部隊 - みる会図書館


検索対象: 現代世界ノンフィクション全集13
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1. 現代世界ノンフィクション全集13

のはまっぴらた。すぐに列を解いて、ほんとの子供らの他に空挺一個連隊、三十六歩兵師団の一個大隊、英 国奇襲兵部隊が少し、英国軽戦車の作業隊、砲数門と しく遊。はせなければ、昼食はやらないといえ。 長いこと論しあったあげく、尼院長はこっそりと教迫撃砲二個中隊、それに碇泊中の英駟逐艦一隻が私の 会を出て行き、やがて子供たちはたちまち野性のイン指揮ドにある。 どうしても射たれたいというのなら、キウンツィ峠 かくして新し ディアンのようにふるまいはじめた がいちばんいい。少しぶらついてみたまえ、わしの運 い民主主義が生まれたのだ。 とりで そのうちに軍医の表情はやわらぎ、徴笑を浮かべて転手にシャスター堡まで連れて行かせよう」 山腹を巻いている狭い道路の両側はぶどう畑で、熟 いたが、ふたたび真剣な顔つきにかえると、つと立ち した青いぶどうがあたたかく、そして美しく見えた。 上がって室へ急いだ 遊撃隊司令部では、ダービー中佐と小人数の幕僚が私は運転手にちょっと停まらないか、と言ってみたが、 朝食をとっているところだった。みんな幾日間もひげ彼は速力を落とすどころか逆にアクセルをつよく踏み、 をそらず、寝てもいない。中佐は三本の電話へ同時にそしてできたばかりの砲弾冂や、両側の溝にびったり とはりついている・を指さしていった。 話そうとしていた。 「カメラマン、 「この血だらけの道で止まったら大変だ」 をか用かね ? 一発、うなったかと思うと、後方わずか百ャードで 私が戦争に追いっきたくてとんで来たことを告げる け 炸裂した。仰せのとおりだった。 ズと、「むつかしいことじゃない」と中佐は答えた。 どうせあんなぶどうは酸つばかったにちがいない。 と「私のところには、軍隊も武器も資材もたくさんない っ ( しかかえこんでいるから、少し君 が、戦争ならいつ。よ、 ち シャスター堡は、峠の頂上で道が急カープする陰に に分けてやろう。戦線は湾ロの左側丘陵全部。遊撃兵 7

2. 現代世界ノンフィクション全集13

るまで戦うほどの抗戦は示さなかった 、わば、彼チャ 1 リし かいうには、「いい年をしてインディア らに突進した最初のアメリカの兵士がひとり危険にさンごっこでもあるまいぜ」と。一方アーニ 1 は「おれ らされた程度のものであった。かくて敵は手をあげるも年が年だし、インディアンごっこはちょっとおっか と″同志 ! ″と叫んで、煙草をねだった。わが師団は ないよ」そこで私は「おれはこの遊びには若すぎるし、 トーチカからトーチカへ攻略した。私は元気をとりもそれに、雨が降ってるんじや写真をとるわけこよ、 どして、戦火の間近に接近し、たくさんの写真を撮っ ないからね」と。 シェールプール一番乗りの新聞記者になることはど シェール・フール市の最後の攻撃の朝、私は四十七連うでもよかったけど、どうしても食料倉庫へは行きた 隊中の一部隊に参加した。い っしょだった仲間はアー くて、私たちは部隊のすぐ後を離れす前進した。 ・パイルと、タイム・ライフの欧州総局長で私の最初についた目標は、シェールプール陸軍病院だっ 尊敬すべきポス、チャールス・ワーテンべーカーだっ た。八十二落下傘師団の負傷して、捕虜となっていた た。われわれの見とおしでは、四十七連隊が市街の中二百五十人あまりの友軍兵士が解放された。 心地に一番乗りのチャンスに恵まれそうだった。われ地下室にはかなりな量の極上のフランスぶどう酒があ った。アーニーはさっそく捕虜だった兵士のところへ われはいやというほど銃火を浴びたが、それでもじっ けと待っておれないほど酒に飢えていた。最初の通りに行き、チャールスはドイツの軍医とインターヴューを ズ突入したころは、どしゃぶりの雨だった。ドイツ兵は、し、私はまっすぐ地下室へ突進した。残念ながら私は 窓からわれわれを狙撃した。われわれは壁にびったりおくれをとったが、四十七連隊の兵隊たちは、貴重な っ よへばりついて、戸口から戸口へと身をかくして飛び進酒瓶を手に持てるだけ持ったうえに、上着のポケット んだ。 からもはみ出させていた。私は兵隊をつかまえて、一 こ 0

