か考えない。もしおまえさんが文なしなら大のような のかわりみんなは貯水槽に水を汲みに行けるんだ ! 」 2 : だが、おれたちの 8 「たった一人で残っている婆さんがここにいる」とネ暮しをしなければならないよ ! 十フィ 1 ト。 このムリでは断じてそんなことはない ! 」 「爺さんは死んじまった、倅も。すると、 「おれたちのところには、金持もいなけりや貧乏人も みんなが食べるものをはじめ必要なものすべてをその いないんだ。これが『慣習』なのさ」と。ヒエールが断 婆さんのところへ持って行ってやる、しかも病気にな 言する。 づたら看病してやるんだ。」 ネオフィート が話をつづけるより先にイニャースが「今の話は住居や食べ物のことだが、金で買ういろん 口を出した。 なものがある : : : 石油、衣類、道具、煙草、索具その 「たとえば、猛烈なサイクロンが襲ったとする : 他の。そういうものはどうする ? 」 「おれたちにはコプラがある。みんながコ。フラの取穫 いかね、小屋の半分は吹き飛ばされた : : しい、か , 忍 小屋を失ったものは、運よく風にやられなかった他人のために働かなくちゃならない。そうしてコプラを売 ったら、われわれは金を分け合うか、ヌーメアの商館 の家に行って住む。そしてわれわれはみんなで新しい 小屋を作る仕事にかかる。ここじゃ誰も家や食べ物がと交換をしてその品物をみんなで分け合うんだよ。」 ないからって心配しない、決してな ! みんなが必要「コプラだけであんたがたの需要をすべて満たせるの なものを持っているか、みんなが持っていないかだ ! 」かい ? 」 「いつもそうだというわけじゃない。収穫量によるし、 「兄弟みたいにね」と私は言った。 「『慣習』がわれわれを兄弟にするのだ」とイニャー 市場価格にもよるね。市場価格が低いときには皆済す スはもったいぶって断言した。「ヌーメアに行くと、 るわけこよ、 冫をしかない。」 はかの連中の暮しがわかる。めいめいが自分のことし「そのときは ? 」
「あんたは最初よそ者としてやって来た。それからわ持っていないどんなものでもあんたと分け合うだろう 。そしてあんたのほうも同じようにしなくちゃな れわれはあんたをわれわれのあいだに迎え入れた。だ らんのだ。」 から今はおれたちはあんたにも『慣習』を適用する。 。ヒエールは腕を伸ばして大きく円を描いて見せた。 われわれはもう何もあんたに与えない、ただ自分らの 持っているものをあんたと分け合うのだ。おれのもの 「われわれの島はわれわれのものだ。そしてこの島は はあんたのものだ。あんたがそれを必要としていれば、すべての人に属している。各家族は家を建てる場所と : ほかのものよりもた おれはそれをあんたにやる、これが『慣習』なんだ。」耕す土地を必要としている。 ・ : たとえば、あんたはわれわれの礁湖を知りたい、 くさん持っている家族もあるが、それは単に養うべき だが船を持っていないとする」とジェニオが口をはさ子供や老人が余計いて人数が多いからにすぎない。い んだ。「 : : : そのときはプノワかネオフィ 、、ほかの仕事をし ートが自分 いかね、ある家長が病気になるとカ なければならないので耕作ができないとかという場合 のを貸すだろう : : : それはあんたの船なんた。」 ( ネオフィートは私にむかって帆を捲き上げるしぐさには、誰かほかのものが一人か数人で行って、家族が をして見せる。・フノワは同意のしるしにうなずく。 ) 食べることができるように代りに働いてやる。たとえ 「 : : : 漁に行くため船が必要となる、さあそのときは、ばこのアルフォンスは石工として働くことができ、何 彼らは船をよこせとあんたに言うだろう。しかしあん日もかけて貯水槽を作っている。そこで、ほかの家族 園たはそうしたければ彼らと一緒に行ってもいいんだ。 のもので、もう百姓仕事ができる年頃の若者がアル 楽 そして彼らはほかの連中に対すると同様あんたとも獲フォンスのかわりに山芋の収穫をしに行ってやった。」 の 後れた魚を分け合うだろう。同様にまたほかの連中は、 アルフォンスはおどけたしかめ面をしてうなずいた。 N 8 山芋であれタロ芋であれ、あんたが必要な、あんたの 「たしかにおれのほうは山芋を取入れてもらった。そ
