「ヨーロツ。ハ人が一つの神を持っていること、その神鉄格子のなかに監禁せよ : : : 」 を信じ、その神によってアフリカ全土の教会が代表さ黄金海岸の法律にまちがいなく抵触する煽動的な記 れていることを、私は個人として信じている。彼らの事ではあったが、当時の黄金海岸の民衆に民族主義を 信じる神の名は『いつわり』、その神の律法は『なん鼓舞する一つの試みではあり、さらに重要なことは、 じら強き者よ、弱き者をいじめよ。なんじら〈文明〉 アフリカ人が、生じているすべての事に対して盲目で のヨーロッパ人よ、〈野蛮〉なアフリカ人を機関銃にないことをヨーロッパ人に教えた。火ーーー消すことの よって〈文明化〉せよ。なんじらキリスト教徒のヨ】 できない火ーーの点じられたことをしめすこれが最初 ロツ。ハ人よ、異教徒のアフリカ人を爆弾、毒ガスなどのたちのぼる警告の煙だったのだ。 によって〈キリスト教化〉せよ ! 』というのである。 「植民地ではヨーロッパ人はつぎのように命ずる神を 信じている。『なんじら行政官らよ、治安条令をつく ってアフリカ人を弾圧しつづけよ。追放令をつくって、 なんじらの権威をみとめないアフリカ人を追放せよ。』 「彼らが経済的に立ちゅかぬよう、彼らの金をまきあ げる法令をつくれ。徴税法をつくって彼らから税金を まきあげ、失業したヨーロツ。ハ人をよびよせてインチ キ会計課員とせよ。スパイを送り、民族的な意識をも つアフリカ人や民族の独立を煽動するアフリカ人全部 の家を監視させ、彼らをデッチあげ事件にひきこんで、 おきて
娘たちの眼の前で死んで行った。 こめて、話しだした。彼らの言うところでは、武装解 彼女たちも覚悟して、隣りの部屋に呼びこまれ、拷除されても、くだんの「朝鮮人」は、兵隊たちと素手 間をうけ、「消される」のを、今か今かと待った。もで殴り合い、仕方がないから手足をしばり上げて、拷 し兵隊たちが自分たち二人を生かしておくつもりなら、 問を行い、結局、一言も言わずに殴り殺された、とい これほどむごい場面を見せつけるはすはない、と彼女うのである。兵隊の一人が、その「朝鮮人」は、白黒 たちは考えた。正午近くなって一人の大佐がーーあとの靴をはいていた、と言ったとき、アイデは眼を閉じ た。彼女の顔は苦痛にゆがんだ。ポリスのことだ、と でチャビアノという名前だと分ったがーー・・姿を見せ、 部屋にははいらす、敷居のところにほんのしばらく立覚 0 たからだ。 ()t 「》の ) ちどまっていた。大佐は彼女たちをじろじろと見て一 一時間後、兵隊たちが「虎」と仇名していた一人の 言も言わすに立ち去った。きざっぽい、あまり利ロそ軍曹が、彼女らに近よって訊ねた。 うでないその顔には、何の表情もなかった。 「アイデ・サンタマリアというのは、お前たちのうち 彼女たちのいる部屋に兵隊たちが入れ変り立ち変りのどちらか ? 」 出入りした。はじめ彼らは、彼女たちをののしった。 「私です」 あとになると彼女たちがいることにもなれ、その前をとアイデはふり返った。 はばからず今やってきたばかりの残虐な作業について、 「いま、お前の兄を拷問しているそ」 この上ない露骨な言葉で手柄話をはじめた。彼らはと虎が言った。 フィデル隊員たちを、北鮮人と似ているということか そういって彼は、アイデの眼に浮んだ猛々しいヒラ ら「朝鮮人」と呼び、一人のでつかい、ヨ冫 ド常こ強く、 メキを、一瞬、見とどけたあと、立ち去った。 非常に勇敢な「朝鮮人」について、幾分、讃嘆の念を しばらくして、別の軍曹が部屋にはいってきた。彼