3. 現代世界ノンフィクション全集13

人のアメリカ人たちに入国査証を送ることを忘れない えてくれるものもいなかった。 ように、また、残りの O 携帯食を集めることをたのん 私は、侵攻用船艦がどんなに長いこと、しかも酒な だ。それはまったく奇怪な光景であった。兵隊たちは しでーーー・待たされることがあるのか知っていた。そこ 埠頭に腰をおろし、靴を磨かせながら、左手に携帯食 で私はダ , ービー中佐の本部へスペインの・フランディ一 右手にそれそれ恋人の腕をだいていた。 箱を持って到着した。中佐は写真家をきらいなほうらの箱を、 正午、全員乗船して錨を上げた。ダービーは私を作 しかったが、私のことはそれほど、気にもとめていな いようであった。彼は、まあブランディが都合よく身戦室に呼んで、上陸目的地はナポリからわずか五十マ イルのアンチオ海岸で、到着予定は夜の十二時である 近なところにやってきたくらいに思っていたのだろう。 ことを告げた。私は完全にヘマをやったのだ。私はも 奇襲上陸部隊は、ナポリのちょっと北のほうの小さ な波止場で三週間をついやし、侵攻を待 0 て準備してっと長い船旅を予想したし、ブランディのケ , ースは闇 いた。部隊の大部のものは、わが軍の携帯食に飢えて市場で百五十ドルもしたのである。われわれにはたっ た十二時間でこのブランディのケースを片づけること いるイタリアの女の襲撃に対抗することはでぎなかっ た。それは親和の偉大なる時期であった。そして中佐はできない。かといって、。フランディの箱を頭にのせ、 首まで水につかって敵前上陸することも想像できなか 恋愛のできる男は、 は、それに反対しなかった。 っこ 0 と 0 けよく戦える男だ ビル・ラングと私は自分たちの部屋へ帰って、ポー ズ敵のスパイやおしゃべりの女たちをごまかすために、 兵隊たちは帰還の準備中だとの噂を広げるよう命令さイに栓抜きを頼んだ。人なっこいロンドンっ子のポー れていた。そこでわれわれが乗船する朝は、数百人のイは、われわれのブランディを見やった。それから彼 イタリア人がさよならをいいにやって来て、彼らの恋は、この船は英国海軍の船で、英国海軍は酒に不自由 9 8

4. 現代世界ノンフィクション全集13

・フに電報するように頼んだ。それからの三十日間を、 間にわたるべテンの後で、わが将軍連はやっと、兵隊 私は雪との戦いに過ごし、フランスのスキ】術なるもたちもドイツのスパイも十分倦み果てたものと断定し のを覚えた。そして、毎夜、私は熱湯を瓶につめた湯た。あげくの果ては、われわれが出発した地点からわ タンポを抱いてよく眠った。 ずか六十マイルのところにある飛行場のそばの、柵を めぐらされたキャン。フに送り込まれた。 エルマーからの電報が届いたのは春であった。スキ このキャン。フでは、相変わらず、侵攻前の銃と覚悟 1 ャーにとっても山を下りるときだった。私は日焼けを磨き上げるために、たっぷりと日を過ごさせられた。 して健康で、山にとどまってもよかったのだが、。ハ 降下の前日、われわれは次の指令を受けた。「英国の へ帰ってきた。ビンキイからは何の便りもきていなか落下傘部隊とともに、ライン川の対岸、ドイツの主要 った。ガストンはすすめた。「旦那は戦線へもどりな防御線の真ん中に降下すべし」と。 フンヌ さいよと 0 バ ーテンというものはまったく何でも知昔、匈奴やギリシア人は、彼らの戦いの前に、白馬 いけにえ っているものた。 やその他貴い動物を犠牲に供する習いであった。その しゅうえん 戦争終焉の発端となった大空挺部隊のドイツ侵攻は、日の午後、米軍空挺隊隊員は、彼らの頭髪の大部分を しろもの 儀牲にするつもりなのか、アメリカ・インディアン風 フランスの貨車ーーそれは第一次大戦以来の代物で、 け″兵四十人および馬八頭″と書かれた、あの有名な標にそり落としはじめた。彼らの多くは、髪を伸ばした ズ示のある貨車、から始まった。米軍の第十七空挺師団まま死ぬよりも、翌晩ぐらいまで頭髪なしでも生き伸 とは長い列車に詰め込まれて、四十八時間というものフびたほうがましだ、という次第であった。私は頭髪の っ よランス内をあちらこちらと揺られどおしだった。これほうはそのままにしていたが、ひじように酒がほしか は敵のス。 ( イの目をくらますためであった。この二日 った。落下傘降下は二日酔いにはいちばん効果的な療 びん

