長は五年ぐらいいましたかね。なかなか優秀な人で、その人 が来たとき、うちでも調べてもらったら、それまで ( 入院者が ) 月に十五人か二十人近く亡

9. ルポ老人病棟

黄じゃ、ちょっとばく聞いてもいいでしようか。短時間で全員とるのはなんでいけない んですか。つまりね、二十四時間監視しているわけですよ。いつもチェックしてるわけです よ。それで記録するときだけね、いっぺんに全員とってもそれは別に問題ないんじゃないか と思うんです。ちゃんとチェックはしてるんですから。 大熊全員二十四時間監視してない、一人四時間なんて監視してないと看護婦さんたちは 証言していますが 黄あっはつは、私はやっていると思いますから。やってることすら、証拠を残さないと 論請求できないですからね、あくまで形だけですけど、実際にやっていることですから。ばく ら二十四時間チェックしてるんだから不正はしてないですよ。むしろ一人四時間なんて少な 医 めに請求しているんですよ。たしかに、おたくのいったように、こちらのやり方はますいか をもしれないけど、不正は全くしてないですよ 延大熊夜間の抑制 C ヘッドに縛りつけること ) について、院長はどうお考えですか。 て 丸山抑制しませんと他人のべッドに入り込んだり、殴ったり、廊下で寝てみたり、転ん 謫だり、患者さん自身にとってますいということです。それから、そのお注射をしているとき 「にそれを抜いて回るという患者がいたり、それから痴呆に多いんですけど、手が少ないとき 縛 は抜け出たりします。それで ( 家族の ) 許可受けて : : : 。抑制するの私は賛成できないんで すが、現状ではやむを得ないと思います。 0

10. ルポ老人病棟

ろから同年九月五日ころまでの間前後五回にわたり埼玉県社会保険診療報酬支払基金事務所 において、同基金の各担当係員に対し、同年四月分から同年八月分までの、ほか二名の患 者分の診療報酬の請求につき、真実は右各月中に右各患者に対し、心拍監視装置であるテレ メーターによる患者の心拍監視を実施していないにもかかわらず右監視を実施し、その診療 報酬が合計四一一六万円にのばる旨記載した内容虚偽の右各月分の診療報酬明細書を関係書類 とともに一括提出し、そのころ、関係役職員をして、右ほか二名につきいすれも右心拍監 視を実施し、その診療報酬明細書の記載内容も真実であるものと誤信させ、 ( 略 ) 。 右ほか二名にかかる同年四月分から同年八月分までの各月分の心拍監視診療報酬名下に 合計一一六四万九〇〇〇円を、ときわ相互銀行草加支店の右三郷中央病院名義の普通預金口 座に右ほか二名の右各月分の正当な診療報酬とともに振り込ませ、もってそれそれ右金額 相当の財産上不法の利益を得、昭和五六年四月一〇日ころから同年九月一〇日ころまでの間 前後六回にわたり ( 略 ) 。 なお、弁護人は、被告人はテレメーターを三〇分ごとに一回操作して記録をとり、これを 一日一〇回すれば一五〇〇点の診療報酬の請求ができると信じていたのであり、被告人はテ レメーターを操作する事務職員に対し、三〇分ごとに記録をとり、これを一日一〇回行うよ うに指示したのであって、被告人は事務職員らが被告人の指示に従っていたものと信じて診 療報酬を請求したのであるから、被告人には詐欺の故意はなく、病院の事務職員と詐欺の共