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検索対象: 現代世界ノンフィクション全集11
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1. 現代世界ノンフィクション全集11

いくつかの頭が見えて、生き残りの者が波間に漂う破 送していたが、たちまち水でいつばいになり、マック ロスキーはたしかにもう沈むものと思った。ただひと片にかじりついた。第二の爆発が、ほとんどっづいて っ希望が残っていた。積み荷を海に投じて軽くするこ起こった。ュタ海岸に向けられた水陸両用戦車三十二 とた。部下に命令を下して、食糧、予備衣服、および輛のうちの四輛を水中に下ろそうとしていた一隻の平 梱包品など不要なものはみな投棄させた。梱包品のひ底揚陸船の乗組員が、機雷の上に船首の右とびらをお としたのだ。そばの戦車揚陸艇のオリス・ジョンソン とつにはチャック・ヴェラ二等兵がさいころで稼いだ ドレよ、っていた。別のひとつにはチャール 軍曹は、その舟艇の前部が飛びはね、一台の戦車が 千二百ノ力をし ズ・フレデリック曹長の総入歯がはいっていた。 「三十メートル以上も高く空中に舞い上がって、ゆっ くりと水におちて姿を消す」のを見たが、恐ろしい光 こうして、ユタ海岸でもオマハ海岸の地域でも、沈 没が起こった。オマ ( の沖では十隻、 = タの沖で七隻景であった。多くの戦死者のうちに、彼の仲間のド が沈んだ。ある兵士は、すぐそばについていた救命艇ン・ニールがいたことを後になって知ることになるは に救いあげられた。また別の兵士は、だれにもその叫ずであった。 び声や助けを呼ぶ声が聞こえず、救助されるまで何時 ュタ海岸への途上で、何人かの兵士は死体を見、溺 間も泳がなければならなかった。装備や弾薬の重みでれる兵士の救いを求める声や叫び声をきいた。沿岸警 フランスの海岸を目前にしながら、一発の弾も打っこ備隊のフランシス・・ライリー中尉は、まるできの うのことのように、そのときの情景を記憶している。 作となく溺れてしまったものもいた。 この二十四歳の士官は一隻の・・— ( 歩兵用上陸 大一瞬のうちに、戦争は他人事ではなくなった。ュタ 上海岸に向かって進んでいた部隊は、舟艇縦隊の指揮艇用舟艇 ) を指揮していたが、水からひきあげてくれと〃 たのむ負傷兵の、不安と哀願の叫び声ばかりが耳には が急にもちあがって爆発するのを見た。数秒のうちに、

2. 現代世界ノンフィクション全集11

オマハ海岸の沖合い六・四キロにいるアメリカ駆逐 ひじように手薄で機動力の低い師団だと信じていた。 だが、イギリス出発のさいに得た連合軍の秘密情報部艦カーミック号の上で、ロ・ハ ート・ O ・ビーア中佐は の情報によれば、増援一個師団が上陸地域に新たに配インターフォンのボタンを押して叫んだ。 「全員に告ぐ。これから今まで見たことのないような 備されたところだ、ということであった。この情報の 到着がいちじるしく遅れ、すでに「通信禁止」となっ パーティが始まるのだ ! 今こそ、出ておどれ ! た麾下各部隊に通告できなかったのだ。第一および第五時五十分であった。英戦艦群は、二十分以上前か 二九師団の兵士は、それゆえ、十分に訓練をうけた恐ら砲門を開いていた。アメリカ軍地域の砲撃が、その るべき第三五二師団が彼らをまちかまえているとはっとき始まった。海岸はまるで火山に変わったようだっ ゅ知らず、オマ ( 海岸に向かって進んでいた。上陸をた。ノルマンディの沿岸全域にそう目標に向かって組 容易にするはずの艦砲射撃が始まったところだった。織的な砲撃が始まったとき、戦闘の轟音が鈍くなりひ この艦砲射撃が役にたってくれれば、というのが・フびいた。灰色の空が明るくなり、大きな煙の雲が地上 に渦を巻いて立ち昇った。 ラッドレー中将の願いであったのだ。 スウォ 1 ド、ジュノ、ゴ】ルド海岸の沖で、ウォー そこから数キロのところでは、フランス軽巡洋艦モ の二戦艦は、ル・アーヴルと ンカルム号の甲板上で、ジオジアール少将が士官や水スパイトおよびラミリー 兵たちに話しかけていた。彼は感動に乱れた声でいっォルヌ河口の強力な砲台に、何トンもの鋼鉄を浴びせ こ 0 かけた。巡洋艦や駆逐艦は、砲弾の雨を地下堡、掩蔽 「われわれの祖国に砲火を浴びせねばならぬとは、恐壕や角面堡に浴びせた。驚くほどの正確さで、ラ。フラ ろしくも非道なことだ。だが、私は諸君に、きようは タ河口の戦闘 ( 02 驫翳齶・ ) 以来有名にな。た英 巡洋艦アジャックス号の砲手は、十一キロの距離から、 それを行なうことを要求する」