年表 事 年号一西暦一宗主年齢一 ・実悟、『聖教目録聞書』を著す ( 奥書 ) 。 永正一七一五二〇実如六三 9 六七 8 ・ 3 蓮悟、『蓮如遺徳記』を著す ( 奥書 ) 。 大永四一五二四 五一五二五証如一〇 2 ・ 2 実如示寂 ( 六八 ) 。 一四 7 中旬実悟、信濃浄興寺で存如書写の『安心決定鈔』を相伝 ( 大阪府願得寺蔵奥 享禄二一五二九 書 ) 。 一七 8 ・ 山科本願寺焼失。寺基を大坂石山に移す。 天文元一五一一三 一三〇この頃、証如『御文章』を開版か。 六一五三七 二〇一五五一 ・幻証如、『和讃』の版木を彫らせる ( 私心記 ) 。 ・『正信偈和讃』を再版 ( 私心記 ) 。 証如示寂 ( 三九 ) 。 二三一五五四顕如一二 8 ・ 宗祖三百回忌。 永禄四一五六一 っ . LO 1 人 1 人 顕誓、『今古独語』を著す ( 奥書 ) 。 一〇一五六七 ・顕誓、『光闡百首』を著す ( 奥書 ) 。 一一五六八 顕誓、『反故裏書』を著す ( 奥書 ) 。 実悟、『蓮如上人仰条々連々聞書』を著す ( 大阪府願得寺蔵奥書 ) 。 天正二一五七四 顕如、石山を退去し、紀州鷺森に移る。 八一五八〇三八 4 ・ 9 四一 7 ・ 4 寺基を和泉貝塚へ移す。 四三 8 ・ 寺基を大坂天満に移す。 四九 8 ・ 5 寺基を京都に移す。 一九一五九一 顕如示寂 ( 五〇 ) 。 文禄元一五九一一准如一六 慶長七一六〇二 准如、『浄土文類聚鈔』を刊行 ( 刊記 ) 。 寛永元一六二四 四八 3 ・ 一雄、『真宗正依典籍集』を著す。 項
蓮如上人御一代記聞書本 がんしよう る。 そばされて、願生にくだされけり。 涅槃畢竟の真因さとりに 至るまことのたね。 ( 0 きみよう * みかわきようけん * いせくうけん かけ字居室にかけておく 一、三河の教賢、伊勢の空賢とに対して、仰せに、南無といふは帰命、このこ 軸物。 ほっがんえこう きみよう おん ころは御たすけ候へとたのむなり。この帰命のこころやがて発願回向のこころ 三河の教賢蓮如上人の門 弟。事蹟不詳。 を感ずるなりと仰せられ候ふなり。 伊勢の空賢蓮如上人の門 弟か。履歴不明。 ( 九 ) * じりきしゅうしん * たりきがんぎよう やがてそのまま。 一、「他力の願行をひさしく身にたもちながら、よしなき自力の執心にほださ 自力の執心とらわれの ・も・つ そうろ そうろ るてん れて、むなしく流転しけるなり」 ( 安心決定鈔 ) と候ふを、え存・せず候ふよし申 ほだされて束縛されて。 おお しん そうろ しあげ候ふところに、仰せに、ききわけてえ信ぜぬもののことなりと仰せられえ存せす理解できない。 候ひき。 そうら ( 一 0 ) じようもっしゅじよう みだだいひ 一、「弥陀の大悲、かの常没の衆生のむねのうちにみちみちたる」 ( 安心決定 * ふくでんじもう ぶつ ふしんそうろ 鈔・本意 ) といへること不審に候ふと、福田寺申しあげられ候ふ。仰せに、仏福田寺福田寺 ( 現在の滋 みだしんしんくどく しんれんげ 賀県坂田郡近江町長沢 ) の 心の蓮華はむねにこそひらくべけれ、はらにあるべきや。「弥陀の身心の功徳、 琮俊。 ほうかいしゅじようみ 法界衆生の身のうちこころのそこに入りみつ」 ( 同 ) ともあり。しかればただ か そうら おお おお そうろ み おお * ぞん そうろ おお 六 そうしゅん 一二三四
