ムサリム - みる会図書館


検索対象: 現代世界ノンフィクション全集7
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1. 現代世界ノンフィクション全集7

広としたところに着いた。 ( ラバドという名前はこう を低空飛行しているような音にまでなった。びつくり いう砂丘の連山の意味である。 ) ここには適当な牧草 した駱駝たちが後足で棒立ちになり、引き綱をひつば って斜面の上のほうを見上げた。谷底に着くと音は止があるので、われわれはそのはずれで休むことにした。 んだ。これが「砂漠の歌」というやつだった。アラ・フ残っていた小麦粉を食べることに決めると、ムサリム ほうこう が鞍袋から手品師のように玉ねぎを三個と薬味を少し 人はそれを咆哮と称するが、おそらくそのほうがびつ たりした言葉であろう。わたしはこのアラビアの砂漠ばかり取りだした。みんなは車座になって坐り、腹を に五年いたが、それを聞いたのは六回しかない。そのすかしてビン・カビナが兎を料理するのを熱心に見ま もりながらなんとかかんとかロ出しをした。なにしろ 原囚は、ある砂の層が別の砂の層の上を滑り落ちるこ とではないかと思う。いっか一度、砂丘の峰に立ってここ一カ月以上、アル・アウフがウルーク・アル・ いたとき、わたしが斜面に一歩足を踏みだしたとたんシャイバで殺した兎を除けば肉というものを食べてい なかったので、期待は大きかった。われわれはスー。フ この音が鳴りだした。このときわたしは、足を斜面に 踏みだすか、引っこめるかで、その音を鳴らすこともの味見をし、もう少し煮たほうがいいといった。その ときビン・カビナがふと顔をあけて、うめくように叫 止めることもできることを発見した。 ラ。ハドの近くでムサリムが突然、駱駝から跳びおりんだ。「畜生、誰かきやがった ! 」 砂漠の彼方からこちらへやってきたのは三人のアラ て浅い穴に腕をつつこみ、一羽の野兎を引っぱり出し た。どうしてそこに兎がいるとわかったのかと訊くと、ブ人だった。ハマッドは「あれはパヒトとウム。ハラク とサリムです、みんなミアの子供たちです」といい 足跡を見つけたが、中に入った跡はあるのに出た跡が ないからだという。だらだらと続いたその日の午後もわたしに向かって「ラーシド族の者です」と教えてく 終わるころ、われわれは小さな砂丘の連山がつづく広れた。われわれは彼らに挨拶して、情報をたずね、コ

2. 現代世界ノンフィクション全集7

次第に狭ま 0 てゆくのを見つめながら、いったん扉が族のアライウイとでね。あれは夏の真盛りでした。 の息子の殺しがきっかけで始まったラーシド 締まったら、どんなことが起こっても二度と外には出ファ ( ド ミッド族の争いを収めるために、イブリ られないような気がした。やがてその山あいも見えな族とマ ( くなり、見わたすかぎり砂の壁だけになった。みんな行ってきたところでした。」 ムサリムがそれをさえぎって、「あれは確かリカイ のいるところへもどると、みんなは出発前にマブハウ トがサラ 1 ラ 1 で買 0 た色ものの腰布の値段のことをシがイブリーの長官になるまえだ「た。わしもその前 話していた。突然、アル・アウフが駱駝の足跡を指さ年あそこへ行ってきたよ。サ ( イルもい 0 しょで、わ して、「あれはわたしがガニムへ行く途中ここを通っしらはそこへ行ったのだ : : : 」 しかしアル・アウフはつづけて、「わしはビン・ドウ たときにつけたわたしの駱駝の足跡だ」といった。 そのうちムサリムとアル・アウフが、ムグシンからアイランから買 0 た三歳のやつに乗 0 ていました。」 「マナヒル族がヤーム族から掠奪したやっかい ? 」と タムタイムや他の連中がわれわれを待っているはずの バイまでどのくらい遠いか議論を始めた。わたしはアビン・カビナがきいた。 ・ハムから買った黄色い六歳のやっと 「そうだ。ビン ル・アウフに、ワディ・アル・アマイリから。 ( ィまで 行 0 たことがあるか尋ねた。彼は「ええ、六年前に」取りかえたんだがね。ジャナジルが乗 0 たのはバティ あれ 1 ナの駱駝だった。あの駱駝を憶えてるかい ? と答えた。 はワヒパ族のハラハイシュが持っていた有名な灰色の 「何日かかった ? 」 「教えてあげましよう。わしらはアマイリのアル・ガやつのメスの子だ。」 そこでマブハウトが口を入れた。「うん、去年ハラ パで水を飲んだんです。わしらは四人でしたよ、わし ハイシ = がサラーラーにいたとき見たよ。背の高い駱 ル族のジャナジルと、アファル とサリムと、アワーミ 360