ガス血栓だー・・・・・と。へドロ・ミレトは思った。おれは た 0 ところがおどろいたことには、ミレトには、カ ンフルが何の作用をも引き起さなかった。それどころガス血栓で死ぬんだ。苦悩の感情は消えた。精も魂も つき果てた感じだった。ノドのかわきが堪え難かった。 か、それまでの堪えがたい苦痛が、かき消えてしまっ しいまこの病院の中に、彼は自分の心臓がとまるのを、はっきりした意識で た。彼は命が助かったと思、 痕跡を残さずに自分たちを殺そうとしている二人の男待った。しかし何事もおこらなか 0 た。やがて彼は 眠ってしまった。 がいることを知った。 ふたたび眼をさましたとき、べッドの敷布が顔にか 夜明けがた、二人の大きい看護夫がまた現われた。 けられていた。彼らは死んだものと思い込んだにちが そのうちの一人が大声で言った。 : ほ力の 、な、。彼はさっと、敷布をはねのけ、主任医師タマ 「こいつら二人は、なかなか、しぶといな : ・ ョに話しかけている二人の洋服の男を見た。 ( レオンチ 方法で消そうじゃないか。」 オ・デスベガ判事とプエエト・アラゴン医師だった ) 。 二人は出て行ったが、数分後に採血器を持って帰っ 「これはどうしたことだ」 てきた。右腕のくぼみに注射器のささるのを感じたペ と一人が言った。 ・ミレトは頭を横に向けて、何をされているのか 「まだ生きとるじゃないか。」 を知った。空気を注入されていたのだ。このとき怒っ 「大尉ー たような顔付のさっきの小男の黒人が部屋に現われ、 と、別の一人が、きびしい声で言った。 しかめつつらをしながら彼の寝台に近づいた。 「わしは個人的にこれら負傷者の生命を、貴官にあず 「静かにしろ」 ける。遅滞なく市民病院に移すよう、勧告する。」 と、ペドロ・ミレトに注射している看護夫が言った。 二時間後、タマヨは、四人の負傷者全部を市民病院 「もうじき、オダ・フツだから : : : 」
激しく叩く音がした。そして五、六名の兵隊たちが、院の前にとまった。ジー。フのドアが開くと、約三十人 の兵隊が廊下に侵入してきた。そして長靴を鳴らし、 機関銃を手にして、なだれ込んできた。彼らは、 「狼のように興奮していた。」機関銃をゆすぶりながら、各部屋に分散した。 医師の言葉に従えば 彼らは負傷者を要求して、医師に銃口を向けんばかり「中尉。部下を呼び返してください」 であった。そのうちの一人が息をはずませながら「負とポサダ医師は、怒りにふるえて叫んだ。 傷者たちを、陸軍病院に連行するように」命令を受け「患者の気持を乱す権利はない。」 中尉はそれに従ったあとポサダ医師の方を向いて、 てきた、と言った。 無愛想に言った。 「院長はどこにいるか」 「本官はチアビアノ大佐の命により、今朝戦闘が終っ と、ほかの一人がラム酒のにおいをプン。フンさせなが てから、あなたが入院させた負傷者たちを、ここから ら一一一口った。 連行しなければなりません。」 「私です。」 「くり返して言いますが : : : 」 ポサダ医師は、両手を腹の上に組んだまま答えた。 そして、兵隊たちの顔を一人一人ねめ廻しながら、静とポサダ医師は言った。 「私は負傷者たちの、生命の責任者です。彼らをほか 襲かな、しかし一歩もあとに引かぬ声で言った。 ダ 「この病院の院長という資格で、私は負傷者の搬出を、に移すことは、絶対におことわりします。」 「しかし、彼らの中に、二人の革命家がいることをわ っ絶対にことわる。完全に回復するまで、皆、ここにい の れわれは知っている」 ロてもらう。」 ス兵隊たちはぶつぶつ言いながら引き上げた。しかしと中尉は叫んだ。 / 一時間後、五台のジ 1 プが一人の将校に指揮されて病「犯罪人二人だ ! われわれに向って発砲した奴ら 177