応永八一四〇一 、Ⅱ・巧如、『教行信証』延書を写す ( 大阪府妙琳坊蔵奥書 ) 。 四〇 2 ・ 一三一四一五 蓮如誕生。 永享一二一四四〇存如四五川・凵 巧如示寂 ( 六五 ) 。 宝徳三一四五一 五六 8 ・存如、加賀木越光徳寺性乗に昨年蓮如書写の『教行信証』を授ける ( 本山蔵 奥書 ) 。 長禄元一四五七蓮如四三 6 ・ 存如示寂 ( 六一 I)O 四六 6 ・ 寛正元一四六〇 蓮如、『正信偈大意』を著す ( 奥書 ) 。 四七 3 ・ 蓮如、初めて『御文章』を書く ( 蓮如上人遺文一 ) 。 蓮如、近江安養寺浄性に『教行信証』延書を写し与える ( 本山蔵奥書 ) 。 宗祖二百回忌。 1 ・ 一四六五 大谷本願寺、比叡山衆徒に破却される。 文明三一四七一 五七 4 上旬蓮如、近江から越前吉崎に赴く。 吉崎御坊建立。 五一四七三 五九 3 ・ー蓮如、『正信偈』『三帖和讃』を刊行 ( 刊記 ) 。 七一四七五 ワ 1 蓮如、越前吉崎を退去。 九一四七七 六一一一Ⅱ初頃蓮如、『御俗姓』を書く ( 奥書 ) 。 六四 一〇一四七八 山科本願寺建立開始。 六六〇蓮如、このころまでに『歎異抄』を写すか。 六八Ⅱ上旬蓮如、『慕帰絵』第一・七巻の欠を補う ( 本山蔵蓮如奥書 ) 。 明応五一四九六実如三九 ・ 8 大坂石山坊舎建立。 八一四九九 四二 3 ・ 5 2 蓮如示寂 ( 八五 ) 。 ・蓮如の子息等『兄弟中申合条々』 ( 蓮如上人御遺言 ) を作る ( 奥書 ) 。 永正一三一五一六 五九 3 ・肥了宗、『歎異抄』を写す ( 岐阜県専精寺本奥書 ) 。 年表 九
四帖・ : 五帖・ : 夏御文章 御俗姓 領解文・ 蓮如上人御一代記聞書二巻・ 本巻 : ・ 末巻・ : 唯信鈔・ 後世物語聞書 一念多念分別事 自力他力事 目次 : ・蓮如上人 : ・ ・・ : 蓮如上人・ : : ・蓮如上人 : ・ : ・聖覚法印 : ・ : 伝隆寛律師・ ・ : 隆寛律師・ : ・ : 隆寛律師 : ・ : ・一三五七 一一 0 七
・もう そうろ し。人々、これは年よりてかやうのことを申され候ふなど申しければ、つひに御坊御建立御坊の建立 は、文明十年 ( 一四七八 ) ごばうごこんりゅう ごはんじようそうろ おお そう、り ふしぎ せんじゅうほう 御坊御建立にて御繁昌候ふ、不思議のことと仰せられ候ひき。また善従は法に始まる。蓮如上人六十四 ねんけしん * せじようひともう おお おうじよう 歳。 然の化身なりと、世上に人申しつると、おなじく仰せられ候ひき。かの往生は 世上世の中。世間 はちがつにじゅうごにち 八月ニ十五日長享二年 八月二十五日にて候ふ。 ( 一四八八 ) 、享年九十歳。 なお、二十五日は法然上人 の命日。 せんせんじゅうしようにん * ひがしやま * おん そう、り ござそうろ 、前々住上人 ( 蓮如 ) 東山を御出で候ひて、いづかたに御座候ふとも人存。せ東山京都東山の大谷本願 ところ せんじゅう たず おんめ 寺。 ず候ひしに、この善従あなたこなた尋ねまうされければ、ある所にて御目にか 御出で候ひて出てゆかれ そうろ * いちだん * ごめいわくてい せんぜんじゅうしようにん まして。寛正六年 ( 一四六 かられ候ふ。一段御迷惑の体にて候ひつるあひだ、前々住上人にもさだめて 五 ) 、延暦寺衆徒が大谷本 せんじゅう おばめ そうら せんじゅうおんめ 善従かなしまれまうすべきと思し召され候へば、善従御目にかかられ、あらあ願寺を破却し、蓮如上人は 大谷より避難された。蓮如 も・つ ことば * ふごう りがたや、はや仏法はひらけまうすべきよと申され候ふ。つひにこの詞符合上人五十一歳。 そうろぜんじゅうふしぎひと れんによしようにんおお しようにん 一段大変に。 候ふ。善従は不思議の人なりと、蓮如上人仰せられ候ひしよし、上人 ( 実如 ) 御迷惑の体おこまりの様 そうら 子。 