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検索対象: 現代世界ノンフィクション全集23
196件見つかりました。

1. 現代世界ノンフィクション全集23

フィデル 「そんな気がしたが、何しろ君は死んだと報道されて いるんだから : : : 」 は伏さなか 「少し先走りしすぎたな」 った。しか 力しサリアのとフィデルは皮肉をこめて言った。そして、つけ加え こ 0 フ気持はよく 「あなたが僕を殺したら、出世は確実だ。大尉になれ えわかった。 そして感動るよ。」 「君 ! 」 」訊した。彼は アサリアに近とサリアが言った。 ャづいて小声「僕はそんな人間じゃない。」 「だが : : : 」 、 " でで言った。 ( こ本「僕は、まとフィデルが引きとった。 ををーー 0 一ーーー。い′ ( ~ ー市さしく、あ「僕を殺さなかったら、あなたが殺されるだろう」 「殺すなら、殺すがいい。」 なたが考えている男です。」 サリアは例の荘重な、威厳のある態度で、大きい人 「誰ですか」 差し指を天に向けて、言った。 とサリアが言った。 「決定するのは、個人の倫理だ。」 「誰かあなたは御存知です。」 サリアはフィデルを見つめた。そして今度は彼の方さっきの射撃音は、フィデルと別れたアルメイダら が感動した。 五名が、兵隊たちに発見されて射撃された音であった。 2Z4

2. 現代世界ノンフィクション全集23

射の終るのを待って脱兎のように飛びだし、一とびに レ口が近づいて、止血のため腿のまわりにハンケチを 壁をとびこえた。向う側にうまく飛びおりた。片膝をしばりつけてくれた。 地につき、息をはずませながら、彼は数秒間そのまま「しつかり、しばってくれ。まだ戦い続けられるよう の姿勢でいた。そして、煉瓦の向う側に、狂ったよう に弾丸が落ちるのを平静な気持で聞いた。手と肩とに と、べニテスは持ち前の強い声で言った。グエレロは、 負傷しながら、どうして二メートルの壁をとびこえる負傷しながら、 いっさい弱気を見せない彼を見て感動 ことができたか、後になって、どんなに考えても、よした。べ = テスは毅然として、小塀の陰から射撃を続 くわからなかった。 けた。その彼の傷口をグエレロは、しつかりとハンカ 「運動」の会計係であるオスカル・アルカルデは、一 チでおさえていた。べニテスは、少しも苦しい顔をし 台の車のうしろに、できるだけ身をかくしていた。 なかった。彼の表情は、戦闘の最中に、このように釘 ところが、ふと振り返って見ると一人の中尉が、数名づけにされていることへの怒りと不満だけを示してい の兵隊をしたがえ、武器を手にして彼の方に進んでく るのが見えた。彼はすぐ引き金を引いた。中尉は彼の グエレロは小塀のうしろに位置を占め、射撃を開始 撃方に問いただすような顔を向け、手で驚いたようなした。射撃は猛烈をきわめ、大気は鋭い硝煙に満ちた。 カ ジェスチュアをすると、地上に転がった。そのジェスグエレロは、十五メートルの距離に、一人の兵隊が身 チュアと、その顔はアルカルデの脳裏に強く焼きっ いをかがめて、こちらに前進するのを、はっきりと見た。 の 手にスプリングフィールドを持っていた。しかしズボ ス一弾はレイナルド・ べニテスの脚を貫通した。彼はン下とシャッしか着ていなかった。グエレロは慎重に 転倒した。ヌ h パ パスの農民であるロランド・グエ狙いを定めて引き金を引いた。男は前のめりに倒れた。 こ 0 こ 0

3. 現代世界ノンフィクション全集23

真実のみが伝える迫力と感動 植民地からの独立をめざす民衆の戦いは野火 . のように広がる。苦悩と悲惨 , 同時に勇気と 栄光に輝く人間像は深い感動と興奮を誘う。 * 一万人余の兵営。カストロの率いる百五十 名の襲撃が革命の火ぶたを切った〔本邦初訳〕 * ナイルに吹きあれるオリエントの嵐。国王 を追放し , スェズ運河国有を宣言する革命劇。 * 非暴力積極行動で植民地反対にたちあがる 民衆。「アフリカの世紀」の新興ガ、一ナ独立史。 カストロのモンカダ襲撃 ~ わ工カ カゞジス 祖プト エジプト革叩 . へプノアメシャン 国トロ へ革の わが祖国への自伝 の・命モ 自プン 伝イカ 解説・堀田善衛 ; 襲 第 10 回配本定価 650 円 筑摩書房 工ンクレマ 次 主月 現代世界ノンフィクション全集書 ( 分類 ) 0320 ( 製品 ) 23023 ( 出版社 ) 4604 現代世界ノンみクション全集