カストロのモンカダ襲撃 があった。 ス大佐が進歩的改革を試みようと努力している国の国 けんぎ アンドレ民だということ、ただそれだけで、嫌疑をかけられる ア・グリッ に十分だっこ。 このさいラウルは、その情愛深い性格がわざわいし チイ号は六 月はじめにて、ひどい目にあった。彼はガテマラ人と遠ざかった ハ・ハナに着方がいいことはわかっていたが、そんなに早く別れる ダ、こ 0 そこ に忍びず、いっしょにいた。災難は、そのためにふり イ かかったのである。今度は彼が身体検査をされた。手 で厄介なこ ア とが起った。荷物の中にルーマニアのパンフレットがあるのが見つ アバチスタのかり、彼は逮捕された。二人のガテマラ人も逮捕され フ た。しかし翌日、ガテマラの大使館から抗議が出た。 官憲は、ソ さビエト人の彼らは釈放され、船に戻った。ラウルだけが置をと 逮上陸を許可かれなかった。 せず、二人彼は翌日の警官の審問を受けた。警官の態度 は、はじめ極めておだやかだった。警官は昨夜来、ラ のガテマラ 人を徹底的ウルの旅行日記を時間をかけて眠を通していた。そし に身体検査て言った。 した。二人「なるほど、お前はウィーン、パリ、イタリアを見て はアルべンきたんだな。ところで、この中に書いているパラダイ 5 4
た。ヨーロッパの習慣が、私の国とはまったくちがっ私の親しい友人となった。あるとき、私はこのオラン ていることもしだいに知った。ある夜、食事をしながダ人とニュ 1 ヨークのアビシニアン教会の礼拝式にい ら話し合っていたとき、夫人が夫にいった。「おお、 った。これは私の知っているなかでは、もっとも大き そんな馬鹿なこと ! 」私は驚いて夫を見つめた。夫がな黒人の教会だった。しかしその日曜日は、人でいっ 怒りだすのを、心配もし当惑もしながら、待った。しばいでなかにはいることができなかった。仕方がなく、 かし夫は感情をそこねた様子はすこしもなく、話をつ隣りの他の牧師の説教している別館へいった。その牧 の丘へ行く話 づけた。アフリカでは、馬鹿にするなと夫にいった婦師はイエスが十字架を背負って力化ハリ 人にどんなことが起るかを、私は考えずにいられなかを、大げさに、芝居もどきの身ぶりをまじえて話しは った。当時はその一言が離婚の理由に充分になった。 じめた。しばらくすると、会堂のなかの女たちは、完 むろん今日では、ヨーロツ。 ( の影響もうけて、女は自全に威圧されて、泣き、叫びだした。「イエスよ ! あ 分の考えを遠慮なく口にだし、夫たちもそれをあきらわれみたまえ ! ハレルャ ! 」十世紀もまえにエルサ めはじめているが。 レムの群衆のなかに生じたのと、それこそおなじよう リヴァプールに二週間ほど滞在したのち、私はカナな騒ぎが教会のなかにおこったのだ。 ード・ホワイト・スター会社の船で、アメリカへ向か まったく眼もあてられない有様だった。このまこと 伝って出発した。この航海は、タコラデイからリヴァプに不甲斐ない黒人の礼拝を一人のヨーロッパ人が目撃 自 の ールへのまえの航海よりはずっとよかった。数人の友しているのである。教会からでたとき私はオランダ人 国人ができたからだ。その一人の若いオランダ人は、ハ に弁明しようとした。ところが彼は、その私に驚いた ド神学校で、神学の最終課程を終えるために行らしく、これまでどの教会でも見たことのない美しい わ く途中だったが、彼がアメリカにいるあいだはずっと、出来事だと、じつにまじめに語った。他の教派があの
