なったら、あなたは間違いのない坐禅をしている証拠です。 しかし、″お母さん、坐禅するようになったらそばへ寄りつきにくくなった〃とか、 ″お母さん、嫌い ! 〃といわれるようになったら、その坐禅は間違っている証拠です」 正しい宗教というのは、このようにきわめて常識的、健康的なものなのです。 まだほかにもたくさんありましようが、最後にもうひとつだけとりあげておきたい ことは、自分の宗教だけをよしとして、ほかを非難する宗教的エゴイズムです。 これは新宗教に限らす世界的宗教といわれる宗教にあっても、もっとも陥りがちな 落とし穴です。自分の信ずる教えに純粋であればあるほど、信する思いがひたむきで あればあるほど、そのほかの教えは間違いということになりかねませんから。 破 どうげ第せんじ を 道元禅師は、 じほうあいぜん あ 「自法愛染の故に、他を毀眥することなかれ」 教 とおっしやられますが、宗教的純粋さと、宗教的寛容とがどこでどう折りあってゆ くか、非常にむずかしい問題です。いずれにしても、宗教は、たった一度の、たった 誤 一つしかない命を託するものなのです。冷厳な目で選んでゆかねば、と思うことです。 第 7 る

第 17 話生も死も、永遠の命の一時の位なのです。 春が巡ってきました》 と締めくくられております。 アメリカの哲学者の語る死生観が仏教の死生観そのものであることに驚くと同時に、 宗教的一一 = ロ葉の匂いを少しも持たせすに一枚の葉っぱの「いのちの旅ーという形に象徴 して、人の命の姿ゃありようをみごとに語っていることに、深い感動を覚えたことで かえ 永遠の命に還っただけです その翌日、つい最近に母を失ったばかりの一人息子の青年が、無量寺を訪ねてきま した。 「母はどこへ行ったんでしよう ? 僕たちは死んだらどうなるんでしよう ? 」 と、青年は真剣なまなざしで、、、 しカけてきました。さっそく、『葉っぱのフレデ イ』のお話を引用しながら、こんなお答えを致しました。 「どこへもゆきません。あなたの目には見えず、手にも触れることができず、声もあ

第 20 話誤った宗教は、あなたを破滅に導く。 しやか とお釈迦さまは説いておられます。 野山を走りまわっていて、ふと転びそうになった時、思わずつかんだ草が茅であっ たら、その手を傷つける。ちょうどそのように間違った信仰、間違った教えについて しまったら、その人生をさらに家庭をも取り返しのつかないところへ追いこんでしま とおっしやるの うから、心して正しい宗教に、正しい教えを説く人に従いなさい この機会にその宗教が本物かインチキかを見分けるものさしを、いくつかあげてみ ましよう。 第 1 に、正しい宗教は科学を超えるもの、あるいは科学を包みこむものであるけれ ど、科学に反するものではありません。ですからあまりに非科学的なことをいう宗教 は、迷信と考えてよいでしよう。 第 2 には、無条件ですべてをいだきとってくださるのがほんとうの神・仏というも のです。お詣りの仕方や、お供えの多少によって、御利益に増減があったり、その宗 教にとって不都合なことをすると「罰があたる」という形でおどしにかかるものは、 ノ 69

たた みずこ インチキ宗教です。したがって先祖が祟っているとか、水子の霊が邪魔しているとか じよれい いって、除霊とか縁切りとかをしきりに持ち出して、むやみに金がかかるのも、眉っ ばものと思ったらよいでしよう。 くうちゅ、つふよう 第 3 には、超能力というような一 = ロ葉が象徴するような、たとえば空中浮揚をして みせるとか、そういうことが出てきたら、これも用心してください。 正しい宗教とは常識的で健康的なもの 第 4 に、教祖とか会長と呼ばれる方が、生き仏、生き神の座に君臨している宗教も 要注意です。目のない信者を酔っぱらわせ、思うようにあやつるには、教祖は雲の上 にいるほうが効果的なのです。 教祖の髪の毛や、入浴した風呂の湯をとんでもない値段で売り、また信者の方も感 激して飲む、そんな馬鹿げた状態は宗教でも信仰でもありません。 お釈迦さまさえ、「私はお前たちの師ではない」とおっしやり、「法を師とせよ」と 示され、「法の前に皆兄弟である」と説いておられます。 くんりん ノ / 0