ある。現在まで結局のところ私は、とどまりたい、したしかに進化のただなかにあるのではあろうが、私と かしまた出発したいという二つの対立する気持に分けしては営利と競争の精神に支配され、物質主義の圧倒 的な力によって精神性を弱められ、ばかばかしいまで られていたのだ。引裂かれていたのだ。 私が私の都会に帰って以来、私の友だち、ありとあに分割され、原子の破壊力によって脅かされているも のと認めざるを得ないこの世界になお生きているすべ らゆる種類の知人、私が食事に招いた人々にとって、 私の最近の長い脱出の経験は好奇心をそそるものだってのものにとって、旅立っということはほとんど化学 た。この好奇心は非常な興味にもとづくものだと私に的な反応となった。ほかの人間と同じ宿命にしたがっ はわかった。しかもこの興味は決して理由のないものている以上、どこで私はほかの人間と違っていたろう ではないのである。私はしばらくのあいだ、逸話や物か ? 語による名声、私に要求されるこの冒険の雰囲気の名私が旅立っとすれば、とにかく今度は一人でだろう。 この新しい脱出の仕方をいろいろと考えているという 声を保つことに満足を感じていたが、やがてそういう 雰囲気を次々に作り上げることがいやになった。こう事実そのものが、私にとってその脱出がすでに既定の こととなっているという証拠であった。 いうものを利用することはあまりにも安易だからだ。 私は人から観察されることを拒み、反対に自分のほう から他の人々を観察することをはじめた。ごく稀な例 園外を除いて誰もが環境変化への真の渇望を感じていた。 脱出は彼らにとって二重の必要であった。物質的環境 の 後の垢に侵され汚れはてた肉体の必要、「失われた楽園」 への隔世遺伝的なノスタルジアに満たされた魂の必要。
この六十歳の意見を彼はよく理解するので、私は自分の意見を打 で言っても悪く思わないでいただきたい。 明ける気になった。私はためらうことなく自分の肚の 前後のまことに上品な会社重役は実際、レジョン・ド 底を彼に言った。ワリス島民は封建制度への全面的な ヌ 1 ル勲章の略綬をボタン穴に挿し、おそらくはパリ のラ・ポ = シ通りかロンドンのサヴィル・ロウで仕立従属から全然中間段階なしに投票による自由な意志表 てたにちがいない・フルーリンの三つ揃いを非の打ち示に移ろうとしている。いったいこれからどんな結果 どころなく着こなしてワリス島に着いたのだ。風土をが実際生じるだろうか、また生じ得るか ? 政治はあ 考えてした譲歩はただ一つ、貝殻の飾りのついたやわまり成功せず、行過ぎが見られることになりはしない 、いパンダナスの藁の帽子をかぶっていることだけ。か ? これこそ最悪のデマゴギーがおこなわれるのに 銀髪をあらわして彼はこのかぶり物を取り、迎えに来理想的な場所ではあるまいか。私はほんとにそれをお た多くの名士連のなかの一人に挨拶した。それからすそれている。 きたん 「忌憚なく言って、ワリス島民が現在政治というも ぐ、にこやかに鄭重に彼は自分のほうへひしめきよせ る人々の手を順々に握りはじめた。けれども私は、彼のをそれほど必要としているとあなたはお考えです カ ? 」 と私の二人のうちで時代錯誤的な人間は決して彼では 「勿論必要としていますよ。まず第一に代表を持っこ パラウを捲きつけただけのこの自分であるとい とを必要としている。彼らももう自分らが公式に結び うことを理解した。 ついている世界の枠の外で生きることはできませんか 実は彼の政敵たちもそうなのだが、ロスト氏はプリらね。」 の 「どんな風に結びつくことができるでしようかね、そ 後アル家に泊った。彼と私の・ハンガローは隣り合ってい た。私は自己紹介した。われわれは気が合った。他人の世界と ? それに、彼ら自身の世界が破壊されてし