それに気がついた。そして—のテラスから、ラウ こで、またテラスに登った。彼らが姿を現わすと、す ルに向って激しい銃火を浴せかけた。 ぐ—のテラスから機関銃の攻撃が始まった。彼ら はフィデルのグルー。フが退却しているのを知った。ラ 彼はできる限り抵抗したが、背後を突かれる危険が あることに気がついた。この建物の中には、外にも守ウルは再び階下に降りようと決心した。一階まで降り 衛がかくれているにちがいない。たった一人の老夜警たとき、一台の車が入口の前にとまる音を聞いた。 と、一人の兵隊に護衛をまかせるには、あまりに重要車は、二人の警官と、これに従った三人の市民を吐 な建物であるーーそのことに気がついた。彼は下に降きだした。五人とも。ヒストルで武装していた。その中 りて、後方を確保するために、屋内捜査をしようと決の首領とお・ほしき者が言った。 むした。事実、彼のグループは地下室で、二人の兵隊「われわれは、あなた方の応援にやってまいりまし が銃を手にしたまま、野戦べッドに寝ているのを発見こ。」 した。彼らは前の晩、カーニ。ハルをたつぶり以上に楽両グルー。フは面と向って相対した。数は同じ。皆、 しんだにちがいない。銃声も、けたたましいモンカダ武装している。しばらくためらいがあった。ラウルが のサイレンも、彼らの眼をさまさせなかった。その彼まず反応を示した。 らをゆすぶり起し、捕虜にすると宣告し、そのス。フリ 「彼らを武装解除せよ ! 」 ングフィールドを接収した。 同時に彼は連発拳銃を、一人の警官に突きつけ、そ アベラルド・ガルシアはかくして五人の捕虜を手に の。ヒストルを奪うと、今度は市民の方に向って言った。 入れたわけであるが、そのままの状態を確保するため 「あなた方を捕虜にする。手を上げろ。」 に、彼は捕虜たちに、地面に寝ているように命じた。 侵入者たちは、すっかり驚いて、何の抵抗もしなか 捕虜たちはそれに従った。ラウルと四人の同志は、そった。武装解除された彼らにも、ラウルは、地面に寝 ス 42
ねの血まみれの軍服を投げだした。チャビアノは嘲笑 「ここには女性はいない」 するように一一一口った。 と彼は、最後に言った。 「馬鹿どもが着ていた服がこれだ ! 」 「います」 「写真にとっていいですか」 とマルタが言った。 ) て一人と誰かが聞いた。 「二人います。一人はメティス ( は白人です。」 「駄目だ。」 チャビアノが言った。しばらく沈黙が続いたあと誰 「くり返して言うが : ・・ : 」 かが口を切った。 とチャビアノは神経を高ぶらせて言った。 「それでは大佐。あなたの写真はとっていいですか。」 「ここには女性は一人もいない。」 このとき、リコが彼に近づいて、二言三言耳元でさ「いいとも」 さやいた。チャビアノは眉をひそめ腹立たしそうにパ とチャビアノは答えた。そう言って彼は肘かけ椅子の ンチトとマルタを見つめたが一言も言わなかった。今中に、威厳を作り、足を広く開いて、悠然とかまえた。 朝二人を炊事場に連れて行った兵隊がリコにそのこと数秒後、彼はポーズを変え、左ももの上に、紫水晶の を報告したにちがいなかった。写真をとった一件は今 指輪をつけた手を軽く乗せた。 ( モンカダ事件のあと では皆に知れ渡っていたのだ。マルタはパンチトを見チャビアノは・ ( チスタによって将軍に昇進させられた。 つめているうち、電光のように次の考えがひらめいた。次いで、一九五八年、フィデル・カストロの革命軍を 「私たち二人を今、殺さない限り、二人の女性は助か迎え打っためサンタ・クララ市ーーーラス・ビラス地方 の防衛に派遣された。この任務を遂行するに当っ このとき一人の兵隊がはいってきて、地面に一かさて、さつばり戦意を示さなかったため、 ハチスタは彼 白人とインデヾ、 ィアンの混血 19 び