5. 現代世界ノンフィクション全集13

! 」 0 中に設けられ、この神聖な場所へ入れてもらうために はしけ 黒焦げになって沈みかけたたくさんの船や艀、ヨー は、ありとあらゆる証明書を提示しなければならなか ロッパ本土にはじめて立つアメリカ墓地、白い十字架った。全部の新聞記者がここに集まり、みんなはすで の群れ、そこにひるがえる星条旗、すべてはサレルノ にセンセーショナルな記事の二つや三つはすでに書き の戦いがどんなだったかを物語っている。 送っていた。 ″あひる″と呼ばれているランチに連ばれて、私は五私たちは戦況図を見て、最前線は海岸からわずか四 年ぶりにヨーロ。 ノバの土を踏んだ。ここには第五軍のないし六マイルの地点にあり、連合軍の最突出部でも いろいろなお土産が見られた。大きな標識によって海ナポリへは、まだ二十マイルもあることを知った。湾 岸が赤、緑、黄の揚陸場に区分され、新しくできた道ロの左側一帯、司令部からっとも遠く、ナポリへい 路はメイン・ストリート、 プロ 1 ードウェイ、四十二番ちばん近い区域は青く塗られて、遊撃部隊、奇襲部隊、 街と名づけられ、交叉点ではがしみ一つない白手空挺隊と記入してある。 袋で交通整理をしているーーーどの町角にも特別大きな 上陸戦に参加できなかったので、私は最前線にでて、 看板があって、第五軍の″十戒〃が記されていた。 ナポリ一番乗りのチャンスをつかみたかった。そこで、 鉄帽ヲ着用セザル兵 ( 処罰セラルペシ。 遊撃兵部隊司令部があるマイオリ目ざして出発した。 け将校ニ対スル敬礼ヲ厳守スペシ。 遊撃兵部隊は、優秀な歩兵連隊にまさるというわけ ン ジープ ( 正規の乗用証ヲ所持スル者以外使用スペ力ではなかったが、猛訓練と歴戦の経験で鍛え上げられ ラズ た連中が多かった。彼らは気違いのようにしゃべり、 っ 人殺しのように戦い、ときには英雄のように号泣した ~ ち 野戦報道班の本部は約一マイル奥へはいった工場のりする。部隊指揮官ダービー中佐ときたら、これらの みやげ

6. 現代世界ノンフィクション全集13

戦争はまだ終わ 0 ていなか 0 たが、住民との親交がやたらにその残虐な写真を撮「ていたが、そのあげく、 この恐怖の全体的効果を減殺するだけであった。人々 結ばれはじめた。ドイツ娘とけっして親密にならない はいましばらくのあいだは、これらの収容所でこの哀 唯一の例外は、ビツへンヴァルトやベルゼンや、ダ シャウの捕虜収容所から解放された人間たちたけであれな餓鬼のような人々に対して何事がおこなわれたか った。戦争はもはや秩序を失って、竜頭蛇尾に消えてを知るであろうが、あすともなればだれが将来のこと いくようだった。兵隊たちは彼らの最後の弾を発射しを心配するであろうか。 不愛想で陰欝か、あるいはにわかづくりの友好か、 ているときにも、頭のなかでは帰国の荷物を作ること そのどちらかのドイツ人たちも、私のカメラにとって をすでに思っていた。 ライン川からオーデル川まで、私は一枚の写真もとは興味がなかった。私は東から進んで来る最初のロシ らなかった。捕虜収容所には多くの写真家が群がって、ア兵にめぐりあえれば、それで私の戦争も終わりにし こ、つこ 0 ノ、刀ュ / ロシア人はベルリンで戦い、その一部はオーデルⅡ に達した。そのときアメリカ人はライ。フチッヒとよば 〕者れる廃墟の門にたどりついた。この町はヒトラーの突 苳死 , 戦撃隊の精鋭な連中で防御されていた。しかし、ほかの 後場合と同じく、ひとたび相当数のアメリカ人を殺し、 同様に相当数の味方を殺すと、「同志 ! 、と叫んだ。 私は第五歩兵師団の一部隊にいた。われわれは町の 中心に通する橋のところへ到着した。最初の中隊はす いんうつ 139