きな眼鏡をかけた小男ではなかったか ~ このオース トラリア官吏はちゃらちゃらした飾りのついたプラス 二十一一ムリ島の社会学者 チックの小さな前掛をして、丘の上の。ハンガローの戸 を私たちのためにあけてくれた。彼はリヴィング・ル ームに私たちを案内した。「家内がお相手をしますか 現代の社会学者たちは、一国の文明の絶対的な価値ら。」彼の細君はいやに長いシガレット・ホウルダー は男性のそれと比較した場合の女性の社会的地位によを置いてディヴァンから立上った。彼は情愛と尊敬を って判定されるとみなしている。この地位が優越してこめて彼女を見た。「家内はまったく必要欠くべから いればいるほど文明の水準は高い。おそらくアングロざる人物でして、われわれのささやかな植民地生活の サクソンのものと私には思われるこの原則から出発しなかで非常に重要な役割を占めているんです : : : 。私 て、数十年後、いやもしかするとそれほどにならぬうはすぐまたまいりますから。」彼は食事の支度に台所 ちに、女性社会学者たちは男性の地位がどの程度までにもどり、私たちはこの御婦人だけを相手にして残っ 母権制文明を退行させる危険があるかをあきらかにし た。まったく彼の言ったとおりだった。彼女はわれわ ようとするだろう。 れのことを非常に積極的にもてなした。このフランス 「モアナ」探険隊がポート・ モレスビー ( ニューギニ人のなかで誰が一番魅力的かを見定め、その男を贔屓 園ア ) に寄港したとき、私たちは船で小さな招待状を受しようとするのだ。招待状を出したのは彼女だった。 の 取った。その名はすぐには見当がっかずに当惑したが、彼女が遠くから、しかし油断なく気をくばるなかで、 後やがて私たちは思い出した。これは官辺の許可を得る亭主が食卓の準備をととのえ終り、さらにいくつか指〃 ための私たちの奔走を助けてくれた、いかにも社交好図ーーその簡潔さとそっけなさは彼女の権威を示して フレンチ
ルほど先で大きな褐色のかたまりが逆波のなかへもぐ ちょい呼吸しに行けないと窒息してしまう。絶え間な りこむのを間一髪のところで認めた。 い危険のもとで、しかも恐慌状態のあわただしさで、 「小さい頭だ」とマストによりかかったままのパルテ この是非とも必要な空気を補給するようにしむけるこ と、力を出し切ってへとへとになるような速度をずつ レミが軽蔑するように言った。「八十キロ以上はな、 と維持させるように強いること、これがクニ人の漁法な。」 の原則なのだ。 一人の男が左手でマストを支える索につかまって船 首の前方の・フームの上にのつかっている。右手で彼は、 ごう・こう カッタ 1 がこの狭い水道に逆捲く囂々たる怒濤の上亀の逃けて行く方向のみか、亀のやろうとすることま にさしかかったときにエンジンが故障したならば難破で予見してそれを舵手に伝える。水底すれすれに泳ぐ は必定だったろう。小さな船はおそろしく揺られただ亀の動きは私にもはっきりわかる。舵手はうしろのほ けで、岸に沿った広い陸棚を形づくっているひとでのうで注意をこらしながら、追われる亀が恐怖に駆られ 散らばった砂の多い浅い底の上の、波の静かなところて、また策略で、四方八方に方向を変えるに応じて船 の向きを変える。飛行機上から見ればカッターは酔っ へ出た。十五歳ぐらいの敏捷な少年がマストのてつべ ばらってアラベスク模様を描いて走る船と見えたろう。 んにまで登りつかぬうちに「亀だ ! 」と叫んだ。男た ちは前のほうへ乗り出す。 緑の透明な水のなかで闘かっている敵の死を可能性と して内含している動く信号、そういう二重の生命をも 「どこだ ? どこだ ? 」と私は叫んだ。 って前方で動いているこの褐色の手に私は魅せられて 「見ろ、前だ」と見張の少年は私に叫ぶ。「もぐっ た ! 」 いた。亀は斜めに水面にむかって上って来た。男たち は叫び声をあげ、黄色の頭があらわれるとその叫びは 私は彼の腕を伸ばした方向へ目をやり、五十メ 1 ト
