もし自動車が彼らのために徐行したような場合には、 なければならない、 とジャックは考えている。 犬は完全に服従しなければならないが、機械のよう必要に応じて主人公を急がせる。たしかな足どりで、 盲導犬は雑踏する歩道の通行人のなかを、ぶつかるこ な働き方をしてはならぬ、とジャックは信している。 ともなく縫って行く。犬たちは、そのにせ盲目のお荷 その英知と創意を生かす自由が犬に与えられなければ ならない、 というのだ。そこで私たちの大は、服従す物を、ガード下の通路をくぐったり、ポストをよけた ることを教えられ、しかも、たとえば無責仟な運転手り、あるいは回転ドアを通ったり、まるでポール・べ が赤信号を無視したり、何か突然の変事が迫ったりしアリングのようになめらかに導いて行く。 極度に良心的なジャックは、大の判断力に完全な信 た場合には、理知的に命令に従わない用意がなければ ならない。ジャックはヨーロツ。 ( での経験で、多くの頼がおけ、卒業資格があることが明確になるまで、数 盲人が見えない危険物のまん前で命令を下した場合、限りないテストを行なった。そしてはじめて、彼は目 その盲導大が身動きすることを拒否したり、盲人を保かくしをはずしてその犬に、お前は「おりこうさん以 完全な娘だ」といってやるのだ。盲人の目に 護するために自分のからだを投げ出して、主人公の足上だ なるという重大責仕を託するに足ると宣告する卒業証 を押しもどして、その命をすくった実例をいくつも知 っていた。 書は、このときはじめて授与されるのだ。 三月にはじまるクラスのために、私たちは五匹の大 最終の試験として、ジャックとウィリイは実際に目 かくしをして、交通の激しいところを犬に先導させた。を準備し、最初の月の「生徒」数の二倍以上を収容す 自分の判断力だけをたよりに、敏感な生徒は、かってる施設を持つようになった。慎重に入校を許された生 の先生を激しい交通のなかへ連れて行く。町角では、徒たちは、はるばるカナダの・ハークレイから来た一婦 合法的な転回をする車をやり過ごすために停止したり、人、テネシー州インディアン・ス。フリングスのマー
西アフリカの狩人 芋が出される。この大量のごちそうがくばられているき、相手はひきさがる。フォンに話したい人は手でメ 間に、フォンは侑長、議員、部落長をそれそれ接見しガフォンを作って話さなければならなかった。 全部のごちそうが運びこまれて、我々の目の前にう た。彼らは一人ずつフォンの前に出て深く頭をさげ三 回手をたたく。するとフォンは王者らしく軽くうなずず高く並べられると、フォンは「静かに」と前おきし て、短い演説をした。その中で彼は、 私がどのような者で、何のためにバ フートにきたかを説明した。彼は最 後に、動物をたくさんとって私の所 へ届けろと言った。群集はシーンと 話を聞いていたが、終わるといっせ ン オいに「アアアー ・ : 」と叫び盛んに フ 拍手をし、フォンは得意気な顔をし し 装て腰をおろした。 歌と踊りと音楽と食事のかぎりな く続くフォンの宴会からやっとのが れて、眠い目をこすりながらトボト ボと石段をの・ほると、上にはカンテ ラを持ったべンが非難するような顔 3 つきで立っていた
ルーファスが私の家へ迷い込んできて以来、またご たが、ラクトーゲン入りのミルクを飲み始めてから、 く短期間しか経っていなかったが、私はいいしれぬ愛ルーファスはメキメキと快方に向かった 情を彼に感じて、彼が死ぬなどということは考えたく なかった。山のように積み重ねた毛布の下に眠ってい る彼のそばに、私が坐っていると、彼は私がそばにい ることをよく知っているといわぬばかりに、時々重い 頭をもたげて、その可憐な小さな眼で私を見るのだっ 第三回目の注射が打たれた後では、私は彼の回復を 祈り続ける以外には施す手段もなかった。 ルーファスは生死の境を一週間にわたってさまよっ ていたが、七日目になって突然、彼は生きていたいと いう意志表示をしたのだ。もう一週間もの昼夜の介抱 の後なので、私は彼と同じくらいフラフラして弱りき っていたが、それでもいろいろしてやらなければなら ないことがたくさんある。彼は今ャセ衰えてはいるが、 それでもどうに力、ノ 、、、レクを飲むだけの元気が出てきた。 私は彼のミルクにラクトーゲンを混ぜて滋養を与える ことにした。これは全く素人の私の考えによる方法た こ 0 かれん