7. 現代世界ノンフィクション全集13

「この周囲一一十キロには猫の子一匹いない。もし昨夜、 ちの組織的な拉致によって中断されるからだ。 フィデルは拉致されるにまかせ、車の方に誘導され襲撃されたら、どうにもならなかっただろう」 虎口を脱した喜びに勝ちほこっ て行った。この前進部隊はフィデル用、参謀本部用、と、ダニエルは、、、 たようにロ笛を吹いた。 国内新聞記者用およびアメリカ新聞記者用のデラック この前進部隊は数メートルの間隔をおいてフルス。ヒ ス車、約四十輛から成っていて、フィデルの車は前か ートで突っ走るかと思うと、物すごい・フレーキの音を ら二輛目であった。目がまわるような速度でぶっとば すこの部隊の後部に、約百名のヒゲ武者たちの分乗し立てて急停車し、そのために、さすがアメリカ製サス ペンション ( 車台受け緩衝装置 ) つき自動車がぐらぐ たジー。フが密着していた。 私たちのクライスラ 1 ・イムペリアルは、この行列ら揺れるほどであった。こんな気狂い部隊に、つき合 うためには一流中の一流の運転技術を必要とした。 の四番目に配置された。フィデル・カストロの車のう しろの、うしろである。旅程は目的地に達するまで厳窓から身を乗りだして見ると、四十人の連転手が、 重に秘密にされていた。知っているのは先頭の車だけおなじように左手を外に突きだしていて、まるで後続 であった。だまって従うほかはない。まさにスリル満の運転手のハッスルをなためるかのような仕草で、指 を振っていた。 点。さあ出発た : ・ 私たちはつい昨夜通ってきた難所の多い悪路を今度道路に沿って、熊手によりかかった農夫の群が「解 は完全武装した軍隊に守られて逆の方向に進みだした。放者」を迎えて整列していた。彼らはフィデルが近づ 私は胸いつばいに息を吸いこんだ。そして昨夜の強行 いていることをー・・・・・・今朝がた一台のヘリコプターがこ 軍が思った以上に危険なものであったことをあらための辺一帯を飛んで、疑わしい地点を偵察して行ったか て確認した。 らーーー知っていたのである。何もかも異常は無かった。 352

8. 現代世界ノンフィクション全集13

イスキ 1 ーを一口飲んだ。わが軍はライン川のドイツ側の発信ともなっていた。 8 に確固たる拠点を構えた。わが連隊は、破損したグラ 朝になってやっと、私はライン河岸に到着した。川お イダーから砲を取りだし、占領、保持すべき道路に到を横切って二つの舟艇の架橋が作られ、数千の砲や兵 達した。 隊がその上を渡っていた。みんなは、降下部隊はどう わが軍は多数の兵を失ったが、サレルノやアンチオ、だったかと聞いた。私の話はかなり大げさな調子を帯 彼らはそれにはこだわらなかった。 ノル . マンディにくらべると、戦闘は易々たるものであびていたが、 / 、よ、こ飛行場を見つけだすや、スコット少佐の消息を何か った。それらの戦闘に生きながらえたドイツ兵。 カカし」 さつりく こでもわれわれを殺戮した。しかし、やがてドイツ兵知っていないかと、私は質問した。彼は、踵をくじい たちは撃ちのめされた。午後、われわれは、他の連隊て連れてこられた、と航空将校が教えてくれた。そし との連絡を確保した、私はカメラをしまった。たつぶて、三十分前にロンドンへ引き上げていった、と。 ライン川からオーデル川への射撃戦は、まもなく略 り写真を撮り終えたので、クリスを探しにでかけた。 夕方になって、私はライン川のほうへ歩いていった。奪戦に変わっていった。・—は進撃を続けた。敵の しかしわれわれは、ライン川を舟艇で渡河した軍隊と抵抗はだんだん少なくなり、味方はだんだんとドイツ フイライン のカメラや、リューガ・。ヒストルや、ドイツ娘を見つ は、まだ遮断されていた。私は、大きな絹のパラシュ 1 トを見つけたので、その中にくるまって眠った。絹けだしていった。ドイツの中心地域に前進するにつれ、 わが軍は、ドイツ人がひじように清潔な国民だという は暖かで、私の夢はカタカタと音を立てる電信のテ 1 プのように廻転した。「帰ってスキーにいけ、 : : : 帰ことを発見した。そして、家屋や農場が、過去の数々 ってスキーにいけ」と夢はくり返した。それは、あるの戦線で見たうちではいちばん自分たちの故郷に残し ときは。ヒンキイの発信だったり、あるときはライフ誌てきたものに似ているということ発見した。