のことをはっきり憶えている。フィラデルフィアからの大学に在学中だった。これが事実上、アメリカでの ワシントンへ講演旅行に出かけた途中、乗客の気晴ら私の政治活動のはじまりとなった。私がはじめてこの しのためにバルティモアでバスが停まった。私はのど協会を知ったときには、協会はアフリカ人の少数の学 がからからにかわいていたので、駐車場の契茶室には生が不定期に会合する小さな団体で、組織がないため いり、アメリカ人の白人の給仕に水を一杯もらえない に効果のある運動をすすめることができなかった。学 かとたのんだ。給仕は眉をひそめて、なにか不潔なも生だけではなく、他の仕事に従っているアフリカ人も この組織に加入できるよう私は努力し、アフリカ人の のででもあるかのように私をじろじろ見まわして、 全部を団結させることができた。協会の第一回の会合 「表のたんつぼの水でも飲め」と眼をそむけながらい った。私はあっけにとられて身動き一つできず、突っで私は委員長にえらばれたが、この地位を、私はイギ リスに去るまでたもっていた。 立ったまま、相手を見つめていた。皮膚の色がちがう 仲間のアフリカ人学生、とくにアコ・アジェイ ( 現 というだけで、一杯の水をさえことわる人間がいると 在は私の政府の内務大臣 ) とジョーンズ・カーティ は信じることもできなかったからだ。それまでにもパ スや飲食店やその他の公共の場所で人種差別を経験し ( 現在はアチモ夕総合大学の校外活動研究所員 ) に助 アフリカン てはいたが、それらとはくらべものにならないとさえけられて、私は『アフリカの解説者』という協会機関 思われた。だが、私はなにもいわずに、お辞儀を一つ紙をつくった。この新聞を通じて、私たちは民族主義 して、なるべく威厳のある態度で、表へでていった。 の精神を復活させることにつとめた。 ペンシルヴァニア大学時代に、私は大学内にアフリ だが、ナイジェリア人と黄金海岸出身者との内部闘 カ人の学生部会をつくるのを手伝った。アメリカとカ争にたえす遭遇したので、仕事はけっしてたやすくは ナダのアフリカ人学生協会を組織しはじめたのも、こ進まなかった。ナイジェリア人は、植民地国の現在の イソタープリタ
「陸軍」は朝の九時に病院に侵入してきた。そして武誓ってもいいと言った。 ( この密告者は、その褒賞と ( チスタ軍隊の陸軍中尉の階級を貰った。革命 器と制服は発見したが、そのほかのものは何も発見でして、 きなかった。人間はいないのか、と質問したが、全然、の翌日に捕えられ、裁判にかけられ、死刑に処せられ たが、減刑されて懲役三十年になった。 ) 要領を得なかった。ところがファシズムのお陰で繁殖 メルバとアイデは、兵隊たちが眼科室に入るのを見 したスパイの一人が、フィデル党員が病室にひそんで いると告げロした。この密告者は、病院の要員の一人て、アベルが逮捕される、と思った。二人はすぐ部屋 の前に飛んで行った。しかし中に入る勇気はなかった。 ではなかった。彼は写真屋を業としており、その日、 一限に繃帯をしたアベルが兵隊に引っ立てられ、銃の 治療を受けに来ていたのである。かなり上背のある、 太った、たるんだ顔をした白人だった。攻撃がはじま床尾で叩かれて歩かされるのを、彼女たちは見た。ア った時から、彼は事の成り行きを予言し、反乱者たちベルの顔は、血だらけだった。彼は彼女たちの前を通 の行動を、注意深く観察しはじめた。そして「陸軍」りながら、彼女たちの顔をよく見ることも、言葉をか の将校が、病院の要員の沈黙に逢着すると、その将校けることもしなかった。彼女たちに危害の及ぶことを をかたわらに呼んで、密告をし、続いて将校といっ怖れたのである。 二人は、嬰児室にひき返した。彼女らが捕われたの 撃しょに捜査を指揮し出した。 わずか一人を除き、すべてのフィデル隊員が「陸は、それから一時間後であった。その間、二人のうち どちらもアベルのことはロに出さなかった。二人とも、 軍」の手中に捕えられた。しかし、密告者はそれでも の 満足しなかった。彼はその将校に、フィデル隊員の中心の底では、警官どもが彼を殺すにちがいない、と思 スには二人の女性が含まれており、病院を出ることがでっていた。しかし、それを口にしないことによって、 きなかったから、まだ病院内に潜伏しているはすだ、彼の生命が全うされるような気がした。