カ ? 」 んです。『まっすぐ四区画行って、右へ曲り、一区画 「盲目の人は、近所の区域のことをよく知っているも半行きなさい』というように教えてくれるでしよう。 のなのです。どこへ行くにも、彼はプロックの数をかその近所へ来たら、またたれかにもっとくわしく聞け ぞえ、途中曲ったところを覚えていて、方向感覚を失ばいいでしよう」 かってシカゴで、このとおりやったときのことを思 わないようにするのです」 「では、全然知らない土地で、しかも道すじを知らな い出した。私たちが歩いて来た区画の数を丹念にかそ えたとは思ったが、どの辺まで来たのか確信がもてな 、ときは ? 」 かった。そこで「民衆ガス・ビルディングはどの辺で 「その場合は、だれでも同じことですーー方角をきく すか」と聞いたら、 「いったいどうしたんです。目が見えないんですか ? まん前じゃありませんか ! 」といわれた。 散私が犬の引き具を取り上げて、その建物に入ろうと 園したとたん、若い男がやって来て、 公 「ごめんください。民衆ガス・ビルはどこでしよう ? 」 と私に聞いた。 と 私はいい気持になりこういってやりたいという気持 をおさえがたかった 「どうしたんですか ? 目がお悪いんですか ? ガス・ 3 ビルのまん前じゃありませんか ! 」
私のルーファス ムは、ホーレスを大分待たせて、散々キュッキュッと 催促させた上で、やっと彼を″洗って″やることにし た。猫はモングースをまるでかわいい子猫のようにす つかりなめて洗ってやるのだった。 ホーレスはもう猫にすっかり慣れきって、今度は猫 の背中に乗っかって家中の見物に出かけることを考え た。最初彼が、猫の背中にとび乗ろうとした時には失 敗して転がり落ちた。二回目には、少し進歩したが、 まだいけない。やっとのことで三回目にとうとううま く乗っかった。そしてまるで小型の騎手のように猫の 」。、、臨を背中を両脚でしめつけて股がり、猫がのそのそ歩くと その体の動揺につれて、左右に揺れながら大得意でい る。猫が疲れて坐ろうとしようものなら、彼は猫の耳 の後にかみついて、もっと歩けとけしかける。もしト ム・サムがすぐにそれに応じない場合には、彼は他の もう一匹の猫の背にとび乗るのだ。このようにして彼 は、一日中二匹の猫の背中へ交代で何回でもとび乗っ て楽しんでいる。 モングースの仮親たちは、既に自分たちの役目を果 冫 85
である。ある小さなカエルは、あざやかな斑点や縞模ツに注意深く包まれたり、細い紐のはしにぶらさげら 様があって、おいしいお菓子のようでさえあった。ヒれたコ・フラ、マン・ ( そしてガポン、マムシ。こんなで たらめな危険な方法で、彼らは運ばれてくるのだった。 キガエルは概してくすんだ色あいだったが、代わりに 面白い形のイボや突起が体の表面に並んでいて、見たもちろん、捕えてきた村人たちは、毒蛇が危険である ことは十分知っていたが、びつくりするほど無雑作に 目にはすばらしい変化に富な彩色となっていた。 これら爬行類の中で、一番ありふれたものはトカゲ獲物をあっかっていた。一般にアフリカの人々は、ど で、どこにでもいた。道ばたの丈高い草の中を、ずんんな〈ビでも、一応は安全をとって有毒とみなす傾向 あし があるのだが、この・ハフートの人たちののん気なあっ ぐりした肢の、淡黄褐色と銀と黒の衣をまとった肥っ かい方を見ていると、そんなことには全くとんちゃく たスキンクが走り回り、家屋の壁や道路、岩の上には 虹色のアガマがのそりのそりと歩いていたり首をふっしていないようたった。