9. 現代世界ノンフィクション全集13

となって、毛布の上に数千ドルの金をはっていた。 る作戦をながめていたのだ。わがアメリカ汽船チェイ 4 手紙書きのほうは、物陰に身をひそめて、彼らが愛ス号は上陸舟艇の母船であり、フランス海岸十マイル 2 用していた猟銃を小さな弟たちへのこすことや、貯わの沖合であまたのポートを海上に放っ役割であった。 えの現なまを家族へ送る便りに美文をふるっていた。 私はそれでどのポートに乗り込むべきか、海岸ではわ 作戦好きは、船底の遊戯場に腹ばいになって、フラが身を守るゴムの樹木をどれにするか決めねばならな ンス海岸のいろんな家や樹木の模型がのつかっているかった。それはレース十分前、竸馬の品定めをしてる ゴムのカーベットをとり囲み、小隊の指揮者たちは、 ような気持ちだった。馬券は五分以内に買わねばなら それそれの前進路をゴムの村落の中に選び、ゴムの林ぬ。 やゴムの溝の中にどうして隠れるかを研究していた。 いつぼうでは、隊の行動目的がよさそうで、彼ら なお、小さないろんな船種の模型もあったし、壁に につけばちょっとしたいい籖運にありつけそうに思え はそれそれの海岸に区分された戦闘地区の呼び名が、 たが、またいつぼう、隊のことを私はよく知ってい ″フォックス・グリーン〃″ィージー ・レッド′などとて、シシリヤ戦線で彼らといっしょのときにものにし ナマハの河岸のいろんな地名で仮に記されてあった。 た話は、今までの戦争を通じて私の最上の作品だった。 海軍の指揮官とその幕僚は、壁に描かれた海岸へ到達ちょうど、隊と隊の二つの中の一つに決めよう すべく、模型の船を専門家らしく押していた。じっさとしているとき、第一師団尾下の十六歩兵連隊、侵攻 い、この勲章をいつばいつけた紳士連が床で遊んでる部隊指揮官のテイラー大佐が、連隊本部は第一線波状 のを見れば見るほど、私はだんだんと末恐ろしい信頼攻撃歩兵隊の直後についていく手配であることを内報 の念を深めたものだ。 してくれた。 私は、お義理ではなくこの遊戯場の床の上に展開すそれで彼といっしょに行けば、作戦行動をミスしな くじうん

10. 現代世界ノンフィクション全集13

ある。 始め、日砲が火をふく。 みなは泥にたたかれ、家庭を夢みることをやめ、ま こんどこそはこっぴどく・ハラ土にたたかれる。そし 8 たーーひょっとしたらーーわれわれはこの戦場にいなてふたたびわれわれは長いあいだ起き上がれなくなる。 いし、同様ドイツ兵もかなたにいないか、しれないとわが小隊の指揮官は部隊本部に、もっと砲撃し、援隊 いう、もろもろの甘い空想をやめる。丘の頂上はなおを送るよう要求する。一方、ドイツの日砲はこの斜面 二千ャ 1 ドのかなたにあり、まさにそれは前進するに の一ャード平方ごとに正確に撃ち込んでくる。 も止まるにも危険な地点なのである。 私はびったりと地面に腹をつけ、頭を大きな石の陰 そこで、敵弾を受けるたびに、われわれは泥にまみによせ、両よこばらは私の両側の二人の兵隊に掩護さ ほふく さくれつ れ、それから立ち上がって、あるいは匍匐して、次のれる。砲弾の炸裂のたびに私は頭をもたげて、私の前 砲弾に泥をひっかけられるまで前進する。 方のペちゃんこにされた兵隊と、爆発の淡く、立ち上 かくして、だれかがはじめに助けを呼ぶ叫びをあげ、る煙を写真にうっす。しだいに、頭上には炸裂する砲 われわれはみな、次こそは自分たちが弾に当たる番だ弾が模様を描いて、私の隠れ家に近づいてくる。もう と確信する。 私は頭をもたげない。十ャードばかりのところに、一 われわれは最後の高地に到達する。そこからは目ざっの砲弾が破裂し、何かが私の背中に当たる。あまり す丘の頂が、 わずか五百ャ 1 ドのかなたにある。 の恐ろしさに背中を振り向いて見ることもできない。 もはやいかなるドイツ兵も生きのびられるはずはない次の弾はもっと近くに落ちるかもしれない。恐る恐る ほど、わが野砲は彼らを徹底的にたたき伏せた。われ背中を手でさわってみる。血は流れていない。きっと われは立ち上がって最後の突撃に移る。すると死んで爆発した砲弾が、私の背に大きな岩石を降らせただけ いたはずの敵の畜生どもは、けたたましい機銃掃射をなのだろう。私の左側の軍曹は弾の破片に当たって、 えんご