仰せられ候ひき。 さだめてきっと。 はやいまに。もう。 (IIOI) せんじゅうしようにん せんねん * だいえいさんれんによしようにん * にじゅうごねんさんがつはじ おんゅめ符合びったりあうこと。 一、前住上人 ( 実如 ) 、先年大永三、蓮如上人二十五年の三月始めごろ、御夢 大永三一五二三年。※ ごらんそうろ みどうじようだんみなみかたぜんぜんじゅうしようにんござそうら むらさきおんこそで 御覧候ふ。御堂上壇南の方に前々住上人御座候ひて、紫の御小袖をめされニ十五年二十五回忌。 蓮如上人御一代記聞書末 六七一二九五 おお そうら ひとびと * ぶつばう そうろ とし そうら そうろ そ - つら そ・つら ひとぞん
れんによしようにん 本書は、主として第八代宗主蓮如上人の御一代における法語や訓誡および上人の行動などを収録し、さら じつによ に蓮如・実如両上人に関係する人々の言動も記録されたものである。すべて箇条書きにな 0 ていて、本聖典 には三百十四条を収めているが、その他条数の異なる諸本もあゑこれは本書が、数種の語録からの抜き書 きを集めて構成されていることを示している。なお、編者については諸説があって定かではない。 内容については、真宗の教義、倫理、生活、儀礼などに至るまで、故実や多くの人物の動静によ 0 て、懇 切に興味深く記されている。しかし、全体を通して主題とな「ているのは、信心獲得することがいかに大切 であるかにつきるといってよい 本書は誰にでも分りやすく、簡潔に浄土真宗の肝要を述べることに努められた上人の態度が、もっともよ くあらわれている法語集であり、浄土真宗の信者はこれによ 0 て念仏者としての生活の規範を知り、座右に 置いて反省の資にすることができるであろう。 蓮如上人御一代記聞書解説
蓮如上人御一代記聞書末 ( 三一四 ) くだ ごじたいそうら みようが れんによしようにんけんえんもの 一、蓮如上人、兼縁に物を下され候ふを、冥加なきと御辞退候ひければ、仰せ と そうろ しん しん みようが られ候ふ。つかはされ候ふ物をば、ただ取りて信をよくとれ、信なくは冥加な * きよく ぶつもの きとて仏の物を受けぬゃうなるも、それは曲もなきことなり。われするとおも曲もなきことおもしろく ない。すげないこと。つま みなごゅう ごゅう そうろ ふかとよ、皆御用なり、なにごとか御用にもるることや候ふべきと仰せられ候らない。 うんぬん われするとおもふかとよ ふと云々。 私が与えると思うのか。 れんによしようにんごいちだいきききがきまっ 蓮如上人御一代記聞書末 そうろもの そうろ しつによ 実如 ( 御判 ) おお おお そうろ 一〇六 一三三四
れんによしようにんごいちだいきぎがき ほん 蓮如上人御一代聞書本 蓮如上人御一代記聞書本 * てんのうじっちとうえぜんせんじゅうしようにん ごらんそうら 一、天王寺土塔会、前々住上人 ( 蓮如 ) 御覧候ひて仰せられ候ふ。あれほどの じごく ふびんおばめそうろ おお おほき人ども地獄へおつべしと、不便に思し召し候ふよし仰せられ候ふ。また ごもんとひとぶつ おお おお そのなかに御門徒の人は仏に成るべしと仰せられ候ふ。これまたありがたき仰 せにて候ふ。 そうろ ひと な そうろ おお そうろ そうろ 天王寺土塔会四天王寺南 ごずてんのう 大門の前に牛頭天王をまっ った社があり、毎年四月十 五日にその祭礼が行われ こ 0