五歳の背の高いがっしりした娘の態度は絶対的な敬意着を抱いているブリアルは、住民を無知と受動性から と服従をうかがわせた。いつも目を伏せ、何かのはず解放するかもしれぬすべてのものを熱烈に擁護した。 みで主人に近づくときにはいつもほんのわずかだが頭彼の理想は、伝統や風習に含まれた典型的にワリス的 を下げる。 な要素を堕落させることのない社会的進歩にあった。 「どうです」と主人は言った。「これが女中の行儀でこういう独自な財産は保持されねばならない。太平洋 すよ。もうすこしはきはきしろ、そんなに固苦しくすのいたるところでポリネシア人の習俗は、新しい世代 るなと私は随分言ってやったんですがね。しかしいくの忘却もしくは軽蔑のなかに溺れてしまっているのだ ら何と言ったって、全然変りやしないでしよう。女中から。しかし一番肝要なことは、人々を奴隷の身分に にとっては私は元の女王の息子 : : : ほとんど神さまでおとしいれている信託統治制からの解放だった。 「事態は今や変ろうとしていますか ? 」 すから ! そういう風に育てられているのです。」 ハンジャマン・プリアルの顔は知性と活気をあらわ「多分。しかし長い時間が必要でしよう。ほんのちょ っとしたことで誰でもまだ科料に処せられる。それも していた。王家の後裔で反対党のリーダーである彼は、 その人なくしては私はこの地でまったく何をすること生やさしいものじゃない、豚一匹ですよ ! 」 。フリアルの声には怒りがこもっていた。 も何を知ることもできないという人間たった。スーメ アの高等学校でフランス語を学んで彼は完璧なフラン 「そりゃあどうも、私には信じられませんね ! 」 園ス語をしゃべるが、現在の王はーーと彼は言うー・・ーフ ・ : それじゃあ、 「例を挙げろとおっしやるんですか ? ランス語を一言も知らないし、大臣たちも、村のいろ人民投票についてですが : : : これは何と言ってもやは の いろな指導者たちも、またごくわずかの例外を除いた り民主主義の最初の行為です。ところが、或る村で大 島のすべての住民も知らないのだ。同胞たちに深い愛臣の位を持っ村長が投票所は朝しか開かれないという 3 2
最後の楽園 罪はただ一つ、嫉妬によってひきおこされたのがあっ ただけである。 二十三天候次第 「何て運が悪いんだろう ! 」と私は、・フノワがポート の肋材を作っている椰子の葉の小屋に闖入しながら怨 めしそうに叫んだ。 戸口から私はまた泣き出しそうになった空を指さし こ 0 「明日出発できると思うかい ? 」 「すべて天候次第さ。」 そのおだやかな口調以上に、仕事に没入している・フ ノワから発散している物静かな力とその口調の調和に 私は心を打たれた。私は彼と私がこの場で描き出して いるシーンを明晰に目にうかべた。こんな明晰さはそ れまで私にはなかったが、多分それはそんな明晰さを 必要とすることがそれまで私にはなかったからだろう。幻 自分がここで少々よそ者であるように感じたのはこの
