律師 - みる会図書館


検索対象: 光善寺の天狗
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1. 光善寺の天狗

少しむつかしいので、現代訳をいたしますと 「中国の漢の時代に玄通律師という僧侶がいました。この方は少しの戒律を 守る僧侶で、決して持戒堅固な方ではありませんでした。 ある時、所用があり遠くへ行った時、宿がなくて破れ寺に泊まったことが あります。その時、隣の部屋に泊まっていた僧侶が『其佛本願カ聞名欲往 生皆悉到彼国自致不退転』という経文を読誦するのを聞きました。玄通 律師は聞き覚えたこの経文を二三遍唱えてみましたが、その後、思い出すこ ともなくすっかり忘れてしまっていました。 それから後に、玄通律師は、少しの戒律とはいえ持すべき戒律を破りまし四 亡くなってから、その罪によって閻魔法王のところに引き出されました。 その時閻魔法王は玄通律師に対して 『汝は、仏教の流布していた国に生まれていたのであるから、生前に学んだ 有難い仏教の教えを説いてみよ』 と高座に登らせました。 玄通律師は、高座に追い上げられ、おろおろと考えるのでありますが、有 難い仏教の教えをまったく思い出せません。 その時、ふと、あの野寺で聞いた経文を思い出し、これを云おうと心に決

2. 光善寺の天狗

解説 「黒谷上人語燈録巻第十一和語第二之一」の「三部経釈第一」 ( 法然上人作 ) の中に 「『其佛本願カ聞名欲往生皆悉到彼国自致不退転』 ( 巻下 ) という文あ り。漢朝に玄通律師というものありき。小戒をたもてるものなり。遠行して 野寺に宿したりけるに、隣房に人ありてこの文を誦す。玄通これをききて一 両遍誦してのち、おもいいだす事もなくてわすれにけり。そののち、この玄 通律師戒をやぶれり。そのつみによて閻魔の庁にいたる時、閻魔法王の給は一 く、なんぢ仏法流布のところにむまれたりき、所学の法あらばすみやかにと くべしとて、高座にのばせ給ひき。その時玄通高座にのばりておもいめぐら すに、すべて心におばゆる事なし。野寺に宿してききし文あり。 これを誦せんとおもひいでて、「其佛本願力」という文を誦したりしかば、 閻魔法王たまのかぶりをかたぶけて、これはこれ西方極楽の弥陀如来の功徳 をとく文なりといひて礼拝し給いき。願力不思議なる事、この文に見えたり。 「真宗聖教全書四拾遺部上五五一一頁」 云云」とあります。