その反面、彼らがぜん・せん無 はこう ていた。また樹皮の内側や岩の下には金色の大きな目害な爬行動物をひどくこわがるというのは興味あるこ のヤモリがいて、体にはチョコレート色やクリーム色とたった。 ある日、ビーグルズと狩りに出かけ、村から一キロ のきれいな模様をまぶしていた。夜になると家の中に は桃色真珠のように半透明にぼんやり見えるふつうの離れた幅広い草地の谷に入った。ビーグルズがせわし なく網張りに立ち働いている間、私は一服していた。 人イエ・ヤモリが天井をねり歩いた。 の これらあらゆる種類の動物が、村人たちによって私私の左手にかすかに動く気配があるので、そっと首を のもとへ運ばれてきた。棒の先にあぶなっかしく結び回したとたん、私はその美しい姿に息をのんだ。今ま アつけられて訪れた〈ビ、ヒョウタンの中に一杯につめで、この草地で一番美しいトカゲはアガマだと思いこ こまれて口をばくばくさせているカエル、帽子やシャんでいた私には、目の前にいるトカゲの美しさは想像 3 8
めている。するとそのとたん、血の凍るようなほえ方猫のように見える動物だが、山猫と普通の猫との混血 児にしては耳が長過ぎてとがっている。「猫属にはち で、ものすごい声を立てて、母ライオンが出て来て、 子ライオン三匹を茂みの中へ押しやった。私だちが茂がいないが : : : 」とデニスがいった。それだけで私た みの中をのそいて見ると、そこにはギセイになった哀ちは話をやめた。 れな動物の残骸が横たわっていた。私たちは彼らの食私たちはこの小さな動物を、大きなティ・カップに 事の邪魔にならないように、あわてて引き返した。 入れてみた。そしてアフリカ人の話すことに耳を傾け た。この動物は、茂みへ空中から何回となく急降下を 私の毎日の日課は、家事一切に加えて、子サイ一頭、 モングース三匹に、四時間ごとに、エサを与えなけれ繰り返すタカの姿に引きつけられて、茂みへはい出し ばならず、全く目が回るほど忙しかった。私は最初は、て行ったものらしい。このアフリカ人が近づいた時、 冫しノ、刀ロ刀 一匹か二匹の動物を飼うつもりでいたが、私の小動物タカは飛び去った。彼はし に母親らしい動物の姿も見えないし、タカにさらわれ 園がこんなに急速に膨張するとは夢にも思っていなか った。デニスと二人で前庭でお茶を飲んでいると、例てはかわいそうだと思って、拾って帰って来たのだっ のとおりルーファスがテー・フルをガタガタゆるがせて、た。きっと私たちがいろいろの動物を家で飼っている 私の近くにすり寄って来る。何事にも必ず仲間入りせことを聞き知って、適当な所だと思って持って来たも ずにはおかない大のジプシイと猫もいる。この時何かのらしい。先ごろまでモングースの棲家だった紙箱が 黒い物を持ったアフリカ人が向こうからやって来るの再び役に立った。そして小滴ビンにミルクを入れて飲 が目にはいった。「おやおや。またペットがふえるのませると、たちまち大喜びですぐに飲みほした。しか か」とデニスが大きくつぶやいた。私は何だろうと目も飲みほした後で、彼はまだ飲み足りないといったふ うに、あたりを見回すのだ。私たちは、彼が生後やっ をこらした。アフリカ人の持って来たものは、黒い すみか 180
たてて誘惑これ努めたが、見向きもされなかった。あ る日、園長は最後の頼みの綱にと、生まれたばかりの 白ネズミを入れてみた。とたんにケガエルは、これは 大好物ですとばかりペロリと呑みこんでしまった。以 来、彼らはイナゴなどの普通のカエルの餌はとらず、 ひたすらネズミの仔だけを食べていた。 乾草祭でフォンのうった演説は、驚くほどの効果を 野生の状態で、ネズミの赤ん坊だけを食べるなんてあらわした。翌日の午後、二時間ほど横になり、 ありえないことであるから、そのネズミの仔は、彼ららかでもフォンの宴会とカエル狩りの疲労をいやそう がとっていたいつもの餌によくにたものであったにすとした。