わ - ゅ - っ 蓮如上人御一代記聞書末 ( 三五 ) れんによしようにんごびようちゅう * きようもん おお 一、蓮如上人御病中に、慶聞に、なんそ物をよめと仰せられ候ふとき、『御文』慶聞 ( 一四三五ー一五一 もう そうろ さんつうに 〇 ) 龍玄のこと。近江金森 をよみまうすべきかと申され候ふ。さらばよみまうせと仰せられ候ふ。三通二 ( 「かながもり」ともいう。 ど ろっぺん おお しゅしよう 現在の滋賀県守山市金森 度づっ六遍よませられて仰せられ候ふ。わがつくりたるものなれども殊勝なる 町 ) の僧。道西 ( 善従 ) の おお そうろ 甥。幼年から蓮如上人のも よと仰せられ候ふ。 とで教義を学び、蓮如上人 の息男にそれを伝えた。 ( 三六 ) じゅんせいもう うんぬんつね * うしろごと 一、順誓申されしと云々。常にはわがまへにてはいはずして、後言いふとて腹後言かげぐち。 そうろ もう 立することなり。われはさやうには存ぜず候ふ。わがまへにて申しにくくは、 き しんちゅう かげにてなりともわがわろきことを申されよ、聞きて心中をなほすべきよし申 そうろ され候ふ。 ( 三七 ) せんせんじゅうしようにん おばめそうら 前々住上人 ( 蓮如 ) 仰せられ候ふ。仏法のためと思し召し候へば、なにた ごしんろう ごしんろう おばめ おん * こころ る御辛労をも御辛労とは思し召されぬよし仰せられ候ふ。御心まめにてなに ごさたそうろ ごとも御沙汰候ふよしなり。 ( 三 0 あらめなる大まかである せけん みさい 一、法にはあらめなるがわろし。世間には微細なるといへども、仏法には微細こと。粗雑なこと。 おお そうろ そうろ もう ぞん もの ぶつばう おお みさい そうろ おお そうろ そうろ ぶつばう おふみ も - っ ふく 四四 心まめにて心まじめに。 かねがもり
そうろ れんによしようにんおお おも * ふし 一、蓮如上人仰せられ候ふ。仏法はっとめの節はかせもしらでよくすると思ふ おお きょ - つもんば - っ 刀なり、つとめの節わろきよしを仰せられ、慶聞坊をいつもとりつめ仰せられつ れんによしようにんおお そうろ * いっこう ひとちが るよしに候ふ。それにつきて蓮如上人仰せられ候ふ。一向にわろき人は違ひな おお どといふこともなし、ただわろきまでなり、わろしとも仰せごともなきなり。 ほうぎ 法義をもこころにかけ、ちとこころえもあるうへの違ひが、ことのほかの違ひ おお そうろ なりと仰せられ候ふよしに候ふ。 ( 八六 ) れんによしようにんおお もの おお 一、蓮如上人仰せられ候ふ。物をいへいへと仰せられ候ふ。物を申さぬものは おお そうろ * しんふしん おお おそろしきと仰せられ候ふ。信・不信ともこ、 冫ただ物をいへと仰せられ候ふ。 ものもう なお おお しんてい ものも - っ 物を申せば心底もきこえ、また人にも直さるるなり。ただ物を申せと仰せられ そうろ 候ふ。 ( 八七 ) ( 八 0 そうろ かごみず 一、人のこころえのとほり申されけるに、わがこころはただ籠に水を入れ候ふ ぶつばうおざしき ゃうに、仏法の御座敷にてはありがたくもたふとくも存じ候ふが、やがてもとやがてすぐさま。 、も・つ しんちゅう ぜんせんじゅうしようにん の心中になされ候ふと、中され候ふところに、前々住上人 ( 蓮如 ) 仰せられ候 蓮如上人御一代記聞書本 ひと そうろ そうろ ふし そうろ そうろ もう ぶつばう * そうろ ひと もの ちが そうろ ぞんそうろ ものもう おお おお そうろ ちが そうろ っとめ仏事勤行。 節はかせ節の長短高低を しようみよう 示す声明の音譜。 とりつめきびしくせめる こと。 一向にわろき人全く知ら ない人。心得のない人。 信不信信のある者とない 者。 一二五九