第 5 に、人間社会という共同体の調和を壊してゆくようなあり方を強制するのは、 やはり本当の宗教ではありません。オウム真理教の地下鉄サリン事件のようなひどい 例は論外ですが、健全な常識ではちょっと考えられないような反社会性、反倫理的行 為があったら、これも要注意です。正しい宗教は倫理を包み、倫理を超えるものであ っても、反倫理ではありません。 信心するあなたが家族から嫌われたら うちゃまこうしようろうし 内山興正老師 ( 故人 ) のところへ、ある日一人のお母さんが訪ねてこられ、自分 の坐禅が間違っていないかどうか心配だといってきたことがあります。老師は次のよ うに答えられました。 「あなたの坐禅のあり方が正しいか正しくないかを証明するいちばんの証明者は、坐 禅のことも宗教のこともなにも知らない、あなたのご主人や子供さんだ。 ご主人や子供さんから、″お母さん、坐禅するようになったらとてもよいお母さん になった。こういうお母さんになれるのならわたしも坐禅しよう〃といわれるように

. むり・よ、つじ 見知らぬ若い女性が、ひとりで無量寺を訪ねてきました。 入るなり玄関の板敷に印刷物を並べ、いま自分の信じている宗教の素晴らしさを熱 心に説きはじめます。 ここが禅宗のお寺で、私がその住職と知りながら、まったく臆する気配はなく、入 信をさそうのです。 1 時間ほどお話を聞いたうえで、なんとかお断りして、ひきあげていただきました。 台所をしながら様子を見ていた弟子の一人が、 冬の章ーー第話 誤った宗教は、 あなたを破滅に導く。 いなじき 766

第 20 話誤った宗教は、あなたを破滅に導く。 茶会に訪れた赤ん坊と

第 20 話誤った宗教は、あなたを破滅に導く。 「″鰯の頭も信心から〃といいますけど、その信仰が正しいか正しくないかは別とし て、信じ込むということはたいした勇気が出るものですね。禅宗のお寺と承知のうえ でいらして先生に向かってあれだけ説けるんですから」 と、感心したほどでした。 おちい この″鰯の頭も信心から〃という一言葉は、信仰の陥りやすい盲目性と同時に、信ず ることによって生み出される力の大きさをも語っています。「病気」は「気を病む」 と書くように心のありようが大きく左右しますから、肉体が病んでいるよりも心が病 んでいる部分のほうが多い病人にとっては、この種の信仰が一時的に病いを克服する 力となることは間違いないでしよう。 しようしん れいてっちえ しかし、正信か迷信かを見分ける冷徹な智慧のないまま、「ワラをもっかむ」思い で、「すすめられるままに」「断れないままに」入ってしまった信仰が、正しい信仰で あへん なかった場合、その宗教は阿片となって人の心身をむしばみつくします。 間違った教えにのめりこんだばかりに、本人の人生を狂わせてしまうばかりではな 、家族や親戚までにも迷惑をおよぼし、言葉を尽くしての説得も「法難」と称して 聞く耳は全く開かれないという例は数知れません。 ほうなん 76 /

冬の章冬。 : 」話 秋の章第ロ話 冬の章第円話 冬の章第話 冬の章第コ話 冬の章節話 冬の章第お話 生も死も、永遠の命の 一時の位なのです。 愛と憎しみは、ひとつの心の裏表。 あなたが変われば世界が変わる。 欠点を長所に、 曲がりを特徴と見てください。 誤った宗教は、 あなたを破滅に導く。 ムたちに潜む 8 つの橋りの心 あなたの行いに " 慢。は隠れていませんか お正月の心は、 闇から光〈の第一歩 0 い 0 い 8 6 ロ 4 4 円 2

しよ、つ れました。 こう ある時、旅から帰られた沢木老師が、安泰寺の留守番役を務めておられる内山興 正老師に、 「安泰寺の門前にも黒板を出して、掲一小伝道の一一 = ロ葉を書いたらどうか」 とおっしやり、たとえば、 「世の中には、なくてはならぬ人、いてもいなくてもどうでもいい人、いないほうが しい人、とあるが、さてあなたは ? というような内容がいいのでは、と付け加えました。内山老師はさっそく掲示板を 用意され、第 1 回分としてこの言葉を出しました。 しかしどうもこれだけでは処世の心得にはなっても、宗教の話にならないと思われ た内山老師は、 2 回目に、 「え ? あなたは世の中になくてはならぬ人ですって ? 『自分はなくてはならぬ 人間だ』という、あなたの思いで、もはやまわりの人から『いないほうがいい人』と 思われていはしないかーーもう一度振り返ってみてください」 と書かれたそうです。 しよせい 2