3. 現代世界ノンフィクション全集7

イシャに来てもいいと言って、後で野営したとき、彼 彼は部族随一の射手で、ムサリム同様にすばらしい にわたしの余分なライフル銃を一つ、ムカラーに着く いっしょにつれていけば、われわれの ンターだから、 行く先にはアイベクス ( 野生山羊 ) やガゼルがたくさまで使うようにと与えた。翌朝、彼は夜明けとともに アイベクス狩りに出かけ、夕刻、彼の射とめた大きな んいるから、毎日肉が食べられるというのであった。 さらに加えて、「彼は・ほくの友達です。 ' ほくのためにオスを肩にかついで帰ってきた。ペドウインのすばら たまたまその 彼を加えてください。・ほくら二人はあなたの行くとこしいハンターに会ったのは少ないが うちの一人は、優秀な射手に必要な熱意をもっていた ろならどこへもついていきます。ぼくらはいつもあな ビン・ガバイシャはそのまれなる一人であり、ム たの下僕です」というのだった。わたしはビン・ガバ サリム・ビン・タフルもそうであった。 夕食後、ビン・カビナは自分の駱駝をつれてくると いって、わたしのそばから立ち上がっていった。突然 誰かが、「ビン・カビナが倒れた」と叫んだ。見ると、 彼は砂の上に横たわっていた。そのそばに行ってみる みやくはく と、彼の意識はなかった。彼の脈搏は弱まり、体は冷 えていて、ぜいぜい息をしていた。わたしは彼を火の ところにつれてきて、毛布を重ねて彼をあたためた。 それから、・フランデーを口につごうとしたが、彼はの みこめなかった。徐々に彼の息は平静になり、体もぬ四 くもってはきたが、いまだ意識は回復しなかった。彼 い華 コーヒーを入れるビン・ガバイシャ

4. 現代世界ノンフィクション全集7

けてコーランの文句を朗唱した。足下の砂はまだとては草を見つけしだい、下あごをやたらにペちやペちゃ も冷かった。普通、アラブ人は冬か夏に大砂漠にいる鳴らしながらそっちのほうへ急ぐのだった。 初めのうちは、砂丘は、煉兀色をした砂山が鮮かな ときは、目のあらい、黒髪で編んだ靴下をはいている。 しかしわれわれはいま誰もそういう靴下をはいていな緑色のソールト・・フッシ = にふちどられた灰色の石膏 かかと かったから、冷たさでもう踵にあかぎれが切れていた。の平原上にぼつんぼつんと立っているだけだった。わ 後にはこのあかぎれがますます深くなって非常に痛くれわれが午後になって通りすぎた砂丘はもっと高く、 なった。二時間ほど歩いてから、日暮れころまで駱駝百五十ないし百七十メ 1 トルの高さもあり、蜜色をし に乗って、道すがら草を食べさせながら進んだ。駱駝ていた。ここには草は一本もなかった。 ムサリムは黒いオスに乗り、いちばん大きい皮袋を で積んだ自分のメス駱駝を従えていたが、急斜面を下る の とき、そのメス駱駝はしりごみした。ムサリムの鞍の うしろに縛ってあった引き綱がびんと張って、メスが し ゆっくりと横向きになった。わたしはそのとき少しう わ け る しろのほうにいて、目の前でなにが起ころうとしてい るのかを見てとったが、どうする殿もなかった。わた しはムサリムに向かって気違いのように叫んだが、彼 メ もこの急坂では乗っていた駱駝をとめることができな 十 。しし力と一るよ 5 かった。ああ、綱が切れてくれれま、 3 うな気持ちで見守る目の前で、メス駱駝は皮袋の上に