目の覚めた時、お茶でも飲めば気分もよくな ぎないと思われる。もっとも、その餌が何であるかはろうと、ペランダから台所にお茶を言いつけるために 神秘のべールに包まれたままである。 ドアを開いた時、私は夢を見ているのではないかと、 足を釘づけにされた。べランダいつばい、袋やシュロ の葉の籠やヒョウタンが所せまいまでに置かれ、それ らすべてが揺れたりかすかにふるえたりしているのだ。 また、四、五本の竿が壁に立てかけてあり、その端に はヘビがくくりつけられ、どれもが怒って身をもがい ていた。べランダはさながら原地人の市場だった。階 段の上にジャコプがすわっていた。彼は私を認めると、 とがめるように目を光らせた。 七ヘビとシリング 6 6
いったん家から出るとすぐに彼女は先に立って走り うに飲んだが、不思議にも空腹ではなかった。べラン ダで、彼女は少しも落ち着かずそわそわして、耳を立出した。そして時々後戻りしては、私がついて来るか てて、ある方面からの物音を聞きもらさないようにしどうかをたしかめる。私が一、二回フィリックスとい ている上、鼻を同じ方角に向けている。私は彼女を外う名を呼んでみると、彼女は狂喜したようにいよいよ 元気を出して走り続ける。彼女について行くのはだん へ連れ出していっしょに歩いて行けば、きっとフィ だん困難になってきた。ほとんど道らしいもののない リックスの所へ連れて行くに違いないと思った。果た 所を私が無我夢中でついて行くと、途中で、引き抜い して私のこの想像は見事に適中した。 て間もない鶏の羽根が散らばっているのを見かけた。 ジ。フシイは走るのを止めて歩き出した。彼女のしつ。ほ はびんとまっすぐに立っている。彼女がこのように特 別の歩き方をする時には、何か特殊のものに出会う知 著らせであることが私にはよくわかっていた。 ス私も速度をゆるめた。私は既に丘の半ばを上って米 たことに気がついて驚いた。ジプシイが立ち止まって イしきりに尾を振っている。私には彼女のこの喜びの対 象物が何であるか見えなかった。太陽が既に高く昇っ て、白熱の啗のように、純白のヒルガオの花に照りつ けているため、その反射で私の目がくらんだ。漸く目 が慣れて、周囲の物の姿がはっきりしてきた時、私は 22
西アフリカの狩人 岩から岩へ軽々と跳ぶイワダメキ た ー 1 ノ、 つ の イ可 いす の最 う -- 1 ーー 1 。みけ上 が彼 な 我 て あ ダ さ 中 初 で る かた る ン顔らあ私 て で 。中 にす 彦頁々 い 0 よ 力、 か向 、は 、も ん散 は つ ナ を は ら 運 つ ら 、し現あ 双お で開苦 き 谷 ど人 の て い眼そ あ か 」也 労 く 石 う 間 し でを い つ り 変 つ鏡ら を ) ロ ノ、 す し : 先 の る だ かな た よ い く ぼ所 つ 頭でをを し 、我 て 頭 を る り の ら ん おそ漂る 探 々 ん 早は ど つを ロ だ を け 力、 冫こ . の石金と か早 う だ いと ろ り 立 ナこ っ し の と は の し 。か 、抜 て き の ごん にや カ ; ほ ヵ、 に 山 ジそ はけ で も っ て のし オこ シ ま し、 に頂 : 0 す賢き 見 ビ ぶ ャ き ぇ し、 ヤ つ が 車をに 捕 ます コ 歩回 い答を コ ナこ グ っ 々 プす ぇ ん 々 の ブ ん て、 し、 すた る と こで て 手は し ル だ た る を 0 ズら跳 り 0 す 。あ 低何 上 ん 目リ 網 び げ た面割 だ に し っ いか の 、距 。たく 。白れ漂下を て て 入 で ヒ離 ば い 私 彳皮 汐と い 目 石 は ロ た カ ; む ノレ の ガ見 が 呼下 と あ し 網 り たに 山 の 。消 オ当 ば に密た び に れ を で ば着生 の を よ 張 ぇ 力、 ぇ 0 4 /