4. 現代世界ノンフィクション全集23

カストロのモンカダ襲撃 エジプト革命 プノアメシャン わが祖国への自伝 工ンクノレマ メ / レ′レ 監修 井上靖 今西錦司 桑原武夫 中野好夫 吉川幸次郎 現代世界ノンフィクション全集 23 筑摩書房

5. 現代世界ノンフィクション全集23

題 解 費した。集まってくる資料は不完全で、断片的で、時によっ ては矛盾していた。それらを照合した結果は、混乱だけが残 った。事件後、十年にして早くも事件に関する多くの「神 話」が横行していたからである。メルルは翌六三年、ふたた びキュー / 冫 くこ渡った。そして事実と「神話」のくいちがいを たしかめるために、三カ月かかってモンカダの生き残り六十 カストロのモンカダ襲撃 一名全部にインタビューした。指揮官にも兵士にも同じ時間 四時間ない五時間ーー・をかけて会った。フィデル・カ 『カストロのモンカダ襲撃』 ( 原題『モンカダーーフィデル・ ストロとも、二だけで、二回会っている。 カストロの最初の戦闘』 ) "Moncada; Premier Combat de これらのインタビューを整理した作者は、前に集めた資料 FideI Castro", 1965 の作者ロべール・メルル Robert Mer- によるよりも、はるかに完全で首尾一貫した物語りを構成で le ( 一九〇八ーー ) は、処女作「ズイドコートの週末」で一 きる確信をもって、本書を書き上げた。このゴンクール賞作 九四九年度ゴンクール賞を受けたフランスの作家である。 ( この小説は映画化され、「ダンケルク」という題名で日本で家の対象への異常な打ち込みぶりは、強い感動を誘う。読者 は、本書がキュしハ革命史に関する古典としての地位を早く も上映された。 ) うべな メルルが、はじめてキュー・ハを訪問したのは、一九六二年も確立したゆえんを肯うに違いない。 なお、彼の著書としては、小説『死はわが職業』 ( 角川文庫 ) であった。「この島で過した最初の日から、私はこの英雄的 な国民を愛した」と、彼は書いている。「私はキュしハ革命『島』、伝記『オルシニ公爵夫人ビットリア』、『アーメッド・ べンペラ』などがある。 の歴史ーー・というより、その発生を綴ろうと決意した。私は この試みをわずか一日にーー・すなわち、革命の第一日、フィ デル・カストロとその同志たちによるモンカダ兵営襲撃の 本書に訳出した部分は全十一章のうち、第三章の一部と、 日、一九五三年七月二六日に限った。」 第四、五、六、七、八章の全部である。最後の章は、第九、 さっそく、資料の収集がはじまったが、そのために一年を十、十一章を、訳者が要約したもの。訳出にあたっては、在 解題

6. 現代世界ノンフィクション全集23

だんの兵隊のス。フリングフィールドを拾いあげ、射撃が頭を寄せていた、ちょうどその場所に大穴が開いて を続けました。」 いた。要するに、敵は彼の「首根ッコを引き抜き」そ こなったのである。 フィデルも、機関銃手に向って、休みなく射撃を加 えた。そうしながら彼は、どうすれば情勢を立て直せ 三月十日の C ハチスタの ) 兵営奪取の翌日「陸軍」 るか、大いに苦慮した。彼は例の大きい肩をゆすぶつ に散々荒された印刷屋のホセ・ポンセ工は、気がつい た。しかし駄目だ。ほどこす手はなかった。イニシアて見ると、敵の機関銃砲火の真中にいた。彼は大いに チイプは人の手に渡った。彼はもはや現状を立て直し驚いて、地に伏せた。一弾が手の甲をかすり、肩のく 得る命令の一言も下すことができなかった。戦闘は、 ・ほみを打った。シャツがじゅくじゅくと濡れ、背中に 一連のばらばらの小行動に分割された。そうなれば、 へばりつくのを感じた。しかし、ショックに目まいを 各戦闘の各個人の運命だけが問題である。彼自身は、感じただけで、少しも苦痛は感じなかった。彼の手は、 もはや、惰性的に、自分の怒りを爆発させるためにだ次第にふくれはじめた。やがて、血にまじった、骨の け戦っていた。 断片がいやでも目に入ってきた。ホセ・ポンセ工のう アルテミサの青年で「首根ッコを引き抜かれ」ようしろには、高さ二メートルの壁があって、機関銃が発 とは夢想だにしていなかったセべリノ・ロセルも、一射されるたびに、セメントや、煉瓦の断片がバラスラ と落ちてきた。機関銃は今度は、路上を掃射した。お 台の車のうしろに身をかくして忙しく射撃を続けてい た。そのとき激しく後ろから引っぱられて、膝をつい 陰で負傷した彼はいっさいの退却の道を絶たれた。彼 た。その前にロベルト・ガランは、一人の兵隊が、そは斉射と、それに続く、休止のリズムに耳を傾けた。 の彼を高窓から狙っているのを見つけていた。ロセルそれが規則的であることに彼は気づいた。そして休止 が身を起したとき、車の車体の、つい一秒前に、自分は何秒間であるかを測った。それから体をちちめ、斉 Z38