5. 現代世界ノンフィクション全集7

には、昨年わたしといっしょだったラーシド族の男た から、わたしの用意した小麦粉、米、砂糖、茶、コー 4 ヒーと、スルタンからもらった駱駝三頭分のオーマンちもいた。ムサリム・ビン・アル・カマムもいた。や 産なつめやしの実などを分けた。わたしはゆっくりとせた中年男だが、すばやい理解力と無慈悲ともいえる 旅をし、二カ月かけてムカラーに行くにしても、食糧度胸の持ち主で、ラ 1 シド族の中では最も広く旅をし は充分であると思った。もう空腹な思いをするのはたており、知性もいちばんすぐれていた。わたしたちが いっしょだったとき、わたしは彼が大好きで、また、 くさんであった。 ビン・カルトは印象的な人物だった。背が低く、ずわたしが興味を持ちそうだと思えたことは何でも話し んぐりして、カがみなぎり、年かさだけ重いというふて聞かせる面白い仲間だと思った。たいへん自制心が うで、動きがにぶく、立ち上がるのにも、ぶつぶっと強く、彼が声をはりあげるのを聞いたためしがない。 何度も全能のアラーの御名を唱えては、やっとの思い運悪く、彼は今回の旅ではわたしたちに同行できなか った。一年前に、彼はダ ( ム族との間に二年間の休戦 でしているという有様であった。彼の話ぶり、動作、 しぐさはたいへん慎重であった。幅広くいかつい顔で、を締結したのであるが、このたびのダ ( ム族の襲撃で 鼻が突き出ていて、限はすわり、大きな口をし、灰色それが破られてしまったので、掠奪されたラーシド族 のあごひげがぼさぼさと生えていて、それで、頭は完の駱駝の返還を要求すべく出かけるところだったので ある。 全に禿げていた。彼はめったにしゃべらなかったが、 ハドラマウト北方の台地に住むサアル族 たまに彼が話すと誰も異をとなえなかった。彼の息子最近まで、 パイト・カシル、マナヒルの各部族の主 で、サリム・ビン・カビナとは異父兄弟であるムハンがラ 1 シド、 マッドもいた。こちらは父親に似て、ずんぐりした若なる敵であったが、ここ数年の間に、イエメンのダハ 者で、あ、そよ、 ム族とアビダ族が南部砂漠の最も恐ろしい掠奪者とし しなししがあまり能力はなかった。ここ

6. 現代世界ノンフィクション全集7

の親類で、今後マブハウトと危険をともにしたいとい またしてもわれわれは食糧を二分することになった。 ターとコーヒーを若干、茶と砂った。不幸にして彼の駱駝は最も劣ったやつだったの 3 小麦粉二十二キロ、 糖の残り、それに乾したたまねぎ二、三個を、われわで、不本意ながら断わった。そのかわりわたしは、も まの旅の帰路、サラーラ 1 からムカラーまで行くとき れの分として取った。それからまた、水もりのしない に、彼と彼の息子のビン・アナウフを連れて行くから 最上等の皮袋をえらんで、四つの皮袋に水を入れた。 ムサリムはパイト・ムサン族が丈夫なオスの駱駝を一と約束した。さてわたしは例の大きな、とても力の強 いオスの黒い駱駝を、さんざん掛けあった末、法外な それを買って予備に連れて行っ 頭もっているといい、 たらいいと教えてくれた。彼はまた、マブ ( ウト・ビ値段で買い、実際の値うちの二倍以上の五十ポンド相 ン・アルバインとは友人であり、もし誘えばいっしょ当も支払った。わたしはそれまでになく自信がわいて にくるだろうといった。マ。フハウトの駱駝はどうも痩きた。わたしは全員りつばな駱駝に乗った仲間を同行 せていると思ったが、アル・アウフは、駱駝のことなら者にえらんだのだ。砂漠に馴れている予備の駱駝も一 よく知っているがマブ ( ウトの駱駝は重労働に耐える頭いる。もし食糧が切れたら駱駝を一頭殺して食べる だろうと返事した。彼はマブハウトをいっしょに連れことができるだろう。水は少なかった。だからこれに はよく注意して、各自に一日半リットルずつ割りあて て行きたがり、一人でも多く同行してくれたほうがい ヒン・カビナとムサリムとマブハ いし、マ・フ ( ウトはバイト・カシル族でいちばん信頼なければならない。・ ウトは、めいめいわたしが貸した陸軍用ライフル銃を できるといった。そこでムサリムが様子を見にいった。 しばらくするとマ。フハウトが鞍を持ってやってきて、持った。アル・アウフの持っている銃身の長いマル わたしたちに加わった。その晩ビン・トウルキアもわティーニ・三〇三口径はペドウインの愛用する銃だっ た。わたしは三〇三口径の猟銃を携行した。スペアの たしたちに同行していいかといった。彼はマブハウト