グジーたちが検死官が発見する以前に知っていたこと の物資は配給制度下にあり手に入らなかったが、シー ゲルには問題ではなかった。ウェ・フが、鉄、銅その他は、検死の結果、レイガンの体内から致死量の二倍も の資材を集められぬと、シーゲルは闇で高価な金を払の水銀が発見されたことだ。二十四時間、厳重な見張 運び込ませた。闇商人たちは、朝、トラックでそりを置いたにもかかわらず、ギャングたちは、レイガ ンが飲んだコカコーラの中に水銀を混ぜていたのだ。 れらの資材を運び込むと、夜は盗みに戻り、翌朝また そして、カボネたちは、コンチネンタル通信社を手に 同じ物を売りつけるといったやり方だった。 シーゲルが建設当初投資した四億円以上の持ち金は、入れてしまった。 まもなく一文もなくなり、彼は中部や東部へその金策カボネたちは、一度コンチネンタル通信社を手に入 のため、十四回も通った。また、ギャング仲間には、 れると、もうトランス・アメリカ通信社の必要性はな 一株五万ドルの株を売り、三百万ドルを集めたが、そくなってしまったので、これを解散させようと計った。 れでもまだ、八億円にもの・ほる未払いが、ウェブに対しかし、・ハグジーにしてみればそうは問屋がおろさな し彼にとって同社は、カリホルニアとネバダ州とに して残っていた。ギャング仲間も、もうそんな馬鹿げ 設立するためにガス・グリーン・ハウムとともに苦労し、 た建物には一文も出さないとさえ言うようになった。 同年六月、ホテルの建築が進行している間、シカゴ現在何百人といる手下に給料を払い、・ほろもうけをす スでコンチネンタル・プレス通信社の社長、ジェームる材料であり、金力と権力の泉であった。そして今、 ベス・レイガンが撃たれた。彼は直ちに病院にかつぎ込彼は金を必要としていたのである。シーゲルはさっそ くニューヨ 1 クに飛ぶと、結社の幹部会を招集した。 ラまれ、六週間の入院の後、回復に向かったが、突如と この席上シーゲルは、常識はずれの提案を幹部連に 楽して死亡した。 叩きつけた。それは、結社がシーゲルからトランス・ この真相がもれるまでには数カ月もかかったが、・ハ 、 0
によれば、「彼の心臓はふくれ上がって、破裂したの だ」そうである。コルネロの医者は、自分が死亡証明 三転する所有主 書にサインするから、検死官を呼ぶ必要はないと言い、 彼の家族からは、死体を葬儀屋に送ることなく、直ち その時ここに千二百万ドルの金を鞍袋に入れ、砂漠 ハリー・ヒルスの家に送り届けるように、地元のの中をスターダスト救援に駆けつけて来た一人の億万 墓地に埋葬するから、との連絡があった。 長者がいる。これがまた、波瀾万丈の男で、その名を 葬儀には千人以上もの人が参列し、合唱隊が、故人ジャック。″床屋のジャック″ファクタ 1 と称する人 が生前好んで歌った好運の歌「ワ・ハシュ・キヤノンポ 間だ。カボネの往時の親友で、株式詐欺に関しては彼 ール」を合唱して、幕を閉じた。 の右に出る者はいなかった。彼は今日では、ペ・ハ コルネロの死によっても不運は終らず、スターダス ・ヒルスで不動産業を営み、慈善家で通っている。 ト・ホテルに悪運はついて廻った。証券取引委員会は ジャックとカボネ一派との結びつきは強く、一九五 株の捜査を徹底的に行なうと言い、債権者はトニーの八年、彼がスターダストに乗り出したときも、彼はこ カバンの中に残されていた書類を一枚も残さず調べた。のシカゴの友人を忘れなかった。 スターダスト会社は破産した。債権者は建物すべてを最初に彼と妻のレラがしたことは、三千人の投資者 差押えたが、三千人もの人から集めた六百万ドルの金に対して、一ドルにつき三十四セントを支払うという べも、トニーが死んだ時には、わずか一千ドルの預金が約東をしたことだ ( ただし彼はこれを実行しなかった ) 。 ス 銀行に残っていただけだった。そしてすでに当時七割 この総額が百九十万ドル。その次には、裁判所で指命 、楽方でき上がっていた工事も、完成させるに必要な三百した財産管理人を通して、債権者が持っている四百三四 万ドルがないために、完全に停止してしまった。 十万ドルの債務を支払った。工事が再開され、ジャッ