7. 現代世界ノンフィクション全集23

Robert Merle MONCADA Premier Combat de Fidel castro ( 26 j uil 1et1953 ) arranged through Le Bureau Japanese translat ion rights ◎ Robert Laffont, 1965 des CopyrightsFrangais ・ 中扉カット 陸軍のパトロールに連行されるモンカダ襲撃隊員

8. 現代世界ノンフィクション全集23

ダ カ ン モ の ス ミレトは最初、家のうしろの家屋に付属した小さな洗 なー」に弾丸をこ めているの濯場に陣どった。そこには大きい流しと蛇口が一つあ り、蛇ロのうしろには顔の高さに達する壁があり、そ を一人の隊 のうしろに、わずか十メートル余をへだてて、「兵営」 員が見た。 そのときのの窓を見ることができた。家そのものは閉されており、 ヒルドの態窓もしまっていた。ペドロ・ミレトはその中にはいろ 度が彼の心うとせず、中からも誰も出てくる気配はなかった。し 〉 ) を打った。 たがって、その日、その家に人が住んでいたか、いな レ彼の態度は、 かったか、彼には今もってわからない。 まるで食堂 二階の端から端に走っていゑハルコンの手摺のうし に腰をおろろにうずくまっている一人の兵隊に彼は照準を定めて 、して、コー いた。この兵隊の射撃は非常に正確で、ペドロがちょ ヒーを飲んっとでも体を見せると、小塀の稜 ( かど ) に弾丸を打 でいる時とち込んだ。 〕第おなじよう ペドロ ・ミレトから数メートル離れたところでフィ デル・ラ・フラド 1 ルが射撃をしていた。カ 1 ニ・ハルか に平静で、 無心だったら帰ってきた一人の兵士が彼に近づいて「何が起った のか ? 」「どうすればいいのか」と訊ねたとき、彼は ペドロ・答えた。

9. 現代世界ノンフィクション全集23

カストロのモンカダ襲撃 サンチャゴのペレス・セランテス大司教が「待 0 んで、その承諾をとりつける一方、翌二十九日の晩に た」をかけたのは、まさにこの時であ 0 た。彼は、わは、この取りきめを新聞、ラジオ等で公表していた。 こよって、政府に「投 フィデルは、大司教の仲介冫 ずか十分前にソテロ農場に到着していたのである。 と政府側から宣伝されるのを避けたかっ これより先、七月二十八日、大司教はモンカダ司令降」した た。自分が間もなく処刑されるのは確実だった。しか 官チャビアノと会って、サンチャゴ市の指導階級がこ し将来のために、「運動」の権威は守り抜きたかった。 ぞって、「陸軍」のモンカダ襲撃者虐殺に抗議してい フィデルはあくまでサリア中尉の捕虜として行動し ることを告げ、投降者の処刑をとりやめるよう申し込 た。彼は帰りのトラックの中では運転手とサリアの間 ( まいヾ に坐った。坐らせたのはサリアだった。フィデルの逃 亡を防ぐという意味でなく、その身の安全を身をもっ て守りたかったのである。彼には、フィデル死亡の 司 ス ニュースを流す「陸軍」の底意が、是が非でも彼を ン「消す」ことにあることが痛いほどわかっていた。し セ たがって、途中でチャウモント少佐が四〇名の兵隊を ス 引きつれて、フィデルを受けとりに来たときも、「こ レ ペ れは、私の捕虜です」と頑張って、絶対に、渡さなか っこ 0 市警本部で、サリアがその捕虜を当局に引き渡した とき、はじめて会ったのはチャビアノ大佐だった。

10. 現代世界ノンフィクション全集23

ロべール・メルル真木嘉徳訳 カストロのモンカダ襲撃 一フィデル・カストロ 三七月二十四日と二十五日 四二十五日の夜から二十六日にかけて 五一九五三年七月二十六日 六弾圧 七革命の第二段階 目次 1 三ロ 20 / 跖 8 114 76 48 22 7 5