7. 現代世界ノンフィクション全集7

トは約〇・五 たのを憶えている。 ) でちょっきり四杯、およそ一キロの小麦粉 亠〕リ . ッ , いル が、その日の割当てだった。いま思うとあの食事には ビン・カビナはコーヒーをわかしていた。彼はシャ ツも頭巾もぬいでいた。わたしが「おまえの腰布をとカロリーもビタミンもほとんどなかったにちがいない。 しかしあの砂漠で暮らした何年間というもの、すり傷 り返してやらなか ったらシャツもぬがうんだり腐ったりしたことは一度もなかった。また げないところだわたしは砂漠で見つけた水を飲むまえになんの予防策 そ」といってやるを講じたこともない。たしかにわたしは二十五年間も しゃふつ と、彼はにやっと中東のいたるところで井戸や溝やどぶの水を煮沸もせ 笑って、「どうすずに飲んできたが、腹をこわしたことはついぞなかっ ればよかったって た。いざとなれば、人間のからだはーーーともかくわた いうんです ? あしのからだはーーーちゃんと伝染病に対する抵抗力をつ けるものらしい。 「一 6 の男がくれってい 未ったんですから ムサリムは。ハンができあがると、駱駝の番をしてい ね」といってャギ たアル・アウフとマブハウトを呼んだ。あたりは暗く の皮の袋から小麦なりかけていた。すでに沈んだ太陽のかすかな残光が 粉をすくっているまだ西のほうにたゆたいをみせていたが、星がまたた ムサリムのほうへき、月が無色の砂の上に影を投げかけていた。われわ 手伝いにいっこ。 れは小さな一枚の皿をかこんで坐り、「アラーの御名 一バイント桝 ( 一。 ( において」ととなえてから順番にちぎったパンを、と ます

8. 現代世界ノンフィクション全集7

の決めることさ。彼がわしらをここへ連れてきたんだ 冫いくつもの峰とそれを結ぶ道があった。 脈のようこ、 からな。もっとずっと西の、ダカカの近くまで行くべ その頂上のいくつかは、われわれが立っているソール ト・フラットから二百メートル以上はあるようだった。きだったんだ」といった。彼は風邪をひいて鼻をぐす われわれが向ぎあっている南側の斜面は非常にけわしぐすいわせており、その甲高い声はしわがれて、不満 かった、ということはつまり卓越風に対してこちら側でとげとげしくなっていた。彼がアル・アウフをねた が風下だということである。わたしは反対側から登るんでいて、なにかというとすぐ貶したがることはわか ことになればよかったのにと思った。この絶壁では駱っていたから、わたしはついおとなげなくも「おまえ 駝が下ることはできても登ることはます難しいからでがガイドだったら遠回りの道を行かねばならぬところ ・伐まくるつ ある。 だっただろう」と、小馬鹿にしてやった。′を ア外・アウフがしばらく待つようにいって偵察に行とこちらを向いて、怒ったように「あんたはパイト・ った。わたしが見ていると彼はライフル銃を肩にかけ、カシル族がお嫌いらしい。あんたがラーシド族だけを 上方の斜面を吟味するように頭をうしろに引いて、きお好きなことはわかっている。わしが部族の者たちに らきら輝くソールト・フラットを向こうへ歩み去って逆ってあんたをここへお連れしたのに、あんたはわし いった。彼はこよなく自信ありげに見えたが、わたしがあんたのためにしてあげたことを、てんで認めてく はこの砂の壁を見ながらこの上まで駱駝をあげることれないんだ」と答えた。 それまでの過去数日間、彼はあらゆる機会をとらえ には絶望的だった。マ・フハウトも明らかにそう考えて の イいたらしく、ムサリムに向かって「これじゃ迂回しなて、もし彼がいなかったら、わたしがラムラト・ア けりゃなるまい。駱駝は絶対こんな坂を登れないさ」 ル・ガフアから来られなかったはずだということをわ 3 といった。ムサリムが答えて、「それはアル・アウフたしに思いださせようとしていた。それはわたしに取 けな

9. 現代世界ノンフィクション全集7

ってリカイシに報告することは火を見るより明らかでということは隠しておかなければならない」といった。 マ・フハウトは、だれもわたしをペドウインと間違う人 すよ、ウムバラク。」 はいないから、わたしをハドラマウトのサイイド アル・アウフが穏かに「それじやどうしたいんだ い ? 」ときくと、ムサリムは激して「そりやわからん トの正系の子孫 ) だということにしたらどうかと提案した。 さ。ただわしはイ・フリ 1 の近くに行く気はないぜ」とわたしは反対した。「それはよくない。サイイドとし たのでは、信仰論議に巻きこまれるかも知れない。お いった。わたしは彼に、いまきた道を通ってサラーラ 1 へもどりたいのかと尋ね、「そりやおもしろい、駱そらくお祈りを上げることを求められるだろうが、わ 駝は疲れはてているし、食糧もないのにね」といってたしはお祈りのしかたを知らないし、もしかしたら彼 やった。彼はイブリ 1 へ行くよりまだましだと喚いた。らは彼らのお祈りの指導をわたしに求めるかも知れな いだろう。そうなったらひどいへまをやるかも知れな こういう馬鹿らしさに愛想をつかしてアル・アウフは そっぽを向き、「アラー以外に神はいない」とつぶや 、。」みんなは笑って、マブハウトの提案はうまくゆ いていた。その間もわたしはムサリムと言い合いをしくまいという点で意見が一致した。わたしはいった。 ていたが、そのうちとうとうマブハウトとハマッドが「この砂漠にいる間、わたしはアデンの町の者で、 仲に入ってその場はおさまった。 ままで部族の者たちといっしょに暮らしていたのが、 いまアブー・ダビへ行く途中だということにしよう。 結局われわれは、イブリーで買出しをしなければな のらないこと、そのとき、まさかのときに食べられる駱オーマンに着いたら今度はわたしはシリア人で、リヤ ン ートへ行ってきた帰りにサラ】ラ 1 へ向かっているの 駝を予備に連れていたほうがいいので、前途のラバド ウ だとい、つことにす - れま ドにいるラーシド族から駱駝を一頭買うことに意見が一 。いい。」「シリア人てなんです 3 致した。ハマッドは、「ウムパラクがキリスト教徒だか ? 」とビン・カビナが尋ねるので、わたしは「きみ わめ

10. 現代世界ノンフィクション全集7

ざた でも欲しいものが手に入りますーというのだった。わとも、わしらはまっぴらです。そんなのは気違い沙汰 ・こ ! あそこにはイマーム ( 教国の宗教的元首。ここではム 8 たしは、彼がリワ 1 についても同じことをいったでは ・アル・ハ ないかとどなりつけたい気持ちを鎮めるのに苦労した。 ) の長官のひとりがいることをご存知ないの リリのこと ムサリムが口をはさんで、われわれはおそらくドウですか ? リカイシですよ。リカイシなんて聞いたこ ル族の国には行けないだろうといった。ドウル族はわとないって ? 彼がこの国にキリスト教徒がいると知 たしが去年ムグシンまで旅行したことを耳にしていて、ったらどうすると思っているんです ? 彼はあらゆる 彼らの国にキリスト教徒をつれこむことはならんとパ異教徒を憎んでいるんです。わしはあの国に行ったこ してすか、ウムバラク、わしは彼を知っ イト・カシル族に警告したというのである。アル・アとがある ています。もし彼につかまったらどうしますか、ウム ウフがしびれを切らして、それじやどこへ行こうとい パラク。オーマンがこの砂漠と同じだなどと思っちゃ うつもりなのだとつめよった。そして二人は口論をは いけません。オーマンは定着民の国ですーー村も町も り、ドウル族の国を通っ じめた。わたしもそれに加わ て帰るというわれわれの計画が決して変っていないこあって、イマームが長官を置いて統治しているんです。 しようわる とをムサリムに思いださせた。彼は興奮してわたしのその長官のうちで最も性悪なのがリカイシです。ええ、 ドウル族ですよ、わしらと同じペドウインの、わしら ほうを振り向き、自分のことばを強調するように駱駝 むち の鞭で激しく地面をたたきながら叫んだ。「ドウル族とは仲が悪いが。あなたをこっそり連れていってやっ しいでしよう、通らなきやらの国を大急ぎで通り抜けることはできるかも知れな の国を通って行くって ? いけれど、そこにぐずぐずしているのはまっぴらです。 ならないんだったら、急いでこっそり通りましよう、 しかし砂漠に近い、人のいないところを通らなきや。 イ・フリーの近くに行くなんて気違い沙汰だ。聞いてる ドウルの国に近よることも、イブリーの近くに行くこんですか ? あなたを最初に見つけた者がまっすぐ帰 0 、、